☆ぽんつかのあたまんなか☆

◆ぽんつかの妄想から生まれた架空のレースカテゴリ  ・現代のF1に限界を感じたぽんつかが、F1でもない、インディでもない   フォーミュラeでもない架空のカテゴリを構想☆  ・独自開発による『すごろく式PC上ボードゲーム』としてレースを展開☆  ・それをただただ何シーズンもプレイしてセカイを構築してゆくだけの   旧究極の一人遊び☆  そのプレイ記事、レース経過・結果、シーズン総括などを載せてゆく。  それだけ!!(byケロちゃん)

Formula NeXXtream 2stシーズン・15

『Formula NeXXtream 2nd』
□第15戦 マカオ ギア市街地サーキット

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 1周:6.20km
 特性:「中速」「市街地」
 ターン数:25(49周)

2ndシーズンも残り4戦、依然としてまだまだタイトルの行方はわからないNe
XX世界選手権。舞台はアジアラウンド残り2戦、そして北米ラウンド2戦を残す
だけとなった。いよいよ大詰めの選手権第15戦の舞台は、中国の特別行政区マカ
オ。市街地に設営される公道サーキット、ギアサーキットだ。昨年の1stシーズ
ンからNeXX世界選手権の第15戦として始まった同レースは、伝統のF3マカ
オGPの後に行われる。
レースウィーク中は市街地の一般道を封鎖して使用、全区間をガードレールとコン
クリートウォールに囲まれたコースはアジア随一の難所として知られ、ここで行わ
れてきたF3マカオGPはトップフォーミュラへの登竜門として長い歴史を誇る。
マカオのモーターレースの歴史は古く、ポルトガル領だった1954年まで遡るが
当初は草レースとして始まったイベントが、今では国際規格の選手権が行われるま
でになり、ついには昨季からNeXXというトップフォーミュラの世界選手権を開
催するまでになった。
1周6.2kmのロングコースはアジア随一、そして世界でも有数の難所だ。「海
側」と呼ばれる前半区間と「山側」と呼ばれる後半区間では、コースの性格が18
0度変わってしまうのだ。超高速の前半区間はほぼ直線、2km半にわたる区間
ほぼ全開で駆け抜ける。コース幅も最大14mと広く、迫力のオーバーテイク合戦
が見られるだろう。しかし、一転後半の山側はコースの最小幅7m、うねりなが
らアップダウンを繰り返す超テクニカルな区間だ。山側の名物コーナー『メルコヘ
アピン』は、モナコのローズヘアピン同様ステアリング切れ角いっぱいまで切らな
ければ曲がることができず、専用セッティングが必要なほど。
セッティングの基本はレスダウンフォース。しかし荒れた路面、狭くツイスティな
山側をミスなく走るには、レスダウンフォースセッティングでは容易なことではな
い。アジアのモーターレーシングの『聖地』は、まさに佳境を迎えたNeXX世界
選手権に相応しい難所。舞台は整った。


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)
予選PPはここにきて再び調子を上げてきたか、2戦連続でバトラーが獲得した。
全セッション通じて好調をアピール、Q1以外は全てトップ5に入る好アタックだ
った。フロントローに並んだのは、第13戦アゼルバイジャンでNeXX初優勝を
飾ったベテラン、ラ・ポルタがつけた。こちらも終盤に入って復調をアピールか。
3番手にはセプター、今季は予選から苦戦することの多かったベテランだが、ヨコ
スカの新ハードタイヤ導入後は3戦中2戦でシングルグリッド。こちらも復調か?
そして4番手にはポイントリーダーのラムダがつけた。さらに前戦、デビュー2戦
目で3位表彰台のボナパルトは5番手から。6、7番手にはエヴァー・グラハムの
2台がつけ、続く8番手にはカブロン。更に10番手日向と新ハードタイヤ投入後
のヨコスカ勢の予選好調が顕著だ。
11番手グーデリアン、12番手カレッジと、中段も市街地得意の面々が並ぶ。一
方で攻めすぎたリヴィエールはミスアタックでQ2で脱落の15番手、ランキング
3位でラムダを追うラスムッセンも17番手、さらにはリンドホルムが前戦でNe
XX初優勝をあげたアントネッティ勢もロッソ21番手、リンドホルム23番手と
低迷。また地元中国出身で、市街地コース得意の宋昇龍も24番手と後方に沈んだ。
今回の予選落ちはヴィックス、ソリス、カジワラ、ハイデンフェルドの4台。F3
時代にここマカオで2連覇したヴィックスだったが、NeXXのマシンで初めて走
ったマカオでは残念ながらその力を出し切れなかった。また。ルーキーソリスもN
eXXの洗礼を浴びた格好か。カジワラはこれで3戦連続予選落ち、次戦はチーム
の地元日本だが調子は一向に上がらない。またハイデンフェルドは、第8戦でチー
ムがレース棄権して以来の予選落ち。ラスムッセンの復調でタイトル戦線において
ようやくの追撃ムードだったノルディックだけに、『クイックミック』の予選落ち
はノルディックにとっては痛手だろう。


<決勝レース>
終始うすぐもりで行われた予選だったが、決勝は雲の隙間から青空がのぞく。ドラ
イコンディションではあるが、空にかかる灰色の雲は各チームにレース中の降雨を
想定させた。気温はそれほど高くないが湿度の高い状態、そして特に山側のテクニ
カルな区間へのタイヤの負担を想定し、ヴァシュロン勢のほとんどがハードをチョ
イス。逆にヨコスカ勢はヴァシュロン勢の戦略を見越してか、ソフトを選ぶドライ
バーが多かった。1周6.2kmのロングコース、各ドライバーのタイヤ戦略が他
のサーキット以上に重要な舞台だが、レースはどうなるか。


<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
M.ボナパルト U      J.チャップマン
A.バトラー        D.ファング
S.シエナ           宋 昇龍 
Z.ゲラ 
A.ファーシマス
K.ラスムッセン
A.ラ・ポルタ
A.フィリオ 
A.ロッソ 
D.リンドホルム
B.リヴィエール 
J.グーデリアン 
C.タンデイ
J.カレッジ
        
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         A.バーンズ 
K.マルケーナス      J.バロン
M.ポルボローネ      日向 俊郎
              F.デ・ランジェリス
              A.カブロン
              J.セプター

=ユーズドタイヤ

レースはスタートから激しいつばぜり合い。2番手のラ・ポルタがバトラーに並び
かけるがバトラーも引かない。すぐ後ろではセプターとラムダもサイドバイサイド、
その後ろが4ワイドの展開。スタートから2km以上フルアクセルの攻防だが、最
初の低速コーナー『リスボア』はPPスタートのバトラーが先頭を守る。後ろでは
バロンがボナパルトの前へ、そしてカブロンがバーンズの前へ。レースはこのまま
進むかと思われたがやはりアクシデント発生。12番手争いのカレッジ、デ・ラン
ジェリス、マルケーナスが多重接触。間に挟まれたデ・ランジェリスがフロントウ
ィングを飛ばし、横を向いて停まってしまったためにセーフティカーが出動。
スタート直後の事故が多いことで知られる難所『リスボア』、昨季はアクシデント
無くスタートしたが、今季はスタートからアクシデントが発生してしまった。

ピットオープンの2ターン目、接触でダメージを負ったデ・ランジェリスがピット
イン。ノーズコーンを換えてコースに出てゆく。デ・ランジェリスはこれで最後尾
に転落だ。アブラモビッチ勢は今季苦戦が続く、チャップマン共々最後尾グループ
へ。

リスタートは3ターン目。今度は大きな混乱なくリスタート、上位勢は大きな順位
変動なくレースに入ってゆくが、6番手のボナパルトがカブロンに前に行かれ7番
手に落ちる。ボナパルトローリングスタートがやや苦手か。
4ターン目にトップ争いに動き。2番手のラ・ポルタが、バトラーをかわして先頭
に立つ。ともに市街地コースが得意のドライバーだが、新品ハードのラ・ポルタに
対しバトラーはユーズドハード。このタイヤチョイスがラ・ポルタに有利にはたら
いたか。しかしバトラーは序盤からややマシンの不調を感じていた。そしてタイヤ
以外のなにかがペースを上げられない要因であることに気付いていた。それが顕在
化するのは終盤になってからだ。

一方4番手走行のポイントリーダー、ラムダは序盤ソフトタイヤで勝負をかけるも
前のセプターの後ろにつけない。ヨコスカ勢のセプターもソフトタイヤだ。
先頭グループはラ・ポルタ、バトラー、セプター、4番手争いのラムダ、バロン、
カブロン、ボナパルト、そしてバーンズが第2集団を形成する。
そしてレースは5ターン目に入ろうかというところ、またもアクシデントが発生。
23番手走行中のチャップマンが、マシンから白煙を吹いてゆるゆるとストップし
た。ミッションがブローアップしてしまったのだ。チャップマンは『リスボア』の
先にある、このコースで数少ないエスケープにマシンを入れストップ。幸いにもセ
ーフティカー出動とはならなかった。

トップのラ・ポルタは相変わらずハイペース、対するバトラーはどうもペースが上
がらずについにセプターにかわされ3番手に後退する。これでポイントリーダーの
ラムダの目の前にバトラーが落ちてきた格好だが、ラムダも思うようにペースを上
げられずにいた。アゼルバイジャンで低迷したピットブルだが、どうにも市街地コ
―スと相性が良くないのかもしれない。しかし選手権はここから最終戦まで全てが
ストリートレース、ラムダの頭に不安がよぎる。
そして7番手走行中のボナパルトも、マシンに異変を感じていた。ブレーキがルー
ズになり、『リスボア』でのハードブレーキが苦しくなってきていた。バーンズが
ブレーキに苦しむボナパルトに仕掛けるも、ボナパルトは巧みにディフェンス。た
まらずバランスを崩したバーンズは、接近していたゲラ、グーデリアンに次々とか
わされてゆく。
ここマカオでは1つの乱れが大きな失敗を生むリスクを孕んでいる。

★5ターン終了時のトップ10
 1.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 2.ジョリー・セプター
 3.アレックス・バトラー
 4.ニコ・ラムダ
 5.ジェストン・バロン
 6.アレンザンダー・カブロン
 7.ミシェル・ボナパルト
 8.ゾルタン・ゲラ
 9.ジャッキー・グーデリアン
10.アレン・バーンズ

ラ・ポルタはアゼルバイジャンの時のように、快調にトップを征く。セプターも追
撃するが差は詰まらない。後ろ3番手のバトラーはややペースを回復、セプターの
タイヤのタレもあってか7ターン目に2番手を奪い返す。ラムダも少しペースアッ
プしセプターのすぐ後ろにつける。セプターはややタイヤが苦しいか。
その後ろではカブロンとバロンが激しい争い。ともにヨコスカ勢だ。その後方バー
ンズ、グーデリアン、日向といった9番手争いも激しい。ホームストレートでバー
ンズとグーデリアンの2台を、2台のスリップストリームからまとめてオーバーテ
イク。リスタートで失ったポジションを、9番手まで取り戻してきた。

バトラーがなかなかペースを上げられないため、ラ・ポルタは独走態勢。2番手争
いが集団を形成し、バトラー、セプター、ラムダの順で接近戦を展開する。ラムダ
もなかなかセプターに仕掛けられない。
5番手集団はバロン、カブロン、ボナパルトの3台。ブレーキがルーズなボナパル
トだが離されず追走、バロンに抑え込まれているカブロンをかわし6番手復帰。バ
ロンにもしかけるがバロンも行かせない。

さらに後方では日向がゲラをかわして8番手浮上。日向もストリートコース大得意
なだけに、アグレッシブに前を目指す。5番手集団のカブロンが目の前に見えてき
た。後ろではユーズドソフトのバーンズがピットイン、全台のトップを切ってハー
ドへ交換して出てゆく。他の面々もセーフティカーの出動ででややタイヤをもたせ
ているが、ソフトスタートの連中はそろそろ最初のタイヤ交換のタイミングだ。

先頭のラ・ポルタはハードタイヤ、交換のタイミングはもう少し先だがガケが来始
めているためペースは落とし気味。しかし追うバトラーはやはりマシンになにか不
調があるのか差を詰められず、逆にセプターに再び前に行かれ3番手に後退。
そしてここで4番手ラムダがピットイン。ソフトスタートのラムダは2セット目も
ソフトへ繋ぐ、中盤までになんとかポジションをあげてラストスティントをユーズ
ドハードで抑えきる作戦だ。ラムダはボナパルトと日向の間7番手でコース復帰。

ラ・ポルタはこのターンもミドルペースでリスクマネジメント、ここまでのレース
運びは盤石だ。追いかける2番手のセプターはここでピットイン、ソフトからユー
ズドハードへ繋ぐ作戦だったがここでトラブル発生。左リヤタイヤがはまらずに大
きくタイムロス、優勝も狙える位置から8番手まで転落してしまった。セプターは
このほど今季限りでチャイナドラゴンからの離脱が決定、久々のトップ争いで来季
のシート獲得へのアピールをしたいところだったが、泣きっ面に蜂状態だ。

しかしセプターのタイヤ交換を皮切りに、ここで上位陣が続々ピットイン。4番手
に上がったカブロンはソフトからソフトへ、ユーズドハードスタートのボナパルト
もソフトへ交換。その後ろ日向はソフトからユーズドハードへそれぞれ換装した。
一方で23番手走行と元気のなかったファングは、このタイミングでピットに入り
そのままリタイヤとなった。ファングは序盤からフューエルプレッシャーの低下を
感じており、戦闘力を失った。
ここで3番手に浮上したバロンは、1セット目のソフトをなんと11ターン引っ張
ってこの位置。NeXXでもトップクラスと言えるタイヤマネジメントで表彰台圏
内を射程に入れる。11ターン目にピットインし、ユーズドソフトに繋いで出てい
く。

そして12ターン目、ユーズドハードのバトラーがついに1回目のピットストップ。
ソフトに交換するがややクルーが作業に手間取る、僅かなロスではあるがこの後の
展開にどう影響するか? 一方トップのラ・ポルタはまだ入らない、大きなマージ
ンを築いたままだ。
1回目のストップを済ませたバロンはラムダの後ろ4番手で復帰、2セット目に換
えてペースの良いバロンがラムダをかわし再び3番手に浮上する。
後方ではピット作業ミスで8番手まで落ちたセプターが、6番手までポジションを
回復していたがここに来て鬼神の追い上げ。前を行くピットブル勢までも次々とか
わし、最後にはバロンもオーバーテイク。なんとこの時点で意地の3番手復帰を果
たす。

ラ・ポルタは大きなマージンを築き、まだまだステイアウト。後方では離れた2番
手にバトラー、3番手にセプターが続きラムダが4番手復帰。以下カブロン、バロ
ン、ボナパルト、ゲラという順。そのさらに後ろでアクシデント発生。10番手争
いで後ろのロッソが日向に仕掛けたところで接触、すぐ前にいたバーンズも巻き込
んで3台がコースをふさいでしまい、ここでこのレース2回目のセーフティカーが
出動。なんとここまで築いたラ・ポルタのビッグマージンが、これで0になってし
まった。

ここでトップのラ・ポルタがようやくピットイン、ユーズドハードに繋ぐ。ここに
きてラ・ポルタの戦略が露見、ラ・ポルタはこの難コースをハードトゥハードの1
ストップで走り切る作戦のようだ。市街地得意、そしてタイヤ使いのうまいラ・ポ
ルタならではの作戦だ。
かわりにステイアウトしたバトラーがトップに立つ。後ろのセプターはここで2度
目のタイヤ交換。ユーズドハードを4ターンで見切り、最後は新品ハードで走り切
る。その後ろラムダはステイアウト、最後にユーズドハードを残しているが、交換
するタイミングにはちょっと早いか。その後ろではボナパルトグーデリアンがハ
―ドタイヤへ交換。ボナパルトは13番手、グーデリアンは14番手でコース復帰。
他の主だったドライバーは皆ステイアウトした。

15ターン目、レースは2回目のリスタート。トップに立ったバトラー、2番手ラ
ムダともに良いリスタート。久々のタイトルコンテンダー同志の直接対決だ。タイ
ヤ交換で5番手後退のラ・ポルタも無難なリスタート。ポジション変動なくレース
を再開する。後方も大きなアクシデントなく、後半戦に入ってゆく。

★15ターン終了時のトップ10
 1.アレックス・バトラー
 2.ニコ・ラムダ
 3.アレンザンダー・カブロン
 4.ジェストン・バロン
 5.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 6.ケリー・ラスムッセン
 7.ジョリー・セプター
 8.ゾルタン・ゲラ
 9.アレンザンダー・ロッソ
10.アンドレアス・サントス・フィリオ

トップのバトラーは、ひとまずマシンの不調を感じさせないペースで征く。そして
2番手ラムダはセーフティカー明けのここでピットイン。最後のユーズドハードに
繋いで出てゆく。ラムダは6番手でコース復帰。
そしてここで再び3番手に立ったバロンに異常、左リアタイヤの内圧が大きく下が
りペースダウンを強いられる。パンクチャのようだ。ラ・ポルタ、ラスムッセン
ペースの上がらないバロンを次々かわしてゆく。バロンの初表彰台のチャンスは大
きく遠ざかった。

21番手スタートから9番手まで浮上してきたロッソに、ここでレーススチュワー
ドからペナルティの通達。2度目のセーフティカー出動となった事故の当事者認定
され、ピットスルーペナルティを科されてしまった。入賞圏内まで浮上してきただ
けに、これは痛いペナルティだ。ロッソは後半戦未だ精彩を欠く。

そしてここにきてなんとまたまたアクシデント発生。密集体系で17番手争いとな
っていた一団のなかで、シエナがファーシマスに追抜きをしかけた際に接触。前を
走行していたカレッジ、ポルボローネ、そして後ろのデ・ランジェリスを巻き込み
5台の多重事故となってしまう。事故が起きたのは「山側」の『ドナマリア・ベン
ド』。狭いコース幅を5台がふさぐ格好となり、このレース3度目のセーフティカ
ーが出動。5台は皆マシンに走行不能となるダメージを受け、一気に5台がリタイ
ヤとなってしまう。
後にこのファーシマスが事故の当事者認定を受けてしまい、FNOから罰金のペナ
ルティを科された。昨季は失格1回、出場停止3回と大暴れだったファーシマス、
今季はここまでノーペナルティで「暴れん坊」ぶりは鳴りを潜めていたが、これで
今季初ペナルティ。今季のチームとの契約にもペナルティに対する罰金条項が盛り
込まれており、ファーシマスはチームからも罰金を科されることとなってしまった。

ピットオープンの18ターン目、上位陣が続々ピットイン。トップのバトラー、2
番手カブロン、4番手ラスムッセン、直前に左リアがパンクしたバロンもここぞで
ピットインし、みな新品中古の違いあれどソフトに交換してゆく。そしてここで1
ストップ作戦のラ・ポルタもピットイン。2ストップ作戦に切り替え新品ソフトへ
換装しピットアウトしてゆく。
1ストップ作戦のラポルタ、このままいけばトップでのリスタートではあるが、周
りは全車ソフトタイヤ。ハードでは守り切れないとの判断か、2ストップに切り替
えたようだ。果たしてこの選択がどう出る?

対するラムダはステイアウトしトップに、しかしラムダはハードタイヤだ。周りは
ソフトだらけでのリスタート、果たして守り切れるか? セプターもステイアウト
で2番手に浮上した。
また上位勢は殆どがこのタイミングでタイヤを換えるなか、グーデリアンがステイ
アウトで3番手浮上。しかしグーデリアンは2度目のセーフティカーのタイミング
ですでに2回目のタイヤ交換を済ませていた。ユーズドハードから新品ハードへと
繋ぎ、2度目のセーフティカーの時点で交換した3セット目の新品ハードで走り切
る作戦だったが、期せずして表彰台が見えてきた。しかしタレてきたハードで最後
までポジションを守り切れるか? 相手は新品ソフト勢だ。

3度目のリスタートは19ターン。トップのラムダは無難に決めるが、2番手に上
がったセプターの吹けが悪い。3番手のグーデリアンがセプターの前2番手に、さ
グーデリアンはこの後どうする?
予期せぬ3度目のセーフティカーで上位勢の順位は錯綜。トップはラムダ、2番手
にはグーデリアン、3番手はセプターだがトラブルのにおい。4番手以降はボナパ
ルト、リヴィエール、リンドホルム、タンデイという展開。バトラーは8番手、ラ
・ポルタは10番手まで後退した。この終盤に来て、レースの展開は全く分からな
くなってきた。

レースは残り6ターン、ラムダのペースは悪くないが後ろのグーデリアンのペース
が良い。20ターン目にラムダの直後につけたグーデリアン、なんとファステスト
ラップをたたき出しラムダの前に出る。グーデリアンがラップリードだ。これまで
度々表彰台圏内を走行することはあったものの、ラップリードは今季初。はたして
どこまでトップを守れるか?
後方ではセプターがズルズルと順位を落とす。リスタート以降セプターはエンジン
にミスファイヤの兆候が見られ、MAXパワーが出せずにいた。海側の長い直線で
どんどん抜かれて行ってしまう。前半は表彰台圏内にいただけに、痛いトラブルだ。
6番手のリヴィエールはここで最後のピットイン、残り5ターンのショートスティ
ントは新品ソフトで臨む。そして6番手に落ちたバトラーは新品ソフトで猛プッシ
ュ。ペースの上がらないセプターまでをかわし5番手に浮上してきた。

トップに立ったグーデリアンは、なんと21ターン目にきてまたもやファステスト
ラップを更新。タイヤは限界が近いはずだが、得意の市街地でブッ飛ばしラムダを
ぐんぐん引き離す。2番手のラムダは追えずか追わずか、2番手キープの構え。
ここで4番手のリンドホルムもピットイン。最後にユーズドソフトを残してしまっ
たリンドホルムは、タイヤライフを考えここまで引っ張らざるを得なかった。リン
ドホルムは9番手後退。果たして入賞圏内に留まれるか。

22ターン目にトップのグーデリアンが最後の、3度目のピットイン。新品ソフト
に交換しフルグリップで勝負に出る。そしてチームもそれに応え、抜群のピットワ
ークで送り出す。なんとグーデリアンはトップでコース復帰! 追いかける2番手
ラムダはユーズドハードだ。この土壇場でグーデリアンに初優勝の目が出てきた。
一方その後方では、バトラーがペースを上げられずにいた。やはりマシンのどこか
にトラブルを抱えているようだ。またエンジンのミスファイアを抱えるセプターも
もうまともな戦闘力はない。相変わらずずるずるとポジションを落としている。

トップのグーデリアンは新品ソフトをフルに使って、とんでもない速さでトップを
征く。2番手ラムダは3番手とのマージンもあるため無理をして追わない。いよい
グーデリアン歓喜の瞬間が訪れるか。そしてここに来て序段独走状態だったラ
・ポルタがボナパルトをかわして3番手浮上。表彰台圏内まで戻してきた。対する
ボナパルトは序盤からブレーキにトラブルを抱え走り続けたが、いよいよ厳しくな
ってきた。すぐ後ろにバトラーが迫るがいかせない。タイトルを争うチームメイト、
ラムダの援護に徹する。

レースは残り1ターンでトップのグーデリアンと2番手ラムダ、ラムダと3番手ラ
・ポルタとのマージンはそれぞれ2。このまま行けるか? 後方では4番手を守り
続けたボナパルトがついに踏ん張り切れず、バトラーにポジションを明け渡す。ブ
レーキがルーズな状態ではバトラー、そしてリヴィエールの猛攻を抑えきれず、ボ
ナパルトは最後の最後で6番手後退。
エンジンのパワーダウン著しいセプターはリンドホルム、バロン、そしてゲラにも
かわされ、最終的に入賞圏外まで後退してしまった。

レースは結局終盤にトップに立ったグーデリアンがNeXX初優勝。3度のセーフ
ティカー出動という大混乱のレースを制した。そしてポイントリーダーのラムダは
きっちり2位表彰台をゲット、6ポイントまで迫られたバトラーとの差をまた少し
引き離した。3位には前半に独走態勢を築いたラ・ポルタ、2勝目は夢と消えたが
混乱したレースでもきっちり3位表彰台をゲット。今季3度目の登壇となった。
レース後エンジンブロックからのオイル漏れが発覚したバトラー、序盤からパワー
不足に悩まされながらも最後は4位につけた。ただでは終わらない昨季王者は、P
Pポイントも合わせてなんとか15ポイントを持ち帰った。5位にはリヴィエール、
勝ったグーデリアンとともに今季4度目のW入賞。そして序盤からブレーキトラブ
ルを抱えながら戦ったボナパルトはなんとか6位フィニッシュ。こちらもラムダと
W入賞だ。7位にはようやく今季3度目入賞のカブロン、そして8位にはこれで後
半戦優勝を含め5戦連続入賞のリンドホルム。完全に復調してきた。
9位にはバロン、今季4度目の入賞だ。途中のパンクがなければもっと上も狙えた
だろう。そして10位には今季6度目の入賞、ゲラが入った。

ドライバーズタイトル戦線はこれでラムダが166ポイント、追いかけるバトラー
も157ポイントと踏ん張ったがその差は9とわずかに拡がった。そして3位以下
ラスムッセン、ファング、日向といったところは軒並みノーポイントに終わり、や
はり最後の争いはラムダvsバトラーに絞られたようだ。ラムダと3位ラスムッセ
ンのポイント差はちょうど50、何かあれば2戦で縮まる差ではあるがラスムッセ
ンの逆転王者の可能性は、今日のノーポイントで限りなく小さくなったと言ってい
いだろう。
一方でトップの二人も盤石ではない。今回ラムダは最後にユーズドハードを持って
きたが、3度目のセーフティカーで戦略が狂ってしまった。またバトラーはここ2
戦何某かアクシデントやトラブルを抱えながらの戦いを強いられている。
予選ではバトラーが復調し、ラムダがやや苦戦。しかしレースではややラムダに安
定感があるように見受けられるが果たしてどうか。
また今季は次戦の日本GPも市街地開催のため、残る3レースは全て市街地戦だ。
ポイントではラムダに先行を許すバトラーだが、条件は『ストリートマスター』バ
トラーに有利に見える。ラムダがリードを守り切るか、バトラーがストリートコー
スを味方につけ逆転するか。今季も最後まで目の離せない展開になりそうだ。

チームタイトルに関してはピットブルが頭一つ出た格好だ。マーキュリーはマルケ
ーナスが不調をかこっているが、ピットブルはボナパルトの安定感が大きな武器だ。
ピットブル247ポイントに対しマーキュリーは211ポイントと、ここマカオ
その差36ポイントに拡がったのは大きい。3位のノルディックはピットブルと8
2ポイント差と、逆転は現実的ではない差になってしまった。
現状はピットブルの連覇の線が濃厚だが果たしてどうか?


最終リザルト↓↓↓(太字)

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Winner:ジャッキー・グーデリアン(マルドゥーク)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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次戦は4戦に渡ったアジアラウンド最終戦、第16戦日本GPだ。舞台は北海道、
昨季は十勝スピードウェイで行われたが、今季からは海の街小樽での市街地戦とな
る。選手権も残すところあと3戦、タイトル戦線もいよいよ佳境だ。日本発の公道
コ―スでの世界選手権開催となる今季の日本GP、関係者の長年の想いが結実し、
『小樽GP』は激化したタイトル争いの最終局面として開催される。モータースポ
ーツフォトグラファーの『けんさわ』こと澤田賢志氏が『日本のモナコ』と称した
、海の街小樽での第16戦日本GP、こうご期待!!

 

 

 

Formula NeXXtream 2ndシーズン・14

『Formula NeXXtream 2nd』

□第14戦 タイ チャーン・インターナショナル・サーキット

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 1周:4.55km
 特性:「高速」「常設」
 ターン数:25(67周)

タイトル争いもいよいよ大詰めのNeXX、全18戦の選手権も残すところあと5
戦となった。アジアへと戦いの場を移した選手権、第14戦はタイGP。インドシ
ナ半島の付け根、カンボジアと国境を接するブリーラム県にある、チャーン・イン
ターナショナル・サーキットが舞台だ。         
近年著名になったサーキットデザイナー、ヘルマン・ティルケによる設計で201
4年にオープンした同トラック。1周4.55kmのミドルトラックはミドルスト
レートを低速コーナーで繋ぐストップアンドゴーレイアウト。開設初年度のスーパ
ーGTに始まりWTCC、スーパーバイクなどの世界選手権も開催されたトラック
である。NeXXでは初年度の昨季も第14戦に設定され、昨季はクラークソンの
ファングがシーズン2勝目を挙げた舞台だ。
今季の選手権はここまでラムダとバトラーが、ポイント差6の僅差でトップ争いを
展開しており、ラムダが選手権を引っ張る展開だ。しかしシーズン折り返しの第1
0戦以降はバトラー1勝、ラムダ未勝利で両者足踏み状態。リヴィエール、日向、
ラ・ポルタといった伏兵が選手権をかき回し、主役の二人はやや脇に追いやられた
感がある。序盤戦は勝利こそなかったものの2位表彰台4回と大活躍だったファン
グも、後半戦は停滞が続きここまで第9戦オランダと第12戦ルーマニアの2度の
4位入賞のみ。伏兵、新戦力の台頭もあり終盤戦に入って、ドライバーズ選手権は
大混迷の様相を呈してきた。
チームタイトルは依然ピットブルとマーキュリーの一騎打ち状態だが、ここにきて
ラスムッセンの復調に伴いノルディックも浮上してきた。トップのピットブルとは
65ポイント差だが、のこり5戦があれば逆転は可能な差。トップ2はそれぞれN
o.2ドライバーが不調をかこっており、ピットブルは前戦アゼルバイジャンから
期待のボナパルトを投入したものの、ラムダ共々入賞圏外で終わっている。実力者
2人を有するノルディックであれば、充分逆転可能と言える。
今季もますます終盤白熱してきたNeXX世界選手権、第14戦もまた予想外の展
開が待っていた!


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)
PPは選手権2位のアレックス・バトラー、驚くなかれなんと今季初のPPだ。P
Qではハードタイヤで臨んで25番手タイムとギリギリ通過だったものの、Q1で
は3番手、そしてQ2、Q3とトップタイムをマークし遅ればせながらの今季初P
P獲得だ。フロントローを分けたのは4戦ぶりシングルグリッドのハイデンフェル
ド。3番手マルケーナス、4番手ラスムッセンとマーキュリー勢とノルディック勢
が前方を独占だ。5番手には後半戦なかなか調子が上がってこないロッソ、6番手
には脅威の新人カレッジがつけた。前戦では大注目を浴びながらいいところなく、
下位に沈んだボナパルトは9番手とまずます。そして後半戦復調のリンドホルムが
12番手につけた。
一方でポイントリーダーのラムダは16番手と中団に沈む。ラムダはハードタイヤ
で挑んだQ1でミスを犯し17番手でノックアウト。しかし16番手のソリスには
5グリッド降格ペナルティが確定していたため、繰り上がりで16番手となった。
前戦ではフロントローからスタートし2位表彰台の日向も、ハイスピードトラック
ではふるわず17番手。そして5グリッド降格ペナルティのソリスは、21番手か
らのスタートとなった。
タイトル争いはトップのラムダをバトラーが僅か6ポイント差で追う展開、しかし
2人の予選結果は明暗を大きく分けた。決勝レースははたしてどうなるか?
今回の予選落ちはチャップマン、シエナ、バーンズ、カジワラの4名。チャップマ
ンとシエナはここまで、数少ない予選落ちの無いドライバーだったが、第14戦に
して揃って初の予選落ちを経験してしまった。バーンズは3度目、カジワラは5度
目の予選落ち。来季のシートが未定な後述の二人には、厳しい予選結果となった。


<決勝レース>
昨季は気温33度を超す猛暑に見舞われた決勝、チームによっては3ストップを選
択するドライバーも現れ、過酷なサバイバルレースとなった。しかし今季は予選か
ら昨年ほど熱くはならず、決勝はどんよりとした雲がサーキットを覆う。逆にいつ
降雨があってもおかしくはない天候状況、スコールなども視野に入れねばならず各
チーム雨に対する備えをしつつのタイヤチョイスとなった。早い段階での降雨を想
定に入れたチームが多く、7割がソフトでのスタートをチョイスした。


<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
A.バトラー       T.ヴィックス 
Z.ゲラ         宋 昇龍
D.リンドホルム  
J.グーデリアン 
J.カレッジ          
        
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         日向 俊郎
M.ボナパルト       J.バロン
K.マルケーナス      F.デ・ランジェリス 
M.ポルボローネ      A.カブロン 
A.ファーシマス      D.ファング
K.ラスムッセン      L.ソリス
M.ハイデンフェルド    J.セプター
A.ラ・ポルタ 
A.フィリオ   
A.ロッソ
B.リヴィエール
C.タンデイ

=ユーズドタイヤ

スタートはおおむね問題なく展開、前方は大きな順位変動はなかったものの、5番
手スタートのロッソが1コーナーで単独スピンを喫し早くもリタイヤしてしまう。
開幕戦を華々しく制したロッソも、中盤戦以降は精彩を欠くレースが続く。中団以
下も大きな混乱はなし、11番手スタートのファングがジャンプスタートを決め8
番手に浮上していた。
ユーズドハードでスタートしたトップのバトラーだったが、序盤は思いのほかペー
巣が上がらずハイデンフェルドに前にいかれる。ハイデンフェルドは第5戦メキシ
コで優勝した時以来、久々のリードラップを刻む。中段でボナパルトにしかけたフ
ァーシマスが単独スピン。ファーシマスは大きくポジションを落としてしまう。今
季予選では速さを見せるものの、決勝のリザルトに結びつかないファーシマス。ポ
ジションを11番手まで落としてしまう。

レースは序盤も序盤だが、ここでアクシデント発生。13番手のリヴィエールが、
マシン後方から大量の白煙を吐いてリタイヤしてしまう。これによりセーフティカ
ーが出動。序盤2ターン目にして最初のセーフティカーターンとなる。
ピットオープンとなった3ターン目、カレッジがピットインしてくる。カレッジは
DRSの制御機構にトラブルを抱え、リアウィングが開かない状態のようだ。緊急
ピットインだったが結局原因はわからず、カレッジはリアウィングが開かない状態
のまま最後尾でコース復帰してゆく。

5ターン目にレースはリスタート。トップのハイデンフェルドが良いスタートを決
めたのに対し、2番手バトラーは1コーナーで3番手のラスムッセンに前に行かれ
てしまう。これでノルディックは1-2体制を築く、対するバトラーはどうもブレ
ーキにトラブルを抱えてしまったようだ。タイトル争いで優位に立ちたかったバト
ラーには痛い展開だ。一方後方スタートの選手権トップラムダは、この時点で12
番手に浮上していた。

★5ターン終了時のトップ10
 1.ミック・ハイデンフェルド
 2.ケリー・ラスムッセン
 3.アレックス・バトラー
 4.カーティス・マルケーナス
 5.ジョリー・セプター
 6.デイヴィス・ファング
 7.アンドレアス・サントス・フィリオ
 8.デイヴィス・リンドホルム
 9.ミシェル・ボナパルト
10.アレオ・ファーシマス

3番手に落ちたバトラーに、マルケーナスが仕掛けるもバトラーはいかせない。ブ
レーキは相変わらずルーズだが、意地とテクニックでチームメイトを抑え込む。執
拗にバトラーをつつくマルケーナスだが、バトラーの巧みなブロックに体勢を崩し
た瞬間を後続に狙われる。セプター、そしてファングがマルケーナスの前へ、マル
ケーナスはポジションを2つ落としてしまった。そして、さらに後ろのフィリオが
マルケーナスにしかけたところで再びアクシデント発生。フィリオを行かせまいと
ブロックしたマルケーナスが体勢を崩し、前のファングを巻き込む多重接触となっ
てしまったのだ。これにより序盤で早くも、2度目のセーフティカー出動となって
しまった。

ピットオープンの7ターン目、ソフトタイヤでスタートした第1陣がタイヤ交換の
ためピットイン。接触事故の3台も応急修理のためピットイン、ファング、マルケ
ーナスはタイヤの他にリアカウル、フィリオはノーズコーンを交換しコース復帰。
3台とも最後尾集団へ落ちてしまった。

8ターン目、2度目のレースリスタートだ。トップのハイデンフェルドは無難に決
めるが、3番手セプターはやや立ち遅れる。リンドホルム、ボナパルトに前に行か
れ、セプターは5番手に後退してしまった。また、スチュワードは先ほどの多重事
故の当事者としてマルケーナスを認定、マルケーナスはレース中のピットストップ
10秒のペナルティを科せられ てしまった。

レースは9ターン目。ここで1セット目のソフトをセーフティカー明けまで引っ張
った、トップのハイデンフェルドが最初のピットイン。メキシコ以来の2勝目を狙
うハイデンフェルドは、2セット目も新品ソフトに繋ぎ最後にユーズドハードを持
ってくる戦略を取った。とにかく中盤までにソフトで飛ばし、マージンを稼ぐ作戦
だ。しかしこのピットストップがまさかの大失敗、右フロントが外れずに大きくタ
イムロスし9番手まで落ちてしまう。痛恨のピットミスだ。

これでトップに立ったのが、序盤でブレーキにマイナートラブルを抱えたバトラー
だ。しかしこのバトラーにも予期せぬトラブルが起こる。走行中にギアが3速にス
タックし、一瞬大きくペースダウンを強いられてしまったのだ。最終コーナーの立
ちあがりで失速したバトラーは、5台に前へ行かれ7番手まで後退。かわりに先頭
にたったのがリンドホルム、そしてボナパルトが2番手に浮上した。タイトル争い
はまたまた波乱の展開だ。

10ターン目には2番手ボナパルト、3番手セプターが最初のピットイン。セプタ
ーはユーズドハードへと繋ぐ、ボナパルトはソフトからソフトへ。ボナパルトはラ
イフの短いヴァシュロンの新品ソフトを9ターン引っ張ってのタイヤ交換、評価に
違わぬ高いタイヤマネジメント能力を発揮し、2スティント目も新品ソフトへ繋い
ボナパルト。このあとのタイヤ戦略にも注目だ。
これでユーズドハードでスタートしたトップのリンドホルムはいっときの独走状態、
7ターン目にハードへの交換を済ませたラスムッセンが2番手に浮上する。後続で
は日向、バトラー、ヴィックスなどがピットイン。これで新品ハードスタート勢を
わずかにのこし、ほぼ全車が最初のタイヤ交換を終えた格好だ。後方ではラムダが
7ターン目にタイヤ交換を済ませているが、15番手から浮上できずにいる。バト
ラーも9番手と入賞圏内ギリギリ、タイトル争いの主役たちの受難は続く。

トップのリンドホルムは12ターン目に最初のピットイン、ユーズドハードから新
品ソフトへつなぐ。これにアントネッティピットクルー会心の作業で応え、リ
ンドホルムはトップを守った状態でコース復帰。ここにきてリンドホルムのNeX
X初優勝の可能性が出てきたが、果たしてレースはどうなる?
新品ソフトへと繋いだリンドホルムはペースアップ、2番手以下を徐々に引き離し
にかかる。2番手はラスムッセン、しかし3番手ボナパルトがすぐ後ろまで来てい
る。ボナパルトは2セット目もソフト、対するラスムッセンは2セットめのハード
にそろそろガケが来るタイミング。ポジションを守れるか?

後方ではまた多重接触のアクシデント、ファーシマスがバトラーのオーバーテイク
を試みバトラーも抵抗。後ろにいたヴィックスも合わせた3台が1コーナーを大き
オーバーランしてしまう。激しい接触ではなかったため大きなマシン破損はなか
ったものの、各々ポジションダウン。最も大きくポジションを落としたのは、仕掛
けたファーシマスだった。ファーシマスは7番手から11番手まで転落、更にファ
ーシマスの追抜きがペナルティ対象となり、ピットスルーペナルティを科せられて
しまった。
バトラーはこの接触で大きなポジションダウンはなかったものの、フロントウィン
グの翼端板を飛ばしていた。15ターン目に緊急ピットインし2度目のタイヤ交換、
あわせてノーズコーンも交換し19番手でコース復帰。上位入賞は絶望的な状況の
バトラーにとっては、踏んだり蹴ったりのレースとなった。


★15ターン終了時のトップ10
 1.デイヴィス・リンドホルム
 2.ケリー・ラスムッセン
 3.ミシェル・ボナパルト
 4.ジョリー・セプター 
 5.ミック・ハイデンフェルド
 6.ゾルタン・ゲラ
 7.ニコ・ラムダ
 8.日向 俊郎
 9.アレオ・ファーシマス
10.デイヴィス・ファング

後半戦に入ってもトップはリンドホルム、2番手にラスムッセンが続くがラスムッ
センはハードタイヤのガケが来ており追撃できない。そんななかすぐ後ろに迫って
いたボナパルトが、ラスムッセンをかわし2番手に浮上。9番手スタートからジリ
ジリとポジションをあげてきたボナパルト、レースは17ターンにさしかかるとこ
ろだが、2セットのソフトタイヤで驚異のタイヤマネジメントを見せ、2番手まで
浮上してきた。後方スタートのラムダも7番手まで上がってきており、ピットブル
は2台とも入賞圏内だ。マーキュリーは2台ともポイント圏外におり、チームタイ
トル戦線はピットブルが有利な展開で進んでいる。

18ターンから19ターンにかけては、各々2度目のタイヤ交換のタイミング。1
8ターン目、上位陣ではラスムッセンがハードからユーズドハード、セプター、ソ
リスがユーズドハードからソフトへチェンジ。19ターン目には残りの上位勢も最
後のストップを展開する。トップのリンドホルムはソフトへ繋ぎトップでコース復
帰、2番手のボナパルトは2セット目のソフトも引っ張り、なんと最後のスティン
トにユーズドソフトを持ってきた。その他4番手ゲラ、7番手日向もソフトに交換
し最後のスティントに臨む。

レースは終盤、相変わらずリンドホルムは独走態勢。2番手でコースに復帰したラ
スムッセンだが、ユーズドハードではトップ追撃はできず。さらにユーズドソフト
ボナパルトにかわされ結局3番手後退。ボナパルトは可能な限りリンドホルム追
撃を試みる。5番手ハイデンフェルド以降はやや混戦、そして16番手スタートの
ラムダが7番手まで浮上、今回がNeXX2戦目のクラークソンのソリスが8番手
まで来ていた。
ソリスの後ろには序盤の接触で20番手まで落ちたファングが、9番手までポジシ
ョンを回復してきていたが、そのファングにトラブル発生。ミッショントラブルで
ペースを大きく落としてしまう。入賞圏内までポジションを戻してきていただけに
痛いトラブルだ。前半戦好調だったファングだが、後半戦はアクシデントにも祟ら
れ大失速。今回もポイント獲得は厳しい雲行きだ。

最後のスティントにソフトをもってきたリンドホルムは相変わらず快調、後方とは
大きなマージンを築いておりややペースを落としながらトップをゆく。2番手ボナ
パルトも追うが、ユーズドソフトを最後に持ってきたためかなかなかトップを追い
切れない。ガケを迎えたボナパルトのタイヤ、足元がキツくなってきたボナパルト
のすぐ後方ではラスムッセンが2位奪還を虎視眈々と狙っていた。

レースはファイナルターン、リンドホルムは2位以下とマージン5の大差をつけて
の独走状態でクルージング。しかし2番手争いで動き、最後の最後でラスムッセン
ボナパルトをかわし2番手を取り換えした。5番手争いでも最後にゲラがハイデ
ンフェルドを逆転、さらには度重なるトラブル、アクシデントで入賞圏外にいたバ
トラーがギリギリで10番手浮上。意地の追い上げだ。

レースは結局9ターン目、バトラーのミッショントラブルに乗じてトップに立った
リンドホルムが今季初、そしてNeXX初優勝を達成。最後の最後でグリップを失
ったボナパルトをかわしたラスムッセンが2位、ソフト3セットでつなぎ抜群のタ
イヤマネジメントを発揮したボナパルトが、NeXX初入賞を3位表彰台で飾る。
4位セプターは久々の入賞、5位には今季5度目入賞のゲラ、スタートからトップ
を快走しながらピット作業ミスでポジションを大きく落としたハイデンフェルドは
6番手と健闘した。
7位にはこちらもデビュー2戦目で今季初入賞のソリス、選手権トップのラムダは
結局8位入賞。9位には第8戦の優勝以来久々3度目の入賞のポルボローネ、そし
てPPから一時は19番手までポジションを下げたバトラーは、意地の10位入賞
で1ポイント、PPとあわせて4ポイントを持ち帰った。


ドライバーズタイトル争いは結局ラムダが8位で4ポイント、バトラーが10位+
PPで4ポイントと、ポイント差は6と変わらず。両者共苦戦を強いられたものの
最低限の仕事をこなした形だ。そして今回ラスムッセンが2位に入ったことで順位
に変動があり、ようやく100ポイント越えとなったラスムッセンが116ポイン
トでランキング3位に浮上した。トップとは32ポイント差あるが、残り4戦でま
だまだ逆転は可能。依然最もタイトルに近いのはラムダとバトラーであることに変
わりはないが、ラスムッセンにも逆転王座の可能性が出てきた。
一方でチームタイトル戦線はややポイント差が拡がった。第13戦終了時のピット
ブルとマーキュリーの差は10ポイントだったが、今回ボナパルトが3位入賞した
ことによりピットブルに15ポイントが加算され、ピットブル221に対しマーキ
ュリー196ポイントと、25ポイント差に広がった。また今回ラスムッセンが2
位、ハイデンフェルドが6位とW入賞を果たしたノルディックが28ポイントを加
算。165ポイントとし2位マーキュリーとは29ポイント差まで迫ってきた。
ドライバーズ、チームともにここまでラムダvsバトラー、ピットブルvsマーキ
ュリーの一騎打ちかと思われていたが、ここにきてやはり昨季同様3つどもえの様
相を呈してきた。
タイトル争いの行方はまだまだ予断を許さず、残り4戦でどう転ぶかは予想できな
い。今後は舞台をマカオ、そして日本に移しアジアラウンドが展開されてゆく。
今後の展開から目が離せない!


最終リザルト↓↓↓(太字)

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Winner:デイヴィス・リンドホルム(アントネッティ

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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次戦の舞台はマカオ、アジア随一の難所として知られるギアサーキットだ。超高速
の海側とコース幅の狭い超低速の山側と、区間によって大きく性格が変わる難しい
ストリートサーキット。またそのあと第16戦には、小樽市街地での日本GPを控
え選手権はいよいよ佳境に入ってゆく。今後の展開からますます
目が離せない!!

 

 

 

 

 

Formula NeXXtream 2ndシーズン・13

3『Formula NeXXtream 2nd』
□第13戦 アゼルバイジャン バクー市街地サーキット

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 1周:6.00km
 特性:「中速」「市街地」
 ターン数:22(51周)

2ndシーズンのNeXX世界選手権もいよいよ佳境、残すところあと6戦となっ
た。欧州戦線を終えたNeXXは第13戦からはアジアラウンドへ突入、最初の舞
台はエキゾチックな街並みが特徴的なアジアと欧州の中継地アゼルバイジャンだ。
コーカサス地方カスピ海西岸に位置するアゼルバイジャンは東欧、西アジア、そ
して中東の交差点に位置し、かつては世界一の大国『旧ソビエト連邦』を構成する
一国だった。ソビエト崩壊後は独立国家として発展し、バクー油田をはじめとする
豊富な天然資源を武器に大きな経済発展を遂げてきた。最近では2016年以降F
1を継続開催してもいる。NeXXでは2シーズン目となるアゼルバイジャンGP
は、そのF1同様の市街地コースを利用して行われる。
先述の通りF1でもおなじみのコースは、1周6kmの左回りのロングトラック。
細く入り組んだ路地の多い旧市街地『イチェリ・シェヘル』がレイアウトに組み込
まれており、新市街地を使用するセクター1、3の速度域は非常に高いものの、旧
市街地区間のセクター2は非常にテクニカルな区間だ。北側のシェマハ門付近のタ
ーン8からターン11にかけてのスラロームセクションは道幅7.6mの超狭小路
で、事故の多い難所となっている。セクター1、3とセクター2ではコース特性が
全く違うため、最高速とダウンフォース量、そして回頭性それぞれにおいてセッテ
ィングに丁度良い妥協点を見出す必要があり、各チームは頭を悩ませる。
『バクー』とはペルシャ語で『風の街』を意味し、走行に影響を与えるほどの強風
が吹くこともある。F1では予選から番狂わせが起こることが有名な、危険なサー
キットである。
昨季はこのレースでNeXXデビューとなったエヴァー・グラハムのデリック・ワ
ーノック(のちクラークソンに移籍)が、予選でいきなりPPを獲得。ワーノック
は2位表彰台にあがり、ピットブルのラムダが制したが今季はどうなるか? 選手
権はここまでラムダがリードしているが、前戦ルーマニアでのバトラーの優勝でい
まだ行方はわからない状態だ。またピットブル、クラークソン2チームがここアゼ
ルバイジャンからNo.2ドライバーを交代させており、フランツ・ボナパルト
そしてリンド・ソリスの二人がNeXXデビューを迎える。さらにはヨコスカが新
ハードタイヤを持ち込んでいたりと、終盤戦へ向けて様々な動きのあるNeXX。
はたしてここアゼルバイジャンで、タイトル戦線の流れはどちらに傾くか? しか
しレースは予想外の展開となる!?


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:ケリー・ラスムッセン(ノルディック)
昨季は最後までタイトルを争いながら、今季ここまで脇役に甘んじていたノルディ
ックのラスムッセンがようやく今季初PP、通算3度目のPPを獲得した。トップ
2には大きく水をあけられているものの、まだまだ逆転可能なポイント差。ここか
らどういった追撃を見せるか。フロントローを分けたのは日本の日向。全セッショ
ン通じて好タイムをマークし、『ストリートマスター』の走りを存分に見せつけた。
3番手にリヴィエール、そして4番手ラ・ポルタと、ストリートサーキットの得意
な面々が上位を独占した。3列目6番手には今季苦戦の続くゲラ、今季ようやく3
度目のシングルグリッドだ。そしてここ2戦連続入賞で復調気配のリンドホルムが
8番手、遅まきながら復調をアピールした。9番手シエナ、10番手ヴィックスと
中堅勢が大きく躍進。特にルーキーのヴィックスは後半戦に入り絶好調、前戦ルー
マニアこそ予選落ちを喫したものの、獲得ポイントではチームメイトのカブロンを
大きく上回っており、今回も期待がかかる。
今回NeXXデビューとなるクラークソンのソリスが11番手、そして前戦出場停
止のペナルティをうけた宋の代役出走となるチャイナドラゴンのエルドラードが1
4番手と健闘。特に英国期待の逸材ソリスは、期待にたがわぬ速さを見せつけた。
対して前評判が高かっただけに期待はずれな結果となったのがピットブルのボナパ
ルト、18番手からのスタートとなった。ただピットブルはここバクーでは苦戦し
ており、エースのラムダはさらに後方23番手に沈んだ。またラムダとタイトルを
争うバトラーも20番手に沈んでおり、タイトル戦線に大きな影を落とす結果とな
った。
今回の予選落ちはポルボローネ、バロン、タンデイ、カジワラの4人。今季1勝を
あげているポルボローネも予選落ちを喫する難コース、『ストリートファイター
の異名をとるカジワラも例外ではなかった。カジワラは依然参戦ドライバーで唯一
のノ―ポイント状態が続いており、来季のシート確保には大きなマイナスとるだ
ろう。


<決勝レース>
乾燥した気候のため降雨の不安はなし、そして気温が上がらなければタイヤに対す
る負担も大きなコースではない。そのためヨコスカは上位勢がハードを選択、1ス
トップ作戦をとる。そしてヴァシュロン勢もピットブル勢やバトラー、フィリオな
どタイヤマネジメントに自信のある連中は1ストップ作戦をチョイスした。しかし
一部のヴァシュロン勢はソフトを選択、マルケーナスやシエナラスムッセンなど
はヴァシュロンソフトのグリップ力を活かした2ストップ作戦を企図、珍しくハー
ドとソフトのチョイスは5:5に分かれた。


<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ        A.カブロン 
M.ボナパルト       T.ヴィックス 
A.バトラー        D.ファング
Z.ゲラ            日向 俊郎 
M.ハイデンフェルド   C.エルドラード 
A.フィリオ        J.セプター
A.ロッソ                 
J.グーデリアン 
J.カレッジ 


◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
K.マルケーナス      A.バーンズ
S.シエナ         J.チャップマン
A.ファーシマス      F.デ・ランジェリス
K.ラスムッセン      L.ソリス
A.ラ・ポルタ       
D.リンドホルム            
B.リヴィエール

=ユーズドタイヤ


ひさびさのPPスタートとなったラスムッセンが良いスタート、日向も追随するが
今季初優勝を狙うラスムッセンのスタートが上回る。そして4番手スタートのラ・
ポルタが3番手リヴィエールをかわして前に出る。リヴィエールはマルケーナスに
もかわされ5番手後退、痛恨のスタートミスだ。
後方では大きな混乱なくスタートしたかに見えたが、23番手スタートのラムダに
トラブル発生。久々に後方の大集団からスタートしたラムダは、前のカブロンのリ
アウィングに左フロントタイヤを切られ軽いパンクチャ状態に。ポイントリーダー
のラムダにとっては、踏んだり蹴ったりのレースになってしまった。

トップのラスムッセンは快調に飛ばし、日向を徐々に引き離しにかかる。ラスムッ
センに置いて行かれ始める日向は、後ろのラ・ポルタにも迫られる。ソフトタイヤ
でスタートしたヴァシュロン勢とのレースペースの差はいかんともしがたく、日向
はやむなく序盤2ターンで2位をラ・ポルタに譲る。
日向はその後もマルケーナス、リヴィエールと、2ストップのヴァシュロンソフト
勢に相次いでかわされる。しかしハードで1ストップ作戦の日向にとってはある意
味想定内だ。ここで早くもアクシデント発生、14番手スタートのエルドラードが
コース脇にマシンを停めてリタイヤしてしまったのだ。電気系のトラブルでのリタ
イヤとなったエルドラード、これによりレースは早くも最初のセーフティカー出動
のタイミングを迎える。
ペナルティのため出場停止の宋昇龍の代役出走となったエルドラード、初出走とな
った前回は予選落ちを喫したが今回は堂々の14番手通過だっただけに、非常に残
念な結果となってしまった。

スタートでタイヤに軽いダメージを負ったラムダが、このタイミングに乗じてタイ
ヤ交換。選手権を争うラムダとしては、非常に苦しい展開だ。
レースは4ターン目にリスタート。このリスタートでトップのラスムッセンが痛恨
のスタートミス、2番手のラ・ポルタに前へ行かれてしまう。トップに立ってから
は快調に飛ばすラ・ポルタ、ラスムッセンもマージン1差で追いかける。3番手以
降は接戦、早くもタイヤにガケが来ているリヴィエールにマルケーナスが仕掛ける
も、リヴィエールも必至でブロック。そして前のバトルのあおりを食った日向が、
後ろのリンドホルムに前に行かれてしまう。中団ではチャップマンがヴィックスを
かわして9番手浮上。そんな中後方ではフィリオが単独でスピンを喫しリタイヤ、
フィリオはエスケープにマシンを停めてしまう。僚友ラ・ポルタがトップを快走し
ていただけに、残念なリタイヤとなった。

★5ターン終了時のトップ10
 1.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 2.ケリー・ラスムッセン
 3.ビル・リヴィエール
 4.カーティス・マルケーナス
 5.デイヴィス・リンドホルム
 6.日向 俊郎
 7.ゾルタン・ゲラ
 8.スティラノ・シエナ
 9.リンド・ソリス
10.ジョンブル・チャップマン

トップのラ・ポルタはペースが良い。市街地が大得意のラ・ポルタ、ソフトタイヤ
の利点を活かして快調に飛ばす。追いかける2番手ラスムッセン、3番手リヴィエ
ールはラ・ポルタのペースについていけず、徐々に差が拡がっていゆく。また3番
手リヴィエールはタイヤを酷使しすぎて早くもガケが到来、後ろのマルケーナスに
つつかれていた。しかしそんなマルケーナスも1セット目のソフトは既に限界が近
く後ろのリンドホルム、そして序盤に追抜いていた日向に抜き返されてしまう。

ヴァシュロンのソフト勢が1度目のピットストップのタイミングを迎えようという
ところで、後方でアクシデント発生。8番手を争っていたシエナと、今回がNeX
Xデビュー戦となるソリスが接触。後続のチャッップマンを巻き込んで道幅の狭い
セクター2のコースをふさいでしまい、早くも2度目のセーフティカーが出動する。

このタイミングで待ってましたとばかり、ヴァシュロンソフト勢がタイヤ交換のた
めピットイン。ラ・ポルタをはじめとするトップ4は全車1回目のタイヤ交換をす
ませた。しかしラ・ポルタは2セット目もソフトを選択、他の面々はユーズドハー
ドを選択した。このタイヤチョイスがどう出るか?
そんな中トラブルに見舞われたのがラスムッセンだ。ユーズドハードへ繋ぐ予定の
ピットインだったが、なんとチームがソフトタイヤを用意して待機していたのだ。この
チームの痛恨のミスでラスムッセンは9番手まで後退してしまう。
接触したシエナ、ソリス、チャップマンの3台もピットイン。シエナとチャップマ
ンはタイヤ交換の他軽い応急処置のみでピットアウトも、フロントに大きなダメー
ジを負ったソリスはノーズ交換のため最後尾まで落ちてしまう。この事故の当事者
認定されてしまったソリスは、後に次戦5グリッド降格のペナルティを下されるこ
とになる。予選では速さの片鱗を見せたが決勝でNeXXの洗礼を浴びてしまった。

これでトップに立ったのが、ハードタイヤでの1ストップ作戦を採るとみられる日
向。2番手には同じく1ストップであろう、ハード勢のゲラが立つ。タイトル争い
の伏兵が引っ張る展開でセーフティカーは7ターン目にピットに戻り、8ターン目
レースはリスタートする。

無難にリスタートを決めた日向、ゲラはやや立ち遅れた。3番手のラ・ポルタがリ
スタートをうまく決め、ゲラの前2番手に浮上する。4番手にはこれまた1ストッ
プ予定のヴィックス、その後ろにヴァシュロンのソフト勢が続いた。
後方では接触でマシンにややダメージを負ったシエナが13番手までポジションダ
ウン。かわりに12番手に上がってきたのが選手権2位のバトラーだ。19番手ス
タートのバトラーはハードタイヤでスタート、セーフティカーを利してタイヤライ
フを温存しながら上位を目指す作戦。この時点ですでに、ポイント圏内目前まで迫
っていた。一方のラムダは、チームメイトのボナパルト共々決勝でも大苦戦。21
番手でもがいていた。

前が開けたトップの日向はペースアップ、しかし2セット目もソフトへ繋いだラ・
ポルタが同様のハイペースで日向を追う。後続はそろってハードへ繋いだ面々、今
はリスクを冒さず様子見の構えだ。そして9ターン目、接触でマシンにダメージを
負ったシエナがピットイン、マシンを止めそのままリタイヤした。リアサスペンシ
ョンにダメージがあり、バイブレーションでまともに走れなくなってしまったのだ。
今季予選では5度シングルグリッドを記録、第11戦チェコではPPも獲得したシ
エナだが、決勝ではなかなか結果につながらす苦しいレースが続く。
そして後方ではまたも接触、15番手争いのファングとファーシマスだ。幸い大き
な事故ではなかったため2台はすぐにレース復帰、しかしそれぞれ順位を大きく落
としてしまった。ランキング3位のファングはイライラする展開が続く。

10ターン目に入っても日向とラ・ポルタの、ハイペースでの鬼ごっこは変わらず。
そして後ろでは4番手ヴィックスもペースアップ。ややペースの上がらないゲラを
抜いて3番手に浮上してきた。ガジャックのカレッジが『驚異の新人』と騒がれる
今季だが、昨季終盤戦にデビューしたヴィックスも実質今季がルーキーイヤー。カ
レッジと遜色ない活躍で初の表彰台を射程圏にとらえた。
そして中盤にさしかかったレース、タイトル争いの主役の一人バトラーが、ついに
10番手まで浮上してきた。

11ターン目、さすがにハードでハイペースで飛ばしてきた日向のペースが落ち始
める。2番手のラ・ポルタはぐんぐんと差を詰めてくる。そしてこちらもハードタ
イヤが限界に達していたゲラがついにピットイン。新品ハードに繋いだゲラはやは
り1ストップ、チームも会心の作業でコースに送り出す。
続いて12ターン目にはついに、トップの日向がピットイン。こちらもユーズドか
ら新品ハードに交換し1ストップで走り切る構え。このところピット作業でミスが
目立ったトライアンフだったが、今回は無難な作業で日向を送り出す。その間アウ
トラップで猛プッシュしていたゲラ、前を行くリヴィエールを、タイヤの温まり切
っていない日向、そしてリンドホルムを次々とオーバーテイク。一気に3番手まで
浮上。表彰台圏内に復帰する。そして13ターン目には2番手のヴィックスが、こ
ちらも新品ハードへ繋ぐ最初で最後のピットイン。これによりゲラは2番手まで再
浮上する。

トップのラポルタはソフトタイヤのハイグリップをいかして独走態勢。その後ろで
はタイヤの温まった日向の猛プッシュが始まった。いっときゲラにも前に行かれ5
番手まで落ちた日向だが、ここにきてぐんぐんペースアップ。14ターン目にはゲ
ラに追いつきオーバーテイク、2番手まで浮上する。そしてタイヤ交換を済ませた
ヴィックスもペースアップ、リンドホルムをかわして4番手復帰だ。ヨコスカの新
ハードタイヤは、思いのほか決勝レースでも好パフォーマンスを見せている。
15ターン目、満を持してラ・ポルタ最後のピットイン。日向とはマージン4差で
ピットインし、最後のスティントはユーズドハードに繋ぐ。その間に日向はぐんぐ
んラ・ポルタとの差を詰める。お互いもうピットインは無い、はたしてどちらが前
に出るか?

間一髪、日向が1コーナーを立ち上がったと当時にラ・ポルタがピットアウトしラ
・ポルタが日向の前、トップでピットアウト。終盤戦はトップ2、そして3番手の
ゲラ、4番手ヴィックスと、上位勢は全てハードタイヤでのラストスティント。レ
―スは終盤戦、ここからどう展開するか。

★15ターン終了時のトップ10
 1.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 2.日向 俊郎
 3.ゾルタン・ゲラ
 4.トゥーリ・ヴィックス 
 5.ケリー・ラスムッセン
 6.デイヴィス・リンドホルム
 7.カーティス・マルケーナス
 8.ビル・リヴィエール
 9.ジャッキー・グーデリアン
10.ミック・ハイデンフェルド

ラ・ポルタのピットアウト時は日向と僅差だったものの、プッシュし続けた日向の
方はややタイヤがタレ気味。前に出られてしまった側の日向は、徐々にラ・ポルタ
に引き離されてゆく。また3番手ゲラのペースも上がらない。初表彰台を狙う4番
手のヴィックスが徐々に差を詰めてくる。5番手には2ストップで最後のスティン
トをソフトで戦うラスムッセン。表彰台圏を争うバトルはレース終盤にきてにわか
に白熱してきた。
後方ではバトラーが着々とポジションアップ、バトラーと同じく1ストップのヴァ
シュロン勢ハイデンフェルドをかわして8番手まで浮上する。一方のラムダは14
番手、バトラーとしてはラムダとのポイント差を詰めるためなんとしても前へ行き
たいところ。

18ターン目、ファングがピットでマシンを止める。序盤のファーシマスとの接触
でボディワークにダメージを負ったファング、結局思うようにペースを上げられず
残念なリタイヤとなった。またラムダは中団で思うようにペースを上げられず13
番手を走行。前のグーデリアンを直線でかわせず、逆に後ろから猛プッシュしてき
たバーンズにグーデリアンごとかわされてしまう。バーンズ、中段に沈むも2台抜
きの離れ業だ。表彰台圏争いはここにきてラスムッセンがスパート。ヴィックス、
ゲラを直線で抜き3番手に浮上する。最後に表彰台圏内にいるのははたして誰か?

後方ではチャイナドラゴンのセプターが良い走りを見せる。24番手と後方からの
スタートで着々とポジションアップ。19ターン目には11位まで浮上、久々の入
賞圏内まであとひとつというところまで来ていた。しかし20ターン目、なんとそ
のセプターが単独スピン。せっかく入賞圏内目前まで迫りながら、自らのミスで大
きくポジションを落としてしまった。セプターはこのスピンでフロアを痛めており
順位の挽回はできず。最終的には16番手フィニッシュとなった。来季の契約が微
妙と言われているだけに、結果を出したかったが叶わなかった。

21ターン、レースはこのターン含めあと1ターン。ラポルタはここでさらにもう
1段階ギアをあげる。2セット目のハードもタレてきてペースが上がらない日向と
の差をマージン3まで拡げる。初優勝は目前に迫った。
そして3番手争いはゲラ、ヴィックスが相次いでラスムッセンをかわしゲラは3番
手、ヴィックスは4番手復帰。ラスムッセンは最後の踏ん張りどころでタイヤのガ
ケを迎えていた。

入賞圏内8位まで浮上したバトラーは、リヴィエールの最後の踏ん張りにあい9位
後退。なんとしてもポイントを加算したいバトラーは無理をしない。ラムダが未だ
ポイント圏外にいることを計算し、リスクマネジメントをしつつ走る。かたやリヴ
ィエールは途中マシンの回生機構に、回生効率低下のトラブルが発生。ややペース
を落とさざる追えず10位まで後退したが、勝負どころまで回生エネルギーを温存。
ここにきて一機に放出し、ハイデンフェルドとバトラーをかわして7番手に浮上し
た。一方ラムダは相変わらずグーデリアンに前をふさがれており、入賞圏内への道
を閉ざされたままだ。

最終的にレースはマージン3でトップを守り切ったラ・ポルタがNeXX初優勝。
所属チームSLOにもNeXX初優勝をもたらした。
2位にはハードタイヤで1ストップ作戦をとった日向、そして3位には最後までポ
ジションを守り切ったゲラが入り今季初表彰台ゲット。ヴィックスは惜しくも初表
彰台を逃すも4位フィニッシュ。1ストップ勢が2-3-4位を占めた。
5位にはラスムッセン、PPを獲得しながらピット作業のトラブルでポジションを
大きく落としたが、なんとか5位までリカバリーした。6位にはマルケーナス、7
位はリンドホルム。開幕から絶不調だったリンドホルムだったが、これで3戦連続
の入賞だ。8位は回生機構にトラブルを抱えながら走ったリヴィエール、そして選
手権を争うバトラーがなんとか9位に入り、10位にはハイデンフェルド。
予選から同僚のボナパルト共々大苦戦だったピットブルのラムダ、選手権未だトッ
プだが今レースは12位で痛恨のノーポイント。期待されたボナパルト共々下位に
沈んだ。

選手権はこれで再びポイント差1ケタの大接戦になった。144ポイントのラムダ
と138ポイントバトラーのポイント差はわずか6、そして3位ファングが107
ポイントで続く。更にその後ろも僅差続きだ。4位にはファングと7ポイント差の
100ポイントで日向が続き、5位のラスムッセンは96ポイントで日向と4ポイ
ント差だ。NeXXは1レースあたりPP3ポイント、FL2ポイント、優勝25
ポイントが与えられ、パーフェクトウィン達成で1レース最大30ポイントの獲得
が可能だ。計算上の可能性論は抜きにしても、現実的にはまだまだ名前の挙がった
上位5名には可能性がある。
チームタイトルは相変わらず2トップ状態だが、こちらも大接戦だ、トップのピッ
トブルと2位マーキュリーの差はわずかに10ポイント、今回ノーポイントに終わ
ったピットブルに対してマーキュリーはW入賞を果たし、ピットブルの連覇阻止に
向けて終盤の攻勢に出た格好だ。


最終リザルト↓↓↓

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Winner:アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(SLO)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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次戦はいよいよ本格的に東アジアラウンドに突入。第14戦の舞台はタイGPだ。
猛暑に見舞われた昨年は、タイトルを争うラムダとバトラーがともにリタイヤし、
ファングがシーズン2勝目を挙げたタイGP。
今季はここにきて選手権の主役二人がそろってお疲れ気味で、リヴィエール、日向、
そして今回のラ・ポルタと伏兵が元気だが、果たして今季はどうなるか? 
第16戦日本GPまであと少しと迫ったNeXX。こうご期待!!

 

 

 

 

 

 

NEXXTREAM PRESS 2nd「ヨーロッパラウンド号」

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◆ヨーロッパラウンド号


前半戦第5戦までを終え、2ndシーズンもいよいよ中盤戦へと入ってゆくNeXX
世界選手権。第6戦以降は第12戦まで7戦続くヨーロッパラウンドへ突入だ。
第6戦イギリスを皮切りに第7戦フランス、第8戦イタリア、第9戦オランダまでは
西欧ラウンド、そして第10戦スウェーデン以降は第11戦チェコ、第12戦ルーマ
ニアと、北・東欧ラウンドとなる。ヨーロッパラウンドは第12戦ルーマニアを除い
た6戦がパーマネントサーキットでのレース。ルーマニアのみが市街地での開催とな
る。しかも第9戦オランダから第11戦チェコまでは、低速テクニカルトラックでの
3連戦。ハイスピードサーキットでの3連戦あり、抜きどころのないミッキーマウス
サーキットでの3連戦あり、そして最後を飾るのは市街地の高速サーキットと、これ
までとは性格の違う難所が数多く待ち受けている。選手権全18戦の趨勢を大きく左
右するのが、このヨーロッパラウンドだ。
第5戦終了時点で昨年のディフェンディングチャンピオン、バトラーがリードしてい
た選手権だが、ヨーロッパラウンドの7戦を経過した後はどうなっているだろうか?
昨季2位以下で終えたラムダ、ラスムッセン、ファングなどの有力勢は? 開幕戦で
新参チームアントネッティに初優勝をプレゼントしたロッソは? 日本期待の日向俊
郎は? はたまた未知の実力者が台頭しているだろうか?
今回は第6戦~第12戦までのヨーロッパラウンド全戦を振り返ってみたい。また今
号も選手権の行方だけでなく、来季へ向けたストーブリーグ情報や、NeXXを取り
巻く様々な動きもお伝えする。今、世界で最も注目を浴びるレースカテゴリの、最新
情報をお伝えするNeXXteam Press、存分にお楽しみあれ!!

 

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■レースリポート

◇第6戦 イギリスGP ブランズハッチ・サーキット

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PP:ルドルフ・マイネ(ピットブル)

伝統のオールドコースで行われたイギリスGPは、ポイントリーダーのバトラーが優
勝した。バトラーは予選2番手からのスタート、しかしPPスタートのマイネを抑え
トップでレースを展開。3番手スタートのラムダが、ペースの上がらないマイネの前
に出てからは、バトラーとラムダのマッチレースとなる。
序盤を過ぎると雨が降り出し、レースはウェットコンディションとなる。後方では雨
の餌食になるマシンが続出するなかで、レースは終始バトラーとラムダの一騎打ちの
様相。途中ピット作業で順位が入れ替わるも、中盤でバトラーが再びトップを奪いか
えし優勝。『雨のバトラー』の異名をいかんなく発揮し、バトラーが今季2勝目をあ
げた。これまで散々トラブルに泣かされてきたラムダが、今季2度目の完走で2位表
彰台。PPのマイネが3位、マルケーナスが4位と、ピットブル、マーキュリー勢の
上位独占となった。

優勝:アレックス・バトラー(マーキュリー)
2位:ニコ・ラムダ(ピットブル)
3位:ルドルフ・マイネ(ピットブル)


◇第7戦 フランスGP ポールリカール・サーキット

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PP:ニコ・ラムダ(ピットブル)

欧州高速3連戦の2戦目は、カレンダー随一のアベレージスピードを誇る超高速トラ
ック、ポールリカールでのフランスGP。高速パッケージのピットブル、ラムダが今
季4度目のPPを獲得した。快晴のもと行われたレースは序盤、SLOのラ・ポルタ
が先頭に立つ展開。しかし早い段階でラムダがトップを奪い返すと、徐々に一人旅状
態となる。一方ポイントリーダーのバトラーは、序盤の接触で緊急ピットインを余儀
なくされ、ポイント圏内から脱落してしまう。
レースはセーフティカーが3回出動する荒れた展開に。途中エヴァー・グラハムのバ
ーンズが、NeXX初優勝を目指しトップを快走するが、ラムダは3度のセーフティ
カー出動を巧みに利用し、タイヤをいたわり1ストップ作戦へと切り替える。
レースは抜群の戦略性を発揮したラムダが今季2勝目。序盤大きく離されていたバト
ラーとのポイント差を17まで詰めた。2位には後半猛然と追い上げたファング、一
時トップを快走したバーンズが3位に入った。

優勝:ニコ・ラムダ(ピットブル)
2位:デイヴィス・ファング(クラークソン)
3位:アレン・バーンズ(エヴァー・グラハム)


◇第8戦 イタリアGP ムジェロ・サーキット

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PP:ミケーネ・ポルボローネ(リナルディ)

カレンダー随一と言っても良い高速テクニカルトラック、ムジェロでのイタリアGP
は地元の雄が躍動した。予選PPはなんとリナルディのポルボローネ。予選全セッシ
ョンでトップ3に入り、見事初PPを獲得した。ポルボローネはスタートも決め、序
盤から後続を引き離しにかかる。かたや2番手スタートのラムダ、4番手スタートの
バトラーはともに1ストップを選択しており序盤は様子見。
しかし後続の有力勢が静観している間にも、ポルボローネは快調に先頭を行く。中盤
タイヤ交換でラムダにトップを明け渡すものの、セオリー通りのタイヤチョイスで戦
ポルボローネは、すぐにラムダに追いつきトップを奪う。またラムダと同じ1スト
ップ作戦のバトラーは、2セット目のハードが合わずに苦戦。下位に沈んでしまった。
レースは地元イタリアのポルボローネが見事なポールトゥウィン。リナルディに初優
勝をもたらした。一方で選手権を争うラムダは3位、ランキングトップのバトラーは
なんと8位に沈み、バトラーとラムダの差は6ポイントまで縮まった。

優勝:ミケーネ・ポルボローネ(リナルディ)
2位:デイヴィス・ファング(クラークソン)
3位:ニコ・ラムダ(ピットブル)


◇第9戦 オランダGP TTサーキット・アッセン

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PP:デイヴィス・ファング(クラークソン)

今季からカレンダーインしたオランダGP。シーズンはここアッセンから、第11戦
ブルノまで低速テクニカルサーキットが続く3連戦だ。PPは昨季、スウェーデン
低速コースでのマシンの戦闘力不足に戦意喪失し、レースをやめてしまったファング
が獲得。苦手な低速コースでも、マシンにムチ打ち最速ラップをたたき出した。
心配された「ダッチ・ウェザー」は鳴りを潜め、終始快晴で行われたレースはスター
トでファングが飛び出す。2番手ラムダを巧みに抑え込むファング、ラムダはタイヤ
交換のタイミングをずらし徐々にファングを追い詰める。一進一退の攻防だ。一方ポ
イントリーダーのバトラーは予選で22番手に沈み、ソフトタイヤで追い上げを図る
も後方に封じ込められてしまう。
レースは中盤でついにラムダがファングを捉えトップに立つ。ラムダにかわされたフ
ァングはペースを維持できず、表彰台圏内から脱落してしまう。レースは後半一気に
セーフティリードを築いたラムダが今季3勝目。バトラーがポイント圏外でレースを
終えたため、ここにきてラムダがバトラーを逆転、19ポイントリードで選手権のト
ップに立った。

優勝:ニコ・ラムダ(ピットブル)
2位:ビル・リヴィエール(マルドゥーク)
3位:アレン・バーンズ(エヴァー・グラハム)


◇第10戦 スウェーデンGP アンデルストープ・サーキット

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PP:ニコ・ラムダ(ピットブル)

森の中のオールドコースで行われるスウェーデンGP、予選PPはまたもラムダが獲
得。ラムダは10戦中5戦でPPと、『予選番長』の名をほしいままにする。かたや
バトラーは13番手に沈む、バトラーは完全に第7戦以降、リズムが狂ってしまった
ようだ。
予選はくもりだったが決勝は雨、レースはウェットコンディションで行われた。この
レースで輝いたのは二人の新鋭、リヴィエールとカレッジである。まずスタートでは
フロントローカレッジが、ラムダのハナを叩きトップに立つ。カレッジはその後レー
ス前半をトップで引っ張る。また5番手スタートのリヴィエールも、滑る路面をもの
ともせずにペースアップ。トップ争いに加わってゆく。一方で選手権をリードするラ
ムダはリスクをおかさずポジションキープ、しかし雨が得意なバトラーは果敢に前を
うかがい、なんと接触事故に巻き込まれてしまう。レースは中盤戦、ミッションにマ
イナ―トラブルが発生したカレッジを、リヴィエールが抜き去りそのままトップでフ
ィニッシュ。NeXX初優勝を達成した。ラムダは結局7位フィニッシュ、ランキン
グ2位バトラーはリタイヤしその差は28ポイント差まで拡がってしまった。

優勝:ビル・リヴィエール(マルドゥーク)
2位:ファン・カレッジ(ガジャック)
3位:日向 俊郎(トライアンフ


◇第11戦 チェコGP ブルノ・サーキット

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PP:スティラノ・シエナ(リナルディ)

『欧州低速ラウンド』3連戦の最後は、カレンダー中最もアベレージスピードの低い
ミッキーマウスサーキット、ブルノで行われるチェコGPだ。ここでPPを獲得した
のはなんとリナルディのシエナ、2番手にはチャップマン、3番手日向と、低速コー
スの得意な面々が前方に並ぶ。一方選手権を争う面々はラムダ13番手、バトラー1
6番手、ファング17番手と後方からのレースとなった。
PPのシエナが序盤で燃圧トラブルにより早々と姿を消し、前半はチャップマンが引
っ張る展開。日向、バーンズ、ロッソが追いかけるが、チャップマンは2スティント
目のハードタイヤで苦戦。中盤にはロッソにトップを明け渡す。中盤に2度セーフテ
ィカーが出たレース、バトラーはこれを利してポイント圏内に浮上する。一方ラムダ
は中盤で接触し、このダメージがもとで終盤に単独スピン。結局マシンを停めリタイ
ヤを喫してしまう。
レースは中盤以降ロッソが引っ張るが、セーフティカーを利してオールソフト作戦を
取った日向が終盤戦に先頭に立ち、そのまま優勝。今季初優勝を飾った。選手権を争
う面々はバトラーが5位入賞したのに対し、ラムダはリタイヤ、ファングは14番手
と精彩を欠いた。

優勝:日向 俊郎(トライアンフ
2位:アレンザンダー・ロッソ(アントネッティ
3位:セドリック・タンデイ(ガジャック)


◇第12戦 ルーマニアGP ブカレストリンク(市街地)

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PP:ジャッキー・グーデリアン(マルドゥーク)

全7戦に及んだ『ヨーロッパラウンド』の最終戦がこのルーマニアGP。欧州戦線唯
一の市街地戦は、グーデリアンがPPを獲得する波乱の予選。しかし選手権を争う面
々はしっかりとその後ろに続く。ハーフウェットでスタートしたレースは、3番手ス
タートのバトラーが飛び出して引っ張る展開に。ラムダも3番手で追うが、雨が苦手
なPPスタートのグーデリアンは徐々に後退してゆく。レースは序盤で雨が上がるも、
レコードラインが浮き始めた頃にまた降雨という展開。選手権をリードするラムダは
リスクを冒すのを避け天候に合わせてタイヤを交換するも、バトラーは再度の降雨時
にタイヤ交換せずスリックでステイアウト。後続に対して大きなマージンを築く。
対して序盤バトラーを2番手で追っていたファングは、タイヤ交換のタイミングを誤
り8番手まで後退。かわって今季は開幕戦以降表彰台に上がっていなかったラスムッ
センが浮上、ラムダと激しい2番手争いを展開する。
目まぐるしく天候が変わったレースは、途中のハーフウェットをスリックで粘ったバ
トラーが第6戦イギリス以来久々の3勝目。ポイントリーダーのラムダは3番手に
とどまり、2位にはラスムッセンが入った。これで一時は28まで開いたラムダとバ
トラーのポイント差は8に縮まった。

優勝:アレックス・バトラー(マーキュリー)
2位;ケリー・ラスムッセン(ノルディック)
3位:ニコ・ラムダ(ピットブル)

◇第12戦終了時のドライバーズ
ランキング・トップ10

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◇第12戦終了時のチームポイントランキング・トップ6

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■NeXX Topix

◇4thシーズンからターボ導入決定!!NeXXの新エンジンフォーマット☆

NeXXでは現在、再生可能エネルギーにより水を電気分解することによって生成さ
れた液体水素燃料を使った、いわゆる『水素エンジン』を使用。これと制動エネルギ
ーを利用した回生機構を使ったハイブリッドシステムを組み合わせ、競技車の動力と
して使用している。しかしこの程フランスのTATOLをはじめとした燃料メーカー
が、産業レベルで発生する余剰水素とCO2を合体させて生成する『e-fuel』
のレース燃料としての実用化に成功した。これによりNeXXの使用エンジンは早け
れば4thシーズンより、この『e-fuel』を燃料として使用することになる。
とはいってもこの『e-fuel』のメリットは、従来の内燃機関の仕組みをそのま
ま適用できることにあり、燃料が変わったとてエンジン形式が大きく変わるわけでは
ない。しかしNeXXは、この究極のエコ燃料というべき『e-fuel』に関して
も、レースでの消費量をさらに抑え込まなければ、環境負荷対策として十分ではない
と考えた。そこで発議されたのがエンジンのターボ化、そしてハイブリッドシステム
との結合である。現在F1やインディカー、WECなど世界のトップカテゴリでもタ
ーボ+ハイブリッドのシステムは広く取り入れられているが、他カテゴリはガソリン
あるいはバイオエタノールなどの燃料を使用している。しかしNeXXは最も環境負
荷の無いモーターレースを目指し、『水素ハイブリッドターボ』システムの導入を決
断した。いわゆるF1でいう『パワーユニット』の燃料を水素に置き換えたものだ。
現在エンジンを供給するメーカーにはすでにこの旨は通達されており、各社4thシ
ーズンでの投入に向け開発が続けられているという。現在のNeXXの動力機構は従
来のレシプロエンジンと同構造のもので、各メーカー気筒数に違いはあれど一様に3
LのV型エンジンを採用している。しかし今後は総排気量、1気筒あたりの排気量に
上限が設けられ、ブレーキングエネルギーによる回生機構と組み合わせたユニットの
使用が義務付けられることになる。ここで4thシーズンから適用される『水素ハイ
ブリッドターボエンジン』について、概要にざっくりと触れておこう。

  『水素ハイブリッドターボエンジン規則』
  ・1気筒あたりの排気量は最大400ccまで
  ・総排気量上限は2.4Lとする
  ・気筒数上限は6とする
  ・上記を満たせばエンジン形式は問わず
  ・ロータリーエンジンの場合は単室容積600cc以下×4ローターまで
  ・過給機は2つまでとする
  ・これまで通りブレーキによる回生機構を搭載するf:id:pontsuka0729:20210510222845j:plain
     ★4thシーズン以降の『水素ハイブリッドPU』の構造。写真はV6シングルターボのもの

◇4thシーズンの新フォーマットに合わせ、エンジンメーカーの
           参戦枠上限を撤廃!!エンジン開発戦争は群雄割拠に!?

FNOは早ければ4thシーズンから、エンジンサプライヤーの参戦枠を撤廃すると
いう。これにより、参戦メーカーは大幅に増えることが予想される。なかには1チー
ムへの独占供給体制をとるメーカーも出てくるだろう。3rdシーズンまでは、コン
ペティションとしてのバランスを考慮し参戦メーカー数を制限してきたが、水素社会
へのコミットを目指すメーカーは確実に増えている。水素社会への貢献を目指す水素
協議会をバックボーンに持つNeXXは、水素を利用した技術開発の場でなければな
らない。それゆえFNOは4thシーズン以降、エンジンメーカーの参戦上限の撤廃
という決断を下した。現在各国の自動車メーカーが参戦の可能性を示しているが、N
eXXに興味を示しているのは自動車業界のみにとどまらない。
現在既に日本の発動機メーカーとして、自動車をはじめとする総合モビリティカンパ
ニー『SUGO』が、カムイと技術提携し3rdシーズンからの参戦を果たすことが
発表されている。更に主に航空機やスノーモービルなどで有名なカナダのコングロマ
リット企業、ロンバルディエなども興味を示しており、自社の主力産業である航空機
だけではなく、鉄道事業などの水素動力の開発にも注力する同社は、レースエンジン
開発によって得られる技術を多方面にフィードバックできると考えている。
そういった意味では4thシーズン以降のNeXXにはもしかすると、自動車企業以
外のメーカーも参戦しているかもしれない。すでにNeXXは水素技術で社会貢献を
目指す企業の、大きな実験場として注目を集めているのだ。
現時点で参戦の噂がある企業はドイツのガウディ、イタリアのマテラツィ、スウェー
デンのボルゴ、日本のフジなどの自動車メーカー、フィルモア、ロスワーズなどのエ
ンジンチューナー、そしてカナダのロンバルディエ、中国の瀋陽などの航空機エンジ
ンメーカーなど多岐にわたる。
はたして4thシーズン以降のNeXXは、どのような企業が参戦しているのか?今
後の展開に注目したい!!

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★NeXX参入を視野に入れるメーカーは、自動車メーカーだけではない。カナダのロンバルディエ社は
 航空機エンジンやスノーモービルなど幅広いモビリティに携わるコングロマリットだ。

◇4thシーズンから新メーカー参入!!アメリカの巨星デンプシーが参戦発表!!

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★4thシーズンからの参入が正式決定した、アメリモータースポーツの雄『デンプシー』。
写真左は同社会長のドジャー・デンプシー。写真右はインディカー、デンプシーチームのマシン。

NeXXはここまでシャシーサプライヤーをシグマテック、レラの2社としてきたが
同2社が新設計シャシーを投入すると合意した4thシーズンから、サプライヤー
3社に増えることがこの度決定した。アメリカンモータースポーツの巨星『デンプシ
ー』が、3つ目のシャシーサプライヤーとして4thシーズンより、NeXXに参戦
することが発表されたのだ。
今季序盤戦、ポールリカールでのテストウィークに渡米していたデイトン・ビル運営
統括部長は、デンプシー・グループと初交渉を持ち、その後も4度にわたる交渉を展
開。このたび4thシーズンからの供給契約を締結したと発表した。
5度目の交渉では同社の創設者にして現グループ会長の、ドジャー・デンプシーとも
会合を持ったことをあかしたデイトン・ビル運営統括部長は、4thシーズンから1
0年間のサプライヤー契約を締結したことを発表、今後の永続的な協力関係について
も合意を得たと満足げに語った。
「我々は4月以降実に5度も渡米し、デンプシー社と交渉を重ねた。そしてこの度つ
いにアメリカのモータースポーツの象徴ともいえる存在との、協力関係を結ぶことに
成功した。これはNeXXにとってだけではなく、モータースポーツ界にとっても世
界の自動車産業にとっても非常に大きな意味のあることで、大きな意義を持つ契約だ。
我々は今後のサステナブルな産業と娯楽提供について、業界の大きな期待を背負って
いるとともに大きな使命も背負っている。そして本当の意味での『水素社会』の実現
のためには、欧州の自動車文化と米国の自動車文化の大きな意味での融合が不可欠だ。
そういった意味で今回の契約締結には大きな意味があるし、今後世界が一つの大きな
目標に向かって突き進む意味で、今回の契約は大きな価値がある。
私は4thシーズンが今から待ちきれない。すでにアントネッティシェブロンとい
う米国の雄が活躍している我々のカテゴリに、デンプシー社の参戦は不可欠なピース
だ。デンプシーの参戦は、このカテゴリをさらなる高みへと導いてくれるだろう。」
とはデイトン・ビルの言葉。ビルならずとも、デンプシーの参戦には我々ファンの期
待も大きく膨らむ。4thシーズンが今から待ちきれない!!


◇ヨコスカ、第13戦アゼルバイジャンから新コンパウンドのハードタイヤ投入へ

ヨコスカがついに、第13戦アゼルバイジャンGPより新型ハードタイヤを投入する。
ヨコスカは第11戦チェコGPの舞台ブルノサーキットのパドックでプレスリリース
を出し、第13戦よりヨコスカユーザー全チームへ新型コンパウンドを採用したハー
ドタイヤの供給を開始する旨を通達した。
ヨコスカタイヤは、ライバルであるフランスのヴァシュロンタイヤに比べ、グリップ
で劣るものの耐久性では大きなアドバンテージがあり、昨季はシーズン通して6勝と
まずまず戦える手ごたえを得ていた。しかし予選方式がプレクオリファイ(PQ)を
含む4セッションでのノックアウト方式へ変更された今季は、ドライバーには予選で
のタイヤ戦略での駆け引きが求められ、タイヤそのものにはスプリント性能がより求
められるようになった。そこで大きく影響を受けたのがヨコスカのハードタイヤ。こ
れまでヨコスカのハードはレースでの耐久力は群を抜いているものの、熱の入りが遅
く作動温度領域が高くて狭い、そしてそもそものコンパウンドが固く、低グリップで
スプリント走行に向いていなかった。今季ヨコスカ勢は総じて予選で苦戦を強いられ、
決勝での勝利も未だ1勝のみ。ユーザーからは早急な改善を望む声が上がっていた。
ヨコスカの開発チーフ玉島裕久氏は「今季中に供給にこぎつけられてホッとしていま
す。第3戦ごろから各チームより要求が上がっていて、実際予選で各チームが苦しん
でいるのはわかっていました。我々は開幕当初今季のタイヤのコンセプトとして、ソ
フトはスプリント、ハードはエンデュランスという認識でタイヤを作っていました。
だけど現状のハードタイヤでは今季の予選を戦うのが難しくて、決勝の戦略に影響を
およぼしてしまう。これではトータルで見たときにレースを戦えない。今回はかなり
根詰めましたね(苦笑)。日本のファクトリーも大変でした。」と語る。
「スプリント性能はかなり改善されました。コンパウンドは今までより柔らかめのも
のにし、これまで115ー140度だった作動温度領域を105ー135度まで下げ、
使いはじめのフィーリングも今までより柔らかくなったはずです。それにより全体的
にややライフが短くなりました。なるべく『ガケ』を感じさせないよう仕上げたつも
りですが、これまでのハードよりは性能劣化が早く、段階的にグリップ低下が訪れる
ような特性のタイヤになりました。それでも各チームやはり、予選を戦えないと意味
がないという意見が多くこういうタイヤになりました。」
ヨコスカは第12戦ルーマニアGPの前に、ホッケンハイムで行われた3回目の合同
テストにこのタイヤを持ち込み、各チーム協力のもと最終テストをした。この新型ハ
ードタイヤの投入で、ヨコスカ勢は後半戦での巻き返しが可能になるか? まずは第
13戦アゼルバイジャンGPの予選に注目だ。

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★ユーザーの切実な声に応え、新コンパウンドの年内投入を決断したヨコスカ。写真右は開発チーフの玉

 島裕久氏。

 

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■PADDOCK PRESS

◇3rdシーズンからTATOLが選手権のタイトルスポンサーに!!

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★『e-Fuel』の開発で主導的な立場をとり、来季からNeXXのタイトルスポンサーとなることが決定した
 『TATOL』社。

NeXXはここまで、選手権シリーズとしては大きなタイトルスポンサーを持たず、
各GPにおける個別のタイトルスポンサーを冠してシリーズを展開してきた。しかし
来季からはフランスの国際石油資本であるTATOLが、タイトルスポンサーとなる
ことがこのほど公式に発表された。
TATOLは2017年のダボス会議にて発足しNeXXのバックボーンともなって
いる、『水素協議会』に名を連ねるステアリング・メンバーで、今後導入されるエコ
燃料『e-fuel』の開発において主導的な立場をとってきた。現在同じく協議会
のステアリング・メンバーとしてNeXXに参戦するロイヤルダッチ・シェルは、シ
ェブロンとの協力関係を結んでいるが、TATOLはエンジンメーカーとの協力関係
にとどまらず今後NeXX自体との協力関係を構築してゆくことになる。今後はNe
XXの技術部と協力し、様々な実験テストや新燃料の開発、また参戦各社へのサンプ
ルデータの提供などをおこなってゆくことになるという。
今後の水素社会の構築過程において、『スーパーメジャー』と呼ばれるエネルギー資
本の6社の中で、主導的な立場をとり続けたいTATOLの思惑が見え隠れするが、
現状協力関係にあるエンジンメーカーのピジョンが、NeXXではいささか苦戦気味
であることも影響しているか。いずれにしても、世界的企業が水素社会の構築、推進
に大きく寄与することは喜ばしいことだ。ちなみに来季からの選手権のシリーズ名は
『TATOL Formula NeXXtream World Champio
nship』となる。


◇ピットブル、第13戦アゼルバイジャンからボナパルトの起用を発表!!

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★かねてから噂のあったドライバー人事が現実に・・・
 写真左はついにアゼルバイジャンからピットブルのステアリングを握ることとなったボナパルト
 写真右、リザーブ降格となったマイネは、チーム内において難しい立場に。来季は移籍確実か・・・

かねてから囁かれていた噂が、ついに現実のものとなった。ピットブルチームがこの
程、第12戦ルーマニアGPのパドックで記者会見を行い、第13戦アゼルバイジャ
ンGPからフランツ・ボナパルトを起用することを正式に発表したのだ。
ラインナップから外れるのはもちろん、セカンドシートに座るドイツ人ルドルフ・マ
イネだ。マイネは第12戦を最後に、リザーブドライバーへと格下げとなる。
マイネは今年33歳でレーシングドライバーとしてはベテランの域に入るが、下積み
が長く30歳でF1デビュー。しかも9分9厘まで決定していたメ〇セデスチームと
の契約を、一方的に先方より破棄されてしまい、中堅チームで2年間を過ごした経歴
をもつ。昨季NeXXの開幕シーズンにピットブルより参戦、PP3回優勝1回を記
録しチームのタイトル獲得に貢献したが、今季は開幕戦含む2度の予選落ちを経験。
PP1回3位1回を記録するも精彩を欠き、チームの評価も高くはなかった。
一方マイネのかわりにセカンドシートに座るボナパルトは、今年25歳のフランス人。
F1でも若くして活躍し、その滑らかな走りとタイヤマネジメント含めた抜群の戦略
眼に定評がある。チームのボナパルトに対する期待値は非常に高く、シーズン序盤の
ポールリカールのテストでは、テストメニューの6割を彼に託したほど信頼も厚い。
選手権をリードするこの状況でNo.2ドライバーをチェンジするという決断をした
ピットブルだが、このことからもボナパルトへの評価の高さがうかがえる。
一方で期待値を下回るドライバーに対しては、見切りをつけるのが速いことでも知ら
れるピットブルチーム。精彩を欠くセカンドドライバーの降格には、何らの躊躇もな
かったようだ。
このままボナパルトが活躍すれば、来季は開幕からボナパルトがピットブルのシート
に座る可能性は高い。一方のマイネは唯一の移籍先候補として、カムイエンジンを擁
するトライアンフが挙げられている。F1でともに戦ったカムイの伝手に期待したい
マイネだが、トライアンフもセカンドライバー候補としては他に何人かの噂が上がっ
ており確実に移籍できるとは限らない。
F1で冷や飯を食い、NeXXで成功をつかみかけた苦労人の将来が、ここにきて不
透明な状況になってきた。果たして来季、マイネが座るシートはあるのだろうか?

プルトン、3rdシーズンカムイエンジン使用で合意!
             カムイの新バッジネームは『SUGO・カムイ』に!!

開幕からここまで2シーズン、フランスのピジョンと組んでNeXXを戦ってきたプ
ルトンチームだが、来季3rdシーズンから日本のカムイエンジンを使用することが
発表された。
マレーシアの自動車メーカーが母体のプルトンは、これまで自社の業務提携先として
交渉を進めていたピジョンと、NeXXでもパートナーシップを築いていたが、2シ
―ズン目の今季も苦戦が続いている。また以前もお伝えしたとおりプルトンとピジョ
ンの業務提携がご破算となってしまい、親会社のペトロナスピジョンエンジンの継
続使用に難色を示したこと、そしてそのペトロナスがNeXXにおいてカムイへの供
給契約を結んでいることから、来季からのカムイエンジンの使用が噂されていた。
また一方のカムイは、国内の発動機開発を中心としたモビリティ企業大手『SUGO』
と技術提携を発表。アジア圏を中心に供給先拡大を目指していた。これでカムイは来
トライアンフ、リナルディ、そしてプルトンの3チームへとエンジンを供給するこ
とになる。
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★SUGOと組んで体制強化のカムイは来季、3チームへの供給体制に。

記者発表は第12戦ルーマニアGP、金曜フリー走行時のパドックで行われた。会見
にはプルトンのチームプリンシパル、コニー・エルナンデスに加え監督のティム・ウ
ォーキング、マネージャーのゴードン・メッセンジャーが列席し、カムイ側からは最
高責任者の神麗華氏、そして来季SUGOよりカムイチームに派遣される開発責任者
の牧伸介氏が同席。ともに来季への見通しを語った。
「この度我々は、我々の明るい未来を予見させるファクターとして、非常に大きな契
約を手に入れた。アジア圏におけるこの文化の先駆者である、日本のエンジンメーカ
ーとの契約は、我々の想像力を大きく掻き立てるものだ。ここまで我々はこのカテゴ
リにおいてやや苦戦しているが、この新しい契約によって我々の未来が好転するであ
ろうことを私は確信している。カムイをプルトンチームの新しい『心臓』として迎え
入れられることを嬉しく思う。」とはエルナンデスの言葉。
対してカムイの最高責任者、神麗華嬢は「我々は『SUGO』というビッグカンパニ
ーとのパートナーシップを得、さらに既存の2チームに続きプルトンを3つ目の供給
先とすることができ、非常に嬉しく思っています。世界は水素社会へ向けて大きく動
いており、その中心には我々がいます。世界のモーターレーシングは常に、アジアに
対してその重い扉を閉ざしてきましたが、我々はリナルディという理解ある欧州チー
ムと協力関係を結ぶことができ、さらにアジア圏でのパートナーシップを拡大してい
ます。プルトンと我々の新しい関係は、アジアが自動車文化においても重要な存在に
なることを、世界へアピールすることになります。我々は今後世界の自動車産業にお
いて重要な存在となるでしょう。プルトンとはともにアジア経済圏を盛り上げてゆく
存在となることを期待しますわ。」と語った。
さらに麗香嬢は「来季我々は、新たに『SUGO・カムイ』というバッジネームでN
eXXに参戦します。我々のさらなる活躍にどうぞご期待ください。」と語り、来季
からはパートナーの『SUGO』の名をエンジンに冠することを発表。第8戦イタリ
アではリナルディのポルボローネが優勝し、今季も勝利を挙げたカムイ。来季はさら
なる飛躍を誓いプルトンとのパートナーシップを開始する。


◇チャイナドラゴン、来季チーム名を『ドラゴンフォース・チャイナ』
         へ変更!! シャシー、エンジンサプライヤーの変更もある??

チャイナドラゴン・チームの総帥李舜英は、第11戦チェコGP終了後の8月第2週
に滞在先のハイデルベルグのホテルで記者会見を行い、来季からチーム名を『ドラゴ
ンフォース・チャイナ・レーシング』へと変更することを発表した。
来季から世界的映画スターのジャッキー・チュン氏(無天老師様ではない)との共同
オーナー体制となる同チームだが、李氏は直接ジャッキー側と会談を持ち来季からの
チーム名変更を決定したという。
1週間後のホッケンハイム合同テストへ参加するため、ハイデルベルク市内のホテル
に滞在していた李氏は、記者会見で来季への抱負を語った。「皆さんもご存じの通り
来季から我々は、チームの共同経営者としてレジェンドアクターのジャッキー・チュ
ンを迎えます。そして来季からの体制変更にあたり、我々はチーム名を変更し新たな
決意で3rdシーズンに臨むことになりました。我々中国人は「龍の子孫」であると
いう民族的なアイデンティティを持っています。そして龍はかつて、皇帝の象徴でも
ありました。我々は文字通りの昇龍のごとく、NeXXの頂点に昇り詰めるという野
望を持っています。今回の体制変更が我々を頂点へと導く一助となるよう、大いなる
願いを込めてチーム名を『ドラゴンフォース・チャイナ・レーシング』へと変更する
ことを発表します。」
また李氏は、シーズン終了後に改めてジャッキー・チュン氏同席の記者会見を開くこ
ともプレスに約束をし、来季以降のサプライヤー見直しの可能性についても言及した。
「2ndシーズンも終盤戦に入り、残念ながら我々は昨季よりやや苦戦を強いられて
います。来季からの再飛躍を目指し、今季の残りの時間を使って様々なファクターの
見直しを図ります。もしかすると我々は来季、今季とは違うパッケージを手にしてい
るかもしれません。いずれにしても、来季の詳細なチーム体制が決まり次第また、改
めて皆さんの前で発表する場を設けたいと思います。その時には、未だ皆さんの前に
姿を現さない恥ずかしがり屋のカンフーファイターも、私の隣に座っていることでし
ょう。」と会場の笑いを誘った。今季は李氏の語る通り、昨年に比べるとやや苦戦し
ている感があるチャイナドラゴン。この体制変更で来季から大きく飛躍できるか?


◇ドイツのコンストラクター『シュトロゼック』、ロムニ・ダキア買収を画策!!

ドイツのレーシングコンストラクター『シュトロゼック』が、ロムニ・ダキアの買収
を画策していることがわかった。この買収話は第10戦スウェーデンGP終了後に明
らかになったもので、早ければ3rdシーズンの開幕までには買収手続きが完了する
ものと見られている。
シュトロゼックとはドイツのモビリティ企業『シュトロブラムス』創業者、ウォルフ
ガング・ハイネルの息子であるフランツ・ハイネル率いる新興レーシングコンストラ
クター。シュトロゼックはレーシングドライバーであったハイネルが、引退後に立ち
あげたプロジェクトで、近年ではWECのLMH(ハイパーカー)クラスをはじめ様
々なカテゴリで活躍。今回ハイネルは、自身の野望である「トップフォーミュラ進出」
の夢を叶えるべく、ロムニ・ダキア買収に動いたという。
ロムニ・ダキアルーマニアの実業家ミルセア・トゥドールが立ち上げ、1stシー
ズンでは第16戦日本GPで優勝を果たした。しかしシーズンを通しては、年間ラン
キングは12チーム中10位と苦戦した。2ndシーズンもここまで12戦を終え1
4位と苦戦を知られている。運営規模はプライベーターとしての域を出ず、運営予算
も他チームに比べると決して多くはない。また、オーナー自身がレースに関しては素
人で、チームとしての戦える組織づくりにも苦労していた感がある。今回シュトロゼ
ックはロムニ・ダキア側に対し、チームの完全買収ではなく共同運営体制への移行を
提案しているといい、レーシングチームとしてのノウハウの提供のかわりに技術的フ
ィードバックを得ることが参画の目的だという。
ロムニ・ダキア側はこの話には前向きに応じているといい、うまくまとまれば来季に
は新体制での参戦となる。シュトロゼックがどの程度チーム運営に関与するのか、ロ
ムニ・ダキア側に提示された条件は明らかにされていないが、チーム運営に関するノ
ウハウを提供する旨の話が進んでいるようであれば、シュトロゼック側はかなり踏み
込んだところまでチームの運営方針に関与してくる可能性が高い。
3rdシーズンを迎えるにあたり各チームが、本格的に今後の長期的戦略を練り直し
ている今。今後もこのような話が他チームから出てくる可能性もある。ひとまずロム
ニ・ダキアの今後の動きに注目したい。

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★シュトロゼックのボス、フランツ・ハイネル氏はロムニ・ダキアの買収という手段でNeXX進出を画策。
 買収話にはロムニ・ダキア側も乗り気だというがはたして・・・


◇ティルクム、クラークソンを離脱!!クラークソンは
         第13戦アゼルバイジャン以降リザーブのソリスを起用!!

全18戦の長丁場の選手権ともなると、シーズン終了を待たずしてドライバー交代を
行うチームもちらほら見受けられるNeXX。昨季はエヴァー・グラハムをはじめプ
ルトン、チャイナドラゴンなどがシーズン終盤で2ndドライバーを交代させ、今季
はすでにピットブルがマイネにかわりボナパルトを起用する旨を発表しているが、ク
ラークソンも2ndドライバーを交代させるようだ。
クラークソンは第11戦チェコGPのパドックで、第13戦アゼルバイジャンGPか
ら2ndドライバーを交代する旨のプレスリリースを発行した。クラークソンは第1
3戦以降、セカンドシートにリザーブドライバーのイギリス人、リンド・ソリスを起
用するという。これにより、第12戦まで2ndシートに座っていたアリエル・ティ
ルクムがリザーブにまわることになるのだが、ティルクムはそのままクラークソンと
の契約を解除。チームを離脱するという。
23歳のイギリス人ティルクムは、過去にF3マカオGPを連覇した実力の持ち主だ
が、選手権3位につけるエースのデイヴィス・ファングに対し、1度の入賞4ポイン
トにとどまり実に6回の予選落ちを喫するなど、ここまでは当初の期待とはかけ離れ
た散々な戦績に終わっている。この惨状に業を煮やしたチーム側が、ティルクムとソ
リスの交代に踏み切ったようだ。しかし、ティルクムはチームの2ndドライバーに
対するサポート体制に大きな不満を抱いており、リザーブへの降格を良しとせずその
ままチームを離脱することを決め、契約を解除してしまった。
クラークソンがエースドライバーのファングと2ndドライバーに、明確な待遇差を
設けているという噂は、実は昨季から上がっている。昨季同チームの2ndシートで
参戦していたジョルディ・ヴァッセルが、ファングに大きな成績差をつけられたのは
チームから充分なサポートを受けていなかったからだと言われている。クラークソン
は昨季開幕前スポンサー交渉が思いのほか不調に終わり、当初の予定の2/3程度の
予算での運営を強いられていた。その為アップデートパーツの使用は全てファングに
優先権があるなど、明確な待遇差をつけざるを得なかったというのが実情だが、今季
もファング最優先のチーム体制は変わっていないようだ。今季NeXXを離脱したヴ
ァッセルが、F1で活躍しているのを見るとその噂もうなずける。また、今回のドラ
イバーチェンジに関して、クラークソン側が会見を開かずプレスリリースのみで発表
を済ませたことも、プレスのチーム体制への突っ込んだ指摘を回避する為だとの見方
が大勢を占め、クラークソン側のやり方はプレスの顰蹙を買っている。
若いソリスがGPデビューすることは喜ばしいが、クラークソンのチーム体制の実情
を知ると素直に喜べないのもまた人情。チームがこのままの体制を維持するならば、
あたら若い才能をまたNeXXから離脱させる要因となるかもしれない。かといって
チームがファング中心の体制を変革させることで、ファングの成績が伸び悩む状況に
なればそれはそれで問題だ。クラークソンは今チーム運営において、大きな岐路に立
たされている。

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★写真左、アゼルバイジャンからクラークソンのステアリングを握るリンド・ソリス。英国期待の若武者だ。
 写真右はルーマニアGPを最後にクラークソンから去るティルクム。戦績は散々だったがチームが彼を活か
 しきれなかったのもまた事実・・・


◇4thシーズンからドイツGP開催の噂!?
             シュトロゼック参戦ならルーマニアとの隔年開催か?

ルーマニア国籍のロムニ・ダキアチーム買収を画策している、ドイツのレーシングコ
ンストラクター『シュトロゼック』。もしこのシュトロゼックがロムニ・ダキアの買
収に成功した場合、4thシーズンからカレンダーにドイツGPが加わるかもしれな
い。かねてから開催候補の一つとしてFNOがリストアップしていた、ホッケンハイ
ムでのドイツGP開催計画が現実のものとなりそうだ。
シュトロゼック総帥のフランツ・ハイネルは、NeXXへの参戦が叶った場合地元ド
イツでのGP開催を、FNOに働きかけてゆくつもりのようで、AvD(ドイツ自動
車クラブ)と懇意であるハイネルは、マネージングディレクターのリュック・ライツ
・リンデルンとコンタクトを取り、NeXXドイツGP開催に向けて動いているとい
う。当のリンデルンもすでにFNOの主要人物と会談を持ったといい、現在F1など
主要選手権のカレンダーから外れているホッケンハイムでの開催を提案する用意があ
ると語る。
NeXXの興行面を取り仕切るFNOのマネージングディレクター、ハーディー・フ
ラッシュはこう語る。「シュトロゼック側とは何度か会談を持っているよ。彼らの今
後のNeXXへの様々なコミットメントについてね。彼らは我々のカテゴリに参戦し
たがっているし、そうなれば当然彼らは地元でGPを開催したいと願うだろう。彼ら
がいつどのような形で参戦するか現段階ではわからないが、自動車文化の創成期から
現代までこの業界において常に世界で最も重要な地位にある、ドイツのチームの参戦
はNeXXにとって大きな財産になるのは間違いない。そうなれば、ドイツGPの開
催は必須事項と言えるよ。」と語る。
「そうはいっても現段階ではほかにも、新しい開催地候補はいくつかあるし、現在の
全18戦というレース数は今後しばらく変更するつもりはない。もしドイツGPを開
催するならば当面は、どこかと入れ替えで隔年開催になるんじゃないかな? 例えば
オランダやルーマニアあたりとね。」と含みを持たせた。
現在ドイツGPはF1のカレンダーからも外れている状態、NeXXのカレンダーに
入ることになればドイツのレースファンには待ちに待った、久々の世界選手権開催と
なるだけに、この開催計画は喜ばしい話題だ。ロムニ・ダキアの買収話と連動しての
動きになるだけに、それぞれの今後の動きを注意深く見守っていきたい。

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★現在F1のカレンダーからも漏れている『ドイツGP』。ドイツのレースファンは、再びホッケンハイム
 フォーミュラの世界選手権が開催されるのを心待ちにしている。

 

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■Hot Stove League

1stシーズン終了後には目立った移籍劇なく2ndシーズンの開幕を迎えたNeX
X、しかし今季は序盤戦からストーブリーグがにぎやかだ。1stシーズンにアレン
ザンダー・ロッソの移籍以外に大きな動きのなかった移籍市場だが、2シーズン目を
迎えた今季は各チームともドライバーの実力の見極め時期を迎えており、さらに今季
から参戦チームが増えたことも影響し移籍市場は盛況だ。シーズンも終盤戦を迎え、
すでに2ndドライバーのシーズン中の交代を発表したチームもある。また、今季デ
ビューのNeXXルーキーには有望株が多く、来季以降の体制強化を画策するチーム
間での争奪戦も予想される。ここでは、現在パドックで飛び交っている移籍の噂を総
括し、その動向を探り来季のラインナップを予想してみようと思う。


★来季の予想布陣(◎:本命、確定 〇:有力候補 ▲:可能性有 
                 △:可能性薄 ×:大穴 ☆:希望的観測)

□ピットブル・エクストリーム・レーシング
 ◎No.1:ニコ・ラムダ(AUT) 
 ◎No.2:ミシェル・ボナパルト(FRA)

□マーキュリー・レーシング・オーガナイゼーション
 ◎No.1:アレックス・バトラー(IRL)
 ×No.2:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ×     ジョルディ・ヴァッセル(ENG)??

エヴァー・グラハム・レーシング 
 △No.1:アレン・バーンズ(AUS)??
 〇     カーティス・マルケーナス(AUS)??
 〇No.2:ジェストン・バロン(ENG)

トライアンフ・スクエアジャパン・レーシング
 ◎No.1:日向 俊郎(JPN)
 〇No.2:ルドルフ・マイネ(GER)??

アブラモビッチスタンフォード・レーシング
 〇No.1:ジョンブル・チャップマン(ENG)
 ▲No.2:フェリオ・デ・ランジェリス(ITA)??
 △     アレン・バーンズ(ASU)???

プルトン・オートスポーツ
 〇No.1:トゥーリ・ヴィックス(EST)
 ▲No.2:ジョルディ・ヴァッセル(ENG)??
 ☆     メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

□スクーデリア・リナルディ
 ◎No.1:ミケーネ・ポルボローネ(ITA)
 ◎No.2:スティラノ・シエナ(ITA)

□クラークソン&メイ・ハモンド・レーシング
 ▲No.1:デイヴィス・ファング(ENG)??
 △     ジェストン・バロン(ENG)??
 ×No.2:ジョルディ・ヴァッセル(ENG)??
 ×     リンド・ソリス(ENG)??

□ロムニ・ダキアオートスポーツ(シュトロゼック??)
 △No.1:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ▲     シュテフェン・バロシュ(GER)??
 ×No.2:アレオ・ファーシマス(LUX)??
 ☆     メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

ドラゴンフォース・チャイナレーシング
 ◎No.1:宋 昇龍
 ▲No.2:ジョリー・セプター(SAF)??
 ▲     ゾルタン・ゲラ(HUN)??

□ノルディック・モータースポーツ
 〇No.1:ケリー・ラスムッセン(DEN)??
 ▲     トニー・ペーダーセン(SWE)??
 ◎No.2:ミック・ハイデンフェルド(GER)

□サントス・ロコ・オリベイラ・レーシング
 ☆No.1:アンドレアス・サントス・フィリオ(POR)??
  ※ラ・ポルタは2nd限りで引退、アドバイザー就任の噂あり 
       アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(BRA)??
  ※ラ・ポルタ引退の場合、サントス・フィリオがNo.1昇格か??
 ×No.2:TBA

アントネッティオートスポーツ
 ◎No.1:アレンザンダー・ロッソ(USA)
 〇No.2:ファン・カレッジ(FRA)??
 △     フェリオ・デ・ランジェリス(ITA)??
 ▲     ゾルタン・ゲラ(HUN)??

□マルドゥーク・レーシング・ドバイ
 ◎No.1:ビル・リヴィエール(CAN)
 〇No.2:ジャッキー・グーデリアン(USA)??
 ▲     ファン・カレッジ(FRA)??
 △     ゾルタン・ゲラ(HUN)??

□ガジャック・ルルーシュ・スポール
 〇No.1:セドリック・タンデイ(FRA)??
 ×     ヴィヴィエ・ピノーリ(FRA)??
 ☆     キャッシュ・サフィー(FRA)??
 ☆     ラモン・ゴーギャン(FRA)??
 ▲No.2:ファン・カレッジ(FRA)??
 △     カタル・アファル(MOL)??
 ×     フィエール・ガシュレー(FRA)??

        

◇有力ドライバーの動向は??

来季もタイトルを争うであろう有力ドライバーには、大きな移籍はなさそうだ。ラム
ダ、バトラー、ラスムッセン、そしてリヴィエールあたりはすでに残留が決定、もし
くは濃厚だ。やや動向が不透明なのはファングとバーンズ、そしてセプターあたりだ
が、気まぐれ自由人のファングもなんだかんだでクラークソンの居心地がよさそう。
ある程度好きに振舞える、よく言えば自由な家柄のチームだし、チームが誰を置いて
もファング最優先な体制なのも好影響。
問題はバーンズの去就か。『F1四天王』と呼ばれるF1王者経験者ながらここまで
未勝利のバーンズ、今季は昨年よりも活躍している印象はあるがF1王者としての実
力は出し切れていない。また、ここにきてマーキュリーがマルケーナスの放出をほの
めかしており、チーム側が将来性のある同郷のドライバーをエースに迎えるのではと
の憶測も飛んでいる。同じく将来性のあるバロンは残留を望まれているという噂、玉
突きでバーンズがはじき出される可能性は十分ある。
またチャイナドラゴンのセプターの去就も微妙な状況だ。昨季、今季と1勝ずつを記
録し、レース巧者ぶりも発揮しているが今季の走りには昨季ほどの速さは見られない。
また、チームの体制変更が去就にどう影響するかも未知数だ。今季の予選方式に苦戦
している様子も見て取れ、本人としても予選から勝負できるヴァシュロン勢への移籍
を画策しているとの噂も。バーンズやセプターが移籍するようなことになれば、チー
ム間のパワーバランスに大きく影響する可能性大だがはたして? 仮にもF1王者経
験者がNeXXからフェードアウトするような事態にはなってほしくはないが・・・


◇マーキュリーのセカンドシートには誰が座る??

これまでドライバーラインナップに一切言及してこなかったマーキュリーチームだが
ここにきてチーム関係者がマルケーナスの放出をほのめかす発言をし始めた。チーム
マネージャーのイアン・アンダーソンは「2シーズン続けて、大きな可能性とそれに
見合う力を持ちながらチームタイトルをみすみす逃すのは、看過できないね。二人の
ドライバーはよくやっているが・・・ それにしてもカーティス(マルケーナス)は
どうしてしまんだろうね? 我々は「8マン」など求めていないよ(マルケーナスの
8位入賞4回を皮肉って)。」と、露骨にマルケーナスの働きぶりへの不満を露わに
する。中盤にさしかかってバトラーの失速もあり、チームタイトルでトップをゆくピ
ットブルに水をあけられはじめた現状、二人のドライバーにハッパをかける意味もあ
るであろう発言だが、チーム首脳がマルケーナスの働きぶりに不満を抱いているのは、
バトラーとのポイント差からも理解できようというもの。これに伴いマルケーナスと
同郷のチーム、エヴァー・グラハムがバーンズを解雇し、マルケーナスを招聘すると
の噂もある。しかし仮にマルケーナスがチームを去った場合、後釜には誰が座るのだ
ろうか?
一時ファン・カレッジの獲得を狙っているとの噂があったが、カレッジの獲得に関し
てはアントネッティが熱心に動いており、マーキュリーの動きとはやや温度差がある。
またあくまでもF1時代からバトラーをエースとして奉ってきたチーム、バトラーと
同格のバーンズやセプターをセカンドシートに迎えるとは考えにくい。チームタイト
ルを狙えてバトラーの地位を脅かさないという、絶妙なバランスを持ったキャラク
ーが求められるマーキュリーのNo.2シート、一体誰が座ることになるやら・・・
第12戦を最後にクラークソンを離脱するティルクムの去就なども気になるがはたし
て???


エヴァー・グラハムのエースドライバーは誰??

来季のエヴァー・グラハムのNo.1シートには誰が座っているだろうか? 『F1
四天王』として期待されたアレン・バーンズが、思いのほか活躍できていない現状が
バーンズ『フェードアウト説』の明確な根拠だ。
記念すべき1stシーズン、大きな注目を浴びたバーンズは開幕から2戦連続予選で
下位に沈み、決勝でも低調なパフォーマンスに終始した。その後復調しシーズン計9
度の入賞を果たすものの未勝利に終わり、表彰台も2位、3位それぞれ1度ずつにと
どまった。今季はここまで12戦で予選PP1回、決勝3位2回含む入賞5回と活躍
を見せるも未だ優勝はなく、2度の予選落ちも喫した。チーム側の評価も下降気味だ。
またチーム側はすでに来季をにらみ、マーキュリーからマルケーナスの引き抜きを画
策しているという。今季セカンドシートに座るバロンも、経験不足は否めないものの
随所に光る速さと、優れた戦略眼、卓越したタイヤマネジメント能力を発揮しており
バロンを1シーズンで手放すとは考えにくい。となるとマルケーナスの移籍に伴い、
バーンズがはじき出される可能性は高い。現状バーンズの残留の可能性は非常に低い
と言わざるを得ない。仮にここから優勝を果たすような活躍を見せようとも、終盤戦
の活躍で挽回できるほどバーンズの評価は高くないのだ。
逆に地元でのレースぶりを知っているマルケーナスに対しては、チーム首脳の評価は
高い。来季27歳という年齢にも将来性という魅力を感じているようだ。
それぞれの所属チームで低評価に甘んじる二人だが、結果このシート争奪戦はマルケ
ーナスに軍配が上がりそうだ。

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★今季はマーキュリーで精彩を欠くマルケーナスだが地元チーム、エヴァー・グラハム首脳陣の評価は高い。
 果たして来季の移籍はあるか?


◇スートブリーグの注目株、ゾルタン・ゲラとファン・カレッジの去就は??

今季のストーブリーグで一番の目玉はゾルタン・ゲラと、ファン・カレッジの去就だ
ろう。ゲラは昨年の日本GPの優勝含む3度の表彰台、そしてカレッジは今季予選で
2列目以内2度と雨のスウェーデンGPでの2位表彰台で、一躍有力チームの関心を
攫った。
ゲラは昨季優勝1回2位2回含む6度の入賞で73ポイントを獲得、今季はここまで
入賞3度と苦戦しているが予選でフロントローを獲得するなど、速さの片鱗を見せ続
けている。そしてカレッジの魅力はなんといってもウェットコンディションでの走り。
第2戦、大雨のインドネシアGP予選ではデビュー2戦目で2列目4番手に食い込み、
第10戦スウェーデンGPではドライコンディションの予選でフロントロー2番手、
そしてウェットとなった決勝で2位表彰台と、雨で抜群の速さを見せた。いずれもチ
ームはシグマテックとピジョンのパッケージ、戦闘力で他チームに劣るパッケージだ
が、時に上位勢を食うパフォーマンスを見せる二人に注目が集まっている。
ゲラについては様々な噂が飛び交っているが、どれ一つとして信憑性のあるものはな
い。上がっている移籍先候補はマーキュリー、ドラゴンフォースアントネッティ
マルドゥーク。しかしどれも他に競合がおり、有力な裏付けにも欠ける。また来季か
らシュトロゼックとなる可能性のあるロムニ・ダキアに、残留するのではとの噂もあ
る。ハンガリー人である彼は、有力なスポンサーやサプライヤーの伝手もなく、Ne
XX以外のトップフォーミュラでの実績もないため、去就の動向を見極めにくい。
しかし彼の実力に疑いの余地はなく、現状来季のセカンドシートの去就が不明なチー
ムが移籍先候補として挙がっている状態だ。しかし現状空いている席はあくまでもセ
カンドシート、果たしてゲラがNo.2ドライバーという立ち位置を受け入れるかど
うかが移籍のカギとなるだろう。となると来季の体制変更いかんによっては、ロムニ
ダキア残留の目もある。しかし、本誌としては戦闘力のあるマシンで、ゲラの実力
を見てみたいところ。マーキュリーあたりへの移籍を期待したい。
カレッジについては、獲得に向けて積極的に動いているのはアントネッティだ。開幕
戦でいきなりロッソが優勝を飾ったアントネッティは、セカンドシート次第では来季
チームタイトルを争えるパッケージだ。しかし今季はリンドホルムが大苦戦しており、
センセーショナルなデビューを飾った割にその後の成績は伸び悩んでいる。そのため
セカンドシートに実力者を求めているのだ。他にはマルドゥークなども興味を示して
いたが、グーデリアンが残留濃厚のため移籍先としてはアントネッティに絞られた。
そもそもガジャックとしてはカレッジを手放したくないところだが、サラリーとマシ
ンパッケージを考えたときにカレッジに移籍を拒む理由はないだろう。
移籍市場でもっとも注目の二人だが、ゲラの去就は未だ不明、カレッジについてはア
ントネッティへの移籍濃厚というのが本誌の見解だが、実際はどうなるだろうか??

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★今季の移籍市場の目玉である二人。写真左のカレッジにはアントネッティが熱心にアプローチ。近々正式移
 籍の発表があるとも? 写真右のゲラは複数チームが争奪戦を繰り広げているが、未だ移籍に関する決定的
 な情報はない。チームの来季の体制如何ではロムニ・ダキア(シュトロゼック)残留もある?


◇1stシーズンに参戦したドライバーの復帰はあるか??

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★複数のチームが復帰の為のシートを用意していると噂のヴァッセル。しかし本人はF1をエンジョイしてい
 るもよう。復帰の可能性は薄い・・・

記念すべき1stシーズンに参戦したドライバー達の、カムバックはあるだろうか?
現状噂が浮上しているものとして、1stシーズンはクラークソンから参戦していた
イギリス人、ジョルディ・ヴァッセルの復帰が噂されている。
ヴァッセルは今年24歳のイギリス人で、現在はウ〇リアムズチームからF1に参戦
し活躍しているが、強豪メ〇セデスをドライブした際には速さの片鱗を見せつけた。
クラークソン在籍時は入賞わずか3回と精彩を欠いたが、第14戦タイでは3位表彰
台を記録。またクラークソンがエースのファング最優先体制だったことを考えると、
当時のリザルトはヴァッセルの真の実力ではないと言える。そのため、もう1度Ne
XXで走らせてみたいと考えるチームが、ヴァッセルの復帰を画策しているという。
候補としてはマーキュリー、プルトン、クラークソンなどだ。特にプルトンは来季カ
ムイエンジンを獲得し、体制変更もある。エストニア人のヴィックスは残留濃厚とい
われており、実現すれば非常にフレッシュなラインナップとなる。また、マーキュリ
ーのような戦闘力のあるパッケージでの走りも見てみたい気がする。それにしてもク
ラークソンはどういうつもりで再獲得を狙っているのだろうか? 昨季の待遇を考え
るとまず古巣復帰は無いと見て良いだろう。
また、昨季シーズン終盤でチャイナドラゴンを解雇された、カタル・アファルの復帰
の噂もある。モロッコ王室と遠縁の彼は、明らかに実力不足だったがそれでも3度の
入賞を果たしシーズン中に大きな成長を見せた。レースに取り組む姿勢は真摯で、好
感の持てる若者だった。今季はインディ・ライツに参戦し実力を磨いている。彼には
いくつかのモロッコ企業がスポンサーとしてついており、ガジャックが獲得を検討し
ているとの噂がある。
いずれにせよ噂の域は出ないが、記念すべき1stシーズンを彩ったメンツがカムバ
ックするとなれば、NeXXとしては歓迎だろう。さらに以前よりも実力をつけて帰
ってくとなればなおのことだ。こちらも今後の動きに注視して行きたい。
ちなみに昨季リナルディから参戦していたギリシャ人ドライバー、イオリディス・ニ
ニアディスは来季リナルディのリザーブドライバーとして、NeXXにカムバックす
ることがすでに決まっている。


◇『F1四天王』に続く大物F1パイロットの参戦はあるか??

記念すべき1stシーズンの開幕以来、数々のドライバーが参戦してきたNeXX。
1stシーズンには様々な経歴のドライバーが終結したが、その中でも大きな注目を
集めたのがN.ラムダ、D.ファング、J.セプター、A.バーンズの、F1王者経
験者、通称『F1四天王』だ。その他にもR.マイネやA.カブロン、D.グリエコ
等のF1経験者が多数参戦、最後まで選手権を争ったのはラムダの他はF1王者未経
験のA.バトラーとK.ラスムッセンだった。
2ndシーズンとなる今季はさらにB.リヴィエールやC.タンデイといった大物を
初め数多くのF1経験者が参戦しており、終盤戦からはF.ボナパルトの参戦も決定
しているが、来季のF1からの流入はあるだろうか?
現状来季から、もしくは今季終盤から来季へかけての大物の参戦はボナパルト一人だ
が、他に現在浮上している噂について検討してみたい。
現在上がっている噂としては基本的にガジャック絡みのもの、そしてノルディック絡
みのものに限定される。まずピットブルのボナパルト起用は本来3rdシーズンから
の予定であったが、ご存じの通りチーム判断で前倒しとなった。そしてそれ以外のチ
ームで、現役F1ドライバーと交渉しているという噂は入ってこない。NeXXはす
でに主力の移籍がカテゴリ内をメイン市場として行われるほど、いちカテゴリとして
移籍市場が成立する状態だ。各チームが各々の戦力強化のため、躍起になってF1ド
ライバーを欲しがるという状況はすでにないのだ。
そんな中様々な噂が上がっているのがガジャックだ。ガジャックは今季滑り込みでエ
ントリーを果たしたチームで、体制を整える間もなくシーズンに突入した。そのため
望外の活躍を見せ早くから有力チームの注目株となった、カレッジを引き留めるだけ
の戦闘力と報酬を来季用意できない可能性が高い。タンデイに関しても丁度ルノ〇の
シートを失っタイミングでのオファーだったため、とりあえずの単年契約だったとい
う側面がある。そのため下手をすれば来季はドライバーを二人とも刷新しなければな
らない可能性がある。幸いチームの首脳陣はまるっと旧F1ルルーシュチームのお歴
々だ、地に足をつけて臨める2シーズン目には、長期展望でF1経験者を連れてくる
可能性が考えられる。
現状噂が上がっている現役F1ドライバーは以下の4人だ↓↓↓。

・ヴィヴィエ・ピノーリ(FRA) 現フェラ〇リ所属
・キャッシュ・サフィー(FRA) 現ティ〇ル所属
・ラモン・ゴーギャン(FRA) 現ルノ〇所属
・フィエール・ガシュレー(FRA) 現アル〇ァ・タウ〇所属

上記4名はいずれも現在、所属チームでの去就が微妙な面々だ。ピノーリは王者経験
こそないもののF1で3勝をあげている実力者。派手さはないが確かな実力を持って
いる。しかし、フェラー〇時代にチームメイトだったマルドゥークのリヴィエールと
の間に遺恨を抱えており、NeXXへ参戦してくるかは微妙なところだ。
F17勝のサフィーは所属チームのティレ〇が、運営状態の悪化から今後の継続参戦
が不透明な状況。チームの存続が難しくなればこちらに流れてくる可能性はあるが、
F1リ〇ェチームとも交渉を持っていると伝えられ、可能性としては五分五分といっ
たところか。他の二人、ゴーギャンとガシュレーについてはガジャックのNo.1シ
ート次第というところだろう。F1未勝利の二人、特にガシュレーは現在22歳と経
験の浅いドライバー。速さよりも『荒さ』がフィーチャーされがちなゴーギャンも含
め、No.1シートに信頼できるベテランがいない状態で獲得するにはリスクが高い。
そういった理由からこの4名の候補については、未だ話が進んでいないというのが実
情だ。
現状ガジャックの来季の体制については、流出が確実なカレッジは致し方ないとして
もタンデイの残留に最大限注力しつつ、2ndシートにイキの良い若手を持ってくる
というのが最大のテーマとなっている。そのため、様々な噂は囁かれているが、どれ
ひととっても不確定で、ガジャックにF1経験者が来るかどうかは不透明だ。

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スウェーデン出身のF1パイロット、ペーダーセン。「スーパースウェード」とあだ名される、アグレッシ
 ブな走りが魅力だ。ノルディックが獲得を目指しているという噂もあるがはたして・・・

そしてもうひとつ上がっている噂が、ノルディックへのT.ペーダーセンの移籍だ。
ペーダーセンも前述のサフィー同様テ〇レルに所属、チームの運営状況の悪化で来季
のシートが不透明な状態だ。ペーダーセンはスウェーデン出身のため、今季成績の伸
びないラスムッセンの代わりに来季ノルディックが起用するとの憶測があるが、現状
ノルディックチームは来季も同様のラインナップで臨むことを間もなく発表する予定
であるという。またペーダーセンもティレ〇からロー〇スへの移籍を画策しており、
NeXXへ流れてくる可能性は低い。
結果来季は新たな大物F1ドライバーの参戦は、ボナパルト以外にはなさそうだ。し
かし、大物F1ドライバーの参戦などなくとも、NeXXは既にF1に比肩する人気
とレベルを備えている。ボナパルトが加わりますます激化する、来季のタイトル争い
が今から楽しみだ。

中堅チームが注目する女性ドライバー、
              メロディ・パトリシア・ノーマンとは何者か??

来季のストーブリーグに、異彩を放つ名前が挙がっている。それがメロディ・パトリ
シア・ノーマンだ。はたしてこの人物は何者なのだろうか?
名前を聞いてお分かりいただけるだろう、この人物は女性ドライバーだ。ノーマンは
現在23歳のオーストリアアメリカ人。10歳でカートをはじめ、19歳から2年
間はフォーミュラリージョナル・アメリカに参戦。今季はインディ・ライツに参戦し
なんとシリーズ2勝をあげているという才女である。幼いころ父親につれられ観戦し
たインディ500に衝撃を受けて、レースを始めたという彼女。インディ・ライツ
戦後は上位カテゴリであるインディカー・シリーズにステップアップ予定だが、Ne
XXもいくつかのチームが獲得を狙っているという。
現在モーターレースのトップカテゴリにおいては、F1は1991年のジョバンナ・
アマティ以来、そしてインディカーでは2019年のピッパ・マン以来女性ドライバ
ーは参戦しておらず、参戦が決定すればNeXXとしては初の女性ドライバーとなる。
獲得を狙っているのはロムニ・ダキアプルトンと言われている。

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★ノーマンは今年23歳の女性ドライバー。インディライツで2勝をあげた才女だ。参戦が決まればNeXX
 初の女性ドライバー誕生となるが?

 

2ndシーズンいよいよヨーロッパラウンドを終え、今後はユーラシア大陸を縦断し
て日本へと至るアジアラウンドへと突入。北米2連戦でシーズン終了を迎える。ドラ
イバーズ選手権はバトラーとラムダが8ポイントの僅差で争う展開、チームタイトル
も各々が所属するマーキュリーとピットブルの一騎打ちの展開だ。
しかし第13戦アゼルバイジャン以降最終戦までの6戦は、うち5戦が市街地戦とい
うカレンダー。最後まで何が起こるかわからない。NeXXを取り巻く様々な事象含
め目が離せない!!
次号は第16戦日本GP終了時の「アジアラウンド号」、その時にはチャンピオンシ
ップはどのような展開になっているだろうか? こうご期待!!

Formula NeXXtream 2ndシーズン・12

『Formula NeXXtream 2nd』
□第12戦 ルーマニア ブカレストリンク

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 1周:3.07km
 特性:「高速」「市街地」
 ターン数:25(99周)

NeXX2ndシーズンもついに終盤戦にさしかかり、昨季タイトルを逃したラム
ダのリードで迎えた選手権。第12戦の舞台は、第6戦から続いてきたヨーロッパ
ラウンドの最終戦、そしてヨーロッパラウンド唯一の市街地戦、ルーマニアGPだ。
舞台となるブカレストリンクは、ルーマニアの首都であり文化と経済の中心都市で
あるブカレストの市街地に敷設されたストリートコース。ドナウ川支流、トゥンボ
ヴィツァ川のほとりの街ブカレストにある、『国民の館』と呼ばれる国会議事堂の
周りを周回するレイアウトだ。1周3.07kmのショートトラックは、『国民の
館』を囲む3本の幹線道路を使用。コーナーといえば三つ角にある交差点と、途中
中央分離帯を利用した3つのレーンチェンジングシケインの他はゆるやかなカー
ブしかなく、非常にアベレージスピードの高いストップアンドゴーのハイスピード
ストリートトラックだ。2008年に一度行われたイギリスF3でのラップレコー
ドが1:13:361だったが、昨季のNeXXではラムダが0:51:624と
1分を大きく切るラップを記録。今季は50秒を切るのではと噂されている。
今季の選手権はここまで序盤戦絶好調だったバトラーが独走するかに思われたが、
ヨーロッパラウンドに入ってのバトラーは走りに精彩を欠き、逆にヨーロッパラウ
ンドに入って息を吹き返したラムダが18ポイントリードで第12戦を迎える。
ラムダは昨季ここでポールトゥウィンを飾っており、終盤戦の猛チャージへと繋げ
たが今季はどうか? 対するバトラーは前戦チェコで5位入賞したものの、第7戦
以降入賞は2度のみ、表彰台0回と悪い流れは払しょくできずにいる。3位のファ
ングとは29ポイント差あるものの、展開次第では2レースで逆転されてしまいか
ねないポイント差だ。
とはいえ今季もラムダvsバトラーが主役の図式は変わらず、そこにファングや昨
季もタイトルを争ったラスムッセン、そして日向や新参リヴィエールなども巻き込
んで激しい争いとなったタイトル戦線。そして前戦チェコで「欧州低速ラウンド」
3連戦が終わり、新たな流れに突入してゆく選手権終盤戦は何が起こるかわからな
い。果たしてこのルーマニアGPが終わった時点で、タイトル争いの行方はどうな
ってるだろうか? レースは思いもよらぬ大混乱の展開となった。


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:ジャッキー・グーデリアン(マルドゥーク)
前戦チェコではリナルディのシエナがPPを獲得するサプライズがあったが、今回
も予想外といえば予想外の人間がグリッド最前列に名を連ねた。新参マルドゥーク
グーデリアンだ。アメリカンモータースポーツ出身のグーデリアンは、高速サー
キットと市街地戦が得意。低速ラウンドが終わり、舞台が高速トラックに変わった
とたんに水を得た魚のように躍動した。2番手にラムダ、3番手にバトラーを従え
て堂々の初PP獲得だ。さらに4番手にファング、5番手にラスムッセンと選手権
を睨む面々も追随する。そして、今季ここまで参戦ドライバーで唯一のノーポイン
トで、来季戦力外の噂も出ているトライアンフのカジワラが6番手に食い込む。ス
トリートファイターの異名をとる市街地の名手が、実力の片鱗を見せた。
7番手以降はマルケーナス、ティルクム、カブロン、バーンズ、そしてマイネと来
季の去就が不透明な面々が好ポジションにつける。マイネはこのレースを最後にリ
ザーブ降格、そしてティルクムに至ってはこのレース限りでクラークソンを去るこ
とが決まっている。来季のシート確保のためにもここで良いところを見せたい。
ここ数戦の走りで期待されたリヴィエールは16番手と中団グループ、また開幕戦
以降なかなか2勝目を挙げられていないロッソも18番手。そして前戦で今季初勝
利をあげた日向が21番手と後方に沈む。また地元チームのロムニ・ダキア勢はフ
ァーシマス14番手、そしてゲラが25番手と苦戦。スウェーデンで表彰台に登っ
たカレッジが最後尾に沈んだ。
今回の予選落ちはバロン、ヴィックス、ポルボローネ、セプターの4台。この中で
来季の去就が微妙な状態なのがセプターだ。昨季は抜群の入賞率と安定感を見せた
が今季は大苦戦。今季2度目となるこの予選落ちは、はたしてセプターの今後にど
う影響するか?


<決勝レース>
終始うす曇りで展開した予選セッションだったが、決勝はセミウェットでのスター
トとなった。スタート前に軽いシャワーがあり、その後も小雨が降り続く状態。こ
れで予選での使用済みタイヤの消化義務はなくなり、全車インターミディエイトで
のスタートとなる。雨の苦手なグーデリアンにとっては、せっかくのPPが台無し
。対する3番手のバトラーには願ったり叶ったりの展開。4番手のファングも雨は
大得意。果たしてレースはどんな展開になるか?

◆タイヤチョイス
 全車インターミディエイト選択

 使用済みタイヤの使用義務リセット

PPのグーデリアンは案の定スタートで立ち遅れる、2番手ラムダもスローな立ち
上がり。対して3番手のバトラーは水を得た魚のような動きで飛び出し、4番手の
ファングもそれに続く。結果2列目の二人がポジションをあげトップにバトラー、
2番手にPPのグーデリアン、3番手ファング、ラムダは4番手へ後退する。
中段ではこのレースでクラークソンを去るティルクムが、マルケーナスをかわして
7番手にポジションアップ、雨の中のスタートだったが大きな混乱はなくレースは
スタートした。

スタートでトップに立ったバトラーは、ここ数戦の停滞を振り払うように快調なペ
ースでトップをゆく。逆にPPスタートをフイにしたグーデリアンは、バトラーの
ペースについてゆけず2ターン目にはファングにかわされ、さらにラムダにもポジ
ションを明け渡す。後方ではスタートで1つポジションアップしたティルクムにト
ラブル発生。ギアボックスからのオイル漏れで満足にペースを上げられない。後方
では、こちらも雨での速さに定評のある12番手スタートのサントス・フィリオが
躍動。マイネ、バーンズをかわして9番手に浮上、ポジションを3つ上げる。この
レースを最後に今シーズンのNeXXからフェードアウトするティルクム、マイネ
にとっては苦しい展開だ。

トップのバトラーは快調、2番手に浮上したファングはついてゆけず徐々に差が拡
がってゆく。3番手ラムダは無理に追わず様子見の状態だ。逆に4番手に浮上した
ラスムッセンに後ろからつつかれる。
3ターン目、ティルクムがピットインしマシンを停める。ギアボックスからのオイ
ル漏れは深刻で、レース続行を断念。今季最後のレース、そして久々の決勝レース
だったがあっさりとリタイヤしてしまった。

今後の天候変化を読みながらひとまず様子見の状態だったラムダだが、後ろのラス
ムッセンは雨が得意。4ターン目にはラスムッセンがラムダをかわして3番手に浮
上する。昨季は2勝をあげ、最後までタイトル争いに関わったラスムッセンも今季
は開幕戦の3位表彰台が最高位。なんとかここで良いところを見せたい。その後ろ
ではPPスタートのグーデリアンがズルズルと後退。なんと6番手スタートのカジ
ワラにもかわされてゆく。逆に今季いまだノーポイントのカジワラは、千載一遇の
チャンスだ。

レースは5ターン目、雨は2ターン目に止んでおりコースには既にレコードライン
が浮いている状態。そろそろ全車インターミディでは厳しいコンディションだ。大
きなリードを築いたバトラーは、ややペースを抑えドライタイヤへの交換のタイミ
ングを計る。後方の連中も無用なバトルは避け、各々タイヤ交換のタイミングを見
計らう。後方では21番手スタートの日向が猛チャージ、なんと13番手まで浮上
していた。

★5ターン終了時のトップ10
 1.アレックス・バトラー
 2.デイヴィス・ファング
 3.ケリー・ラスムッセン
 4.ニコ・ラムダ
 5.ジョー・S・カジワラ
 6.ジャッキー・グーデリアン
 7.カーティス・マルケーナス
 8.アンドレアス・サントス・フィリオ
 9.アレン・バーンズ
10.アレンザンダー・カブロン

6ターン目、各車いよいよドライタイヤへの交換を図る。トップのバトラーを皮切
りに各車続々ピットイン。バトラーはハードへスイッチし2番手でコースイン、3
番手ラスムッセンもハード、ラムダはソフトでコースインした。上位勢ではファン
グが1ターン引っ張り7ターン目にソフトへ交換、そして後方の日向を先にピット
インさせたトライアンフはカジワラを1周ステイアウトさせた。しかし先にピット
に入れた日向のタイヤの交換に、トライアンフクルーが手間取る。21番手から1
3番手まで浮上した日向だったが、これで18番手まで後退してしまう。

ドライにスイッチしてもバトラーのペースは落ちず、ファングのピットインで再び
トップに立ち徐々に後続を引き離してゆく。後ろでは3、4番手を争うラムダ、ラ
スムッセン、5、6番手を争うカジワラとグーデリアンがデッドヒートを展開。そ
してソフトを履いて俄然ペースのいいラムダが、8ターン目にラスムッセン、9タ
ーン目にはファングを追い落とし2番手浮上。ラムダは最速ラップをマークしなが
らバトラーを追う。

中団では大きく順位変動が起こる。15番手スタートのハイデンフェルドが最速ラ
ップを塗り替え、前を行くロッソを追い落として10番手浮上。ロッソも18番手
スタートでポイント圏目前におり、逆にブレーキトラブルを抱えたチャップマン、
そしてティルクムと同じくギアボックスのオイル漏れが発生したマイネが、ずるず
ると後退。マイネも今季最後となるレースを飾れそうにない。そして9ターン目、
ブレーキに異常を訴えたチャップマンがピットイン、クルーも応急処置を試みたが
そのままマシンを停めリタイヤとなってしまった。

そうこうしているうちに、なんと上空からは再び雨が降り始める。雨雲は切れ間な
ブカレスト上空を覆っている状態。しかし雨は降ったりやんだりと、ぐずついた
天候は先が読めない。この先のタイヤチョイスが勝敗を分けるカギだ。はたして各
車どのような選択を下すのか?

11ターン目には再び雨がレコードラインを覆い隠す。そんななかバトラーはひと
まずスリックでレースを続けるが、2番手ラムダは速い判断でピットイン。丁度ガ
ケを迎えていたソフトタイヤから、再びインターミディへ交換しコース復帰する。
ファングもひとまずステイアウト、この時点で2番手に復帰する。後続はラスムッ
センをはじめ上位勢が全員ピットイン、インターミディへと交換する。
霧のような雨は徐々に路面を濡らす、路面は黒く染まってきているが、まだインタ
ーミディ勢とスリック勢のタイム差は大きくない。バトラー、ファングは懸命にマ
シンをコントロールしながら濡れた路面と格闘。対するインターミディ勢も前のス
リック勢二人を追い詰めるには至らない。中団ではサントス・フィリオがカジワラ
をかわして6番手に浮上。得意の雨での躍進を目指す。
そして中団ではもう一人、スリックで戦うドライバーがいた。日向である。一時は
タイヤ交換で18番手まで後退していたが12ターン目には12番手に浮上。「雨
の日向」の面目躍如、一躍ポイント圏内浮上を狙う。

そんな中ここでついにアクシデント発生。日向のうしろロッソに宋が追抜きを仕掛
けたところで宋がスピン、ロッソと後続のバーンズを巻き込んだ多重クラッシュが
発生してしまう。接触した3台はそろってそのままリタイヤ、レースはセーフティ
カーが出動する展開となる。事故の当事者認定された宋には、次戦1戦の出場停止
処分が下された。

ピットオープンとなった14ターン目、トップのバトラーは天候回復を見込んでハ
ードのままステイアウト。しかし2番手ファングはソフトタイヤにガケが来ていた
こともあり、チーム判断でピットイン。インターミディへとスイッチする。これが
2人の勝敗を大きく分けることになる。他の連中はぐずついた天候を未だ読み切れ
ず交換なし。そして中団で一人スリックで粘る日向も、タイヤ交換を見送った。

レースは15ターン目にリスタート。バトラーはリスタートを決めるも、ファング
のピットインで2番手に浮上したラムダはここでもやや立ち遅れ、後続のラスムッ
センに2番手を奪われる。タイヤ交換で8番手まで後退したファングは、2つポジ
ションをあげ、6番手浮上。さらに中団のスリック勢日向は、リスタートでデ・ラ
ンジェリスをかわして10番手浮上。ついに21番手からポイント圏内まで進出を
はたす。そして雨はまたもこのターンでピタリと止み、路面はレコードラインが浮
きはじめた。このままいけばスリックで粘り切ったバトラーと日向には俄然有利に
働く展開となるが、はたして再度の降雨はあるか? レースは終盤戦へと入ってゆ
く。

★15ターン終了時のトップ10
1.アレックス・バトラー
 2.ケリー・ラスムッセン
 3.ニコ・ラムダ
 4.ジャッキー・グーデリアン
 5.アンドレアス・サントス・フィリオ
 6.デイヴィス・ファング
 7.ジョー・S・カジワラ
 8.アレンザンダー・カブロン
 9.ミック・ハイデンフェルド
10.日向 俊郎

16ターン目、トップが入れ替わる。スリックで粘っていたバトラーに、インター
ミディエイトでステイしたラスムッセンがしかけトップに。濡れた路面を巧みに選
んでファステストを記録。同じく3番手のラムダも再度の降雨に備えインターミデ
ィでステイアウトしていた。グーデリアンはここで再度ドライへ交換のためピット
イン。後続もドライに換えるものとインターミディでステイアウトするもの分かれ
たが、インターミディを履いた面々の多くはもう少し引っ張り、残りをスリックの
ソフトで走り切る作戦へと切り替えていた。

トップに立ったラスムッセンだが、17ターン目にはスリックの方がタイムが速い
路面状態となる。バトラーが仕切りに前をうかがうが、ラスムッセンも簡単にはい
かせない。そしてラスムッセンと同じくインターミディでステイアウトのラムダが
限界の近いタイヤでバトラーとの差を詰めにかかる。
後方ではカブロン、そして16番手スタートのハイデンフェルドが入賞圏内に浮上。
かわりに6番手スタートのカジワラが後退、そしてドライタイヤにスイッチしたグ
ーデリアンは前の混戦に塞がれ10番手と停滞していた。

18ターン目になっても、ラスムッセンはバトラーを封じ込め続ける。3番手のラ
ムダがバトラーに追いすがるも、ラムダのインターミディも既に限界。ペースが上
がらない。4番手までポジションを戻したファングもインターミディ勢、最後にソ
フトへ交換するまでは様子見だ。そしてこのあたりから、インターミディでステイ
アウトしていた面々が続々スリックへ交換し始める。久々に5番手と上位でレース
を展開するサントス・フィリオ、カブロン、カジワラ、デ・ランジェリスといった
入賞圏付近の連中は、軒並みソフトへ換装して最後のスティントを戦う。レースは
残りわずか、再度の降雨が来てもスリックで乗り切る肚だ。

そして19ターン目、ここまでバトラーを抑え込んでいたトップのラスムッセン
ついにピットイン。ソフトへ交換するが、ピット作業にやや手間取りやや離れた2
番手、ラムダのすぐ前にピットアウトしてしまう。ここからラスムッセンとラムダ
の壮絶な2番手争いが、フィニッシュまで続いてゆく。
20ターン目にはラムダがラスムッセンをかわして2番手を奪い返す。しかしその
後ろではソフトへ交換したもののタイヤに熱が入らないファングが、ペースを上げ
られずにいた。

21ターン目、ついに途中のハーフウェットを利してハードタイヤを15ターン引
っ張ったバトラーが、このレース2度目にして最後のピットイン。フレッシュソフ
トへ交換しトップでコースインしたバトラーが、ここから猛プッシュでペースアッ
プ、ラムダ、ラスムッセンとの差をぐんぐん引き離してゆく。ラスムッセンのタイ
ヤは既にガケが来ており、バトラーを追うに至らない。4番手に浮上していたサン
トス・フィリオのタイヤにもガケ、さすがのヴァシュロンソフト勢も、フルグリッ
プで飛ばすバトラーを捕えきれず、その差を拡げられてゆく。
サントス・フィリオは逆に、ようやくタイヤが作動温度に達したファングにかわさ
れ5番手後退、ファングはようやく4番手までリカバリーしてきていた。

24ターン目には、セーフティリードを築いたバトラーはクルージングに入る。し
かし後ろではついにラムダのタイヤにもガケ、足元の条件的にイーブンとなったラ
スムッセンが、ラムダを捕え土壇場で2番手に浮上する。この2番手争いは最後ま
バチバチだ。しかしラスムッセンのタイヤはこのターンが限界、最終ターンには
どうなるか?
5番手に落ちたたサントス・フィリオのタイヤもそろそろ限界、後ろのハイデンフ
ェルドがかわして5番手に浮上する。さらにバトラー同様降雨の時間帯をスリック
でやり過ごし、1ピット節約に成功した日向が入賞圏内まで浮上。PPスタートの
グーデリアンをかわしてついに7番手に浮上してきた。日向は21番手からのビッ
グムーバー、対するグーデリアンは完全に天候に振り回されPPをフイにした。

レースは結局、雨をスリックでやりすごし他より少ないピットストップで走り切っ
たバトラーが、2位にマージン5の大差をつける圧勝。第6戦イギリス以来久々の
3勝目、「雨のバトラー」の面目躍如といった圧巻のレース運びでタイトル争いに
踏みとどまった。
最後まで激しい2位争いを演じたラムダとラスムッセンだったが、最終ターンにタ
イヤにガケが来たラムダがポジションキープを選択。ラスムッセンが開幕戦以来2
度目、こちらも久々の表彰台に登った。ラムダは堅実に3位をキープ、そして4位
にはなんだかんだでファングが入り、いわゆる昨季の「トップ4」が上位を独占し
た。5位にはサントス・フィリオ、6位はハイデンフェルド、ともに第6戦イギリ
ス以来久々のポイントゲット、そして7位には21番手スタートの日向が入り、相
変わらずのビッグムーバーぶりを発揮。
8位には連続入賞のリンドホルム、遅まきながら復調気配だ。10位のカブロンは
ようやく今季2度目の入賞。そしてPPスタートながら終始天候変化に振り回され
グーデリアンは最終的に9位に終わった。

ドライバーズ選手権はこれでトップのラムダの144ポイントに対し、バトラーが
136ポイントとその差8まで縮まった。ファングも107と踏みとどまり望みを
つなぐ。そして久々の2位表彰台で83ポイントとしたラスムッセンがランキング
4位に浮上。辛うじてタイトル争いに踏みとどまった。以下日向が80ポイント、
そしてリヴィエールとロッソが79ポイントで続く。
ヨーロッパ以前まで好調だったバトラーが復調の兆し、そしてヨーロッパラウンド
に入って息を吹き返したラムダが、やや息切れ気味。そしてここにきてラスムッセ
ン、日向といった伏兵がようやく追撃を開始した。ラムダvsバトラーの図式は変
わらずもここにきて終盤戦、やはり混戦模様へと雪崩こむ予感だ。

一方チームタイトルはやはりピットブルとマーキュリーの一騎打ちの様相だ。ノル
ディックが123ポイントで3位に浮上も、トップ2はピットブルが202ポイン
ト、そしてマーキュリーが182ポイントとこの2チームが頭抜けている。
そしてトップ2のポイント差はわずか20ポイントだ。残り6戦、マーキュリーの
逆転の可能性は十分ある。

次戦から舞台はヨーロッパを離れ、ユーラシア大陸を縦断するアジアラウンドへと
突入。そして、残り6戦中5戦が市街地と、コース特性もヨーロッパラウンドと大
きく変わってくる。これからの6戦、1戦1戦目が離せない。はたして誰が王座へ
と近づけるのか?


最終リザルト↓↓↓

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Winner:アレックス・バトラー(マーキュリー)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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次戦からはヨーロッパを離れるNeXX、第13戦は異国情緒漂うカスピ海西岸の
都市、バクー市街地で行われるアゼルバイジャンGPだ。F1と同様のレイアウト
を使用し、直線と直角ターンで構成される新市街地区間と、入り組んだ狭い町並み
を通る旧市街地区間、全く性格の違う2セクションを持つ難所だ。終盤戦に突入し
激化する選手権、激しい戦いとなること必至だ。こうご期待!!

 

 

 

 

 

 

Formula NeXXtream 2ndシーズン・11

『Formula NeXXtream 2nd』
□第11戦 チェコ ブルノサーキット

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 1周:5.40km
 特性:「低速」「常設」
 ターン数:25(56周)

前戦、雨のアンデルストープでは、新鋭のリヴィエールがNeXX初優勝を飾った
第10戦スウェーデンGP。それからわずか1週間後に開催されたるのが東欧での
2連戦初戦、チェコGPだ。第9戦から始まった『欧州低速ラウンド』3連戦の最
後の舞台は、1987年開設のアウトモトドローム・ブルノ、通称『マサリク・サ
ーキット』で行われる。
チェコ建国の父の名を冠したこのサーキットは、チェコ第2の都市ブルノ郊外の深
い森の中にある右回りのテクニカルトラック。コーナー数は14と多くはないもの
の、その全てが90度以上回り込むコーナーで構成され、中低速コーナーの切り返
しを500mにも満たないショートストレートで繋いだセクションが繰り返し続く
超低速レイアウト。NeXXのカレンダー中最もアベレージスピードの低い、いわ
ゆる『ミッキーマウスサーキット』だ。
「アウトモトドローム」の名の通り、もともと2輪のレースを想定して敷設された
サーキットだが、将来的なF1の誘致を念頭においても設計されているため、コー
ス幅が広い。しかし直線が短くスピードが乗らない状態でコーナーへアプローチす
るため、やはり4輪での追い抜きは非常に困難なサーキットだ。コースは全体で7
3.63mもの高低差があり、テクニカルなレイアウトと相まってこのコースを難
所足らしめている。
選手権はと言えば、ポイントリーダーのラムダは前戦7位入賞で129ポイントと
したのに対し、首位奪還を狙うバトラーはまさかのリタイヤでノーポイント。10
1ポイントで前戦を終えたバトラーは、トップのラムダに28ポイント差をつけら
れてしまった。3位のファングも同じくリタイヤで、95ポイントと現状維持。激
化するタイトル争いはしかし、上位を占めるシグマテック勢が最も苦手とする低速
トラックが舞台。果たしてタイトル争いの行方はどうなるのか? 低速コースが得
意のレラ勢の巻き返しがあるのか? レースは意外な展開に!!


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:スティラノ・シエナ(リナルディ)
予選PPを獲得したのはなんと、リナルディのシエナだった。今季はリナルディが
絶好調、第8戦イタリアでのポルボローネの初優勝に続いて、シエナはチームに初
PPをプレゼントした。F1では伝統のモナコGPで、フロントローを獲得したこ
ともある実力者のシエナ。全セッションを通じて速さを見せたシエナはQ2、Q3
でトップタイムをマークし堂々のパフォーマンスでPPを獲得した。
2番手につけたのはアブラモビッチのチャップマン、低速トラックが苦手なパッケ
ージでのフロントロー。豪快に見えて実は低速コースが得意のチャップマン、今季
4度目のシングルグリッドにつけた。そして3番手につけたのが昨年のチェコGP
の覇者日向、4番手には開幕戦の覇者ロッソがつけ、いつもとは違う顔ぶれが上位
を占めた。3列目にはともに今季放出の可能性が高いマイネとファーシマス、7番
手には低迷するプルトンのヴィックスがつけた。
一方でポイントリーダーのラムダは13番手、それを追うバトラーとファングの2
人はそれぞれ16、17番手と中段以下に沈む。また前戦で初優勝を飾ったリヴィ
エールも、連勝を期待されながら予選アタックに失敗し18番手に沈んだ。17番
手のセプターは、前戦下されペナルティ裁定のため5グリッド降格の22番手。低
速コースでの活躍が期待されたゲラも23番手に沈む。そして前戦で初表彰台に登
ったカレッジが最後尾、驚異の新人も今回は我慢のレースを強いられるかっこうと
なった。
今回予選落ちとなった4台はマルケーナス、宋、デ・ランジェリス、ティルクム。
宋以外の3人はいずれも、来季のシートが危ぶまれている面々だ。しかもティルク
ムについてはチェコGPのパドックで、第13戦からソリスと交代しリザーブへ降
格となることがチームから発表されており、これで5戦連続予選落ちという不名誉
な記録を残し今季のNeXXを去ることが決まってしまった。


<決勝レース>
中低速コーナーが連続するレイアウトで、左コーナーでそのままストレートへ抜け
るというのが軽いコーナーのターン3とヘアピン状のターン8の二つしか無く、左
側に大きく負担がかかりタイヤが片減りしやすいため、ヴァシュロン勢はバトラー
を除く全車がハードをチョイス。一方で耐久性にアドバンテージのあるヨコスカ勢
は、7割がソフトをチョイス。レースを通しての戦略としても、ヴァシュロン勢の
ほとんどがハード×2、ソフト×1なのに対し、ヨコスカ勢はハード×1、ソフト
×2での2ストップ作戦を採ると見られた。

<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>    <ヨコスカ>
N.ラムダ      A.カブロン     
R.マイネ       S.シエナ 
M.ポルボローネ    J.セプター 
Z.ゲラ
A.ファーシマス 
K.ラスムッセン 
M.ハイデンフェルド
A.ラ・ポルタ
A.フィリオ 
A.ロッソ 
D.リンドホルム
B.リヴィエール
J.グーデリアン 
C.タンデイ 
J.カレッジ

◆SOFT
<ヴァシュロン>    <ヨコスカ>
A.バトラー      A.バーンズ
            J.バロン 
            日向 俊郎 
            J.カジワラ
            J.チャップマン
            T.ヴィックス 
            D.ファング

=ユーズドタイヤ

初めてのPPスタートとなったシエナだが、スタートはややもたつく。これ
に乗じて先頭に立ったのが2番手スタートのチャップマン。レースは序盤か
らチャップマンが引っ張る展開で進む。
シエナは3番手日向に並ばれるも、意地で守り切り1コーナーへ2番手で侵
入。ホームストレートが短いため、スタートでの上位陣の大きな順位変動は
それほどなかった。しかし中段では、14番手浮スタートのラスムッセン
3ポジションアップし11番手、バトラーも1つポジションをあげていた。

スタートを失敗し2番手に後退したシエナは、2ターン目に早くもペースダ
ウン。シエナはスタートから燃料圧力低下のトラブルを抱えていた。後方で
は6番手スタートのファーシマスがマイネをオーバーテイク、さらにマイネ
はバーンズにもかわされズルズルと後退してゆく。一方14番手スタートの
ラスムッセンは前を行くリンドホルム、サントス・フィリオを次々とかわし
9番手に浮上する。また選手権を争うラムダとバトラーは中段で激突、バト
ラーがラムダをかわし、3ターン目には入賞圏内に浮上してくる。

燃圧低下でペースを上げられないシエナは、日向にも先行をゆるし3番手に
後退。さらに4番手ロッソに追抜きを仕掛けられたシエナは単独スピン、そ
のままエスケープの奥にマシンを停めたシエナはマシンを降りリタイヤ。初
PPスタートのレースを序盤で終えた。
中段ではファーシマスのペースが上がらない、ファーシマスは右リアタイヤ
がスローパンクチャに見舞われていた。これに乗じてバーンズが4番手に浮
上する。バトラーに後れを取ったラムダ、リンドホルムをかわして12番手
に浮上する。しかしさらに前を狙いサントス・フィリオに仕掛けた際にまさ
かの接触、マシンにダメージはなかったもののやや立ち遅れてしまう。接触
相手のサントス・フィリオは大きくポジションを落としてしまった。

トップ争いはチャップマンを日向が追う展開、日向もプッシュするが低速コ
ースが得意のチャップマンは徐々に差を離しにかかる。日向を追うロッソは
バーンズに追いつかれ、激しい3番手争いを展開。
後ろではタイヤに問題を抱えていたファーシマスが予定外のピットイン、タ
イヤ交換で大きく後退。その隙に14番手スタートのラスムッセンが、なん
と6番手まで浮上していた。

★5ターン終了時のトップ10
 1.ジョンブル・チャップマン
 2.日向 俊郎
 3.アレン・バーンズ
 4.アレンザンダー・ロッソ
 5.トゥーリ・ヴィックス
 6.ケリー・ラスムッセン
 7.ルドルフ・マイネ
 8.アレックス・バトラー
 9.ニコ・ラムダ
10.セドリック・タンデイ

トップ3は一定のマージンを保ったまま、チャップマン、日向、は後方に差
を詰めさせない。しかし3番手争いは接近戦、ロッソがバーンズの前をうか
がうが、バーンズも簡単には行かせない。一方で今日は絶好調、14番手ス
タートのラスムッセンは、抜きどころの少ないコースでも次々とオーバーテ
イクを決め、なんとこの段階で5番手に浮上していた。
レースはいよいよヨコスカのソフト勢が最初のタイヤ交換時期を迎える。し
かしトップをゆく新品ソフトのチャップマンはステイアウト、2番手の日向
はユーズドだがまだ入らない。ステイアウトの日向はすでにタイヤが限界、
3番手のバーンズにすぐ後ろまで詰められる。

そして8ターン目、トップを行くチャップマンがピットイン。しかしユーズ
ドソフトの2番手日向はもう1周ステイアウト。日向は後ろのバーンズと接
近戦を繰り広げていたが、そこにチャップマンがピットアウト。チャップマ
ンは日向とバーンズの間の2番手に割って入る。
後方では息を吹き返したバトラーが前を目指していたが、抜きどころのない
コースに苦戦。前を行くラスムッセンをかわせず7番手にいた。そして一時
は後方に置き去りにされたかに見えたラムダが、バトラーの直後までにじり
寄って来ていた。

後方では多重接触発生。24、25番手争いのカレッジとセプターが接触
後方のラポルタも巻き込んだアクシデントは各車小さくないダメージを被っ
てしまう。
9ターン目、最初のユーズドソフトを限界超まで引っ張った日向がピットイ
ン。新品ソフトに繋いで出てゆく。日向はこの時点でオールソフトでの2ス
トップ作戦へ戦略を切り替えていた。後続のバーンズも同時期にピットイン、
こちらはソフトからユーズドハードへと換装して出てゆく。そうこうしてい
る間に2番手に上がったロッソがペースアップ、ハードタイヤでペースの上
がらないトップのチャップマンに次第に追いついてくる。

後方では7番手のバトラーも最初のピットイン。ソフトからユーズドハード
へと交換したバトラー、チームも会心の作業でコースへと送り出す。
一方で後方22番手走行のカブロンのタイヤがバースト、コースアウトしグ
ラベルに捕まったカブロンはそのままリタイヤしてしまう。タイヤに厳しい
サーキットが、耐久性が売りのヨコスカタイヤに牙を剥く。
また、前ターンで多重接触をおこしたセプター、カレッジ、ラポルタも各々
マシンのダメージが大きく、ピットでマシンを停めレースからリタイヤした。

トップ争いは10ターン目も白熱、チャップマンの背後に迫ったロッソがし
きりに前をうかがうが、チャップマンも簡単には行かせない。新品ハードで
スタートしたロッソのタイヤも「ガケ」を迎えるが、チャップマンと変わら
ないペースで追撃する。そして3番手の日向は温まり切らないタイヤで、ス
テイアウトのラムダにかわされ4番手に後退。ラムダはこれで3番手、ポイ
ントリーダーが流石の強かさを発揮する。
そうこうしている間に、中段のヴァシュロンハード勢が続々ピットイン。リ
ヴィエール、タンデイ、リンドホルムといった入賞圏内勢はそれぞれ2セッ
ト目のハードへと繋ぎ、最後のスティントはソフトにかける。

そして12ターン目、ここまでステイアウトしていたロッソ、ラムダがつい
にピットイン。2台ともユースドハードからハードへ交換してコースに出て
ゆく。13ターン目上位はトップにチャップマン、2番手ロッソ、3番手日
向で展開してゆく。その後ろはヴィックス、バトラー、バーンズ、ラスムッ
センが接近戦を展開している。そして、やや数珠繋ぎの隊列に業を煮やした
か、その後ろにいたラムダが動く。14ターン目にラスムッセンをかわしに
かかるがしかし、なんとラムダとラスムッセン接触。前にいたバーンズに
接触し多重事故発生。コース上にパーツが散乱し、ここでこのレースで初
めてセーフティカーが出動する。

ピットオープンとなった14ターン目には、ラスムッセンとラムダが応急修
理のためピットイン。リアウィングとカウルを交換したラスムッセンは20
番手、フロントセクションとブレーキポッドに応急処置を施したラムダは最
後尾まで後退する。一方バーンズのダメージは軽度で、そのままコース上に
ステイした。

15ターン目にはレースはリスタート。そしてここでついにトップが入れ替
わる。リスタートでダッシュのつかないチャップマンのハナをロッソが叩き
ついにここでロッソがトップに立つ。その後ろではバトラーがジャンプスタ
ート、ポジションを2つ挙げ4番手まで浮上する。
しかしここでまたもトラブル発生、後方でポルボローネがマシンから派手に
白煙を上げストップする。カムイエンジンが音を上げブローアップ、リスタ
ートラップでまたもセーフティカー出動となってしまう。

★15ターン終了時のトップ10
 1.アレンザンダー・ロッソ
 2.ジョンブル・チャップマン
 3.日向 俊郎
 4.アレックス・バトラー
 5.トゥーリ・ヴィックス
 6.アレン・バーンズ
 7.ニコ・ラムダ
 8.ビル・リヴィエール
 9.セドリック・タンデイ
10.デイヴィス・リンドホルム

ピットオープンの17ターン目、バトラーとヨコスカ上位勢は皆ピットイン。
全車ソフトへ換装し最後のスティントに挑む。一方ラストスティントをソフ
トにかけるヴァシュロン勢は、まだタイミングが早すぎる。バトラ―以外は
全員ステイアウトした。
18ターンには2度目のリスタート。概ね大きな順位変動はなかったが、こ
こでジャンプスタートを見せたのが日向。タイヤ交換で9番手まで後退して
いたが、見事なジャンプスタートで6番手に浮上していた。

2度のセーフティカーでタイヤを温存できたトップのロッソは、ユーズドハ
ードからソフトへ繋ぎ、ラストスティントにもソフトを持ってくる算段で1
9ターン目もステイアウト。その後方ではペースの上がらないチャップマン
を日向が補足、ついに日向が2番手に浮上する。そして20ターン目にはト
ップのロッソが最後のピットイン。後方ではタンデイ、リヴィエールもピッ
トイン。これでコース上ほぼすべてのマシンが、予定のタイヤ交換をこなし
ラストスティントへ向かう。
これによりレースのラップリーダーはついに、3番手スタートの日向に。今
季ここまで未勝利の昨年の同レース覇者が、ついに今季初めてリードラップ
を刻む。これで20ターン終了時点でのトップ5はトップ日向、2番手チャ
ップマン、3番手ロッソ、4番手タンデイ、そして5番手ヴィックスと、予
想外の面々が名を連ねる。はたして勝者は?

21ターン目にはロッソがチャップマンをかわして2番手浮上。ハイグリッ
プのヴァシュロンソフトを履くロッソには、チャップマンも太刀打ちできず
敢え無く後退。後ろではバトラーがマイネをかわし6番手に浮上、ラムダが
後方に沈んでいる今回は、なんとしても上位入賞で差を詰めたいところ。
そんななか後方でスピンを喫するマシンが・・・。中盤の接触で応急処置を
施したラムダだったが、マシンバランスが悪く単独スピンを喫してしまった。
ラムダはアンダーパネルにもダメージを負ってしまい、最終的にはピットに
マシンを停めリタイヤしてしまう。ラムダはポイントリーダーとしては、痛
いノーポイントでレースを終えた。

日向がトップで最終盤に入ったレースだが、ここにきて日向が猛プッシュ。
ロッソの追随を許さない。そして3番手争いで動き、タンデイがチャップマ
ンをかわして3番手に浮上する。チャップマンはついに表彰台圏外に脱落、
代わって3番手に浮上のタンデイ、前戦のカレッジに続きガジャック2度目
の表彰台なるか? 24ターン目に入っても日向のペースは衰えない。後続
のロッソ、タンデイはペースを抑えポジションキープへと切り替えた。

レースは終盤の猛プッシュで大きなセーフティリードを築いた日向が優勝、
イマイチ精彩を欠いていた今季だが初優勝を飾った。これで日本人としてフ
ォーミュラの世界選手権3勝目。改めて「最速の日本人」の実力を世界に知
らしめた。
2位には開幕戦の覇者ロッソが入った。これで今季4度目の表彰台で、リヴ
ィエールと並んで選手権4位に再浮上してきた。そして3位にはタンデイが
入った。前戦のカレッジに続いてガジャックに2度目の表彰台をプレゼント
だ。そしてレース前半をトップで引っ張ったチャップマンは4位入賞、惜し
くも表彰台を逃したものの、そのポテンシャルは十分に見せつけた。さらに
5番手にはここ数戦不振の只中にあったバトラーが入った。ライバルのラム
ダがノーポイントで終わったレースで10ポイントを確保、選手権ポイント
差を18まで縮めた。6位のリヴィエールはこれで6戦連続入賞、7位のリ
ンドホルムはようやく今季2度目の入賞だ。また同僚のカブロンが苦戦する
中、ヴィックスが8位で今季3度目の入賞。9位にはマイネ、マシンにダメ
ージを抱えながら走り切ったバーンズがかろうじて10位入賞で1ポイント
を獲得した。

これでドライバーズ選手権は、ノーポイントに終わったラムダとの差をバト
ラーが18ポイント差まで縮めた。3位のファングがノーポイントに終わり
ロッソが2位入賞でリヴィエールと並んで4位タイ、そして今回の優勝で日
向が74ポイント6位まで浮上してきた。
チームタイトルはピットブルが187に対し、マーキュリーが157とその
差はちょうど30ポイント。やはり3位以下の追い上げはなく、チームタイ
トルの行方は上位2チームに絞られた。

選手権は残り7戦、ラムダのリードは18ポイントだが、この差は明らかに
セーフティリードではない。しかもここにきてラムダに不運が降りかかり、
また流れがバトラーへ傾きそうな雰囲気がある。そしてここからの7戦中市
街地が4戦と、ストリートコースが得意なバトラーに有利なカレンダー。は
たして終盤へと入ってゆくチャンピオンシップ、タイトルの行方はどちらに
転ぶか? はたまた3位以下のドライバーにまだチャンスはあるか? 今後
の展開から目が離せない!!


最終リザルト↓↓↓

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Winner:日向 俊郎(トライアンフ

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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次戦は正真正銘『ヨーロッパラウンド』最終戦ドナウ川支流の街ブカレス
トで開催されるルーマニアGPだ。ルーマニアの国会議事堂である『国民の
館』を周回するハイスピードストリートトラックは、ロムニ・ダキアチーム
のホームレース。選手権も佳境に入り、盛り上がること必至だ。
こうご期待!!

 

 

 

 

 

Formula NeXXtream 2ndシーズン・10

『Formula NeXXtream 2nd』
□第10戦 スウェーデン アンデルストープサーキット

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 1周:4.03km
 特性:「低速」「常設」
 ターン数:25(76周)

前戦第9戦オランダで前半戦が終了、いよいよ選手権の折り返しを迎えたN
eXX。オランダではラムダが今季3勝目をあげ、ついにランキングでバト
ラーを逆転。19ポイント差をつけてラムダが首位に立ち、悲願のタイトル
へ向けていい形で前半戦を折り返した。対するバトラーはかろうじて2位を
堅守。しかし3位のファングが6ポイント差で迫っており、依然選手権は混
戦であることに変わりはない。そんな状態で迎えるのが第10戦スウェーデ
ンGPだ。
森の中のサーキット、アンデルストープは全長4.03kmのショートトラ
ック。長く異常に幅の広いホームストレートを有するが、それ以外は大きく
回り込む180度コーナーと、改修後に設けられたシケインで構成され全体
的な速度域は低い。起伏のない平坦なコースだが、コース後半の路面は舗装
が古くミューが低いため滑りやすい。かつて1973年から1978年まで
の5年間F1が開催され、ティ○ルの6輪車やブ○バムのファンカーなど、
当時の名車が疾走したオールドコースだ。
昨季はアブラモビッチのロッソがシーズン初優勝をあげ、王者となったバト
ラーはPPスタートで2位フィニッシュしたスウェーデン。昨季同様今季も
カレンダーの第10戦として開催されるこのレース、今季はどのような展開
になるのだろうか?

 

<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:ニコ・ラムダ(ピットブル)
PPは4戦ぶりにラムダが獲得、なんとラムダは今季10戦で5度目のPP
を獲得した。昨季は低速コースで苦戦したピットブルのパッケージだが、マ
シンの熟成が進んだことと、予選方式が変更されたことでラムダの戦略性が
いかんなく発揮され、今季のラムダは予選番長の様相を呈している。
そして驚いたのが2番手のカレッジだ。PQ以降ソフトタイヤを温存したカ
レッジは、ハードタイヤでQ1、Q2と有力勢と遜色ないタイムを記録し、
Q3で満を持してソフトでアタック。見事フロントローをゲットした。3番
手にはマイネが健闘、4番手には荒法師チャップマンがつけた。そしてここ
2戦連続して表彰台に上がっているリヴィエールが5番手、地元レースとな
るノルディックはハイデンフェルドが6番手につけた。ノルディックは8番
手にラスムッセンがつけ、地元レースで意気上がる。9番手には2戦連続で
シングルグリッドの宋、そしてここ数戦好調を維持しているグーデリアン
10番手につけた。マルドゥークは3戦連続のW入賞なるか?
一方ここにきてもまだ悪い流れを払しょくできない、前年王者のバトラーは
13番手スタート。今回はファングも15番手と中段に埋もれた。そしてマ
ケーナスが18番手。マーキュリー勢は今回も望み薄な予選結果となって
しまった。また低速トラックが得意な日本期待の日向だったが、Q1アタッ
クを失敗し23番手、昨年の覇者ロッソもQ1敗退で24番手と沈んだ。
今回は低速ラウンドで苦戦するSLOが2台とも予選落ち、さらにデ・ラン
ジェリスとティルクムが予選落ち。なかでもティルクムは、度重なる予選落
ちでチームとの関係もギクシャク。チームのサポート体制にティルクムが不
満を漏らしているとの情報も伝えられ、シーズン中の解雇、もしくは移籍が
決定的と噂される。はたして今後どうなるのか?


<決勝レース>
レースウィークは一貫してどんよりとした雲がサーキットを覆い、くもりの
予選セッションに続き決勝は雨。ウェットレースが宣言された。これにより
レースでのユーズドタイヤ使用義務は無効化され、全車ウェットタイヤを装
着してのスタート。雨雲が付近一帯を覆って居座っており、天候の回復は見
込めないため終始ウェットでのレースとなることがほぼ確定的だった。

◆タイヤチョイス
 全車ウェットタイヤ

PPのラムダはややスローな立ち上がり、このハナを叩いたのがフロントロ
ー2番手のカレッジ。なんとラムダを抑え、ルーキーのカレッジがスタート
でトップに立つ。7番手スタートのバーンズも5番手にジャンプアップする
ロケットスタートを決めた。一方4番手のチャップマンは立ち往生、スロッ
トルオンと同時に電気系がすべてダウンしてしまい、1cmも動けずにリタ
イヤ。4番手スタートをフイにしてしまう。さらには10番手スタートのグ
ーデリアンも一瞬立ち往生、直後に動き出したものの大きくポジションを落
としてしまう。原因はギアの一時的なスタックだった。

トップに立ったルーキー、カレッジは快調に飛ばす。ラムダは無理に追わず
2番手、逆に3番手マイネはやや水をあけられる。4番手リヴィエールがこ
のスキをつきマイネをオーバーテイク、リヴィエールが3位に浮上する。マ
イネの直後にはすでに、ロケットスタートを決めたバーンズがつけていた。
中段ではラスムッセンがチームメイトのハイデンフェルドをかわして6番手
浮上。そして宋にもかわされたハイデンフェルドは、ズルズルと8番手まで
後退する。

さらに一つでも前に行きたい13番手スタートのバトラーは、中段でリンド
ホルムをかわして10番手浮上。前のセプターを射程にとらえ、オーバーテ
イクをしかけた際にアクシデント発生。ブロックを仕掛けたセプターにバト
ラーが接触、ハイデンフェルド、宋、リンドホルムといった前後集団もろと
も巻き込む大クラッシュを引き起こし、セーフティカーが出動する。
当事者のセプター、バトラー、そして前後を走行していたハイデンフェルド
宋、リンドホルムは巻き添えを食う形で多重接触の被害者となり、一瞬にし
て計5台がコース上から消えた。事故当事者認定を受けたセプターは、次戦
5グリッド降格のペナルティを科せられてしまった。

レースは4ターン目にリスタート。リスタートは各車慎重に決め、大きなア
クシデントはなし。各車それぞれ大きなポジション変動まないまま、ウェッ
トコンディションのレースは中盤戦に入ってゆく。

★5ターン終了時のトップ10
 1.ファン・カレッジ
 2.ニコ・ラムダ
 3.ビル・リヴィエール
 4.ルドルフ・マイネ
 5.ケリー・ラスムッセン
 6.アレン・バーンズ
 7.アレンザンダー・カブロン
 8.ジェストン・バロン
 9.ジャッキー・グーデリアン
10.デイヴィス・ファング

中盤に差し掛かってもカレッジは好調、そぼ降る雨のなか快調なペースでト
ップをゆく。一方ペースを抑えて走るラムダは、3番手のリヴィエールとテ
イルトゥノーズ。その後方ではラスムッセンがマイネをかわし4番手浮上、
雨の得意な連中がにわかに活気づいてくる。
7ターン目に入っても上位陣のバトルは膠着。リヴィエールは度々ラムダの
前をうかがうも、ラムダも巧みなブロックラインで前へ行かせない。逆にリ
ヴィエールのすぐ後ろまで迫ってきたラスムッセンが、リヴィエールの前を
うかがう。2位グループは一進一退だ。

そんな中、13番手スタートで6番手まで浮上していたカブロンが、突然の
ペースダウン。リアウィングのDRSが故障し、フラップが開いたまま戻ら
なくなってしまっていた。ダウンフォースを著しく失ったカブロンはバーン
ズ、グーデリアン、バロンと次々にかわされズルズルと後退。そしてすぐ後
ろには、雨を利して13番手に浮上した、23番手スタートの日向が迫って
いた。

8ターン目、トップ争いに動き。3番手リヴィエールがついに、ラムダの前
に出た。さらに差なく続いていたラスムッセンも、ラムダをかわす。雨をも
のともしない3人のファイターが、ポイントリーダーを追い落とした格好だ。
後方では18番手スタートのマルケーナスが、バーンズをかわして9番手に
浮上。19番手スタートのシエナが10番手、そして23番手スタートの日
向が11番手へとジャンプアップしていた。対照的に雨の苦手なグーデリア
ンはズルズルと後退、苦しい状況に追い込まれた。

雨を利して快調に飛ばすトップのカレッジだったが、ここで突然のペースダ
ウン、一瞬ラップタイムが大きく落ち込む。走行中にギヤがスタックしたよ
うだ。これを見逃さなかった2番手リヴィエール、カレッジを追抜いて13
ターン目トップに立つ。カレッジはなんとかラスムッセンの前2番手で踏み
とどまるも、メカニカルトラブルでトップを明け渡してしまう。
後方では5番手以下が接近戦を展開、ペースが上がらないながら後方を抑え
ていたマイネがついに陥落。16番手スタートのバロンが、5番手に浮上し
ていた。
そんな中後方でアクシデント、8番手争いのマルケーナスvsファング、追
抜きをしかけたファングが痛恨の単独スピン。マシンは無傷だったものの、
グラベルに捕まったファングはそのままリタイヤとなった。今季2位4度の
ファングもなかなか勝てない。

先頭に立ったリヴィエールは、まさに水を得た魚のようにペースを上げ始め
る。カレッジは2番手を死守するものの、リヴィエールにはジリジリ離され
てゆく。そして15ターン目にはラスムッセンにかわされ3位後退。初優勝
へ向けて快走していたが、ここにきて優勝はおろか表彰台もあやしい雲行き
だ。PPスタートのラムダは4番手で静観、しかし5番手のバロンがペース
アップしラムダのすぐ背後まで迫っていた。

★15ターン終了時のトップ10
 1.ビル・リヴィエール
 2.ケリー・ラスムッセン
 3.ファン・カレッジ
 4.ニコ・ラムダ
 5.ジェストン・バロン
 6.カーティス・マルケーナス
 7.ルドルフ・マイネ
 8.日向 俊郎
 9.アレン・バーンズ
10.アレンザンダー・ロッソ

トップのリヴィエールのペースは衰えない。2番手に浮上したラスムッセン
だが、リヴィエールを追える程のペースではなく、カレッジに度々つつかれ
る。逆にカレッジのうしろラムダも、カレッジのスキをうかがう。一方3番
手スタートもズルズル後退してゆくマイネ、ついに日向にかわされ8番手に
後退。それにしても日向は23番手から驚異の追い上げだ。しかし日向に続
いてマイネをかわそうとしたロッソは、バランスを崩して単独スピン。こち
らもグラベルの餌食となりリタイヤ、開幕戦の覇者も精彩を欠くレースが続
く。

レースは18ターンと終盤戦に突入、ここまでくると先頭のリヴィエールは
ややペースを落としリスクマネジメント。しかし後方ラスムッセンとカレッ
ジは追う気満々でプッシュを続ける。後方では5番手走行のバロンがマルケ
ーナス、日向に次々とかわされ7番手後退。
レースはここまで雨の得意な面々に有利に働いたが、ここにきて突然雲が切
れ始める。19ターン目には降雨がピタリと止み、雲の切れ間から青空が見
え始めた。これにより各チームピットはにわかにざわつき始める。

レースは残り8ターンとすでに終盤、雨は止んだ。路面はやや乾きつつある
が、雨雲はまだサーキット上空に居座っている。はたしてタイヤを変えるべ
きか・・・ 各チーム決断をくだせずにいる状況でアクシデントが発生。7
番手のバーンズが単独スピンを喫してしまう。バーンズのマシンはウォール
にぶつかり、中破してコース上でストップ。これによりここにきてこのレー
ス2度目のセーフティカー出動となる。なんというタイミング・・・

そしてセーフティカーの出動とともに、サーキットには再び雨粒が落ちてき
た。空には晴れ間も見える中の天気雨状態、のこり5ターンでの降雨は全チ
ームにインターミディエイトへの交換を決断させた。
21ターン目、ピットオープン時に全車タイヤ交換。タイヤ交換後のトップ
10は以下のようになった↓↓↓

 1.ビル・リヴィエール
 2.ファン・カレッジ
 3.ケリー・ラスムッセン
 4.日向 俊郎
 5.カーティス・マルケーナス
 6.ニコ・ラムダ
 7.ジェストン・バロン
 8.スティラノ・シエナ
 9.ルドルフ・マイネ
10.ミケーネ・ポルボローネ

22ターン目レースはリスタート、リヴィエールが良いリスタートを決める
がカレッジも離されずについてゆく。しかし3番手ラスムッセンは決められ
ず、後続の日向に先行されてしまう。なんと日向は23番手から表彰台圏内
に浮上だ。さらには7番手後退のバロンも良いリスタートを決め、ラムダを
かわして6番手に復帰。さらに後方では12番手でのリスタートとなったタ
ンデイが、猛ダッシュを決め9番手浮上。マイネを追い落とし入賞圏内に浮
上、ガジャックは今季初のW入賞の目が出てきた。

セーフティカーの出動で各車マージン0状態でのリスタートだったが、リス
タート後もリヴィエールのペースは変わらず、カレッジはリヴィエールのペ
ースについていけず。3番手の日向はカレッジの前をうかがうも、カレッジ
も懸命にブロック。そんな日向のスキを4番手のラスムッセンがうかがうが
逆にラスムッセンが間隙をつかれ、マルケーナスに前に行かれてしまう。さ
らにバロンもラスムッセンをかわし、バロンは5番手浮上。

レースは残りあと2ターン、リヴィエールはここまで何の問題もなく快調に
走る。新参チームの初優勝は目の前だ。追いかけるカレッジはもう限界か、
ややペースが落ち始め日向に背後につかれる。後ろではラスムッセンがバロ
ンを逆転、5番手に順位を回復する。7番手で前方のバトルを見ていたラム
ダがここにきてバロンに仕掛けるも、バロンは懸命にブロック。F1王者ラ
ムダを相手に懸命のディフェンス、ラムダを前にいかせない。また後方では
最後尾スタートのヴィックスが、雨に乗じて浮上。ついにマイネをとらえて
10番手、ポイント圏内に浮上してきた。

レースは結局、中盤からトップに立ったリヴィエールが優勝。新規参戦チー
ムマルドゥークの、そして今季からNeXXに参戦した自身の初優勝を飾っ
た。そして2位にはレース前半をトップで引っ張ったカレッジ、チーム・自
身初の表彰台登壇となった。また今季ここまで精彩を欠いていた日向が3位、
今季初表彰台登壇となった。日向は最終ターンにカレッジに仕掛けたが、こ
とごとくカレッジがブロック。最後まで激しいバトルを繰り広げた日向は、
実に満足げな表情で表彰台に上がっていた。
4位には最後まで前を目指したラスムッセン、惜しくも表彰台ならず。5位
にはマルケーナス、6位にはバロンが入りポイントリーダーのラムダは7位。
タンデイが9位に入りガジャックW入賞、そして10位にはヴィックスが入
プルトンチームに第5戦メキシコ以来のポイントをもたらした。

今回のリザルトで選手権の流れは大きくラムダに傾いたと言っていい。雨を
得意とするバトラーがもらい事故で姿を消し、対するラムダは7位フィニッ
シュとは言えPPポイント含め9ポイントを獲得した。ポイントはラムダ1
29に対しバトラー101と、ラムダの28ポイントリード。この差は8戦
を残す選手権で考えれば大きな差ではないが、得意なレースを外的要因で落
としたバトラーと、荒れたレースできっちり入賞したラムダ。ラムダの方に
良い流れが来ているのは明らかだ。バトラーは昨季も指摘された「脆さ」を
今季も露呈した格好だ。さらに、今回の優勝でリヴィエールがランキング4
位に浮上。5戦連続入賞で着実にポイントを積み重ね、3位のファングに2
4ポイント差に迫っている。早い段階でNeXXへの順応を見せているリヴ
ィエールが、終盤にかけて選手権争いに加わってくるかもしれない。

チームタイトルの行方はといえば、マイネがポイントを逸したピットブルに
対し、マルケーナスの5位入賞で踏みとどまったマーキュリー。しかしマル
ケーナスの5位10ポイントに対し、ラムダは7位6ポイント+PPポイン
ト3で合計9ポイントで、差を縮めるには至っていない。3位のクラークソ
ンが相変わらずティルクムのポイントを計算できない状態を考えると、この
ままマーキュリーの巻き返しがなければ、ピットブルが独走しかねない状態
だ。しかもマーキュリーはここ4戦で、マルケーナスが20ポイントを持ち
帰っているのに対し、バトラーはわずか4ポイントしか獲得していない。こ
のままチームタイトルは、ピットブルが2連覇に向けて進んでいくのか? 
マーキュリーの、そしてバトラーの奮起に期待しよう。


最終リザルト↓↓↓

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Winner:ビル・リヴィエール(マルドゥーク)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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ヨーロッパラウンド、低速テクニカルラウンド最後の舞台は東欧。モラビア
地方の中心都市ブルノで行われるチェコGPだ。森の中の全長5.4kmに
及ぶミッキーマウスサーキットで繰り広げられる、テクニカルバトルに、こ
うご期待!!