☆ぽんつかのあたまんなか☆

◆ぽんつかの妄想から生まれた架空のレースカテゴリ  ・現代のF1に限界を感じたぽんつかが、F1でもない、インディでもない   フォーミュラeでもない架空のカテゴリを構想☆  ・独自開発による『すごろく式PC上ボードゲーム』としてレースを展開☆  ・それをただただ何シーズンもプレイしてセカイを構築してゆくだけの   旧究極の一人遊び☆  そのプレイ記事、レース経過・結果、シーズン総括などを載せてゆく。  それだけ!!(byケロちゃん)

NEXXTREAM PRESS 「シーズン最終戦号」

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◆シーズン最終戦

 

◇ついに王座決定! 激闘の2ndシーズンを振り返る!!

終戦アメリカGPの終了をもって、マーキュリーのアレックス・バトラーが2季連
続で王者に輝いたNeXX2ndシーズン。今季は第17戦を終えた段階で、ピット
ブルのニコ・ラムダが9ポイントリード。ラムダがバトラーに先着さえすれば初のタ
イトルはラムダのものとなる展開だったが、最終戦で強さを発揮したのは”魔術師”
バトラーだった。
「最終戦でPPを取られたのが痛かった。あれがなければ決勝のレース運びはもう少
し楽になっただろう。しかし彼(バトラー)は予選で最速を記録し、我々が敷いた包
囲網もくぐり抜け、しかもファステストラップまでも記録した。あのアイルランド
は最後の最後で完璧なレースをやってのけた、悔しいが脱帽だね。」とレース後、2
年連続でタイトルに届かなかったラムダはバトラーの戦いをたたえた。
一方レース後のバトラーは憔悴しきった表情で、しかし弱々しくも笑みを浮かべつつ
「キツかった。NeXXで走った中でもいちばんキツかった・・・。」とこぼした。
「序盤のパンクチャですべてのプランが狂ってしまった。予定よりもずっと早い段階
でタイヤ交換を強いられ、プッシュしつつもタイヤをケアしなければならないという
難しい状況に追い込まれた。最後のスティントをソフトで行くかどうかは賭けだった
んだ。ボナパルトが僕を抑えにくるのは承知の上だった。手こずったよ、抜けないと
思っていた。ボナパルトは僕以上にタイヤを労わりながら僕を抑え込んでいたんだね、
終盤に僕が彼を追い抜いた時彼は2回目のストップを済ませていなかった。驚異的だ
よ、もうダメかと思った。」とバトラーは語り、ピットブル勢との戦いは最後まで激
しいものだったと打ち明けた。

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終戦で逆転王座を射止めたバトラー。その表情からは
ピットブル勢との攻防が激戦だったことが読み取れる

ラムダの9ポイントリードで迎えた最終戦の舞台ロングビーチ、昨季とは違い相手有
利で最後の戦いに挑んだバトラー、しかしバトラーは予選でPPを獲得。これでPP
ポイント3を追加し、ラムダとの差を6ポイントに縮めて決勝に臨んだ。一方予選2
番手のラムダは、PPは奪われたものの何位であろうがバトラーに先着すれは良い。
後ろの3番手にはチームメイトのボナパルトがいる。ピットブルは総力戦でラムダの
初戴冠をアシストする作戦だった。しかしこの”何位であろうがバトラーに先着する”
ということの難しさを、ラムダはじめピットブル陣営は最終戦で思い知らされる。
「ミシェル(・ボナパルト)には感謝している。私の戦いに全面的に協力してくれた。
あのフランス人はタイヤの使い方が驚異的にうまい。ミシェルがバトラーの前に立て
ば彼が盾になる、作戦の趣旨は一貫してそうだった。彼はその通りの役割を完璧にこ
なしてくれたよ。彼は1セット目のソフトタイヤを9ターンもたせたんだ、まったく
信じられんよ。しかし我々はあの”小賢しいアイルランド人”に敗れたんだ。大した
”魔術師”だよ。」
「今季は序盤戦が全てだった。ギアボックスに問題を抱えていた私たちのクルマは、
信頼性が驚くほど低かった。3戦連続で同じトラブルでのリタイヤはバカげていた。
正直今季はタイトルに絡めないと思っていたよ。でもバトラーも完璧じゃなかった。
彼は一度調子を落とすと立て直すのに時間がかかるタイプのようだ。ギアボックスの
問題が解決してからは、彼とのギャップはどんどんと埋まっていったよ。しかし彼を
倒すのは一筋縄ではいかないな。彼は脆さの半面土壇場で驚異的な強さを見せる時が
ある。そういう、ある意味理屈では語れないものを持つ人間を相手にするのは、本当
につかれる。私は理屈で説明できないことが大嫌いなんだ(笑)。私は来季36歳に
なる、もうあまり時間もない。F1では3度王座を獲ったがここ(NeXX)ではそ
んな実績も関係ない。私は来季王座を獲るために全力で戦う。」と早くも来季の王座
奪還を、珍しく熱い口調で心に誓った。

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一方のラムダは王手をかけての最終戦だっただけに
悔しさをにじませた。来季は万全の体制での雪辱を誓う。


一方でラムダをアシストしたボナパルトにも思惑はある。「このチームはニコのチー
ムだ。F1での比類なき実績を携えてNo.1に迎えられ、2年連続でタイトル争い
をしている。来年僕はもう1年ニコのチームメイトとして戦える。学ぶべきところは
たくさんあるよ。もちろん近い将来僕がタイトルを獲るためにね。今季は6戦走った
けど手ごたえは得ている、予選で苦戦した箇所もあるが大きな問題じゃない。来季は
ニコから多くのものを学ぶ期間だと思っている。その上でまたチームがタイトルを獲
れたらいいね。」と穏やかな笑みで、不敵なビジョンを語った。

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今季終盤にNeXXデビューしたボナパルトの口からは、早くも
タイトルを狙う旨の発言が飛び出した。この6戦、特に最終戦
で見せた走りを見れば、”その”瞬間も遠くはないかもしれない。

今季のチャンピオンシップは序盤からバトラーが快進撃を見せた。新参チーム、アン
トネッティのロッソが優勝した開幕戦で5位入賞をはたすと、以降も5戦連続入賞。
第4、6戦で優勝し開幕戦から6戦で2勝、他2度の表彰台含み6戦連続入賞で、こ
の時点でランキング2位だったロッソに39ポイント差をつけバトラーはトップを独
走。第2戦で優勝しながらも6戦で4度のリタイヤを喫したラムダには、実に45ポ
イントの差をつけていた。それでもラムダがこの時点でランキング3位につけていた
のは、第6戦の2位表彰台と第3戦からの3戦連続PPのおかげだった。序盤ギアボ
ックスのトラブルに泣かされていたラムダは、決勝を走り切れないならせめて取れる
ポイントは獲って帰ろうと、予選に戦略の比重を置きチームの問題解決を待った。
そしてギアボックスの問題がクリアになってからはラムダが本来の強さを発揮する。
舞台は第6戦からヨーロッパに移っていたが第7戦から第12戦、ヨーロッパラウン
ドは事実上ラムダが征服した。第7、9戦と2勝をあげPPも2度獲得、一方第7戦
でリズムの狂ったバトラーは第12戦で3勝目をあげるも、この期間での表彰台はこ
れ1度きり。入賞も3度にとどまり、ランキングは第9戦でラムダに逆転を許す。第
12戦終了時点ではラムダ144ポイントに対しバトラーは136ポイント、一時期
バトラーに45ポイント差をつけられていたラムダの8ポイントリードに変わってい
た。
しかし選手権は全18戦の長丁場、このままの流れでいかないのがチャンピオンシッ
プだ。バトラーは第12戦の優勝で不調から脱しつつあった。対するラムダは第13
戦からややリズムを崩す。風の強いことで知られるアゼルバイジャンでピットブルの
マシンが大苦戦。このレースがNeXXデビュー戦となったボナパルト共々予選で下
位に沈み、ノーポイントでレースを終えてしまう。しかも今季は、いや今季もという
べきか、初勝利を記録した面々含め系10人のウィナーが誕生したNeXX、第13
戦からはラ・ポルタ、リンドホルム、グーデリアンという伏兵が次々と表彰台の頂点
に立ち、チャンピオンシップをかき回す。これにやや翻弄されたラムダ、そしてバト
ラーだったが、バトラーは終盤にきて予選で速さを見せ第14、15戦で連続PPを
獲得。市街地コースの予選で苦しんでいたピットブル勢を横目にポイントを伸ばし、
第16戦終了時点でなんとラムダを1ポイント上回り再びトップに返り咲くのだ。
ここで終わらないのが3度のF1王者ラムダ。第17戦ではラムダが底力を発揮し、
3番手スタートからの独走劇で優勝。ランキングでバトラーを9ポイント上回り、状
況としては逆王手の状態で最終戦へ。これで誰もが今季はラムダがタイトルを獲ると
思った。しかし、なんと最終戦の予選で劣勢のバトラーは、ラムダのタイムをわずか
に上回り今季3度目のPPを獲得するのだ。少しでもビハインドを縮めて決勝に臨み
たい、バトラーのタイトルへの強い執念が土壇場での3ポイントを引き寄せた。これ
でラムダとバトラーのポイント差は6。最終戦の決勝はPPのバトラーがラムダ、ボ
ナパルトの2台を従えてのスタートとなった。
終戦の決勝は波乱の展開。トップでスタートしたバトラーは序盤でタイヤがパンク
するトラブルに見舞われ、予定外のピットストップを強いられる。何位であろうがラ
ムダの後ろでフィニッシュすれば、その時点でラムダの王座が決まる。タイヤ交換で
トップを明け渡したバトラーは、束の間ピットブル勢に1-2走行をゆるす。マーキ
ュリー陣営はあせりの色を濃くする。しかしレースは地元アメリカのカジワラがエン
ジンブローでリタイヤし、セーフティカーが出動。このタイミングで最初のタイヤ交
換を行ったラムダが5番手にさがると、バトラーはトップに立ったボナパルトを驚異
的なラップタイムで追撃。8ターン目にボナパルトをかわしてトップに返り咲く。
タイヤ戦略の狂ったバトラーは2セット目のハードタイヤを限界まで引っ張り2度目
のピットイン。その間にピットブルはまたも1-2体制をとなるが、そんなバトラー
に報いるべくマーキュリーのピットクルーは2度目のタイヤ交換を快心のピット作業
で決め、バトラーをコースへ送り出す。ピットブルとしては3台のすぐうしろを走る
クラークソンのファングを間に挟みたかったが、バトラーはファングの前で復帰。こ
こからNeXX史上に残る王座をかけた激闘が展開される。
トップのラムダ、2番手のボナパルトはとにかく逃げる。そしてバトラーから2ター
ン遅れの19ターン目にラムダが2度目のピットイン、3番手でコース復帰する。こ
こで一時的にトップに立ったボナパルトが、バトラーの前に立ち塞がった。しかしバ
トラーが十分に熱の入ったソフトタイヤなのに対し、一方のボナパルトはガケを迎え
たハードタイヤ。明らかにペースの違う2台だが、ボナパルトは懸命に抑え込みラム
ダが追いついてくるのを待つ。しかしレースも残り5ターンというところでボナパル
トのタイヤはついに限界を迎えた、ボナパルトはラムダの接近を待たずしてバトラー
にトップを明け渡す。
前が空いてからのバトラーは速かった。ラムダも懸命に追撃をかけたが差は詰まらず。
結果2ndシーズンのタイトルはバトラーが最終戦優勝で手中に収めた。そしてドラ
イバーズ選手権で敗れはしたピットブルだが、2-3フィニッシュでこちらも堂々の
チームタイトル連覇を達成。激闘の2ndシーズンは今季もアメリカでその幕を閉じ
た。

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新たに3チームが加わり、計30台のエントリーとなった2ndシーズン。ノックア
ウト方式に変更された予選は、26台の決勝進出枠をめぐり熾烈な戦いが展開された。
先述の通り決勝では18戦で10人のGPウィナーが誕生し、うち6名が初勝利とい
う群雄割拠のシーズンだった。しかし、終わってみれば昨季以上にラムダvsバトラ
ーの対決図式が鮮明になったシーズンでもあった。昨季ラムダと同ポイントでランキ
ング3位に食い込んだノルディックのラスムッセンは、今季も3位だったもののシー
ズン通して未勝利におわり、ポイントでも大きく水をあけられた。
クラークソンのファングにしても、前半戦の絶好調がウソのように後半は鳴りを潜め
てしまった。しかし代わりにアントネッティやマルドゥークといった新規参戦チーム
が活躍。そして日本期待の日向俊郎がランキング4位に食い込んだ。NeXX参戦各
チームの戦力バランスが浮き彫りになってきた一方で、来季もまた今季同様の混戦模
様となることを予見させる要素がたくさんあった。
チーム力ではやはりピットブルとマーキュリーが2強、しかしそれに続くノルディッ
クやクラークソン、新参のアントネッティとマルドゥークもポテンシャルの高さを見
せつけた。また日向がランキング4位につけたトライアンフには来季、ピットブルで
ラムダの初代パートナーを務めたルドルフ・マイネが移籍する。来季も今季に劣らず
群雄割拠のチャンピオンシップになること間違いなしだ。2年連続、最終戦でドラマ
チックに王座が決定したNeXX、来季はバトラーが3連覇するのか、ラムダが悲願
の初戴冠を果たすのか、それとも・・・。2ndシーズンは終わったばかりだが、来
季への期待は高まるばかりだ。


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■レースリポート

◇第17戦 カナダGP エキシビジョンプレイス市街地サーキット

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PP:ゾルタン・ゲラ(ロムニ・ダキア

ロムニ・ダキアのゲラが初PPを獲得したカナダGPだが、注目はタイトル戦線のゆ
くえ。ポイントランキングは前戦日本でバトラーがラムダを、わずか1ポイント上回
りトップに返り咲いた。しかしこのレースラムダが3番手がスタートに対し、バトラ
ーは予選で11番手に沈む。レースはスタートでフロントローのゲラ、リヴィエール
の2台がモタついた隙を突きラムダがトップを奪ってからはラムダの独壇場。
序盤でセーフティカー出動が1度あったものの、それ以降はノーアクシデントで進み
最終的にはラムダが独走で優勝。今季4勝目をあげた。11番手スタートのバトラー
はそれでも猛烈な追い上げを見せたが2位ロッソにも届かず、辛うじて3位表彰台に
滑り込んだ。タイトル争い大詰めで勝負強さを見せたラムダ、これでポイントランキ
ングは再びラムダの9点リードに変わる。タイトル争いは今季も大接戦で最終戦まで
もつれ込んだ。

優勝:ニコ・ラムダ(ピットブル)
2位:アレンザンダー・ロッソ(アントネッティ
3位:アレックス・バトラー(マーキュリー)


◇第18戦 アメリカGP ロングビーチ市街地サーキット

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)

ラムダの9ポイントリードで迎えた最終戦。バトラーの逆転王座は難しい状況で迎え
たが、しかしバトラーは予選でPPを獲得。土壇場でポイント差を3詰めて決勝、ラ
ムダとの対決に臨んだ。レースはPPのバトラーがピットブル2台を従える形で進む
が、序盤でバトラーにパンクチャのトラブルが発生。バトラーは予定より早いタイヤ
交換を強いられる。一方のピットブルはボナパルト含め総力戦でラムダをアシスト。
ボナパルトは自身のタイヤ交換のタイミングを大きく遅らせ、バトラーの行く手を阻
む。しかしバトラーは自身の驚異的なタイヤマネジメント、そして2度目のタイヤ交
換での会心のピット作業もあり、終盤にはトップでレースを進める。一方、終盤新品
ソフトタイヤでの追撃を図ったラムダは、最終的にECUトラブルでパワーダウン。
結果ポイントでの劣勢、序盤のトラブルを跳ね返したバトラーがPP、FLまで獲得
して完全優勝。大逆転でタイトル連覇を決めた。チームタイトルは2-3フィニッシ
ュを決めたピットブルのものとなり、こちらも連覇となった。

優勝:アレックス・バトラー(マーキュリー)
2位:ニコ・ラムダ(ピットブル)
3位:ミシェル・ボナパルト(ピットブル)


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■NeXX Topix

◇ヨコスカ、来季用のハードタイヤのさらなる改良を検討?
                  ロングビーチでユーザーミーティングを開催

トライアンフやクラークソンなど6チームにタイヤを供給するヨコスカが、来季用の
ハードタイヤの改良についてユーザーと意見交換を行うため、最終戦の舞台ロングビ
ーチのパドックでミーティングを行った。
ヨコスカ勢は今季前半戦、ノックアウト方式の予選で大苦戦していたが、ユーザーの
求めもありハードタイヤのスプリント性能を向上させるために大幅な改良を実施。第
13戦アゼルバイジャンフリー走行から”改良ハードタイヤ”を投入していた。こ
の新ハードタイヤの投入後はヨコスカ勢の戦績は目に見えて改善され、日向やセプタ
ーといったそれまで下位に沈むことが多かった実力者たちが、軒並み予選で上位に食
い込むようになった。事実決勝でも新タイヤ投入初戦のアゼルバイジャンでは日向が
2位表彰台、プルトンのヴィックスが4位入賞。第16戦日本ではセプターが今季2
勝目をあげている。投入後の4戦で1勝をマークし、最大の懸案事項であった予選も
PPこそないものの日向はアゼルバイジャンフロントローを獲得。セプターは目に
見えてシングルグリッドが多くなり、プルトン勢やアブラモビッチ勢のパフォーマン
スも上がってきた。ヨコスカタイヤの戦闘力はこの新タイヤ投入で、スプリント性能
含め大きく改善されたといっていい。
来季に向けても好感触を得たヨコスカだが、さらなる性能向上を目指した開発体制も
準備しており、今回のミーティングではまたさらなる新タイヤを導入するか否か、チ
ームの意向を確認したようだ。ヨコスカの玉島裕久開発チーフは「新タイヤについて
ホッケンハイムのテストでも、アゼルバイジャンでも非常に好感触を得ていました。
各チームからも非常にいいフィードバックをもらえましたしね、よかったです。レー
スディスタンスに関してもトータルのライフの落ちは想定したほどではありませんで
したし、いわゆる”ガケ”に関しても各チーム許容範囲と考えているようですね。」
と話し、ひとまず改良新タイヤ投入は成功との見解を示した。一方で「決勝レースで
のソフトとの組み合わせで、トータルストラテジーとしてヴァシュロン勢と戦えるか
という点で、各チームがどう考えているのか聞きたかった。」とも語り、「ライフが
短いとはいえやはりヴァシュロンさんのソフトの性能はアドバンテージなんですよ。
だから各チームそれに対してどういう考え方でレース戦略を立てるかが、我々にとっ
ても重要でした。もしソフトに対してとか、新ハードに対しても上澄みを期待してい
るようなら考えないと。でもそうなると当然こちらの開発コストも上がるので、その
分も含めてヒアリングをしました。」とのこと。
「レースに対しても反応はとてもポジティブで、うちはレースによってはオールソフ
トでいける場所もあるし、戦略の幅は広い。とにかく予選が戦えるようになったこと
が各チームとも何よりも大きいとのことでした(笑)。」と語り、来季以降もひとま
ず現行タイヤの供給を続けるとした。
1stシーズンは18戦中6勝と健闘したが、今季は新タイヤ投入までは12戦2勝
と苦戦が続いたヨコスカ勢。新たな予選方式にも順応したタイヤで、来季はまたヴァ
シュロンに真っ向勝負を挑む。

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第13戦からヨコスカの持ち込んだ”改良ハードタイヤ”は各チームからも概ね好評だった。開発コスト
と性能の妥協点を見出したヨコスカは来季もこのタイヤを供給する。写真左は開発チーフの玉島氏


◇欧州にストリートレースを! コペンハーゲンが市街地開催に名乗り

5th、いや早ければ4thシーズンのカレンダーに、また新たな公道レースが加わ
るかもしれない。北欧の国デンマークが、首都コペンハーゲンでの市街地レース開催
を計画していると欧州有力各紙が報じた。開催が実現すれば第10戦スウェーデン
とって変わるか、あるいは第11戦チェコとの入れ替えで北欧2連戦となる可能性が
あるという。

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デンマークの首都コペンハーゲンは、スカンジナビア半島ユトランド半島の間にある
シェラン島の東端に位置する。歴史ある美しい町並みは「北欧のパリ」と形容される。

コペンハーゲンでの市街地レースの開催は2017年に計画が持ち上がり、2020
年のF1カレンダー入りを目指して進められていた。しかし、デンマーク人ドライバ
ーのケリー・ラスムッセンがF1からフェードアウトしその後の、当時のコロナウィ
ルスの世界的拡大も影響し開催計画は凍結状態だった。しかしラスムッセンのNeX
X進出、そしてNeXXでの活躍ぶりもあり開催計画が再浮上。今度はF1ではなく
NeXXの招致を目指し本格始動したようだ。
FNOの運営統括部長であるデイトン・ビルは「このデンマークGPの計画はコペン
ハーゲン側からアプローチがあった。しかも計画が持ち込まれた時点で、かなり練り
込まれたものであることがわかった。それもそうだろう、コペンハーゲンはかつてF
1を開催しようとしていたんだからね。F1との話し合いはかなり良いところまで行
っていたと思う。しかしラスムッセンがNeXXに転出し、北欧のチームも参戦して
いるとなれば彼らの興味がこちらに向くのも当然だろうね。現在スウェーデンGPが
我々のカレンダーにあるが、デンマークGP開催の可能性は低くはないよ。」と語り
コペンハーゲンのフランツ・ジェンセン市長をはじめ主催者側とも既に接触してい
ることを明かした。
デーンマークGP開催計画は元デンマーク政府の大臣ヘルグ・ツェンダーとサクソバ
ンクの元オーナー、ルース・シェーア・クリスチャンセンが策定。このふたりとコペ
ンハーゲン市長であるフランツ・ジェンセンが立ち上げた『デンマークGP組織員会』
を中心として計画は進められてきた。
「日本GPが終了した後、私はハーディー(・フラッシュ)とともにコペンハーゲン
に赴き、そこで市長らと話をしたよ。開催計画はかなり具体的なもので、すでにコー
スとして使用する区間の詳細な地図も見た。彼らは本気だったよ。計画はすでに開催
当日のタイムテーブルや、封鎖箇所含めた警備計画、そして重機やマーシャルの配置
まで策定されていたんだ。私は非常にポジティブな印象を受け取った、デンマーク
Pはすぐにでも開催できるとね。」とビル統括部長。
「開幕から2シーズンが経過したNeXXにおいて、デンマークをはじめとする北欧
諸国はすでに切り離すことのできないキーパーツだ。ラスムッセンはタイトル争いを
しているし、ノルディックチームも強豪と言っていい位置づけだからね。現在第10
戦としてスウェーデンGPを開催しているが、そこにデンマークGPが入る可能性は
大いにあるよ。スウェーデンと隔年でもいいし、スウェーデンの前後に加えて連戦に
してもいい。欧州ラウンドには市街地戦がひとつしかないから、実現すればカレンダ
ーとしても面白くなるんじゃないかな?」と語り、実現に向けての動きが積極的なも
のであることを匂わせた。

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FNO運営統括部長のデイトン・ビルは、比較的早い段階での
デンマークGPのカレンダー入りの可能性を示唆した。

実際のところ第10戦近辺は欧州ラウンドと呼ばれる期間に該当し、開催地候補も多
く調整は簡単にはいかないだろう。しかし、ビル統括部長の言葉通り北欧諸国は、既
にNeXXにおいて重要な国々となっている。北欧ゆかりのチーム、北欧出身のドラ
イバーの活躍は興行面にも大きく影響しており、スウェーデンGPは開幕から2年間
でのべ30万人以上の観客を動員しているのだ。1970年代にF1での自国ドライ
バーの死亡事故をうけてGP開催を封印してきたスウェーデンだが、自動車レースの
人気は相変わらず高いのが実情である。また、これもビル統括部長の言葉通り欧州ラ
ウンドに市街地レースが加わることは大きな魅力のひとつだ。今季のカレンダーでい
えば第4戦のブラジル以降は第12戦ルーマニアまで、パーマネントコースでのGP
が7戦続いた。これが4thシーズン以降になればルーマニアはドイツとの隔年開催
の可能性が高く、第13戦はアゼルバイジャンがカレンダーから消えカザフスタン
Pの開催が予定されているため、シーズンによってはまるまる市街地戦のない欧州ラ
ウンドが展開されることになる。そういった意味でもコペンハーゲンでのストリート
レースは、非常に大きな価値を持つ。今後の進展に注視して行こう。


エヴァー・グラハム、来季DMWエンジン搭載を発表!
              4thシーズンからの新パワーユニット時代を見据え

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スプレンダーとの2年間のパートナーシップに終止符を打ったエヴァー・グラハムは
DMWとの契約締結を発表。写真左はエヴァー・グラハムのオーナー兼監督、マーシュ
エヴァー、写真右はDMWの開発責任者タリオ・マイセン。

エヴァー・グラハムチームが、4thシーズンの新エンジンフォーマットの導入を待
たずして来季から、エンジンサプライヤーを変更する旨を発表した。最終戦アメリ
GPのパドックでプレスリリースが出され、金曜のフリー走行前に記者発表が行われ
た。発表によるとエヴァー・グラハムは、来季よりドイツのDMWとエンジン供給契
約を結んだという。会見にはチームオーナー兼監督のもとF1ドライバー、マーシュ
エヴァーとマネージャーのピーター・ウォーニングが姿を見せ、DMWのNeXX
用エンジン開発責任者、タリオ・マイセンの姿もあった。
エヴァー・グラハムはオーストラリア国籍のチームだ。チームはともに元F1ドライ
バーのマーシュ・エヴァーとデヴィッド・グラハムの共同経営で、2人ともオースト
ラリア人。開幕シーズンから2シーズン使用してきたスプレンダーエンジンも、オー
ストラリアのエンジンビルダーだ。エースドライバーにもオーストラリア人のアレン
・バーンズを起用しチームはナショナリズムを強調してきたが、ここに来てマシンの
心臓部であるエンジンを国外メーカーへと変更することになった。
会見に出席した共同オーナー兼監督のマーシュ・エヴァーは「今回、来季からDMW
との供給契約を締結できたことを非常に喜ばしく思う。同時に、これまでの2年間を
共に戦ったスプレンダーには大変感謝している。自国のメーカーとの契約を解消する
のは心苦しい限りではあったが、我々は来季以降をこのドイツの『老舗エンジン屋』
とともに戦うことを決めた。これはポジティブな選択であり、新フォーマットへの変
更を見据えたうえで重要な選択だった。」と語った。
「スプレンダーは現在間違いなくNeXX最強のエンジンだ。ピークパワーとトルク
のバランスがとてもよく、どんなコースでも最大限のパフォーマンスを発揮できてい
る。ただ我々は、そして我々のシャシーはそれを活かしきることが出来なかった。正
直レラシャシーとスプレンダーの組み合わせは我々以外に無いので比較対象がないの
が残念だが、レラシャシーにはスプレンダーエンジンはマッチしない。おそらくアシ
ュトンにしてもそうだろう。スプレンダーは高次元でバランスの取れたエンジンだが
やや大きく少しばかり重心が高い。コーナリングマシンには不向きなエンジンだった
と言える。その点レラシャシーで好成績をあげているのはカムイやDMWといった、
コンパクトでパッケージングユーティリティに優れたエンジンだ。シャシーを変える
かエンジンを変えるか、我々は難しい決断を迫られたが、DMWの新エンジンフォー
マットの方向性に賛同した我々は、レラシャシーにDMWのパッケージで来季以降戦
うことに決めたんだ。」とエンジン変更に至った経緯を説明した。
DMWのタリオ・マイセンは「今回エヴァー・グラハムチームとエンジン供給契約を
締結できたことは、我々にとっても非常にポジティブな出来事だ。我々は新フォーマ
ットに対してチャレンジングな開発体制を整えているし、チームはそれに賛同してく
れた。我々はこれから「運命共同体」になる、と言ったら大げさかな? 供給チーム
は他にもあるわけだからね。しかしどうだい?「グラハム・DMW」という響きには
何か運命めいたものを感じないかい? かつてF1で頂点に立ったパッケージが、こ
のNeXXで復活するんだ。我々だって胸の高鳴りを抑えられないよ。我々はエヴァ
ー・グラハムチームと新たなチャレンジに身を投じてゆくことを、大変嬉しく思って
いる。」と珍しく興奮気味に語った。
現状ほかのDMWユーザーからはエンジン変更の発表がないため、このままいけば来
季はエヴァー・グラハムの他アブラモビッチドラゴンフォース、SLOの計4チー
ムへの供給体制となるDMW。開幕から2シーズンはスプレンダー、アシュトンバー
金の後塵を拝してきただけに、これはマニュファクチャラータイトル獲得のためには
追い風だ。新エンジンフォーマットになる4thシーズンから同タイトルは廃止され
るため、DMWとしては是が非でもタイトルが欲しいところだろう。またエヴァー・
グラハム側としては、最強エンジンを搭載していながら2シーズン未だ未勝利という
ジレンマもあったかもしれない。テクニカルディレクターのフィル・デンハムなどは
スプレンダーが自国チームの自分たちより、タイトルに近いマーキュリー陣営のサポ
ートに比重を置いていると考えていたフシもある。そういったこともあり、今回チー
ムはこのタイミングでのエンジンチェンジに踏み切ったようだ。
タリオ・マイセンが語った通り、ここに1983年にF1ドライバーズ王座に輝いた
『グラハム・DMW』が復活した。しかも4thシーズンに投入予定のエンジンが直
列4気筒ターボとくれば、オールドファンならずともレースファンなら大きな期待を
寄せるところだ。しかし4thシーズンからはデンプシーがシャシーサプライヤー
して参戦、エンジンメーカーの参戦枠上限も撤廃され群雄割拠のシーズンが予想され
る。4thシーズンの覇権争いを見据えるエヴァー・グラハムはまず来季、これまで
の低迷を払しょくし4thシーズンへつながる活躍をしなければならない。来季のエ
ヴァー・グラハム・DMWの活躍に注目だ。

 

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■PADDOCK PRESS


◇シュトロゼック、ロムニ・ダキアの買収完了!
         来季のチーム名は『シュトロゼック・ロムニダキア・AS』!!

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ついにシュトロゼックのロムニ・ダキア買収が完了。これでシュトロゼックはトップ
フォーミュラでのタイトル獲得という野望への足掛かりを確保した。双方ともあくま
でも対等のパートナーシップである旨を強調するがはたして・・・

かねてから進行中だった、シュトロゼックによるロムニ・ダキアチームの買収手続き
がこのほど完了した。ドイツのタブロイド判全国紙ビルトをはじめガゼッタ、レキッ
プ、ムンド・デポルティーボといった各国のスポーツ専門紙が報じている。
1stシーズンより参戦していたルーマニアのプライベートチーム、ロムニ・ダキア
はチーム強化のため今季中盤ごろからシュトロゼック側との買収話を進めていた。昨
季は苦戦しながらも1勝をあげたが今季は低迷、今後のチーム運営体制の強化を目指
しビッグコンストラクターからの買収を受け入れた格好だ。一方のシュトロゼックも
総帥フランツ・ハイネル氏のトップフォーミュラでのタイトル獲得の野望実現のため
今季の早い段階でロムニ・ダキアチームの買収に動いていた。この買収話はシュトロ
ゼック側からロムニ・ダキア側に打診があり、ロムニ・ダキア側が容認するという展
開で進められていた。シーズン後半ごろからはレースウィークにシュトロゼック側が
度々パドックに姿を見せ、時にはロムニ・ダキアのモーターホームで会談に及ぶなど
し、両者の間で調整が進められてきた。
ビルト紙は「このほどシュトロゼックのハイネル代表と最終会談を持ちました。先に
お話しした通り、このビジネスは”パートナーシップ”という形で帰結しました。完
全買収ではありません。我々は来季以降、対等なパートナーとしてNeXXを戦って
ゆくことになります。素晴らしいパートナーを得て我々ロムニ・ダキアチームは幸せ
です。」というロムニ・ダキアのミルセア・トゥドール代表と、「我々シュトロゼッ
クにトップフォーミュラ進出の橋渡しをしてくれたFNOと、そして来季より共に戦
う最高のパートナー、ロムニ・ダキアチームそしてトゥドール代表に感謝します。我
々はともに与え、与えられの提携関係、つまりWin-Winの関係です。来季以降
の大いなる飛躍へ向け共に戦います。」というシュトロゼックのハイネル代表のコメ
ントを掲載した。
あくまでも対等の関係を強調した二人だが、一部情報ではシュトロゼック側がチーム
株式の過半数をすでに取得済みとの噂もあり、チーム運営についてのシュトロゼック
側の発言権はかなり大きくなると見られている。「新チーム名は?」との記者の問い
に二人の代表は声を揃えて「シュトロゼック・ロムニダキア」と答えたとのことだが
両者の名前の配置からもそのことが読み取れる。
ルーマニアの実業家が立ち上げたチームはル〇ーにゆかりの深いF1関係者で首脳陣
を組織したが、にわか作りの混成部隊の感は否めずここまで苦戦。ビッグチームのノ
ウハウを取り入れるべくシュトロゼックとの提携に踏み切ったロムニ・ダキアだが、
一方のシュトロゼック側の腹の中は果たしてそれで満たされるのだろうか。メディア
の見方は”将来的な完全買収を見越しての第一段階”というのが大勢を占めている。
ロムニ・ダキアは自動車レース好きのトゥドール氏が、モーターレースで自国を盛り
上げたいとの熱意から立ち上がったチーム。おかげで初年度から開催されているルー
マニアGPも毎年大盛況を見せている。しかし、シュトロゼックとの提携でそのルー
マニアGPも4thシーズン以降はドイツGPとの隔年開催になる可能性が濃厚だ。
果たしてこの”提携”劇はロムニ・ダキアにとって良薬となり得るのか・・・
トゥドール氏の自国への想いが、チームの体制強化のための犠牲にならないことを願
うばかりだ。


◇クラークソン大幅な組織改革か? チーム首脳含め50人を解雇

1stシーズンから何かと話題を振りまいているクラークソンチームが、大規模な組
織改革を企図し人員の入れ替えを行ったようだ。ザ・サンやデイリーメールといった
イギリスのタブロイド紙などが報じている。
クラークソンは主にファクトリー勤務の約50人のエンジニア達と、チームに帯同す
るメカニック15人との契約を2ndシーズンをもって終了し、旧ル〇ーやレーシン
〇ポイントといったF1チームで働いた経験を持つエンジニアを新たに雇い入れたと
いう。この人員入れ替えを指揮したのが実質来季からチームマネージャーに就任する
スティラノ・ドミニコル。F1では〇ェラーリを率いてきた敏腕として知られ、やや
奔放と言わざるを得ないオーナーのジェレミー・クラークソン氏のチーム運営に対し
チームの行く末を案じた共同オーナーのジェームズ・メイ氏が招聘したと言われてい
る。
クラークソンは最終戦アメリカGP終了直後の12月第2日曜にファクトリー要員達
の契約更改を行い、ドミニコルが必要と判断した以外の面々に今季限りでの契約終了
を告げたと見られる。この一連の動きについてクラークソンチームのリチャード・デ
ヴィッズ監督は、「我々には来季に向けて大きな改革が必要だったんだ、チームがよ
り高いステージに上がるためには血の入れ替えが必要だったのさ。今回の人員整理は
それが目的だよ。」と語った。
「我々の仕事には様々なファクターにおいて精度が求められる。さらなる高みを目指
すために組織の”精度”をあげる必要があったんだよ。今季の成績を見てみるといい、
エースのファングは今季速さはあるものムラがあり、勝ちきれないうちに終わってし
まった。前半の好調が嘘のように後半失速してしまったのは、我々の開発に継続性と
精度が足りなかったからだ。2ndドライバーに関しては我々のサポート不足が大き
く影響したと思う。エンジニアリングの精度然り、チームのリレーション然りだ。そ
の辺を改革していかないと、我々は結局草レースチームの延長で終わっちまう。ジェ
レミー(・クラークソン)はまた厄介ごとをこさえたと悪態をつくだろうけどね、で
も我々だってただただ参加しているワケじゃない。ジェレミーだって勝ちたいはずな
んだ、だってこのままでは我々の活動はレースごっこで終わってしまうんだ。我々は
戦う集団にならなければいけないんだよ。ジェレミーは野望を持っているが残念なこ
とに実務的じゃない、野望の実現に必要な実務は俺たちに任せろってことだ。ジェー
ムズ(・メイ)がドミニコルを連れてきた時は「我が意を得たり」と思ったよ。」
クラークソンはNeXX参戦にあたって、オーナーのジェレミーらが最も親交のある
レース関係者でプロド〇イブの創設者でもあるリチャード・デヴィッズを監督に招聘
した。マネージャーにはいくつかのF1チームで要職を歴任したマット・ティモンズ
を据え、エイドリアン・オールドロードをテクニカルディレクターに起用。首脳陣の
名前を見る限りではチーム体制は盤石に見えた。しかし、肝心のオーナーのジェレミ
ーが奔放、放漫でチ―ムは方向性を見失い常にまとまりを欠いていたという。エース
のファングは度々レースでモチベーションを失い、チームに断りもなく自主的にリタ
イヤすることもあった。No.2ドライバーへのサポートが十分でなかったのもそこ
に原因があるという。マネージャーのティモンズも、チームの方向性に不安を感じシ
―ズン半ばに今季限りでの離脱を決めいていた。オーナーの性格を熟知していたデヴ
ィッズは、チーム発足当初は静観していたものの、2シーズンが経過してそろそろチ
ームの方向性についての確認が必要な時期だと悟ったという。

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かつてプ〇ドライブを創設しWRCを席捲したデヴィッズ監督も
クラークソンオーナーの放漫ぶりをついに見過ごせなくなったか。
大規模な組織改革を実行し、来季の飛躍を図る。

「実際にサーキットに来る連中もファクトリー組も、レース臨む個人の姿勢がバラバ
ラだった。本当に勝ちたいと思っている者もいれば、極端な話あくまでも道楽の延長
と捉えている者もいた。だからドミニコルが来た時ジェレミーを交えて今後のチーム
がどこを目指すのか、まず話し合ったんだ。もちろん共同オーナーであるジェームズ
リチャード(・ハモンド)もね。ジェレミーは当然勝ちたいと言った、チャンピオン
だって狙っていると言ったよ。私は「じゃあ今のままではダメだ」と言ってやった。
彼は渋ーい顔をしていたけどね(笑)。だから私はさらに言ってやったよ、「だった
ら俺たちに任せるんだ!」とね(笑笑)。そしてこうも言ってやった、「お前の戦友
であるジェームズがこの状況を見かねてギフトをよこしてくれた、それがドミニコル
だ。」と。ジェレミーは「ジェームズに助け舟を出されるとは・・・」とかなんとか
ブツクサ言っていたがね(爆)。ジェレミーは面白いヤツさ、カラダもデカいが野望
もデカい。だがヤツは野望を実現するためには実務が重要だということを知らないん
だ。あいつは今まで自分のやりたいようにやって夢を掴んできた男だからね。おっと
自分のチームのオーナーを捕まえて「あいつ」はまずいか(爆)。しかし、だからこ
そこのチームには我々がいるワケで、オーナーが本当に頂点を狙っているというなら
我々はそれに応えるためにあらゆる手を尽くさなければならない。今まではチームの
重要事項の決定権のほとんどはジェレミーにあった。まぁオーナーだから当然だな。
だが、ジェレミーに委ねるだけでは限界があることが、この2シーズンで解ったんだ
よ(笑)。さっきも言ったが、今回の人員整理はそんな”血の入れ替え”の一環なん
だよ。幸い我々には”デイヴィス・ファング”という掛け値なしの才能の持ち主がい
て、良いところを狙える要素が揃っている。オーナーにも勝つ気はある(笑)。じゃ
あそろそろ本気になろうぜってハナシさ。」とデヴィッズ監督は冗談を交えながらも
熱っぽく語ってくれた。

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来季クラークソンチームのマネージメントを担当するドミニコルは着任早々
チームの大改革に取り掛かっている。彼の"大ナタ”は吉と出るか凶と出るか・・・

1stシーズン、エースのファングは2勝をあげランキング4位に食い込んだが、2
ndドライバーの不調もありタイトルには手が届かなかったクラークソン。今季は前
半ファングが好調で表彰台の常連となるが、後半失速し結局未勝利。やはり2ndド
ライバーは低調なパフォーマンスで今季もピットブル、マーキュリー、ノルディック
の3強を崩せずにシーズンを終えた。そうして見ると確かに華々しい活躍はあったも
ののタイトルを狙えるチームという印象は薄く、さらにいえばこの2シーズンを通し
てタイトルを本気で狙っていたのかどうかも怪しいと言わざるを得ないのが実情だ。
もちろん参戦全チームが本気でタイトルを狙っているとは限らず、そうでなければな
らないというワケでもない。しかし、デヴィッズ監督が言ったようにタイトルを狙え
るファクターに恵まれ、ある程度結果も出し、更にはオーナー自身も嘘か誠かタイト
ルが欲しいと言う。今回の大がかりな人員整理劇は、理想と現実の整合性を取りつつ
さらなる高みを目指すチーム関係者の、切実な想いが顕れた結果だったというわけだ。
クラークソン問題と言えばとかくエースのファングの奔放な行動がピックアップされ
がちだが、本当に正されるべきはオーナーの姿勢かもしれない(笑)。「まあ見てい
てくれ、我々に任せてくれればチームはもっと飛躍する。それに来季には面白いサプ
ライズを用意できるかもしれないからね。」
インタビューに答えたデヴィッズ監督はサングラスの下で、不敵に眼を光らせていた
に違いない。


アブラモビッチのロビー・ハーンをマルドゥークが引き抜き!?

シーズンオフともなるとドライバーの移籍マーケットは活況を呈するが、何も活況な
移籍市場はドライバーだけではない。チーム関係者の移籍だって活発だ。これまで純
和製メンバーで戦ってきたトライアンフは、アメリカ出身の女性エンジニア、ミア・
ドーランをチームマネージャーに据え、シュトロゼックのロムニ・ダキア買収でチー
ムを離脱したシリル・テルアビブはプルトンチームのマネージャーにおさまった。そ
のシュトロゼックはといえばF1でメ〇セデスチームを率いたココ・フォルツを引き
入れ、クラークソンもかつてF1でフェラ〇リを率いたスティラノ・ドミニコルを招
聘。クラークソンを離脱したマット・ティモンズはSLOへと移籍した。
このように3シーズン目を迎えるとなると、各チームは組織再編を考えるものだ。し
かし今パドックでは、ひとりのエンジニアの移籍が物議を醸している。それが今季ア
ブラモビッチのテクニカルディレクターに就任したばかりのロビー・ハーンのマルド
ゥーク移籍である。
アブラモビッチチームは1stシーズン、ジョン・オクスレイド=ライアンをTDに
起用したが、今季から本格的に長期での開発体制を築く為ハーンを招聘した。ハーン
はF1ベネト〇チームやフ〇ラーリチームで天才デザイナーとして活躍。アブラモビ
ッチは満を持してハーンを招聘した。しかしそのハーンに目を付けたのがマルドゥー
クだった。マルドゥークチームの首脳陣はファン・ドット監督、そしてマネージャー
のボス・グラウン共に、ハーンとはF1フェラー〇チームを常勝チームに育て上げた
盟友だ。マルドゥークのドットはどうしても、強固なチーム組織を作り上げるために
必要なピースとしてハーンの存在を外すことはできなかったという。ドットはチーム
にハーン獲得を強く望み、これに応えたマルドゥークチーム。ドバイの王族率いる金
満チームであるマルドゥークは、ハーン獲得にあたり相当額の報酬を提示したといわ
れている。マルドゥークは、ハーンと今季所属していたターベイ・ロストネルフェイ
ト+金銭との交換トレードを提案。そもそもハーン自身がこのマルドゥークへの移籍
に前向きだったといわれ、さらにハーンとアブラモビッチとの今季の契約が単年で、
来季以降の契約を更新するかどうかの選択権がハーンにあったという契約内容にマル
ドゥークがつけこみ、ハーンを半ば強奪していったというのが大筋のようだ。事実上
の引き抜きである。
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アブラモビッチの長期計画に賛同しながらも、来季の契約更新をせず移籍したロビー
・ハーン(写真左。)今回の移籍劇についてはファン・ドット監督(写真右)を含め
マルドゥーク陣営の”仁義なき”やり方に批判も・・・

おさまらないのはアブラモビッチ側。アブラモビッチは昨季終了直後にハーンと2n
dシーズンの契約を締結。2年目以降の契約更新の選択権はハーンにあったが、アブ
ラモビッチ側の中期計画に大いに賛同したハーンの契約更新オプション行使は確実視
されており、事実上の長期契約だとパドックでは見られていた。しかしハーンがアブ
ラモビッチと契約した直後にマルドゥークがドット、グラウン体制での参戦を発表。
ハーンの気持ちもシーズンが進むにつれ、マルドゥーク加入へ傾いていったようだ。
アブラモビッチは新開発体制で今季を棒に振ったが、来季また開発体制がリセットさ
れることになってしまった。
ハーンの契約が初年度単年+延長オプションという内容だったのには訳がある。ハー
ンは昨年体調不良で療養しており、体調面を考慮して初年度から複数年契約にしなか
ったというのだ。アブラモビッチチームのマネージャー、ニコライ・ボルコフはマル
ドゥーク、そしてハーンの動きに対する不快感を隠さない。
「我々は今季からロビー・ハーンを中心とした長期的な開発体制の構築をしていくつ
もりだった。しかし我々の計画は1年経ってまたリセットされてしまった。まぁこの
業界ではこういうことは茶飯事だからね、いちいち文句を言っても始まらないが、彼
ら(マルドゥーク)のやりかたは狡猾だったね。ロビーもあちらに行きたがっていた。
結果我々はターベイ・ロストネルフェイトという偉大なエンジニアを獲得したわけだ
が、我々が今季1年積み上げてきたものはまた崩されてしまった。彼らならTDがロ
ビーでなくとも強い組織を作れたろうに。我々もロビーを引き留めるだけの報酬は容
易できたが、ロビーの気持ちはもうアブラモビッチにはなかった。マルドゥークのや
り方はいささかフェアじゃなかったと思うよ。実に老獪にロビーの気を惹きつけてい
ったね。ロビーは我々に対し「本当に済まない」と繰り返していたよ。まぁ謝られて
もしょうがないんだけどね、ロビーには「君の新しいチャレンジがうまくいくことを
願っている。」と伝えたよ。さしあたり我々が考えなければいけないことは、優秀な
エンジニアを引き抜かれたことを嘆くのではなく、来季からターベイと共にチームを
どう強くしていくかという問題だからね。」とやりきれない心境を吐露した。
アブラモビッチは初年度にアレンザンダー・ロッソが1勝をあげたが、開発体制をよ
り強化するため今季TDのスイッチに踏み切った。開発の方向性が大きく変わった今
季は苦戦を強いられたが、それも想定の範囲内だった。しかしオーナーのロマン・ア
ブラモビッチ氏はプレスに、今季の現状は決して満足できるものではないとの心境を
漏らし、早期の成績改善を望んでいた。
アブラモビッチは昨季オフ、1勝をあげたロッソをアントネッティに奪われた。そし
て今季は新たに獲得した有能なエンジニアをマルドゥークに持っていかれた。NeX
Xが開幕してからここまで踏んだり蹴ったりのオフシーズンをすごしているアブラモ
ビッチ。今回の人事騒動で、アブラモビッチの計画には大きなずれが生じるのは間違
いない。また、今回の移籍劇でアブラモビッチに同情するチームも多く、同時にマル
ドゥークのやり方を批判するチームも少なくない。この騒動はしばらく尾を引きそう
だ。


◇SLOロシェット監督が今季限りで退任。後任に元F1ドライバーのモーゼル

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来季SLOの新監督に就任するハウルモーゼル氏(写真右)と、退任するヒカルド・ロシェット氏
(写真左)。ロシェットは今後SLOのIMSAチーム監督に就任する。

カテゴリ発足から2シーズンが経過したNeXXだが、来季3シーズン目を迎えると
組織改編を試みるチームもちらほら。そんな中参戦15チーム中唯一南米はブラジル
国籍のサントス・ロコ・オリベイラ・レーシング(通称SLO)も、来季の首脳人事
にメスを入れたようだ。第17戦カナダGP開幕前の木曜日にチームは会見を行い、
今季までチーム監督を務めたヒカルド・ロシェット氏の退任と、新監督にハウル・モ
―ゼル氏が就任するという後任人事を発表した。
初年度からチームの指揮を執ったロシェットは元F1ドライバー。1996年~98
年までの3シーズンをフット〇ークやテ〇レルで戦い、33戦の出走経歴を持つ。対
する新監督のモーゼルも元F1ドライバーだが、F1以外にもインディカーやスポー
ツカーで活躍。1987年のスポーツプロトでは世界王者となっている。今回の人事
はSLOが新しく参戦するIMSAのチーム監督に、ロシェット氏が就任するためと
のことだ。ロシェットの退任はかねてから囁かれていたため、こちらも引退の噂があ
ったアイウトン・フィリップス・ラ・ポルタが後任に就くとの見方が大勢を占めたが
ラ・ポルタの現役続行も合わせて発表されSLOの人事は当初の予測とは全く違う形
で決着した。
会見はカナダGPの舞台となるエキシビジョンプレイスにある、ダイレクトエナジー
センターのコンベンションルームで行われ、3人の共同オーナーのうちのリカルド・
オリベイラ氏、パウロ・サントス氏の2名、そしてモーゼル、ロシェットの新旧監督
両名、そして来季よりSLOに加入するマット・ティモンズの計5名が出席した。
新監督のモーゼルは会見の中で「今回こういう形で新しいカテゴリへ参加でき、そし
て自身にとっても刺激的な挑戦ができることを嬉しく思う。なにしろ監督というのは
初めてのポジションだ、チームを率いるという役割を引き受けるのは簡単ではなかっ
たよ。しかしこのチームの人達は熱意をもって私を誘ってくれたし、チームは新たに
IMSAに参戦するという野望を実現した。大きな野望があり、明確なビジョンのも
とに着々と計画を進めている。そんなチームの一員となり、レースに関われるのは幸
せなことだよ。マット(・ティモンズ)とも何度か話をしている。とても信頼できる
男だと感じた。私の新しい挑戦に欠かせない存在になるだろう。チームが活躍できる
よう最善を尽くすつもりだ。」と来季への抱負を語った。またオーナーのサントス氏
は「今回モーゼルに監督就任を打診したのは私だ、私とハウルはかれこれ30年来の
付き合いなんだ(笑)。IMSAチームの監督をハウルに頼むプランもあったが、あ
ちらは新規立ち上げだからね、NeXXチームの立ち上げも経験したヒカルドにお願
いしたんだ。ハウルはドライバー経験も長いし、何より様々なカテゴリを経験してい
る。監督業は初めてだがこの多彩なレース経験は重要だ。なんせハウルはプロトタイ
プ世界選手権でタイトルを獲っているからね。彼はきっと我々の期待に応えてくれる
と確信しているし、この経験は我々の今後の計画にも重要な意味を持つ。我々は今後
5年以内にル・マン24時間へ挑戦するつもりだからね。」と語り、近い将来のチー
ムの展望を明かした。
またSLOのオーナーの一人リカルド・オリベイラ氏がヨコスカタイヤの株式の1/
4を取得してサンパウロ現地法人を設立したことが昨季末に話題となっており、こ
の体制変更に当たってタイヤサプライヤー変更の発表もあるのでは、との噂が流れて
いたがオリベイラ、サントス両氏とも今回この件については触れなかった。
初年度から参戦のSLOは来季NeXX3シーズン目、今季は念願の初優勝をあげた
もののチームランキングでは昨季を上回ることはできなかった。モーゼル新体制で臨
む来季は、1stシーズンの年間ランキング4位以上が目標となる。モーゼル新監督の
手腕に注目だ。


◇李舜英氏、「宋にはアジア人ドライバーとしてヒュウガを超えてほしい」

「私は宋昇龍はアジアを代表するレーシングドライバーの一人になれると思っていま
すよ。」とは、来季からチーム名を『ドラゴンフォース・チャイナ』へ変更する現チ
ャイナドラゴンのオーナー李舜英の言葉だ。李氏はこのほど来季、ジョリー・セプタ
ーとの契約を更新しない旨を語った際のインタビューで、来季もチームに残留するド
ライバーの宋昇龍についてこう語った。
宋は昨季途中、第16戦日本GPでNeXXデビュー、終盤戦アメリカで9位入賞を
はたしデビュー3戦でポイントゲットした逸材だ。今季はチーム共々やや苦戦してい
るが、開幕戦ではいきなり2位表彰台にあがりポテンシャルの高さを見せつけた。李
氏は宋をキャリアの初期からサポートし続けており、宋に対して並々ならぬ期待を注
いでいる。
「開幕戦の走りこそが彼の真の実力だと、私は思っています。彼は難しいコースやコ
ンディションでこそ力を発揮します。今季は彼にとって実質最初のシーズンで、初め
てのコース多かった。ウチのクルマも高速サーキットではやや弱いところがある。そ
れもあって苦戦はしていますし、いくつか予選落ちも経験しました。しかし彼は光る
速さを持っていますし、テクニックもある。あとは経験です。私はカートを始めた頃
から彼をサポートしていますが、彼は大きなポテンシャルを秘めています。同じアジ
ア人で比較するとトシロウヒュウガを超えられる、と思っているんです。」と語る李
氏。
上海出身の宋はここまで主にヨーロッパで、FIA直下の下位カテゴリを戦ってきて
おり、一昨年のFIA-F2ではシーズン2位を記録。李氏はそんな宋のカートから
イタリアF4へのステップアップを助け、以来ここまで宋のレース活動を7年にわた
ってバックアップし続けてきた。「今季は正直ここまで、エンジニアリングがうまく
いっているとは言えない状況です。開幕戦で宋が2位、そして第3戦ドバイでジョリ
ー(セプター)が優勝したにもかかわらず、その後尻すぼみなのはその為です。なの
で現在我々は来季に向けて、チーム組織を大幅に見直しているところです。それに伴
ってジョリーが今季限りでチームを去ることになりました。非常に残念な限りですが
我々には宋という”未来”があります。来季からは彼をメインにチーム作りを進める
ことになるでしょう。
彼はヒュウガと似たようなタイプです。鋭いコーナリングと卓越したバランス感覚を
持っており、雨や市街地でも速い本物のレーシングドライバーに大成する可能性を秘
めている。私は宋にヒュウガを超える存在になってほしいと思っていますし、それが
できると思っています。そして願わくばヒュウガとこのNeXXでタイトル争いをし
てほしい。世界のトップフォーミュラの選手権で、アジア人同士がタイトルを争うな
んて痛快なことです。その為に我々はジャッキー(・チュン、無天老師様ではない)
とともにチーム体制を強化するのです。アジア人同士が世界のトップで争うのが私の
夢、そしてその勝者は我々です。」野望を語る李氏の眼には鋭い光が宿る。
一方で宋昇龍に対する他チームの評価は一定しない。昨季第16戦のデビュー時の注
目度は、一昨年のF2で選手権2位を記録したにもかかわらず低かった。しかし最終
戦で9位入賞を果たし、さらに今季開幕戦での2位表彰台で一気に評価が高まった。
かと思えばその後の停滞で徐々に評価は下がってゆき、現時点ではもはやストーブリ
ーグのネタにすらならない状況だ。
プルトンのゴードン・メッセンジャーなどは「彼はまだ粗削りだけどね、魅力的な速
さを持っている。そして年齢とキャリアの割に卓越したテクニックを持っているよ。
彼に足りないのは”勝てるマシン”と”経験”だね。」と語り、アントネッティのボ
ス、ドナルドも「彼は天性の速さとテクニックを持っているね。そう、タイプとして
はトシロウ(日向)やファン(・カレッジ)のようだ。マシンの挙動や路面のコンデ
ィションを、人一倍敏感に感じ取るタイプだね。」とその才能を認め、一定の評価を
下している。一方で「今後”勝てる”ドライバーになるになるためにはもう一つ、何
かが必要だ。それは経験か? 勝てるマシンか? いずれもそうだろう。そして最も
重要なのは”勝てる環境”をつかみ取ることだ。」とも語り、「今季のチャイナドラ
ゴンのような状態では難しそうだね、でも何かもう一つ光るアピールが必要だよ。」
と付け加えた。「リー氏はナショナリズムの発揚のためにソンを使いたいのさ。グラ
ンデ・チーノ(偉大なる中国人を意味するスペイン語)にひれ伏せってわけだ(笑)」
というジェレミー・クラークソンの発言は別としても、アブラモビッチのヴィタレリ
・フェドロフ監督は「ここまで到達しているのだから、それなりに速さは持っている
はずだよ。でも今はまだ”それだけ”だね。もう少し時間が必要だろう。」と言い、
ピットブルのチームマネージャー、ヘルムート・マルコリーニは「彼はまだ自身の能
力を自身のメンタルでマネジメント出来ていない。経験が少ないからそれも当然だけ
どね。でもついぞそれができずにドロップアウトするドライバーは多いんだよ。それ
が出来て初めて彼にも道が開けるんじゃないかな? 少なくとも今我々が獲得を考え
るような段階には、彼はまだ達していないね。」と手厳しい。
ノルディックのチチ・ソルベルグなどは、「速さは見せた、あとは貪欲さだ。彼はい
ざという時に、自分を支えてくれた環境を捨てて前に進む覚悟があるか、それが問題
だ。これまで何人ものアジア人ドライバーを見てきたが、彼らには総じて貪欲さが欠
けていた。自分の売り込み方を知っているのはトシロウくらいだろうね。」と語り、
ステップアップの為には現チームとの決別も選択肢の一つだとし、その覚悟が宋にあ
るのかを疑問視している。
何にせよ宋は実質今季が彼にとっての1stシーズン、そしてドラゴンフォースが宋
を支援し続ける限り宋はNeXXでの居場所を失うことはないだろう。しかし、その
の先を見据えるのならチームと決別するタイミングが来ないとは限らない。李氏は自
チームとともに宋が成長し、”勝てるドライバー”になることを望んでいるが、宋が
NeXXで”勝てるドライバー”になるためにはチームが障害になることだってあり
えるのだ。
今後の宋のステップアップには、このパラドックスを双方が解決することが重要だ。
李氏が望むように将来宋が、ドラゴンフォースでタイトル争いをできればそれは素晴
らしいことだ。しかしモーターレースの世界は往々にして、当人たちの思惑通りに事
が進まない極めて難しい世界。今後のドラゴンフォースと、宋の動きに注目だ。


◇クラークソンオーナーとファングが、日本GPでのリタイヤ巡り大ゲンカ!?

今季、前半戦では大活躍しながら後半大きく失速し、結果ランキングを6位で終えた
クラークソンのデイヴィス・ファング。そのファングが第16戦日本GPでのレース
リタイヤ後、ピット裏でオーナーのジェレミー・クラークソン氏と大喧嘩をしていた
ことがわかった。チーム関係者や、当時ピットガレージが隣だったリナルディやロム
ニ・ダキアの関係者がこれを目撃していた。
今季、後半戦大失速したファングは予選でも精彩を欠き、後半9戦で7度も二桁順位
を記録。うち4戦は15番手以下と絶不調。決勝も2度の4位入賞のみで、徐々にフ
ラストレーションが溜まっていったファングは第16戦日本GPでまた”やらかして”
しまう。レース途中、チームの戦略とは全く関係のないタイミングで突然ピットイン
し、困惑するクルーを横目にさっさとマシンを降りてしまったのだ。このレース、フ
ァングは17番手からのスタート。序盤からDRSに不調を抱えながらも12ターン
目には12番手と、ポイント圏目前まで迫っていた。そんな状況での突然の”自主リ
タイヤ”に、ついに堪忍袋の緒が切れたオーナーのクラークソン氏が、モーターホー
ムに戻ろうとしたファングを捕まえて口論になり、一触即発の状態になったという。
今季までチームマネージャーをつとめたマット・ティモンズは当時をこう振り返る。
「デイヴ(ファング)はああ見えてとても繊細で、気分屋なんだ。まるでアーティス
トのようさ(笑)。いいときの彼は手がつけられないほど速いが、うまくいかない時
はとてもナーバスになる。レーシングドライバーなんてみんなそんなものだろうと思
うかも知れないが、彼はその上をいくね(笑)。あの時(日本GP)は特にそうだっ
たよ。前半戦のデイヴはキレキレだった。2位を4回記録したし、勝てなかったがオ
ランダではPPも獲得した。うちのクルマが苦手としていたツイスティな低速コース
でね。あれにはチームの誰もが驚いた。後半戦いくつか勝てればタイトルも夢じゃな
いってね(笑)。でもスウェーデンから彼は不調に陥った。」
「デイヴのフラストレーションはあの時(日本GP)がピークだったんだよ。うまく
いかない、良い感触が戻ってこない、後半戦はもらい事故も多かったしね。日本GP
も序盤の2ターンでDRSが開かなくなって、走っても走っても前に届かない。そし
て”それ”がピークを超えた彼は「OK、茶番はここまでだ」とばかりに気持ちが切
れてしまうんだ。あとは御覧の通りだよ。去年もスウェーデンで見ただろ?(笑)」
と笑いながら話す。
「オタルの時は大変だった。デイヴが予定外のタイミングでピットインしてきて、何
事かと思っていたら私と一緒にピットウォールのモニタの前にいたジェレミー(クラ
ークソン氏)が血相変えてデイヴを追いかけていったんだ。”ああこれは面倒なこと
になるな”と思ったよ。だから私はその場をリチャード(・デヴィッズ監督)に任せ
て2人を追いかけた。2人はすごい剣幕で怒鳴りあっていたよ(笑)。ジェレミー
「お前はまた駄々っ子みたいに自分の仕事を放棄するのか!!」と言えば、デイヴは
「うるせぇ!そんなに言うならあんたはまず俺を満足させる車を用意しろ!!」って
な具合にね(爆笑)。またか、と思いながらも私は2人の間に割って入ったよ。そう
しないと取っ組み合いになってしまう勢いだったからね。」
「私が間に入ってからも口論はしばらく続いたよ。ジェレミーは「お前はプロなんだ
から仕事をしろ!!」と怒鳴り散らしていたし、デイヴはデイヴで「仕事をしてない
のはあんたの方じゃないのか!? オレを満足させるオモチャの一つも用意できない
んだからな!!」とね(笑)。まるで子供の喧嘩だが、ひとしきり文句を言い終えた
デイヴはすっきりした顔で引き上げていったよ。おさまらないのはジェレミーの方で
口論が終わった後も真っ赤な顔をしてね(笑)。あの日はレースの最後までピットの
壁を蹴りまくってた(爆笑)。」
その様子をとなりのピットガレージで見ていたロムニ・ダキアのレースエンジニア、
パディ・ハイは・・・
「ああ、またやってるなと思ったよ(笑)。クラークソンオーナーとファングの喧嘩
なんで日常茶飯事さ。だいたいはオーナーが怒ってファングのところへ現れて、ファ
ングがこそこそ逃げるってパターンだけどね。まるでトムとジェリーさ(笑)。だけ
ど時たまファングが爆発するときがある、あれはファングも相当熱くなっていたね。
でもファングは過ぎたことはすぐ忘れて引きずらないタイプだよ、カナダではパドッ
クで赤ワインのボトルを数本持って歩いていて私が「やぁデイヴ、金曜の昼からパー
ティーでもするのかい?」と尋ねると「友人が良い酒をくれたからウチのゴッドファ
ーザー(クラークソン氏)にもお裾分けしてやるのさ(笑)。パディも飲むかい?
ウチのボスはワイン好きなんだよ、小洒落やがってさ。俺はウィスキー派だ。」なん
て言ってヘラヘラしながら歩いてたよ(笑)。」
クラークソン氏とファングの喧嘩と仲直りはいつものことのようだ。しかしファング
の発言はクラークソンの現状を物語るものだ。ファング自身は光る速さを見せつつも
マシン特性はクセが強すぎて低速コースでは戦えない現状が続いているし、継続的な
開発体制の構築にも至っておらずシーズン後半になるほど苦戦が顕著になっていた。
オーナーのクラークソン氏はヨーロッパ戦線時に本誌の取材に応え、来季のエンジン
変更の可能性も示唆していた。更に今回の大規模な組織改編だ。ファングの”提言”
はチームを動かした。
来季クラークソンチームは大きく体制が変わる。チームはエンジニア50人からの大
量解雇を行って人員を入れ替え、インタビューに答えてくれたマット・ティモンズは
SLOへと移籍した。2ndシートに座るドライバーは未だ決まっていないが、リチ
ャード・デヴィッズ監督は来季に向けて意味深な発言をしていた。
個性の強い者たちが集まり、これまではてんでんばらばらだったクラークソンチーム
が今組織としてまとまろうとしている。各々が一筋縄ではいかない個性派集団クラー
クソンは、果たして来季大躍進するか? それとも空中分解してしまうのか(笑)?
いろんな意味で大注目だ。

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クラークソンオーナー(写真左)とファング(写真中央)の口喧嘩はどうやらいつものことのようだ・ピット
が隣のロムニ・ダキアのエンジニア、パディ・ハイ(写真右)は常日頃目にしているとのこと。しかしついに
ファングの”悪口雑言”はチームを動かした。そのエネルギーが来季レースに向けて爆発することを願うばかりだ。

◇日向とマイネで挑む来季! トライアンフが本気でタイトルを狙う!!

日本期待の純和製チーム、トライアンフ・スクエアジャパンが来季のタイトル獲りに
本気だ。トライアンフチーム首脳陣は2人のレギュラードライバーを伴い、最終戦
メリカGP終了の1週間後すぐに北海道は十勝へと飛び、今季からカムイのテストコ
ースとなっている十勝モータースピードウェイで来季の『SUGO・カムイ』エンジ
ンとレラシャシーのフィッティングを行った。

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来季から監督を退きオーナー業に専念する山本氏を、とある十勝の
蕎麦屋に入店するところで直撃。来季のビジョンや感触を訊いた。

フィッティングにはオーナーの山本つかさ氏も同行し、来季シートに座る2人のドラ
イバーとも雑談をかわすなどした。山本氏は来季、これまでオーナー業と兼務してい
た監督のポストを、マネージャーの真田幸治氏に引き継ぐ旨を決定。空いたマネージ
ャーのポストには、スポーツカーチームのストラテジストとして活躍していたケンブ
リッジ大学出身の才女、ミア・ドーランを招聘しオーナー業に専念。来季以降の本格
的なチーム強化に向けて動き出している。来季新しいバッジネームとなるSUGO・
カムイエンジンを見た山本氏は「来季のエンジンはすごくいいよね。ベンチテストの
段階からちょこちょこ見させてもらってたんだけど、エンジンは単体で770馬力は
出ていたし、SUGOのユニットはMGU-K単体で160馬力以上っていうから、
単純にMAXパワーの面ではだいぶいい数字ですね。カムイのエンジンはもともとコ
ンパクトだし、新エンジンもエンジン自体の重量増はないと聞いています。それでピ
ークパワーが向上してパッケージングが良ければもっとやれる。SUGOさんともす
ごく緊密にリレーションを取ってましたから、良いものが出来てるんだと思います。」
と語った。
来季については「ルディ(マイネ)を迎えられたのは大きいですね。毎レースきっち
り2台のポイントを期待できる。彼は地味であまり自己主張もしないから実はそんな
に評価が高くないんだけど、なんていうか日本人好みの職人肌だよね。F1にいた時
から見ているけど、キッチリ仕事をして帰ってくるタイプ、来季は入賞回数が増える
のは間違いないですよ。彼は去年優勝もしているのにみんな冷たいよね(笑)。俊郎
とルディで3つ4つ勝てればタイトルも見えてくるんじゃない?」と期待をのぞかせ
た。来季からチーム監督となる真田幸治も「オーナーの言う通り、2人ともポイント
計算ができるドライバーだから、ルディの加入でチームとしての総合力は大きく向上
したと考えています。日向は今季も本当によくやってくれているし、ルディはカムイ
のスタッフとF1で2年仕事しているからね。チームとしてのまとまりにも問題ない
と思いますね。ジョー(・カジワラ)もこの決断を尊重してくれました。私としては
そこが残念と言えば残念なんだけど・・・ いい人すぎるんだよねアイツは・・・。」
と2シーズン在籍した2ndドライバーの離脱を惜しみつつ、来季への期待を語った。
3シーズン目となる来季もNo.1シートに座る日向は「まぁ今のモータースポーツ
パワーだけじゃ勝てねぇぜって思ってるけど、でもやっぱパワーは大事よね。中低速
とか市街地は戦えても、やっぱフランスとかイタリアとかキツかったもんなぁー。で
も、信頼性が上がったおかげで今季は入賞回数も増えたし勝つこともできた。でもさ
やっぱそれで満足はできねぇんだよなぁー。だから、来季は(タイトルを)獲りに行
く。だってそういうステージまで上がってきたんだよ、このトライアンフってチーム
は。だから来季は俺もチームも本気さ。ジョーの離脱は残念だけどね、でもあのオッ
サン絶対あんなもんじゃないぜ。まだ本気になってないだけだよ、いや本気になれて
ない、の間違いかな? とにかくさ、ジョーは来季1年休むみたいだけど、4thに
は帰ってくるんだろーな? おれは本気のジョーと戦いてぇよ。て考えたら、ジョー
がうちを出てったのはある意味好都合かもな(笑)。あと一言言っとくけど、マイネ
のおっさんは速いぜww」と相変わらずの口ぶりで来季のタイトル獲りを宣言した。
2ndシーズンをランキング6位で追えたトライアンフ、シーズンを通しての獲得ポ
イント130がほぼ日向のものと考えればこの順位は驚異的だ。ここにマイネが加わ
れば単純計算でもトップ3に食い込むだけのポテンシャルを得たということがわかる。
さらにマイネは1stシーズン115ポイント、不調と言われた2ndシーズンでも
第12戦までで58ポイントを獲得しており、ピットブルのチームタイトル連覇に大
きく貢献しているのだ。これでトライアンフ陣営が本気にならない理由がない。これ
まで数々の日本系チームが様々なカテゴリに挑んできたが、トップフォーミュラの世
界選手権でタイトルを獲得したチームはいない。来季は偉業達成となるか? 日本の
ファンならずとも、来季のトライアンフからは目が離せない。

 

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■Hot Stove League

□ピットブル・エクストリーム・レーシング
 ◎No.1:ニコ・ラムダ(AUT) 
 ◎No.2:ミシェル・ボナパルト(FRA)

□マーキュリー・レーシング・オーガナイゼーション
 ◎No.1:アレックス・バトラー(IRL)
 △No.2:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ×     アレンザンダー・カブロン(THA)??

エヴァー・グラハム・レーシング 
 ◎No.1:カーティス・マルケーナス(AUS)
 ◎No.2:ジェストン・バロン(UK)

トライアンフ・スクエアジャパン・レーシング
 ◎No.1:日向 俊郎(JPN)
 ◎No.2:ルドルフ・マイネ(GER)??

アブラモビッチスタンフォード・レーシング
 ◎No.1:ジョンブル・チャップマン(UK)
 ◎No.2:アレン・バーンズ(ASU)

プルトン・オートスポーツ
 ◎No.1:トゥーリ・ヴィックス(EST)
 ×No.2:ジョルディ・ヴァッセル(UK)??
 ×     レオ・タイラント(IDN)??
 ×     ジョーイ・エラゲル(IDN)??
 ☆     メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

□スクーデリア・リナルディ
 ◎No.1:ミケーネ・ポルボローネ(ITA)
 ◎No.2:スティラノ・シエナ(ITA)

□クラークソン&メイ・ハモンド・レーシング
 ◎No.1:デイヴィス・ファング(UK)??     
 △No.2:リンド・ソリス(UK)??
 ×     デリック・ワーノック
 ×     ジョルディ・ヴァッセル(UK)??     

□ロムニ・ダキアオートスポーツ(シュトロゼック??)
 ◎No.1:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ×No.2:アレンザンダー・カブロン(THA)??
 ×     メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

ドラゴンフォース・チャイナレーシング
 ◎No.1:宋 昇龍
 △No.2:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ×     アリエル・ティルクム(UK)??

□ノルディック・モータースポーツ
 ◎No.1:ケリー・ラスムッセン(DEN)??
 ◎No.2:ミック・ハイデンフェルド(GER)

□サントス・ロコ・オリベイラ・レーシング
 ◎No.1:アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(POR)
 ◎No.2:アンドレアス・サントス・フィリオ(BRA)

アントネッティオートスポーツ
 ◎No.1:アレンザンダー・ロッソ(USA)
 ◎No.2:ファン・カレッジ(FRA)

□マルドゥーク・レーシング・ドバイ
 ◎No.1:ビル・リヴィエール(CAN)
 〇No.2:ジャッキー・グーデリアン(USA)

□ガジャック・ルルーシュ・スポール
 〇No.1:セドリック・タンデイ(FRA)??
 ×     ヴィヴィエ・ピノーリ(FRA)??
 ☆     キャッシュ・サフィー(FRA)??
  △No.2:カタル・アファル(MOL)??
 ×     フィエール・ガシュレー(FRA)??

□フリー
 ジョリー・セプター(SAF)
 アレンザンダー・カブロン(THA)
 ジョー・S・カジワラ(USA)
 デイヴィス・リンドホルム(CAN)
 アリエル・ティルクム(ENG)
         

◇移籍がささやかれていたマルケーナス、エヴァー・グラハムへの移籍が正式決定!!

かねてから噂のあった、カーティス・マルケーナスのエヴァー・グラハムへの移籍が
正式に決定した。エヴァー・グラハムチームは、最終戦でのアブラモビッチチームの
バーンズ獲得会見を受けて、最終戦終了から1週間後の12月初旬にこれを発表した。
これで来季エヴァー・グラハムはマルケーナスと、2シーズン目となるジェストン・
バロンのラインナップでシーズンを戦うことが正式に決まった。

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オーナーのデヴィッド・グラハム氏(写真右)はかねてからマルケーナスの獲得を画策、また今季は不調
をかこっていたマルケーナス(写真左)も母国のチームへの移籍を望んでいた。相思相愛の移籍成立だが、
これでマーキュリーの2ndシートは完全に空いた。マルケーナスはマーキュリー側の自分に対する扱い
にも不満を持っていたようだが、マーキュリーはマルケーナスを手放してよかったのだろうか?

マルケーナスはオーストラリア出身の27歳。母親がオージーだが父親はニュージー
ランド人でマオリ族の血を引く。初年度は事実上のトップフォーミュラ初レースとな
る開幕戦で、予選フロントロー2番手につける快挙。さらに第8戦フランスで初優勝
をあげるなど活躍したが、2ndシーズンは予想外の苦戦を強いられ、期待された2
勝目はおろか表彰台にすら上がれずにシーズンを終えた。天性のスピードを持ち、市
街地やウェットレースなど難しいコンディションをものともしない走りは衝撃的だっ
たが、今季それは完全に鳴りを潜めた。前半戦はコンスタントに入賞するものの下位
入賞が多く、8位入賞を4度記録したことからチーム関係者には『8(エイト)マン』
と揶揄されるようになる。そして後半戦は昨季同様に失速。レースを二桁順位で終え
ることが多くなり、チームメイトとは対照的に大きく伸び悩んだポイントは、昨季を
下回った。次第にマーキュリー首脳陣からもマルケーナスの今季の伸び悩みに苦言が
出始め、時期を同じくしてマルケーナスの同郷のチームであるエヴァー・グラハムが
彼に接触。水面下で獲得交渉が進んでいた。エヴァー・グラハムの共同オーナーであ
るデヴィッド・グラハム氏は、彼が国内レースで走っていたころから目をつけていた
という。
「カーティス(・マルケーナス)は国内のあらゆるレースで見かけたよ。ただオース
トラリアには今S5000というフォーミュラのカテゴリがあるけど、彼はなぜかフ
ォーミュラはやっていなくてハコのレースばかりに出ていてね。でもいつぞやのバサ
ースト(バサースト1000)で彼を見たとき、その走りに惹きつけられたんだ。」
とグラハム氏。「あそこ(マウントパノラマ・サーキット)は本当に危険で難しくて
ドライバーの本能を煽るようなコースなんだ。特に山側区間はアップダウンが激しく
てテクニカルなうえコース幅が狭く、ブラインドコーナーが多い。事故も多いし実際
死者も出ている。しかしそこでのカーティスの走りは圧巻だったよ。それ以来私は彼
に釘付けさ。フォーミュラカーでの走りは見ていなくとも、あの走りを見ればわかる。
彼はマシンの挙動を敏感に感知して、それに対して最適解のドライビングができる。
私はむしろ彼をフォーミュラに乗せてみたいと考えていたんだ。そうしたらマーキュ
リーに先を越されてしまった・・・(苦笑) なぜ彼ら(マーキュリー)がカーティ
スを獲得したのかは、おそらくゲディ(・ライフソン)のススメだろうけど、結果少
し回り道をしたが彼を我々のシートに座らせることが出来た。ひとまず私は満足して
いるよ、あとはカーティス次第だ。」とマルケーナスに対する期待を語った。
「彼は今季あまりよくなかったけど、それはマーキュリー側のサポートも充分ではな
かったと思う。だから彼との交渉はすんなり進んだよ。でも発表がシーズン終了後に
なったのは、マーキュリーが最後まで契約合意を渋っていたからなんだ。多分土壇場
での残留も視野に入れていたと思うよ。カーティスはそれだけ価値のあるドライバー
なのさ。」とグラハム氏。
マルケーナスとエヴァー・グラハムの交渉はシーズン後半、ヨーロッパラウンドの終
了時期近辺に始まり、北米ラウンドに転戦するころには既にエヴァー・グラハム側と
マルケーナスの間では大筋合意に達していた。しかし、マーキュリーとのチーム間合
意にはなかなか至らず。バトラーがタイトル争いの真っ只中にいたことと、マルケー
ナスの後釜確保に苦戦していたマーキュリー側は、土壇場でのマルケーナス残留の可
能性も視野に入れていた為、正式発表がこのタイミングになったようだ。
今回の移籍はプレスリリースで行われたためマルケーナス本人の肉声は届いていない
が、この移籍は本人にとってもポジティブなものであったことは間違いないだろう。
チームは年明けにエンジン変更を含めた新体制発表会見を予定しており、新年号では
期待にあふれたマルケーナス本人の声をお届けできるはずだ。気になるのはマーキュ
リーの来季の2ndシート、マーキュリーはマルケーナスの後釜を見つけられたのだ
ろうか? 逃がした魚は大きかった、なんて話にならなければ良いが・・・。


◇いまだ見えない有力2チームの2ndシート
              来季のマーキュリー、クラークソンのNo.2は!?

2年間在籍したマルケーナスを手放したマーキュリー、そして英国期待の若手ティル
クムとの契約をシーズン途中で解除したクラークソン。この有力2チームの来季の2
ndシートには誰が座るのか? 未だ両チームから正式な発表はない。
マーキュリーはエースドライバーのバトラーがドライバーズタイトルを連覇し、チー
ムランキングも2年連続の2位。一方のクラークソンも元F1王者のファングを擁し
チームランキングは初年度5位、今季は6位と上位を争うチームだ。しかし他チーム
が次々と来季陣容を発表している中、この有力2チームは未だ来季の2ndシートが
決まっていない。
マーキュリーはシーズン終了ギリギリまで、マルケーナスと残留交渉をしていたよう
だ。しかしマルケーナスは同郷オーストラリアのチーム、エヴァー・グラハムから熱
心なオファーを受けており、彼の気持ちは早い段階で移籍に傾いていた。現在NeX
Xにおいて有力チームの一つであるマーキュリーだが、実はチームの運営規模はさほ
ど大きくない。ピットブルのようなチームと比べると、いわゆるワークスとプライベ
ーターのような差がある。そんな状態でエースのバトラーがタイトルを争っているも
のだから、チームのサポートの比重はどうしてもバトラーに傾く。そこで割を食った
のがマルケーナスで、昨季は1勝をあげたマルケーナスは今季、表彰台にすら上がれ
ずにシーズンを終えた。
マルケーナスに移籍の意志があることは早い段階で把握していたマーキュリー、しか
し当初マーキュリー首脳はマルケーナスの不調に苦言を呈しながらも残留を基本路線
として考えていたという。しかしマルケーナスの移籍願望が思いのほか強く、引き留
めに苦労していたようだ。エヴァー・グラハム側もマルケーナスを高く評価しており
結果マルケーナスは”念願”の移籍を果たす。そうして空いたのがドライバー王者を
輩出したチームの2ndシートだった。
マーキュリーの2ndシートには何人か候補が候補が挙がっているものの、いずれも
実現性は低い。チームが最も熱心にオファーしているのはゾルタン・ゲラだが、来季
からロムニ・ダキアと合併を果たすシュトロゼックがゲラを高く評価しており、流出
を阻止しようと躍起だ。移籍の可能性は限りなく低い。リザーブドライバーの昇格も
噂されるがジョリー・バーナードは既に日本のスーパーフォーミュラとスーパーGT
との掛け持ち参戦が決まっており、シュテフェン・バロシュも昨季参戦していたDT
M、WECの継続参戦が決まっている。他有力どころではジョリー・セプターの来季
の行き先が決まっていないが、高額と言われるサラリーとバトラーの立ち位置を脅か
すリスクを抱えているため獲得に動くとは考えにくい。現状来季このままフリーとな
りそうなのがカジワラ、カブロン、ファーシマス、そして今季途中でNeXXを離脱
したティルクムだが、ここからのチョイスになるのか、それとも・・・
マーキュリーは2年連続でドライバーズタイトルを獲得しながら、2年連続でチーム
タイトルを逃している。マーキュリーが2ndドライバーに求める条件としては”コ
ンスタントに上位入賞が計算できつつもバトラーを脅かさない”という絶妙なバラン
スを保てるドライバーだ。戦える環境が整えが面白いのはカブロンあたりだが果たし
て?
もう一方のクラークソンに関してもどうにも動向が読みにくい。彼らは初年度スポン
サー交渉が不調に終わり、当初の想定の2/3程度と言われた予算額で参戦を開始し
た。そのためNo.1には大物を招聘したものの、2ndシートには無名の若者を座
らせざるを得なかった。そしてその若者はさしたる活躍もできずに1年でチームを去
った。それが現在F1において将来を最も期待されているジョルディ・ヴァッセルそ
の人だが、クラークソンは今季も若手英国人を起用しやはり1年で見切りをつけた。
正確には12戦で、であるがそのクラークソンを今季途中で離脱したアリエル・ティ
ルクムの来季去就もまだ決まっていない。ただひとまずティルクムがクラークソンへ
カムバックすることはないため、可能性としては除外しておこう。となると他の可能
性を考えなければならないが、最も”お手軽”な線でいけばリザーブドライバーの昇
格が挙げられる。第13戦以降2ndシートに座ったリンド・ソリスはそこそこのパ
フォーマンスを見せた。またもうひとりのリザーブ、デリック・ワーノックも昨季は
デビュー戦でいきなりPPを獲得するなど才能の片鱗を見せた。リザーブドライバー
昇格の線は可能性として考えられなくはない。
しかしクラークソンはこのオフ、大規模な組織改革を断行中だ。チームマネージャー
が変わり、ファクトリーの人員も整理。大幅なスタッフの入れ替えを決行したのだ。
監督のリチャード・デヴィッズも来季のより一層の飛躍へ向け意気上がっている。そ
んなチームが果たしてリザーブドライバーの昇格という手段をとるだろうか? 更に
クラークソンは今季ドイツのビッグスポンサーを獲得し、資金にも比較的余裕ができ
た。ビッグネームをサプライズで獲得してくることもあり得ないことではない。
しかしながら今のところ、クラークソンのドライバー交渉についての情報は何一つ漏
れ聞こえてこない。チーム組織の再編でそれどころではないのかもしれないし、ある
いはデヴィッズ監督と新マネージャー、スティラノ・ドミニコルのこと、水面下で何
らか動いているのかもしれない。またいくらなんでも年明けまでに体制を固めないこ
とには、来季へ向けて万全の準備もできない。クラークソンについては何らかサプラ
イズを用意している可能性がある。彼らは既に来季の陣容を固めているのか、それと
も・・・
クラークソンはチーム全体がポジティブな改革に向けて動いており、バタバタしなが
らもやや余裕が感じられる。一方のマーキュリーはここに来てやや焦りの色が見える。
有力2チームの2ndドライバー探しは、各々やや状況を異にする展開だ。今後の展
開を注視して行こう。


◇引退の噂を一蹴!! ラ・ポルタ「来季もSLOで走る」!!

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今シーズン限りでの引退がささやかれていたラ・ポルタだが、
来季もSLOで走ることが決定。老け込むにはまだ早い。

一部では今季限りでレーシングドライバーを引退し、SLOの指揮官に就任するとの
噂が流れていたアイウトン・フィリップス・ラ・ポルタが、来季もSOLで走ること
が明らかになった。SLOがカナダGPウィークの木曜日に会見を行い、ラ・ポルタ
と3rdシーズン単年でのドライバー契約を結んだことを、来季チーム監督にハウル
モーゼル氏が就任することと合わせて発表した。
来季36歳を迎えるベテランのラ・ポルタは今季第13戦アゼルバイジャンでNeX
X初優勝をあげたが、それまでの12戦はやや苦戦が続き今季限りで引退するのでは
ないかという噂が流れていた。またヨーロッパラウンド終了とともにチーム監督のヒ
カルド・ロシェットが今季限りでチームを去ることが発表されてからは、引退したラ
・ポルタがその地位を引き継ぐと見られていた。しかし、カナダGP前の会見でラ・
ポルタは来季へ向けての意気込みを、プレス陣を前に力強く語った。
「私は本当に幸せものだね、この年齢で新たなカテゴリに挑戦し、初優勝をあげられ
て、来季の去就についても皆がこんなに関心を持ってくれている。確かにこのカテゴ
リは簡単なものではなかったよ、特に今季は我慢が必要だった。しかしその甲斐あっ
てか第13戦では初優勝できた。あの勝利はチームのみんなで勝ち取ったものだよ。
とても気持ちが良かった。私はまだまだレースへのモチベーションを失ってはいない
し、私の経験をもっとチームに還元できると思っている。だからまだ引退はしないよ。
SLOの監督にって噂もあったみたいだけど、将来的にそうなれればいいね。それは
最高にファンタスティックな未来図だ。」とラ・ポルタは話し、自身のモチベーショ
ンはまだまだ衰えていないことをアピールした。
SLOは来季も今季と同様のドライバー陣容で臨むことが発表され、噂されていたピ
エトロ・モンテローザの復帰説やマルドゥークのリザーブドライバーのリカルド・イ
セクソンの移籍説は実現しなかった。しかし、来季36歳を迎えるラ・ポルタは未だ
SLOにとって欠くことのできない存在である。来季改めてタイトル獲りを狙う同い
年のラムダと共にこの世代にはまだまだNeXXを引っ張って行ってもらいたい。ベ
テランが元気なカテゴリは若手も活気づく、それは世代間闘争が激化するからだ。ま
たラ・ポルタは明るく人懐っこい人柄で、パドックでの人気も高い。彼には来季だけ
とは言わずまだまだ現役でいてもらいたい。


エヴァー・グラハム離脱のバーンズ、アブラモビッチと契約
                    シート喪失危機は回避も待遇は・・・?
  
来季の去就が注目されていた大物ドライバーの一人アレン・バーンズが、来季アブラ
もビッチと単年契約を結んだことが明らかとなった。アブラモビッチチ―ムは最終戦
アメリカGPの土曜フリー走行前に、パドックで会見を開き発表した。
バーンズは元F1王者で通算12勝をあげた大物ドライバー。他ラムダ、ファング、
セプターのF1王者経験者と共に初年度からNeXXに参戦し『F1四天王』と呼ば
れた。しかし初年度は開幕から数戦凡走が続き、後半復調したものの未勝利に終わっ
た。変わって今季は前半戦でコンスタントに入賞を重ねたが、逆に後半に入って失速。
結局参戦2年間通して未勝利に終わり、周囲の期待を大きく裏切ったバーンスは今季
限りでエヴァー・グラハムからの離脱が決定、来季の去就が注目されていた。
アブラモビッチのチームマネージャー、ニコライ・ボルコフは「アレンのような偉大
な経歴を持つドライバーを迎えられて光栄だ。NeXXでは少々苦労したようだが、
我々は彼の実績を充分理解しているし高く評価してもいる。彼のような王者のメンタ
リティを持つドライバーがチームには必要だった。我々は今季かなりの苦戦を強いら
れた。今季から開発体制が大幅に変わったのが原因だが、この状況は来季も続くだろ
う。今は辛抱のしどころだ。そんなチームに経験値の高いベテランが加入するのは喜
ばしいことだ。我々は共に手を取り合い、チームを強化するための計画を共有する。
チームには既に”ブル”(チャップマン)がいる為見た目には2ndシートとなるが
我々は事実上のチームリーダーとして期待しているよ。」とバーンズに対する期待を
示した。
一方のバーンズは「まずは私に手を差し伸べてくれたアブラモビッチチームに感謝し
たい。来季の行き先がなくて困っていたところだったんだ(笑)。来季彼らと仕事が
できることを私も光栄に思うよ。さて、このNeXXというカテゴリはF1に負けず
劣らず難しい。各チームの戦力は非常に拮抗しているし、ひとつの判断ミスが命取り
になる。F1と同様に停滞は後退と同義だ、そういった意味でアブラモビッチチーム
の今季の停滞は難しい状況だったと思うが、私は将来の飛躍の為にあえて今季の停滞
を受容したチームを称賛したい。そして来季からはそのチームの計画に私が加われる
こともたいへん嬉しく思う。それだけ私の実力と経験値を買ってくれているというこ
とだからね。私もこのNeXXに来てからは決して満足のいく成績は残せていないし
周囲の期待を裏切っているのも承知している。去年はキミらにずいぶんと叩かれたか
らね(笑)。しかしNeXXの主役は既にバトラーやラスムッセンを中心とした若者
だよ、往生際の悪いニコ(ラムダ)あたりが頑張っちゃいるが(笑)私はこのアブラ
モビッチチームを強くするために来季全力を注ぐ。」と、ところどころジョークを交
えながら来季への抱負を語った。
ひとまず去就が未定であった大物の来季のシートが決まったのは喜ばしいことだが、
会見に参加した関係者やプレスからはバーンズの世代闘争に屈したともとれる発言を
残念がる声が多く上がった。「彼がチームにもたらす”経験”という無形の財産の価
値は確かに大きいが、それ以上の”ポイント”をチームに持ち帰る気はもう彼にはな
いようだ。」、「彼はは”レイジング・ブル”(チャップマン)に牙を折られてしま
ったのか。」などと口々にバーンズの消極的発言に苦言を呈した。
しかし一方では「彼は時が来れば覚醒するさ、チームオーダーを無視してチームメイ
トに噛みついた”あの時”のようにね。」と、バーンズの反逆に期待する声もある。
バーンズはF1でウ〇リアムズチームに所属した際、チームオーダーを無視してチー
ムメイトのオルティス・ライトマンとバトルを繰り広げた過去がある。彼が王座を獲
得した翌年のことだ。来季34歳となるバーンズに、まだ反骨精神は残っているだろ
うか。このままNeAXX未勝利で終わるにはあまりにも寂しすぎる、来季のバーン
ズの奮起に期待したいところだ。


◇セプター、カジワラ、カブロン・・・ いまだ来季去就が
                      決まらないシート喪失組の来季は?
              
来季の去就が注目された大物バーンズのシートが決定した陰で、未だ来季の行く先が
決まらないドライバーもいる。ちなみに現時点で今季限りでレギュラーシートを失い
来季のレギュラーシートが決まっていないドライバーは以下の通りだ。

J.S.カジワラ → 去就未定
F.デ・ランジェリス → リザーブドライバー降格(アブラモビッチ
A.カブロン → 去就未定
A.ティルクム → 去就未定
A.ファーシマス → 去就未定
J.セプター → 去就未定
D.リンドホルム → リザーブドライバー降格(アントネッティ

上記7名のうち、現所属チームのリザーブに格下げとなったデ・ランジェリスとリン
ドホルム以外の5人は、まだ来季の去就がはっきりとしていない。中には元F1王者
でNeXXで3勝をあげたセプターの名前も含まれている。彼らの来季のシートはど
うなるのだろうか?

ジョー・S・カジワラ
初年度から2年間トライアンフの2ndドライバーとして、日向と共にチームを支え
た。日系2世である彼だがメンタリティは”日本人”そのもの。チームマネージャー
真田幸治氏(来季から監督に昇格)とはF1時代も同じチームで走っていたことから
チームへの溶け込みも早かった。しかしその実績は常に日向の圧倒的なパフォーマン
スと比較され、結局今季を最後にチームから離脱が決定した。今後の去就は未だ不明。
しかしNeXXやF1からのオファーはなく、母国アメリカのインディカーからも声
はかかっていない。現状は何らかのスポーツカー、もしくは日本のスーパーフォーミ
ュラやスーパーGTへの移籍が噂されている。

アレンザンダー・カブロン
イギリスとタイの二つの国籍を持つ彼は、初年度から2シーズンに渡ってプルトンチ
ームに所属したが、チームはすでにカブロンとの来季契約を結ばない旨を発表してい
る。彼は元々ピットブルF1チームの育成プログラム出身だが、現在ピットブルとの
関係は解消されておりF1やNeXXのリザーブ含めピットブル移籍はないと考えて
いい。インディカー移籍の噂もなく、聞こえているのはDTMスーパーGTといっ
たスポーツカーカテゴリへの移籍の噂だ。昨季光る速さを見せたものの、今季は同僚
のヴィックスに水をあけられてしまい、他のNeXXチームからも声はかかっていな
い状況だ。2ndドライバー探しに苦心するマーキュリー、ファーシマスを放出した
シュトロゼックあたりが手を差し伸べてはくれないだろうか。流出してしまうには惜
しい才能だ。

アリエル・ティルクム
今季途中、第12戦ルーマニアGPを最後にクラークソンとの契約を解除したティル
クム。クラークソン側としては成績不振、一方のティルクム側としてはチームのサポ
ート不足を主張。ティルクムの側からチームに契約解除を申し入れたというが、ティ
ルクムのその後のビジョンについてはどこからも伝わってこない。ティルクムもカブ
ロン同様ピットブルのF1ドライバー育成プログラム出身だが、彼も既にピットブル
との関係は切れており今後の進路が見えない。一説にはスーパーフォーミュラに参戦
するとか、インディの中堅チームからオファーが来ているとか言われてはいるが、本
人が目立って行動に移していないため本当のところはどうなのかわからない状況だ。
NeXXではいくつかのチームが獲得候補に入れていたようだが、各チームとも続々
と来季の陣容が決定。チャイナドラゴンやシュトロゼックが接触したと言われている
が果たして・・・

アレオ・ファーシマス
2シーズンに渡ってロムニ・ダキアで戦ってきたファーシマスは、シュトロゼックの
来季の構想には入っていない。ハイネル氏はゲラの残留を軸に、2ndシートには下
位フォーミュラで実績のある若手を起用するつもりのようだ。NeXX以前のキャリ
アでタイトル獲得歴のないルクセンブルク人には辛いところだ。しかも昨季はペナル
ティが多くチームから契約条項にチーム独自の罰則規定を盛り込まれてしまい、”大
人しくなった”今季の走りには昨季のようなキレがなくなった。それでも予選では度
々シングルグリッドを確保し、その”一発の速さ”を評価する関係者は少なくない。
しかし着々と空きシートが埋まっていく中で、NeXX内の移籍先は限られてきてい
る。可能性があるとすればチャイナドラゴンか、ガジャックということになるだろう。
NeXXきっての”暴れん坊”がフェードアウト、なんてことにはなってほしくない
が・・・

ジョリー・セプター
未だ来季の去就が不透明なドライバーの中で、最も心配されているのがこの人だろう。
F1では”跳ね馬”でタイトルを獲得し、NeXXでは2シーズンで3勝をあげたセ
プターも未だ来季去就が決まっていない。2シーズン所属したチャイナドラゴンチー
ムは無情にも、セプターと3季目の契約を結ばない旨を決めた。セプターのチームへ
の貢献度を考えれば疑問を抱かざるを得ない決断だが、チャイナドラゴンが契約更新
を見送ったのは高額なサラリーが理由だと言われている。しかしこれだけの実績があ
れば財力のあるチームからお呼びがかかりそうなものだが、あいにく有力チームのシ
ートは殆ど埋まっている。マーキュリーという線もあるが、バトラーを脅かしかねな
い実力者をマーキュリーは嫌うだろう。実際マーキュリーはリサーチすらしていない
らしい。ここ数年はF1でも活発な移籍劇はなく、F1復帰の可能性も低い。スポー
ツカーなどのカテゴリからは引く手あまたのようだが、これだけの名手がフォーミュ
ラからフェードアウトしてゆくのは忍びない。『リトルベアー』はこのままNeXX
からもトップフォーミュラからも姿を消してしまうのだろうか?

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2シーズンで3勝をあげたセプター(写真左)の来季シートは未だ決まらず。高額なサラリー
がネックと言われるが獲得するチームは現れるか? またNeXXの名物ドライバー”暴れん
坊”ファーシマスも去就未定。来季のシート確保なるか?

いよいよ年末も近くなり、各チームのシートも続々と埋まって空きも少なくなってい
るが、上記5名のドライバーの来季の行く先はまだ決まっていない。特にこの2シー
ズンで3勝をあげているセプターがフリーランスの状態になってしまうのは、やや信
じがたい状況だ。今のところF1復帰といった話も聞こえていないが、このままでは
F1関係者との接触もありうる。左力者の宙ぶらりんなこの状況はNeXXとしては
憂慮すべき事態だが・・・ 初年度から2シーズンNeXXの文字通り創成期を彩っ
たドライバー達は、はたして来季も元気な笑顔を見せてくれるのだろうか。それとも
・・・・・


今季も激戦のうちに幕を閉じたNeXXの2ndシーズン。バトラーのドライバーズ
タイトル連覇、そしてチームタイトルはピットブルが連覇という形で終わったが、こ
のオフの動きは現在のパワーバランスを崩す可能性を秘めている。
ドライバーの移籍が活発化し、エンジンを変更するチームも現れた。また首脳人事含
め組織改革を試みるチームちらほら。これまでの2シーズンはドライバー、チームそ
れぞれ連覇という形で終わっているが、このオフの様子から見ると来季の選手権の様
相はまた変わってくるだろう。今から来季の開幕が待ちきれない!
今季は年末にオフシーズン号をリリースするが、その時には今よりもっと来季の様相
がはっきりとしてくるだろう。次号『オフシーズン号』のリリースをお楽しみに!!