☆ぽんつかのあたまんなか☆

◆ぽんつかの妄想から生まれた架空のレースカテゴリ  ・現代のF1に限界を感じたぽんつかが、F1でもない、インディでもない   フォーミュラeでもない架空のカテゴリを構想☆  ・独自開発による『すごろく式PC上ボードゲーム』としてレースを展開☆  ・それをただただ何シーズンもプレイしてセカイを構築してゆくだけの   旧究極の一人遊び☆  そのプレイ記事、レース経過・結果、シーズン総括などを載せてゆく。  それだけ!!(byケロちゃん)

Formula Nexxtream 2ndシーズン ドライバー総括

◆Formula Nexxtream
 ドライバー総括


初年度に続き、今季も大激戦が展開されたNeXX世界選手権。
今回はそんなNeXXの2ndシーズンを盛り上げたドライバーのうち
ランキングトップ10に入ったドライバーの総括をしていこう。
また昨季同様に、来季期待のドライバーと今季期待位を裏切ったドライバーも
上げていきたいと思う。今季はそれぞれランキングとは別に3名ずつ取り上げた。
来季既に移籍が決定しているドライバーもおり、3rdシーズンの戦力分布は
また微妙に変わっていく。来季の展望も含めて総括をしていこう。

 

f:id:pontsuka0729:20210926164911p:plainチャンピオン:アレックス・バトラー(マーキュリー)

昨季、開幕前の下馬評を覆してNeXX初代王者に輝いたバトラーだったが、
2シーズン目の今季も王者に輝いたのはバトラーだった。
それも今季は最終戦のレースが終わるまで、王座の行方が全く分からない大激戦。
王座を争った相手は今季もラムダだったが、特に最終戦のバトラーはあの手この手で
行く手を阻もうとする、ピットブルのチーム戦略を全て跳ねのけて
堂々の優勝で王座戴冠を果たした。昨季、王座のかかった最終戦スタート直後の
1コーナーで、ブレーキングミスを犯しあっけなくリタイヤしてしまったバトラー。
しかし今季の『魔術師』はそんな“脆さ”を克服したようにみえた。
中盤戦こそやや停滞があったものの、優勝回数は2位ラムダと同数の4回を数え
表彰台7回を含め実に15度の入賞を記録した。
出走18戦で入賞15回は参戦全ドライバー中トップの数字、さらに17回の完走も
全ドライバー中トップ。第10戦スウェーデンで多重クラッシュに巻き込まれた以外は
他全てのレースで完走を果たすという驚異的な安定感を発揮した。
中盤戦まで予選ではやや苦労したものの、終盤になってPPを3回獲得。
『魔術師』の2年目は“脆さ”を克服し“勝負強さ”を発揮したシーズンだった。
ラムダに対して9ポイントのビハインドで迎えた最終戦。予選でラムダを上回り
PPを獲得、決勝では序盤でタイヤパンクのトラブルに見舞われながら優勝し
ファステストラップのおまけつき。完全優勝で2度目の戴冠を果たしたバトラーには
逞しさを超えた神々しさすら漂った。
3連覇のかかる来季、ラムダをはじめとする他チーム・ドライバーからのマークは
更にキツくなるだろう。またドライバー王座は連覇したものの
チームタイトルは今季も逃してしまった。2ndドライバーの変わる来季からは
チームリーダーとしての役割も期待される。
マーキュリーが“最強チーム”となるためには、バトラーのさらなる成長が
重要となる。

 

f:id:pontsuka0729:20210926164934p:plainランキング2位:ニコ・ラムダ(ピットブル)

F1で3度王座を獲得したラムダだったが、NeXXでの王座戴冠の難しさは
少々彼の想定を超えていたかもしれない。
昨季は王者バトラーを上回る優勝回数を記録しながら、多発したマシントラブルにより
多くのポイントを失った。そしてそのパターンは今季も変わらなかった。
序盤戦ピットブルのマシンには、深刻なギアボックストラブルが発生した。
ヨーロッパラウンド直前の第5戦まででなんと4度のリタイヤを記録、うち3度が
そのギアボックスに起因するトラブルでのリタイヤだった。
完走した第2戦インドネシアは優勝、そして第3戦ドバイからは3戦連続で
PPを獲得しており、この序盤のリタイアさえなければ王座はラムダのものだったかも
知れない。今季の彼は昨季に続きシーズン4勝をマーク、PPも5度獲得しており
表彰台9回はバトラーを上回り参戦全ドライバー中トップの数字。
純粋な速さではバトラーを上回っていたと言っても過言ではないだろう。
9ポイントリードで最終戦を迎えながら、王座をバトラーに奪われたのは
いささか気の毒な気もしてしまう。
来季36歳を迎えるラムダ、彼自身が「自分にはあまり時間がない」と語る通り
キャリアの終焉が刻一刻と近づいている。ラムダは、タイトルを狙えるのは
自身がまだ戦える力を残している来季が最後のチャンスだと考えているだろう。
来季のラムダのパートナーは、今季終盤を共に戦ったボナパルトだ。
ボナパルトは最終戦で全力でラムダをサポートし、彼自身の持つポテンシャルも
存分に見せつけた。最強のパートナーであると同時に、最大のライバルにもなり得る。
来季ラムダはバトラーの他に、チームメイトとも戦わなければならないかも知れない。
しかし、マシンさえ壊れなければ王座を獲れる速さを未だ持ち合わせていることは
この2シーズンで既に証明済みだ。来季は開幕までに問題を洗い出し
万全の状態で初戴冠に挑みたい。

 

f:id:pontsuka0729:20210926164959p:plainランキング3位:ケリー・ラスムッセン(ノルディック)

初年度の昨季、我々に大きな驚きをもたらしたのがラスムッセンの躍進だった。
F1において初レースで2位表彰台というセンセーショナルなデビューを飾りながら
その後は尻すぼみで単なる“中堅ドライバー”に落ち着いてしまった彼が
NeXXでは2勝をあげ最終戦までタイトル争いに絡んだのだ。 
しかし今季のラスムッセンは精彩を欠いた。ランキングが昨季と変わらなかった分
よりその印象を強くさせた。今季は決勝に進んだ16戦中14完走、入賞11回を記録
安定して入賞を重ねていたことが判る。しかし結局はシーズン通して未勝利に終わり
表彰台も3度にとどまった。また2度の予選落ちを喫し、第8戦イタリアは
クラッシュ起因の棄権だったが、第17戦での予選落ちはモチベーションの低下を
心配されたほどだった。
今季はノックアウト方式の予選に手こずった感もある。それでも第13戦
アゼルバイジャンではPPを獲得したが、タイヤ交換でチームが用意するセットを
間違えるというありえないミスで優勝のチャンスを逃す。
今季はもっと躍進するだろうと見られていたノルディックチーム共々
期待外れに終わってしまった印象は強い。
そういった意味ではラスムッセンが精彩を欠いた原因はチームにもありそうだ。
シーズン途中のインタビューでは「どこかチグハグで、うまくいっていない。」と
彼自身語ったように、チームとの細かい連携不和があった。
新規参戦チームの躍進にも大きく影響を受けているだろう。
来季はチーム共々真価が問われるシーズンとなる。初年度のタイトル争いが
フロックだったと言わせないためにも、来季は再び直接タイトル争いに絡みたい。
来季の成績は彼の今後の去就に大きく影響するだろう。

 

f:id:pontsuka0729:20210926165018p:plainランキング4位:日向 俊郎(トライアンフ

『音速のサムライ』日向は今季、大きく躍進を果たした。
昨季の8位を上回りランキング4位、ついにタイトル争いに手が届くところまで来た。
勝利数は今季1勝と昨季を下回ったが、今季は安定感が大きく向上。
18戦中1度だけ予選不通過があったものの、17回決勝に進出し16度完走。
入賞は11回を数え、1勝を含め表彰台にも3度登壇、ポイントでも昨季を上回った。
そもそも一発の速さには定評があり、かつツイスティなテクニカルコースでの速さ、
巧さは誰もが認めるところ。日向に必要だったのは安定して入賞することだった。
昨季はアクシデントでのリタイヤが多かったが、今季はそれがなくなり
多重クラッシュに巻き込まれた第6戦イギリス以外は全戦完走。
勝てないレースでもきっちりとポイントを拾ってゆくレースぶりは
今後本気でタイトルを狙ってゆくという彼の決意の表れのようにも見えた。
昨季、今季ですでに日向は「勝てる」ドライバーであることは証明している。
安定感という面においては今季大きく向上した。あとはマシンの戦闘力だろう。
ピーキーと言われたレラシャシーのマシン特性は、今季大きく改善された。
日向の安定感の向上もそこに要因があるかも。あとはタイトルを狙えるエンジンだ。
来季、カムイはSUGOとタッグを組み、タイトル獲りに本腰を入れてくる。
“日本が本気になる”来季、日向はまずトップ3の牙城を崩したい。

 

f:id:pontsuka0729:20210926165039p:plainランキング5位:アレンザンダー・ロッソ(アントネッティ

今季、新参チーム『アントネッティ』へ移籍したロッソは、
なんと開幕戦でポールトゥウィンを飾ってファンや関係者を驚かせた。
しかしセンセーショナルな開幕戦以降はやや伸び悩んだ感がある。
中盤から終盤にかけてはややリタイヤも目立ち、安定感という意味では課題が残った。
しかし全体としては1勝含み6度の表彰台を記録。入賞9回中表彰台6回と
上位入賞の割合が高かったことが、ランキング5位に彼を押し上げた。
ラスト3戦で連続入賞しうち2戦が表彰台、予選でもシングルグリッドを記録。
昨季も後半戦に調子を上げてきたロッソは、今季も同様に終盤戦で復調した。
来季のロッソの課題は安定感か。今季のリタイヤは6回中4回が接触や単独スピン
というアクシデント絡み。また予選では開幕戦でPPを獲得したように
目の醒める速さを見せる時もあれば、最後尾に沈むことも2回。
ノックアウト方式の予選には各チーム、各ドライバーとも苦労させられたシーズン
だったがロッソも例外ではなかった。
チームのサポート体制は万全だが、来季はカレッジというイキの良い若手が加入。
うかうかしていると立場を逆転される可能性もある。
来季は安定感を身に着け、王座戦線に絡んでいきたい。

 

f:id:pontsuka0729:20210926165058p:plainランキング6位:デイヴィス・ファング(クラークソン)

今季のファングは完全に期待はずれのシーズンを送った。
昨季も直接タイトル争いには絡めなかったが、2勝をあげランキング4位と健闘した。
しかし今季は未勝利に終わり、ランキングも6位と昨季を下回った。
それでも前半戦は好調だったのだ。優勝はなかったものの予選では上位グリッドの
常連で、決勝レースでは2位表彰台に4度登壇した。
第7戦フランスでは最後尾からのスタートで2位に入り、第9戦オランダでは
マシン特性上苦手とされるコースでPPを獲得する等、今季こそはの活躍ぶりだった。
第9戦終了時点ではランキング3位につけていたのだ。
しかし次戦スウェーデン以降は4位が2度あるだけ、9戦で5回のリタイヤを喫し
ポイントも伸び悩んだ。ファングにとってスウェーデンは鬼門か。
クラークソンのマシン特性上の問題もあるが、低速ラウンドに入って調子を落とすのは
もうファングのお約束となってしまった。今季は相当フラストレーションが
溜まったようだった。安定して力を発揮できれば、タイトル戦線に絡んでくることは
間違いないが、そこが課題なのはF1時代から変わっていない。
らしいといえばらしいが、そろそろF1王者経験者らしい姿も見せてほしいところ。
スプレンダーを獲得した来季の活躍に、大きな期待がかかる。

 

f:id:pontsuka0729:20210926165148p:plainランキング7位:ビル・リヴィエール(マルドゥーク)

今季最も大きなサプライズだったのが新規参入チームの活躍だ。
中でもアントネッティとマルドゥークの2チームは、2人の所属ドライバーが
それぞれ1勝ずつをあげたのだ。そんな中でも最も印象的な活躍を見せたのが
このリヴィエールだった。第2戦ではグーデリアン共々予選落ちを経験するが
第4戦ブラジルでは初入賞を3位表彰台で飾る。
その後は第6戦イギリスから第11戦チェコまで6戦連続入賞、第10戦スウェーデン
ではヘビーウェットとなったコンディションをものともせず初優勝を飾った。
年間ポイントはわずかに100の大台に届かなかったものの、
決勝出走17戦で15完走、10度の入賞は初年度としては破格の活躍だ。
走りのスタイルはF1にいた頃からかわらず、アグレッシブにマシンを振り回し
前車を追い回すファイタースタイル。ゆえにタイヤの扱いにやや難もあるが
それを上回るだけのパフォーマンスを見せつけた。
確実性と戦略性が身についてくれば、NeXXでの王座獲得も夢ではない。
来季の成長に大きな期待がかかる、チャンピオン候補のひとりだ。

 

f:id:pontsuka0729:20210926170257p:plainランキング8位:アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(SLO)

今季ようやく念願のNeXX初優勝を経験したラ・ポルタ。
しかし今季は全体的に苦戦したシーズンと言っていい。新チームの参入でドライバーの
参戦人数も30人に増え、中堅SLOの立ち位置は微妙なポジションに。
入賞も僅か5回に止まった。しかしうち3回表彰台に登壇し初優勝もあげ
結果昨季をわずかに下回る80ポイントでランキングは8位にアップしたのだ。
ドライバーの多くが苦戦したノックアウト方式の予選では、シングルグリッドを8度
記録。入賞したレースでは全てシングルグリッドからスタートしており、
数少ない入賞のチャンスを逃さず結果に繋げたことがリザルトから見て取れる。
また表彰台に上がった3レースはメキシコ、アゼルバイジャンマカオ
難コースばかり。ラ・ポルタの技術、レースマネジメント能力の高さがうかがえる。
今季で引退との噂もあったが、来季もSLOから継続参戦する旨が発表され
ファンや関係者も一安心。明るく人懐っこい性格のラ・ポルタは
パドックの人気者だ。タイヤメーカーがヨコスカに代わる来季は、タイヤ使いの巧い
ラ・ポルタにチャンスだ。来季も表彰台の頂点を目指す。

 

f:id:pontsuka0729:20210926165207p:plainランキング9位:ジョリー・セプター(チャイナドラゴン)

来季の活躍に大きな期待がかかるのは、このセプターも一緒。
栄えある1stイヤーの開幕戦覇者は、来季クラークソンへの移籍が決定したのだ。
今季セプターは2勝をあげたが、表彰台に登ったのはそれだけで入賞は6度のみ。
なんと3度の予選落ちも経験した。
F1王者経験者としては屈辱のシーズンだったろう。
中盤で5戦連続ノーポイントに終わったあたりでは、モチベーションの低下も
囁かれたほどだった。しかし2勝目をあげた第16戦日本では、王者の走りを
見せつけた。1stシーズンでは完走した13レース中12レースで入賞し
驚異の入賞率でランキング5位に食い込んだセプターだが、
今季の結果は本人にとって不本意だろう。
2年間彼が屋台骨を支えたチャイナドラゴンチームは、彼との契約を更新しなかった。
しかし、そのおかげでと言ってはな何だが彼は、もっと期待のできるチームとの
来季契約を掴んだ。来季はファング共々タイトル争いに絡んでゆくことが期待される。
『F1四天王』でラムダに次ぐ戦績をあげているのがこのセプター、
ラムダ一人に活躍の場を独占させておく手はない。

 

f:id:pontsuka0729:20210926165223p:plainランキング10位:アレン・バーンズ(エヴァー・グラハム)

序盤で大きく低迷した昨季とはうって変わり、今季のバーンズは開幕から
3連続入賞、1PPと上々の滑り出しで今季は活躍するかに見えた。
しかしその後第4、5戦と2戦連続の予選落ちを喫し、第7、9戦で3位表彰台に
上がったものの、後半戦には大失速。結局今季の最高位は3位に留まり
バーンズは『F1四天王』において未だ唯一の未勝利者のままだ。
後半戦シングルグリッドを獲得した3戦のうち第15戦カナダでは多重接触
巻きこまれ16位フィニッシュ、第17戦カナダではピット作業のミスで大きく
順位を落として17位フィニッシュなど、ついていないレースも少なからずあったが
それにしても後半戦の失速ぶりは目に余った。
新規参戦チームが調子を上げてきたこともあり、中堅以下のチームにとって
厳しいシーズンとなった今季だが、エヴァー・グラハムも例外ではなかった。
バーンズは結局2シーズン在籍したエヴァー・グラハムでは、1勝も挙げられずに
来季アブラモビッチへと移籍する。アブラモビッチの今季を考えれば
バーンズの来季の状況は簡単ではないが、元F1王者の意地を見せてほしい。

 

☆来季のさらなる活躍に期待!!

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・ランキング7位:ビル・リヴィエール(マルドゥーク)
・ランキング19位:ミシェル・ボナパルト(ピットブル)
・ランキング22位:ファン・カレッジ(アントネッティ

来季の活躍を期待したいのはこの3名だ。リヴィエールは今季1年通して戦い、
新規参戦のマルドゥークにあって初優勝を記録。ポイントも100に迫る勢いで
ランキング7位でシーズンを終えた。
走りに華のあるファイタータイプのリヴィエールは、チームオーナーであるダムハン
殿下のお気に入りだ。開幕からNeXXにアジャストするまで数戦かかったが
その後の順応も早かった。近いうちに直接タイトルを争うような存在になるだろう。
その点で行けば、他の2名も来季ランキング上位に顔を出してくることが予想される。
カレッジは今季、弱小ガジャックにあって2位表彰台を記録。第16戦日本では
PPも獲得した。いずれも舞台はウェットコンディション。真に速いドライバーは
雨で速いという、レース界の通説を地で行くイキの良い若手だ。来季はアントネッティ
という“勝てる”チームへの移籍が決定。期待がかかる。
そして今季第13戦からピットブルのステアリングを握ったボナパルトも有望株だ。
F1での優勝経験もあるボナパルトは6戦で3位表彰台2回を記録。
終戦ではその驚異的なタイヤマネージメント能力をいかしてラムダをサポート。
バトラーを最後まで苦しめた。マイネをリザーブへと追いやった実力は本物だ。
来季悲願の王座獲得を狙うラムダの、最大のライバルになる可能性も指摘されている。

 

★今季期待を裏切った!!

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・ランキング3位:ケリー・ラスムッセン(ノルディック)
・ランキング6位:デイヴィス・ファング(クラークソン)
・ランキング13位:カーティス・マルケーナス(マーキュリー)

逆に今季期待を裏切ったのがこの3人だろう。ラスムッセンに関しては
ランキング3位のドライバーに“期待はずれ”の烙印を押すのもいささか気が引けるが
昨季の戦いぶりを見ればそれも致し方ないだろう。最後までタイトルを争った結果の
昨季の3位と、トップ2に大きく水をあけられての今季の3位では意味が違う。
ラスムッセンには今季、昨季以上にやれるとの期待が欠けられていたのだ。
チームとの連携不和もささやかれているが、来季の戦績如何では移籍もあるか。
ファングも今季、タイトル争いに最後まで絡むだろうと見られていたドライバーだ。
しかし彼は結局今季未勝利に終わり、後半戦に大失速した。
ただしファングに関しては来季、スプレンダーエンジンという大きな“武器”を得る。
ファングは既に来季の巻き返しを誓っているはずだ。
そしてもう一人、ファンや関係者の期待を大きく裏切ったのがマルケーナスだ。
昨季はトップフォーミュラ初参戦で初優勝を飾ったが、今季は表彰台に乗ることすら
かなわなかった。ポイントも昨季の97に対し今季は約半分の54にとどまった。
特に後半戦のレースで精彩を欠き、チームタイトルを狙っていたマーキュリーにとって
大誤算のシーズンとなった。来季はエヴァー・グラハムへ移籍するが、
果たして初年度のような活躍が見られるだろうか。

 

以上、2ndシーズンのドライバー総括でした☆

NEXXTREAM PRESS 「シーズン最終戦号」

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◆シーズン最終戦

 

◇ついに王座決定! 激闘の2ndシーズンを振り返る!!

終戦アメリカGPの終了をもって、マーキュリーのアレックス・バトラーが2季連
続で王者に輝いたNeXX2ndシーズン。今季は第17戦を終えた段階で、ピット
ブルのニコ・ラムダが9ポイントリード。ラムダがバトラーに先着さえすれば初のタ
イトルはラムダのものとなる展開だったが、最終戦で強さを発揮したのは”魔術師”
バトラーだった。
「最終戦でPPを取られたのが痛かった。あれがなければ決勝のレース運びはもう少
し楽になっただろう。しかし彼(バトラー)は予選で最速を記録し、我々が敷いた包
囲網もくぐり抜け、しかもファステストラップまでも記録した。あのアイルランド
は最後の最後で完璧なレースをやってのけた、悔しいが脱帽だね。」とレース後、2
年連続でタイトルに届かなかったラムダはバトラーの戦いをたたえた。
一方レース後のバトラーは憔悴しきった表情で、しかし弱々しくも笑みを浮かべつつ
「キツかった。NeXXで走った中でもいちばんキツかった・・・。」とこぼした。
「序盤のパンクチャですべてのプランが狂ってしまった。予定よりもずっと早い段階
でタイヤ交換を強いられ、プッシュしつつもタイヤをケアしなければならないという
難しい状況に追い込まれた。最後のスティントをソフトで行くかどうかは賭けだった
んだ。ボナパルトが僕を抑えにくるのは承知の上だった。手こずったよ、抜けないと
思っていた。ボナパルトは僕以上にタイヤを労わりながら僕を抑え込んでいたんだね、
終盤に僕が彼を追い抜いた時彼は2回目のストップを済ませていなかった。驚異的だ
よ、もうダメかと思った。」とバトラーは語り、ピットブル勢との戦いは最後まで激
しいものだったと打ち明けた。

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終戦で逆転王座を射止めたバトラー。その表情からは
ピットブル勢との攻防が激戦だったことが読み取れる

ラムダの9ポイントリードで迎えた最終戦の舞台ロングビーチ、昨季とは違い相手有
利で最後の戦いに挑んだバトラー、しかしバトラーは予選でPPを獲得。これでPP
ポイント3を追加し、ラムダとの差を6ポイントに縮めて決勝に臨んだ。一方予選2
番手のラムダは、PPは奪われたものの何位であろうがバトラーに先着すれは良い。
後ろの3番手にはチームメイトのボナパルトがいる。ピットブルは総力戦でラムダの
初戴冠をアシストする作戦だった。しかしこの”何位であろうがバトラーに先着する”
ということの難しさを、ラムダはじめピットブル陣営は最終戦で思い知らされる。
「ミシェル(・ボナパルト)には感謝している。私の戦いに全面的に協力してくれた。
あのフランス人はタイヤの使い方が驚異的にうまい。ミシェルがバトラーの前に立て
ば彼が盾になる、作戦の趣旨は一貫してそうだった。彼はその通りの役割を完璧にこ
なしてくれたよ。彼は1セット目のソフトタイヤを9ターンもたせたんだ、まったく
信じられんよ。しかし我々はあの”小賢しいアイルランド人”に敗れたんだ。大した
”魔術師”だよ。」
「今季は序盤戦が全てだった。ギアボックスに問題を抱えていた私たちのクルマは、
信頼性が驚くほど低かった。3戦連続で同じトラブルでのリタイヤはバカげていた。
正直今季はタイトルに絡めないと思っていたよ。でもバトラーも完璧じゃなかった。
彼は一度調子を落とすと立て直すのに時間がかかるタイプのようだ。ギアボックスの
問題が解決してからは、彼とのギャップはどんどんと埋まっていったよ。しかし彼を
倒すのは一筋縄ではいかないな。彼は脆さの半面土壇場で驚異的な強さを見せる時が
ある。そういう、ある意味理屈では語れないものを持つ人間を相手にするのは、本当
につかれる。私は理屈で説明できないことが大嫌いなんだ(笑)。私は来季36歳に
なる、もうあまり時間もない。F1では3度王座を獲ったがここ(NeXX)ではそ
んな実績も関係ない。私は来季王座を獲るために全力で戦う。」と早くも来季の王座
奪還を、珍しく熱い口調で心に誓った。

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一方のラムダは王手をかけての最終戦だっただけに
悔しさをにじませた。来季は万全の体制での雪辱を誓う。


一方でラムダをアシストしたボナパルトにも思惑はある。「このチームはニコのチー
ムだ。F1での比類なき実績を携えてNo.1に迎えられ、2年連続でタイトル争い
をしている。来年僕はもう1年ニコのチームメイトとして戦える。学ぶべきところは
たくさんあるよ。もちろん近い将来僕がタイトルを獲るためにね。今季は6戦走った
けど手ごたえは得ている、予選で苦戦した箇所もあるが大きな問題じゃない。来季は
ニコから多くのものを学ぶ期間だと思っている。その上でまたチームがタイトルを獲
れたらいいね。」と穏やかな笑みで、不敵なビジョンを語った。

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今季終盤にNeXXデビューしたボナパルトの口からは、早くも
タイトルを狙う旨の発言が飛び出した。この6戦、特に最終戦
で見せた走りを見れば、”その”瞬間も遠くはないかもしれない。

今季のチャンピオンシップは序盤からバトラーが快進撃を見せた。新参チーム、アン
トネッティのロッソが優勝した開幕戦で5位入賞をはたすと、以降も5戦連続入賞。
第4、6戦で優勝し開幕戦から6戦で2勝、他2度の表彰台含み6戦連続入賞で、こ
の時点でランキング2位だったロッソに39ポイント差をつけバトラーはトップを独
走。第2戦で優勝しながらも6戦で4度のリタイヤを喫したラムダには、実に45ポ
イントの差をつけていた。それでもラムダがこの時点でランキング3位につけていた
のは、第6戦の2位表彰台と第3戦からの3戦連続PPのおかげだった。序盤ギアボ
ックスのトラブルに泣かされていたラムダは、決勝を走り切れないならせめて取れる
ポイントは獲って帰ろうと、予選に戦略の比重を置きチームの問題解決を待った。
そしてギアボックスの問題がクリアになってからはラムダが本来の強さを発揮する。
舞台は第6戦からヨーロッパに移っていたが第7戦から第12戦、ヨーロッパラウン
ドは事実上ラムダが征服した。第7、9戦と2勝をあげPPも2度獲得、一方第7戦
でリズムの狂ったバトラーは第12戦で3勝目をあげるも、この期間での表彰台はこ
れ1度きり。入賞も3度にとどまり、ランキングは第9戦でラムダに逆転を許す。第
12戦終了時点ではラムダ144ポイントに対しバトラーは136ポイント、一時期
バトラーに45ポイント差をつけられていたラムダの8ポイントリードに変わってい
た。
しかし選手権は全18戦の長丁場、このままの流れでいかないのがチャンピオンシッ
プだ。バトラーは第12戦の優勝で不調から脱しつつあった。対するラムダは第13
戦からややリズムを崩す。風の強いことで知られるアゼルバイジャンでピットブルの
マシンが大苦戦。このレースがNeXXデビュー戦となったボナパルト共々予選で下
位に沈み、ノーポイントでレースを終えてしまう。しかも今季は、いや今季もという
べきか、初勝利を記録した面々含め系10人のウィナーが誕生したNeXX、第13
戦からはラ・ポルタ、リンドホルム、グーデリアンという伏兵が次々と表彰台の頂点
に立ち、チャンピオンシップをかき回す。これにやや翻弄されたラムダ、そしてバト
ラーだったが、バトラーは終盤にきて予選で速さを見せ第14、15戦で連続PPを
獲得。市街地コースの予選で苦しんでいたピットブル勢を横目にポイントを伸ばし、
第16戦終了時点でなんとラムダを1ポイント上回り再びトップに返り咲くのだ。
ここで終わらないのが3度のF1王者ラムダ。第17戦ではラムダが底力を発揮し、
3番手スタートからの独走劇で優勝。ランキングでバトラーを9ポイント上回り、状
況としては逆王手の状態で最終戦へ。これで誰もが今季はラムダがタイトルを獲ると
思った。しかし、なんと最終戦の予選で劣勢のバトラーは、ラムダのタイムをわずか
に上回り今季3度目のPPを獲得するのだ。少しでもビハインドを縮めて決勝に臨み
たい、バトラーのタイトルへの強い執念が土壇場での3ポイントを引き寄せた。これ
でラムダとバトラーのポイント差は6。最終戦の決勝はPPのバトラーがラムダ、ボ
ナパルトの2台を従えてのスタートとなった。
終戦の決勝は波乱の展開。トップでスタートしたバトラーは序盤でタイヤがパンク
するトラブルに見舞われ、予定外のピットストップを強いられる。何位であろうがラ
ムダの後ろでフィニッシュすれば、その時点でラムダの王座が決まる。タイヤ交換で
トップを明け渡したバトラーは、束の間ピットブル勢に1-2走行をゆるす。マーキ
ュリー陣営はあせりの色を濃くする。しかしレースは地元アメリカのカジワラがエン
ジンブローでリタイヤし、セーフティカーが出動。このタイミングで最初のタイヤ交
換を行ったラムダが5番手にさがると、バトラーはトップに立ったボナパルトを驚異
的なラップタイムで追撃。8ターン目にボナパルトをかわしてトップに返り咲く。
タイヤ戦略の狂ったバトラーは2セット目のハードタイヤを限界まで引っ張り2度目
のピットイン。その間にピットブルはまたも1-2体制をとなるが、そんなバトラー
に報いるべくマーキュリーのピットクルーは2度目のタイヤ交換を快心のピット作業
で決め、バトラーをコースへ送り出す。ピットブルとしては3台のすぐうしろを走る
クラークソンのファングを間に挟みたかったが、バトラーはファングの前で復帰。こ
こからNeXX史上に残る王座をかけた激闘が展開される。
トップのラムダ、2番手のボナパルトはとにかく逃げる。そしてバトラーから2ター
ン遅れの19ターン目にラムダが2度目のピットイン、3番手でコース復帰する。こ
こで一時的にトップに立ったボナパルトが、バトラーの前に立ち塞がった。しかしバ
トラーが十分に熱の入ったソフトタイヤなのに対し、一方のボナパルトはガケを迎え
たハードタイヤ。明らかにペースの違う2台だが、ボナパルトは懸命に抑え込みラム
ダが追いついてくるのを待つ。しかしレースも残り5ターンというところでボナパル
トのタイヤはついに限界を迎えた、ボナパルトはラムダの接近を待たずしてバトラー
にトップを明け渡す。
前が空いてからのバトラーは速かった。ラムダも懸命に追撃をかけたが差は詰まらず。
結果2ndシーズンのタイトルはバトラーが最終戦優勝で手中に収めた。そしてドラ
イバーズ選手権で敗れはしたピットブルだが、2-3フィニッシュでこちらも堂々の
チームタイトル連覇を達成。激闘の2ndシーズンは今季もアメリカでその幕を閉じ
た。

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新たに3チームが加わり、計30台のエントリーとなった2ndシーズン。ノックア
ウト方式に変更された予選は、26台の決勝進出枠をめぐり熾烈な戦いが展開された。
先述の通り決勝では18戦で10人のGPウィナーが誕生し、うち6名が初勝利とい
う群雄割拠のシーズンだった。しかし、終わってみれば昨季以上にラムダvsバトラ
ーの対決図式が鮮明になったシーズンでもあった。昨季ラムダと同ポイントでランキ
ング3位に食い込んだノルディックのラスムッセンは、今季も3位だったもののシー
ズン通して未勝利におわり、ポイントでも大きく水をあけられた。
クラークソンのファングにしても、前半戦の絶好調がウソのように後半は鳴りを潜め
てしまった。しかし代わりにアントネッティやマルドゥークといった新規参戦チーム
が活躍。そして日本期待の日向俊郎がランキング4位に食い込んだ。NeXX参戦各
チームの戦力バランスが浮き彫りになってきた一方で、来季もまた今季同様の混戦模
様となることを予見させる要素がたくさんあった。
チーム力ではやはりピットブルとマーキュリーが2強、しかしそれに続くノルディッ
クやクラークソン、新参のアントネッティとマルドゥークもポテンシャルの高さを見
せつけた。また日向がランキング4位につけたトライアンフには来季、ピットブルで
ラムダの初代パートナーを務めたルドルフ・マイネが移籍する。来季も今季に劣らず
群雄割拠のチャンピオンシップになること間違いなしだ。2年連続、最終戦でドラマ
チックに王座が決定したNeXX、来季はバトラーが3連覇するのか、ラムダが悲願
の初戴冠を果たすのか、それとも・・・。2ndシーズンは終わったばかりだが、来
季への期待は高まるばかりだ。


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■レースリポート

◇第17戦 カナダGP エキシビジョンプレイス市街地サーキット

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PP:ゾルタン・ゲラ(ロムニ・ダキア

ロムニ・ダキアのゲラが初PPを獲得したカナダGPだが、注目はタイトル戦線のゆ
くえ。ポイントランキングは前戦日本でバトラーがラムダを、わずか1ポイント上回
りトップに返り咲いた。しかしこのレースラムダが3番手がスタートに対し、バトラ
ーは予選で11番手に沈む。レースはスタートでフロントローのゲラ、リヴィエール
の2台がモタついた隙を突きラムダがトップを奪ってからはラムダの独壇場。
序盤でセーフティカー出動が1度あったものの、それ以降はノーアクシデントで進み
最終的にはラムダが独走で優勝。今季4勝目をあげた。11番手スタートのバトラー
はそれでも猛烈な追い上げを見せたが2位ロッソにも届かず、辛うじて3位表彰台に
滑り込んだ。タイトル争い大詰めで勝負強さを見せたラムダ、これでポイントランキ
ングは再びラムダの9点リードに変わる。タイトル争いは今季も大接戦で最終戦まで
もつれ込んだ。

優勝:ニコ・ラムダ(ピットブル)
2位:アレンザンダー・ロッソ(アントネッティ
3位:アレックス・バトラー(マーキュリー)


◇第18戦 アメリカGP ロングビーチ市街地サーキット

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)

ラムダの9ポイントリードで迎えた最終戦。バトラーの逆転王座は難しい状況で迎え
たが、しかしバトラーは予選でPPを獲得。土壇場でポイント差を3詰めて決勝、ラ
ムダとの対決に臨んだ。レースはPPのバトラーがピットブル2台を従える形で進む
が、序盤でバトラーにパンクチャのトラブルが発生。バトラーは予定より早いタイヤ
交換を強いられる。一方のピットブルはボナパルト含め総力戦でラムダをアシスト。
ボナパルトは自身のタイヤ交換のタイミングを大きく遅らせ、バトラーの行く手を阻
む。しかしバトラーは自身の驚異的なタイヤマネジメント、そして2度目のタイヤ交
換での会心のピット作業もあり、終盤にはトップでレースを進める。一方、終盤新品
ソフトタイヤでの追撃を図ったラムダは、最終的にECUトラブルでパワーダウン。
結果ポイントでの劣勢、序盤のトラブルを跳ね返したバトラーがPP、FLまで獲得
して完全優勝。大逆転でタイトル連覇を決めた。チームタイトルは2-3フィニッシ
ュを決めたピットブルのものとなり、こちらも連覇となった。

優勝:アレックス・バトラー(マーキュリー)
2位:ニコ・ラムダ(ピットブル)
3位:ミシェル・ボナパルト(ピットブル)


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■NeXX Topix

◇ヨコスカ、来季用のハードタイヤのさらなる改良を検討?
                  ロングビーチでユーザーミーティングを開催

トライアンフやクラークソンなど6チームにタイヤを供給するヨコスカが、来季用の
ハードタイヤの改良についてユーザーと意見交換を行うため、最終戦の舞台ロングビ
ーチのパドックでミーティングを行った。
ヨコスカ勢は今季前半戦、ノックアウト方式の予選で大苦戦していたが、ユーザーの
求めもありハードタイヤのスプリント性能を向上させるために大幅な改良を実施。第
13戦アゼルバイジャンフリー走行から”改良ハードタイヤ”を投入していた。こ
の新ハードタイヤの投入後はヨコスカ勢の戦績は目に見えて改善され、日向やセプタ
ーといったそれまで下位に沈むことが多かった実力者たちが、軒並み予選で上位に食
い込むようになった。事実決勝でも新タイヤ投入初戦のアゼルバイジャンでは日向が
2位表彰台、プルトンのヴィックスが4位入賞。第16戦日本ではセプターが今季2
勝目をあげている。投入後の4戦で1勝をマークし、最大の懸案事項であった予選も
PPこそないものの日向はアゼルバイジャンフロントローを獲得。セプターは目に
見えてシングルグリッドが多くなり、プルトン勢やアブラモビッチ勢のパフォーマン
スも上がってきた。ヨコスカタイヤの戦闘力はこの新タイヤ投入で、スプリント性能
含め大きく改善されたといっていい。
来季に向けても好感触を得たヨコスカだが、さらなる性能向上を目指した開発体制も
準備しており、今回のミーティングではまたさらなる新タイヤを導入するか否か、チ
ームの意向を確認したようだ。ヨコスカの玉島裕久開発チーフは「新タイヤについて
ホッケンハイムのテストでも、アゼルバイジャンでも非常に好感触を得ていました。
各チームからも非常にいいフィードバックをもらえましたしね、よかったです。レー
スディスタンスに関してもトータルのライフの落ちは想定したほどではありませんで
したし、いわゆる”ガケ”に関しても各チーム許容範囲と考えているようですね。」
と話し、ひとまず改良新タイヤ投入は成功との見解を示した。一方で「決勝レースで
のソフトとの組み合わせで、トータルストラテジーとしてヴァシュロン勢と戦えるか
という点で、各チームがどう考えているのか聞きたかった。」とも語り、「ライフが
短いとはいえやはりヴァシュロンさんのソフトの性能はアドバンテージなんですよ。
だから各チームそれに対してどういう考え方でレース戦略を立てるかが、我々にとっ
ても重要でした。もしソフトに対してとか、新ハードに対しても上澄みを期待してい
るようなら考えないと。でもそうなると当然こちらの開発コストも上がるので、その
分も含めてヒアリングをしました。」とのこと。
「レースに対しても反応はとてもポジティブで、うちはレースによってはオールソフ
トでいける場所もあるし、戦略の幅は広い。とにかく予選が戦えるようになったこと
が各チームとも何よりも大きいとのことでした(笑)。」と語り、来季以降もひとま
ず現行タイヤの供給を続けるとした。
1stシーズンは18戦中6勝と健闘したが、今季は新タイヤ投入までは12戦2勝
と苦戦が続いたヨコスカ勢。新たな予選方式にも順応したタイヤで、来季はまたヴァ
シュロンに真っ向勝負を挑む。

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第13戦からヨコスカの持ち込んだ”改良ハードタイヤ”は各チームからも概ね好評だった。開発コスト
と性能の妥協点を見出したヨコスカは来季もこのタイヤを供給する。写真左は開発チーフの玉島氏


◇欧州にストリートレースを! コペンハーゲンが市街地開催に名乗り

5th、いや早ければ4thシーズンのカレンダーに、また新たな公道レースが加わ
るかもしれない。北欧の国デンマークが、首都コペンハーゲンでの市街地レース開催
を計画していると欧州有力各紙が報じた。開催が実現すれば第10戦スウェーデン
とって変わるか、あるいは第11戦チェコとの入れ替えで北欧2連戦となる可能性が
あるという。

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デンマークの首都コペンハーゲンは、スカンジナビア半島ユトランド半島の間にある
シェラン島の東端に位置する。歴史ある美しい町並みは「北欧のパリ」と形容される。

コペンハーゲンでの市街地レースの開催は2017年に計画が持ち上がり、2020
年のF1カレンダー入りを目指して進められていた。しかし、デンマーク人ドライバ
ーのケリー・ラスムッセンがF1からフェードアウトしその後の、当時のコロナウィ
ルスの世界的拡大も影響し開催計画は凍結状態だった。しかしラスムッセンのNeX
X進出、そしてNeXXでの活躍ぶりもあり開催計画が再浮上。今度はF1ではなく
NeXXの招致を目指し本格始動したようだ。
FNOの運営統括部長であるデイトン・ビルは「このデンマークGPの計画はコペン
ハーゲン側からアプローチがあった。しかも計画が持ち込まれた時点で、かなり練り
込まれたものであることがわかった。それもそうだろう、コペンハーゲンはかつてF
1を開催しようとしていたんだからね。F1との話し合いはかなり良いところまで行
っていたと思う。しかしラスムッセンがNeXXに転出し、北欧のチームも参戦して
いるとなれば彼らの興味がこちらに向くのも当然だろうね。現在スウェーデンGPが
我々のカレンダーにあるが、デンマークGP開催の可能性は低くはないよ。」と語り
コペンハーゲンのフランツ・ジェンセン市長をはじめ主催者側とも既に接触してい
ることを明かした。
デーンマークGP開催計画は元デンマーク政府の大臣ヘルグ・ツェンダーとサクソバ
ンクの元オーナー、ルース・シェーア・クリスチャンセンが策定。このふたりとコペ
ンハーゲン市長であるフランツ・ジェンセンが立ち上げた『デンマークGP組織員会』
を中心として計画は進められてきた。
「日本GPが終了した後、私はハーディー(・フラッシュ)とともにコペンハーゲン
に赴き、そこで市長らと話をしたよ。開催計画はかなり具体的なもので、すでにコー
スとして使用する区間の詳細な地図も見た。彼らは本気だったよ。計画はすでに開催
当日のタイムテーブルや、封鎖箇所含めた警備計画、そして重機やマーシャルの配置
まで策定されていたんだ。私は非常にポジティブな印象を受け取った、デンマーク
Pはすぐにでも開催できるとね。」とビル統括部長。
「開幕から2シーズンが経過したNeXXにおいて、デンマークをはじめとする北欧
諸国はすでに切り離すことのできないキーパーツだ。ラスムッセンはタイトル争いを
しているし、ノルディックチームも強豪と言っていい位置づけだからね。現在第10
戦としてスウェーデンGPを開催しているが、そこにデンマークGPが入る可能性は
大いにあるよ。スウェーデンと隔年でもいいし、スウェーデンの前後に加えて連戦に
してもいい。欧州ラウンドには市街地戦がひとつしかないから、実現すればカレンダ
ーとしても面白くなるんじゃないかな?」と語り、実現に向けての動きが積極的なも
のであることを匂わせた。

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FNO運営統括部長のデイトン・ビルは、比較的早い段階での
デンマークGPのカレンダー入りの可能性を示唆した。

実際のところ第10戦近辺は欧州ラウンドと呼ばれる期間に該当し、開催地候補も多
く調整は簡単にはいかないだろう。しかし、ビル統括部長の言葉通り北欧諸国は、既
にNeXXにおいて重要な国々となっている。北欧ゆかりのチーム、北欧出身のドラ
イバーの活躍は興行面にも大きく影響しており、スウェーデンGPは開幕から2年間
でのべ30万人以上の観客を動員しているのだ。1970年代にF1での自国ドライ
バーの死亡事故をうけてGP開催を封印してきたスウェーデンだが、自動車レースの
人気は相変わらず高いのが実情である。また、これもビル統括部長の言葉通り欧州ラ
ウンドに市街地レースが加わることは大きな魅力のひとつだ。今季のカレンダーでい
えば第4戦のブラジル以降は第12戦ルーマニアまで、パーマネントコースでのGP
が7戦続いた。これが4thシーズン以降になればルーマニアはドイツとの隔年開催
の可能性が高く、第13戦はアゼルバイジャンがカレンダーから消えカザフスタン
Pの開催が予定されているため、シーズンによってはまるまる市街地戦のない欧州ラ
ウンドが展開されることになる。そういった意味でもコペンハーゲンでのストリート
レースは、非常に大きな価値を持つ。今後の進展に注視して行こう。


エヴァー・グラハム、来季DMWエンジン搭載を発表!
              4thシーズンからの新パワーユニット時代を見据え

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スプレンダーとの2年間のパートナーシップに終止符を打ったエヴァー・グラハムは
DMWとの契約締結を発表。写真左はエヴァー・グラハムのオーナー兼監督、マーシュ
エヴァー、写真右はDMWの開発責任者タリオ・マイセン。

エヴァー・グラハムチームが、4thシーズンの新エンジンフォーマットの導入を待
たずして来季から、エンジンサプライヤーを変更する旨を発表した。最終戦アメリ
GPのパドックでプレスリリースが出され、金曜のフリー走行前に記者発表が行われ
た。発表によるとエヴァー・グラハムは、来季よりドイツのDMWとエンジン供給契
約を結んだという。会見にはチームオーナー兼監督のもとF1ドライバー、マーシュ
エヴァーとマネージャーのピーター・ウォーニングが姿を見せ、DMWのNeXX
用エンジン開発責任者、タリオ・マイセンの姿もあった。
エヴァー・グラハムはオーストラリア国籍のチームだ。チームはともに元F1ドライ
バーのマーシュ・エヴァーとデヴィッド・グラハムの共同経営で、2人ともオースト
ラリア人。開幕シーズンから2シーズン使用してきたスプレンダーエンジンも、オー
ストラリアのエンジンビルダーだ。エースドライバーにもオーストラリア人のアレン
・バーンズを起用しチームはナショナリズムを強調してきたが、ここに来てマシンの
心臓部であるエンジンを国外メーカーへと変更することになった。
会見に出席した共同オーナー兼監督のマーシュ・エヴァーは「今回、来季からDMW
との供給契約を締結できたことを非常に喜ばしく思う。同時に、これまでの2年間を
共に戦ったスプレンダーには大変感謝している。自国のメーカーとの契約を解消する
のは心苦しい限りではあったが、我々は来季以降をこのドイツの『老舗エンジン屋』
とともに戦うことを決めた。これはポジティブな選択であり、新フォーマットへの変
更を見据えたうえで重要な選択だった。」と語った。
「スプレンダーは現在間違いなくNeXX最強のエンジンだ。ピークパワーとトルク
のバランスがとてもよく、どんなコースでも最大限のパフォーマンスを発揮できてい
る。ただ我々は、そして我々のシャシーはそれを活かしきることが出来なかった。正
直レラシャシーとスプレンダーの組み合わせは我々以外に無いので比較対象がないの
が残念だが、レラシャシーにはスプレンダーエンジンはマッチしない。おそらくアシ
ュトンにしてもそうだろう。スプレンダーは高次元でバランスの取れたエンジンだが
やや大きく少しばかり重心が高い。コーナリングマシンには不向きなエンジンだった
と言える。その点レラシャシーで好成績をあげているのはカムイやDMWといった、
コンパクトでパッケージングユーティリティに優れたエンジンだ。シャシーを変える
かエンジンを変えるか、我々は難しい決断を迫られたが、DMWの新エンジンフォー
マットの方向性に賛同した我々は、レラシャシーにDMWのパッケージで来季以降戦
うことに決めたんだ。」とエンジン変更に至った経緯を説明した。
DMWのタリオ・マイセンは「今回エヴァー・グラハムチームとエンジン供給契約を
締結できたことは、我々にとっても非常にポジティブな出来事だ。我々は新フォーマ
ットに対してチャレンジングな開発体制を整えているし、チームはそれに賛同してく
れた。我々はこれから「運命共同体」になる、と言ったら大げさかな? 供給チーム
は他にもあるわけだからね。しかしどうだい?「グラハム・DMW」という響きには
何か運命めいたものを感じないかい? かつてF1で頂点に立ったパッケージが、こ
のNeXXで復活するんだ。我々だって胸の高鳴りを抑えられないよ。我々はエヴァ
ー・グラハムチームと新たなチャレンジに身を投じてゆくことを、大変嬉しく思って
いる。」と珍しく興奮気味に語った。
現状ほかのDMWユーザーからはエンジン変更の発表がないため、このままいけば来
季はエヴァー・グラハムの他アブラモビッチドラゴンフォース、SLOの計4チー
ムへの供給体制となるDMW。開幕から2シーズンはスプレンダー、アシュトンバー
金の後塵を拝してきただけに、これはマニュファクチャラータイトル獲得のためには
追い風だ。新エンジンフォーマットになる4thシーズンから同タイトルは廃止され
るため、DMWとしては是が非でもタイトルが欲しいところだろう。またエヴァー・
グラハム側としては、最強エンジンを搭載していながら2シーズン未だ未勝利という
ジレンマもあったかもしれない。テクニカルディレクターのフィル・デンハムなどは
スプレンダーが自国チームの自分たちより、タイトルに近いマーキュリー陣営のサポ
ートに比重を置いていると考えていたフシもある。そういったこともあり、今回チー
ムはこのタイミングでのエンジンチェンジに踏み切ったようだ。
タリオ・マイセンが語った通り、ここに1983年にF1ドライバーズ王座に輝いた
『グラハム・DMW』が復活した。しかも4thシーズンに投入予定のエンジンが直
列4気筒ターボとくれば、オールドファンならずともレースファンなら大きな期待を
寄せるところだ。しかし4thシーズンからはデンプシーがシャシーサプライヤー
して参戦、エンジンメーカーの参戦枠上限も撤廃され群雄割拠のシーズンが予想され
る。4thシーズンの覇権争いを見据えるエヴァー・グラハムはまず来季、これまで
の低迷を払しょくし4thシーズンへつながる活躍をしなければならない。来季のエ
ヴァー・グラハム・DMWの活躍に注目だ。

 

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■PADDOCK PRESS


◇シュトロゼック、ロムニ・ダキアの買収完了!
         来季のチーム名は『シュトロゼック・ロムニダキア・AS』!!

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ついにシュトロゼックのロムニ・ダキア買収が完了。これでシュトロゼックはトップ
フォーミュラでのタイトル獲得という野望への足掛かりを確保した。双方ともあくま
でも対等のパートナーシップである旨を強調するがはたして・・・

かねてから進行中だった、シュトロゼックによるロムニ・ダキアチームの買収手続き
がこのほど完了した。ドイツのタブロイド判全国紙ビルトをはじめガゼッタ、レキッ
プ、ムンド・デポルティーボといった各国のスポーツ専門紙が報じている。
1stシーズンより参戦していたルーマニアのプライベートチーム、ロムニ・ダキア
はチーム強化のため今季中盤ごろからシュトロゼック側との買収話を進めていた。昨
季は苦戦しながらも1勝をあげたが今季は低迷、今後のチーム運営体制の強化を目指
しビッグコンストラクターからの買収を受け入れた格好だ。一方のシュトロゼックも
総帥フランツ・ハイネル氏のトップフォーミュラでのタイトル獲得の野望実現のため
今季の早い段階でロムニ・ダキアチームの買収に動いていた。この買収話はシュトロ
ゼック側からロムニ・ダキア側に打診があり、ロムニ・ダキア側が容認するという展
開で進められていた。シーズン後半ごろからはレースウィークにシュトロゼック側が
度々パドックに姿を見せ、時にはロムニ・ダキアのモーターホームで会談に及ぶなど
し、両者の間で調整が進められてきた。
ビルト紙は「このほどシュトロゼックのハイネル代表と最終会談を持ちました。先に
お話しした通り、このビジネスは”パートナーシップ”という形で帰結しました。完
全買収ではありません。我々は来季以降、対等なパートナーとしてNeXXを戦って
ゆくことになります。素晴らしいパートナーを得て我々ロムニ・ダキアチームは幸せ
です。」というロムニ・ダキアのミルセア・トゥドール代表と、「我々シュトロゼッ
クにトップフォーミュラ進出の橋渡しをしてくれたFNOと、そして来季より共に戦
う最高のパートナー、ロムニ・ダキアチームそしてトゥドール代表に感謝します。我
々はともに与え、与えられの提携関係、つまりWin-Winの関係です。来季以降
の大いなる飛躍へ向け共に戦います。」というシュトロゼックのハイネル代表のコメ
ントを掲載した。
あくまでも対等の関係を強調した二人だが、一部情報ではシュトロゼック側がチーム
株式の過半数をすでに取得済みとの噂もあり、チーム運営についてのシュトロゼック
側の発言権はかなり大きくなると見られている。「新チーム名は?」との記者の問い
に二人の代表は声を揃えて「シュトロゼック・ロムニダキア」と答えたとのことだが
両者の名前の配置からもそのことが読み取れる。
ルーマニアの実業家が立ち上げたチームはル〇ーにゆかりの深いF1関係者で首脳陣
を組織したが、にわか作りの混成部隊の感は否めずここまで苦戦。ビッグチームのノ
ウハウを取り入れるべくシュトロゼックとの提携に踏み切ったロムニ・ダキアだが、
一方のシュトロゼック側の腹の中は果たしてそれで満たされるのだろうか。メディア
の見方は”将来的な完全買収を見越しての第一段階”というのが大勢を占めている。
ロムニ・ダキアは自動車レース好きのトゥドール氏が、モーターレースで自国を盛り
上げたいとの熱意から立ち上がったチーム。おかげで初年度から開催されているルー
マニアGPも毎年大盛況を見せている。しかし、シュトロゼックとの提携でそのルー
マニアGPも4thシーズン以降はドイツGPとの隔年開催になる可能性が濃厚だ。
果たしてこの”提携”劇はロムニ・ダキアにとって良薬となり得るのか・・・
トゥドール氏の自国への想いが、チームの体制強化のための犠牲にならないことを願
うばかりだ。


◇クラークソン大幅な組織改革か? チーム首脳含め50人を解雇

1stシーズンから何かと話題を振りまいているクラークソンチームが、大規模な組
織改革を企図し人員の入れ替えを行ったようだ。ザ・サンやデイリーメールといった
イギリスのタブロイド紙などが報じている。
クラークソンは主にファクトリー勤務の約50人のエンジニア達と、チームに帯同す
るメカニック15人との契約を2ndシーズンをもって終了し、旧ル〇ーやレーシン
〇ポイントといったF1チームで働いた経験を持つエンジニアを新たに雇い入れたと
いう。この人員入れ替えを指揮したのが実質来季からチームマネージャーに就任する
スティラノ・ドミニコル。F1では〇ェラーリを率いてきた敏腕として知られ、やや
奔放と言わざるを得ないオーナーのジェレミー・クラークソン氏のチーム運営に対し
チームの行く末を案じた共同オーナーのジェームズ・メイ氏が招聘したと言われてい
る。
クラークソンは最終戦アメリカGP終了直後の12月第2日曜にファクトリー要員達
の契約更改を行い、ドミニコルが必要と判断した以外の面々に今季限りでの契約終了
を告げたと見られる。この一連の動きについてクラークソンチームのリチャード・デ
ヴィッズ監督は、「我々には来季に向けて大きな改革が必要だったんだ、チームがよ
り高いステージに上がるためには血の入れ替えが必要だったのさ。今回の人員整理は
それが目的だよ。」と語った。
「我々の仕事には様々なファクターにおいて精度が求められる。さらなる高みを目指
すために組織の”精度”をあげる必要があったんだよ。今季の成績を見てみるといい、
エースのファングは今季速さはあるものムラがあり、勝ちきれないうちに終わってし
まった。前半の好調が嘘のように後半失速してしまったのは、我々の開発に継続性と
精度が足りなかったからだ。2ndドライバーに関しては我々のサポート不足が大き
く影響したと思う。エンジニアリングの精度然り、チームのリレーション然りだ。そ
の辺を改革していかないと、我々は結局草レースチームの延長で終わっちまう。ジェ
レミー(・クラークソン)はまた厄介ごとをこさえたと悪態をつくだろうけどね、で
も我々だってただただ参加しているワケじゃない。ジェレミーだって勝ちたいはずな
んだ、だってこのままでは我々の活動はレースごっこで終わってしまうんだ。我々は
戦う集団にならなければいけないんだよ。ジェレミーは野望を持っているが残念なこ
とに実務的じゃない、野望の実現に必要な実務は俺たちに任せろってことだ。ジェー
ムズ(・メイ)がドミニコルを連れてきた時は「我が意を得たり」と思ったよ。」
クラークソンはNeXX参戦にあたって、オーナーのジェレミーらが最も親交のある
レース関係者でプロド〇イブの創設者でもあるリチャード・デヴィッズを監督に招聘
した。マネージャーにはいくつかのF1チームで要職を歴任したマット・ティモンズ
を据え、エイドリアン・オールドロードをテクニカルディレクターに起用。首脳陣の
名前を見る限りではチーム体制は盤石に見えた。しかし、肝心のオーナーのジェレミ
ーが奔放、放漫でチ―ムは方向性を見失い常にまとまりを欠いていたという。エース
のファングは度々レースでモチベーションを失い、チームに断りもなく自主的にリタ
イヤすることもあった。No.2ドライバーへのサポートが十分でなかったのもそこ
に原因があるという。マネージャーのティモンズも、チームの方向性に不安を感じシ
―ズン半ばに今季限りでの離脱を決めいていた。オーナーの性格を熟知していたデヴ
ィッズは、チーム発足当初は静観していたものの、2シーズンが経過してそろそろチ
ームの方向性についての確認が必要な時期だと悟ったという。

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かつてプ〇ドライブを創設しWRCを席捲したデヴィッズ監督も
クラークソンオーナーの放漫ぶりをついに見過ごせなくなったか。
大規模な組織改革を実行し、来季の飛躍を図る。

「実際にサーキットに来る連中もファクトリー組も、レース臨む個人の姿勢がバラバ
ラだった。本当に勝ちたいと思っている者もいれば、極端な話あくまでも道楽の延長
と捉えている者もいた。だからドミニコルが来た時ジェレミーを交えて今後のチーム
がどこを目指すのか、まず話し合ったんだ。もちろん共同オーナーであるジェームズ
リチャード(・ハモンド)もね。ジェレミーは当然勝ちたいと言った、チャンピオン
だって狙っていると言ったよ。私は「じゃあ今のままではダメだ」と言ってやった。
彼は渋ーい顔をしていたけどね(笑)。だから私はさらに言ってやったよ、「だった
ら俺たちに任せるんだ!」とね(笑笑)。そしてこうも言ってやった、「お前の戦友
であるジェームズがこの状況を見かねてギフトをよこしてくれた、それがドミニコル
だ。」と。ジェレミーは「ジェームズに助け舟を出されるとは・・・」とかなんとか
ブツクサ言っていたがね(爆)。ジェレミーは面白いヤツさ、カラダもデカいが野望
もデカい。だがヤツは野望を実現するためには実務が重要だということを知らないん
だ。あいつは今まで自分のやりたいようにやって夢を掴んできた男だからね。おっと
自分のチームのオーナーを捕まえて「あいつ」はまずいか(爆)。しかし、だからこ
そこのチームには我々がいるワケで、オーナーが本当に頂点を狙っているというなら
我々はそれに応えるためにあらゆる手を尽くさなければならない。今まではチームの
重要事項の決定権のほとんどはジェレミーにあった。まぁオーナーだから当然だな。
だが、ジェレミーに委ねるだけでは限界があることが、この2シーズンで解ったんだ
よ(笑)。さっきも言ったが、今回の人員整理はそんな”血の入れ替え”の一環なん
だよ。幸い我々には”デイヴィス・ファング”という掛け値なしの才能の持ち主がい
て、良いところを狙える要素が揃っている。オーナーにも勝つ気はある(笑)。じゃ
あそろそろ本気になろうぜってハナシさ。」とデヴィッズ監督は冗談を交えながらも
熱っぽく語ってくれた。

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来季クラークソンチームのマネージメントを担当するドミニコルは着任早々
チームの大改革に取り掛かっている。彼の"大ナタ”は吉と出るか凶と出るか・・・

1stシーズン、エースのファングは2勝をあげランキング4位に食い込んだが、2
ndドライバーの不調もありタイトルには手が届かなかったクラークソン。今季は前
半ファングが好調で表彰台の常連となるが、後半失速し結局未勝利。やはり2ndド
ライバーは低調なパフォーマンスで今季もピットブル、マーキュリー、ノルディック
の3強を崩せずにシーズンを終えた。そうして見ると確かに華々しい活躍はあったも
ののタイトルを狙えるチームという印象は薄く、さらにいえばこの2シーズンを通し
てタイトルを本気で狙っていたのかどうかも怪しいと言わざるを得ないのが実情だ。
もちろん参戦全チームが本気でタイトルを狙っているとは限らず、そうでなければな
らないというワケでもない。しかし、デヴィッズ監督が言ったようにタイトルを狙え
るファクターに恵まれ、ある程度結果も出し、更にはオーナー自身も嘘か誠かタイト
ルが欲しいと言う。今回の大がかりな人員整理劇は、理想と現実の整合性を取りつつ
さらなる高みを目指すチーム関係者の、切実な想いが顕れた結果だったというわけだ。
クラークソン問題と言えばとかくエースのファングの奔放な行動がピックアップされ
がちだが、本当に正されるべきはオーナーの姿勢かもしれない(笑)。「まあ見てい
てくれ、我々に任せてくれればチームはもっと飛躍する。それに来季には面白いサプ
ライズを用意できるかもしれないからね。」
インタビューに答えたデヴィッズ監督はサングラスの下で、不敵に眼を光らせていた
に違いない。


アブラモビッチのロビー・ハーンをマルドゥークが引き抜き!?

シーズンオフともなるとドライバーの移籍マーケットは活況を呈するが、何も活況な
移籍市場はドライバーだけではない。チーム関係者の移籍だって活発だ。これまで純
和製メンバーで戦ってきたトライアンフは、アメリカ出身の女性エンジニア、ミア・
ドーランをチームマネージャーに据え、シュトロゼックのロムニ・ダキア買収でチー
ムを離脱したシリル・テルアビブはプルトンチームのマネージャーにおさまった。そ
のシュトロゼックはといえばF1でメ〇セデスチームを率いたココ・フォルツを引き
入れ、クラークソンもかつてF1でフェラ〇リを率いたスティラノ・ドミニコルを招
聘。クラークソンを離脱したマット・ティモンズはSLOへと移籍した。
このように3シーズン目を迎えるとなると、各チームは組織再編を考えるものだ。し
かし今パドックでは、ひとりのエンジニアの移籍が物議を醸している。それが今季ア
ブラモビッチのテクニカルディレクターに就任したばかりのロビー・ハーンのマルド
ゥーク移籍である。
アブラモビッチチームは1stシーズン、ジョン・オクスレイド=ライアンをTDに
起用したが、今季から本格的に長期での開発体制を築く為ハーンを招聘した。ハーン
はF1ベネト〇チームやフ〇ラーリチームで天才デザイナーとして活躍。アブラモビ
ッチは満を持してハーンを招聘した。しかしそのハーンに目を付けたのがマルドゥー
クだった。マルドゥークチームの首脳陣はファン・ドット監督、そしてマネージャー
のボス・グラウン共に、ハーンとはF1フェラー〇チームを常勝チームに育て上げた
盟友だ。マルドゥークのドットはどうしても、強固なチーム組織を作り上げるために
必要なピースとしてハーンの存在を外すことはできなかったという。ドットはチーム
にハーン獲得を強く望み、これに応えたマルドゥークチーム。ドバイの王族率いる金
満チームであるマルドゥークは、ハーン獲得にあたり相当額の報酬を提示したといわ
れている。マルドゥークは、ハーンと今季所属していたターベイ・ロストネルフェイ
ト+金銭との交換トレードを提案。そもそもハーン自身がこのマルドゥークへの移籍
に前向きだったといわれ、さらにハーンとアブラモビッチとの今季の契約が単年で、
来季以降の契約を更新するかどうかの選択権がハーンにあったという契約内容にマル
ドゥークがつけこみ、ハーンを半ば強奪していったというのが大筋のようだ。事実上
の引き抜きである。
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アブラモビッチの長期計画に賛同しながらも、来季の契約更新をせず移籍したロビー
・ハーン(写真左。)今回の移籍劇についてはファン・ドット監督(写真右)を含め
マルドゥーク陣営の”仁義なき”やり方に批判も・・・

おさまらないのはアブラモビッチ側。アブラモビッチは昨季終了直後にハーンと2n
dシーズンの契約を締結。2年目以降の契約更新の選択権はハーンにあったが、アブ
ラモビッチ側の中期計画に大いに賛同したハーンの契約更新オプション行使は確実視
されており、事実上の長期契約だとパドックでは見られていた。しかしハーンがアブ
ラモビッチと契約した直後にマルドゥークがドット、グラウン体制での参戦を発表。
ハーンの気持ちもシーズンが進むにつれ、マルドゥーク加入へ傾いていったようだ。
アブラモビッチは新開発体制で今季を棒に振ったが、来季また開発体制がリセットさ
れることになってしまった。
ハーンの契約が初年度単年+延長オプションという内容だったのには訳がある。ハー
ンは昨年体調不良で療養しており、体調面を考慮して初年度から複数年契約にしなか
ったというのだ。アブラモビッチチームのマネージャー、ニコライ・ボルコフはマル
ドゥーク、そしてハーンの動きに対する不快感を隠さない。
「我々は今季からロビー・ハーンを中心とした長期的な開発体制の構築をしていくつ
もりだった。しかし我々の計画は1年経ってまたリセットされてしまった。まぁこの
業界ではこういうことは茶飯事だからね、いちいち文句を言っても始まらないが、彼
ら(マルドゥーク)のやりかたは狡猾だったね。ロビーもあちらに行きたがっていた。
結果我々はターベイ・ロストネルフェイトという偉大なエンジニアを獲得したわけだ
が、我々が今季1年積み上げてきたものはまた崩されてしまった。彼らならTDがロ
ビーでなくとも強い組織を作れたろうに。我々もロビーを引き留めるだけの報酬は容
易できたが、ロビーの気持ちはもうアブラモビッチにはなかった。マルドゥークのや
り方はいささかフェアじゃなかったと思うよ。実に老獪にロビーの気を惹きつけてい
ったね。ロビーは我々に対し「本当に済まない」と繰り返していたよ。まぁ謝られて
もしょうがないんだけどね、ロビーには「君の新しいチャレンジがうまくいくことを
願っている。」と伝えたよ。さしあたり我々が考えなければいけないことは、優秀な
エンジニアを引き抜かれたことを嘆くのではなく、来季からターベイと共にチームを
どう強くしていくかという問題だからね。」とやりきれない心境を吐露した。
アブラモビッチは初年度にアレンザンダー・ロッソが1勝をあげたが、開発体制をよ
り強化するため今季TDのスイッチに踏み切った。開発の方向性が大きく変わった今
季は苦戦を強いられたが、それも想定の範囲内だった。しかしオーナーのロマン・ア
ブラモビッチ氏はプレスに、今季の現状は決して満足できるものではないとの心境を
漏らし、早期の成績改善を望んでいた。
アブラモビッチは昨季オフ、1勝をあげたロッソをアントネッティに奪われた。そし
て今季は新たに獲得した有能なエンジニアをマルドゥークに持っていかれた。NeX
Xが開幕してからここまで踏んだり蹴ったりのオフシーズンをすごしているアブラモ
ビッチ。今回の人事騒動で、アブラモビッチの計画には大きなずれが生じるのは間違
いない。また、今回の移籍劇でアブラモビッチに同情するチームも多く、同時にマル
ドゥークのやり方を批判するチームも少なくない。この騒動はしばらく尾を引きそう
だ。


◇SLOロシェット監督が今季限りで退任。後任に元F1ドライバーのモーゼル

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来季SLOの新監督に就任するハウルモーゼル氏(写真右)と、退任するヒカルド・ロシェット氏
(写真左)。ロシェットは今後SLOのIMSAチーム監督に就任する。

カテゴリ発足から2シーズンが経過したNeXXだが、来季3シーズン目を迎えると
組織改編を試みるチームもちらほら。そんな中参戦15チーム中唯一南米はブラジル
国籍のサントス・ロコ・オリベイラ・レーシング(通称SLO)も、来季の首脳人事
にメスを入れたようだ。第17戦カナダGP開幕前の木曜日にチームは会見を行い、
今季までチーム監督を務めたヒカルド・ロシェット氏の退任と、新監督にハウル・モ
―ゼル氏が就任するという後任人事を発表した。
初年度からチームの指揮を執ったロシェットは元F1ドライバー。1996年~98
年までの3シーズンをフット〇ークやテ〇レルで戦い、33戦の出走経歴を持つ。対
する新監督のモーゼルも元F1ドライバーだが、F1以外にもインディカーやスポー
ツカーで活躍。1987年のスポーツプロトでは世界王者となっている。今回の人事
はSLOが新しく参戦するIMSAのチーム監督に、ロシェット氏が就任するためと
のことだ。ロシェットの退任はかねてから囁かれていたため、こちらも引退の噂があ
ったアイウトン・フィリップス・ラ・ポルタが後任に就くとの見方が大勢を占めたが
ラ・ポルタの現役続行も合わせて発表されSLOの人事は当初の予測とは全く違う形
で決着した。
会見はカナダGPの舞台となるエキシビジョンプレイスにある、ダイレクトエナジー
センターのコンベンションルームで行われ、3人の共同オーナーのうちのリカルド・
オリベイラ氏、パウロ・サントス氏の2名、そしてモーゼル、ロシェットの新旧監督
両名、そして来季よりSLOに加入するマット・ティモンズの計5名が出席した。
新監督のモーゼルは会見の中で「今回こういう形で新しいカテゴリへ参加でき、そし
て自身にとっても刺激的な挑戦ができることを嬉しく思う。なにしろ監督というのは
初めてのポジションだ、チームを率いるという役割を引き受けるのは簡単ではなかっ
たよ。しかしこのチームの人達は熱意をもって私を誘ってくれたし、チームは新たに
IMSAに参戦するという野望を実現した。大きな野望があり、明確なビジョンのも
とに着々と計画を進めている。そんなチームの一員となり、レースに関われるのは幸
せなことだよ。マット(・ティモンズ)とも何度か話をしている。とても信頼できる
男だと感じた。私の新しい挑戦に欠かせない存在になるだろう。チームが活躍できる
よう最善を尽くすつもりだ。」と来季への抱負を語った。またオーナーのサントス氏
は「今回モーゼルに監督就任を打診したのは私だ、私とハウルはかれこれ30年来の
付き合いなんだ(笑)。IMSAチームの監督をハウルに頼むプランもあったが、あ
ちらは新規立ち上げだからね、NeXXチームの立ち上げも経験したヒカルドにお願
いしたんだ。ハウルはドライバー経験も長いし、何より様々なカテゴリを経験してい
る。監督業は初めてだがこの多彩なレース経験は重要だ。なんせハウルはプロトタイ
プ世界選手権でタイトルを獲っているからね。彼はきっと我々の期待に応えてくれる
と確信しているし、この経験は我々の今後の計画にも重要な意味を持つ。我々は今後
5年以内にル・マン24時間へ挑戦するつもりだからね。」と語り、近い将来のチー
ムの展望を明かした。
またSLOのオーナーの一人リカルド・オリベイラ氏がヨコスカタイヤの株式の1/
4を取得してサンパウロ現地法人を設立したことが昨季末に話題となっており、こ
の体制変更に当たってタイヤサプライヤー変更の発表もあるのでは、との噂が流れて
いたがオリベイラ、サントス両氏とも今回この件については触れなかった。
初年度から参戦のSLOは来季NeXX3シーズン目、今季は念願の初優勝をあげた
もののチームランキングでは昨季を上回ることはできなかった。モーゼル新体制で臨
む来季は、1stシーズンの年間ランキング4位以上が目標となる。モーゼル新監督の
手腕に注目だ。


◇李舜英氏、「宋にはアジア人ドライバーとしてヒュウガを超えてほしい」

「私は宋昇龍はアジアを代表するレーシングドライバーの一人になれると思っていま
すよ。」とは、来季からチーム名を『ドラゴンフォース・チャイナ』へ変更する現チ
ャイナドラゴンのオーナー李舜英の言葉だ。李氏はこのほど来季、ジョリー・セプタ
ーとの契約を更新しない旨を語った際のインタビューで、来季もチームに残留するド
ライバーの宋昇龍についてこう語った。
宋は昨季途中、第16戦日本GPでNeXXデビュー、終盤戦アメリカで9位入賞を
はたしデビュー3戦でポイントゲットした逸材だ。今季はチーム共々やや苦戦してい
るが、開幕戦ではいきなり2位表彰台にあがりポテンシャルの高さを見せつけた。李
氏は宋をキャリアの初期からサポートし続けており、宋に対して並々ならぬ期待を注
いでいる。
「開幕戦の走りこそが彼の真の実力だと、私は思っています。彼は難しいコースやコ
ンディションでこそ力を発揮します。今季は彼にとって実質最初のシーズンで、初め
てのコース多かった。ウチのクルマも高速サーキットではやや弱いところがある。そ
れもあって苦戦はしていますし、いくつか予選落ちも経験しました。しかし彼は光る
速さを持っていますし、テクニックもある。あとは経験です。私はカートを始めた頃
から彼をサポートしていますが、彼は大きなポテンシャルを秘めています。同じアジ
ア人で比較するとトシロウヒュウガを超えられる、と思っているんです。」と語る李
氏。
上海出身の宋はここまで主にヨーロッパで、FIA直下の下位カテゴリを戦ってきて
おり、一昨年のFIA-F2ではシーズン2位を記録。李氏はそんな宋のカートから
イタリアF4へのステップアップを助け、以来ここまで宋のレース活動を7年にわた
ってバックアップし続けてきた。「今季は正直ここまで、エンジニアリングがうまく
いっているとは言えない状況です。開幕戦で宋が2位、そして第3戦ドバイでジョリ
ー(セプター)が優勝したにもかかわらず、その後尻すぼみなのはその為です。なの
で現在我々は来季に向けて、チーム組織を大幅に見直しているところです。それに伴
ってジョリーが今季限りでチームを去ることになりました。非常に残念な限りですが
我々には宋という”未来”があります。来季からは彼をメインにチーム作りを進める
ことになるでしょう。
彼はヒュウガと似たようなタイプです。鋭いコーナリングと卓越したバランス感覚を
持っており、雨や市街地でも速い本物のレーシングドライバーに大成する可能性を秘
めている。私は宋にヒュウガを超える存在になってほしいと思っていますし、それが
できると思っています。そして願わくばヒュウガとこのNeXXでタイトル争いをし
てほしい。世界のトップフォーミュラの選手権で、アジア人同士がタイトルを争うな
んて痛快なことです。その為に我々はジャッキー(・チュン、無天老師様ではない)
とともにチーム体制を強化するのです。アジア人同士が世界のトップで争うのが私の
夢、そしてその勝者は我々です。」野望を語る李氏の眼には鋭い光が宿る。
一方で宋昇龍に対する他チームの評価は一定しない。昨季第16戦のデビュー時の注
目度は、一昨年のF2で選手権2位を記録したにもかかわらず低かった。しかし最終
戦で9位入賞を果たし、さらに今季開幕戦での2位表彰台で一気に評価が高まった。
かと思えばその後の停滞で徐々に評価は下がってゆき、現時点ではもはやストーブリ
ーグのネタにすらならない状況だ。
プルトンのゴードン・メッセンジャーなどは「彼はまだ粗削りだけどね、魅力的な速
さを持っている。そして年齢とキャリアの割に卓越したテクニックを持っているよ。
彼に足りないのは”勝てるマシン”と”経験”だね。」と語り、アントネッティのボ
ス、ドナルドも「彼は天性の速さとテクニックを持っているね。そう、タイプとして
はトシロウ(日向)やファン(・カレッジ)のようだ。マシンの挙動や路面のコンデ
ィションを、人一倍敏感に感じ取るタイプだね。」とその才能を認め、一定の評価を
下している。一方で「今後”勝てる”ドライバーになるになるためにはもう一つ、何
かが必要だ。それは経験か? 勝てるマシンか? いずれもそうだろう。そして最も
重要なのは”勝てる環境”をつかみ取ることだ。」とも語り、「今季のチャイナドラ
ゴンのような状態では難しそうだね、でも何かもう一つ光るアピールが必要だよ。」
と付け加えた。「リー氏はナショナリズムの発揚のためにソンを使いたいのさ。グラ
ンデ・チーノ(偉大なる中国人を意味するスペイン語)にひれ伏せってわけだ(笑)」
というジェレミー・クラークソンの発言は別としても、アブラモビッチのヴィタレリ
・フェドロフ監督は「ここまで到達しているのだから、それなりに速さは持っている
はずだよ。でも今はまだ”それだけ”だね。もう少し時間が必要だろう。」と言い、
ピットブルのチームマネージャー、ヘルムート・マルコリーニは「彼はまだ自身の能
力を自身のメンタルでマネジメント出来ていない。経験が少ないからそれも当然だけ
どね。でもついぞそれができずにドロップアウトするドライバーは多いんだよ。それ
が出来て初めて彼にも道が開けるんじゃないかな? 少なくとも今我々が獲得を考え
るような段階には、彼はまだ達していないね。」と手厳しい。
ノルディックのチチ・ソルベルグなどは、「速さは見せた、あとは貪欲さだ。彼はい
ざという時に、自分を支えてくれた環境を捨てて前に進む覚悟があるか、それが問題
だ。これまで何人ものアジア人ドライバーを見てきたが、彼らには総じて貪欲さが欠
けていた。自分の売り込み方を知っているのはトシロウくらいだろうね。」と語り、
ステップアップの為には現チームとの決別も選択肢の一つだとし、その覚悟が宋にあ
るのかを疑問視している。
何にせよ宋は実質今季が彼にとっての1stシーズン、そしてドラゴンフォースが宋
を支援し続ける限り宋はNeXXでの居場所を失うことはないだろう。しかし、その
の先を見据えるのならチームと決別するタイミングが来ないとは限らない。李氏は自
チームとともに宋が成長し、”勝てるドライバー”になることを望んでいるが、宋が
NeXXで”勝てるドライバー”になるためにはチームが障害になることだってあり
えるのだ。
今後の宋のステップアップには、このパラドックスを双方が解決することが重要だ。
李氏が望むように将来宋が、ドラゴンフォースでタイトル争いをできればそれは素晴
らしいことだ。しかしモーターレースの世界は往々にして、当人たちの思惑通りに事
が進まない極めて難しい世界。今後のドラゴンフォースと、宋の動きに注目だ。


◇クラークソンオーナーとファングが、日本GPでのリタイヤ巡り大ゲンカ!?

今季、前半戦では大活躍しながら後半大きく失速し、結果ランキングを6位で終えた
クラークソンのデイヴィス・ファング。そのファングが第16戦日本GPでのレース
リタイヤ後、ピット裏でオーナーのジェレミー・クラークソン氏と大喧嘩をしていた
ことがわかった。チーム関係者や、当時ピットガレージが隣だったリナルディやロム
ニ・ダキアの関係者がこれを目撃していた。
今季、後半戦大失速したファングは予選でも精彩を欠き、後半9戦で7度も二桁順位
を記録。うち4戦は15番手以下と絶不調。決勝も2度の4位入賞のみで、徐々にフ
ラストレーションが溜まっていったファングは第16戦日本GPでまた”やらかして”
しまう。レース途中、チームの戦略とは全く関係のないタイミングで突然ピットイン
し、困惑するクルーを横目にさっさとマシンを降りてしまったのだ。このレース、フ
ァングは17番手からのスタート。序盤からDRSに不調を抱えながらも12ターン
目には12番手と、ポイント圏目前まで迫っていた。そんな状況での突然の”自主リ
タイヤ”に、ついに堪忍袋の緒が切れたオーナーのクラークソン氏が、モーターホー
ムに戻ろうとしたファングを捕まえて口論になり、一触即発の状態になったという。
今季までチームマネージャーをつとめたマット・ティモンズは当時をこう振り返る。
「デイヴ(ファング)はああ見えてとても繊細で、気分屋なんだ。まるでアーティス
トのようさ(笑)。いいときの彼は手がつけられないほど速いが、うまくいかない時
はとてもナーバスになる。レーシングドライバーなんてみんなそんなものだろうと思
うかも知れないが、彼はその上をいくね(笑)。あの時(日本GP)は特にそうだっ
たよ。前半戦のデイヴはキレキレだった。2位を4回記録したし、勝てなかったがオ
ランダではPPも獲得した。うちのクルマが苦手としていたツイスティな低速コース
でね。あれにはチームの誰もが驚いた。後半戦いくつか勝てればタイトルも夢じゃな
いってね(笑)。でもスウェーデンから彼は不調に陥った。」
「デイヴのフラストレーションはあの時(日本GP)がピークだったんだよ。うまく
いかない、良い感触が戻ってこない、後半戦はもらい事故も多かったしね。日本GP
も序盤の2ターンでDRSが開かなくなって、走っても走っても前に届かない。そし
て”それ”がピークを超えた彼は「OK、茶番はここまでだ」とばかりに気持ちが切
れてしまうんだ。あとは御覧の通りだよ。去年もスウェーデンで見ただろ?(笑)」
と笑いながら話す。
「オタルの時は大変だった。デイヴが予定外のタイミングでピットインしてきて、何
事かと思っていたら私と一緒にピットウォールのモニタの前にいたジェレミー(クラ
ークソン氏)が血相変えてデイヴを追いかけていったんだ。”ああこれは面倒なこと
になるな”と思ったよ。だから私はその場をリチャード(・デヴィッズ監督)に任せ
て2人を追いかけた。2人はすごい剣幕で怒鳴りあっていたよ(笑)。ジェレミー
「お前はまた駄々っ子みたいに自分の仕事を放棄するのか!!」と言えば、デイヴは
「うるせぇ!そんなに言うならあんたはまず俺を満足させる車を用意しろ!!」って
な具合にね(爆笑)。またか、と思いながらも私は2人の間に割って入ったよ。そう
しないと取っ組み合いになってしまう勢いだったからね。」
「私が間に入ってからも口論はしばらく続いたよ。ジェレミーは「お前はプロなんだ
から仕事をしろ!!」と怒鳴り散らしていたし、デイヴはデイヴで「仕事をしてない
のはあんたの方じゃないのか!? オレを満足させるオモチャの一つも用意できない
んだからな!!」とね(笑)。まるで子供の喧嘩だが、ひとしきり文句を言い終えた
デイヴはすっきりした顔で引き上げていったよ。おさまらないのはジェレミーの方で
口論が終わった後も真っ赤な顔をしてね(笑)。あの日はレースの最後までピットの
壁を蹴りまくってた(爆笑)。」
その様子をとなりのピットガレージで見ていたロムニ・ダキアのレースエンジニア、
パディ・ハイは・・・
「ああ、またやってるなと思ったよ(笑)。クラークソンオーナーとファングの喧嘩
なんで日常茶飯事さ。だいたいはオーナーが怒ってファングのところへ現れて、ファ
ングがこそこそ逃げるってパターンだけどね。まるでトムとジェリーさ(笑)。だけ
ど時たまファングが爆発するときがある、あれはファングも相当熱くなっていたね。
でもファングは過ぎたことはすぐ忘れて引きずらないタイプだよ、カナダではパドッ
クで赤ワインのボトルを数本持って歩いていて私が「やぁデイヴ、金曜の昼からパー
ティーでもするのかい?」と尋ねると「友人が良い酒をくれたからウチのゴッドファ
ーザー(クラークソン氏)にもお裾分けしてやるのさ(笑)。パディも飲むかい?
ウチのボスはワイン好きなんだよ、小洒落やがってさ。俺はウィスキー派だ。」なん
て言ってヘラヘラしながら歩いてたよ(笑)。」
クラークソン氏とファングの喧嘩と仲直りはいつものことのようだ。しかしファング
の発言はクラークソンの現状を物語るものだ。ファング自身は光る速さを見せつつも
マシン特性はクセが強すぎて低速コースでは戦えない現状が続いているし、継続的な
開発体制の構築にも至っておらずシーズン後半になるほど苦戦が顕著になっていた。
オーナーのクラークソン氏はヨーロッパ戦線時に本誌の取材に応え、来季のエンジン
変更の可能性も示唆していた。更に今回の大規模な組織改編だ。ファングの”提言”
はチームを動かした。
来季クラークソンチームは大きく体制が変わる。チームはエンジニア50人からの大
量解雇を行って人員を入れ替え、インタビューに答えてくれたマット・ティモンズは
SLOへと移籍した。2ndシートに座るドライバーは未だ決まっていないが、リチ
ャード・デヴィッズ監督は来季に向けて意味深な発言をしていた。
個性の強い者たちが集まり、これまではてんでんばらばらだったクラークソンチーム
が今組織としてまとまろうとしている。各々が一筋縄ではいかない個性派集団クラー
クソンは、果たして来季大躍進するか? それとも空中分解してしまうのか(笑)?
いろんな意味で大注目だ。

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クラークソンオーナー(写真左)とファング(写真中央)の口喧嘩はどうやらいつものことのようだ・ピット
が隣のロムニ・ダキアのエンジニア、パディ・ハイ(写真右)は常日頃目にしているとのこと。しかしついに
ファングの”悪口雑言”はチームを動かした。そのエネルギーが来季レースに向けて爆発することを願うばかりだ。

◇日向とマイネで挑む来季! トライアンフが本気でタイトルを狙う!!

日本期待の純和製チーム、トライアンフ・スクエアジャパンが来季のタイトル獲りに
本気だ。トライアンフチーム首脳陣は2人のレギュラードライバーを伴い、最終戦
メリカGP終了の1週間後すぐに北海道は十勝へと飛び、今季からカムイのテストコ
ースとなっている十勝モータースピードウェイで来季の『SUGO・カムイ』エンジ
ンとレラシャシーのフィッティングを行った。

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来季から監督を退きオーナー業に専念する山本氏を、とある十勝の
蕎麦屋に入店するところで直撃。来季のビジョンや感触を訊いた。

フィッティングにはオーナーの山本つかさ氏も同行し、来季シートに座る2人のドラ
イバーとも雑談をかわすなどした。山本氏は来季、これまでオーナー業と兼務してい
た監督のポストを、マネージャーの真田幸治氏に引き継ぐ旨を決定。空いたマネージ
ャーのポストには、スポーツカーチームのストラテジストとして活躍していたケンブ
リッジ大学出身の才女、ミア・ドーランを招聘しオーナー業に専念。来季以降の本格
的なチーム強化に向けて動き出している。来季新しいバッジネームとなるSUGO・
カムイエンジンを見た山本氏は「来季のエンジンはすごくいいよね。ベンチテストの
段階からちょこちょこ見させてもらってたんだけど、エンジンは単体で770馬力は
出ていたし、SUGOのユニットはMGU-K単体で160馬力以上っていうから、
単純にMAXパワーの面ではだいぶいい数字ですね。カムイのエンジンはもともとコ
ンパクトだし、新エンジンもエンジン自体の重量増はないと聞いています。それでピ
ークパワーが向上してパッケージングが良ければもっとやれる。SUGOさんともす
ごく緊密にリレーションを取ってましたから、良いものが出来てるんだと思います。」
と語った。
来季については「ルディ(マイネ)を迎えられたのは大きいですね。毎レースきっち
り2台のポイントを期待できる。彼は地味であまり自己主張もしないから実はそんな
に評価が高くないんだけど、なんていうか日本人好みの職人肌だよね。F1にいた時
から見ているけど、キッチリ仕事をして帰ってくるタイプ、来季は入賞回数が増える
のは間違いないですよ。彼は去年優勝もしているのにみんな冷たいよね(笑)。俊郎
とルディで3つ4つ勝てればタイトルも見えてくるんじゃない?」と期待をのぞかせ
た。来季からチーム監督となる真田幸治も「オーナーの言う通り、2人ともポイント
計算ができるドライバーだから、ルディの加入でチームとしての総合力は大きく向上
したと考えています。日向は今季も本当によくやってくれているし、ルディはカムイ
のスタッフとF1で2年仕事しているからね。チームとしてのまとまりにも問題ない
と思いますね。ジョー(・カジワラ)もこの決断を尊重してくれました。私としては
そこが残念と言えば残念なんだけど・・・ いい人すぎるんだよねアイツは・・・。」
と2シーズン在籍した2ndドライバーの離脱を惜しみつつ、来季への期待を語った。
3シーズン目となる来季もNo.1シートに座る日向は「まぁ今のモータースポーツ
パワーだけじゃ勝てねぇぜって思ってるけど、でもやっぱパワーは大事よね。中低速
とか市街地は戦えても、やっぱフランスとかイタリアとかキツかったもんなぁー。で
も、信頼性が上がったおかげで今季は入賞回数も増えたし勝つこともできた。でもさ
やっぱそれで満足はできねぇんだよなぁー。だから、来季は(タイトルを)獲りに行
く。だってそういうステージまで上がってきたんだよ、このトライアンフってチーム
は。だから来季は俺もチームも本気さ。ジョーの離脱は残念だけどね、でもあのオッ
サン絶対あんなもんじゃないぜ。まだ本気になってないだけだよ、いや本気になれて
ない、の間違いかな? とにかくさ、ジョーは来季1年休むみたいだけど、4thに
は帰ってくるんだろーな? おれは本気のジョーと戦いてぇよ。て考えたら、ジョー
がうちを出てったのはある意味好都合かもな(笑)。あと一言言っとくけど、マイネ
のおっさんは速いぜww」と相変わらずの口ぶりで来季のタイトル獲りを宣言した。
2ndシーズンをランキング6位で追えたトライアンフ、シーズンを通しての獲得ポ
イント130がほぼ日向のものと考えればこの順位は驚異的だ。ここにマイネが加わ
れば単純計算でもトップ3に食い込むだけのポテンシャルを得たということがわかる。
さらにマイネは1stシーズン115ポイント、不調と言われた2ndシーズンでも
第12戦までで58ポイントを獲得しており、ピットブルのチームタイトル連覇に大
きく貢献しているのだ。これでトライアンフ陣営が本気にならない理由がない。これ
まで数々の日本系チームが様々なカテゴリに挑んできたが、トップフォーミュラの世
界選手権でタイトルを獲得したチームはいない。来季は偉業達成となるか? 日本の
ファンならずとも、来季のトライアンフからは目が離せない。

 

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■Hot Stove League

□ピットブル・エクストリーム・レーシング
 ◎No.1:ニコ・ラムダ(AUT) 
 ◎No.2:ミシェル・ボナパルト(FRA)

□マーキュリー・レーシング・オーガナイゼーション
 ◎No.1:アレックス・バトラー(IRL)
 △No.2:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ×     アレンザンダー・カブロン(THA)??

エヴァー・グラハム・レーシング 
 ◎No.1:カーティス・マルケーナス(AUS)
 ◎No.2:ジェストン・バロン(UK)

トライアンフ・スクエアジャパン・レーシング
 ◎No.1:日向 俊郎(JPN)
 ◎No.2:ルドルフ・マイネ(GER)??

アブラモビッチスタンフォード・レーシング
 ◎No.1:ジョンブル・チャップマン(UK)
 ◎No.2:アレン・バーンズ(ASU)

プルトン・オートスポーツ
 ◎No.1:トゥーリ・ヴィックス(EST)
 ×No.2:ジョルディ・ヴァッセル(UK)??
 ×     レオ・タイラント(IDN)??
 ×     ジョーイ・エラゲル(IDN)??
 ☆     メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

□スクーデリア・リナルディ
 ◎No.1:ミケーネ・ポルボローネ(ITA)
 ◎No.2:スティラノ・シエナ(ITA)

□クラークソン&メイ・ハモンド・レーシング
 ◎No.1:デイヴィス・ファング(UK)??     
 △No.2:リンド・ソリス(UK)??
 ×     デリック・ワーノック
 ×     ジョルディ・ヴァッセル(UK)??     

□ロムニ・ダキアオートスポーツ(シュトロゼック??)
 ◎No.1:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ×No.2:アレンザンダー・カブロン(THA)??
 ×     メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

ドラゴンフォース・チャイナレーシング
 ◎No.1:宋 昇龍
 △No.2:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ×     アリエル・ティルクム(UK)??

□ノルディック・モータースポーツ
 ◎No.1:ケリー・ラスムッセン(DEN)??
 ◎No.2:ミック・ハイデンフェルド(GER)

□サントス・ロコ・オリベイラ・レーシング
 ◎No.1:アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(POR)
 ◎No.2:アンドレアス・サントス・フィリオ(BRA)

アントネッティオートスポーツ
 ◎No.1:アレンザンダー・ロッソ(USA)
 ◎No.2:ファン・カレッジ(FRA)

□マルドゥーク・レーシング・ドバイ
 ◎No.1:ビル・リヴィエール(CAN)
 〇No.2:ジャッキー・グーデリアン(USA)

□ガジャック・ルルーシュ・スポール
 〇No.1:セドリック・タンデイ(FRA)??
 ×     ヴィヴィエ・ピノーリ(FRA)??
 ☆     キャッシュ・サフィー(FRA)??
  △No.2:カタル・アファル(MOL)??
 ×     フィエール・ガシュレー(FRA)??

□フリー
 ジョリー・セプター(SAF)
 アレンザンダー・カブロン(THA)
 ジョー・S・カジワラ(USA)
 デイヴィス・リンドホルム(CAN)
 アリエル・ティルクム(ENG)
         

◇移籍がささやかれていたマルケーナス、エヴァー・グラハムへの移籍が正式決定!!

かねてから噂のあった、カーティス・マルケーナスのエヴァー・グラハムへの移籍が
正式に決定した。エヴァー・グラハムチームは、最終戦でのアブラモビッチチームの
バーンズ獲得会見を受けて、最終戦終了から1週間後の12月初旬にこれを発表した。
これで来季エヴァー・グラハムはマルケーナスと、2シーズン目となるジェストン・
バロンのラインナップでシーズンを戦うことが正式に決まった。

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オーナーのデヴィッド・グラハム氏(写真右)はかねてからマルケーナスの獲得を画策、また今季は不調
をかこっていたマルケーナス(写真左)も母国のチームへの移籍を望んでいた。相思相愛の移籍成立だが、
これでマーキュリーの2ndシートは完全に空いた。マルケーナスはマーキュリー側の自分に対する扱い
にも不満を持っていたようだが、マーキュリーはマルケーナスを手放してよかったのだろうか?

マルケーナスはオーストラリア出身の27歳。母親がオージーだが父親はニュージー
ランド人でマオリ族の血を引く。初年度は事実上のトップフォーミュラ初レースとな
る開幕戦で、予選フロントロー2番手につける快挙。さらに第8戦フランスで初優勝
をあげるなど活躍したが、2ndシーズンは予想外の苦戦を強いられ、期待された2
勝目はおろか表彰台にすら上がれずにシーズンを終えた。天性のスピードを持ち、市
街地やウェットレースなど難しいコンディションをものともしない走りは衝撃的だっ
たが、今季それは完全に鳴りを潜めた。前半戦はコンスタントに入賞するものの下位
入賞が多く、8位入賞を4度記録したことからチーム関係者には『8(エイト)マン』
と揶揄されるようになる。そして後半戦は昨季同様に失速。レースを二桁順位で終え
ることが多くなり、チームメイトとは対照的に大きく伸び悩んだポイントは、昨季を
下回った。次第にマーキュリー首脳陣からもマルケーナスの今季の伸び悩みに苦言が
出始め、時期を同じくしてマルケーナスの同郷のチームであるエヴァー・グラハムが
彼に接触。水面下で獲得交渉が進んでいた。エヴァー・グラハムの共同オーナーであ
るデヴィッド・グラハム氏は、彼が国内レースで走っていたころから目をつけていた
という。
「カーティス(・マルケーナス)は国内のあらゆるレースで見かけたよ。ただオース
トラリアには今S5000というフォーミュラのカテゴリがあるけど、彼はなぜかフ
ォーミュラはやっていなくてハコのレースばかりに出ていてね。でもいつぞやのバサ
ースト(バサースト1000)で彼を見たとき、その走りに惹きつけられたんだ。」
とグラハム氏。「あそこ(マウントパノラマ・サーキット)は本当に危険で難しくて
ドライバーの本能を煽るようなコースなんだ。特に山側区間はアップダウンが激しく
てテクニカルなうえコース幅が狭く、ブラインドコーナーが多い。事故も多いし実際
死者も出ている。しかしそこでのカーティスの走りは圧巻だったよ。それ以来私は彼
に釘付けさ。フォーミュラカーでの走りは見ていなくとも、あの走りを見ればわかる。
彼はマシンの挙動を敏感に感知して、それに対して最適解のドライビングができる。
私はむしろ彼をフォーミュラに乗せてみたいと考えていたんだ。そうしたらマーキュ
リーに先を越されてしまった・・・(苦笑) なぜ彼ら(マーキュリー)がカーティ
スを獲得したのかは、おそらくゲディ(・ライフソン)のススメだろうけど、結果少
し回り道をしたが彼を我々のシートに座らせることが出来た。ひとまず私は満足して
いるよ、あとはカーティス次第だ。」とマルケーナスに対する期待を語った。
「彼は今季あまりよくなかったけど、それはマーキュリー側のサポートも充分ではな
かったと思う。だから彼との交渉はすんなり進んだよ。でも発表がシーズン終了後に
なったのは、マーキュリーが最後まで契約合意を渋っていたからなんだ。多分土壇場
での残留も視野に入れていたと思うよ。カーティスはそれだけ価値のあるドライバー
なのさ。」とグラハム氏。
マルケーナスとエヴァー・グラハムの交渉はシーズン後半、ヨーロッパラウンドの終
了時期近辺に始まり、北米ラウンドに転戦するころには既にエヴァー・グラハム側と
マルケーナスの間では大筋合意に達していた。しかし、マーキュリーとのチーム間合
意にはなかなか至らず。バトラーがタイトル争いの真っ只中にいたことと、マルケー
ナスの後釜確保に苦戦していたマーキュリー側は、土壇場でのマルケーナス残留の可
能性も視野に入れていた為、正式発表がこのタイミングになったようだ。
今回の移籍はプレスリリースで行われたためマルケーナス本人の肉声は届いていない
が、この移籍は本人にとってもポジティブなものであったことは間違いないだろう。
チームは年明けにエンジン変更を含めた新体制発表会見を予定しており、新年号では
期待にあふれたマルケーナス本人の声をお届けできるはずだ。気になるのはマーキュ
リーの来季の2ndシート、マーキュリーはマルケーナスの後釜を見つけられたのだ
ろうか? 逃がした魚は大きかった、なんて話にならなければ良いが・・・。


◇いまだ見えない有力2チームの2ndシート
              来季のマーキュリー、クラークソンのNo.2は!?

2年間在籍したマルケーナスを手放したマーキュリー、そして英国期待の若手ティル
クムとの契約をシーズン途中で解除したクラークソン。この有力2チームの来季の2
ndシートには誰が座るのか? 未だ両チームから正式な発表はない。
マーキュリーはエースドライバーのバトラーがドライバーズタイトルを連覇し、チー
ムランキングも2年連続の2位。一方のクラークソンも元F1王者のファングを擁し
チームランキングは初年度5位、今季は6位と上位を争うチームだ。しかし他チーム
が次々と来季陣容を発表している中、この有力2チームは未だ来季の2ndシートが
決まっていない。
マーキュリーはシーズン終了ギリギリまで、マルケーナスと残留交渉をしていたよう
だ。しかしマルケーナスは同郷オーストラリアのチーム、エヴァー・グラハムから熱
心なオファーを受けており、彼の気持ちは早い段階で移籍に傾いていた。現在NeX
Xにおいて有力チームの一つであるマーキュリーだが、実はチームの運営規模はさほ
ど大きくない。ピットブルのようなチームと比べると、いわゆるワークスとプライベ
ーターのような差がある。そんな状態でエースのバトラーがタイトルを争っているも
のだから、チームのサポートの比重はどうしてもバトラーに傾く。そこで割を食った
のがマルケーナスで、昨季は1勝をあげたマルケーナスは今季、表彰台にすら上がれ
ずにシーズンを終えた。
マルケーナスに移籍の意志があることは早い段階で把握していたマーキュリー、しか
し当初マーキュリー首脳はマルケーナスの不調に苦言を呈しながらも残留を基本路線
として考えていたという。しかしマルケーナスの移籍願望が思いのほか強く、引き留
めに苦労していたようだ。エヴァー・グラハム側もマルケーナスを高く評価しており
結果マルケーナスは”念願”の移籍を果たす。そうして空いたのがドライバー王者を
輩出したチームの2ndシートだった。
マーキュリーの2ndシートには何人か候補が候補が挙がっているものの、いずれも
実現性は低い。チームが最も熱心にオファーしているのはゾルタン・ゲラだが、来季
からロムニ・ダキアと合併を果たすシュトロゼックがゲラを高く評価しており、流出
を阻止しようと躍起だ。移籍の可能性は限りなく低い。リザーブドライバーの昇格も
噂されるがジョリー・バーナードは既に日本のスーパーフォーミュラとスーパーGT
との掛け持ち参戦が決まっており、シュテフェン・バロシュも昨季参戦していたDT
M、WECの継続参戦が決まっている。他有力どころではジョリー・セプターの来季
の行き先が決まっていないが、高額と言われるサラリーとバトラーの立ち位置を脅か
すリスクを抱えているため獲得に動くとは考えにくい。現状来季このままフリーとな
りそうなのがカジワラ、カブロン、ファーシマス、そして今季途中でNeXXを離脱
したティルクムだが、ここからのチョイスになるのか、それとも・・・
マーキュリーは2年連続でドライバーズタイトルを獲得しながら、2年連続でチーム
タイトルを逃している。マーキュリーが2ndドライバーに求める条件としては”コ
ンスタントに上位入賞が計算できつつもバトラーを脅かさない”という絶妙なバラン
スを保てるドライバーだ。戦える環境が整えが面白いのはカブロンあたりだが果たし
て?
もう一方のクラークソンに関してもどうにも動向が読みにくい。彼らは初年度スポン
サー交渉が不調に終わり、当初の想定の2/3程度と言われた予算額で参戦を開始し
た。そのためNo.1には大物を招聘したものの、2ndシートには無名の若者を座
らせざるを得なかった。そしてその若者はさしたる活躍もできずに1年でチームを去
った。それが現在F1において将来を最も期待されているジョルディ・ヴァッセルそ
の人だが、クラークソンは今季も若手英国人を起用しやはり1年で見切りをつけた。
正確には12戦で、であるがそのクラークソンを今季途中で離脱したアリエル・ティ
ルクムの来季去就もまだ決まっていない。ただひとまずティルクムがクラークソンへ
カムバックすることはないため、可能性としては除外しておこう。となると他の可能
性を考えなければならないが、最も”お手軽”な線でいけばリザーブドライバーの昇
格が挙げられる。第13戦以降2ndシートに座ったリンド・ソリスはそこそこのパ
フォーマンスを見せた。またもうひとりのリザーブ、デリック・ワーノックも昨季は
デビュー戦でいきなりPPを獲得するなど才能の片鱗を見せた。リザーブドライバー
昇格の線は可能性として考えられなくはない。
しかしクラークソンはこのオフ、大規模な組織改革を断行中だ。チームマネージャー
が変わり、ファクトリーの人員も整理。大幅なスタッフの入れ替えを決行したのだ。
監督のリチャード・デヴィッズも来季のより一層の飛躍へ向け意気上がっている。そ
んなチームが果たしてリザーブドライバーの昇格という手段をとるだろうか? 更に
クラークソンは今季ドイツのビッグスポンサーを獲得し、資金にも比較的余裕ができ
た。ビッグネームをサプライズで獲得してくることもあり得ないことではない。
しかしながら今のところ、クラークソンのドライバー交渉についての情報は何一つ漏
れ聞こえてこない。チーム組織の再編でそれどころではないのかもしれないし、ある
いはデヴィッズ監督と新マネージャー、スティラノ・ドミニコルのこと、水面下で何
らか動いているのかもしれない。またいくらなんでも年明けまでに体制を固めないこ
とには、来季へ向けて万全の準備もできない。クラークソンについては何らかサプラ
イズを用意している可能性がある。彼らは既に来季の陣容を固めているのか、それと
も・・・
クラークソンはチーム全体がポジティブな改革に向けて動いており、バタバタしなが
らもやや余裕が感じられる。一方のマーキュリーはここに来てやや焦りの色が見える。
有力2チームの2ndドライバー探しは、各々やや状況を異にする展開だ。今後の展
開を注視して行こう。


◇引退の噂を一蹴!! ラ・ポルタ「来季もSLOで走る」!!

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今シーズン限りでの引退がささやかれていたラ・ポルタだが、
来季もSLOで走ることが決定。老け込むにはまだ早い。

一部では今季限りでレーシングドライバーを引退し、SLOの指揮官に就任するとの
噂が流れていたアイウトン・フィリップス・ラ・ポルタが、来季もSOLで走ること
が明らかになった。SLOがカナダGPウィークの木曜日に会見を行い、ラ・ポルタ
と3rdシーズン単年でのドライバー契約を結んだことを、来季チーム監督にハウル
モーゼル氏が就任することと合わせて発表した。
来季36歳を迎えるベテランのラ・ポルタは今季第13戦アゼルバイジャンでNeX
X初優勝をあげたが、それまでの12戦はやや苦戦が続き今季限りで引退するのでは
ないかという噂が流れていた。またヨーロッパラウンド終了とともにチーム監督のヒ
カルド・ロシェットが今季限りでチームを去ることが発表されてからは、引退したラ
・ポルタがその地位を引き継ぐと見られていた。しかし、カナダGP前の会見でラ・
ポルタは来季へ向けての意気込みを、プレス陣を前に力強く語った。
「私は本当に幸せものだね、この年齢で新たなカテゴリに挑戦し、初優勝をあげられ
て、来季の去就についても皆がこんなに関心を持ってくれている。確かにこのカテゴ
リは簡単なものではなかったよ、特に今季は我慢が必要だった。しかしその甲斐あっ
てか第13戦では初優勝できた。あの勝利はチームのみんなで勝ち取ったものだよ。
とても気持ちが良かった。私はまだまだレースへのモチベーションを失ってはいない
し、私の経験をもっとチームに還元できると思っている。だからまだ引退はしないよ。
SLOの監督にって噂もあったみたいだけど、将来的にそうなれればいいね。それは
最高にファンタスティックな未来図だ。」とラ・ポルタは話し、自身のモチベーショ
ンはまだまだ衰えていないことをアピールした。
SLOは来季も今季と同様のドライバー陣容で臨むことが発表され、噂されていたピ
エトロ・モンテローザの復帰説やマルドゥークのリザーブドライバーのリカルド・イ
セクソンの移籍説は実現しなかった。しかし、来季36歳を迎えるラ・ポルタは未だ
SLOにとって欠くことのできない存在である。来季改めてタイトル獲りを狙う同い
年のラムダと共にこの世代にはまだまだNeXXを引っ張って行ってもらいたい。ベ
テランが元気なカテゴリは若手も活気づく、それは世代間闘争が激化するからだ。ま
たラ・ポルタは明るく人懐っこい人柄で、パドックでの人気も高い。彼には来季だけ
とは言わずまだまだ現役でいてもらいたい。


エヴァー・グラハム離脱のバーンズ、アブラモビッチと契約
                    シート喪失危機は回避も待遇は・・・?
  
来季の去就が注目されていた大物ドライバーの一人アレン・バーンズが、来季アブラ
もビッチと単年契約を結んだことが明らかとなった。アブラモビッチチ―ムは最終戦
アメリカGPの土曜フリー走行前に、パドックで会見を開き発表した。
バーンズは元F1王者で通算12勝をあげた大物ドライバー。他ラムダ、ファング、
セプターのF1王者経験者と共に初年度からNeXXに参戦し『F1四天王』と呼ば
れた。しかし初年度は開幕から数戦凡走が続き、後半復調したものの未勝利に終わっ
た。変わって今季は前半戦でコンスタントに入賞を重ねたが、逆に後半に入って失速。
結局参戦2年間通して未勝利に終わり、周囲の期待を大きく裏切ったバーンスは今季
限りでエヴァー・グラハムからの離脱が決定、来季の去就が注目されていた。
アブラモビッチのチームマネージャー、ニコライ・ボルコフは「アレンのような偉大
な経歴を持つドライバーを迎えられて光栄だ。NeXXでは少々苦労したようだが、
我々は彼の実績を充分理解しているし高く評価してもいる。彼のような王者のメンタ
リティを持つドライバーがチームには必要だった。我々は今季かなりの苦戦を強いら
れた。今季から開発体制が大幅に変わったのが原因だが、この状況は来季も続くだろ
う。今は辛抱のしどころだ。そんなチームに経験値の高いベテランが加入するのは喜
ばしいことだ。我々は共に手を取り合い、チームを強化するための計画を共有する。
チームには既に”ブル”(チャップマン)がいる為見た目には2ndシートとなるが
我々は事実上のチームリーダーとして期待しているよ。」とバーンズに対する期待を
示した。
一方のバーンズは「まずは私に手を差し伸べてくれたアブラモビッチチームに感謝し
たい。来季の行き先がなくて困っていたところだったんだ(笑)。来季彼らと仕事が
できることを私も光栄に思うよ。さて、このNeXXというカテゴリはF1に負けず
劣らず難しい。各チームの戦力は非常に拮抗しているし、ひとつの判断ミスが命取り
になる。F1と同様に停滞は後退と同義だ、そういった意味でアブラモビッチチーム
の今季の停滞は難しい状況だったと思うが、私は将来の飛躍の為にあえて今季の停滞
を受容したチームを称賛したい。そして来季からはそのチームの計画に私が加われる
こともたいへん嬉しく思う。それだけ私の実力と経験値を買ってくれているというこ
とだからね。私もこのNeXXに来てからは決して満足のいく成績は残せていないし
周囲の期待を裏切っているのも承知している。去年はキミらにずいぶんと叩かれたか
らね(笑)。しかしNeXXの主役は既にバトラーやラスムッセンを中心とした若者
だよ、往生際の悪いニコ(ラムダ)あたりが頑張っちゃいるが(笑)私はこのアブラ
モビッチチームを強くするために来季全力を注ぐ。」と、ところどころジョークを交
えながら来季への抱負を語った。
ひとまず去就が未定であった大物の来季のシートが決まったのは喜ばしいことだが、
会見に参加した関係者やプレスからはバーンズの世代闘争に屈したともとれる発言を
残念がる声が多く上がった。「彼がチームにもたらす”経験”という無形の財産の価
値は確かに大きいが、それ以上の”ポイント”をチームに持ち帰る気はもう彼にはな
いようだ。」、「彼はは”レイジング・ブル”(チャップマン)に牙を折られてしま
ったのか。」などと口々にバーンズの消極的発言に苦言を呈した。
しかし一方では「彼は時が来れば覚醒するさ、チームオーダーを無視してチームメイ
トに噛みついた”あの時”のようにね。」と、バーンズの反逆に期待する声もある。
バーンズはF1でウ〇リアムズチームに所属した際、チームオーダーを無視してチー
ムメイトのオルティス・ライトマンとバトルを繰り広げた過去がある。彼が王座を獲
得した翌年のことだ。来季34歳となるバーンズに、まだ反骨精神は残っているだろ
うか。このままNeAXX未勝利で終わるにはあまりにも寂しすぎる、来季のバーン
ズの奮起に期待したいところだ。


◇セプター、カジワラ、カブロン・・・ いまだ来季去就が
                      決まらないシート喪失組の来季は?
              
来季の去就が注目された大物バーンズのシートが決定した陰で、未だ来季の行く先が
決まらないドライバーもいる。ちなみに現時点で今季限りでレギュラーシートを失い
来季のレギュラーシートが決まっていないドライバーは以下の通りだ。

J.S.カジワラ → 去就未定
F.デ・ランジェリス → リザーブドライバー降格(アブラモビッチ
A.カブロン → 去就未定
A.ティルクム → 去就未定
A.ファーシマス → 去就未定
J.セプター → 去就未定
D.リンドホルム → リザーブドライバー降格(アントネッティ

上記7名のうち、現所属チームのリザーブに格下げとなったデ・ランジェリスとリン
ドホルム以外の5人は、まだ来季の去就がはっきりとしていない。中には元F1王者
でNeXXで3勝をあげたセプターの名前も含まれている。彼らの来季のシートはど
うなるのだろうか?

ジョー・S・カジワラ
初年度から2年間トライアンフの2ndドライバーとして、日向と共にチームを支え
た。日系2世である彼だがメンタリティは”日本人”そのもの。チームマネージャー
真田幸治氏(来季から監督に昇格)とはF1時代も同じチームで走っていたことから
チームへの溶け込みも早かった。しかしその実績は常に日向の圧倒的なパフォーマン
スと比較され、結局今季を最後にチームから離脱が決定した。今後の去就は未だ不明。
しかしNeXXやF1からのオファーはなく、母国アメリカのインディカーからも声
はかかっていない。現状は何らかのスポーツカー、もしくは日本のスーパーフォーミ
ュラやスーパーGTへの移籍が噂されている。

アレンザンダー・カブロン
イギリスとタイの二つの国籍を持つ彼は、初年度から2シーズンに渡ってプルトンチ
ームに所属したが、チームはすでにカブロンとの来季契約を結ばない旨を発表してい
る。彼は元々ピットブルF1チームの育成プログラム出身だが、現在ピットブルとの
関係は解消されておりF1やNeXXのリザーブ含めピットブル移籍はないと考えて
いい。インディカー移籍の噂もなく、聞こえているのはDTMスーパーGTといっ
たスポーツカーカテゴリへの移籍の噂だ。昨季光る速さを見せたものの、今季は同僚
のヴィックスに水をあけられてしまい、他のNeXXチームからも声はかかっていな
い状況だ。2ndドライバー探しに苦心するマーキュリー、ファーシマスを放出した
シュトロゼックあたりが手を差し伸べてはくれないだろうか。流出してしまうには惜
しい才能だ。

アリエル・ティルクム
今季途中、第12戦ルーマニアGPを最後にクラークソンとの契約を解除したティル
クム。クラークソン側としては成績不振、一方のティルクム側としてはチームのサポ
ート不足を主張。ティルクムの側からチームに契約解除を申し入れたというが、ティ
ルクムのその後のビジョンについてはどこからも伝わってこない。ティルクムもカブ
ロン同様ピットブルのF1ドライバー育成プログラム出身だが、彼も既にピットブル
との関係は切れており今後の進路が見えない。一説にはスーパーフォーミュラに参戦
するとか、インディの中堅チームからオファーが来ているとか言われてはいるが、本
人が目立って行動に移していないため本当のところはどうなのかわからない状況だ。
NeXXではいくつかのチームが獲得候補に入れていたようだが、各チームとも続々
と来季の陣容が決定。チャイナドラゴンやシュトロゼックが接触したと言われている
が果たして・・・

アレオ・ファーシマス
2シーズンに渡ってロムニ・ダキアで戦ってきたファーシマスは、シュトロゼックの
来季の構想には入っていない。ハイネル氏はゲラの残留を軸に、2ndシートには下
位フォーミュラで実績のある若手を起用するつもりのようだ。NeXX以前のキャリ
アでタイトル獲得歴のないルクセンブルク人には辛いところだ。しかも昨季はペナル
ティが多くチームから契約条項にチーム独自の罰則規定を盛り込まれてしまい、”大
人しくなった”今季の走りには昨季のようなキレがなくなった。それでも予選では度
々シングルグリッドを確保し、その”一発の速さ”を評価する関係者は少なくない。
しかし着々と空きシートが埋まっていく中で、NeXX内の移籍先は限られてきてい
る。可能性があるとすればチャイナドラゴンか、ガジャックということになるだろう。
NeXXきっての”暴れん坊”がフェードアウト、なんてことにはなってほしくない
が・・・

ジョリー・セプター
未だ来季の去就が不透明なドライバーの中で、最も心配されているのがこの人だろう。
F1では”跳ね馬”でタイトルを獲得し、NeXXでは2シーズンで3勝をあげたセ
プターも未だ来季去就が決まっていない。2シーズン所属したチャイナドラゴンチー
ムは無情にも、セプターと3季目の契約を結ばない旨を決めた。セプターのチームへ
の貢献度を考えれば疑問を抱かざるを得ない決断だが、チャイナドラゴンが契約更新
を見送ったのは高額なサラリーが理由だと言われている。しかしこれだけの実績があ
れば財力のあるチームからお呼びがかかりそうなものだが、あいにく有力チームのシ
ートは殆ど埋まっている。マーキュリーという線もあるが、バトラーを脅かしかねな
い実力者をマーキュリーは嫌うだろう。実際マーキュリーはリサーチすらしていない
らしい。ここ数年はF1でも活発な移籍劇はなく、F1復帰の可能性も低い。スポー
ツカーなどのカテゴリからは引く手あまたのようだが、これだけの名手がフォーミュ
ラからフェードアウトしてゆくのは忍びない。『リトルベアー』はこのままNeXX
からもトップフォーミュラからも姿を消してしまうのだろうか?

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2シーズンで3勝をあげたセプター(写真左)の来季シートは未だ決まらず。高額なサラリー
がネックと言われるが獲得するチームは現れるか? またNeXXの名物ドライバー”暴れん
坊”ファーシマスも去就未定。来季のシート確保なるか?

いよいよ年末も近くなり、各チームのシートも続々と埋まって空きも少なくなってい
るが、上記5名のドライバーの来季の行く先はまだ決まっていない。特にこの2シー
ズンで3勝をあげているセプターがフリーランスの状態になってしまうのは、やや信
じがたい状況だ。今のところF1復帰といった話も聞こえていないが、このままでは
F1関係者との接触もありうる。左力者の宙ぶらりんなこの状況はNeXXとしては
憂慮すべき事態だが・・・ 初年度から2シーズンNeXXの文字通り創成期を彩っ
たドライバー達は、はたして来季も元気な笑顔を見せてくれるのだろうか。それとも
・・・・・


今季も激戦のうちに幕を閉じたNeXXの2ndシーズン。バトラーのドライバーズ
タイトル連覇、そしてチームタイトルはピットブルが連覇という形で終わったが、こ
のオフの動きは現在のパワーバランスを崩す可能性を秘めている。
ドライバーの移籍が活発化し、エンジンを変更するチームも現れた。また首脳人事含
め組織改革を試みるチームちらほら。これまでの2シーズンはドライバー、チームそ
れぞれ連覇という形で終わっているが、このオフの様子から見ると来季の選手権の様
相はまた変わってくるだろう。今から来季の開幕が待ちきれない!
今季は年末にオフシーズン号をリリースするが、その時には今よりもっと来季の様相
がはっきりとしてくるだろう。次号『オフシーズン号』のリリースをお楽しみに!!

 

 

 

 

Formula NeXXtream 2ndシーズン・18

『Formula NeXXtream 2nd』
□第18戦 アメリカ ロングビーチ市街地サーキット

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 1周:3.17km
 特性:「高速」「市街地」
 ターン数:24(96周)

2ndシーズンのチャンピオンシップもあと1戦となった。泣いても笑ってもこれ
が最後、完全決着戦の舞台は今季もアメリ東海岸カリフォルニア州ロングビー
チだ。前戦カナダではラムダが独走で今季4勝目、これで第16戦日本GP終了時
点でバトラーが僅か1ポイントリードしていたランキングは、ラムダの9ポイント
リードへと変わった。昨季はバトラーの圧倒的有利な状況で最終戦を迎えたが、今
季は変わってラムダ優勢。果たして今季はどちらがタイトルを手にするだろうか。
舞台となるロングビーチは1976~83年までF1が開催され、それ以降は常に
インディカーシリーズのカレンダーに名を連ねる伝統の市街地コースだ。しかし来
季からアメリカGPはインディアナポリスでの開催が決まっており、NeXXの開
催はひとまずこれが最後ととなる。
古くから重工業と観光業で栄え若者文化の発信地として知られるこの街は、アメリ
カンモータースポーツとの関わりが深く、マリーナベイに近くてアップダウンの多
い地形からも『西海岸のモナコ』と呼ばれた。コースはロングビーチの海にほど近
い『パイク』と呼ばれるエリアにある、ロングビーチコンベンションセンター
ショッピングモールを囲む形で敷設されており、NeXXではインディカーと同様
のレイアウトを使用する。1周3.167kmのショートトラックは11のコーナ
ーで構成されている。大きな幹線道路を使用した緩やかに右に弧を描くホームスト
レート、コントロールラインはカーブの前半に設置される。噴水のある花壇を回り
込むように設置されたクランク型シケインのターン2、3や、下りながら左にクリ
アしてゆくターン10などテクニカルな難所はあるが、平均速度域は高くどちらか
というと高速ストリートコースの部類に入る。またアメリカの市街地特有の荒れた
路面が、このコースを難所たらしめている。
昨季はバトラーの20ポイントリードで迎えた最終戦、今季は逆にラムダの9ポイ
ントリードで迎えるがバトラーvsラムダのタイトル争いの図式は変わらなかった。
レースは96周、その果てに待っているのはバトラーの連覇かラムダの初戴冠か?
レースは想像以上に白熱した展開となった。

<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)
ラムダの9ポイントリードという、圧倒的ラムダリードの条件で迎えた予選だった
がそこでPPを獲得したのはバトラーだった。雲の隙間から所々青空が覗くような
うすぐもりの予選、圧倒的不利な状況でもバトラーはあきらめず全開アタックを見
せた。Q3の最後にタイムを出したラムダは、結局直前にトップタイムをマークし
たバトラーのタイムを抜けなかった。これでポイントリーダーのラムダのリードは
6ポイントと縮まり、ラムダは2番手からのスタートとなった。そして3番手には
ボナパルトがつけた。これまで予選ではそれほどのインパクトを残してこなかった
ボナパルトだが、ラムダの援護のため2列目を確保。ピットブルは総力戦の構えだ。
4番手には後半戦絶不調をかこったファング、得意の高速市街地で速さを見せた。
5番手には地元アメリカのロッソ、6番手ゲラと今季の選手権を盛り上げた伏兵が
サードローにつける。そして7番手には地元の雄カジワラ、8番手にはチャップマ
ンがつけた。9番手には終盤戦に調子を上げてきた宋、10番手には同じく後半戦
復調してきたリンドホルムがつけた。
一方でチームタイトル3位のノルディックはハイデンフェルド12番手、ラムスッ
セン17番手と2台とも中団以降に沈む。さらに前戦4位入賞、市街地マイスター
の日向も今回は15番手と中団に埋もれた。同じく市街地が得意なカレッジも18
番手に沈む、来季移籍するアントネッティの地元で良いところを見せたかったが、
カレッジも後方に沈む。そして一番の問題はマルケーナスが22番手に沈んだこと
だ。ピットブルに36ポイント差をつけられてはいるが、マーキュリーにもまだま
だわずかだが逆転でのチームタイトル獲得の可能性があった。しかしマルケーナス
が後方に沈んだことで、事実上マーキュリーのタイトル獲得の可能性はほぼなくな
ってしまった。
終戦の予選落ちはヴィックス、カブロン、セプター、デ・ランジェリスの4台。
プルトンの2台はカナダに続いて2戦連続2台とも予選落ちで今季ラストを飾れず。
カムイエンジンの載る来季に期待したい。そして今季2勝をあげたセプターも予選
落ちを喫した。2勝をあげながらも今季3度目の予選落ちとなったセプターは、ま
だ来季のシートが決まっていない。果たして来季の去就はどうなるのだろうか。


<決勝レース>
決勝は前戦カナダ同様、抜けるような青空のもと行われた。12月のカリフォルニ
アは温暖で過ごしやすい。雨だけが心配されたが快晴でのレースとなった。荒れた
路面の市街地コースだが、コーナー数も少なくタイヤへの負担はそれほど大きいコ
ースではない。よってほとんどのドライバーがソフトタイヤをチョイスした。ヨコ
スカ勢の中には例によってオールソフト作戦を企図している者もいたようだ。

<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
M.ポルボローネ
A.ファーシマス
J.グーデリアン
J.カレッジ

   
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         A.バーンズ 
M.ボナパルト       J.バロン
A.バトラー        日向 俊郎 
K.マルケーナス     J.カジワラ 
S.シエナ         J.チャップマン                       D.ファング
Z.ゲラ          D.ファング
K.ラスムッセン      L.ソリス
M.ハイデンフェルド    宋 昇龍 
A.ラ・ポルタ          
A.フィリオ              
A.ロッソ       
D.リンドホルム        
B.リヴィエール  
C.タンデイ 

=ユーズドタイヤ


◆王座決定条件  

 ラムダ   バトラー   ポイント差
 191   185      6
※バトラーには第18戦PPポイント加算済み

・順位別獲得可能ポイント

       <ラムダ>        <バトラー>
 優勝    191+25=216   185+25=210
 2位    191+18=209   185+18=203
 3位    191+15=206   185+15=200
 4位    191+12=203   185+12=197
 5位    191+10=201   185+10=195
 6位    191+ 8=199   185+ 8=193
 7位    191+ 6=197   185+ 6=191
 8位    191+ 4=195   185+ 4=189
 9位    191+ 2=193   185+ 2=187
10位    191+ 1=192   185+ 1=186

※ファステストラップ獲得で2ポイント加算

ラムダ → 優勝なら文句なしで王座獲得。また何位であれラムダがバトラーに先
      着すれば文句なしで王座はラムダのものとなる。
      しかしラムダが2位でバトラーに優勝された場合、バトラーに1ポイ
      ント逆転されてしまうためこのケースでラムダが王座を獲得するため
      にはファステストラップの獲得が絶対条件となる。
      ラムダがノーポイントの場合はバトラーが8位以下であればラムダの
      王座は確定、7位の場合バトラーがFLを獲得していればバトラーの
      逆転王座となる。

バトラー→ 基本的にラムダより前でフィニッシュすることが絶対条件で、優勝以
      外だと大きく順位差をつけていなければ逆転王座は望めない。バトラ
      ーが2位でラムダが5位、のように最低3つの順位差をつけてフィニ
      ッシュしたいところだ。
      また取れるポイントは全て取りたいバトラー、逆転王座の為にはFL
      獲得は絶対条件と言える。

※条件によっては同ポイントで並ぶ可能性もあるが、バトラーは優勝回数でラムダ
 に負けているため、同点の場合はラムダが王座獲得となる。
 (ラムダ4勝、バトラー3勝)


レースは大きな混乱なくスタート。グリッド順のままトップからバトラー、ラムダ
ボナパルト、ファングの隊列でターン1へなだれ込む。中団では8番手スタートの
チャップマンが、カジワラをかわして7番手に浮上。後方でもいくつかの順位変動
はあるものの大きな動きなく進んでゆく。
バトラーからファングの前4台のペースは速い、しかし地元で張り切るロッソがペ
ースアップ。開幕戦以来の優勝を狙いファング、ボナパルトを追い落とし3番手に
浮上する。

6番手のゲラ以降はついて行けずやや離される。スタートでチャップマンに先行さ
れたカジワラが、チャップマンを抜き返し大喝采。チャップマンはどこかでミスが
あったのか宋、リンドホルムにもかわされ10番手まで後退してしまう。中団は相
変わらず大混乱だ。さらに後方では事故発生。ターン8の侵入でオーバーテイク
しかけたカレッジにフィリオが接触。2台に大きなダメージはなかったものの、そ
れぞれポジションを落としてしまう。

そしてここでなんと快調にトップを征くバトラーにトラブル発生。左リアタイヤ
違和感を感じたバトラーのペースがガクっと落ちる。どうやらスローパンクチャの
ようだ。バトラーの異変を察知したラムダはマシンを左右に振ってプレッシャーを
かけるも、バトラーは巧みなブロックラインで防ぎきる。そしてバトラーは4ター
ン目、予定外のピットストップを強いられるのだ。

新品ソフトでスタートしたバトラーは、ユーズドハードに繋ぎレース復帰。ファン
グの後ろ5番手でコースに戻る。逆転王座の為には少なくともラムダに先着しなけ
ればならないバトラー、しかしここからの挽回は容易ではない。
一方トップに立ったラムダは快調に飛ばす。2番手に上がったロッソはややペース
ダウン。後ろにまわったボナパルトがしきりに前をうかがい、一瞬のスキを突いた
ボナパルトがポジションを奪い返す。これでピットブルは1-2体制だ。

中段もなかなかの大混戦、宋、ゲラ、リンドホルムの熾烈な6番手争いが展開され
る。その後方でSLOのマシンが1台ピットインしてきた。サントス・フィリオだ
った。サントス・フィリオは前のターンにカレッジと接触、マシンにダメージはな
かったものの、右フロントタイヤの内圧が低下していた。更に先ほどの接触で10
秒ストップのペナルティも課せられており、タイヤ交換と合わせてペナルティを消
化。ハードタイヤへ交換しコースへ出てゆく。
そしてレースは5ターン目にアクシデント発生、地元アメリカのカジワラがマシン
後方から派手に白煙を上げマシンを止めてしまった。エンジンブローで最終戦を飾
れなかったカジワラはコースの片隅にマシンを止めリタイヤ、このレース最初のセ
ーフティカー出動となる。

★5ターン終了時のトップ10
 1.ニコ・ラムダ
 2.ミシェル・ボナパルト
 3.アレンザンダー・ロッソ
 4.アレックス・バトラー
 5.デイヴィス・ファング
 6.ゾルタン・ゲラ
 7.宋 昇龍
 8.デイヴィス・リンドホルム
 9.ジョンブル・チャップマン
10.セドリック・タンデイ

ピットオープンとなった7ターン目、トップのラムダがこのタイミングでピットイ
ン。ユーズドハードに繋いで5番手でコース復帰。そしてピットブルはボナパルト
をバトラーに対する「防壁」としてステイアウトさせた。ボナパルトもラムダ同様
ソフトタイヤでスタート、本来ならばボナパルトもタイヤ交換のタイミングだが、
チームは彼の驚異的なタイヤマネジメント能力を活かす作戦に出た。

しかしリスタートとなった8ターン目、ピットブルの作戦はまず一つバトラーに打
ち破られる。バトラーが完璧なリスタートを決め、ボナパルトの前に出てしまった
のだ。ピットブル陣営はバトラーのリスタート時の動きに問題があったとし、スチ
ュワードに抗議したが却下された。ボナパルトのリスタートが特別悪かったわけで
はない。要するにピットブル陣営が抗議せざるを得ないほど、バトラーが完璧なリ
スタートを決めたのだった。

こうなるとボナパルトがピットインを引っ張る意味ももはやないかと思われたが、
ボナパルトはまだ入らない。ピットブルがボナパルトの1回目のピットストップを
遅らせた理由は、もう一つあった。2回のストップを終わらせたラストスティント
でソフトをフルグリップで使わせるため、1回目のピットストップを遅らせていた
のだった。ピットブルは文字通り手を変え品を変えの総力戦を企図していた。

トップグループではファングが9ターン目にピットイン、ユーズドハードへ繋いで
コースへ出ていた。そして1回目のストップを遅らせたボナパルトは10ターン目
にピットイン。こちらもユーズドハードへと繋いでゆくが、ピットブルのクルーが
やや作業に手間取り、ボナパルトはこれでいったん5番手まで後退する。最初のリ
スタート時の作戦を失敗したピットブル、綿密に見えた作戦にこのあたりから徐々
にほころびが生じ始める。

上位グループが全員ピットインしたことで、レースはトップバトラー、2番手ラム
ダの展開に戻る。タイヤはともにユーズドハード、しかしどうやらバトラーの方が
ユーズドハードとの相性が良かったようでバトラーは快調にラムダの前をゆく。逆
にタイヤに熱を入れるのにやや苦労したラムダ、ペースが思うように上がらず後ろ
のファングに突かれるようになる。
しかし後ろでは5番手に下がったボナパルトがペースアップ、ゲラをかわして4番
手に浮上していたボナパルトはすぐにファングにも追いつき、そのままオーバーテ
イクしてしまった。これでボナパルトは3位に復帰、隊列は再びバトラーをピット
ブルの2台が追う形となる。

そして11ターン目、後方で大きな多重事故が発生する。まずシエナとサントス・
フィリオの19番手争いで、サントス・フィリオの仕掛けをブロックしたシエナ
接触。2台が絡み合ってストップしていたところにマルケーナスがグーデリアン
オーバーテイクしようと接近。接触した2台にさらに接触した2台が突っ込むこと
になり、このレース2度目のセーフティカー出動となった。
2セット目のユーズドハードが好感触でラムダを引き離しにかかっていたバトラー
のリードが、これでリセットされる形になったマーキュリー。しかも事故に絡んだ
のがマルケーナスとあれば、マーキュリー首脳陣は頭を抱えるばかりだ。これでタ
イトル争いは完全にバトラーvsピットブル勢の図式となった。マルケーナスは結
局このレース、最後まで一人”蚊帳の外”であっただけでなく、バトラーの快走も
台無しにしてしまった。

ピットオープンの13ターン目、4ターン目に交換したバトラーのユーズドハード
はやや限界に近かったが、バトラーはステイアウト。残りのターン数を考えラスト
スティントをソフトに繋ぐかハードにするか選択のしどころだったが、このタイミ
ングでステイアウトしたことにより、バトラーは最後のスティントをソフトに繋ぐ
可能性が出てきた。それにしてもレースの残りはまだ10ターン以上。今のタイヤ
をもたせられるかも微妙なところ。バトラーは賭けに出た。

14ターン目、2度目のリスタートでは大きな混乱はなし。6番手のゲラがロケッ
トスタートを決め4番手まで浮上した。15ターン目に入ってバトラーのタイヤは
完全に限界を迎えていた。思うようにペースが上げられなくなっていたが、ラムダ
のタイヤも”1段目のガケ”が来ていた。ペースの上がらないラムダを守るように
ボナパルトはラムダの後ろにぴったりついて走る。4番手ゲラがボナパルトに接近
してくるもボナパルトは行かせない。バトラーとラムダの差も徐々に詰まりはじめ
2番手以降がやや数珠繋ぎになり始めた。

★15ターン終了時のトップ10
 1.アレックス・バトラー 
 2.ニコ・ラムダ
 3.ミシェル・ボナパルト
 4.ゾルタン・ゲラ
 5.デイヴィス・ファング
 6.アレンザンダー・ロッソ
 7.ジョンブル・チャップマン
 8.ジェストン・バロン
 9.宋 昇龍
10.日向 俊郎

16ターン目、トップのバトラーと2番手ラムダの差はマージン1。しかしお互い
タイヤは限界に近い。となればどっちが先に入るか我慢比べの様相だが、バトラー
の方が状況的に厳しいのは明らか。はたしてどう動く?
トップ3に続く後続にトラブル発生。4番手を走行していたゲラが急に大きくペー
スダウンした。ギアボックスからオイル漏れの兆候があり、マシンの後ろから白煙
も出ている。これはどこまでもつか・・・
そして後方のチャップマンも、DRSが開かないというトラブルに見舞われていた。
さらに後方ではラ・ポルタとリンドホルムが接触。互いに無傷ではあったがポジシ
ョンを落としてしまった。オイル漏れトラブルのゲラは次ターンにリタイヤした。

17ターン、ついにバトラーが最後のピットイン。レースは残り8ターンだが、バ
トラーは新品ソフトタイヤをチョイス。2セット目のユーズドハードを実に13タ
ーンもたせてのタイヤ交換だった。なんとか最後のスティントをソフトに繋いだバ
トラーだが、しかしピットブル勢はこのあとソフトに交換する。最後までフルグリ
ップで戦えるピットブルの方が終盤は有利だ。ピットブル勢がタイヤ交換するまで
の何ターンかがバトラーの勝負所だ。
バトラーのこの状況に対し、マーキュリーピットも快心の作業でバトラーをコース
へ送り出す。バトラーのピットアウトと時を同じくしてホームストレートにはボナ
パルトが戻ってくる。バトラーとしてはここでボナパルトの前に出たかったが、ボ
ナパルトがバトラーを制する。ボナパルト会心のブロック、バトラーを3番手に封
じ込めることに成功した。ラムダはこのあとタイヤ交換。それまでボナパルトはバ
トラーを抑えきれるか?

18ターン目、ラムダはもう1ターンのステイアウトを選択する。ピットブルの作
戦はこうだ。トップのラムダのタイヤはすでに限界だが、マージン1つ分進むこと
ができボナパルトがそれについて行ければ、このターンでバトラーはフルグリップ
のソフトタイヤを追抜きではなく、ボナパルトに追いつくために使わざるを得ない。
バトラーがフルグリップでバトルできる機会を削りたいというのがピットブルの作
戦だった。しかしこのターンラムダはペースを上げられず・・・
かたやバトラーはむやみにバトルするリスクを鑑み、このターンは動かず。最後の
新品ソフトのフルグリップに賭けたいラムダだが、どうも雲行きが怪しくなってき
た。

後方では中団勢が続々ピットイン。ファング、チャップマン、そして単独スピンを
喫しポジションを落としていたロッソも、ソフトタイヤで最後のスティントを戦う。
そして19ターン目、ついにラムダがピットイン、こちらも当然ソフトタイヤでコ
ースに出てゆく。作業時間は無難なものだったが、かたやバトラー側は快心の作業
でコースに出ている。ピットアウト後の位置関係は果たしてどうか?

トップに立ったボナパルトは可能な限りプッシュ。バトラーが離されずについてゆ
くが、ボナパルトはとうに限界を迎えていた2セット目のユーズドハードでバトラ
ーを抑え込み、その間に3番手でコース復帰したラムダは猛然と追い上げてくる。
20ターンに入ってもボナパルトはまだピットに入らない。ピットブル陣営はラム
ダがバトラーの尻尾を捉えられる位置に来るまで、ボナパルトにバトラーを抑え込
ませる作戦だ。
しかしボナパルトのユーズドハードは既に11ターンを経過、かたや後ろのバトラ
ーはまだフルグリップ状態を維持している新品ソフトタイヤ。ボナパルトのタイヤ
は驚異的なもちだが20ターン目についに力尽きた。ついにここでバトラーがボナ
パルトの前に出てトップに立った。レースは残り4ターンだ。

21ターン目、前が空いたバトラーは渾身のラップをたたき出す。バトラーのソフ
トタイヤのフルグリップはこのターンが最後。最後の力を振り絞ってピットブル勢
とのマージンを築く。そしてボナパルトはついにここでピットイン。驚異的なタイ
ヤマネジメントを見せたボナパルトも、最後はソフトに交換する。
フルグリップのラムダは懸命にバトラーを追うが、前が空いたバトラーのペースは
なかなか落ちない。このままいけばタイトルは2年連続バトラーのものだが、果た
してどうなる?

22ターン以降、後続4番手以降はポジションキープのため大きく動かず。依然と
してトップはバトラー、ラムダは懸命に追うがなかなか差は詰まらない。そしてこ
こにきてラムダは、ややエンジンのパワーダウンを感じていた。
ラムダは結局終盤、ECUのトラブルでペースを上げられず。このままバトラーが
優勝しても、ファステストラップを獲得していれば211vs210でラムダが1
ポイント上回っての王座奪還となったが、ラムダはこの時点でレースファステスト
となっていたバトラーのラップタイムを上回ることもできず。

レースは序盤のタイヤトラブルを跳ね返し、土壇場の驚異的な速さでバトラーが優
勝。バトラーと終始激しいバトルを繰り広げたピットブル勢はラムダ2位、ボナパ
ルト3位と続いた。4位には久々に速さを見せつけたファング、そしてスピンでポ
ジションを落としたロッソが見事なリカバリーで5位に入賞した。
6位には今季5度目、北米ラウンド連続入賞の宋、そして17番手スタートのラス
ムッセンが7位入賞。8位には終盤ミスファイアに見舞われながら走り切った日向
9位は20番手スタートのビッゲスト・ムーバー、バロンが入った。そして10位
にはハイデンフェルド、ノルディックは最終戦なんとかW入賞を果たした。


最終リザルト↓↓↓

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Winner:アレックス・バトラー(マーキュリー)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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これにて全日程を終了したNeXX2ndシーズン、ドライバーズタイトルの行方
はこれで2年連続バトラーのものと決した。
終戦を迎えた時点で9ポイントあったラムダとの差だが、バトラーは驚異的な粘
りで王座を自身のもとへ手繰り寄せていった。予選でのPP獲得で3ポイント縮め、
そしてレースでは完全にピットブル勢を抑え込み優勝で25ポイントを獲得。さら
にはファステストラップをマークし2ポイントを獲得するという念の入れよう。
今季からFLポイントが付与されるようになったがPP、優勝、FLと完全優勝
果たした初のドライバーとなり終わってみればバトラー212ポイント、ラムダ2
09ポイントとわずか3ポイントラムダを上回ったバトラー。これ以上ない劇的な
逆転戴冠劇だった。ちなみにFLをラムダに取られていたら、ラムダ211vsバ
トラー210と、1点差で王座はラムダのものとなっていた。
昨季は勝利数でラムダに軍配が上がったが(ラムダ4勝、バトラー3勝)、今季は
共に4勝をあげ実力は昨年以上に伯仲。そんな中土壇場の驚異的な粘りが、今季の
明暗を分けた。

チームタイトルは305ポイントを上げたピットブルが堂々の連覇達成。ポイント
数も300の大台を超えてきた。最終戦を見てもわかる通り、しっかりと計算でき
るドライバーを二人揃え、継続的に好パフォーマンスを出せる状態を維持する。そ
のマネジメント能力あってこその戴冠と言えるだろう。シーズン途中でのドライバ
ー交代もあったが、あのままマイネを起用していてもタイトルは獲れたのではない
か? しかしタイトルを狙う体制に妥協を許さなかったからこそ、300ポイント
オーバーでの戴冠を果たせたのだろう。そこをいけばマーキュリーは、シーズン途
中からマルケーナスをやや蚊帳の外に置きがちだったように思う。
マーキュリーはもともとF1の中堅チームが前身で、総合的に強い”チーム”を組
織するためのノウハウがやや不足している感は否めない。来季もチームタイトをも
狙うのであれば、それが強化ポイントと言えるだろう。


初年度同様最終戦まで目の離せない白熱の展開となった、2ndシーズンのNeX
X世界選手権。ドライバーズタイトルはバトラーの2連覇、チームタイトルはピッ
トップルの2連覇に終わったが、今季は3つの新参チームが、ドライバーも新しい
メンツが加わって選手権は初年度以上に白熱したものとなった。3rdシーズンと
なる来季は、ドライバーの入れ替わりもありさらに白熱した展開になるだろう。さ
らに来季は来る4thシーズンへ向け、現行エンジンフォーマット最後の年となる
とともに、現行シャシー最後の年でもある。
3rdシーズンの開幕まで、しばしの休養だ。3rdシーズンをお楽しみに!

 

Formula NeXXtream 2ndシーズン・17

『Formula NeXXtream 2nd』
□第17戦 カナダ エキシビジョンプレイス市街地

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 1周:2.82km
 特性:「低速」「市街地」
 ターン数:28(112周)

初年度に続き大混戦となった2ndシーズンの選手権も残すところあと2戦。アジ
アラウンドが終了し、NeXXはいよいよ最終ラウンドである北米決戦へと雪崩こ
む。大詰めを迎えた選手権第17戦の舞台はカナダ、トロントのエキシビジョンプ
レイス。五大湖の一つオンタリオ湖岸に位置するコンベンション施設の敷地に敷設
されるストリートコースだ。今季は第16戦日本GPが小樽市街地での開催となっ
たため、第15戦マカオから最終戦ロングビーチまで最後の4戦がすべて市街地戦
となったNeXX。その中でもこのエキシビジョンプレイスは異才を放つコースだ。
約80万平方メートルの敷地にさまざまな施設が点在し、コースは周囲の幹線道路
を含み敷地内の施設の間を縫うように敷設。北米最高峰のモータースポーツ、イン
ディカーでも使用されるレイアウトは、1周2.82kmと3kmに満たないスー
パーショートトラック。これを実に118周する。
コースは2本のストレートと11個のコーナーで構成される。オンタリオ湖岸側の
『レイクショア・ブルバード』は約800mのミドルストレートだが、ホームスト
レートは400mに満たない超ショートストレートだ。他各セクションは先述の通
りコンベンション施設の建物の間を文字通り縫うように敷設されているため、コー
ナーとコーナーの間隔が短く、コース幅も狭いためオーバーテイクは困難。『レイ
クショア・ブルバード』とストレートエンドのターン3が唯一の抜きどころだが、
全体としての速度域が低いためストレートで追抜きの為のスピードに乗せられず、
スリップに入れないままターン3を迎えてしまうことが多い。路面状態もバンピー
でダスティ、おまけにエスケープゾーンも少なく一つのミスが命取りになる難コー
スである。
更に秋のトロントは涼しく過ごしやすい気候であるものの、乾燥したり雨が降った
りを繰り返す気まぐれな空模様。ただでさえ追抜きの難しいコースで、雨など降ろ
うものなら大混戦は必至。ましてやドライバーズタイトル争いはバトラーが、僅か
1ポイント差でラムダを上回るという大接戦の状態だ。最終戦アメリカでの完全決
着を前に、どんなレースが展開されるのか?


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:ゾルタン:ゲラ(ルムニ・ダキア
高く澄んだ抜けるような青空、予選セッションは終始快晴の空のもと行われた。ポ
ールポジションはロムニ・ダキアのゲラが獲得、終盤戦に入り大きく調子を上げて
きたゲラ、これがNeXX初のPP獲得だ。そしてフロントロー2番手には地元カ
ナダの雄、リヴィエールがつける。選手権を争うラムダが3番手につけ、こちらも
終盤にきて復調してきたロッソが4番手に並んだ。5番手には宋、7番手には日向
8番手シエナと市街地が得意な面々も好位置につける。6番手デ・ランジェリスは
今季ベストグリッドだ。
そして今季でNeXXを離脱するもう一人のカナダ人、リンドホルムが12番手に
つけたが選手権を争うもう一人、ポイントリーダーのバトラーはリンドホルムの隣
11番手に埋もれた。抜きにくいこのコースでのこの予選順位は致命的、バトラー
はどのようにレースを運ぶのだろうか? また後半戦は大スランプに見舞われてい
るファングも14弾手に沈む。本来市街地は大得意なはずだが、低速コースが苦手
なマシンパッケージに今回も手を焼いた様子だ。日本GPで2勝目をあげたセプタ
ーも17番手と低迷、来季のアントネッティのシートを射止めたカレッジも、チー
ムの地元である最終戦を前に20番手に沈む。そして明らかにストリートコースで
パフォーマンスの悪いボナパルトは、今回も21番手に沈んだ。
今回の予選不通過4台の中に、なんとランキング3位のラスムッセンがいた。ラス
ムッセンはタイムアタック中にマシンをクラッシュさせてしまい、修復が間に合わ
ず予選落ちとなってしまった。今季は一貫してフラストレーションの溜まるシ―ズ
ンだったに違いない。他はプルトン勢が2台揃って予選落ち、そしてこちらも地元
での最終戦を控えた日系アメリカ人ドライバー、カジワラは今季7度目の予選落ち。
来季のシートも決まっておらず、最終戦での奮起が期待される。


<決勝レース>
今年のカナダGPは終始快晴、決勝も雲一つない青空のもと行われた。気温、路温
ともに高くはなかったが、荒れた路面とツイスティなコースのためヴァシュロン勢
は殆どがハードを選択。各チームとも2ストップは必須と見ており、ユーズドハー
ドを1スティント目に持ってくるドライバーが多かった。一方でヨコスカ勢は多く
が新品ソフトをチョイス、ソフト2、ハード1での2ストップ作戦をチョイスした。

<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
M.ボナパルト      J.チャップマン 
K.マルケーナス     S.シエナ
M.ポルボローネ     
Z.ゲラ 
A.ファーシマス
M.ハイデンフェルド      
A.ラ・ポルタ          
A.フィリオ       
A.ロッソ       
D.リンドホルム
B.リヴィエール 
J.グーデリアン
C.タンデイ 
J.カレッジ   

   
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         A.バーンズ
A.バトラー        J.バロン
              日向 俊郎
              F.デ・ランジェリス
              D.ファング
              L.ソリス
              宋 昇龍
              J.セプター

=ユーズドタイヤ

スタートではPPのゲラが若干もたついた。これに2番手のリヴィエールが並びか
けるがゲラは抜かせまいとアウト側にリヴィエールを押しやる。そのインを突いた
のが3番手スタートのラムダ。前の2台を1コーナーでかわしてトップに立ち、以
下2番手にリヴィエール、3番手ゲラと続く。中団では11番手に沈んだバトラー^
が良いスタートを決め9番手に浮上していた。

トップに立ったラムダはソフトタイヤでのスタート。ロケットスタートでトップに
立ち、とにかく逃げてバトラーとのマージンを築く作戦だ。更に2番手、3番手に
続くリヴィエールとゲラはともにユーズドハードでラムダを覆うことができない。
そしてスタートでポジションを上げ4番手にいた宋が、ここでゲラをかわして3番
手に上がる。ヨコスカ勢の宋はソフトタイヤでのスタートだ。ゲラはさらにロッソ
にもかわされ5番手まで後退する。

ラムダは快調にトップを征き、続くリヴィエールとのマージンはどんどん拡大して
ゆく。リヴィエールは逆に3番手に上がった宋に、後ろをつつかれる。また一時5
番手に後退したゲラは3ターン目にロッソをかわし4番手復帰、ロッソは後ろの日
向に抜かれ6番手後退と、中段では目まぐるしく順位が入れ替わる。
4ターン目には日向がゲラをかわして4番手浮上、そしてこの時点で早くも11番
手スタートのバトラーはロッソをかわし6番手まで浮上していた。中団ではユーズ
ドハードのロッソがやや苦戦気味。

一方フレッシュソフトでスタートしたラムダは、後方の混戦をよそに快調に飛ばし
後ろとのマージンをぐんぐん拡大してゆく。バトラーは5ターン目にはゲラをかわ
して5番手に浮上。そしてその前をゆく日向がパンクチャに見舞われペースダウン
するや、あっという間にオーバーテイク。バトラーはこの時点で4番手に浮上して
いた。序盤から猛烈なペースで逃げるラムダを、猛烈なペースで追いかけるバトラ
ー。しかしここで後方のマシンにトラブル発生。大混雑の中段11番手争いのグル
ープで多重クラッシュ。ファング、ポルボローネ、リンドホルム、グーデリアン
ソリスの5台がストレートエンドのターン3で絡み合う。この事故によりコースに
はセーフティカーが出動、ここまで大きなリードを築いていたラムダのマージンが
一瞬にして0になった。

★5ターン終了時のトップ10
 1.ニコ・ラムダ
 2.宋 昇龍
 3.ビル・リヴィエール
 4.アレックス・バトラー
 5.日向 俊郎
 6.フェリオ・デ・ランジェリス
 7.ゾルタン・ゲラ
 8.アレンザンダー・ロッソ
 9.アレン・バーンズ
10.スティラノ・シエナ

ピットオープンの7ターン目、トップのラムダがピットイン。新品ハードにスイッ
チしてコース復帰してゆく。しかし他は殆どがステイアウト、タイヤにダメージを
負っていた日向とデ・ランジェリスはともに、このタイミングでユーズドハードに
交換していったが、他はヴァシュロン勢のほとんどがハード勢、そしてヨコスカの
ソフト勢は交換のタイミングが少し早いためほとんどがステイアウトした。バトラ
ーもこのタイミングで入らず3番手浮上、オーバーカット狙いだ。

リスタートは8ターン目、トップに立った宋が先導し混乱なく進む。隊列はトップ
が宋、2番手にリヴィエール、3番手にバトラー、そしてタイヤ交換に入ったラム
ダは4番手にいた。ソフトスタートの宋だがさすがのヨコスカタイヤ、9ターン目
に入ってもトップをキープしいまだステイアウト。そして後方3番手のバトラーが
2番手のリヴィエールをここでかわしにかかる。バトラー11番手スタートから早
くも2番手に浮上。さらにバトラーはさすがにタイヤが限界の宋に仕掛けトップに
立つ。しかしバトラーはこの直後にピットストップを控えている。直接の敵である
ラムダは4番手、さてどうなる?

中段でトラブル発生。リナルディのマシンが後方から白煙をあげ、マシンをエス
ープに入れてしまった。8番手スタートのシエナエンジンブローでリタイヤ、予
選での速さには定評のあるシエナだったが、どうも決勝ではツキがない。
10ターン目にはようやくバトラーがピットイン、ライフの長いヨコスカの宋と同
じタイミングでタイヤ交換を済ませる。相変わらずの驚異的なタイヤマネジメント
だ。しかしこの間にトップに立ったラムダは、着々とバトラーとのマージンを築き
始める。

11ターン目、このあたりでユーズドハードスタートの面々が1回目のタイヤ交換
のためピットに入ってくる。4番手のロッソを皮切りにチャップマン、マルケー
ス、カレッジといった中段の面々も続々ピットイン。そんな中ピットに入ってきた
サントス・フィリオが、そのままピットにマシンを止め降りてしまった。ブレーキ
トラブルだった。ルーキーイヤーは大活躍だったサントス・フィリオだが、今季は
ややスランプ気味だ。

12、13ターンに入ってトップのラムダがペースアップ。路温が低くハードの温
まりが悪かったラムダだが、熱が入って来てからは徐々にペースアップ。バトラー
は2番手で追うもマージンは開く一方だ。
15ターンを経過してラムダのペースが落ち着く、充分なマージンを確保したため
ペースを抑えろとの指示がピットから飛んだようだ。それでもバトラーはラムダと
の差を縮めるには至らない。ラムダのレースペースは驚異的だ。後方では3番手と
表彰台圏内を走行していた宋が、ずるずると6番手まで後退。どうやらどこかでミ
スがあったようだ。トップ争いとは違い中段は接近戦、一つのミスが命取りになる
状況だ。

★15ターン終了時のトップ10
 1.ニコ・ラムダ 
 2.アレックス・バトラー
 3.ビル・リヴィエール
 4.アレンザンダー・ロッソ
 5.ジョンブル・チャップマン
 6.宋 昇龍
 7.フェリオ・デ・ランジェリス
 8.日向 俊郎
 9.カーティス・マルケーナス
10.ゾルタン・ゲラ

16ターン目、ここにきてラムダのペースがガクッと落ちた。どうやらタイヤにガ
ケが来たようだ。バトラーは懸命に追撃、僅かながら差を縮める。
タイヤは劣化してきたもののラムダのトップは変わらず、離れた2番手でバトラー
が追う。後ろ3番手リヴィエールから6番手ロッソまでは団子状態、お互いがお互
いをけん制しあう展開だ。
18ターン目にはその中団グループが2回目のピットイン。宋、日向、そしてデ・
ランジェリスが新品ハードに繋いで出てゆく。

そして19ターン目、トップのラムダが最後のピットイン。2スティント目を新品
ハードで走ったラムダは、最後のスティントにユーズドハードを持ってきた。もち
ろん余裕をもってトップでのコース復帰だ。そして対するバトラー陣営はソフトタ
イヤを用意。バトラーは他のヴァシュロン勢が皆ハード2、ソフト1の2ストップ
を選択したのに対しハード1、ソフト2での2ストップ作戦をチョイスしていた。
相変わらずの驚異的なタイヤマネジメントだ。ラムダは中古ハード、そしてバトラ
ーは新品ソフト。マージンは大きいものの最後までわからない。

ここで5番手を走行していたチャップマンが一瞬ガクッとペースを落とす。走行中
にギアが3速にスタックしてしまったが、後方とは接近していなかったためポジシ
ョンを落とすことはなかった。バンピーで荒れた路面は、マシンの細部にも影響を
及ぼしているようだ。
その後方では最後のスティントで新品ハードをチョイスした日向がペースアップ。
ファステストラップをたたき出した日向は、バックストレートで宋をかわし8番手
浮上。前を行くゲラをもまとめてかわさんばかりの勢いで切れ味の良いオーバーテ
イクを見せる。

ドライバーズタイトル争いばかりに目が行きがちだが、ピットブルとマーキュリー
のチームタイトル争いも熾烈。現在ピットブルが26ポイントリードでトップにい
るが、のこり2戦では行方はまだまだ分からない。ピットブルのNo.2ボナパル
トは21番手スタートからの1ストップ作戦。ようやくこの時点で入賞圏が見える
12番手までやってきていたが、一方の22番手スタートマーキュリーのマルケー
ナスはなんとこの時点で6番手にいた。あと1回のピットストップを消化せねばな
らないが、実に15番手アップのビッゲストムーヴ。来季マーキュリー離脱の線が
濃厚なマルケーナス、残り2戦はいい仕事をして終わりたいところだ。対するボナ
パルトはポイント圏まで浮上できるか? レースは残り8ターン、終盤だ。

トップのラムダはもう無理をしない。後ろのバトラーがもう1回ピットストップを
しなければいけないことが分かっているため、リスクを冒す必要がないのだ。対す
るバトラーはここで最後のピットストップ、ユーズドハードから新品ソフトへ交換
しラムダ追撃を図る。これでリヴィエールが2番手に立つが、明らかにペースが違
い追うことができない。土壇場のラムダはここで勝負強さを発揮する。
リヴィエールももう一回ピットストップを残しており、今はいているタイヤももう
限界。序盤からなかなかペースの上がらなかったロッソが、ここにきてリヴィエー
ルをかわして2番手に浮上する。しかしロッソもまだ1回ピットストップを残して
いる。2位以下は混戦模様だ。

2番手のロッソは22ターン目最後のピットストップ、ロッソもラストスティント
はソフトに賭ける。2番手に上がったリヴィエールのタイヤはもう限界、しかし追
いすがるバトラーを要所要所で抑え込み前に行かせない。バトラーはイライラする
展開だ。後方ではチャップマン、マルケーナス、ゲラといったハード勢が続々とピ
ットイン、ソフトへ交換してゆく。
リヴィエールはついに23ターン目にして2度目のピットイン、これでバトラーは
あらためて二番手に浮上。ラムダとの差は大きく開いているがバトラーはソフトタ
イヤ、ハードのラムダに追いつけるか。レースはあと5ターン。

ラムダは既にリスクマネジメントのためクルージングに入っている。バトラーとの
マージンは10、大差ではあるがソフトタイヤのバトラーはわずかながら差をつめ
てくる。しかしバトラーの後ろ3番手のロッソもペースが良い、バトラーよりもピ
ットストップのタイミングを遅らせバトラーに離されずについてゆく。
後ろは4番手日向、5番手ゲラ、6番手リヴィエールと続く。低速テクニカルコー
スが得意な面々だ。

混戦の4番手争いでアクシデント、6番手走行中のリヴィエールがバックストレー
トエンドでハーフスピンを喫してしまう。マシンにダメージはなかったものの、リ
ヴィエールはこれでポジションを2つ落とし、宋の後ろ8番手に後退してしまう。
混線の中でプッシュしすぎたか、リヴィエールには痛いミスだ、
懸命にラムダを追う2番手バトラーだが、ラムダ追撃でタイヤをやや酷使したかこ
こでバトラーのタイヤにガケが。ペースがガクッと落ちてきたところに、バトラー
よりもピットストップを遅らせたロッソが一気に接近。残り2ターンということろ
でなんとロッソがバトラーをかわし2番手に浮上する。バトラーはらしくない戦略
ミスだ。

後方ではマルケーナスにアクシデント。単独スピンで8番手に後退したリヴィエー
ルにマルケーナスが仕掛けるも、リヴィエールのブロックにあい2台は接触。この
接触でリヴィエールは11番手、マルケーナスは14番手まで後退してしまう。自
身のミスで後退してしまい、さらにマルケーナスに仕掛けられたリヴィエールがや
や無理なブロックを仕掛けたようにも見えたが、スチュワードはレーシングアクシ
デントとの判断。お咎めなしとはなったものの、2台は入賞圏外まで転落してしま
った。特にマルケーナスは22番手スタートからポイント圏内まで来ていただけに
残念だ。チームタイトルをまだあきらめていないマーキュリーにとっては、痛いア
クシデント。

2番手争いで前に出たロッソは、バトラーよりも速いペースでラムダを追う。バト
ラーはロッソよりも早くタイヤのガケを迎えてしまい、ロッソとの差もやや離され
る。開幕戦以来勝利のないロッソは猛プッシュでラムダを追うが、ラムダの背中は
マージン9先。のこり2ターンで届く差ではなかった。

結局レースはスタートでトップに立ち、終始一人異次元のペースで後続を突き放し
たラムダが優勝。第9戦以来の4勝目をあげた。
2位は終盤一気のスパートでバトラーをパスしたロッソ、実に今季6度目の表彰台
だ。そしてタイトルを争うバトラーは最後の最後で踏ん張り切れず3位に終わった。
4位以降は日向、ゲラ、チャップマン、宋と続いた。いずれも低速テクニカルコー
スを得意とする面々だ。日向は第11戦チェコでの優勝を含め後半戦6度目の入賞、
初のPPからスタートしたゲラは5位に終わったが、第13戦アゼルバイジャン
ら5戦連続の入賞で好調をアピール。かたや7位の宋は第9戦オランダ以来今季4
度目、久々のポイント獲得だ。そして今回は6位チャップマン、そして8位デ・ラ
ンジェリスとアブラモビッチ勢が今季2度目のW入賞。特にデ・ランジェリスは第
4戦メキシコの4位以来の入賞、苦戦を続けるアブラモビッチチームとしては、来
季にむけてようやくポジティブな結果を得た。
9位には20番手スタートのカレッジ、そして10番手には度重なるアクシデント
で一時は入賞圏外まで転落したリヴィエールが滑り込み入賞。21番手スタートか
ら1ストップ作戦で上位進出を狙っていたボナパルトを、最終ターンで入賞圏外に
追いやっての10位入賞だ。

レース前にポイントランキングで1ポイントラムダをリードしていたバトラーだが、
この結果でランキングのトップは再びラムダに入れ替わった。優勝で191ポイン
トのラムダに対し、なんとか3位でフィニッシュしたバトラーは182ポイントと
9ポイント離された。残すはあと1戦、状況は圧倒的にラムダ有利となった。

       <ラムダ>        <バトラー>
 優勝    191+25=216   182+25=207
 2位    191+18=209   182+18=200
 3位    191+15=206   182+15=197
 4位    191+12=203   182+12=194
 5位    191+10=201   182+10=192
 6位    191+ 8=199   182+ 8=190
 7位    191+ 6=197   182+ 6=188
 8位    191+ 4=195   182+ 4=186
 9位    191+ 2=193   182+ 2=184
10位    191+ 1=192   182+ 1=183

上の表のとおり、このままのポイント数でいけば状況はラムダが圧倒的に有利だ。
何位であろうがラムダはバトラーに先着すれば良いことになる。そしてラムダが仮
に最終戦をノーポイントで追えても、バトラーが6位以下に終わればラムダの王座
が決定するのだ。仮にバトラーが5位でも勝利数の差(ラムダ4勝、バトラー3勝)
でラムダの王座が決定する。
しかし、決勝レースの順位ポイントのみが有効ではないのがNeXX。予選PPで
得られる3ポイント、そしてレースファステストラップの獲得で得られる2ポイン
トも選手権有効ポイントなのだ。仮に最終戦、予選でラムダがPPを獲得すればラ
ムダの優位は揺るぎないものになるだろうが、逆にバトラーがPPを獲得すれば状
況は変わってくる。

 ※バトラーがPP獲得で3ポイント加算した場合。
       <ラムダ>        <バトラー>
 優勝    191+25=216   185+25=210
 2位    191+18=209   185+18=203
 3位    191+15=206   185+15=200
 4位    191+12=203   185+12=197
 5位    191+10=201   185+10=195
 6位    191+ 8=199   185+ 8=193
 7位    191+ 6=197   185+ 6=191
 8位    191+ 4=195   185+ 4=189
 9位    191+ 2=193   185+ 2=187
10位    191+ 1=192   185+ 1=186

ラムダが何位であれバトラーに先着すれば良いという条件は変わらないが、バトラ
ーがラムダの前でフィニッシュした際の可能性は僅かだがは変わってくる。さらに
これでバトラーがレースファステストを獲得しようものなら、バトラーには事実上
現在のポイントよりも5ポイント加算されることになり、逆転王座の可能性は充分
あることになる。
昨季はバトラーがこの時点で20ポイントのリード。圧倒的有利な状況で最終戦
臨んだバトラーがスタート直後にまさかのスピンアウトでリタイヤ、という予想外
の展開となったが、20ポイントのビハインドを挽回しなければならないラムダも
レース中にミスを犯し単独スピン。結局10ポイント届かずバトラーが王者となっ
た。しかし今季は逆にラムダが10ポイントリードする展開、そしてPPポイント
の他にFLポイントも有効ポイントに換算される今季。昨季以上に最後の最後まで
タイトルの行方は読めない状況だ。

一方でチームタイトル争いはピットブル272ポイントに対しマーキュリーが23
6ポイント、その差は36ポイントだ。逆転不可能な数字ではないが、互いの2n
dドライバーの戦績を考えたときに、状況は圧倒的にピットブル有利だろう。マー
キュリーの逆転の可能性を考えると、ピットブルが2台ともノーポイントでレース
を終えるようなことがない限り難しいと言わざるを得ない。
しかしチームタイトルもまだ決まったわけではない。極端な話だがバトラーがPP
そしてFLを獲得して完全優勝し、かつマルケーナスが6位でフィニッシュ、そし
てピットブル勢が2台ともノーポイントに終わればあるいは・・・ しかしマーキ
ュリーがチームタイトルを獲得する条件を考えると、こういう想定の話になってき
てしまう。

いずれにせよ最終戦はピットブルとマーキュリーの総力戦になるだろう。昨季以上
に激しい最終戦になること間違いなしだ。


最終リザルト↓↓↓

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Winner:ニコ・ラムダ(ピットブル)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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さあ泣いても笑っても2ndシーズンも残り1戦。最終戦の舞台は北米大陸を大き
く南下し、東海岸はカリフォルニアのロングビーチで行われるアメリカGPだ。昨
季以上に大接戦で最終戦を迎えたチャンピオンシップ、はたしてNeXXの第2代
王者は連覇のバトラーか、初戴冠のラムダか? こうご期待!!

 

 

NEXXTREAM PRESS 2ndシーズン「アジアラウンド号」

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◆アジアラウンド号


さて、アジアラウンドも終了し、いよいよ大詰めののNeXX世界選手権。今回は第
13~16戦までの4戦のダイジェストの他、来季以降の各チーム、メーカーの動き
とドライバー移籍市場の速報、そのほかNeXXを取り巻く様々な情報を取り上げて
いきたいと思います。お楽しみに!!


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■レースリポート

◇第13戦 アゼルバイジャンGP バクー市街地サーキット

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PP:ケリー・ラスムッセン(ノルディック)

今季初めてのPP獲得となったラスムッセンの、今季初優勝が期待されたがレースは
意外な展開に。また選手権を争うバトラーとラムダは、それぞれ20番手、23番手
スタート。序盤に2度セーフティカーが出たレース、序盤はラスムッセンが快調に飛
ばしていたが、2度目のセーフティカー出動時のタイヤ交換で、ノルディックチーム
が交換用のタイヤセットを誤って用意するという痛恨のミス。ラスムッセンは一気に
9番手まで後退してしまう。
これでレースは日向とラ・ポルタがトップを争うという、伏兵同士のバトルに。2度
目のタイヤ交換を終えたピットアウト時、ホームストレートに戻ってきた日向のハナ
を叩いて先頭で戻ったラ・ポルタが、そのまま日向を引き離し嬉しいNeXX初優勝。
2位日向、3位ゲラ、さらには4位にヴィックスと伏兵が上位を独占したレース。一
方選手権を争うバトラーは9位、ラムダは12位フィニッシュだった。

優勝:アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(SLO)
2位:日向 俊郎(トライアンフ
3位:ゾルタン・ゲラ(ロムニ・ダキア


◇第14戦 タイGP チャーン・インターナショナル・サーキット

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)

タイトル争いの主役であるバトラーが、なんと今季初めてPPを獲得した予選。しか
し決勝はまたもや伏兵が主役のレースになる。PPスタートのバトラーだが、ペース
が上がらずハイデンフェルドにラップリードを許す。しかし、最初のタイヤ交換で右
フロントの交換に手間取ったハイデンフェルドは9番手まで後退。
期せずして先頭に復帰したバトラーだったが、ブレーキトラブルのためペースアップ
できない。そしてホームストレートで一瞬ギアがスタックしペースダウンした際、ト
ップをリンドホルムに明け渡す。バトラーはその後接触にも巻き込まれて辛うじて1
0番手フィニッシュ、16番手スタートのラムダは8位フィニッシュ。レースは9タ
ーン目にトップに立ったリンドホルムが、そのままトップチェッカー。前戦アゼルバ
イジャンに続き伏兵がNeXX初優勝を飾った。またピットブルのボナパルトが、デ
ビュー2戦目で3位表彰台に上がった。

優勝:デイヴィス・リンドホルム(アントネッティ
2位:ケリー・ラスムッセン(ノルディック)
3位:ミシェル・ボナパルト(ピットブル)


◇第15戦 マカオGP ギア市街地サーキット

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)

前戦に続きバトラーがPPを獲得したこのレース、しかし決勝はまたもや伏兵が活躍
する展開に。アジアラウンドで最も波乱のレースとなった。スタート後の『リスボア』
で早くもアクシデントが発生したこのレース、序盤から数えて計3度のセーフティカ
ー出動で順位は大きく錯綜した。
タイトル戦線主役の二人はバトラー3番手、ラムダ4番手で序盤が経過。レースは第
13戦で初優勝をあげたラ・ポルタが引っ張る。しかし2度目のセーフティカー後に
バトラーがトップに立ち、ラムダと一騎打ちの展開になる。しかし17ターン目に3
度目のセーフティカーが出動し、順位が大きく錯綜。タイヤ交換に入らざるを得なか
ったバトラーは8番手に後退してしまい、トップに立ったグーデリアンが3ストップ
の奇策でそのまま独走。NeXX初優勝を飾った。またも伏兵にしてやられた主役の
2人はラムダが2位表彰台、バトラーは4位+PPポイントを持ち帰った。

優勝:ジャッキー・グーデリアン(マルドゥーク)
2位:ニコ・ラムダ(ピットブル)
3位:アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(SLO)


◇第16戦 日本GP 小樽市街地サーキット

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PP:ファン・カレッジ(ガジャック)

『驚異の新人』カレッジが、雨を利してPPを獲得した予選。決勝はまた波乱の展開
となった。バトラー5番手、ラムダ11番手からスタートしたレースは、序盤カレッ
ジが先頭で引っ張る展開に。カレッジ、バトラー、セプター、そしてロッソあたりが
トップを争う攻防。一方ポイントリーダーのラムダは、中段で接触事故に巻き込まれ
応急修理のためのピットインで最後尾に転落してしまう。
レースはマカオ同様セーフティカーが3度出動する荒れた展開、後半にトップに立っ
たのはセプターだった。序盤レースを支配したカレッジが徐々に後退してゆく中、サ
ントス・フィリオ、ロッソといった面々とトップを争う。かたやバトラーはなかなか
ペースを上げられず、一時は2番手を走行したものの最終的には5位フィニッシュ。
レースはセプターが今季2勝目のチェッカー。2位には今季初表彰台のサントス・フ
ィリオ、3位にはロッソが入った。ラムダは終盤に燃圧低下でストップ。これでなん
とバトラーがラムダを1ポイント上回りトップに返り咲いた。

優勝:ジョリー・セプター(チャイナドラゴン)
2位:アンドレアス・サントス・フィリオ(SLO)
3位:アレンザンダー・ロッソ(アントネッティ


ラ・ポルタに始まりリンドホルム、グーデリアンと3人のドライバーがNeXX初優
勝を飾ったアジアラウンドは伏兵が大活躍。一方で選手権を争うラムダ、バトラーは
ポイントを伸ばせず、まさに波乱のアジア戦線と化した。シーズンも残すところあと
2戦!タイトル争いの行方は!?


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■NeXX Topix

◇新型シャシー投入はデンプシーが参戦する4thから
   ニューシャシーのトレンドはロングホイールベース、ワイドトレッドになる?

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4thシーズンより米国のデンプシーが参入し、全3メーカーとなるNeXXのシャ
シーデベロッパー。デンプシーの参入に合わせて既存の2社は4thシーズンに新型
を投入することは既に合意済みだが、その新型は現行のものよりも長くてワイドなフ
ォルムになるようだ。
NeXXはご存じの通り4thシーズンより新たなエンジンフォーマットも導入する
が、現行よりも回生エネルギーの使用比率が高くなり複数の過給機の搭載も可能とな
る。そのため、新フォーマットのパッケージングに際して生じる重量バランスや空力
バランスの変化、そしてタイヤとの相関性を考慮した結果、4thシーズンに投入す
る新型は全長をやや延伸、そして全幅も拡幅する必要が生じると見られている。
現在マシン全長に関してはレギュレーションでの規定上限はなく、最大全幅は180
0mmと定められているが、全幅については4thシーズンから1850mmに変更
されることが既に決まっている。それに基づき各メーカーとも想定されうる中でもっ
ともスペースを必要するパッケージとして、V型エンジンツインターボのパッケー
ジを想定しており、さらにそこにバッテリーやMGUなど含めたハイブリッドユニッ
トや補器類が加わるため、全幅を既定値いっぱいまで拡げることになりそうだという。
そうなると重量バランスに応じたマシンの空力バランス、そしてパッケージングを考
慮したマシンサイズは今季よりもロングホイールベース、ワイドトレッドになるとみ
られている。見た目上はひとまわり大きくなるというのだ。
現在のデベロッパー2社のマシンサイズは下記の通り↓↓↓

 ・シグマテック            ・レラ
 S-TEC01X/B         RNX-01Ref

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 全長:4920mm          全長:5060mm
 全幅:1780mm          全幅:1745mm
 ホイールベース:2970mm     ホイールベース:3010mm

これが各社とも全幅を1850mmまで拡幅してくるとなると、全長は5200mm
程度になるのではないかと予想される。
ホイールベーストレッドとドライバビリティの関係性は密接で、一般的にはホイー
ルベースが長ければ直進安定性が増し、トレッドが広くなればコーナリング性能が向
上すると言われている。しかし、昨今F1ではマシンの全長は史上最長と言える56
00mm程度まで伸び、非常に細長いルックスを有しているが、総ダウンフォース
の多さやタイヤ幅の拡幅などでコーナリングスピードは信じられないほど速い。スピ
ードレンジの上がった現代F1では、パワーユニットのパッケージングや燃料搭載量
等を確保するボディワークを追求し、中高速コーナーでの安定性を求めてホイールベ
ースは延伸の一途をたどった。その結果フロア面積も増えてダウンフォース量も増大
した。その結果超ロングホイールベースでも、直進安定性と信じられないほど速いコ
ーナリングスピードの両立を果たしたのだ。4thシーズン以降のNeXXもF1と
ほぼ同様の『パワーユニット構造』を採用し、さらにエンジン形式や過給機の搭載に
F1よりも自由度を持たせたことで、パッケージングのためのボディワークは現在の
ものよりも1回りほど大きくなるというのが、各チームやメディアの見方だ。
そうなると問題なのは各エンジンメーカーに与えられたエンジン形式の自由度で、こ
のほどDMWは既に4thシーズンには直4ツインスクロールターボの投入を示唆し
た。サイズアップしたシャシーに、コンパクトな直4ターボを搭載した際のバランス
は果たしてどうなるだのろうか? またV型ツインターボエンジンにしても各バンク
横にタービンを配置するか、バンク内にまとめて配置するかによってパッケージング
や重心位置なども変わってくるのだ。各チームとも4thシーズン以降はより、エン
ジンユニットとシャシーの組み合わせを慎重に選択する必要がある。
ともあれシャシー、エンジンともに新コンポーネンツの投入にはまだ1シーズンクッ
ションがあるが、4thシーズン以降の勢力図が各チームの選択でどう変わるのか、
今から楽しみだ。


◇「エンジン屋」の矜持か。DMWが4thシーズンに
           投入するエンジンは直列4気筒ツインスクロールターボ!!

現在アブラモビッチはじめ3チームにエンジンを供給するドイツの自動車メーカーD
MWが、4thシーズンに投入する新型エンジンがにわかに注目を集めている。現在
DMWはNeXX用に3.0LV10を供給しているが、エンジン規定が新しくなる
4thシーズンに向けてDMWが開発しているエンジンはなんと直列4気筒だという。
組み合わせる過給機システムはツインスクロールターボ、DMWのモータースポーツ
部門開発責任者のタリオ・マイセンが明かした。
これまでトップフォーミュラのエンジンは長らくV型の多気筒エンジンが主流で、主
にF1やインディカーなどは2000年代はV8が主流。F1に至っては2014年
にエンジン規定を大きく変革し、1.6LV6と回生機構を併用した『パワーユニッ
ト』を使用している。1990年代まで遡るとV12、V10といった自然吸気の多
気筒エンジンが主役で、この時代は俗に『マルチシリンダー全盛時代』と呼ばれてい
る。直列4気筒エンジンといえば基本的にはジュニアフォーミュラなどの下位カテゴ
リでの使用が一般的で、トップフォーミュラで採用されたのは1980年代『ターボ
全盛期』のF1まで遡る。そしてそのターボ全盛時代でも、直列4気筒を採用したの
はDMWだった。
トップフォーミュラのエンジンのメインストリームがV型なのにはいくつか理由があ
る。気筒数が多くとも全長を短く抑えられ、パッケージングしやすいフォルムである
こと。また同じ気筒数の直列エンジンと比べ、多気筒を均等に両側に配置することで
ハイパワーでもクランクシャフトへの負担が少ないことなどがあげられる。一方これ
までの直列エンジンはV型より少ない排気量となること、排気量をあげると1気筒あ
たりの負担が増加すること、そして気筒数を増やすとエンジン全長が長くなることな
どのデメリットがあげられた。しかし、直噴化技術の普及によりエンジン自体の性能
があがり、高出力・低燃費の直4エンジンが誕生。またターボとの相性のよい直噴エ
ンジンは、大排気量エンジンに引けを取らない出力を比較的低回転で発生できるよう
になった。そして、そこに回生機構と連結してのパッケージングが必要とくれば、D
MWとしてはV型エンジンよりもコンパクトな直4エンジンを選ばずにはおれなかっ
たわけだ。
タリオ・マイセンは「我々は来る4thシーズンから、新たなチャレンジを開始する。
今よりも小排気量で出力効率、そして燃費効率の良いものを考えたときに、我々は直
列4気筒に可能性を見出したんだよ。長らくスポーツ、レーシングエンジンの主役は
V型だった。パッケージングの優位性と、V型はショートストロークで高回転向きだ
ったのがその理由だが、我々のカテゴリはF1同様回生機構をあわせて搭載せねばな
らないし、その分の重量負担はバカにはならない。新しい回生機構とターボユニット
とのパッケージを考えたときに、直4エンジンには大きなメリットがあると考えてい
る。これにツインスクロールターボを組み合わせることで、最も効率の良いユニット
を生み出せる。」と語る。

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1983年のF1チャンピオンエンジン   DMWのレースエンジン開発を取り仕切るタリオ・マ
M12/13は直列4気筒ターボだった   イセンはF1ファンにもおなじみの人物


「この時代のエンジンに求められるのはコンパクトネスと高効率。その点では我々が
直4エンジンの開発を選択するのは理にかなっている。また我々はかつてF1におい
て直4エンジンでチャンピオンドライバーを生んでいるのだ。我々はいっとき電動化
にむけて舵を切ったが、もともと水素エンジンを早くから開発していたのは我々だ。
そして我々には「エンジン屋」としての矜持がある。我々には直列4気筒エンジンで
NeXXを制する準備ができている。」
これまでスプレンダー、アシュトンバーキンといったエンジンメーカーの後塵を拝し
ているDMW、「エンジン屋」の誇りをかけ直4エンジンで4thシーズンに挑む。


◇FNOが3rdシーズンの暫定カレンダー発表!!  
                 来季以降のカレンダー事情を考察

いよいよ2ndシーズンも残すところあと2戦、FNOは第13戦アゼルバイジャン
GPのパドックで来季3rdシーズンの暫定カレンダーをリリースした。リリースに
はここまで毎シーズン行っている、3度の全チーム合同テストの時期も書き込まれ以
下のような内容となっている。

 ★3rdシーズン暫定カレンダー

  開幕戦 オーストラリアGP サーファーズパラダイス市街地
  第2戦 インドネシアGP  セントール
      <ポール・リカール合同テスト>
  第3戦 ドバイGP     ドバイ・オートドローム
  第4戦 ブラジルGP    サンパウロ市街地
  第5戦 メキシコ      エルマノス・ロドリゲス
      エストリル合同テスト>
  第6戦 イギリスGP    ブランズハッチ
  第7戦 フランスGP    ポール・リカール
  第8戦 イタリアGP    イモラ
  第9戦 オランダGP    アッセン
 第10戦 スウェーデンGP  アンデルストープ
 第11戦 チェコGP     ブルノ
      ホッケンハイム合同テスト>
 第12戦 ルーマニアGP   ブカレスト市街地
 第13戦 アゼルバイジャン  バクー市街地
 第14戦 タイGP      チャーン
 第15戦 マカオGP     ギア市街地
 第16戦 日本GP      小樽市街地
 第17戦 カナダGP     エキシビジョンプレイス市街地
 第18戦 アメリカGP    インディアナポリス・GPコース

以上全18戦で行われる。カレンダーの並び、開催国、そして合同テストの開催地な
どに今季と大きな変更はない。しかし、一部のGPで開催サーキットが変更になる箇
所があり、同時に4thシーズン以降のカレンダーについても一部言及箇所がある。
ここでは来季のカレンダーと、4thシーズン以降のカレンダーについてリリースの
記載をもとに触れ、考察してみたい。


□オランダGPの開催継続

1stシーズンは第7戦に開催されたスペインGP、しかし2ndシーズンには早く
もスペインGPはカレンダーから外れオランダGPがカレンダーインした。1stシ
ーズンに11万人を動員したスペインGPと比較し、今季16万人を動員したオラン
ダGPは大盛況だった。オランダGPに関してはひとまず2ndシーズン単年の開催
契約だったが、今季の盛況をうけてFNO側が契約更新を打診したようだ。現状は3
年の契約延長とされるが、ひとまずオランダGPは3rdシーズン以降も継続開催と
なる。

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TTサーキット・アッセンでのオランダGPは大盛況だった

□最終戦アメリカGPはロングビーチからインディアナポリスのGPコースへ

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来季からNeXX世界選手権の最終戦は、北米モーター
スポーツの聖地での開催となる

来季、開催国は変わらないが舞台が変わるGPが2か所ある。イタリアGPとアメリ
カGPだ。イタリアに関しては1stシーズンからの6年契約で、1シーズンごとに
ムジェロとイモラを使い分ける契約となっており、来季はイモラのターンだ。
そしてもうひとつ舞台が変わるのがアメリカGPだ。これまで2シーズンは西海岸は
カリフォルニアのロングビーチ市街地で行われてきたが、来季からはアメリカ中東部
インディアナポリスで行われる。インディ500や2000年代のF1アメリカGP
でおなじみインディアナポリスの、オーバルトラック内に敷設されたGPコースでの
開催となる。
アメリカGPをロングビーチから別のサーキットへ移管する計画は、FNOが今季の
はじめ頃にはすでに着手しており、デイトン・ビル統括部長やMDのハーディー・フ
ラッシュらがシーズン序盤から度々渡米しては、現地プロモーターと調整を続けてい
た。舞台をインディアナポリスへと移した大きな理由はカレンダー後半の舞台構成で、
第13戦バクー以降の市街地戦の比率が高く、今季小樽がカレンダーインしたことで
よりその傾向が強まったこと。そしてラスト3戦の小樽、トロントロングビーチ
いずれも3.5km以下のショートトラックであることだという。
シーズン終盤の3戦に中低速ショートトラックが並ぶことは、選手権の大詰めに条件
の不公平をもたらすと考えたFNOは、ラスト3戦のうちいずれかにロードコースを
設定したかったのだという。
またハーディー・フラッシュは「アメリカでの最終戦はもっと華々しく締めくくりた
かったんだ。ロングビーチに決して華がないとは言わないが、インディアナポリス
アメリカのモーターレース文化の象徴のような街だ。そんなところでシリーズを締め
くくれたら最高だと思ったんだよ。君もそう思うだろう?」と語り、インディアナ
リスが選手権を締めくくる舞台としてより相応しい、という見解も示した。アメリ
GP自体の開催計画は1stから5年、3rdシーズンからひとまず5thシーズン
まではインディアナポリスでの開催となる予定だ。


アゼルバイジャンGPは3rdシーズンまで、4thからの
              アジアラウンド初戦はカザフスタンでの開催が濃厚?

これまでF1同様バクー・シティ・サーキットで行われてきたアゼルバイジャンGP
だが、来季を最後にNeXXのカレンダーから外れることになる。アゼルバイジャン
GPの開催契約は1stから5年とされているが、この度バクー・シティ・サーキッ
トのエグゼクティブディレクターのラリフ・アヒモブとの間で、契約を3年で打ち切
ることで合意に至ったという。

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カザフスタンのソコル・レーシング・トラックは2020年の開業。ヘル〇ン・ティルケによる
デザインの中速テクニカルトラックだ。現在ではmotoGPなどが開催されている。

FNO側は契約の打ち切りの理由を、F1との重複開催に対してバクー側の予算負担
が大きくなり、継続が困難となったためとしている。しかし一説にはバクー側が、N
eXXがアゼルバイジャンGPを『アジア枠』として認識していることが、契約打ち
切りに影響しているとの噂がある。アゼルバイジャンGPがF1開催に名乗りを上げ
た理由には、アゼルバイジャンをヨーロッパの一部、ヨーロッパのレースとして位置
づけ、アゼルバイジャンには『ヨーロッパのメンタリティ』が存在することを世界に
アピールするとの目的があった。しかしNeXXは、ヨーロッパラウンドをアゼルバ
イジャンの手前の第12戦ルーマニアで終了とし、アゼルバイジャンからは『アジア
ラウンド』という位置づけで情報発信をしている。このバクー側とNeXXの認識の
溝が最後まで埋まらなったことが、契約打ち切りの真の理由のようだ。
アゼルバイジャンやトルコなど、ヨーロッパとアジア・中東などの中間に位置する地
域をめぐる認識は度々問題になるが、往々にしてこういった地域はヨーロッパにカテ
ゴライズされることを望んでいる。しかしNeXX側としては、F1を中心としてレ
ース界全体に根深く残る「モーターレース=ヨーロッパの文化」というマインドを払
しょくしたいとの明確な思惑があり、むしろヨーロッパの開催国数をどう抑えるかに
関して隔年開催を提案するなど腐心している。そこで注目されているのが、旧ソビエ
ト連邦を構成した中央アジア国家でのGP開催だ。カレンダーから外れるアゼルバイ
ジャンのかわりには4thから同じく『アジア枠』として、カザフスタンでのGP開
催が検討されているという。
カザフスタンには、サーキットデザイナーのヘルマン・テ〇ルケがデザインし、モト
GPやDTMなども開催するソコル・サーキットがあり、現在FNOと現地プロモー
ターとの交渉が進んでいるとも一部では伝えられている。経済的にも大きく成長を遂
げているカザフスタン、果たして4thシーズンのカレンダーインはあるか?


□シュトロゼックのロムニ・ダキア買収完了は秒読み
         4thシーズン以降はルーマニアとドイツの隔年開催が決定か?

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ドイツGP開催の噂は常に話題に上るが、シュトロゼックの参入により一層現実味を帯びてきた。
ハイネル氏(写真右端)はホッケンハイムでの開催に強いこだわりを見せる。

現在ロムニ・ダキアとドイツのレーシングコンストラクター、シュトロゼックの間で
進んでいる”買収”話。チームとして苦戦するロムニ・ダキア側の体制強化、そして
シュトロゼック側のトップフォーミュラ進出の野望という双方の思惑が合致し、買収
完了も目前と言われている。そしてこの買収話は、まとまれば開催カレンダーにも影
響を及ぼすとも言われている。それがドイツGPのカレンダーインだ。
前号でもお伝えしたがシュトロゼックのボス、フランツ・ハイネルはAvDドイツ自
動車クラブの上役と懇意であり、買収が完了した暁にはドイツGP開催をFNOに働
きかけてゆくとしている。
以前のインタビューでFNOのマネージングディレクター、ハーディー・フラッシュ
がオランダやルーマニアあたりとの隔年開催の可能性を示唆したが、多くのメディア
ルーマニアとの隔年開催になるとみている。現在ルーマニアGPを主催するプロモ
ーターが資金難に見舞われており、スポンサー探しに奔走しているため隔年開催を受
け入れるだろうというのが大方の見方だ。
いずれにせよ現在F1のカレンダーからも外れているドイツGP、NeXXのカレン
ダーに入ることになれば大きな話題となることは間違いないだろう。


□FNOが目指す世界戦略。アフリカ進出の足掛かりはモロッコ

NeXXは近い将来での世界5大陸での選手権開催を目指しているが、そんな現状の
NeXXのカレンダーに足りていないピースがアフリカでの開催枠だ。欧州、南北ア
メリカ、アジア・中東、オセアニアの4エリアでの開催は実現させているが、現状こ
のアフリカ枠のみが未だカレンダーインしていない。FNOは現在アフリカでの開催
実現に向けて、最も熱心に動いているという。
とはいえアフリカでの開催は難しい面もある。多くの国が未だ飢餓による栄養不足や
内戦、経済不安といった問題を抱えており、都市インフラの整っていない国が多い。
さらに暑さのほか治安や衛生面など、多くの国がモーターレースの世界選手権開催に
対しては大きな障害を抱えている。しかしアフリカ大陸がモーターレース不毛の地か
というとそうとも言えない。南アフリカやモロッコでは古くからF1が開催されてい
るし、フォーミュラeやWTCCなどは現在もモロッコでレースを開催している。ま
た現在では元々の開催地の政情不安から開催地が変わってしまったが、地上最も過酷
なレースとして「ダカールラリー」(かつてのパリ・ダカ)はつとに有名だ。そして
現在NeXXの新規開催候補地として、モロッコが積極的に開催をFNO側に働きか
けているという。

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ロッコはアフリカでもモーターレースとの関わりが深い国。マラケシュのストリート
サーキットではツーリングカー選手権やフォーミュラEが開催される。

FNOのデイトン・ビル統括部長は「モロッコマラケシュ市から、現地にGPを誘
致したいという積極的なアプローチを受けている。彼らは強い関心を示してくれた。」
と語る。モロッコは1958年に一度だけF1を開催しており、近年はフォーミュラ
e世界選手権をマラケシュで開催していることもあり、モータースポーツ人気が再燃
している。また昨季モロッコ王族の遠縁にあたるカタル・アファルがNeXXに参戦
したことで、NeXX世界選手権の開催を望む声が高まっているという。
はたしてNeXXの大きな目標である『5大陸開催』の野望は実現するか? モロッ
コGP開催の為には大きなカレンダー調整が必要だが、今後の展開に注目しよう。


□いち早く新開催地の候補に挙がっていたタウポの現状は?

新規開催地候補といえば、1stシーズン終盤にいの一番で手をあげたのがニュージ
ーランドGPだった。ブルース・マクラーレン・モータースポートパーク、通称タウ
ポ・サーキットを運営するMITデベロップメントが、同国政府のバックアップを受
け招致活動を開始したと本誌が報じたのが昨季終了後だった。しかし現在この計画は
一旦ストップ状態にあるという。
現状『ニュージーランドGP』の開催の障害となっている事案は二つ。ひとつは開催
権料の支払いとコース改修に必要な資金の確保、そしてもう一つは同GPをカレンダ
ーのどこに差し込むかという問題だ。ニュージーランドGP開催には政府の後押しが
あるものの、開催権料プラスコースの改修費を賄うには他に大きなタイトルスポンサ
ーが必要で、MIT側は現在このスポンサー探しに苦労していると見られている。ま
たカレンダーのどこで開催するかも問題で、現状中米メキシコや今後カレンダーイン
すると噂のモロッコなどがFNOの優先課題となっており、開催資金の確保が遅れて
いるニュージーランドは後回し状態になっているのが現状。そこへ来て例えばモロッ
コなどが先んじてカレンダーインすることになると、ニュージーランドをどこに差し
込むかFNOは難しいジャッジメントを下さなければならない。
もし開催するとすれば地理的見地からオーストラリアの前後、そしてオーストラリア
が現状開幕戦開催が条件であることを鑑みると第2戦開催が濃厚だ。しかし現状第2
戦には東南アジア枠として重要なポジションであるインドネシアGPが鎮座、またそ
の流れで4thシーズンにはモロッコが第4、5戦あたりに組み込まれるとの噂があ
る。FNOには現状全18戦の開催数を変更する意思はなく、開催枠の増枠について
も期待できる状況ではない。現状ニュージーランドGPの開催には高いハードルが立
ちはだかっている。


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■PADDOCK PRESS

◇ピットブルのリザーブ降格のマイネ、来季はトライアンフ移籍で合意!!

第12戦ルーマニアGPを最後にリザーブドライバーのミシェル・ボナパルトにシー
トを譲り、代わりに自身がリザーブへ降格となってしまったピットブルのルドルフ・
マイネが、来季トライアンフチームへの移籍で合意した。第13戦アゼルバイジャン
GPのパドックで、トライアンフチームが記者会見を行いこの旨が発表された。
マイネはNeXX開幕シーズンとなった昨季にピットブルチームに加入。F1王者経
験者ニコ・ラムダのパートナーとしてPP3回、優勝1回を記録、昨季のチームタイ
トル獲得に大きく貢献した。しかし今季は開幕戦でまさかの予選落ちを喫し、その後
も昨季ほどの活躍は見せられず。第12戦を最後にリザーブへの降格が決まっており、
移籍が噂されていた。
トライアンフのチームマネージャー真田幸治氏は「我々は来季に向けて非常に大きな
戦力を獲得することができました。彼は苦労人ですがF1で2季戦った経験をもち、
またこのNeXXでの優勝経験もある。来季の我々の躍進に大きく貢献してくれるも
のと、今から期待しています。」と語り、来季の見通しは明るいと強調した。
「私は来季このトライアンフというチームで走れることを光栄に思う。彼らはオール
ジャパンでこのNeXXを戦い、そしていくつかの勝利をあげている。戦闘力のある
チームへ移籍できて正直ホッとしているよ。」とはマイネ。「カムイとはともにF1
を戦った、そしてこのNeXXでピンチに直面していた私を救ってくれたのもカムイ
だ。私はドイツ人だが、F1でもNeXXでも日本人の”ナサケ”に救われた。来季
トライアンフと日本のファンのために私は戦うよ。」と来季への抱負を語った。
しかし、シーズン途中での移籍先決定劇に対しては所属元のピットブルがいち早く反
応、チームマネージャーのヘルムート・マルコリーニは今季中はレギュラードライバ
ーに怪我やサスペンドなど出場できない状況が発生した場合でも、代役にマイネを起
用しない旨を発表した。これに対しマイネは「それが彼らのやり方なら仕方がない。
どのみち途中でレギュラーを降ろされた時点でクビを言い渡されたようなものだ。走
るのは来季まで我慢するよ(苦笑)。」と冷静だ。
この移籍により来季トライアンフは日向とマイネで戦うことになるが、これまで2n
dシートに座ったカジワラはどうなるのか?
「ジョーに関しては、リザーブ兼開発ドライバーとしての残留を提案しました。彼の
開発能力の高さは業界でも有名ですからね。しかし彼は受け入れませんでした。まぁ
当然だと思います。残念ながら彼は今季限りでトライアンフを去ることになります。
私はF1時代から彼と付き合いがありますから非常に残念ですが、我々は進化を停め
る訳にはいかない。さらなる高みを目指すための決断です。ジョーのこれからのキャ
リアの幸運を祈ります。」とは真田。彼の言葉通りF1で苦楽を共にしたカジワラの
解雇は、苦渋の決断であったはずだ。しかしチームマネージャーとしてはエースドラ
イバーにこれだけ戦績で水をあけられては擁護のしようがない。また今季の戦績では
来季、カジワラを獲得するチームがあるかも疑問だ。果たして来季NeXXにカジワ
ラの姿はあるのか?
ともあれマイネという実力者の加入で、来季のトライアンフの戦力アップに疑いの余
地はなくなった。日本のファンは我らのトライアンフの活躍に、大いに期待しよう。

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事実上ピットブルの「戦力外」となったマイネ(写真左)は、2ndシーズンの終了を待たずしてトラ
イアンフと3rdシーズンのドライバー契約を締結。これに不快感をあらわにしたピットブルのH.マ
ルコリーニ(写真中央)は2ndシーズンの残りのレースで、緊急事態が発生した場合もマイネを使わ
ないとした。この移籍劇でトライアンフから弾き出された格好のカジワラ(写真右)、来季のシートは?


◇クラークソンに新エンジン獲得の動き

『F1四天王』の一人デイヴィス・ファングを擁するクラークソンチームが、3rd
シーズンにむけて新たなエンジン探しをしているらしいことがわかった。クラークソ
ンはここまで2シーズン、チームの母国であるイギリスのアシュトンバーキンエンジ
ンを使用しているが、どうもエースのファングがアシュトンバーキンのエンジンに満
足していないらしいというのだ。
アシュトンはNeXXの参戦メーカーで唯一V12を採用しているが、このエンジン
はご存知の通りきわめて高回転型の高速エンジンで、低速サーキットではその性能が
著しくスポイルされる傾向にある。昨季の第10戦スウェーデンGPでは、あまりの
戦闘力の低さに戦意を喪失したファングが、自らレースを放棄してしまうという”事
件”が起こった程だ。また、クラークソンが採用するシグマテックシャシーもマシン
特性は高速寄りで、これにうまく対応できていないクラークソンは今季も相変わらず
低速コースでの苦戦が続いている。同様のパッケージで選手権トップを行くピットブ
ルは、エースのラムダを含めたエンジニアリングが良好に機能し好調を維持している
が、オーナーのジェレミー・クラークソンはシーズン途中のNo.2ドライバー交代
劇にもみられる通り現状に満足できていないようだ(ピットブルもNo.2を交代し
てはいるのだが・・・)。

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エースのファング(写真右)に振り回されっぱなしのチームオーナー、ジェレミー・クラー
クソン氏(写真左)。この『凸凹コンビ』のドタバタ劇は来季も続きそうだ。

「アシュトンバーキンは我々英国が誇るスーパースポーツカーブランドだ。F1にも
参戦しているし、ボンドカーだって作っている。私はDB5が大好きだ、ジャガー
タイプの次にね。そしてこのカテゴリがどれだけ環境に配慮したものであっても、私
はもっとパワーを求めたいし、そのためにはアシュトンのV12のようなエンジンが
必要だ。しかしアシュトンとて万能ではないらしい、うちのドライバーはもっとバラ
ンスの良いエンジンを求めているんだよ、まったくワガママな話さ(笑)。」とはオ
ーナーのジェレミーの談。
実際のところ今季もファングはメキシコや欧州低速ラウンド3連戦では低調に終わっ
ており、チームの現状抱える課題を露呈してしまっている状態だ。というわけでクラ
ークソンチームはヨーロッパラウンドが終了を迎えるあたりから、新エンジンの物色
を始めたということのようだ。今のところ有力候補と見られているのがDMWだが、
DMWとシグマテックのパッケージではアブラモビッチが今季低迷していることから、
実現するかどうかは未知数。またジェレミーは、シャシーについては「見た目」が大
いに気に入っているようで、変更するつもりはないという。
なんにせよオーナーもエースドライバーもハチャメチャなチームなだけに、実際にど
う転ぶかはわからない。クラークソンの今後の動向については、生温かい目で見守っ
て行こうと思う。


◇マーキュリー監督、クラークソンを去るティルクムに
     「もったいない・・・」と語るも、ティルクムの評価はパドックでも二分

第12戦ルーマニアGPを最後にクラークソンを去った英国人ドライバー、アリエル
・ティルクムに対しNeXXからのフェードアウトを惜しむ声と同時に、彼の真の実
力について懐疑的な声もあちらこちらから上がっている。
ティルクムはかつてF3でマカオGPを2連覇した経歴を持ち、昨季はD〇MSより
F2に参戦。F2での優勝経験もあり、F1ウィリア〇ズチームの開発ドライバーも
務めた実力者だ。しかしNeXXに初参戦した今季は第4戦ブラジルの8位が唯一の
入賞で、その後は第5戦メキシコから第11戦チェコまでの7戦でなんと6度の予選
落ちを記録。特に第7戦フランスから第11戦チェコまでは5戦連続予選落ちという屈辱
を味わった。
しかしこのティルクムの不調については前号で紹介した通りチームの体制に問題があ
ったことが指摘されており、充分なサポートを受けられずNeXXから離脱する実力
者に同情の声が上がっている
マーキュリーチーム監督のブライアン・マーキュリーは「ティルクムのような才能は
稀有だよ。ジュニアフォーミュラ時代は少々やんちゃだったようだが、今では成熟し
た大人のドライバーになったようだね。もし来季のシートが決まらずNeXXから離
脱するようなことになるなら、それは非常に残念なことだ。彼はトップフォーミュラ
デビューにあたってF1ではなくNeXXを選んだ。それを手放すことはNeXXの
将来にとって大きな損失になるだろうね。」と語る。
またピットブルのチーム監督ウォルフ・ファイアジンガーも「彼は既に我々の育成プ
ログラム外の存在になってしまったが、来季の陣容が未確定な状況なら獲得も考えた
かもしれない。」と話す。
しかし、いくつかのチームの関係者からティルクムの離脱について「もったいない」
という趣旨の話が出る中で、現状ティルクムの周囲では来季のNeXX残留につなが
る話は聞こえてこない。ティルクムの離脱については、クラークソンのサポート体制
が大きく問題視されているが、各チーム離脱を惜しみながらもその素行を含めた実力
に懐疑的な見方があるのも事実なのだ。チャイナドラゴンのチームマネージャーであ
ウィニーエバーは「確かに彼は目の醒めるような速さの持ち主だ。だけどややメ
ンタルに不安を抱えているように見えるよ。確かにクラークソンでの待遇には同情す
るが、2度目の予選落ち以降の彼の態度にも問題があるんじゃないかな? あのよう
な状況でモチベーションを維持するのは難しい、しかしプロのレーシングドライバー
はそういった状況でも自己をマネジメントしなければならない。プロ意識が必要なん
だ。彼はまだそこに改善の余地があるように見えるね。」と厳しい見方だ。
またロムニ・ダキアのマネージャー、シリル・テルアビブは「彼には確かに速さがあ
るが、クレバーさが足りないように思えるね。一発の速さなら持っているドライバー
は多いけれど、レースを戦える速さを彼はまだ持っていないんじゃないかな。それは
スピードとクレバーさが融合してはじめて生まれるものだ。それが彼には足りていな
いように思える。」と辛辣だ。
クラークソンのチーム体制も含めて、パドックに大きな議題を投げかけたティルクム
のクラークソン離脱。果たして来季ティルクムはNeXXのどこかのシートに座って
いるだろうか?

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パドックでも評価の大きく分かれたティルクムだが、結局真の実力
は分からないままNeXXを去ることになりそうだ。


◇シュトロゼックのロムニ・ダキア買収計画が着々と進展も
                     来季は引き続きピジョンで参戦

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ロムニ・ダキアのマネージャーS.テルアビブは、シュトロゼック
側とはいい話し合いができていると話す。しかし買収が完了すれば
首脳陣の入れ替えの可能性もあるが・・・

ロムニ・ダキアチームの買収を進めているドイツのレーシングコンストラクター、シ
ュトロゼックの計画は着々と進んでいるようだ。ルーマニア人実業家のミルセア・ト
ゥドールが立ち上げたプライベートチームであるロムニ・ダキアは、NeXX参戦当
初から苦戦を強いられていた。それでも初年度の昨季は第16戦日本で初優勝をあげ
だが、予算規模やチームの組織力、エンジニアリング力などで他チームに大きく水を
あけられた今季は、昨季以上に苦戦している。今回の買収話はそんなチームの組織力
、戦闘力強化を切実に願うロムニ・ダキア側と、トップフォーミュラ進出の野望を掲
げるシュトロゼック側の利害が一致し、現段階ではひとまず両陣営のトップによる口
頭合意にを至ったものと見られている。
第13戦アゼルバイジャンパドックにはシュトロゼックのマネージングディレクタ
ー、アンドリウス・ザイグルが姿を見せロムニ・ダキア首脳陣と何やら会合を持ち、
第15戦の舞台マカオではシュトロゼックのボスであるフランツ・ハイネルが直々に
ロムニ・ダキアピットを訪問。ハイネル氏は約1時間半ほどの会合ののち、プレスの
囲み取材に応じこう語った。
「我々は双方に利益のある関係を望んでいる。トゥドール氏のNeXXに対する情熱
を十分に理解した上で、我々シュトロゼックと手を組みNeXXを戦おうという共通
認識を確認した。我々はシュトロゼックの名をトップフォーミュラに刻みたい、そし
て彼らは誇り高きダキア人の名のもと母国を勇気づけたいと願っている。我々の利害
は一致したんだ。我々は一方的に彼らを侵略するわけじゃない、この話は思いのほか
スマートに運ぶと思っているよ。」
また、チームの買収については完全に”ロムニ・ダキア”の名を消すようなことはせ
ず、シュトロゼックとの事業提携のような形で進められるようだ。将来的にはドイツ
のメーカーのエンジンを使用したい考えがあるようだが、ひとまず来季は現行通りピ
ジョンエンジンで戦うことになるという。
「シュトロゼックとはいい話し合いができているよ。彼らのような大きなコンストラ
クターのノウハウを得られるのは、我々にとって非常に有益だ。今後の長期的なプラ
ンについてはもう少し詰めなければいけないが、彼らは私たちを征服しに来たわけじ
ゃない。私たちはシュトロゼックにネーミングライツを提供し、見返りにトップコン
ストラクターの組織力を得られるんだ。”買収”なんて表現をされているけれど、我
々とシュトロゼックの”取引”はWin-Winなんだ。ただ、チーム運営にシュト
ロゼック側の意向も大きく影響するようになるだろう、それは致し方ない。彼らはド
イツのコンストラクターだからね、ドイツメーカーのエンジンを使いたがっている。
来季1年は本格的な体制移行の準備期間と捉えピジョンで戦うが、4thシーズンの
為に何等かドイツのエンジンメーカーとコンタクトを取ることになるだろう。ピジョ
ンとはいい関係を築けていただけに残念だけどね。」とはロムニ・ダキアのチームマ
ネージャー、シリル・テルアビブの談。
いずれにせよシュトロゼックとロムニ・ダキアの”取引”は良い形で進んでおり、シ
ーズン終了までには何等か大きな発表があるようだ。今後の動きに注目してきたい。


◇今季未勝利のラスムッセン苛立つ。
           作戦やピット作業ミスなど「どこかチグハグ・・・」

昨季は最終戦までもつれたドライバーズタイトル争いで、最後の最後までタイトルを
争ったノルディックのケリー・ラスムッセンが、今季ここまで未勝利で苛立ちを募ら
せている。
昨季は第16戦日本GP終了時点で王座戦線に踏みとどまり、最終的にはタイトルを
逃したラムダと同ポイントの3位(勝利数でラムダが2位)と大健闘したラスムッセ
ン。今季もここまでPP1回表彰台3回で128ポイント(第16戦終了時点。昨季
はこの時点で132ポイント)、昨季と変わらずランキング3位につけているものの、今季勝利の無いラスムッセンは今季の成績に不満を隠さない。
「滑り出しは良かったと思う。開幕戦で表彰台に上がれたし、第2戦では予選で失敗
したけれど開幕からの流れは良いように思えていた。メキシコではミック(・ハイデ
ンフェルド)が優勝したしね。けれど実は早い段階から気が付いていたんだ、今季の
僕らは去年程速くないんじゃないかってね。」
今季のラスムッセンは開幕戦から3位、11位、4位、6位、5位とコンスタントに
まとめたが、第6戦終了時点でトップのバトラーには実に48ポイント差をつけられ
てしまった。またレース結果が予選順位を下回ることもしばしばで、チームは中盤戦
から次第に焦りを感じ始めていたという。
「今季序盤、実は僕らのマシンは高速域でのマシンバランスに少し問題を抱えていた
んだ。けれど僕は開幕からコンスタントに入賞していたし、ミックが優勝したことで
問題は見過ごされた。しかしポールリカールの予選で僕らは大苦戦し、続くムジェロ
のPQで僕は大クラッシュをしてしまった。直接の原因はタイロッドの破損だけど、
タイロッドが傷んだ原因はクラックにあった。セッションでプッシュしすぎた僕は、
縁石に乗った時にウイングのパーツを飛ばしてしまい、それがタイロッドにクラック
を入れてしまったんだ。ヨーロッパに入ってから僕らが、タイトルを争う上でやや遅
れをとっていることがわかって、無理をした結果のクラッシュさ。僕はヘイローに激
しく頭を打ち付けて気を失ってしまった。精密検査の結果体には何の異常もなかった
けどね。チームは結局僕のクラッシュを受けてレースを棄権したけど、僕は首脳陣か
らかなり強くプッシュしろと言われていたんだ。あの事故のあとからチームはピリピ
リし始めた。」と語る。

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今季の成績にフラストレーションを感じていることを隠さないラス
ムッセン。チームとの連携不和も問題と語る。

「今季はヨーロッパあたりから常に焦燥感を感じているよ。一度このカテゴリで勝ち
の味を知ってしまうと、勝つことに飢えてしまう、勝てないことにとてもイライラす
るんだ。もちろん僕自身ももっとうまくやらなきゃいけない部分もある。けれど上を
争う連中に歯が立たないのは悔しいもんさ、特にマーキュリーとは同じパッケージだ
からね。それに出走台数が増えたことで速い奴らがわんさか入ってきた。予選方式も
変わって、下位に沈むと決勝で上を目指すのがよりハードになったし、タイヤ戦略で
うまくいかないこともあった。ピット作業でいくつかのミスがあったのも大きかった
ね。特にアゼルバイジャンは大きなチャンスだった、でも最初のピットストップで次
のタイヤが間違って用意されていた。信じられなかったよ。今季初のPPのレースだ
ったし、リスタートで少しミスはあったけど久々に勝てる感触を持っていたんだ。確
かにここまで僕のパフォーマンスは充分とは言えないけれど、今季はチームの細かい
ミスも響いているよ。どこかチグハグで、うまくいっていない。」とラスムッセン
自身がチームの要求に充分に応えられていないことを認めつつも、チーム側のミスの
積み重ねの影響が決して小さくないこともはっきりと示した。
チームは来季も今季と同様の体制で臨むが、ラスムッセン自身は来季の成績次第では
チームを離れる可能性があることを認識している。
「来季は僕にとって正念場さ、僕がこのチームでまだ戦えることを、そして彼らとチ
ャンピオンを目指せることを示さなければならない。今季のような状況なら4thシ
ーズンのノルディックチームに僕の名前はないだろう、僕が望む望まざるに関わらず
ね。」
「反省すべき点は少なくない。今季はまだ終わっていない、そして僕らは今季の早い
段階で来季へ向けての改善に着手している。それが来季の結果につながるように努力
するよ。僕個人としては初年度にタイトル争いに加われたことが、大きな自身になっ
ているんだ。今季の成績が真の実力だなんて思いたくないし、僕はNeXXに長くと
どまってこのカテゴリでタイトルを獲りたいんだ。僕は北欧出身だから、できるなら
このチームでチャンピオンになりたい。そうなれるように頑張るよ。」
そう語るラスムッセンの顔には切迫感が顕れていた。ノルディックで3シーズン目を
迎える来季、ラスムッセンは既に背水の陣を敷いている。


◇今季もラムダvsバトラーに絞られたタイトル戦線。両陣営により一層の緊張感!

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マーキュリーのI.アンダーソン(写真右)は、ピットブルの総合力の高さを警戒。一方ピットブルのH.
マルコリーニは第16戦でのラムダのクラッシュについて、チャイナドラゴンの宋の無謀な追抜きを批判。

第16戦終了時点で、ポイントリーダーのアレックス・バトラーとランキング2位の
ニコ・ラムダが、ポイント差1で争う大接戦となった2ndシーズンのドライバー選
手権。事実上タイトル争いはバトラーとラムダの一騎打ちとなり、両陣営のガレージ
も一気に緊張感を増している。
昨季はこの時点でラムダがバトラーを168vs163と5ポイントリードしていた
が、今季は第16戦日本で167vs166と1ポイント差と、昨季以上の大接戦。
しかも第16戦開始前時点で9ポイント差でトップにいたラムダがノーポイントに終
わり、5位入賞のバトラーが10ポイント獲得でランキングを逆転するという白熱の
展開。他カテゴリでもまれに見る接戦だ。
序盤の6戦で2勝をあげポイントを荒稼ぎしたバトラーに対し、ラムダの序盤戦はト
ラブルに祟られた。しかしバトラーが中盤戦スランプに陥ると、ラムダが2勝をあげ
て一気にポイント差を挽回。ランキングのトップに立った。そしてここに来てまた、
流れはバトラーに傾いているように見える。
「アレックス(・バトラー)は繊細な男なんだ。悪い兆候を感じ取るとそれに引っ張
られてしまうところがある。でも終盤にきてまた流れを取り戻しつつある。」とはマ
ーキュリーのチームマネージャー、イアン・アンダーソンだ。
「夏場にスランプに陥ったけどね、ルーマニアで優勝してからは予選での速さも戻っ
てきたし、コンスタントに入賞もしている。ラムダがここにきてまたアクシデントに
見舞われて、流れは変わっていると思うよ。」とバトラーの連覇に期待を寄せる。一
方で「向こうはミシェル(・ボナパルト)も含め総合力が高い、決して油断はできな
い相手だよ。マカオの時みたいに、ラムダとミシェルがアレックスの前を走っていれば、ミシェルがアレックスを抑えにかかるだろう。彼らはこのNeXXでも数少ない
”そういうこと”ができるチームだ。」と、チームオーダーを駆使した2台の連携プレ
ーに、アンダーソンは警戒感をあらわにする。
一方でラムダがランキングを逆転されたピットブル側は、第16戦日本でラムダが絡
まれた”もらい事故”について、FNOとチャイナドラゴンチームに正式に抗議したも
ようだ。チームマネージャーのヘルムート・マルコリーニは「宋は今季1度ペナルテ
ィを受けているけど、今回の”あれ”が対象にならないのはなぜだ? 確かに密集した
中段ではああいった事故は起こり得る、しかしあの追抜きは無謀だった。前のラ・ポ
ルタは既にターンインの動きに入っていたし、ぶつかったのは最終ターンの手前であ
そこは追抜きポイントではない。コース幅も非常にせまいところで、ニコ(・ラムダ)
はアウトに避けるしかなかったんだ。仮にも王座争いをしているドライバーの前での、
あの動きは理解できない。」と宋の追抜きが無謀であったと非難する。
「ニコはF1で3度王者を経験した名手だ。選手権はあと2戦ある、彼なら去年の忘
れ物を必ず持って帰って来てくれると信じている。しかしひとつ懸念点があるとすれ
ば、それは残りのレースがすべて市街地戦ということだ。アレックスはストリートコ
―スにめっぽう強い、逆に我々は今季市街地でやや苦戦している。マシンバランスの
問題なんだけど、それが不安材料だね。ただ我々も向こうもこのカテゴリでは数少な
い、計算できるセカンドドライバーのいるチームだ。残り2戦は総力戦で臨むよ。」
と、チームオーダーも辞さないことを匂わせた。
いずれにしても選手権は残りあと2戦、ドライバー、チームとも大接戦のタイトル争
いは独特の緊張感を孕んで北米大陸へと渡る。


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■Hot Stove League

□ピットブル・エクストリーム・レーシング
 【確定】No.1:ニコ・ラムダ(AUT) 
 【確定】No.2:ミシェル・ボナパルト(FRA)

□マーキュリー・レーシング・オーガナイゼーションン
 【確定】No.1:アレックス・バトラー(IRL)
     No.2:カーティス・マルケーナス(AUS)??
          ゾルタン・ゲラ(HUN)??
          ジョルディ・ヴァッセル(GBR)??
          ジョリー・バーナード(GBR)??     

エヴァー・グラハム・レーシング 
     No.1:アレン・バーンズ(AUS)??
 【有力】     カーティス・マルケーナス(AUS)??
 【確定】No.2:ジェストン・バロン(GBR)

トライアンフ・スクエアジャパン・レーシング
 【確定】No.1:日向 俊郎(JPN)
 【確定】No.2:ルドルフ・マイネ(GER)??

アブラモビッチスタンフォード・レーシング
 【確定】No.1:ジョンブル・チャップマン(GBR)
     No.2:フェリオ・デ・ランジェリス(ITA)??
          アレン・バーンズ(ASU)???
          リチャード・スウェルツマン(RUS)??

プルトン・オートスポーツ
 【確定】No.1:トゥーリ・ヴィックス(EST)
          アレン・バーンズ(AUS)??
     No.2:ジョルディ・ヴァッセル(GBR)??
          レオ・タイラント(IDN)??
          ジョーイ・エラゲル(IDN)??
          メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

□スクーデリア・リナルディ
 【確定】No.1:ミケーネ・ポルボローネ(ITA)
 【確定】No.2:スティラノ・シエナ(ITA)

□クラークソン&メイ・ハモンド・レーシング
 【確定】No.1:デイヴィス・ファング(GBR)??     
     No.2:ジェストン・バロン(GBR)??
          リンド・ソリス(GBR)??
          ジョルディ・ヴァッセル(GBR)??     

□ロムニ・ダキアオートスポーツ(シュトロゼック??)
 【有力】No.1:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
          シュテフェン・バロシュ(GER)??
     No.2:アレオ・ファーシマス(LUX)??
          メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

ドラゴンフォース・チャイナレーシング
 【確定】No.1:宋 昇龍
     No.2:アレン・バーンズ(AUS)??
          ゾルタン・ゲラ(HUN)??
          アリエル・ティルクム(GBR)??

□ノルディック・モータースポーツ
 【確定】No.1:ケリー・ラスムッセン(DEN)??
 【確定】No.2:ミック・ハイデンフェルド(GER)

□サントス・ロコ・オリベイラ・レーシング
 【有力】No.1:アンドレアス・サントス・フィリオ(POR)??
     No.2:ヴィンチェンツォ・ジョバナルディ(ITA)??
          ピエトロ・モンテローザ(ARG)??
      ※ラ・ポルタは2nd限りで引退、アドバイザー就任の噂あり

アントネッティオートスポーツ
 【確定】No.1:アレンザンダー・ロッソ(USA)
 【確定】No.2:ファン・カレッジ(FRA)

□マルドゥーク・レーシング・ドバイ
 【確定】No.1:ビル・リヴィエール(CAN)
 【有力】No.2:ジャッキー・グーデリアン(USA)??
          ゾルタン・ゲラ(HUN)??

□ガジャック・ルルーシュ・スポール
 【有力】No.1:セドリック・タンデイ(FRA)??
          ヴィヴィエ・ピノーリ(FRA)??
          キャッシュ・サフィー(FRA)??
          ラモン・ゴーギャン(FRA)??
     No.2:カタル・アファル(MOR)??
          フィエール・ガシュレー(FRA)??

□フリー
 ジョリー・セプター(SAF)
 アレンザンダー・カブロン(THA)
 ジョー・S・カジワラ(USA)
 デイヴィス・リンドホルム(CAN)
 アリエル・ティルクム(GBR)
         

◇カレッジ、ついにアントネッティ移籍で合意!
             アントネッティは来季の選手権獲りに本気の体制!!

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アントネッティはヨーロッパラウンド中盤戦からカレッジ(写真左)に積極アプローチ、会見に
参加したチームボスのドナルド(写真右)は終始ご満悦の表情を見せていた。

来季の去就が注目されてきた今季注目の新人ファン・カレッジは、かねてから噂され
ていたアントネッティへの移籍で合意に達した。
カレッジの獲得を狙っていたのはアントネッティのほか噂が上がっていただけでマー
キュリー、アブラモビッチ、チャイナドラゴン、マルドゥークと多数。そんな中で最
も熱心に獲得を狙っていたのがアントネッティだった。アントネッティは今季からN
eXXに参戦、開幕戦でいきなりロッソが初優勝をあげポテンシャルの高さを示した
が、2ndシートのリンドホルムの低調なパフォーマンスが響き、いまいち上位に浮
上できていない。チームプリンシパルのドナルド・アントネッティは2ndドライバ
ーの補強が急務と考え、このスーパールーキーを熱心に口説き落としたという。
対するカレッジもF1の中堅チームの誘いを蹴ってNeXXへの参戦を決定、自身の
キャリアアップのためにはより総合力の高い、そして将来性のあるチームへの移籍を
望んでいたという。
「我々は光る速さを持つイキの良いドライバーを探していた。そしてこの先何年と我
々とともに戦い、将来このチームの核となりえるドライバーをね。そういった意味で
ファンの存在はまさに我々が求めるドライバー像そのものだった。アレン(ロッソ)
は現在の我々のエースだ、彼には当然それだけの速さがある。しかしファンは将来の
エース候補なんだ。現在進行形で王座を狙えるドライバーと、将来のチャンピオン候
補が同居することになるんだ。これ以上ファンタスティックなことはないよ。」と語
るのはチームプリンシパルのドナルドだ。
「もちろん我々は最初から、ファンをプレッシャーの海に放り込むようなことはした
くない。しかし彼はおそらくやってくれるだろう。今季の走りでそれは証明されてい
る。我々があれこれ言わずとも、彼は自分が何を求められているか理解しているはず
だ。そして彼は早くもこういう類のプレッシャーを楽しんでいる。私は本当に来季が
楽しみなんだ、今から開幕が待ちきれないよ。まだ今季は終わっていないっていうの
にね!」
「今季は半分期待以上、そして半分期待はずれ、そんな状況だった。アレンがまさか
開幕戦で優勝をするとは思わなかった。大きなサプライズだったよ。しかしその後我
々はやや苦戦している。そして2ndドライバーのデイヴィスのパフォーマンスにつ
いては落胆している。彼だって決して遅いドライバーじゃない、それでもこんなに苦
戦を強いられるんだ。しかし来季我々のチームにファンが加入する、それは今季のこ
の停滞を振り払ってくれる『ハリケーン』のような出来事だ。我々はここにいるヤン
グボーイに大いに期待する。」と熱っぽく語った。
また会見に同席したカレッジは「今回アントネッティという、アメリカンレーシング
の象徴のようなチームと契約できて光栄に思うよ。今季デビュー戦で初優勝を飾った
あのクルマで来季戦えると思うとワクワクするんだ。いろんなチームから誘いを受け
たけど、ドナルドが一番僕を熱心に誘ってくれたんだ。僕は僕の力を一番欲してくれ
ているチームに移籍することにした。来季が楽しみだよ。」と語った。
ドナルドも語ったように今季は中盤から伸び悩み、リンドホルムの不調もあり新参勢
ではマルドゥークに先を行かれてしまったアントネッティ。しかしカレッジの補強で
さらなる浮上の準備は整った。来季のアントネッティから目が離せない!!


◇もう一人の隠れた逸材ヴィックスは来季もプルトンで

今季はカレッジやリヴィエールなどの新顔が活躍し、すっかり影に隠れてしまった感
があるが、ひそかに移籍市場で注目されていた逸材がいる。それがプルトンのトゥー
リ・ヴィックスだ。
エストニア出身のヴィックスは今年22歳の若武者、昨季のF3では3勝をあげマカ
オGPでは予選でコースレコードを更新するなど速さを見せた。昨季第16戦日本G
PからNeXXに参戦している。戦闘力の低いプルトンのマシンで昨季は最終戦アメ
リカで7位入賞、今季もここまでチームメイトのカブロンを大きく上回る〇度の入賞、
○○ポイントを獲得し下位チームにあって一人気を吐いている。
そんなヴィックスがこの度、来季もプルトンをドライブすることで合意した。これま
で表立って大きな動きはなかったものの、一部ではアブラモビッチやロムニダキア
いった東欧系チームが獲得を狙っていたとされる。しかし、来季からカムイエンジン
を搭載することが決まったプルトンに、将来性を見出したと語るヴィックスは来季の
残留を決意したそうだ。

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実質今季がルーキーイヤーのヴィックスだが、後半戦になって
”乗れて”きた。成績もチームメイトのカブロンを上回っている。


「正直今季序盤は苦しかったね、予選では下位グループだったしブラジルでは予選落
ちも経験した。屈辱だったよ。だけど第5戦メキシコで何かが変わったんだ。序盤の
サーキットの中ではエルマノス・ロドリゲスが一番ウチのクルマにマッチしたね。そ
のあとも苦しい状況は続いたけれど、その間僕はいろいろなことを学んだよ。腐らず
自分の仕事をした。そしてスウェーデンチェコとウチのマシンと相性の良いサーキ
ットではいい結果を出すことができたんだ。スウェーデンでは最後尾からスタートし
てポイントゲットできたんだ! 僕はこのチームでまだまだ成長できると思う。そし
て来季は日本のカムイエンジンが乗るんだ。実はいくつかのチームからオファーを受
けていたけど、僕はここに留まることに決めた。来季はもっといい走りができると思
うよ。」とヴィックスは熱っぽく語った。
プルトンチームはとても居心地がいいんだよ。昨季の終盤からチームに加入したけ
れど、待遇を不満に感じたことはない。アレンザンダー(カブロン)ともうまくやれ
ているし、中盤戦くらいからだんだんとマシンに慣れてきた。乗れてる実感があるん
だ。そこに来季カムイエンジンが乗るとなれば期待は膨らむよ。僕はまだまだ若い、
このチームでまだまだ学ぶべきことはある。そう思って来季もこのチームで戦うこと
に決めたんだ。」と語るヴィックス。確かに今季序盤は苦戦したものの、後半戦に入
り入賞回数は増え、第13戦アゼルバイジャンでは表彰台1歩手前の4位フィニッシ
ュ。来季もプルトンで戦える手ごたえをつかんだのか、ヴィックスは来季もプルト
と契約を結んだ。ヴィックスも語った通り、来季は日本のカムイ、もといSUGO・
カムイエンジンが乗るプルトン。我々日本人も、来季のプルトンとヴィックスの活躍
に注目しよう。


◇カレッジにシートを奪われたリンドホルム、来季はインディカー
                   復帰画策もチームにはリザーブとして残留

期待の新人カレッジが来季のアントネッティのシートを射止めた一方で、来季のシー
トを失ってしまったのがリンドホルムだ。アントネッティの来季体制が固まったこと
により、初年度から2シーズンNeXXを戦った雄の去就に注目が集まったが、リン
ドホルムはどうやら来季はNeXXを走らないようだ。
リンドホルムは初年度の昨季、PP1回最高位2位2回含む81ポイントを獲得し、
ノルディックのタイトル争いの一翼を担い、今季は第14戦タイGPでようやくNe
XX初優勝をあげた。しかし昨季は後半戦の大失速がチームタイトル逸の原因とされ
ノルディックから放出、今季はアントネッティに移籍も前半戦でまさかの大苦戦。第
10戦までの獲得ポイントが僅か1と、昨季後半からの絶不調を長く引きずった。尻
上がりに調子を上げ第14戦で初優勝をあげるも時すでに遅し、結局来季は若いカレ
ッジにシートを奪われる格好となってしまった。

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驚異の新人カレッジにシートを奪われたリンドホルムだが、来季はリザーブ
としてチームに留まりインディカーに参戦。4thシーズンでのNeXX復
帰を目指す。

「NeXXはエキサイティングなカテゴリだよ。エンジンはクリーンだがパワーがあ
ってグッドサウンドだし、本物の競争が楽しめる。何より僕は北米しか知らなかった
からね、世界を転戦できてとても楽しかったんだ。来季はアントネッティのレギュラ
ーシートを失ってしまったけど、ドナルドはリザーブでの残留契約を提示してくれた。
来季は1年充電して4thシーズンでの復帰を目指したい。」と語るリンドホルム。
「NeXXは正直に言って難しいカテゴリだと思ったね。過去に1度だけテストでF
1のマシンに乗ったことがあるんだけど、NeXXのマシンはどちらかというとF1
寄りで、インディのマシンとは挙動も特性も全く違う。空力がよりセンシティブで、
一度マシンバランスを崩してしまってからはセッティングの”いいところ”がわから
なくなってしまった。今季の前半戦なんかはまさにそうだったよ。アレン(ロッソ)
はうまくやっていたから、正直焦りしかなかった。だけど後半、スウェーデンかチェ
コあたりから感触が徐々に良くなって、本来のスピードを取り戻すことができた。こ
の2シーズンは多くを学んだよ。」と話すリンドホルムは自信を取り戻し、第14戦
タイで遅まきながら初優勝をあげた。しかしそのタイGPのパドックでは、チームが
来季自身の代わりにカレッジと契約する旨が発表され、勝利もむなしくリンドホルム
は来季のレギュラーシートを失ってしまったのだった。
しかし「ほかのチームを探す選択肢もあったけど、僕はアントネッティの雰囲気が気
に入っていてね。それにファン(・カレッジ)の加入が正式に決まったころには、他
のチームもあらかた主だったシートは埋まっていて、ならリザーブでもアントネッテ
ィに残った方がいいと思ったんだよ。来季はインディのチームからオファーをもらっ
ていて、オーバル限定の契約なんだ。だから仮にインディ側の契約がまとまったとし
てもこっちのリザーブとの掛け持ちでも問題ないってわけさ。」と語るリンドホルム
に、大きな落胆の色はない。
「僕はとにかく走ることが大好きだから、来季インディに復帰できるのはとてもうれ
しいよ。だけど僕はNeXXでまだ何も達成していない。だから4thシーズンでの
復帰を目指すよ、アントネッティが埋まっているならチームはどこだって構わない。
もう少しNeXXでやれることがあるハズさ。」
インディで5勝をあげた32歳のカナダ人は、来季一年を雌伏し時の至るを待つ。


◇バーンズ、クラークソンをはじめ複数チームと接触か?

今季限りでエヴァー・グラハムを去るのではないかと噂されるアレン・バーンズが、
来季の移籍先を探して複数のチームと接触を持ったと報じられている。
NeXXには1stシーズンから参戦し、初年度から参戦した4名のF1王者経験者
『F1四天王』の一角として注目を浴びたが、開幕から2シーズンここまで四天王で
唯一の未勝利で、チームからの評価も下がる一方だったバーンズ。このまま引き下が
るわけにはいかないF1チャンピオンが、来季の捲土重来を期し目下移籍先を物色中
というわけだ。
現在接触の噂が上がったチームはクラークソン、チャイナドラゴン、そしてプルト
の3チーム。クラークソンはティルクムの離脱で来季の2ndシートが開いており、
来季チーム名がドラゴンフォースに代わるチャイナドラゴンもセプターの去就が不透
明で同じく2ndシートが未確定状態だ。またプルトンは現在No.1のカブロンが
離脱濃厚と伝えられており、ここもシートがひとつ空く可能性がある。しかし一説に
はバーンズの要求する高年俸や、移籍した場合のシートが2ndシートであることが
ネックになったとも伝えられており、バーンズ側の感触は芳しくないらしい。
また、既に来季へ向けて活発な移籍劇が展開されているものの、ほとんどのチームは
1stシートが決まっており、『エースの相方探し』になっている状態のチームが大
半。そんな状況で元F1王者に相応しいシートが見つかるのか疑問が残る。
果たしてバーンスを獲得するチームは現れるのか、元F1王者の再就職活動は一筋縄
ではいかない状況だ。

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なかなかNeXXで結果を出せない元F1王者
周囲の評価は下がってゆくばかりだ・・・

◇ゲラ、一転して残留濃厚の噂!! シュトロゼック側が年俸の
                      大幅アップでの引き留め画策??

1stシーズンからその速さで注目を集め、今季移籍市場の目玉となっていたハンガ
リー人のゾルタン・ゲラ。移籍は確実と噂されていたゲラが、一転来季もロムニ・ダ
キアに残留する可能性が高まった。
参戦初年度から苦戦を続けるロムニ・ダキアチームにあって昨季は1勝をマーク、今
季も依然苦しい状況のなかで第13戦アゼルバイジャンで表彰台に上がるなど、その
実力をアピールし続けてきたゲラ。今季は早い段階で有力チームの獲得リストに名前
が挙がり、来季の移籍は確実と見られていた。しかし一転残留の可能性が強まったと
いうのだ。いったいどういうことだろうか?
所属のロムニ・ダキアは来季ドイツのコンストラクター、シュトロゼックとの合併が
大枠で決定しており、来季からチーム体制がガラリと変わることになるが、現在熱心
にゲラを引き留めにかかっているのがそのシュトロゼックだという。シュトロゼック
プリンシパル、フランツ・ハイネルがゲラの実力を非常に高く評価しているためだ
とは、ロムニ・ダキア関係者筋による情報だ。

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シュトロゼックのハイネル氏は、ゲラの実力を高く評価。あの手この手
での引き留めを画策しているようだ。

レース界にあっては珍しハンガリー人ドライバーであるゲラは、14歳でレースキャ
リアをスタートさせ、主にドイツを主戦場としてきた。NeXX参戦前はWECやD
TM、ポルシェカップなどに参戦していたが、これといった戦績を残せずNeXX参
戦時の注目度も決して高くはなかった。しかし昨季はマシンのパワー不足に悩まされ
ながらも随所に光る走りを見せ、優勝1回を含む表彰台3度を記録。有力チームの目
にとまっていた。そんなゲラに対してハイネルは直々に自身のゲラに対する評価を伝
え、残留してくれたら倍額の報酬を支払ってもいいとまで言ったと伝えられる。
来季チームの運営に大きく介入することになると言われているシュトロゼックだが、
ドライバーの陣容については実力はもちろんのこと、初年度から2年間チームとキャ
リアを共にしてきたゲラを核として、チーム改革を進めたい思いがあるようだ。この
提案に大きく心動かされたゲラの気持ちは、一転残留に傾いているようなのだ。
2ndシーズンもあと2戦残すだけの終盤戦だが、ゲラの来季の去就は未だ決まって
いない。そして未だマーキュリー、チャイナドラゴン改めドラゴンフォース、そして
マルドゥークへの移籍の噂も消えてはいない。今季カレッジと人気を二分したマーケ
ットの目玉であるゲラ、果たして来季はどのシートに座っているだろうか?


◇ノルディック、リナルディは来季も現行ラインナップで臨む旨を正式発表!!
            今季大活躍のリヴィエールもマルドゥーク残留が決定!!

シーズンも終盤、タイトル争いはまさに佳境を迎えている中、来季の移籍市場は未だ
活発だ。しかし一方ではピットブルやトライアンフをはじめ、既に来季のラインナッ
プが決定しているチームもある。第15戦マカオではリナルディが、第16戦日本の
パドックではノルディックが来季の体制について記者会見を開き、今季同様のドライ
バーラインナップで3rdシーズンに臨む旨を発表した。
かつてはF1にも参戦した名物チームであるリナルディは、初年度こそチームランキ
ング再開に沈んだが、今年は2人の所属ドライバーが活躍。ここまでシエナがチーム
初PPを記録し、ポルボローネがチーム初優勝をあげている。安定感に乏しく入賞圏
外フィニッシュや予選落ちも度々あるが、昨季と比較すれば大躍進だ。チーム代表で
元F1ドライバーのカルロ・バニラもこの活躍には大いに満足しており、リナルディ
側は早い段階で来季も同様の体制で臨むことえお公言していた。バニラが意気揚々と
来季への抱負を述べたリナルディの会見は、終始和やかな雰囲気で進められた。
一方で同様に今季の体制のままで来季に臨む旨を発表したノルディックの記者会見に
は、やや違った空気が流れていた。チームマネージャーのチチ・ソルベルグは冒頭で
「来季は我々にとって勝負のシーズンになる」と語り、のっけからやや引き締まった
雰囲気で会見は進んだ。
「我々は正直今季はもっとやれると思っていた。ドライバーにしろチームにしろ、も
っと高い位置でタイトル争いに絡めると考えていたんだ。しかしシーズンも間もなく
終わりを迎えるが、我々は比較的早い段階で”そこ”に挑むには力が足りていないこ
とを突き付けられた。昨オフの我々はいささか楽観的すぎたと言わざるを得ない。昨
季はケリー(・ラスムッセン)が最後までタイトルを争ったが、今季の我々はミック
(・ハイデンフェルド)が1勝をあげただけの状態にとどまっている。しかし我々は
既に今季を反省しており、来季への準備をしている。我々は¥が今後もトップチーム
でいられるかは来季、一つの答えが出るだろう。それによって今後の長期的プランも
必要が出てくるかもね。」と語ったソルベルグ
一方会見に同席したラスムッセンも「今季のこの状況には正直失望しているよ。昨季
は最後までタイトルを争ったのに、僕自身今季のこのポジションは到底受け入れられ
ない。来季はもっとハードワークが必要だろうね、僕もミックももっと貪欲にならな
ければいけない。」と危機感をあらわにした。今季の伸び悩みを糧に、早めの足場固
めで来季の再浮上を期す。
そして今季からNeXXに参戦したドライバーで最も活躍したといっていいビル・リ
ヴィエールは、来季以降もマルドゥークで走ることが決定した。「今回チームとはい
い話し合いができた、もちろん来季の契約にはさいんしたよ。」と、リヴィエールは
マカオパドックで笑顔で語った。
「シーズン序盤はNeXXというカテゴリと、予選でのタイヤの使い方を理解するの
に時間がかかった。なんせ久しぶりに緯線落ちまで経験したからね。けれど乗れてき
てからは鳥羽堂こともなくなった、優勝もできたしね。シェブロンエンジンはパワー
があるし、シャシーもいい。ツイスティなコースでもグイグイまがるから、僕みたい
に振り回すヤツは乗ってみたら楽しいんじゃない? ファン(・ドット)も僕のこと
をよく理解してくれてるし、ジャッキー(・グーデリアン)ともうまくやってる。ま
だ正式に決定してはいないけど、来季もジャッキーと仕事ができたらいいと思ってい
るよ。来季はもっとたくさん勝ちたいね。」と終始笑顔のリヴィエール。今季のパフ
ォーマンスにはおおむね満足しており、納得の契約更新だったことがうかがえる。
来季の体がは固まったチームの中でも、来季に向けての意気込みはそれぞれ。来季の
開幕戦にはもしかすると、今季までとは違う風景が見られるかもしれない。


◇チャイナドラゴン改め”ドラゴンフォース
                セプターと来季の契約を結ばない旨を発表

来季からチーム名を『ドラゴンフォース・チャイナ』へと変更するチャイナドラゴン
が、現所属ドライバーのジョリー・セプターと来季の契約を結ばないことを発表した。
『F1四天王』の一人として初年度からNeXXに参戦したセプターは、昨季開幕戦
で優勝を飾り記念すべきNeXXウィナー第1号となった。また昨季は驚異的な入賞
率を誇り、128ポイントを獲得しランキング5位に食い込んだ。しかし今季は第3
戦ドバイで1勝をあげるもそれ以外の戦績はパッとせず、F1王者経験者としては屈
辱の予選落ちを2度喫するなど精彩を欠いた。(第15戦終了時点)
今季のセプターは、ノックアウト方式に変更された予選方式に苦しんだ。昨季も予選
成績は芳しくなかったが、今季は輪をかけて苦戦。20番手以下に沈むこと2度、そ
して先述の通り予選落ちも2度記録した。今季はレギュラードライバーに若手中国人
の宋昇龍を起用したこともあり、宋には大先輩格のセプターより様々なことを学ばせ
るつもりでいたチャイナドラゴン陣営だが、セプターがこうも不調をかこってしまっ
ては宋の手本どころではない。かくいう宋も随所で速さは見せるものの、セプター共
々予選で苦戦をしいられここまで4度の予選落ちを喫してしまった。
昨季は18戦中12完走、そしてうち11戦で入賞を果たしたセプターだが、今季は
ここまで4度の入賞にとどまっている(その後第16戦日本で2勝目をあげた)。ま
たチーム関係者筋では特に後半戦に入ってからのセプターのモチベーションの低下を
指摘する声も上がっており、チーム側は契約継続は難しいと判断したようだ。
今のところ公認候補としてはエヴァー・グラハム離脱がほぼ確実なバーンズ、ロムニ
ダキアのゲラ、そして今季途中でクラークソンを離脱したティルクムなどが挙がっ
ているがバーンズは高年俸がネック、ゲラは一転ロムニ・ダキア残留の可能性が強ま
り、またティルクムに関してはクラークソンの離脱劇についてチームマネージャーの
ウィニーエヴァーがやや辛辣なコメントを残しており、これら候補3名のうち誰か
が新生ドラゴンフォースのシートに座る可能性は低いと言わざるを得ない。来季新体
制となるドラゴンフォースの2ndシート、そしてラムダ、ファングと明暗を分けた
『F1四天王』セプター、バーンズの去就に注目が集まる。

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開幕から2シーズンチームを支えたセプターだが、来季
の離脱が決定。第16戦で今季2勝目をあげたが・・・

 

2ndシーズンもまだまだ始まったばかり。選手権は中南米ラウンド2戦を戦って
ようやく中盤戦、ヨーロッパを迎える。その後選手権はユーラシア大陸を横断して
アジアへ渡り、北米大陸で幕を閉じるのだ。ここまで3戦を消化した選手権だが
残りはあと15戦。まだまだ今後の展開の予測はつかない。
今季も文字通り世界を股にかけて行われるNeXX世界選手権、今後の展開から
目が離せない!!

Formula NeXXtream 2ndシーズン・16

『Formula NeXXtream 2nd』
□第16戦 日本 小樽市街地サーキット

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 1周:3.65km
 特性:「中速」「市街地」
 ターン数:28(88周)

全18戦の選手権もいよいよ第16戦、今戦を含んで残り3戦となった。ラムダと
バトラーの二人に絞られた感のあるタイトル戦線だが、トップのラムダのリードは
僅かに9ポイント。今季も大接戦の状態で佳境を迎えたNeXX。舞台はいよいよ
アジアラウンドの最終地点、日本だ。
昨季は北海道は十勝モータースピードウェイで行われた日本GPだが、今季はなん
と北海道屈指の観光都市『小樽』の市街地で行われる。日本初の「公道での世界選
手権」レース開催となる。日本での公道レース開催は以前から構想としてあったも
のの行政、警察等の理解を得られず、立ち上がってはとん挫を繰り返してきた。し
かし2020年9月20日に島根県江津市で国内初の公道でのカートレースが開催
され、それ以降再び日本のレースファンや関係者の間で、世界的なモーターレース
を日本の公道で開催したいという機運が高まりを見せた。今回の『小樽GP』実現
は、NeXXに参戦するトライアンフ・チーム関係者、そして小樽市ひいては北海
道が一丸となった結果だ。
小樽GP構想はそもそも、日本でF1ブームが起きていた1990年代中頃まで遡
る。そして2007年には北米最高峰レースであるCART誘致の一歩手前まで行
きながら、警察機構と折り合いがつかず計画はとん挫。当時様々開催地候補は上が
っていた中で、最も実現に近かった小樽GP構想がとん挫したことにより、日本の
公道レース気運は急速にしぼんだ。しかし今回江津のカートレース開催に触発され
トライアンフチームの山本つかさオーナーが中心となり、かつての小樽GP関係
者や自治体関係者にわたりをつけ、眠っていた夢構想を掘り起こしたのだ。
コースは中高速レイアウト。小樽運河沿いの倉庫群を横目に走る幹線道路をメイン
に構成され、途中3か所に中央分離帯を利用したレーンチェンジシケインを設置。
前半区間は大きな通りをメインに構成されるため速度域も比較的高い。しかしスシ
ストリート(寿司屋街)以降の後半区間はコースの最小幅7.2mの超狭小区間
歴史的建築や観光名所が林立する区間は一つのミスも許されないシビアなセクショ
ンだ。
日本GPが公道レースになったことで、今季のラスト4戦は全て市街地戦となった
NeXX世界選手権。冒頭で述べた通りポイントリーダーのラムダが2位バトラー
に対して保持するアドバンテージはわずか9ポイント。今季も最後まで行方の読め
ない選手権、レース終了後には一体どのような展開になっているだろうか?


<予選>(太字)
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:ファン・カレッジ(ガジャック)

秋深まる北海道が舞台だが、予選セッション当日は薄曇り。小雨がパラつくセミ
ェットでの予選セッションとなった。そんな中PPを獲得したのが、なんとガジャ
ックのカレッジ。これまでも第2戦インドネシアでの大雨の予選で4番手、またウ
ェットレースとなった第10戦スウェーデンで2位表彰台など、雨で抜群の速さを
見せてきたスーパールーキーが、雨の市街地という難しい条件でNeXX初PPを
獲得した。フロントローに並んだのは開幕戦の覇者ロッソ、後半に入って不調の色
濃いが巻き返しを期す。3番手には昨年の活躍ぶりが鳴りを潜めこちらも不調気味
のサントス・フィリオ。しかしフィリオも雨の市街地は大得意、久々にいい位置か
らのスタートだ。4番手にはヨコスカの新ハードタイヤ投入後復調著しいセプター
がつけた。そして雨の市街とといえばバトラーだが、今回は3列目5番手に控えた。
7番手にはラ・ポルタ、地元期待の日向が8番手につけ、ここまでレギュラードラ
イバー中唯一ノーポイントに終わっているカジワラが9番手と躍進。チームの地元
で発奮だ。
ポイントリーダーのラムダは11番手から、その横には宋昇龍が良い位置だ。一方
でファングが17番手に沈む。雨も市街地も得意のはずの彼だが、後半戦の不調ぶ
りは顕著だ。ランキング3位のラスムッセンも18番手と、ここ2戦予選では中団
より後ろに沈む。またここまで望外の活躍を見せてきた新鋭マルドゥークの2台も
グーデリアン16番手、リヴィエールは23番手と停滞。さらにピットブルのもう
1台ボナパルトが22番手、雨が嫌いだと公言するボナパルトは後方に沈んだ。
今回の予選落ちはポルボローネシエナ、カブロン、タンデイの4台。日本でもフ
ァンの多いリナルディだが揃って予選落ち、地元日本のカムイ勢はトラアンフのみ
となった。またカブロンは来季の契約更新がまだとの噂、今季の戦績でも同僚のヴ
ィックスを下回り去就への影響が心配される。


<決勝レース>
小雨がぱらついた予選とはうって変わって決勝は快晴、高く澄み切った秋の青空の
もとレースは行われた。予選がウェットセッションだったため、予選使用タイヤの
決勝での使用義務はなし。全車が新品タイヤを履いてのスタートとなったが、新コ
ースでのレース、そしてFP、予選とあまりドライコンディションで走れていなか
った各チーム。路面とタイヤについてのデータが少ないため、ヴァシュロン勢のほ
とんどがハードでスタートした。逆にヨコスカ勢はハードとソフト半々に分かれた。


<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         日向 俊郎
K.マルケーナス      F.デ・ランジェリス
Z.ゲラ          T.ヴィックス
A.ファーシマス      D.ファング
K.ラスムッセン      宋 昇龍
M.ハイデンフェルド
A.ラ・ポルタ
A.ロッソ
D.リンドホルム
B.リヴィエール
J.グーデリアン
J.カレッジ  

   
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
M.ボナパルト       A.バーンズ
A.バトラー        J.バロン
A.フィリオ        J.カジワラ
              J.チャップマン
              L.ソリス
              J.セプター 
=ユーズドタイヤ

レースはフロントローの2台が良いスタート、カレッジ、ロッソが飛び出す。一方
3番手のサントス・フィリオがやや立ち遅れ、セプターのスタートが良い。しかし
その後ろのバトラーが大きく飛び出し、前の2台をかわして3番手に浮上する。
中団では9番手スタートのカジワラが日向の前、8番手に浮上。これまでのシーズ
ンを通して全く良いところのなかったカジワラだが、チームの地元でエースの日向
にライバル意識をむき出しにする。後方ではラムダがポジションを1つアップ、他
は大きな混乱なくスタート。

ハードタイヤスタートのカレッジだが快調に飛ばす。逆に同じハード勢のロッソは
やや水をあけられはじめる。カレッジのストリートでの速さはホンモノだ。バトラ
ー、セプターはロッソと共に2番手集団を形成する。5番手に後退したサントス・
フィリオはやや遅れ始めた。
後続はややサントス・フィリオにフタをされる格好に。6番手のマルケーナスがサ
ントス・フィリオの前をうかがうが抜けない。7番手のラ・ポルタもマルケーナス
を煽る。そんな中8番手のカジワラが、ラ・ポルタの一瞬のスキをついて7番手浮
上。ここまで唯一ノーポイントのレギュラードライバー、カジワラが躍動する。

その後ろ10番手のチャップマンがゆるゆるとピットイン、マシンを止めたチャッ
プマンはそのままマシンを降りガレージに引っ込んでしまった。回生機構にトラブ
ルを抱えパワーロストが大きく、僅か2ターンでリタイヤ。チャップマンは実に今
季これで9度目のリタイヤ。
また後方では16番手のファングにもトラブルが起きていた。DRS制御に不具合
が発生。ストレートでマックススピードが出ず、ラスムッセンにかわされてゆく。

カレッジは快調にトップをゆくが、ロッソも踏みとどまり離されずに追走する。3
番手バトラーまではほぼ同ペース、少し空いて4番手セプター、更に少し空いてサ
ントス・フィリオが5番手追走。後続もマルケーナス、カジワラ、ラ・ポルタと数
珠繋ぎの体制。
ここで中段でアクシデント発生。久々に12番手といいところからスタートした9
番手の宋昇龍だが、ラ・ポルタにオーバーテイクを仕掛けて接触。ラ・ポルタの横
っ腹に突っ込んだ宋は、フロントを破損して大きく後退してしまう。そして宋の後
ろにいたポイントリーダーのラムダもあおりを受けてしまう。前方の事故を避けよ
うとしたラムダは、アウト側のウォールにマシンをヒット。こちらもフロントを破
損する。ポイントリーダーのラムダにとっては痛恨のもらい事故だ。はたしてこれ
が選手権にどう影響するか?

さらに前方では6番手のマルケーナスが単独スピンを喫しウォールにクラッシュ。
同時に2か所で事故発生となり、セーフティカーが出動。トップのカレッジはペー
スアップし後続を引き離し始めた矢先、カレッジにとっては水を差すセーフティカ
ーとなってしまった。

★5ターン終了時のトップ10
 1.ファン・カレッジ
 2.アレックス・バトラー
 3.ジョリー・セプター
 4.アレンザンダー・ロッソ
 5.アンドレアス・サントス・フィリオ
 6.ジョー・S・カジワラ
 7.日向 俊郎
 8.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 9.宋 昇龍
10.ジェストン・バロン

セーフティカー出動中ピットオープンの6ターン目、ラ・ポルタに接触した宋、そ
してアクシデントに巻き込まれたラムダがピットイン。宋はタイヤとフロントセク
セクションを、ラムダはタイヤ好交換せずフロントのみ交換し出てゆく。これで宋
は23番手、ラムダは最後尾24番手まで転落。ポイントリーダーとして臨むこの
終盤戦、ラムダにとっては最悪の展開となった。
一方宋に突っ込まれたラ・ポルタはステイアウト。サイドポンツーンに穴が開いた
状態だが、このまま行けるところまで行く腹積もりか。

レースは7ターン目にリスタート。ここまで快調にトップで飛ばしていたカレッジ
だったが、タイヤが冷えたかダッシュがつかない。バトラーが並びかけるがカレッ
ジもけん制。その隙に3番手セプターがバトラーをかわして2番手に立つ。さらに
後ろのロッソにも並ばれるが、バトラーはこれはなんとか防御。3番手を死守する。
ラムダが最後尾に落ちたレース、バトラーも落とすわけにはいかない。
後ろでは相変わらずトライアンフの2台が鍔迫り合い、後ろからつついてくる日向
を前のカジワラがすんでの所でいなす。後方では9番手のバロンがスタートミス、
13番手まで転落してしまった。

リスタート後もカレッジのペースは良い、しかしセプターも同じペースで追走する。
赤いマシンが久々にトップグループで躍動する。逆にバトラーはリスタート後のペ
―スがあまり良くない。後ろのロッソがバトラーをかわし3番手浮上、バトラーは
4番手に後退してしまう。
後方ではランキング3位のラスムッセンが猛チャージ、18番手スタートだったが
スタートでポジションを4つあげ快調なペースで前を追い落とし、この時点でなん
と8番手まで浮上していた。

9ターン目トップのカレッジのペースがガクッと落ちてきた、どうやらタイヤにガ
ケが来たようだ。しかしソフトを引っ張ってきたセプターもややタイヤがキツい、
ペースのいいロッソがセプターをかわして2番手に上がる。さらにバトラーもセプ
ターの前をうかがう。どうやらセプターの方がタイヤに限界が来たようだ。10タ
ーン目にはソフト勢が続々ピットインしてくる。

まずは3番手のバトラー、ソフトからハードへと繋ぐ。後続も含め3~6番手が全
員ピットイン、セプター、サントス・フィリオ、カジワラはソフトから2セット目
もソフトへ繋ぐ。ピット作業はチャイナドラゴンが速い、セプターは4番手、後続
はバトラー6番手、サントス・フィリオ8番手、カジワラが10番手復帰で、ピッ
ト作業でセプターがバトラー逆転。再びバトラーの前に出た。

トップのカレッジは、ペースは落ちたもののまだ1セット目を引っ張っている。後
続が続々ピットインし、直接2番手で追うロッソも同じくタイヤにガケが来て、カ
レッジを追えずにいる。3番手に立ったラ・ポルタも、先ほどの接触のダメージか
思うようにペースが上がらない。今のところ状況はカレッジに味方している、初優
勝を視界にとらえ始めたか。
2セット目もソフトに繋いだセプター、フレッシュソフトでペースアップしラ・ポ
ルタのすぐ後ろに迫る。11ターン目にはセプター、そしてバトラーがラ・ポルタ
をかわし、それぞれ3番手、4番手にポジションを回復。カレッジはいつ1回目の
ピットストップに踏み切るか。

トップのカレッジは12ターン目に最初のピットイン。2セット目もハードへ繋ぎ
3番手でコース復帰。トップはロッソ、ロッソはどこまで引っ張るのか。一方ガジ
ャックチームは会心の作業でカレッジをコースに送り出したが、1回目のストップ
を終えたセプターは既にカレッジの前にいた。このままいけばセプターの3セット
目はハードが濃厚、カレッジはおそらく3セット目にソフトを持ってくるはず。そ
れぞれが2度のタイヤ交換を終えた時点で、果たしてどちらが前にいるだろうか?

トップのロッソは13ターン目もステイアウト、行けるだけ行ってのオーバーカッ
ト狙い。タイヤは限界のはずだが、フレッシュソフトのセプターとの差を詰めさせ
ない。一方1回目のタイヤ交換をすませたカレッジは、ソフトを履いた前のセプタ
ーを追えない。初優勝の線は怪しくなってきた。
4番手のバトラーもハードでペースが上がらない、好調サントス・フィリオに先行
を許してしまう。ラムダがポイント圏外にいる現状では、バトラーも無理はしない。
それにしても今回のサントス・フィリオは乗れている。

乗れているといえば6番手争い、前を行く日向をカジワラがつつく。二人の喧々諤
々のバトルは続く。そしてここで、ファングがゆるゆるとピットに戻り、マシンを
降りてしまった。DRSにトラブルを抱え12番手を走行していたファングだった
が、チームの指示を無視して自主的にリタイヤしてしまったのだ。もう少しでポイ
ント圏内だっただけに、クラークソンオーナーはおかんむり。ファングはまたも、
ペースの上がらない現状、そして後半戦の不調に苛立ち戦意喪失。チームが最も恐
れていたファングの「プッツン癖」が出てしまった。
そんな中でもトップのロッソはまだステイアウト、もう14ターン経過だ。いった
いいつまで引っ張るつもりか。

と15ターン目、ついにトップのロッソがピットイン。ロッソの2セット目はソフ
トだ。これでトップに立ったのはセプター、クルーがやや作業に手間取ったロッソ
はサントス・フィリオの後ろ4番手でコース復帰だ。
中段ではカジワラがここにきてファステストラップを記録。ペースの上がらないバ
トラーをかわして5番手に浮上する。カジワラは間違いなく今季一のパフォーマン
ス、やればできるドライバーなのだが・・・。
後方では16番手のラムダが1回目のピットイン、ハードからハードに繋ぐ。序盤
接触で最後尾に落ちたラムダは、1ストップ作戦をチョイスだ。どこまで浮上で
きるか。

★15ターン終了時のトップ10
 1.ジョリー・セプター 
 2.ファン・カレッジ
 3.アンドレアス・サントス・フィリオ
 4.アレンザンダー・ロッソ
 5.ジョー・S・カジワラ
 6.アレックス・バトラー
 7.アレン・バーンズ
 8.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 9.ケリー・ラスムッセン
10.日向 俊郎

トップに立ったセプターは俄然ペースが良い。2番手カレッジとの差をぐんぐん引
き離しにかかる。ペースの上がらないカレッジは、サントス・フィリオにもかわさ
れ3番手後退。さらに追い上げてきたロッソにもかわされ4番手、どんどんと後退
していってしまう。カレッジがレースを盛り上げたのもここまでだった。
後方では10番手日向が、こちらもようやく1回目のピットイン。ハードからハー
ドへ繋いだ。日向も1ストップ作戦だ。
トップのセプターは相変わらずのハイペース、しかし2番手サントス・フィリオも
離されずについていく。だが3番手のロッソも速い、サントス・フィリオをかわし
2番手に。トップ3のペースはやや異次元だ。

後方では8番手のラ・ポルタに異常発生、ミッションにトラブルを抱えややペース
が落ちていた。序盤の接触がミッションにダメージを与えていたようだ。そんなラ
・ポルタをラスムッセンがかわし8番手に浮上する。
そしてさらに後方でトラブル発生。16番手走行中のヴィックスがマシン後方から
大量の白煙を上げストップしてしまった。ミッションがブローアップしてしまった
ようだ。これによりレースは2度目のセーフティカー出動、セプターが築いたビッ
グマージンは一気にリセットされてしまった・・・

ピットオープンの19ターン、トップのセプターがピットイン。このセーフティカ
ーでタイヤを温存できると判断したセプター、3セット目もソフトを選択。ヨコス
カ勢得意の『オールソフト作戦』発動だ。
対して3セット目をソフトに繋ぐ予定のロッソは、このタイミングで入ったのでは
最後までもたないためステイアウト。同じ理由からバトラー、カレッジもステイア
ウトを選択する。サントス・フィリオはハードにスイッチ、彼はこのまま最後まで
行く戦略だ。後方ではカジワラ、バーンズといったヨコスカの上位勢が揃ってソフ
トへ交換。『オールソフト作戦』で勝負に出る。

そしてレースは20ターン目にリスタート、トップのロッソがダッシュを決める。
後ろではラスムッセンがセプターに並びかけ、ラスムッセンが先行。4番手に浮上
する。ロッソのペースは快調、しかし後続のバトラー、カレッジはペースが上がら
ない。ラスムッセンがカレッジをかわし、18番手スタートの彼がついに3番手に
浮上だ。
6番手走行のラ・ポルタだったが、ミッショントラブルでペースが上がらない。す
ぐ後ろのサントス・フィリオにポジションを譲るとゲラ、日向にもかわされ9番手
に後退してゆく。そんな中最後方でまたもアクシデント発生、20番手争いでデ・
ランジェリスにしかけたボナパルトが、デ・ランジェリスのマシンにヒットしスピ
ンオフ。ウォールにクラッシュしてしまい、ここでこのレース3度目のセーフティ
カー出動となる。
ボナパルトはこのクラッシュでリタイヤとなってしまった。

このセーフティカーラップでヴァシュロン勢のソフト残し組が全員ピットイン。上
位陣ではロッソ、バトラー、ラスムッセン、カレッジなど主だった面々は恐らく最
後のスティントとなるであろう残り5ターンをソフトタイヤに賭ける。
一方でヴァシュロン勢の上位陣でサントス・フィリオのみがステイアウト、新品ソ
フト組に対しハードで最後まで戦えるか。
これでトップはセプター、2番手にサントス・フィリオ、3番手日向、以降ロッソ
バトラーと続く。3番手日向は1ストップ作戦でこの位置、地元で表彰台圏内だが
最後までハードで残れるか?

レースは3度目のリスタート。トップのセプターと2番手サントス・フィリオ共に
良いスタート、2台並んで1コーナーへ向かうが、セプターが守り切る。後ろでは
バトラーと日向もサイドバイサイドだが、そこにロッソが割り込んで3ワイド。結
果日向、ロッソ、バトラーの順で続いてゆく。一方で序盤レースを引っ張ったカレ
ッジは、この時点で10番手まで後退していた。
後方ではグーデリアンの左リアタイヤがバースト。ゆるゆると後退し最後尾まで転
落してゆく。

トップのセプターは快調、続くサントス・フィリオはやや離されてゆく。そしてサ
ントス・フィリオと同様にハードでステイアウトした日向は、プッシュのしすぎか
第1シケインで縁石に大きく乗り上げてしまう。その間に後続のロッソが3番手浮
上、日向はバトラーの前4番手に後退。
後ろでは8番手走行中のラ・ポルタがゆるゆるとピットイン、ミッショントラブル
で戦闘力を失いついにここでストップしてしまった。サントス・フィリオが表彰台
圏内にいるだけにSLOとしては痛いリタイヤだ。
そして14番手走行中のポイントリーダー、ラムダにもトラブルだ。燃料圧力の低
下によりパワーを失う。ファイデンフェルド、リンドホルム、デ・ランジェリスに
次々と抜かれていく。
前ターンに左リアタイヤがバーストしたグーデリアンは、ピットに戻りマシンを止
める。アクシデント続出のレース、有力ドライバーを次々とトラブルが襲う。

レースは残り3ターン、快調に飛ばしていたセプターだがどこかでミスがあったの
か、後続のフィリオ、ロッソがぐんと差を詰める。後ろの二人もまだ優勝をあきら
めていない。先頭はこの3台がグループを形成。
一方ハードで1ストップの日向はさすがにタイヤに限界が、ラスムッセン、バトラ
ーにかわされ6番手に後退する。
そして後方ではラムダがゆるゆるとピットイン、ついにレースパワーを失いピット
でリタイヤとなった。バトラーは5番手でレースを進めている、ポイントリーダー
としては痛いノーポイントとなってしまった。バトラーはこのまま5位ならばラム
打を1ポイント上回りランキングトップに立つがどうなる?

ペースを回復したセプターは、終盤一気にサントス・フィリオを引き離しにかかる。
3番手ロッソもサントス・フィリオとの差が徐々に離れていく。ロッソは終盤ブレ
―キがフェード気味になり、サントス・フィリオを追えなくなっていた。

レースは最終的にペースを回復したセプターが優勝。今季2勝目、NeXX3勝目
をあげた。2位には今季初表彰台のサントス・フィリオ、今季一の走りを見せた。
3位には後半戦不調ながら今季5度目の表彰台となったロッソ。不調と言われた3
人が表彰台を独占した。
4位は18番手スタートのラスムッセン、14ポジションアップのビッゲストムー
バーだ。そして選手権を争うバトラーは5位入賞。ノーポイントのラムダを後目に
10ポイントを持ち帰った。
6位には日向、そして7位には今季初入賞のカジワラ。トライアンフがW入賞だ。
カジワラはこのレース終始日向へのライバル意識むき出しで戦い最終的に7位入賞
をゲットした。8位には終盤もうチャージを見せたバーンズ、そしてPPからレー
ス前半を支配したカレッジは結局9位。10位にはギリギリ、ゲラが滑り込んだ。

このレースの結果ドライバーズタイトルの行方に大きな動きが。ポイントリーダー
のラムダがノーポイントに終わり、ランキング2位のバトラーが5位入賞で10ポ
イントを持ち帰った。この結果戦前のポイント差9をバトラーが逆転、167対1
66でバトラーがラムダを1ポイント逆転し、久々にランキングトップに立ったの
だ。これで残り2戦でタイトルの行方はどうとでも転ぶ、昨季以上の超接近戦とな
った。
3位で追うラスムッセンとバトラーとの差は39ポイントで事実上逆転は不可能、
2ndシーズンの選手権もやはり、バトラーとラムダの二人の一騎打ちとなった。
また今回ノーポイントに終わったファングを、日向が上回りランキング4位浮上。
昨季より勝利数は少ないものの、103ポイントだった昨季の獲得ポイントを10
8と上回り、ついに王座を狙える位置まで持ってきた。

チームタイトル争いはこちらもピットブルがノーポイントに終わったことで、ピッ
トブル247に対しマーキュリー221と26ポイント差。残り2戦だがこれは充
分逆転可能な差だ。ポイントはセカンドドライバーの働きだろう。ピットブルのボ
ナパルトは、第13戦のデビュー以降4戦で2度の入賞、表彰台1回とコンスタン
トな活躍だが、一方のマーキュリーのマルケーナスは4戦中6位入賞が1度あるだ
け。しかしボナパルトは今回の予選セッションのように雨のレースを苦手としてい
る。ピットブルのマシン自体も今季はストリートコースで大苦戦しており、残り2
戦でどう転ぶかは全く読めない。

ドライバー、チームいずれも昨年同様残り2戦になってもまだ、タイトルの行方は
読めない状況。そして最後の2戦はカナダ、アメリカと続く北米ラウンドだ。タイ
トルの行方は最後の最後まで目が離せない。


最終リザルト↓↓↓

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Winner:ジョリー・セプター(チャイナドラゴン)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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いよいよ選手権も残すところ2戦。NeXX世界選手権の最終ラウンドは、北米ラ
ウンド、第17戦の舞台はカナダGPだ。昨季バトラーがシーズン3勝目をあげ初
代タイトルに大手をかけた舞台は、1周3kmにも満たないスーパーショートトラ
ック。五大湖のひとつオンタリオ湖岸のコンベンション施設に敷設される、ストリ
ートコースでの熱い戦いに注目だ!!

Formula NeXXtream 2stシーズン・15

『Formula NeXXtream 2nd』
□第15戦 マカオ ギア市街地サーキット

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 1周:6.20km
 特性:「中速」「市街地」
 ターン数:25(49周)

2ndシーズンも残り4戦、依然としてまだまだタイトルの行方はわからないNe
XX世界選手権。舞台はアジアラウンド残り2戦、そして北米ラウンド2戦を残す
だけとなった。いよいよ大詰めの選手権第15戦の舞台は、中国の特別行政区マカ
オ。市街地に設営される公道サーキット、ギアサーキットだ。昨年の1stシーズ
ンからNeXX世界選手権の第15戦として始まった同レースは、伝統のF3マカ
オGPの後に行われる。
レースウィーク中は市街地の一般道を封鎖して使用、全区間をガードレールとコン
クリートウォールに囲まれたコースはアジア随一の難所として知られ、ここで行わ
れてきたF3マカオGPはトップフォーミュラへの登竜門として長い歴史を誇る。
マカオのモーターレースの歴史は古く、ポルトガル領だった1954年まで遡るが
当初は草レースとして始まったイベントが、今では国際規格の選手権が行われるま
でになり、ついには昨季からNeXXというトップフォーミュラの世界選手権を開
催するまでになった。
1周6.2kmのロングコースはアジア随一、そして世界でも有数の難所だ。「海
側」と呼ばれる前半区間と「山側」と呼ばれる後半区間では、コースの性格が18
0度変わってしまうのだ。超高速の前半区間はほぼ直線、2km半にわたる区間
ほぼ全開で駆け抜ける。コース幅も最大14mと広く、迫力のオーバーテイク合戦
が見られるだろう。しかし、一転後半の山側はコースの最小幅7m、うねりなが
らアップダウンを繰り返す超テクニカルな区間だ。山側の名物コーナー『メルコヘ
アピン』は、モナコのローズヘアピン同様ステアリング切れ角いっぱいまで切らな
ければ曲がることができず、専用セッティングが必要なほど。
セッティングの基本はレスダウンフォース。しかし荒れた路面、狭くツイスティな
山側をミスなく走るには、レスダウンフォースセッティングでは容易なことではな
い。アジアのモーターレーシングの『聖地』は、まさに佳境を迎えたNeXX世界
選手権に相応しい難所。舞台は整った。


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

f:id:pontsuka0729:20210714173907p:plain

 

予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)
予選PPはここにきて再び調子を上げてきたか、2戦連続でバトラーが獲得した。
全セッション通じて好調をアピール、Q1以外は全てトップ5に入る好アタックだ
った。フロントローに並んだのは、第13戦アゼルバイジャンでNeXX初優勝を
飾ったベテラン、ラ・ポルタがつけた。こちらも終盤に入って復調をアピールか。
3番手にはセプター、今季は予選から苦戦することの多かったベテランだが、ヨコ
スカの新ハードタイヤ導入後は3戦中2戦でシングルグリッド。こちらも復調か?
そして4番手にはポイントリーダーのラムダがつけた。さらに前戦、デビュー2戦
目で3位表彰台のボナパルトは5番手から。6、7番手にはエヴァー・グラハムの
2台がつけ、続く8番手にはカブロン。更に10番手日向と新ハードタイヤ投入後
のヨコスカ勢の予選好調が顕著だ。
11番手グーデリアン、12番手カレッジと、中段も市街地得意の面々が並ぶ。一
方で攻めすぎたリヴィエールはミスアタックでQ2で脱落の15番手、ランキング
3位でラムダを追うラスムッセンも17番手、さらにはリンドホルムが前戦でNe
XX初優勝をあげたアントネッティ勢もロッソ21番手、リンドホルム23番手と
低迷。また地元中国出身で、市街地コース得意の宋昇龍も24番手と後方に沈んだ。
今回の予選落ちはヴィックス、ソリス、カジワラ、ハイデンフェルドの4台。F3
時代にここマカオで2連覇したヴィックスだったが、NeXXのマシンで初めて走
ったマカオでは残念ながらその力を出し切れなかった。また。ルーキーソリスもN
eXXの洗礼を浴びた格好か。カジワラはこれで3戦連続予選落ち、次戦はチーム
の地元日本だが調子は一向に上がらない。またハイデンフェルドは、第8戦でチー
ムがレース棄権して以来の予選落ち。ラスムッセンの復調でタイトル戦線において
ようやくの追撃ムードだったノルディックだけに、『クイックミック』の予選落ち
はノルディックにとっては痛手だろう。


<決勝レース>
終始うすぐもりで行われた予選だったが、決勝は雲の隙間から青空がのぞく。ドラ
イコンディションではあるが、空にかかる灰色の雲は各チームにレース中の降雨を
想定させた。気温はそれほど高くないが湿度の高い状態、そして特に山側のテクニ
カルな区間へのタイヤの負担を想定し、ヴァシュロン勢のほとんどがハードをチョ
イス。逆にヨコスカ勢はヴァシュロン勢の戦略を見越してか、ソフトを選ぶドライ
バーが多かった。1周6.2kmのロングコース、各ドライバーのタイヤ戦略が他
のサーキット以上に重要な舞台だが、レースはどうなるか。


<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
M.ボナパルト U      J.チャップマン
A.バトラー        D.ファング
S.シエナ           宋 昇龍 
Z.ゲラ 
A.ファーシマス
K.ラスムッセン
A.ラ・ポルタ
A.フィリオ 
A.ロッソ 
D.リンドホルム
B.リヴィエール 
J.グーデリアン 
C.タンデイ
J.カレッジ
        
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         A.バーンズ 
K.マルケーナス      J.バロン
M.ポルボローネ      日向 俊郎
              F.デ・ランジェリス
              A.カブロン
              J.セプター

=ユーズドタイヤ

レースはスタートから激しいつばぜり合い。2番手のラ・ポルタがバトラーに並び
かけるがバトラーも引かない。すぐ後ろではセプターとラムダもサイドバイサイド、
その後ろが4ワイドの展開。スタートから2km以上フルアクセルの攻防だが、最
初の低速コーナー『リスボア』はPPスタートのバトラーが先頭を守る。後ろでは
バロンがボナパルトの前へ、そしてカブロンがバーンズの前へ。レースはこのまま
進むかと思われたがやはりアクシデント発生。12番手争いのカレッジ、デ・ラン
ジェリス、マルケーナスが多重接触。間に挟まれたデ・ランジェリスがフロントウ
ィングを飛ばし、横を向いて停まってしまったためにセーフティカーが出動。
スタート直後の事故が多いことで知られる難所『リスボア』、昨季はアクシデント
無くスタートしたが、今季はスタートからアクシデントが発生してしまった。

ピットオープンの2ターン目、接触でダメージを負ったデ・ランジェリスがピット
イン。ノーズコーンを換えてコースに出てゆく。デ・ランジェリスはこれで最後尾
に転落だ。アブラモビッチ勢は今季苦戦が続く、チャップマン共々最後尾グループ
へ。

リスタートは3ターン目。今度は大きな混乱なくリスタート、上位勢は大きな順位
変動なくレースに入ってゆくが、6番手のボナパルトがカブロンに前に行かれ7番
手に落ちる。ボナパルトローリングスタートがやや苦手か。
4ターン目にトップ争いに動き。2番手のラ・ポルタが、バトラーをかわして先頭
に立つ。ともに市街地コースが得意のドライバーだが、新品ハードのラ・ポルタに
対しバトラーはユーズドハード。このタイヤチョイスがラ・ポルタに有利にはたら
いたか。しかしバトラーは序盤からややマシンの不調を感じていた。そしてタイヤ
以外のなにかがペースを上げられない要因であることに気付いていた。それが顕在
化するのは終盤になってからだ。

一方4番手走行のポイントリーダー、ラムダは序盤ソフトタイヤで勝負をかけるも
前のセプターの後ろにつけない。ヨコスカ勢のセプターもソフトタイヤだ。
先頭グループはラ・ポルタ、バトラー、セプター、4番手争いのラムダ、バロン、
カブロン、ボナパルト、そしてバーンズが第2集団を形成する。
そしてレースは5ターン目に入ろうかというところ、またもアクシデントが発生。
23番手走行中のチャップマンが、マシンから白煙を吹いてゆるゆるとストップし
た。ミッションがブローアップしてしまったのだ。チャップマンは『リスボア』の
先にある、このコースで数少ないエスケープにマシンを入れストップ。幸いにもセ
ーフティカー出動とはならなかった。

トップのラ・ポルタは相変わらずハイペース、対するバトラーはどうもペースが上
がらずについにセプターにかわされ3番手に後退する。これでポイントリーダーの
ラムダの目の前にバトラーが落ちてきた格好だが、ラムダも思うようにペースを上
げられずにいた。アゼルバイジャンで低迷したピットブルだが、どうにも市街地コ
―スと相性が良くないのかもしれない。しかし選手権はここから最終戦まで全てが
ストリートレース、ラムダの頭に不安がよぎる。
そして7番手走行中のボナパルトも、マシンに異変を感じていた。ブレーキがルー
ズになり、『リスボア』でのハードブレーキが苦しくなってきていた。バーンズが
ブレーキに苦しむボナパルトに仕掛けるも、ボナパルトは巧みにディフェンス。た
まらずバランスを崩したバーンズは、接近していたゲラ、グーデリアンに次々とか
わされてゆく。
ここマカオでは1つの乱れが大きな失敗を生むリスクを孕んでいる。

★5ターン終了時のトップ10
 1.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 2.ジョリー・セプター
 3.アレックス・バトラー
 4.ニコ・ラムダ
 5.ジェストン・バロン
 6.アレンザンダー・カブロン
 7.ミシェル・ボナパルト
 8.ゾルタン・ゲラ
 9.ジャッキー・グーデリアン
10.アレン・バーンズ

ラ・ポルタはアゼルバイジャンの時のように、快調にトップを征く。セプターも追
撃するが差は詰まらない。後ろ3番手のバトラーはややペースを回復、セプターの
タイヤのタレもあってか7ターン目に2番手を奪い返す。ラムダも少しペースアッ
プしセプターのすぐ後ろにつける。セプターはややタイヤが苦しいか。
その後ろではカブロンとバロンが激しい争い。ともにヨコスカ勢だ。その後方バー
ンズ、グーデリアン、日向といった9番手争いも激しい。ホームストレートでバー
ンズとグーデリアンの2台を、2台のスリップストリームからまとめてオーバーテ
イク。リスタートで失ったポジションを、9番手まで取り戻してきた。

バトラーがなかなかペースを上げられないため、ラ・ポルタは独走態勢。2番手争
いが集団を形成し、バトラー、セプター、ラムダの順で接近戦を展開する。ラムダ
もなかなかセプターに仕掛けられない。
5番手集団はバロン、カブロン、ボナパルトの3台。ブレーキがルーズなボナパル
トだが離されず追走、バロンに抑え込まれているカブロンをかわし6番手復帰。バ
ロンにもしかけるがバロンも行かせない。

さらに後方では日向がゲラをかわして8番手浮上。日向もストリートコース大得意
なだけに、アグレッシブに前を目指す。5番手集団のカブロンが目の前に見えてき
た。後ろではユーズドソフトのバーンズがピットイン、全台のトップを切ってハー
ドへ交換して出てゆく。他の面々もセーフティカーの出動ででややタイヤをもたせ
ているが、ソフトスタートの連中はそろそろ最初のタイヤ交換のタイミングだ。

先頭のラ・ポルタはハードタイヤ、交換のタイミングはもう少し先だがガケが来始
めているためペースは落とし気味。しかし追うバトラーはやはりマシンになにか不
調があるのか差を詰められず、逆にセプターに再び前に行かれ3番手に後退。
そしてここで4番手ラムダがピットイン。ソフトスタートのラムダは2セット目も
ソフトへ繋ぐ、中盤までになんとかポジションをあげてラストスティントをユーズ
ドハードで抑えきる作戦だ。ラムダはボナパルトと日向の間7番手でコース復帰。

ラ・ポルタはこのターンもミドルペースでリスクマネジメント、ここまでのレース
運びは盤石だ。追いかける2番手のセプターはここでピットイン、ソフトからユー
ズドハードへ繋ぐ作戦だったがここでトラブル発生。左リヤタイヤがはまらずに大
きくタイムロス、優勝も狙える位置から8番手まで転落してしまった。セプターは
このほど今季限りでチャイナドラゴンからの離脱が決定、久々のトップ争いで来季
のシート獲得へのアピールをしたいところだったが、泣きっ面に蜂状態だ。

しかしセプターのタイヤ交換を皮切りに、ここで上位陣が続々ピットイン。4番手
に上がったカブロンはソフトからソフトへ、ユーズドハードスタートのボナパルト
もソフトへ交換。その後ろ日向はソフトからユーズドハードへそれぞれ換装した。
一方で23番手走行と元気のなかったファングは、このタイミングでピットに入り
そのままリタイヤとなった。ファングは序盤からフューエルプレッシャーの低下を
感じており、戦闘力を失った。
ここで3番手に浮上したバロンは、1セット目のソフトをなんと11ターン引っ張
ってこの位置。NeXXでもトップクラスと言えるタイヤマネジメントで表彰台圏
内を射程に入れる。11ターン目にピットインし、ユーズドソフトに繋いで出てい
く。

そして12ターン目、ユーズドハードのバトラーがついに1回目のピットストップ。
ソフトに交換するがややクルーが作業に手間取る、僅かなロスではあるがこの後の
展開にどう影響するか? 一方トップのラ・ポルタはまだ入らない、大きなマージ
ンを築いたままだ。
1回目のストップを済ませたバロンはラムダの後ろ4番手で復帰、2セット目に換
えてペースの良いバロンがラムダをかわし再び3番手に浮上する。
後方ではピット作業ミスで8番手まで落ちたセプターが、6番手までポジションを
回復していたがここに来て鬼神の追い上げ。前を行くピットブル勢までも次々とか
わし、最後にはバロンもオーバーテイク。なんとこの時点で意地の3番手復帰を果
たす。

ラ・ポルタは大きなマージンを築き、まだまだステイアウト。後方では離れた2番
手にバトラー、3番手にセプターが続きラムダが4番手復帰。以下カブロン、バロ
ン、ボナパルト、ゲラという順。そのさらに後ろでアクシデント発生。10番手争
いで後ろのロッソが日向に仕掛けたところで接触、すぐ前にいたバーンズも巻き込
んで3台がコースをふさいでしまい、ここでこのレース2回目のセーフティカーが
出動。なんとここまで築いたラ・ポルタのビッグマージンが、これで0になってし
まった。

ここでトップのラ・ポルタがようやくピットイン、ユーズドハードに繋ぐ。ここに
きてラ・ポルタの戦略が露見、ラ・ポルタはこの難コースをハードトゥハードの1
ストップで走り切る作戦のようだ。市街地得意、そしてタイヤ使いのうまいラ・ポ
ルタならではの作戦だ。
かわりにステイアウトしたバトラーがトップに立つ。後ろのセプターはここで2度
目のタイヤ交換。ユーズドハードを4ターンで見切り、最後は新品ハードで走り切
る。その後ろラムダはステイアウト、最後にユーズドハードを残しているが、交換
するタイミングにはちょっと早いか。その後ろではボナパルトグーデリアンがハ
―ドタイヤへ交換。ボナパルトは13番手、グーデリアンは14番手でコース復帰。
他の主だったドライバーは皆ステイアウトした。

15ターン目、レースは2回目のリスタート。トップに立ったバトラー、2番手ラ
ムダともに良いリスタート。久々のタイトルコンテンダー同志の直接対決だ。タイ
ヤ交換で5番手後退のラ・ポルタも無難なリスタート。ポジション変動なくレース
を再開する。後方も大きなアクシデントなく、後半戦に入ってゆく。

★15ターン終了時のトップ10
 1.アレックス・バトラー
 2.ニコ・ラムダ
 3.アレンザンダー・カブロン
 4.ジェストン・バロン
 5.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 6.ケリー・ラスムッセン
 7.ジョリー・セプター
 8.ゾルタン・ゲラ
 9.アレンザンダー・ロッソ
10.アンドレアス・サントス・フィリオ

トップのバトラーは、ひとまずマシンの不調を感じさせないペースで征く。そして
2番手ラムダはセーフティカー明けのここでピットイン。最後のユーズドハードに
繋いで出てゆく。ラムダは6番手でコース復帰。
そしてここで再び3番手に立ったバロンに異常、左リアタイヤの内圧が大きく下が
りペースダウンを強いられる。パンクチャのようだ。ラ・ポルタ、ラスムッセン
ペースの上がらないバロンを次々かわしてゆく。バロンの初表彰台のチャンスは大
きく遠ざかった。

21番手スタートから9番手まで浮上してきたロッソに、ここでレーススチュワー
ドからペナルティの通達。2度目のセーフティカー出動となった事故の当事者認定
され、ピットスルーペナルティを科されてしまった。入賞圏内まで浮上してきただ
けに、これは痛いペナルティだ。ロッソは後半戦未だ精彩を欠く。

そしてここにきてなんとまたまたアクシデント発生。密集体系で17番手争いとな
っていた一団のなかで、シエナがファーシマスに追抜きをしかけた際に接触。前を
走行していたカレッジ、ポルボローネ、そして後ろのデ・ランジェリスを巻き込み
5台の多重事故となってしまう。事故が起きたのは「山側」の『ドナマリア・ベン
ド』。狭いコース幅を5台がふさぐ格好となり、このレース3度目のセーフティカ
ーが出動。5台は皆マシンに走行不能となるダメージを受け、一気に5台がリタイ
ヤとなってしまう。
後にこのファーシマスが事故の当事者認定を受けてしまい、FNOから罰金のペナ
ルティを科された。昨季は失格1回、出場停止3回と大暴れだったファーシマス、
今季はここまでノーペナルティで「暴れん坊」ぶりは鳴りを潜めていたが、これで
今季初ペナルティ。今季のチームとの契約にもペナルティに対する罰金条項が盛り
込まれており、ファーシマスはチームからも罰金を科されることとなってしまった。

ピットオープンの18ターン目、上位陣が続々ピットイン。トップのバトラー、2
番手カブロン、4番手ラスムッセン、直前に左リアがパンクしたバロンもここぞで
ピットインし、みな新品中古の違いあれどソフトに交換してゆく。そしてここで1
ストップ作戦のラ・ポルタもピットイン。2ストップ作戦に切り替え新品ソフトへ
換装しピットアウトしてゆく。
1ストップ作戦のラポルタ、このままいけばトップでのリスタートではあるが、周
りは全車ソフトタイヤ。ハードでは守り切れないとの判断か、2ストップに切り替
えたようだ。果たしてこの選択がどう出る?

対するラムダはステイアウトしトップに、しかしラムダはハードタイヤだ。周りは
ソフトだらけでのリスタート、果たして守り切れるか? セプターもステイアウト
で2番手に浮上した。
また上位勢は殆どがこのタイミングでタイヤを換えるなか、グーデリアンがステイ
アウトで3番手浮上。しかしグーデリアンは2度目のセーフティカーのタイミング
ですでに2回目のタイヤ交換を済ませていた。ユーズドハードから新品ハードへと
繋ぎ、2度目のセーフティカーの時点で交換した3セット目の新品ハードで走り切
る作戦だったが、期せずして表彰台が見えてきた。しかしタレてきたハードで最後
までポジションを守り切れるか? 相手は新品ソフト勢だ。

3度目のリスタートは19ターン。トップのラムダは無難に決めるが、2番手に上
がったセプターの吹けが悪い。3番手のグーデリアンがセプターの前2番手に、さ
グーデリアンはこの後どうする?
予期せぬ3度目のセーフティカーで上位勢の順位は錯綜。トップはラムダ、2番手
にはグーデリアン、3番手はセプターだがトラブルのにおい。4番手以降はボナパ
ルト、リヴィエール、リンドホルム、タンデイという展開。バトラーは8番手、ラ
・ポルタは10番手まで後退した。この終盤に来て、レースの展開は全く分からな
くなってきた。

レースは残り6ターン、ラムダのペースは悪くないが後ろのグーデリアンのペース
が良い。20ターン目にラムダの直後につけたグーデリアン、なんとファステスト
ラップをたたき出しラムダの前に出る。グーデリアンがラップリードだ。これまで
度々表彰台圏内を走行することはあったものの、ラップリードは今季初。はたして
どこまでトップを守れるか?
後方ではセプターがズルズルと順位を落とす。リスタート以降セプターはエンジン
にミスファイヤの兆候が見られ、MAXパワーが出せずにいた。海側の長い直線で
どんどん抜かれて行ってしまう。前半は表彰台圏内にいただけに、痛いトラブルだ。
6番手のリヴィエールはここで最後のピットイン、残り5ターンのショートスティ
ントは新品ソフトで臨む。そして6番手に落ちたバトラーは新品ソフトで猛プッシ
ュ。ペースの上がらないセプターまでをかわし5番手に浮上してきた。

トップに立ったグーデリアンは、なんと21ターン目にきてまたもやファステスト
ラップを更新。タイヤは限界が近いはずだが、得意の市街地でブッ飛ばしラムダを
ぐんぐん引き離す。2番手のラムダは追えずか追わずか、2番手キープの構え。
ここで4番手のリンドホルムもピットイン。最後にユーズドソフトを残してしまっ
たリンドホルムは、タイヤライフを考えここまで引っ張らざるを得なかった。リン
ドホルムは9番手後退。果たして入賞圏内に留まれるか。

22ターン目にトップのグーデリアンが最後の、3度目のピットイン。新品ソフト
に交換しフルグリップで勝負に出る。そしてチームもそれに応え、抜群のピットワ
ークで送り出す。なんとグーデリアンはトップでコース復帰! 追いかける2番手
ラムダはユーズドハードだ。この土壇場でグーデリアンに初優勝の目が出てきた。
一方その後方では、バトラーがペースを上げられずにいた。やはりマシンのどこか
にトラブルを抱えているようだ。またエンジンのミスファイアを抱えるセプターも
もうまともな戦闘力はない。相変わらずずるずるとポジションを落としている。

トップのグーデリアンは新品ソフトをフルに使って、とんでもない速さでトップを
征く。2番手ラムダは3番手とのマージンもあるため無理をして追わない。いよい
グーデリアン歓喜の瞬間が訪れるか。そしてここに来て序段独走状態だったラ
・ポルタがボナパルトをかわして3番手浮上。表彰台圏内まで戻してきた。対する
ボナパルトは序盤からブレーキにトラブルを抱え走り続けたが、いよいよ厳しくな
ってきた。すぐ後ろにバトラーが迫るがいかせない。タイトルを争うチームメイト、
ラムダの援護に徹する。

レースは残り1ターンでトップのグーデリアンと2番手ラムダ、ラムダと3番手ラ
・ポルタとのマージンはそれぞれ2。このまま行けるか? 後方では4番手を守り
続けたボナパルトがついに踏ん張り切れず、バトラーにポジションを明け渡す。ブ
レーキがルーズな状態ではバトラー、そしてリヴィエールの猛攻を抑えきれず、ボ
ナパルトは最後の最後で6番手後退。
エンジンのパワーダウン著しいセプターはリンドホルム、バロン、そしてゲラにも
かわされ、最終的に入賞圏外まで後退してしまった。

レースは結局終盤にトップに立ったグーデリアンがNeXX初優勝。3度のセーフ
ティカー出動という大混乱のレースを制した。そしてポイントリーダーのラムダは
きっちり2位表彰台をゲット、6ポイントまで迫られたバトラーとの差をまた少し
引き離した。3位には前半に独走態勢を築いたラ・ポルタ、2勝目は夢と消えたが
混乱したレースでもきっちり3位表彰台をゲット。今季3度目の登壇となった。
レース後エンジンブロックからのオイル漏れが発覚したバトラー、序盤からパワー
不足に悩まされながらも最後は4位につけた。ただでは終わらない昨季王者は、P
Pポイントも合わせてなんとか15ポイントを持ち帰った。5位にはリヴィエール、
勝ったグーデリアンとともに今季4度目のW入賞。そして序盤からブレーキトラブ
ルを抱えながら戦ったボナパルトはなんとか6位フィニッシュ。こちらもラムダと
W入賞だ。7位にはようやく今季3度目入賞のカブロン、そして8位にはこれで後
半戦優勝を含め5戦連続入賞のリンドホルム。完全に復調してきた。
9位にはバロン、今季4度目の入賞だ。途中のパンクがなければもっと上も狙えた
だろう。そして10位には今季6度目の入賞、ゲラが入った。

ドライバーズタイトル戦線はこれでラムダが166ポイント、追いかけるバトラー
も157ポイントと踏ん張ったがその差は9とわずかに拡がった。そして3位以下
ラスムッセン、ファング、日向といったところは軒並みノーポイントに終わり、や
はり最後の争いはラムダvsバトラーに絞られたようだ。ラムダと3位ラスムッセ
ンのポイント差はちょうど50、何かあれば2戦で縮まる差ではあるがラスムッセ
ンの逆転王者の可能性は、今日のノーポイントで限りなく小さくなったと言ってい
いだろう。
一方でトップの二人も盤石ではない。今回ラムダは最後にユーズドハードを持って
きたが、3度目のセーフティカーで戦略が狂ってしまった。またバトラーはここ2
戦何某かアクシデントやトラブルを抱えながらの戦いを強いられている。
予選ではバトラーが復調し、ラムダがやや苦戦。しかしレースではややラムダに安
定感があるように見受けられるが果たしてどうか。
また今季は次戦の日本GPも市街地開催のため、残る3レースは全て市街地戦だ。
ポイントではラムダに先行を許すバトラーだが、条件は『ストリートマスター』バ
トラーに有利に見える。ラムダがリードを守り切るか、バトラーがストリートコー
スを味方につけ逆転するか。今季も最後まで目の離せない展開になりそうだ。

チームタイトルに関してはピットブルが頭一つ出た格好だ。マーキュリーはマルケ
ーナスが不調をかこっているが、ピットブルはボナパルトの安定感が大きな武器だ。
ピットブル247ポイントに対しマーキュリーは211ポイントと、ここマカオ
その差36ポイントに拡がったのは大きい。3位のノルディックはピットブルと8
2ポイント差と、逆転は現実的ではない差になってしまった。
現状はピットブルの連覇の線が濃厚だが果たしてどうか?


最終リザルト↓↓↓(太字)

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Winner:ジャッキー・グーデリアン(マルドゥーク)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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次戦は4戦に渡ったアジアラウンド最終戦、第16戦日本GPだ。舞台は北海道、
昨季は十勝スピードウェイで行われたが、今季からは海の街小樽での市街地戦とな
る。選手権も残すところあと3戦、タイトル戦線もいよいよ佳境だ。日本発の公道
コ―スでの世界選手権開催となる今季の日本GP、関係者の長年の想いが結実し、
『小樽GP』は激化したタイトル争いの最終局面として開催される。モータースポ
ーツフォトグラファーの『けんさわ』こと澤田賢志氏が『日本のモナコ』と称した
、海の街小樽での第16戦日本GP、こうご期待!!