☆ぽんつかのあたまんなか☆

◆ぽんつかの妄想から生まれた架空のレースカテゴリ  ・現代のF1に限界を感じたぽんつかが、F1でもない、インディでもない   フォーミュラeでもない架空のカテゴリを構想☆  ・独自開発による『すごろく式PC上ボードゲーム』としてレースを展開☆  ・それをただただ何シーズンもプレイしてセカイを構築してゆくだけの   旧究極の一人遊び☆  そのプレイ記事、レース経過・結果、シーズン総括などを載せてゆく。  それだけ!!(byケロちゃん)

NEXXTREAM PRESS 「シーズンオフ・新年号」

 

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◆シーズンオフ・新年号

1stシーズンはひとまず大成功裏に終わったNeXX、いよいよ年も明け
2シーズン目に向け各チームの準備も整いだしてきた。また、NeXX自体も
2ndシーズンの運営に向けて、さまざまな準備・改変を進めている。
シャシー、エンジンなどの各サプライヤーは当然、自身の提供するプロダクツに対し
来季に向けて様々な改良を施しており、各チームも続々と新体制を整えつつある。
チーム数も3つ増えカレンダーも一部変わり、新コースが名を連ねた。
今号は、そんな2ndシーズンに向けての多くの注目点の中から大きく2つの
トピックスを取り上げ徹底的に掘り下げてみたいと思う。

今回大きく取り上げるのは以下の2つだ。
・日本で初の公道レース開催!小樽GP徹底解剖!!
シャシー&エンジン大特集!!

ほかにも、開幕に向けたNeXXのホットな情報満載だ。
ぜひお楽しみください!!

 

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■日本で初の公道レース開催!小樽GP徹底解剖!!

※これから紹介するコースは、あくまで私が個人的な妄想で考案したものです。
 実際のFIAの開催基準、特に安全性に対して神経過敏な現在の基準にはおそらく
 適合しないものと思われます。また『観光資源』として見たときのことも考え、
 倉庫ばかりで見栄えのしない港湾地区ではなく、観光スポットの多い運河沿い、
 堺町本通りをレイアウトに組み込んでいます。ここは相当に道幅が狭く、
 建物もひしめき合うように立っている地区なんですが、モナコの終盤セクションの
 密集度もなかなかのもので、バクーの旧市街なんかも驚くほど狭い道を走ります
 ので、「いけんじゃね?」と思い作りました。小樽の地理をご存知の方や、在住の方
 などが見ると「そりゃねえわww」と思うと思いますが、それも含めて
 フィクションですので、ご容赦頂ければと思います。

※また、小樽での公道レース開催にあたっては、実際に組織の一員として動かれていた
 方の過去ブログなども拝見させていただきました。そのうえで、こんなバカげた
 フィクションを創作しています。北海道民として、札幌在住のモータースポーツ
 フリークとして当時『小樽GP』に私がどれほどの期待を抱いていたか。
 それを少しでもご理解いただければ幸いです。

◆プロローグ

『小樽グランプリ』構想の起点を探ると、基は1990年代中頃まで遡る。
その頃小樽市民の間で「公道を使ったレースができないか?」という話が漠然と
出ていたが、『北海道みちとくらしと未来のネットワーク』という委員会誕生により、
話は加速する。組織は2002年に設立、組織を支援するのは国土交通省だった。
ここに、この委員会の2003年の活動指針を掲載する。それが

“北海道の未来を見据えたとき、私たち道民の「みち」はどうあるべきか?
というテーマをもとに、本来の「みち」の果たす役割をしっかりととらえ、
道民一人ひとりに広くその価値を認識してもらう”(原文ママ

というものだ。
北海道の『未来』と『みち』のありかたを考え、見直し、
道のあるべき姿や、本来の果たす役割にどのように価値を付加するか。
低迷する北海道経済に対し、明るい『未来』への『みち』を探求する
そんな思いから立ち上がったプロジェクトだった。
また北海道の民間放送局HTB北海道放送は、番組制作においてこの
『北海道みちとくらしと未来のネットワーク』との連結を図り
当時深夜帯で放送されていた番組『南平岸未来道』という番組で、
『北海道での公道レース』開催を目指しマカオロケも敢行するなど
コアなレースファンの間で人知れず『小樽グランプリ』気運は高まりを見せていた。
そこへきて2003年に北米最高峰のフォーミュラレース『CART』が倒産し、
その資産を引き継ぎ新オーナーとなったケビン・カルコーベンという人物が、
新シリーズのカレンダーに『日本でのストリートレース』を加えたいと
望んだことにより、『小樽グランプリ』構想はにわかに活気づく。

※HTB『南平岸未来道』という番組では、前述のとおり『北海道での公道レース』
 開催を目指しマカオロケも敢行。前身の『南平岸bizカフェ』時代から継続し、
 このテーマに取り組んでいた。深夜番組でしたが私は毎週見てました。
※構想の具体化の発端はF1フォトグラファーの通称『けんさわ』こと澤田賢志さんと
 YOSAKOIソーラン祭りの創始者長谷川岳さんの出会いです。
 けんさわさんは、小樽とロケーションの非常によく似たモナコを比較し
 『小樽モナコ化計画』を発案。長谷川さんがパーソナリティをされていた
 ラジオ番組でその構想を語ったのが大元です。

その後は『小樽グランプリ推進協議会』と関係各者・各省との協議・調整が行われ
一時は時の内閣総理大臣小泉純一郎氏のお墨付きまで頂戴。
そしてCARTを引き継いだ北米の『チャンプカー』シリーズの
コースデザイナーが視察に訪れ、小樽グランプリ開催はいよいよ現実味を帯びてきたかに見えた。しかし07年、当初8月に予定していた
チャンプカーのデモンストレーション走行を、日程調整がつかずに断念。
その後08年のカレンダー入りを目指したものの、いつのまにか計画は
自然消滅してしまい、その後10年以上再燃することはなかった。

しかし今回、小樽は再び立ち上がった。
新たなカテゴリ『NeXX』の設立に合わせ、日本から参戦したトライアンフ
チームとその母体である『SJBグループ』が発起人となり、北海道の政財界の有志
をつのり『小樽グランプリ推進委員会』を組織。関係各省、北海道知事など
各方面に働きかけをおこない、ついに『日本初の公道レース』開催にこぎつけたのだ。
※この構想を練っている間の2020年9月20日に、島根県江津市の公道で
 カートレースが行われ、NeXXは『日本初の公道レース』ではなくなってしまい
 ました汗汗。でも喜ばしいことです、日本のモータースポーツにとって大きな
 『第一歩』でした。

コースに設置されるガードレール、コンクリートブロック、セーファーバリアは
全てFIA基準のもの。またコースとして使用される路面は全面舗装のやり直しを
行い、マンホールのフタはモンテカルロロングビーチのように溶接を施し
マシンが踏んでも飛び上がらないようにした。レイアウトは比較的民家の少ない
エリアを通るが、それでも名所、観光スポット、歴史的建築物も多いため
近隣住民ほか関係各所の理解を得るため、委員会は奔走した。
そうしてようやく、構想から20年以上を経て『小樽グランプリ』開催は実現した。
当時の関係者も含め、このプロジェクトに携わったすべての人の思いが、
今結実したのだ。

◆コース徹底解説
筆者のこのプロジェクトへの思い入れがあまりに強すぎた為、非常に前置きが
長くなってしまったが、いよいよその『小樽市街地コース』の全容を明らかにしたい。

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メインとなるのは二つの大きな幹線道路で、それを結ぶのが駅前の大通りと寿司屋、
ガラス工房、菓子工房など、小樽を象徴する店々の集まる中小路で構成される。
コースは1周3.65kmの左回り。前半区間は片側3車線で分離帯のある幹線道路
を使用するため、交差点に仮設シケインをおいたり、分離帯の切れ目をシケイン
とし、それを基点にレーンチェンジをするようなレイアウトとなっている。
また、終盤区間『堺町本通り』はモンテカルロのヨットハーバー側(ヌーベルシケイン
~ラスカス間)やバクー旧市街なみにコース幅が狭く、2ワイド走行も
不可能な難所だ。
さらに、前半の海側区間は平たんなものの、小樽駅から寿司屋通りまでの区間
比較的山寄りのため上り下りがある。起伏に富んだアンジュレーションと、
歴史のある町ならではのロケーションが楽しめる、『日本のモンテカルロ』。
それではセクションごとにコースの特徴と、周囲の景観などを紹介していこう。


1.第1セクター(ホームストレート~1stシケイン

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ホームストレートは『道道17号線』と呼ばれる大きな幹線道路。
進行方向でいうと札幌側から入り、余市方向へ向かうこととなる。スタート位置は
ほんの少し左にカーブしており、市街地特有の景観となる。(モンテカルロ
ロングビーチは右にカーブしている。)道道17号線は片側3車線の大きな通りで、
最終コーナーの立ち上がりから最初のコーナーまでは左レーンを走る。
ピットガレージは右レーンに設置され、さらに右奥の倉庫街の駐車場が各チームが
モーターホームを設置するスペースとなる。
コース左側には小樽を代表する洋菓子メーカー『ルタオ』の本店や、ガラス工芸で
有名な『北一硝子』の『北一ヴェネツィア美術館』などが並ぶ。

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ルタオ               ☝ヴェネツィア美術館
 

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スタートして250m地点に最初のターンがある。大きな交差点には
仮設のシケインが設置される予定だ。サーファーズパラダイスのように、路面に
打ち付ける即席の縁石で作られることになる。最終コーナーの立ち上がりから
900m付近になるため、重要な追抜きポイントになるのではないだろうか。
また、スタート直後に混乱が発生する可能性も高いだろう。このあたりから
コース右脇には『小樽運河』が見え始め、このシケインで走るレーンが右側に
なるため、第2ターンまでドライバーは、右に運河を見ながら走ることとなる。
もっとも、ドライバーに景色を楽しむ余裕などないだろうが。

コースはスタート地点を含む『海側』の直線区間が長いため、このセクションで
最高速を記録するだろう。シケイン手前のホームストレートでは激しい
オーバーテイクショーが見られそうだ。


2.第2セクター(第2ターン~寿司屋通り)

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1stシケインを立ち上がり、左手に『ホテルソニア小樽』と『ホテルノルド小樽』
という二つの大きなホテルが見えてくると、いよいよ第2ターンだ。大きな交差点を
左に曲がり『中央通り』に合流、中央分離帯右側のレーンに入る。そしてすぐに訪れる
十字路が2ndシケイン。ここをクリアするとレーンは左側へ。そこから350mほど
直進し訪れる十字路でまた右レーンへ入る(3rdシケイン)。『中央通り』には
500m前後の区間に分離帯を利用したシケインが2つ設置される。また通りは
ここから山側へ向かうため、緩やかな上り坂になっている。
3rdシケインをクリアすると目前に『JR小樽駅』が現れ、『中央通り』は
ここで『国道5号線』と交差する。コースはここで『国道5号線』を左へ。
片側2車線で分離帯のない『国道5号線』は、計4車線分の道路幅を目いっぱい
コースとして使う。山寄りの地形であり、ここまで『中央通り』を上って来たため
『海側』へ戻る後半コースにはぐっと沈み込む下り坂がある。

『国道5号線』を500mほど進んだあと、コースは十字路を左に折れ
小樽名物の『寿司屋通り』へ。200m前後の通りに10件以上の寿司屋が
軒を連ねる、文字通り『スシ・ストリート』だ。このあたりからコース幅は
マシン2台が並ぶことも苦しいほど狭くなってゆく。そして右手にコンビニ(青い)
が見えて来たら右へターン。ここからはこのコースでもっともタイトな
セクションへと入ってゆく。

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☝JR小樽駅 


第3セクター(堺町本通り~最終ターン)

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『寿司屋通り』から『堺町本通り』に合流すると、そこは小樽を代表する
店々が軒を連ねる観光スポットだ。歴史を感じさせる町並みは2002年の土木学会
デザイン賞において優秀賞を受賞している。エキゾチックな景観を有するセクション
だがコース幅が非常に狭く、最も狭い個所の7.2m(目測w)は、バクーの
旧市街地区間の7.8mをも下回る。最終ターン付近ではもう少し広くなるものの
2ワイド走行不可能であろうこの区間が、これといったコーナーもないまま
700m弱続くのだ。現在FNOは、レースでのこの区間について『追い越し禁止
区間』に設定する方向性で協議を進めている。

『堺町本通り』を抜けると十字路で、そこが最終ターンの一つ手前だ。
コース外脇に有名な『オルゴール堂』を望み、最終ターンを立ち上がりホーム
ストレートの『道道17号線』へと戻ってくる。

終盤のこのセクターには小樽の誇る歴史的建築物や、観光名所が集中している。
ルタオ本店』、『北一ヴェネツィア美術館』、『オルゴール堂』の他にも
『大正硝子館・本館』や『旧百十三銀行』など挙げればきりがない。
下記のコース図には、コース近辺の主だった名所を列挙した。
もしレース観戦にいかれる際は、小樽めぐりの参考にでもしていただきたい。

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☝百十三銀行        ☝大正硝子館・本館

★観光名所入りコース図

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4つのシケインとコース幅の狭い区間など『低速域』も多くもあるが、
『海側』は全開率が高く第2セクターまでは非常に速度域の高いバトルが繰り広げ
られるだろう。コースの性格としてはハイスピードに分類されるのではないだろうか。
直角ターンと分離帯シケインが主なコースの構成要素だが、舗装をやり直したとはいえ
北国の荒れたアスファルト路面、モンテカルロやバクーのような狭い区間、そしてF1
が走ったロングビーチのようなアップダウンと、難コースたる要素を多分に内包した
テクニカルトラックである。

実に20年以上にも及ぶ関係者の苦闘の末実現した『小樽グランプリ』。
しかも2ndシーズンも第16戦での開催と、カレンダーとしてはタイトル争いの
激化した状態での開催となることは間違いなく、盛り上がること必至。
今から『小樽グランプリ』が待ちきれない!!

 

■NeXX参戦チームの最も重要なファクター!
              シャシー&エンジン大特集!!

NeXXはF1とは違い、チームはコンストラクターではない。
むしろチームはコンストラクターであってはならない。これは、特定の
チームが技術的な優位性を確保してしまうと、パワーバランスの均衡が崩れ
公平なコンペティションが成立しないというF1が抱える問題点を鑑み
NeXXが決定したルールだ。現状F2やF3他下位カテゴリやインディカー
はては日本のスーパーフォーミュラなどもシャシーワンメイクで、全チームが
コンストラクターでなければならないのは世界中のモータースポーツカテゴリに
おいてF1だけだ。それによりF1は前述したとおり戦力の不均衡と
開発予算の高騰という問題を抱えてしまい、現状改善への身動きが取れない状態だ。

「技術開発」と「競技としての公平性」を両立させるには、各チームが
コンストラクターである、すなわちマシンから何からレースに必要なものは全て
チームが用意しなければならないのでは、戦力の均衡は保てない。
そして戦力の均衡が保てなければ、レースにスペクタクルは生まれないのだ。
とはいえ、シャシー・エンジンがワンメイクでは各チーム・マシンに個性が出にくい
ことも考慮しNeXXでは現状シャシーは2社、エンジンは5社の競合を許す状態で
運営されている。またレギュレーション上では最大シャシー3社、エンジンは6社
までの参戦を認めている。
現段階ではシャシーの3社目について詳細な言及はないものの、現在参戦している
2社の他にもFNOはいくつかの交渉を行っているようだ。近い将来、3社目の
シャシーデベロッパーの参戦があるかもしれない。

ともかくも、現状NeXXにはフランスのシグマテックと日本のレラという
2社のシャシーメーカーが参戦している。さらにエンジンについていえばこれまで
参戦していた5社に加え、来季からは新たに1社が加わり6社競合となる。
エンジンについてもF1のようにワークス契約は認めず、全チームがカスタマー
としてエンジンをメーカーから『買う』ことにより、戦力バランスの崩壊を
招かぬようにレギュレーションで配慮がなされている。

つまり、シャシーやエンジンはチームの『力』そのもの。少しでもメーカーが
他チームと差別化を図り『特別』をつくった時点で、チーム間の戦力バランスは
崩壊してしまう重要なファクターなのだ。今回は2ndシーズンを戦う
シャシー、そしてエンジンについて紹介していこう。

シャシー

1.シグマテック

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NeXX供給の初代シャシー『S-TEC01X』はご存じのとおりの
『ハイスピードシャシー』で、高速域ではめっぽう早く高速型のエンジンとも
抜群に相性が良かった。半面コーナリング時のダウンフォース不足と回頭性の悪さ
から中低速トラックではやや苦戦を強いられた。それでも全18戦中15勝をあげた
ことから、総合力は高かったと言っていい。高速型エンジンとの組み合わせでは
低速トラックで苦戦ししたものの、中低速域の得意なエンジンとの組み合わせは
バランスのいいマシンパッケージを生んだ。
今季各チームに供給する改良版『S-TEC01X/B』はその点を考慮し、
前後のダウンフォースバランスを改善するべくフロントウイング形状を改良してきた。
フロントウィングは全体的に大型化されフラップも曲線主体の大きなものに変更。
また翼端板上部のタイヤ前に貼りだしたフラップも、初代よりも大型化されている。
これはより多くのダウンフォース獲得と相反して発生するフロントタイヤ前のドラッグ
の解消、双方を考慮したデザインだろう。また、フロントタイヤ上部には、
ブレーキポッドから伸びた整流フィンも付く。
それ以外で見て取れる大きな変更点は、モノコック横のバージボードの形状と
シャークフィンの形状の変更だ。特にシャークフィンの形状変更は注目すべき点で
フィン下部をややえぐり後端を伸ばしたことにより、リヤウィングに当たる気流の
量を増やすことを企図。これは、フロントで増大するであろうダウンフォース量の
バランスをリヤで取ろうとする試みだろう。
いくつかの改善点は見られるが、全体としてはやはり2ndシーズンも「直線で速い」
クルマというのがシグマテックのマシン特性だろう。ホイールベーストレッド
など回頭性に直接起因する個所に変更はなし。やはり最高速重視がシグマテックの
ポリシーなのかもしれない。来季は現行参戦6チームに加え、アントネッティ
ガジャックが新たにシグマテックを使用。アントネッティアメリカのシェブロン
エンジンとのパッケージ、対するガジャックはロムニ・ダキア同様のピジョンとの
パッケージだ。シェブロンとの相性は未知数だが、ピジョンとの相性の良さは
ロムニ・ダキアが1勝をあげたことで証明された。
とにかく来季も高速トラックでは矢のような速さが見られるのは間違いない。

 

2.レラ

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日本の雄レラは初年度、苦戦を強いられた格好だ。全18戦中シグマテック勢が
15勝と、圧倒的に水をあけられてしまった。コーナリング特性がクイック過ぎて
「乗る人を選ぶクルマ」になってしまっていたのが原因だ。その特性からツイスティな
低速コースでは抜群の速さを見せるものの、高速コースでシグマテック勢に置いて
行かれる場面がしばしば見られた。特に高速域でのパワー不足を指摘されたピジョン
とのパッケージだったプルトンは大苦戦を強いられた。
2ndシーズン用に改良を加えてきたマシンRNX-01Refは、一見大きな
変更点はないように見えるが、細かい部分での改良が随所にみられる。まずは
フロントウィングの大型化だ。これはシグマテックと同様で、メインウィングを
大きな弓なり形状のものへと変更してきた。今季のマシンは2社ともフロントの
慢性的なダウンフォース不足を抱えていたが、まずはシグマテック同様それを解消する
ため大きなウィングを用意してきた。また、フロントウィング中央部の後端が、ノーズ
下面の奥、コーンの継ぎ目あたりまで延伸されており、ノーズ下面の整流を企図して
いる。モノコックの左右に設けられる、アンダーパネル下面に気流を流し込む
エアトンネルは健在で、同じく今季も健在のダブルデッキ形状のサイドポンツーンは
リヤタイヤ内側の整流フィン付近のえぐれがさらにタイトなものになっている。
フロントノーズ下部からアンダーパネルへ、そしてマシン側面下部からディフーザー
への気流をより意識した作りを見ると、レラシャシーの基本設計思想はやはり
ハイダウンフォースありきなのだろう。モノコック横、サイドポンツーンのエア
スクープ部、ちょうどバックミラーの下部に新たに設置された整流フィンにしても
それが見て取れる。
シグマテックよりもホイールベースの長いクルマながら、直線ではややナーバスな
挙動を示し、逆に「コーナリングマシン」との評価を得るほど低速コースでは
クイックは挙動を示したRNX-01。今回の改良は1stシーズンややピーキー
だったマシン特性をよりマイルドにし、全速度域に満遍なく対応できるように施した
改良のように見える。この改良でどう生まれ変わるか?


◆エンジン

ご存じのとおりNeXXでは、マシンの動力機構として新開発の水素エンジンを
採用している。水素を燃料とすることのメリットは今更語るまでもないが、環境に
対する負荷を最小限に抑えられることは、燃料としてもそして燃料としての水素の
生成過程においても同様だ。
2017年1月のダボス会議において発足した『水素評議会』は、産業レベルで発生す
る余剰水素とCO2を使った合成液体燃料である『e-fuel』の開発を推進しており
それはすでに実用化の最終段階にきている。産業において『無駄を出さずにCO2も
出さない』という『カーボンニュートラル』社会、そして『カーボンニュートラル
なモーターレース実現のため、NeXXと『水素評議会』は日夜研究をかさねている。

現状のNeXXのエンジンは、ガソリンエンジンと同様の構造で動いている。
燃料は液体水素。排気量既定は3.0リッター。エンジン形式、気筒数に制約はないが
最高出力は800馬力以内と定められている。


1.アシュトンバーキン AMR-DB02H V12
イギリスの老舗スポーツカーメーカーのエンジンは、参戦6社中唯一のV12だ。
これは2013年のニュルブルクリンク24時間で、同社が初めて水素エンジンを
持ち込んだ時と同様だ(このときは水素とガソリンのバイフューエル。排気量は6.0
リッターだった)。特性としては超高速高回転型で、高速域のパワーは随一。半面
中低速トルクが不足しており、低速コースでは勝負にならなかったことも。
とはいえ1stシーズンのレッドブルをチームタイトルに導いたエンジンだ。
2ndシーズの供給先はレッドブルとクラークソンの2チームで変わらず。

2.スプレンダー GL102hy V10
オーストラリアの老舗プライベートビルダー。創始者はマーキュリー・チームの
TDを務めるG.ライフソン。厚みのある中低速トルクと高回転域のパワーを両立
させた、高次元でバランスのとれたエンジンだ。最高出力ではアシュトンにやや
劣るものの、V10にしてはコンパクトなエンジンはマシンの軽量化にも貢献する。
バトラーのタイトル獲得に貢献し、マーキュリー、ノルディックがチームランキング
2、3位となった1stシーズンは、マニュファクチャラーズタイトルを獲得した。
今季もマーキュリー、エヴァー・グラハム、ノルディックの3チームに供給。

3.DMW 82H30 V10
ドイツの老舗は自らをクルマ屋ではなく、『エンジン屋』と自称する。2017年の
ダボス会議における『水素評議会』の結成メンバーだ。エンジン形式はV10を採用。
スプレンダー同様に、高速域のパワーと中低速域のトルクの厚みを両立させた
ハイクオリティなV10だ。シャシーを選ばず良績を残しており、シグマテックと
レラ両方のシャシーで勝利をあげた唯一のメーカーだ。1stシーズンはランキング
3位。最終戦でアシュトンに逆転され2位から転落する。今季はマニュファクチャラ
ーズタイトルを狙う。供給先はアブラモビッチ、チャイナドラゴン、SLOの
3チームでこちらも変わらず。

4.ピジョン A4/H V8
フランスの雄は、『水素評議会』結成メンバーであるトタルとともに水素エンジン
開発を進めてきた。コンパクトなV8はパワーで劣るものの、中低速域のトルクに
優れピックアップの良いエンジンだ。しかし、レラシャシーとの合いが悪く、プルト
チームは苦戦を強いられた。ただ、シグマテックシャシーとの相性は悪くなく、
開発が進んだ第16戦日本GPで優勝を飾る。しかしタイトル争いはランキング
最下位に。しかもカムイに僅か1ポイント上回られての最下位だった。2ndシーズン
での巻き返しに期待だ。プルトンとロムニ・ダキアの2チームに加え、今季からは
新規参戦のガジャックにも供給する。

5.カムイ KRJ02 V8
日本から参戦するプライベーター。日本の大企業グループ『神コーポレーション』が
バックアップする。1stシーズン参戦5社中最軽量のV8は非常にコンパクトで
マシンの軽量化、低重心化に大きく貢献する。エンジンとしての出来はよく、全速度域
に満遍なく対応できるポリバレント性を持つ。それが故に大きなストロングポイント
が見当たらないのが弱点。レラシャシーとは合いが良く、中低速サーキットで2勝を
あげる。2ndシーズンも引き続きトライアンフとリナルディの2チームに供給。

6.シェブロン B2H8 V8
2ndシーズンより新規参戦のアメリカの雄。インディカーでは長くサプライヤー
を務める老舗だ。インディカーでは長くV8ターボで戦ってきたが、NeXXでは
現在水素燃料の過給機は開発段階のため、自然吸気V8で勝負する。エンジンの実力
は未知数だが、オーバルから市街地まであらゆる条件で戦ってきたアメリカの雄は
間違いなく戦えるエンジンを仕上げてくるはず。参戦初年度は新規参戦のアント
ネッティの他、ドバイのマルドゥークにも供給する。


以上、2ndシーズンは2社のシャシーデベロッパーと6社のエンジンサプライヤー
でチャンピオンシップが争われることになる。各々のパッケージによって、マシンの
正確は千差万別であることは、今シーズンの戦いで明らかになった。
そして来季はシャシー、エンジンともに各車とも大きく改良を加えてくるはずである。
引き続き来季の戦いに注目だ。

 

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◆チームトピックス

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・ニニアディスには2年後の復帰を期待。今季は中堅二人で戦うリナルディ
 2ndシーズンに向け、ドライバーラインナップを一新したリナルディ。しかし
 首脳陣は、1stシーズンにドライブした二人のうち、ギリシャ人ドライバー
 イオリディス・ニニアディスには近い将来の復帰を期待してる。ニニアディスは
 1年前までF2を戦っていたが、今シーズンのNeXXを経て再びF2へと戻ること
 になる。予算規模を絞っての参戦となったリナルディチームは12チーム中ラン
 キング最下位で初年度を終えたが、そんな中二度の6位を含む4度の入賞を記録。
 入賞回数でチームメイトのジョバナルディには及ばなかったものの、獲得ポイント
 は24ポイントでチームメイトを上回った。また第12戦ルーマニアでは予選5番手
 につけ、リナルディチームの予選最上位を記録。粗さやムラも目立ったものの、
 速さの片鱗を見せた。来季からF2へ戻るニニアディスは、リナルディチームの
 オーナー企業でもある世界的パスタメーカーの支援を受けて来シーズンのF2
 を戦うようだ。レース界でも珍しいギリシャ人ドライバーであるうえ、来年24歳の
 若者にはまだまだ伸びしろもある。数年後にまた、このNeXXで彼を見られるよう
 来季のF2での活躍に期待したい。また来季チームはポルボローネシエナという、
 F1経験のある中堅クラスのイタリア人2人を起用。参戦チームも3つ増える。
 来季は最下位脱出を図りたい。


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・クラークソンがチーム独自のドライバーペナルティリストを作成
 クラークソン&メイ・ハモンド・レーシング(以下クラークソン)のチーム代表
 ジェレミー・クラークソンが、チームの所属ドライバーに対しチーム規律を乱したり
 チームに不利益を与える行為をした際の、チーム独自のペナルティリストを作成した
 と、公式プレスリリースを発行した。クラークソン代表は「ドライバーは孤高の
 存在か? 彼ら本人はそう思っているかもしれないが、我々はチームで仕事をして
 いる。ドライバーにもチームのために守らねばならない規則があって当然だ。」
 と語り、リストの項目に抵触した場合は所属ドライバーから罰金を徴収するらしい。
 これは表向きには対象を「所属ドライバー」とぼやかしているものの、直接の対象
 はファングであることは明らかだ。目の覚めるような速さで2勝をあげた1st
 シーズンのファングだが、その自由すぎる行動にチームが手を焼いていたのも事実。
 第10戦スウェーデンの決勝レースで、低速コースでのマシンの戦闘力があまりに
 低く戦意を喪失した彼が、勝手にピットインしたうえマシンを降りてリタイヤした
 事件はあまりに有名だ。それ以外でも金曜のフリー走行でセッション中に30分以上
 姿をくらまし、モーターホームの陰でファンの女性と事に及んでいたところを
 チームスタッフに発見されるといったことが、幾度かあったとの噂もある。
 「あいつはちょっと自由すぎるんだ、生まれてきた時代を間違えたことは同情に
 値するが、チームの規律を乱されるのは困る。この私がそんなことを気にかけなけ 
 ればならないなんて。。。」破天荒でならしてきたTVスターを悩ませるほどの
 破天荒さを発揮したファング、来季はもっとレースにぶつけてほしいものである。

 

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・ペナルティを食うごとに罰金? 『逆出来高制』を課されたファーシマス
 クラークソンが、所属ドライバーに対するチーム独自のペナルティリストを作成
 したが、ロムニ・ダキアでも同じような事態が起こっていたようだ。ただしこちらは
 「所属ドライバー」にではなく、「アレオ・ファーシマス」に対し、と対象が明示
 されている。今季、度重なる接触事故で4度のペナルティ、3レースの出場停止処分
 を受けたことを重く見たチームは、来季ファーシマスに対し独自の罰金制度を策定。
 契約更新時にこれを提示されたファーシマスは、しぶしぶ同意したという。
 ペナルティは接触事故の場合に限定されているとのことだが、FNOから公式に
 ペナルティが課されるたびにFNO側の処分とは別にチームに罰金を支払わなければ
 ならないことになっており、支払い額はペナルティを課される度倍額に膨れ上がる
 ルールだという。「確かに今季僕は事故が多かったけれど、上位を狙うためには
 リスクを冒さなければならないし、慎重に走るのは僕の性に合わないんだ。でも
 この契約を飲まなければシートを失いかねないからね、しょうがないよ。」と語る
 ファーシマス。「でも来季は少し気を付けながら走るよ。チームのへ罰金が僕の
 サラリーを上回ってしまったらシャレにならないからね。」光る速さは持っている
 だけに、荒さがなくなれば上位進出も可能だが、来季の走りに注目したい。

 

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・あの『クルマ好き』で有名な世界的アクションスターがオーナーに!?
 中国・珠海に本拠を置くチャイナドラゴンチームのオーナーに、香港出身の世界的
 アクションスター、ジャッキー・チュン氏(無天老師様ではない)が名を連ねる
 ことになりそうだ。ジャッキーと親交のある現オーナー李舜英は、チーム体制、主に
 財政基盤の強化とチームイメージの拡散を企図し、ジャッキーを共同オーナーに
 招き入れるとしている。ジャッキーのクルマ好き、レース好きは有名で、現在
 WEC(世界耐久選手権)とアジアン・ルマンシリーズには『ジャッキー・チュン
 DCレーシング』というチームを率いて参戦しているが、NeXXに参戦する
 中国系チームをサポートしたいとのことでジャッキー側が直接、李舜英へと話しを
 持ち掛けたという。実現した場合のジャッキーの立ち位置は李との共同オーナーで
 李は「ジャッキーは言わずと知れた世界的スターだからね。チームのブランド
 イメージへの影響は計り知れないよ。また現状我々は中国系のスポンサーばかりと
 パートナー シップを結んでいるが、ジャッキーが入ることによりそれもグローバル
 化が図れると期待している。我々は中国のチームであることを誇りに思っているし、
 自国の企業とともに成長したいと思っている。しかし、常に世界を見ることも忘れて
 はならない」と語る。この共同オーナー構想はかなり具体的な提案がなされる段階
 まで進んでおり 早ければ2ndシーズンの途中には体制変更の発表があるかも
 しれない。

 

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・ハイデンフェルド「ノルディックのマシンはグッドバランス」
 来季の2ndドライバーに、F1ザ○バーチームなどで活躍したドイツ人、ミック・
 ハイデンフェルドを起用したノルディック。今季チームタイトルを逃した要因として
 後半戦に大失速したデイヴィス・リンドホルムを放出したチームは、安定して力を
 発揮できるドライバーとして実力派と名高いハイデンフェルドに白羽の矢を立てた。
 そのハイデンフェルドはシーズンオフ入り直後のプライベートテストで早速マシンを
 ドライブ、シグマテック+スプレンダーの最強パッケージともいえるノルディックの
 マシンに太鼓判を押した。「最初に乗った時からフィーリングはとてもよかったよ。
 マシンには変なクセがないし、エンジンもよく吹ける。低速コーナーで少しフロント
 が抜けるような感覚もあったけど概ね問題ない、グッドバランスだ。」と語る。
 チームにもすぐに溶け込んだ様子で「チチ(ソルベルグ)やミコ(ハンクネン)など
 F1で見知った顔がいるのもやりやすいね。それにチームは北欧出身者が多いけど
 ドイツ人もいるんだよ。僕のエンジニアチームはエンジン担当がドイツ人なんだ。
 細かいニュアンスもきっちり拾ってくれるし、彼は昨季までF1メル○デスチーム
 にいたそうなんだよ。チチが僕のために気を使ってくれたのかな(笑)。」チームの
 オーガナイズについても好印象を抱いているようだ。「ケリーはとても速いドライ
 バーだけど僕も負けられないよ、F1では優勝できなかったけどNeXXでは勝ち
 たいね。」『クイック・ミック』は静かに闘志を燃やす。


□次回はいよいよ『開幕直前号』だ!
 いまだ未発表のガジャックのドライバー陣容含め、全チームの体制紹介や
 2ndシーズンからの新レギュレーションなど、開幕直前の情報を一挙お届け! 
 お楽しみに!!