☆ぽんつかのあたまんなか☆

◆ぽんつかの妄想から生まれた架空のレースカテゴリ  ・現代のF1に限界を感じたぽんつかが、F1でもない、インディでもない   フォーミュラeでもない架空のカテゴリを構想☆  ・独自開発による『すごろく式PC上ボードゲーム』としてレースを展開☆  ・それをただただ何シーズンもプレイしてセカイを構築してゆくだけの   旧究極の一人遊び☆  そのプレイ記事、レース経過・結果、シーズン総括などを載せてゆく。  それだけ!!(byケロちゃん)

NEXXTREAM PRESS 「2ndシーズン開幕号」

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◆シーズン開幕号

12チーム24台が選手権を戦った昨季から3チームが新たに加わり、30チーム
15台での激戦となる2ndシーズンのNeXX。これまで本誌では昨季オフから
年明け、そして開幕直前とチーム・ドライバーをはじめNeXXを取り巻く状況を
つぶさにお伝えしてきた。そして今号は、いよいよ開幕した2ndシーズンの進行
状況にあわせ、現在の選手権の模様ほか様々な情報を「シーズン開幕号」と銘打って
お伝えしていく。
ハイレベルのコンペティションの構築・確立とともに、環境負荷の少ない持続可能な
技術を開発・確立、そして駆使し自動車産業を「意義あるもの」として未来へ継承
させるべく始まったNeXXは、激しい戦いの一方で様々な新技術を生み出し、
これからも時代とともに変容してゆくだろう。近い将来にまたNeXXの技術規則を
大きく変えるであろう技術も生まれつつある。
今号では選手権の熱い戦いと、一方で行われている未来に向けた技術開発についても
紹介してゆく。ぜひお楽しみいただきたい。

■レースリポート
◇開幕戦 オーストラリアGP

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今季も開幕戦の舞台となったのはオーストラリア、サーファーズパラダイス市街地
コースだ。今季から3チームが新規参入、15チーム30台で争われることとなった
NeXX。そしてこの開幕戦では、そのニューカマーがビッグサプライズを演じた。
予選PPはなんと、新規参戦のアントネッティのロッソが獲得。バトラー、日向、
バーンズといった実力者が続く。その一方でピットブルのNo.2、実力者マイネが
予選落ちを喫する波乱の予選となる。ロッソは決勝でも速さを見せスタートから頭一つ
飛び出すも、直後に多重クラッシュが発生しセーフティカーが出動する展開に。
昨季王者バトラー、日本期待の日向が追走する展開も、昨季終盤にデビューした
中国人ドライバー宋昇龍が速さを見せ、レース中盤には2番手へ浮上する。
ラスムッセン、バトラーといった昨季選手権を争った実力者達を置き去りにし
快走を見せたロッソは、1度目のタイヤ交換で3番手にポジションを下げた以外は
終始トップを独走。終盤宋に差を詰められたもののトップを守り切り優勝。
なんと新参チームがデビュー戦でポールトゥウィンを達成してしまった。
2位の宋はデビュー4戦目にして初の表彰台と、高いポテンシャルを見せつけた。
ラスムッセンが3位、バトラーは5位と、昨季の主役は脇へと追いやられた開幕戦。
新たな展開の幕開けを予感させる、波乱含みの開幕戦となった。

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◇第2戦 インドネシアGP

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波乱の開幕戦に続き、第2戦インドネシアも波乱の展開となった。予選では1時間以上
も大雨が降り止まず、セッション開始を1時間遅らせたにも関わらずコンディション
は改善せず。大雨のなか行われた予選では、新規参入のマルドゥークの2台が揃って
予選落ちを喫した。PPは昨季とはうって変わって開幕から好調のバーンズ。スタート
も混乱なく、スムーズに飛び出したバーンズはしばしトップを行く。しかし1度目の
タイヤ交換をハードで引っ張った11番手スタートのラムダが、ソフトに履き替え
猛然とペースアップ。バーンズからトップを奪う。しかし、途中セーフティカーの出動
でタイヤを温存できたバーンズは、オールソフト作戦で終盤戦での巻き返しを
狙っていた。ラムダの後ろにはライバルファングがつけ、バーンズは3番手。開幕戦で
予選落ちの屈辱を味わったマイネが4番手と続く。バトラーは今回も精彩を欠き、
5番手に沈んでいた。しかしレースも最終盤に入った時点で、突然のスコール襲来。
全車泡を食ってピットインし、レインタイヤに履き替える。すでに2度のタイヤ交換を
済ませていたバーンズは、完全に計算が狂ってしまった。快晴で幕を開けたレースは
予想だにしなかったウォータースクリーンバトルで幕を閉じる。天候を味方につけた
ラムダが優勝し2位ファング、3位バトラー、5位日向と、雨を得意とする面々が
最終的には上位を独占。PPのバーンズは6位に終わった。

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◇第3戦 ドバイGP

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第3戦の舞台は中東、今季から新規参戦のマルドゥークチームの本拠地である
ドバイだ。今季は開幕から2戦とも何かと雨に祟られてきたNeXXだが、第3戦の
舞台は砂漠の国。今季初めて予選から決勝の全セッションが、ドライコンディションで
行われた。予選は前戦の覇者ラムダがPP、フロントローにはポルボローネが並んだ。
また今回の予選ではマルケーナス、リンドホルム、ファング、日向の実力者4名が
予選落ち。改めて予選の厳しさが浮き彫りになった。決勝は午後7時スタートの
ナイトセッション。ラムダが引っ張りラ・ポルタ、ラスムッセンといったあたりが
追いかける展開となる。また、開幕戦の覇者ロッソ、ペナルティによる出場停止明け
のセプターなどが追い上げる。レースはセーフティカーが3度出動する荒れた展開。
そんななかラムダはいずれのタイミングもリスタートで失敗、レース中盤には
セプターにとトップを明け渡す。レース終盤はセプター、ロッソ、ラムダが優勝圏内
を争う展開となったが、のこり2ターンというところでラムダのミッションがブロー。
リタイヤしたラムダに代わって、後半大きくペースアップしたバトラーがファステスト
連発で2位に浮上する。しかしレースはセプターがトップを守り切り優勝。2位
バトラー、3位ロッソ。4位にラスムッセンが続き、リナルディが6、7位とW入賞
を果たした。

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■テストリポート

開幕から2戦を消化し終えた3月第4週、2ndシーズンを戦う全チームはフランスに
集結していた。今季初の全チーム合同テストに参加する為である。マシンもエンジンも
カスタマー運用であるNeXXは、それぞれ購入後のチーム独自での開発は認められて
いるものの、マシンに関しては形状が大きく変わるような、エンジンについては大きく
出力アップにつながるようなアップデートをチームが施すことは、レギュレーションで
禁止されている。チームが許されているのは各パーツの信頼性向上を目的とした
アップデートが基本であり、マシンやエンジンの性能にかかわるような大きなアップ
デートを施せるのは各メーカーだ。
またNeXXではシーズン中のプライベートテストを全面的に禁止しているため、
アップデートの効果を検証する機会も決して多くはない。具体体に挙げるならば、
各GPで設けられている計3回のフリー走行と、年3回設けられているこの全チーム
合同テストだけだ。そういった意味で日ごろの開発の成果を確認し、トラブルシュート
をする重要な機会であり、メーカー同席のもとメーカーの施したアップデートを試し、
データを積み上げて長いシーズンを戦い抜くうえで、合同テストは各チームにとって
最重要のミッションなのである。

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★ポールリカール・サーキット全景

今季の合同テストは昨季同様3回組まれており、第1回はフランスのポールリカール、
第2回は5月の第2週にポルトガルエストリル、そして8月の第3周にドイツの
ホッケンハイムで3回目の合同テストが予定されている。2ndシーズン最初となる
今回は、ポールリカールで行われた。
プロヴァンス地方の中心都市マルセイユから東に40kmの地点にあるポールリカール
は、NeXXをはじめF1ほか様々なレースが行われているが、以前はテスト専用
サーキットとしてF1最高責任者であったバーニー・エクレストンが所有していた。
1970年開設のオールドコースだが、サーキットデザイナーのヘルマン・ティルケ
によって大規模な改修が施され、2002年にハイテク・テストトラックとして
生まれ変わった経緯を持つ。コースは1970年開設当時のレイアウトを元にしている
が本コースの内外にいくつものサブコースが張り巡らされ、様々なレイアウトに変更が
可能。人工的にウェットコンディションを再現するための散水装置まである。
今回は実際にNeXXのフランスGPでも使用されるロングディスタンスのレイアウト
に加え、「ミストラル」と呼ばれる1.8kmのバックストレッチの途中にシケイン
を追加した、F1で採用されるレイアウトで行われた。テストセッションは火・水・木
と3日間行われ、各チームとも精力的にロングディスタンスの走行をこなした。
またお抱えのリザーブドライバーを帯同させるチームもあり、ピットブルや
トライアンフなどはテストプログラムのメインを、リザーブドライバーがこなした。
その中で光る走りを見せたのがピットブルのボナパルトである。ボナパルト
ピットブルの長距離走行メニューの6割をこなし、セッション2日目にはトップタイム
をマークした。3日間のセッションで、ラップタイムトップ5に顔を出した
リザーブドライバーはボナパルトだけだった。全セッションの記録は以下の通り。

≪セッション別走行距離・タイムトップ5≫
◇1日目
<走行距離>             
1位:T.ヴィックス(プロトン)      379.73km   
2位:J.バロン(エヴァー・グラハム)   368.05km
3位:B.リヴィエール(マルドゥーク)   363.55km
4位:M.ボナパルト(ピットブル)     350.52km
5位:J.ノーデンバロウ(アントネッティ) 350.52km
<ラップタイム>
1位:A.バトラー(マーキュリー)     1:32:596
2位:B.リヴィエール(マルドゥーク)   1:32:789
3位:N.ラムダ(ピットブル)       1:33:214
4位:D.リンドホルム(アントネッティ)  1:33:691
5位:宋 昇龍(チャイナドラゴン)     1:33:887

◇2日目
<走行距離>
1位:A.サントス・フィリオ(SLO)   408.94km
2位:F.デ・ランジェリス(アブラモビッチ)381.55km
3位:C.エルドラード(チャイナドラゴン) 379.73km
4位:柴嵜 みのる(トライアンフ)     350.52km
5位:K.マルケーナス(マーキュリー)   348.64km
<ラップタイム>
1位:M.ボナパルト(ピットブル)     1:30:356
2位:A.ロッソ(アントネッティ)     1:30:761
3位:N.ラムダ(ピットブル)       1:31:475
4位:J.チャップマン(アブラモビッチ)  1:31:556
5位:A.ティルクム(クラークソン)    1:32:412

◇3日目
<走行距離>
1位:S.バロシュ(マーキュリー)     412.55km
2位:C.タンデイ(ガジャック)      379.73km
3位:M.ポルボローネ(リナルディ)    374.05km
4位:M.ボナパルト(ピットブル)     368.72km
5位:柴嵜 みのる(トライアンフ)     350.52km
<ラップタイム>
1位:A.ロッソ(アントネッティ)     1:29:639
2位:N.ラムダ(ピットブル)       1:30:356
3位:B.リヴィエール(マルドゥーク)   1:31:002
4位:J.グーデリアン(マルドゥーク)   1:31:256
5位:M.ボナパルト(ピットブル)     1:32:991

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★2日目のセッションで全体トップのタイムをマークしたM.ボナパルト


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パドックプレス

◇ピットブル、期待のフランス人ドライバーをテストで起用

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★ピットブルのリザーブドライバーM.ボナパルト ★ボナパルトはテストの間中、ラムダと
                         綿密なコミュニケーションをとっていた

第2戦インドネシア終了後、フランスはポールリカール・サーキットで行われた
全15チームの合同テスト。そこで昨季王者チームピットブルは、今季からリザーブ
ドライバー契約を結んだ期待のフランス人、ミシェル・ボナパルトを起用した。
F1では名門マ○ラーレンでデビュー、その後ルノ○に移籍し3年目を迎える今季。
フランス人王者誕生の期待を背負いF1を戦っているが、今季はやや精彩を欠いており
ルノ○との関係悪化も噂されるボナパルト。しかし、テストではF1でも定評のある
極めてスムーズなドライビングを随所に見せ、3日間のうち2日目ではなんと
全体トップのタイムをマーク。関係者を驚かせた。
今回のテストでは全走行距離の6割以上をボナパルトがこなしたピットブル。
ガレージではエースのラムダとコクピットにおさまったボナパルトが、綿密に言葉を
かわすシーンが見られた一方で、2ndドライバーのマイネは初日に200km
程度を走行したあとはブリーフィングに時間を費やし、3日目はサーキットにすら
現れなかった。このことからプレスの間では、ピットブルは来季2ndシートに
ボナパルトを採用するとの憶測が早くも流れている。
チームは昨季初年度の王者に輝き、セカンドシートに座るマイネも1勝をあげ
王座獲得に貢献したが、今季は開幕戦でまさかの予選落ちを経験したマイネ。
高速トラックでは速さを見せるものの、戦績のムラが大きく首脳陣の絶対的な信頼を
勝ち取るには至っていない感があるマイネ。昨季の「寡黙な功労者」も2シーズン目に
して早くも正念場を迎えたか?

トライアンフ、カジワラの後釜をピックアップか?
日本のレースファンの期待を一身に背負いNeXXを戦う、純和製チーム
トライアンフ。その2ndシートをめぐる動きが活発化している。
トライアンフチームは、もともとF1に参戦していた日本系チームのレラが
北海道の企業グループSJBとタッグを組んで参戦したF1ゆかりのチーム。
そしてその2ndシートにおさまるのが、F1時代からチームと苦楽を共にしてきた
日系アメリカ人ドライバーのジョー・S・カジワラだ。しかし、初年度では
No.1シートに座った日本人日向俊郎との戦績で大きく水をあけられ、日向が2勝を
含む103ポイントを獲得したのに対し、最高位5位を含むわずか4度の入賞で
20ポイントに終わったカジワラ。今季は早くも開幕戦で予選落ちを喫してしまった。
F1時代からカジワラの面倒を見てきたマネージャーの真田幸治も、カジワラの
活躍には満足しておらず、去就についてのプレスの問いには歯切れが悪い。
チームは現在イタリア人のカペロと日本人の柴嵜という2人のリザーブを抱えている。
しかもカペロは昨季2戦のみスポット参戦し、デビュー戦で9位入賞をはたしている。
今後のカジワラの戦績いかんでは、シーズン途中での交代もありうるかもしれない。
また、昨年エヴァー・グラハムから途中参戦し活躍、今季はクラークソンの
リザーブにおさまっている英国人のワーノックと、ジュニアフォーミュラ時代から
親交のある真田が接触したとの噂もあり、更にはF1でカムイチームから参戦していた
マイネを招聘するのではとの憶測も飛び交っている。2ndシーズンはまだまだ
序盤戦だが、3rdシーズンのシートをめぐるストーブリーグは、春から活発だ。

アブラモビッチオーナーが、ここまでの戦績に不満をあらわ
開幕から3戦を終え(ドバイ終了時点)、ここまでノーポイントに終わっている
アブラモビッチ。ポールリカールでの合同テストに姿を現したチームオーナーの
ロマン・アブラモビッチ氏は、チームの現状に不満があるとプレスに向け語った。
NeXX初年度の昨季から参戦しているチームは、昨季も前半戦で躓き苦戦。
しかし後半戦でロッソが1勝をあげ、チームとして117ポイントを獲得。
ランキング8位につけたアブラモビッチ。トラブル続きで苦戦した前半戦も
第2戦ではロッソ、グリエコがW入賞をはたし、第3戦ではロッソがPP獲得、
2位表彰台と光る活躍は見せていた。しかし、ドライバーを一新した今季はいまだ
1ポイントも獲得できていない。1stシートにおさまる英国人チャップマンは
第2戦では予選5番手と一発の速さは見せるものの確実性に乏しく、第3戦では
予選7番手のタイムをたたき出しながらも、第2戦で受けたグリッド降格ペナルティで
17番手スタートを余儀なくされた。また2ndシートのデ・ランジェリスは予選、
決勝とも目立った速さを見せられていない。また昨季テクニカルディレクターを務めた
ジョン・オクスレイド=ライアンがチームを去り、ロビー・ハーンが加入したことも
少なからず関係があるだろう。既存のエンジニアスタッフたちはチームに残留したため
体制に大きな変化はないものの、開発の方向性が大きく変わったことが序盤の苦戦の
原因とみる向きもある。「我々は今季体制を大きく変更した。ロビーはよくやって
くれている。二人のドライバーも、初年度ということを考えればここまでは
及第点だろうね。でも私が目指すのはもっと高みだよ。こんな成績では到底満足は
できない。時間は必要だ、しかし同時に結果も必要だ。」とプレスを前に語った
アブラモビッチ氏。これまでほとんどメディアに対して公式には発言をしてこなかった
アブラモビッチ氏が、このように語るのは異例のことだ。チームの強化には時間が
かかることを承知しつつも、結果が欲しいとはっきり口にしたアブラモビッチ氏。
ロビー・ハーンは、そして二人のドライバーたちは今季中に、オーナーの求める
一定の結果を残せるのだろうか?

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アブラモビッチ氏は我々プレスの前で今季の戦績への不満を吐露

プルトン、3rdシーズン以降のカムイエンジン搭載で合意か?

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★現在カムイとリナルディの2チームへエンジンを ★プルトンの大株主であるペトロナスはマレーシ
 供給している日本のカムイ            の石油企業だ      

マレーシアに本拠を置くアジア系チームプルトン。初年度、今季と2シーズンに
わたってフランスのピジョンエンジンを使用しているプルトンだが、ここにきて
日本のカムイエンジンと3rdシーズン以降の使用契約に合意をしたとの情報が
入ってきた。マレーシアの自動車メーカーであるプルトン、昨季オフの段階で本誌は
かねてから進んでいたプルトンとピジョンの業務提携がご破算になったとの情報を
掴み、親会社であるマレーシアの石油会社ペトロナスが、NeXXにおいての
ピジョンエンジンの使用に難色を示している旨を掲載したが、話はどうやら本誌の
推測した通りの展開で進んでいたようだ。現状NeXXのエンジンサプライヤー
それぞれが特定の燃料メーカーと一体で開発を進めており、ペトロナスを使用する
サプライヤーは現状カムイエンジンである。そのため、ピジョンを使用できない場合
プルトンが取り得る選択はカムイとの契約に絞られる。ペトロナスが他のエンジン
サプライヤーとの契約に変更する可能性も考えられたが、どうやら来季以降も
ペトロナスはひとまずカムイとの供給契約を変更しないようだ。
さすがにまだシーズン序盤のためペトロナス側からの公式発表はないが、カムイの
神麗華社長は「来季から供給先が1つ増えるかもしれません。現段階ではどことは
言えませんがアジア圏のモーターレースが今以上に活気づくことになるでしょう。」
と語った。昨季はピジョンエンジンのパワー不足に苦しめられ、今季も状況に劇的な
改善は見られないプルトン。トライアンフや、今季のリナルディの活躍を見る限り
では、エンジン変更が来季以降の成績向上に作用する可能性は大いにある。
ピジョンとの業務提携解消から降って涌いたエンジン変更話だが、災い転じて福と
なせるか。また日本のカムイエンジンが供給先を拡大するのは、我々日本のレース
ファンにとっても悦ばしいことだ。今後の展開に注目しよう。

◇ノルディック、第3戦ドバイでのハイデンフェルドへのペナルティに抗議
第3戦ドバイ、予選6番手の好位置からレースを進めたミック・ハイデンフェルドに
とっては結果的に「踏んだり蹴ったり」のレースとなった。一時は表彰台圏内の
3番手を走行しながら、度重なる接触事故の当事者認定を受け、あげくリタイヤして
しまったのである。ノルディックチームは、昨季2ndドライバーのリンドホルム
の後半戦での大失速が原因で、チームタイトルを逃してしまった。この教訓をいかす
為、今季はF1でも活躍したハイデンフェルドを招聘し、必勝態勢で臨んでいた。
そのハイデンフェルドも開幕戦、トラブルでリタイヤに終わったものの予選Q2では
いきなりトップタイムをマークし、最終的には9番手を獲得。第2戦は予選15番手
とふるわなかったものの、決勝では7位入賞をはたし早速その速さを発揮していた。
そして第3戦では3番手を走行、チームメイトのラスムッセンとのW表彰台も狙える
位置で走行を続けた。しかし、レース中盤で前方のラ・ポルタにオーバーテイク
仕掛けた際に2台は接触。応急修理のため21番手まで後退を余儀なくされた。
その後レーススチュワードに事故当事者認定されたハイデンフェルドは、10秒の
ペナルティストップを科されたうえ、さらに終盤発生した多重事故の当事者としても
認定され、第4戦の5グリッド降格ペナルティを科されリタイヤした。
それぞれの事故状況を改めて動画で確認したという、ノルディックのマネージャーで
F1王者経験者でもあるチチ・ソルベルグは「あんなペナルティはバカげている!」
と語気を荒げた。「ミックは何一つアンフェアなことなどしていない! 画像を見れば
判る。いずれの事故もミックは無理な動きなどしていないし、追抜きのセオリーに
則ったフェアなものだ! 2度目の接触は、相手のバロンの方がかぶせてきている。
あれはいずれもレーシングアクシデントだ! この件はFNOに厳重に抗議する!」
と息巻いた。確かに2度目の接触は追抜かれるバロンも体勢を崩しており、見方の
分かれそうな状況ではある。また2度目の事故は5台が絡む大事故のため、誰かに
責任を科さねばならないとのFNO側の思惑もあったかもしれない。それがビッグ
アクシデントにも関わらず、次戦の5グリッド降格という軽いペナルティで収まった
理由との見方も。当のハイデンフェルドは「ついてないね、ハードラックだ・・・」
とのみ語り、肩を落としてサーキットを後にした。

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★ハイデンフェルドへの度重なるペナルティについて不満を訴えるソルベルグ

アメリモータースポーツの雄デンプシーが第3のシャシーメーカー?
3rdシーズンに向けNeXXを統括するFNOは、第3のシャシーメーカーとの
契約を検討しているようだ。ここまでの2シーズンはフランスのシグマテックと、
日本のレラの2メーカーが参戦しているが、FNO側としては3社のコンペティション
が理想と考えているようである。FNOの運営統括部長を務める元F1世界王者の
デイトン・ビルは、ポールリカールのテストウィークに米国に渡りいくつかの交渉を
行った。今季からアメリカの名門アントネッティが参戦し、それにあたって第6の
エンジンメーカーシェブロンが参戦を開始したNeXX。それに伴い、北米企業の
さらなる参画を促すため交渉に赴いたようだ。米国はインディカーやNASCAR
等独自のモータースポーツ文化を育んできたレース大国。F1ではハ○スチームが活躍
し、毎年30万人以上の観客が訪れるインディ500は、1日の集客では世界最大を
誇るビッグイベントだ。そんな米国で今回は主にシャシーコンストラクターとの
交渉を持ったようで、元インディカードライバーの日本人タカ竹下がCEOを務める
ツウィスト社や、米国最大のレーシングカンパニー、デンプシー社等と交渉を持った。
なかでもデンプシーはNeXXに強い興味を示したようで、第3のシャシーメーカー
として3rdシーズン以降の参戦も有り得るとされる。「今回の訪米では様々な交渉を
行ったよ。今後のレース開催の継続とその場所や、メディアの放映権について
などね。シャシーサプライについても話をした。ビッグカンパニーのひとつが大きな
興味を示してくれたよ。」とはデイトン・ビルのコメントだ。仮にデンプシーの
参戦が決定すれば、NeXXはより激しコンペティションの舞台となるだろう。
デンプシーは長くインディカーに参戦し、最強を誇るビッグチーム。NASCAR
等にも参戦し、F1参戦歴もある。また、創始者のドジャー・デンプシーは先ごろ
インディアナポリス・モータースピードウェイのオーナーとなり、北米モーターレース
の象徴とも呼べる存在となっている。  

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★デンプシーは長らくインディカーで「最強」チ ★デンプシーチームの「御大」ドジャー・デンプシー
 ームとして君臨してきたビッグカンパニーだ   現在は一線を退いている。

◇リナルディ、第3戦ドバイのW入賞で今季の手ごたえつかむ
昨季はシーズン通して34ポイントの獲得にとどまり、全12チーム中最下位に
終わったリナルディが、第3戦ドバイで今季初入賞をはたし、今季の躍進に手ごたえ
をつかんだようだ。第3戦終了時点で14ポイント獲得でのランキング9位は、昨季を
上回る躍進を予感させる。オーナーのカルロ・バニラは「ミケーネもスティラノも、
本当によくやってくれた。昨季は限られた予算で運営した為、ドライバー二人も経験の
浅い若手を起用し、開発ペースも上がらなかった。しかし今季は我々を支援してくれる
ビッグスポンサーもついたし、F1経験者の二人をドライバーに迎えることができた。
第3戦のW入賞は望外だよ。」と語った。レラシャシーとカムイエンジンの相性の良さ
は昨季トライアンフが2勝をあげたことで証明されている。躍進できる下地はあった
わけだが、F1経験者を2名招聘できたことで第3戦ドバイではそのポテンシャルが
発揮された形となった。開幕戦で予選落ちの屈辱を味わったNo1.ポルボローネ
第3戦では予選フロントローを獲得し、その実力の一端を見せつけた。一方シエナ
3戦ともきっちり予選通過を果たし、決勝でも度々入賞圏内に顔を出している。
「今季はもう少しやれそうだね。彼ら二人ならそのうち、表彰台にも登ってくれる
んじゃないかと思っているよ。」と語るバニラ。F1では果たせなかった野望に
向けて、リナルディは邁進する。

◇新鋭3チームのここまで
2ndシーズンより新たに3チームが参戦し、全15チームで選手権が争われる
今季のNeXX。アメリカのレース一家が率いるアントネッティ、中東はドバイの
王家が率いるマルドゥーク、そして昨季NeXXに参戦した元ドライバーの立ち上げた
フランスのガジャックが新たに加わり、激戦が繰り広げられている。
とはいえ新参3チームは、昨季1シーズンを戦った12チームと比べ経験、そして
開発の積み上げがない分、アドバンテージの無い状況であることは否めない。
そんな状況でも、果敢に初めてのシーズンに漕ぎ出している3チーム。
ここまで3戦を消化し、各3チームの戦いぶりはどうなのか検証してみよう。

アントネッティオートスポーツ

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★開幕戦で1年生チームにデビューウィンをもたらしたA.ロッソ

新参チームとしてはこれ以上望むべくもない、最高のスタートを切ったのが
このアントネッティだ。なんと開幕戦で、エースドライバーのロッソが予選PP
そして決勝で優勝と、デビュー戦でポールトゥウインを達成したのである。
ロッソは昨年アブラモビッチで1勝をあげているし、インディカーでも活躍した
ドライバー。チームはといえばアメリカのレース一家が率いて、インディカー
もちろんフォーミュラEなどでも活躍するレースのプロ集団ではある。
しかし、開幕戦で新参チームが優勝を飾ろうとは、誰しもが予想していなかった。
ロッソは第3戦でも3位表彰台と活躍。早くも今季の「台風の目」となっている。
問題は2ndシートのリンドホルムがポイントを獲得できていないこと。
昨季ノルディックのタイトル逸の戦犯扱いをされたリンドホルムだが、このままでは
今季もまた評価を下げてしまいそうだ。とはいえ、チームとしてみれば望外の活躍。
「デキる転校生」が、クラス全員を慌てさせている状態だ。

・マルドゥーク・レーシング・ドバイ
ドバイ王家の率いるチームとして大きな注目を集めたが、ここまではやや
苦戦している印象だ。リヴィエールとグーデリアンという華のある二人を揃えたが
入賞圏内までもう一つというところ、中団でややもがいている状態だ。
二人のドライバーとも決勝では光る走りを見せるものの予選が今一つで、
なかなかタイムを伸ばせずに中団グリッドに埋没してしまう状況が続いており、
第2戦では早くも揃って予選落ちを経験している。前にさえ出られれば戦える二人
であるだけに、予選での活躍が今後重要になってくる。シェブロンエンジンも
アントネッティの優勝で戦闘力は証明済みだ。リヴィエール、グーデリアンの二人には
予選での上位進出を期待したい。

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★「華麗なるファイター」リヴィエールもやや精彩を欠いている

・ガジャック・ルルーシュ・スポール
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★第2戦では大雨の予選でセカンドローを奪取したカレッジ
「驚異の新人」と、関係者の評価はうなぎのぼりだ

昨季NeXXに参戦したイワン・ガジャックが立ち上げたチームだが、参戦発表の
タイミングが遅かった為、チーム体制がなかなか整わず苦戦が予想されていた。
また、オールフレンチを標榜したため、昨季低迷したピジョンエンジンを採用。
それも苦戦は免れないとの予想が大勢を占めた要因だろう。そう考えるとここまで
4ポイント獲得は予想を上回る活躍と言っていいだろう。
しかもタンデイ、カレッジそれぞれが入賞をはたしている。所属ドライバーが二人とも
ポイントを獲得しているのは、新参3チームのなかでこのガジャックだけだ。
タンデイは開幕戦こそ予選落ちを喫したものの、第2戦の予選Q1ではトップタイム
をマークするなど速さを見せ、第3戦で9位入賞。また一方のカレッジはここまで
全戦予選通過、第2戦インドネシアでは大雨の予選でセカンドロー4番手を獲得、
決勝ではこちらも9位入賞し、タンデイ同様2ポイントを獲得している。
タンデイのベテランらしい勝負強さと、若いカレッジの一発の速さがこのままうまく
機能すれば、上位進出も夢ではない。

という具合にそれぞれここまで明暗は分かれているが、3チームともポテンシャルを
存分に発揮していることに疑いの余地はない。しかもシーズンはまだ序盤、あと15戦
もあるのだ。それぞれさらなる躍進の可能性を大いに秘めている。既存の12チーム
もうかうかしてはいられない。やはり今季もNeXXは混戦模様だ。

◇e-fuel、再来季には実用化の見通し
現在NeXXは、液体水素燃料を使用した内燃機関によって動力を得るマシンを
競技車として使用している。そしてその液体水素燃料は、水を電気分解する事によって
得られる水素で作られているわけだが、現状この液体水素燃料を生成するには
あくまでも「燃料生成」を目的とした「燃料資源としての水」を調達している状況だ。
しかし、今後はその燃料生成について、大きな変革がもたらされることになる。
かねてから望まれていたエコ水素燃料「e-fuel」が、NeXXにおいて実用化される
ことがこのほどFNOから発表されたのだ。

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★2017年1月のダボス会議で発足した「水素評議会」


2017年1月に開催された世界経済フォーラム(通称ダボス会議)で発足した
水素評議会はこれまで「より環境に負荷をかけない液体水素燃料の開発」を進めて
きたが、ついにその実用化にこぎつけた。それが「e-fuel」である。
「e-fuel」は、燃料生成を目的とした水資源の調達はせず、産業レベルで発生した
「余剰水素」を二酸化炭素と合体させ、更に再生エネルギーを使用して生成する
究極の「エコ水素燃料」だ。これにより「自然エネルギーの使用」+「廃棄物再利用」
=「CO2排出0の完全エコ燃料」という構図が実現でき、カーボンニュートラル社会
の実現に向けて大きく前進するとともに、「環境負荷の無いモーターレーシング」の
実現にも大きく貢献することとなる。今後は実際のエンジン、マシンを使用した
燃焼テスト、耐久テスト、そして事故での安全性の検証などテストを重ね、4th
シーズンにはレース用燃料としての採用を目指すという。また、FNOは「e-fuel」
実用化後のエンジンのターボ化も検討しているという。

 

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■今季導入の予選新システムを徹底解説!!

今季NeXXでは、予選システムを大きく変更した。初年度の昨季は24人の
ドライバー全員が制限時間内に2度のタイムアタックを行い、速い方のタイムを採用
してグリッドが決められた。しかし今季は参戦台数が30台に増えたこともあり
予選をよりエキサイティングなセッションにするため、FNOは予選方式を大きく
したのだ。採用したのはF1をはじめとするFIAの多くの選手権で採用されている
ノックアウト方式。だが、参戦台数の多いNeXXでは、セッション数や使用する
タイヤに関するルールなど、独自のものが設定されている。ここでは、今季から
新採用の予選システムについて解説してゆく。

◇予選セッション
予選は全4セッションで行われる。

PQ(プレ・クオリファイ)
参加30台全車が1回アタックし、下位4台が予選落ちとなる。

Q1
予選通過26台が全車1回アタックし、上位16台がQ2へ進出。
Q1の結果により17番手~26番手までの順位が決定。

Q2
Q1上位16台が全車1回アタックし、さらに上位10台がQ3へ進出。
Q2の結果により11番手~16番手までの順位が決定。

Q3
残った10台で上位グリッドを争う。PP~10番手までの順位が決定。

◇タイヤ使用に関するルール
・予選で使用するタイヤはハード、ソフトそれぞれ1セットずつとする。
・予選で使用できるセッション数はハード、ソフトそれぞれ最大2セッションとする。
・決勝では、予選で使用したタイヤを必ず1セット使用しなければならない。
・ハード、ソフトの両方を予選で使用した場合、決勝使用のために選択できるセットに
 制限は設けないものとする(どちらを選んでも良い)。

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ここまでの予選はドライコンディションで行われたセッションが1回しかないため
なんとも言えないが、ここまで実力者の予選落ちが相次いでいるため、各車とも今後は
まずPQ突破のためよほど自信のある状態でなければ、全車ソフトでPQに挑む
だろう。そのうえで残りの3セッションを戦うわけだが、決勝で使うユーズドタイヤ
をハードにするか、ソフトにするかでQ1以降どのセッションにグリップの良い
ソフトを持ってくるかも、悩みどころになるはずだ。ヴァシュロン勢とすれば
予選はソフトで好タイムを目指したいものの、予選でソフトを酷使すると決勝での
タイヤ戦略にも影響する。一方でヨコスカ勢は、ソフトの耐久力が高いため決勝での
戦略に幅は出るが、ハードタイヤのグリップ力が劣るため予選での苦戦は免れない。
昨季は後方グリッドからの上位進出もしばしば見られたものの、やはり予選ポジション
が決勝レースに大きく影響するのは揺るがぬ事実だ。
第3戦ドバイでは今季初めて予選がドライで行われ、好位置から発進したリナルディ
の2台がW入賞を果たすなど、予選ポジションの重要さが改めて浮き彫りになった。
第4戦以降も、予選から激しい戦いが見られそうだ。

シャシーメーカー2社、新型は4thシーズンから

現在NeXXにシャシーを供給しているシグマテック、レラの2社は、現在の
コンセプトを一新した完全新型の投入を4thシーズンとすることで合意したと
FNOが公式発表した。昨季オフに会合を持ったFNO、シグマテック、レラの3者は
第2戦終了後、ポールリカールでのテストウィークにFIA本部のあるフランスは
パリで会合を持ち、この条件での合意に至ったという。会合にはFNO側からは
会長のラックス・ロズレイ、技術部長のコルトン・バーレイが出席し、シグマテック
CEOのビショップ・ミノー、レラの社長兼技術部長である森崎智恭が出席。
前述のとおり新型シャシー投入について昨オフに両メーカーと一度会合を持っていた
FNOはその際両メーカーには3rdシーズンに合わせて新型シャシーを用意するには
開発期間とデータが不足しているとの見解を示されていた。FNOとしては今季新たに
3チームの新規参入を容認したこともあり、3rdシーズンからの新型投入により
一度全チームの戦力のリセットを図りたいとの思惑があったが、両メーカーの見解は
前回の会合の時から変わらず。昨オフの会合での両メーカーからの提言を、FNO側が
受け入れた形となった。また、当初FNO側が見込んでいた第3のシャシーメーカー
の参入の可能性が4thシーズンにずれ込みそうな状況を鑑み、4thシーズンから
3社が足並みを揃えられるようFNO側が配慮したとの見方もある。
「今季の改良はうまく機能しています。第3戦でセプターが勝ってくれましたからね、
開発が進んでいることをいい形で証明してくれました。我々は確実にシグマテック
との差を縮められていると確信しています。しかし、今後のことを考えるとFNO側
が提示する予算に適合する開発ペースではやはり、シャシーコンセプトの刷新には
最短でも3シーズンの開発期間が必要だと考えます。ミノーさんともその点では
前回の会議の時に意見が一致していますし、そのときから現在まで互いの認識は
変わっていません。」とはレラの森崎氏。
両メーカーはそれぞれ初年度の昨季から、すでに新型シャシーの開発に着手しているが
来季もう1シーズン現行シャシーに細かな改良を加えた状態で使用し、4thシーズン
に新型を投入する。また新型と呼ばれるシャシーも基本的には現行のコンセプトに
基づいて開発されていると言われており、シャシー自体の持つ性格は基本的に
現行モデルのものを色濃く受け継いでいるといわれる。そのため、本当の意味での
「新型」が登場するのは6thシーズン以降だと予測する向きもある。
今回のデイトン・ビル運営統括部長の訪米でアメリカのデンプシーが第3のシャシー
メーカーとなることが確実視されているが、それも本来FNOは3rdシーズン
からの参入を思い描いていたため、参戦時期が後ろ倒しになったことで本当に4th
シーズンから第3のシャシーメーカーの参戦があるのか疑問視するジャーナリストも
少なくない。いずれにせよ新規参入があるかないかは別として、新型シャシーの投入は
最低でももう1年待たなければならないのは確実のようだ。

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★新型シャシの投入時期についての「トップ会談」に参加した
 レラ・エンジニアリング社長兼技術部長の森崎智恭氏


■中・南米ラウンド展望  

3戦が終了し3名のウィナーが誕生と、昨季同様混戦模様のNeXX。この後の
第4、5戦はブラジル、メキシコと中南米ラウンドへと入ってゆく。昨季はブラジル
ののちアルゼンチンへと転戦したNeXXだが、今季はアルゼンチンにかわって
F-1やフォーミュラEでも人気の高い、エルマノス。ロドリゲス・サーキットで
行われるメキシコGPがカレンダーインした。序盤戦の山場ともいえる中南米ラウンド
果たしてどのような展開になるのか?

◇第4戦ブラジルGP

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舞台は昨季と変わらず、サンパウロ市街地で行われる。今は亡きF-1王者
アイルトン・セナの出生地であるサンタナ地区で行われるこのレース。コースは
1周4kmちょっとのショートコースだが、長短3本のストレートがコースの2/3
を締めており、全開率の高いハイスピードコースだ。また最も長いホームストレートは
コンクリート舗装となっており、数ある市街地サーキットの中でもとりわけ路面の
ミューが低い難所だ。さらにこの時期のサンパウロはまとまった降雨もあり、気を
抜けないサーキットである。昨季はピットブルのマイネが予選PPを獲得、また
市街地コースを得意とするトライアンフのカジワラがフロントローにつけた。
しかし、ドライコンディションだった予選とはうって変わって、小雨のぱらつく
セミウェットでスタートした決勝は、雨の得意なマーキュリーのバトラーが優勝。
このレースでNeXX初優勝を飾った「魔術師」は、ここからチャンピオンロード
歩み始めた。今季もバトラーはここまで未勝利、連覇へ向けて初優勝を飾るのか?

◇第5戦メキシコGP

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昨季はオスカルガルベスで行われたアルゼンチンGPが第5戦だったが、今季は
中米メキシコで行われる。メキシコでのモータースポーツ人気は高く、近年はF-1や
フォーミュラEなどの世界選手権の舞台となっている。しかし今回、開催権料の高騰
が原因で今季のF-1のカレンダーから外れることが決まり、同時にNeXXの開催が
決定した。舞台となるエルマノス・ロドリゲスは1962年開設と古くからある
オールドコース。F-1は1992年まで開催され、その後20年以上の空白を経て
2015年にカレンダーに復帰していた。ヘルマン・ティルケの手によって改修が
施されたコースは、基本的にもともとのレイアウトを活かす形でリファインされたが、
最終コーナーの「ペラルタ」は従来のRの大きな右180度旋回の高速ターンから
大きな客席で囲われた低速テクニカルセクションへと変貌を遂げている。
また、サーキットのあるメキシコシティは標高2300mの高地にあり、空気が薄く
ダウンフォース量が減少するため特殊なセッティングが求められる。1990年代
以前は空気密度の薄さがエンジンパワーにも影響し、1km以上のロングストレート
での最高速が300km/hに届かないこともある特異なトラックだった。
改修前は路面の舗装が荒くバンピーなコースで有名だったが、2015年の改修で
舗装は全面的に改善された。しかし、周囲の環境がそうさせるのかダスティな路面は
相変わらずで、特にホームストレートではマシンが砂塵のごとき埃を巻き上げて
走行するシーンがよく見られる。NeXX初開催となるメキシコ、果たして
どんな戦いが見られるだろうか?


2ndシーズンもまだまだ始まったばかり。選手権は中南米ラウンド2戦を戦って
ようやく中盤戦、ヨーロッパを迎える。その後選手権はユーラシア大陸を横断して
アジアへ渡り、北米大陸で幕を閉じるのだ。ここまで3戦を消化した選手権だが
残りはあと15戦。まだまだ今後の展開の予測はつかない。
今季も文字通り世界を股にかけて行われるNeXX世界選手権、今後の展開から
目が離せない!!


★次号は「中南米ラウンド」、そして欧州戦線「西ヨーロッパラウンド」の特集
 をお届け。また、エストリルテストの模様も特集します。お楽しみに!!