☆ぽんつかのあたまんなか☆

◆ぽんつかの妄想から生まれた架空のレースカテゴリ  ・現代のF1に限界を感じたぽんつかが、F1でもない、インディでもない   フォーミュラeでもない架空のカテゴリを構想☆  ・独自開発による『すごろく式PC上ボードゲーム』としてレースを展開☆  ・それをただただ何シーズンもプレイしてセカイを構築してゆくだけの   旧究極の一人遊び☆  そのプレイ記事、レース経過・結果、シーズン総括などを載せてゆく。  それだけ!!(byケロちゃん)

Formula NeXXtream 2ndシーズン・17

『Formula NeXXtream 2nd』
□第17戦 カナダ エキシビジョンプレイス市街地

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 1周:2.82km
 特性:「低速」「市街地」
 ターン数:28(112周)

初年度に続き大混戦となった2ndシーズンの選手権も残すところあと2戦。アジ
アラウンドが終了し、NeXXはいよいよ最終ラウンドである北米決戦へと雪崩こ
む。大詰めを迎えた選手権第17戦の舞台はカナダ、トロントのエキシビジョンプ
レイス。五大湖の一つオンタリオ湖岸に位置するコンベンション施設の敷地に敷設
されるストリートコースだ。今季は第16戦日本GPが小樽市街地での開催となっ
たため、第15戦マカオから最終戦ロングビーチまで最後の4戦がすべて市街地戦
となったNeXX。その中でもこのエキシビジョンプレイスは異才を放つコースだ。
約80万平方メートルの敷地にさまざまな施設が点在し、コースは周囲の幹線道路
を含み敷地内の施設の間を縫うように敷設。北米最高峰のモータースポーツ、イン
ディカーでも使用されるレイアウトは、1周2.82kmと3kmに満たないスー
パーショートトラック。これを実に118周する。
コースは2本のストレートと11個のコーナーで構成される。オンタリオ湖岸側の
『レイクショア・ブルバード』は約800mのミドルストレートだが、ホームスト
レートは400mに満たない超ショートストレートだ。他各セクションは先述の通
りコンベンション施設の建物の間を文字通り縫うように敷設されているため、コー
ナーとコーナーの間隔が短く、コース幅も狭いためオーバーテイクは困難。『レイ
クショア・ブルバード』とストレートエンドのターン3が唯一の抜きどころだが、
全体としての速度域が低いためストレートで追抜きの為のスピードに乗せられず、
スリップに入れないままターン3を迎えてしまうことが多い。路面状態もバンピー
でダスティ、おまけにエスケープゾーンも少なく一つのミスが命取りになる難コー
スである。
更に秋のトロントは涼しく過ごしやすい気候であるものの、乾燥したり雨が降った
りを繰り返す気まぐれな空模様。ただでさえ追抜きの難しいコースで、雨など降ろ
うものなら大混戦は必至。ましてやドライバーズタイトル争いはバトラーが、僅か
1ポイント差でラムダを上回るという大接戦の状態だ。最終戦アメリカでの完全決
着を前に、どんなレースが展開されるのか?


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:ゾルタン:ゲラ(ルムニ・ダキア
高く澄んだ抜けるような青空、予選セッションは終始快晴の空のもと行われた。ポ
ールポジションはロムニ・ダキアのゲラが獲得、終盤戦に入り大きく調子を上げて
きたゲラ、これがNeXX初のPP獲得だ。そしてフロントロー2番手には地元カ
ナダの雄、リヴィエールがつける。選手権を争うラムダが3番手につけ、こちらも
終盤にきて復調してきたロッソが4番手に並んだ。5番手には宋、7番手には日向
8番手シエナと市街地が得意な面々も好位置につける。6番手デ・ランジェリスは
今季ベストグリッドだ。
そして今季でNeXXを離脱するもう一人のカナダ人、リンドホルムが12番手に
つけたが選手権を争うもう一人、ポイントリーダーのバトラーはリンドホルムの隣
11番手に埋もれた。抜きにくいこのコースでのこの予選順位は致命的、バトラー
はどのようにレースを運ぶのだろうか? また後半戦は大スランプに見舞われてい
るファングも14弾手に沈む。本来市街地は大得意なはずだが、低速コースが苦手
なマシンパッケージに今回も手を焼いた様子だ。日本GPで2勝目をあげたセプタ
ーも17番手と低迷、来季のアントネッティのシートを射止めたカレッジも、チー
ムの地元である最終戦を前に20番手に沈む。そして明らかにストリートコースで
パフォーマンスの悪いボナパルトは、今回も21番手に沈んだ。
今回の予選不通過4台の中に、なんとランキング3位のラスムッセンがいた。ラス
ムッセンはタイムアタック中にマシンをクラッシュさせてしまい、修復が間に合わ
ず予選落ちとなってしまった。今季は一貫してフラストレーションの溜まるシ―ズ
ンだったに違いない。他はプルトン勢が2台揃って予選落ち、そしてこちらも地元
での最終戦を控えた日系アメリカ人ドライバー、カジワラは今季7度目の予選落ち。
来季のシートも決まっておらず、最終戦での奮起が期待される。


<決勝レース>
今年のカナダGPは終始快晴、決勝も雲一つない青空のもと行われた。気温、路温
ともに高くはなかったが、荒れた路面とツイスティなコースのためヴァシュロン勢
は殆どがハードを選択。各チームとも2ストップは必須と見ており、ユーズドハー
ドを1スティント目に持ってくるドライバーが多かった。一方でヨコスカ勢は多く
が新品ソフトをチョイス、ソフト2、ハード1での2ストップ作戦をチョイスした。

<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
M.ボナパルト      J.チャップマン 
K.マルケーナス     S.シエナ
M.ポルボローネ     
Z.ゲラ 
A.ファーシマス
M.ハイデンフェルド      
A.ラ・ポルタ          
A.フィリオ       
A.ロッソ       
D.リンドホルム
B.リヴィエール 
J.グーデリアン
C.タンデイ 
J.カレッジ   

   
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         A.バーンズ
A.バトラー        J.バロン
              日向 俊郎
              F.デ・ランジェリス
              D.ファング
              L.ソリス
              宋 昇龍
              J.セプター

=ユーズドタイヤ

スタートではPPのゲラが若干もたついた。これに2番手のリヴィエールが並びか
けるがゲラは抜かせまいとアウト側にリヴィエールを押しやる。そのインを突いた
のが3番手スタートのラムダ。前の2台を1コーナーでかわしてトップに立ち、以
下2番手にリヴィエール、3番手ゲラと続く。中団では11番手に沈んだバトラー^
が良いスタートを決め9番手に浮上していた。

トップに立ったラムダはソフトタイヤでのスタート。ロケットスタートでトップに
立ち、とにかく逃げてバトラーとのマージンを築く作戦だ。更に2番手、3番手に
続くリヴィエールとゲラはともにユーズドハードでラムダを覆うことができない。
そしてスタートでポジションを上げ4番手にいた宋が、ここでゲラをかわして3番
手に上がる。ヨコスカ勢の宋はソフトタイヤでのスタートだ。ゲラはさらにロッソ
にもかわされ5番手まで後退する。

ラムダは快調にトップを征き、続くリヴィエールとのマージンはどんどん拡大して
ゆく。リヴィエールは逆に3番手に上がった宋に、後ろをつつかれる。また一時5
番手に後退したゲラは3ターン目にロッソをかわし4番手復帰、ロッソは後ろの日
向に抜かれ6番手後退と、中段では目まぐるしく順位が入れ替わる。
4ターン目には日向がゲラをかわして4番手浮上、そしてこの時点で早くも11番
手スタートのバトラーはロッソをかわし6番手まで浮上していた。中団ではユーズ
ドハードのロッソがやや苦戦気味。

一方フレッシュソフトでスタートしたラムダは、後方の混戦をよそに快調に飛ばし
後ろとのマージンをぐんぐん拡大してゆく。バトラーは5ターン目にはゲラをかわ
して5番手に浮上。そしてその前をゆく日向がパンクチャに見舞われペースダウン
するや、あっという間にオーバーテイク。バトラーはこの時点で4番手に浮上して
いた。序盤から猛烈なペースで逃げるラムダを、猛烈なペースで追いかけるバトラ
ー。しかしここで後方のマシンにトラブル発生。大混雑の中段11番手争いのグル
ープで多重クラッシュ。ファング、ポルボローネ、リンドホルム、グーデリアン
ソリスの5台がストレートエンドのターン3で絡み合う。この事故によりコースに
はセーフティカーが出動、ここまで大きなリードを築いていたラムダのマージンが
一瞬にして0になった。

★5ターン終了時のトップ10
 1.ニコ・ラムダ
 2.宋 昇龍
 3.ビル・リヴィエール
 4.アレックス・バトラー
 5.日向 俊郎
 6.フェリオ・デ・ランジェリス
 7.ゾルタン・ゲラ
 8.アレンザンダー・ロッソ
 9.アレン・バーンズ
10.スティラノ・シエナ

ピットオープンの7ターン目、トップのラムダがピットイン。新品ハードにスイッ
チしてコース復帰してゆく。しかし他は殆どがステイアウト、タイヤにダメージを
負っていた日向とデ・ランジェリスはともに、このタイミングでユーズドハードに
交換していったが、他はヴァシュロン勢のほとんどがハード勢、そしてヨコスカの
ソフト勢は交換のタイミングが少し早いためほとんどがステイアウトした。バトラ
ーもこのタイミングで入らず3番手浮上、オーバーカット狙いだ。

リスタートは8ターン目、トップに立った宋が先導し混乱なく進む。隊列はトップ
が宋、2番手にリヴィエール、3番手にバトラー、そしてタイヤ交換に入ったラム
ダは4番手にいた。ソフトスタートの宋だがさすがのヨコスカタイヤ、9ターン目
に入ってもトップをキープしいまだステイアウト。そして後方3番手のバトラーが
2番手のリヴィエールをここでかわしにかかる。バトラー11番手スタートから早
くも2番手に浮上。さらにバトラーはさすがにタイヤが限界の宋に仕掛けトップに
立つ。しかしバトラーはこの直後にピットストップを控えている。直接の敵である
ラムダは4番手、さてどうなる?

中段でトラブル発生。リナルディのマシンが後方から白煙をあげ、マシンをエス
ープに入れてしまった。8番手スタートのシエナエンジンブローでリタイヤ、予
選での速さには定評のあるシエナだったが、どうも決勝ではツキがない。
10ターン目にはようやくバトラーがピットイン、ライフの長いヨコスカの宋と同
じタイミングでタイヤ交換を済ませる。相変わらずの驚異的なタイヤマネジメント
だ。しかしこの間にトップに立ったラムダは、着々とバトラーとのマージンを築き
始める。

11ターン目、このあたりでユーズドハードスタートの面々が1回目のタイヤ交換
のためピットに入ってくる。4番手のロッソを皮切りにチャップマン、マルケー
ス、カレッジといった中段の面々も続々ピットイン。そんな中ピットに入ってきた
サントス・フィリオが、そのままピットにマシンを止め降りてしまった。ブレーキ
トラブルだった。ルーキーイヤーは大活躍だったサントス・フィリオだが、今季は
ややスランプ気味だ。

12、13ターンに入ってトップのラムダがペースアップ。路温が低くハードの温
まりが悪かったラムダだが、熱が入って来てからは徐々にペースアップ。バトラー
は2番手で追うもマージンは開く一方だ。
15ターンを経過してラムダのペースが落ち着く、充分なマージンを確保したため
ペースを抑えろとの指示がピットから飛んだようだ。それでもバトラーはラムダと
の差を縮めるには至らない。ラムダのレースペースは驚異的だ。後方では3番手と
表彰台圏内を走行していた宋が、ずるずると6番手まで後退。どうやらどこかでミ
スがあったようだ。トップ争いとは違い中段は接近戦、一つのミスが命取りになる
状況だ。

★15ターン終了時のトップ10
 1.ニコ・ラムダ 
 2.アレックス・バトラー
 3.ビル・リヴィエール
 4.アレンザンダー・ロッソ
 5.ジョンブル・チャップマン
 6.宋 昇龍
 7.フェリオ・デ・ランジェリス
 8.日向 俊郎
 9.カーティス・マルケーナス
10.ゾルタン・ゲラ

16ターン目、ここにきてラムダのペースがガクッと落ちた。どうやらタイヤにガ
ケが来たようだ。バトラーは懸命に追撃、僅かながら差を縮める。
タイヤは劣化してきたもののラムダのトップは変わらず、離れた2番手でバトラー
が追う。後ろ3番手リヴィエールから6番手ロッソまでは団子状態、お互いがお互
いをけん制しあう展開だ。
18ターン目にはその中団グループが2回目のピットイン。宋、日向、そしてデ・
ランジェリスが新品ハードに繋いで出てゆく。

そして19ターン目、トップのラムダが最後のピットイン。2スティント目を新品
ハードで走ったラムダは、最後のスティントにユーズドハードを持ってきた。もち
ろん余裕をもってトップでのコース復帰だ。そして対するバトラー陣営はソフトタ
イヤを用意。バトラーは他のヴァシュロン勢が皆ハード2、ソフト1の2ストップ
を選択したのに対しハード1、ソフト2での2ストップ作戦をチョイスしていた。
相変わらずの驚異的なタイヤマネジメントだ。ラムダは中古ハード、そしてバトラ
ーは新品ソフト。マージンは大きいものの最後までわからない。

ここで5番手を走行していたチャップマンが一瞬ガクッとペースを落とす。走行中
にギアが3速にスタックしてしまったが、後方とは接近していなかったためポジシ
ョンを落とすことはなかった。バンピーで荒れた路面は、マシンの細部にも影響を
及ぼしているようだ。
その後方では最後のスティントで新品ハードをチョイスした日向がペースアップ。
ファステストラップをたたき出した日向は、バックストレートで宋をかわし8番手
浮上。前を行くゲラをもまとめてかわさんばかりの勢いで切れ味の良いオーバーテ
イクを見せる。

ドライバーズタイトル争いばかりに目が行きがちだが、ピットブルとマーキュリー
のチームタイトル争いも熾烈。現在ピットブルが26ポイントリードでトップにい
るが、のこり2戦では行方はまだまだ分からない。ピットブルのNo.2ボナパル
トは21番手スタートからの1ストップ作戦。ようやくこの時点で入賞圏が見える
12番手までやってきていたが、一方の22番手スタートマーキュリーのマルケー
ナスはなんとこの時点で6番手にいた。あと1回のピットストップを消化せねばな
らないが、実に15番手アップのビッゲストムーヴ。来季マーキュリー離脱の線が
濃厚なマルケーナス、残り2戦はいい仕事をして終わりたいところだ。対するボナ
パルトはポイント圏まで浮上できるか? レースは残り8ターン、終盤だ。

トップのラムダはもう無理をしない。後ろのバトラーがもう1回ピットストップを
しなければいけないことが分かっているため、リスクを冒す必要がないのだ。対す
るバトラーはここで最後のピットストップ、ユーズドハードから新品ソフトへ交換
しラムダ追撃を図る。これでリヴィエールが2番手に立つが、明らかにペースが違
い追うことができない。土壇場のラムダはここで勝負強さを発揮する。
リヴィエールももう一回ピットストップを残しており、今はいているタイヤももう
限界。序盤からなかなかペースの上がらなかったロッソが、ここにきてリヴィエー
ルをかわして2番手に浮上する。しかしロッソもまだ1回ピットストップを残して
いる。2位以下は混戦模様だ。

2番手のロッソは22ターン目最後のピットストップ、ロッソもラストスティント
はソフトに賭ける。2番手に上がったリヴィエールのタイヤはもう限界、しかし追
いすがるバトラーを要所要所で抑え込み前に行かせない。バトラーはイライラする
展開だ。後方ではチャップマン、マルケーナス、ゲラといったハード勢が続々とピ
ットイン、ソフトへ交換してゆく。
リヴィエールはついに23ターン目にして2度目のピットイン、これでバトラーは
あらためて二番手に浮上。ラムダとの差は大きく開いているがバトラーはソフトタ
イヤ、ハードのラムダに追いつけるか。レースはあと5ターン。

ラムダは既にリスクマネジメントのためクルージングに入っている。バトラーとの
マージンは10、大差ではあるがソフトタイヤのバトラーはわずかながら差をつめ
てくる。しかしバトラーの後ろ3番手のロッソもペースが良い、バトラーよりもピ
ットストップのタイミングを遅らせバトラーに離されずについてゆく。
後ろは4番手日向、5番手ゲラ、6番手リヴィエールと続く。低速テクニカルコー
スが得意な面々だ。

混戦の4番手争いでアクシデント、6番手走行中のリヴィエールがバックストレー
トエンドでハーフスピンを喫してしまう。マシンにダメージはなかったものの、リ
ヴィエールはこれでポジションを2つ落とし、宋の後ろ8番手に後退してしまう。
混線の中でプッシュしすぎたか、リヴィエールには痛いミスだ、
懸命にラムダを追う2番手バトラーだが、ラムダ追撃でタイヤをやや酷使したかこ
こでバトラーのタイヤにガケが。ペースがガクッと落ちてきたところに、バトラー
よりもピットストップを遅らせたロッソが一気に接近。残り2ターンということろ
でなんとロッソがバトラーをかわし2番手に浮上する。バトラーはらしくない戦略
ミスだ。

後方ではマルケーナスにアクシデント。単独スピンで8番手に後退したリヴィエー
ルにマルケーナスが仕掛けるも、リヴィエールのブロックにあい2台は接触。この
接触でリヴィエールは11番手、マルケーナスは14番手まで後退してしまう。自
身のミスで後退してしまい、さらにマルケーナスに仕掛けられたリヴィエールがや
や無理なブロックを仕掛けたようにも見えたが、スチュワードはレーシングアクシ
デントとの判断。お咎めなしとはなったものの、2台は入賞圏外まで転落してしま
った。特にマルケーナスは22番手スタートからポイント圏内まで来ていただけに
残念だ。チームタイトルをまだあきらめていないマーキュリーにとっては、痛いア
クシデント。

2番手争いで前に出たロッソは、バトラーよりも速いペースでラムダを追う。バト
ラーはロッソよりも早くタイヤのガケを迎えてしまい、ロッソとの差もやや離され
る。開幕戦以来勝利のないロッソは猛プッシュでラムダを追うが、ラムダの背中は
マージン9先。のこり2ターンで届く差ではなかった。

結局レースはスタートでトップに立ち、終始一人異次元のペースで後続を突き放し
たラムダが優勝。第9戦以来の4勝目をあげた。
2位は終盤一気のスパートでバトラーをパスしたロッソ、実に今季6度目の表彰台
だ。そしてタイトルを争うバトラーは最後の最後で踏ん張り切れず3位に終わった。
4位以降は日向、ゲラ、チャップマン、宋と続いた。いずれも低速テクニカルコー
スを得意とする面々だ。日向は第11戦チェコでの優勝を含め後半戦6度目の入賞、
初のPPからスタートしたゲラは5位に終わったが、第13戦アゼルバイジャン
ら5戦連続の入賞で好調をアピール。かたや7位の宋は第9戦オランダ以来今季4
度目、久々のポイント獲得だ。そして今回は6位チャップマン、そして8位デ・ラ
ンジェリスとアブラモビッチ勢が今季2度目のW入賞。特にデ・ランジェリスは第
4戦メキシコの4位以来の入賞、苦戦を続けるアブラモビッチチームとしては、来
季にむけてようやくポジティブな結果を得た。
9位には20番手スタートのカレッジ、そして10番手には度重なるアクシデント
で一時は入賞圏外まで転落したリヴィエールが滑り込み入賞。21番手スタートか
ら1ストップ作戦で上位進出を狙っていたボナパルトを、最終ターンで入賞圏外に
追いやっての10位入賞だ。

レース前にポイントランキングで1ポイントラムダをリードしていたバトラーだが、
この結果でランキングのトップは再びラムダに入れ替わった。優勝で191ポイン
トのラムダに対し、なんとか3位でフィニッシュしたバトラーは182ポイントと
9ポイント離された。残すはあと1戦、状況は圧倒的にラムダ有利となった。

       <ラムダ>        <バトラー>
 優勝    191+25=216   182+25=207
 2位    191+18=209   182+18=200
 3位    191+15=206   182+15=197
 4位    191+12=203   182+12=194
 5位    191+10=201   182+10=192
 6位    191+ 8=199   182+ 8=190
 7位    191+ 6=197   182+ 6=188
 8位    191+ 4=195   182+ 4=186
 9位    191+ 2=193   182+ 2=184
10位    191+ 1=192   182+ 1=183

上の表のとおり、このままのポイント数でいけば状況はラムダが圧倒的に有利だ。
何位であろうがラムダはバトラーに先着すれば良いことになる。そしてラムダが仮
に最終戦をノーポイントで追えても、バトラーが6位以下に終わればラムダの王座
が決定するのだ。仮にバトラーが5位でも勝利数の差(ラムダ4勝、バトラー3勝)
でラムダの王座が決定する。
しかし、決勝レースの順位ポイントのみが有効ではないのがNeXX。予選PPで
得られる3ポイント、そしてレースファステストラップの獲得で得られる2ポイン
トも選手権有効ポイントなのだ。仮に最終戦、予選でラムダがPPを獲得すればラ
ムダの優位は揺るぎないものになるだろうが、逆にバトラーがPPを獲得すれば状
況は変わってくる。

 ※バトラーがPP獲得で3ポイント加算した場合。
       <ラムダ>        <バトラー>
 優勝    191+25=216   185+25=210
 2位    191+18=209   185+18=203
 3位    191+15=206   185+15=200
 4位    191+12=203   185+12=197
 5位    191+10=201   185+10=195
 6位    191+ 8=199   185+ 8=193
 7位    191+ 6=197   185+ 6=191
 8位    191+ 4=195   185+ 4=189
 9位    191+ 2=193   185+ 2=187
10位    191+ 1=192   185+ 1=186

ラムダが何位であれバトラーに先着すれば良いという条件は変わらないが、バトラ
ーがラムダの前でフィニッシュした際の可能性は僅かだがは変わってくる。さらに
これでバトラーがレースファステストを獲得しようものなら、バトラーには事実上
現在のポイントよりも5ポイント加算されることになり、逆転王座の可能性は充分
あることになる。
昨季はバトラーがこの時点で20ポイントのリード。圧倒的有利な状況で最終戦
臨んだバトラーがスタート直後にまさかのスピンアウトでリタイヤ、という予想外
の展開となったが、20ポイントのビハインドを挽回しなければならないラムダも
レース中にミスを犯し単独スピン。結局10ポイント届かずバトラーが王者となっ
た。しかし今季は逆にラムダが10ポイントリードする展開、そしてPPポイント
の他にFLポイントも有効ポイントに換算される今季。昨季以上に最後の最後まで
タイトルの行方は読めない状況だ。

一方でチームタイトル争いはピットブル272ポイントに対しマーキュリーが23
6ポイント、その差は36ポイントだ。逆転不可能な数字ではないが、互いの2n
dドライバーの戦績を考えたときに、状況は圧倒的にピットブル有利だろう。マー
キュリーの逆転の可能性を考えると、ピットブルが2台ともノーポイントでレース
を終えるようなことがない限り難しいと言わざるを得ない。
しかしチームタイトルもまだ決まったわけではない。極端な話だがバトラーがPP
そしてFLを獲得して完全優勝し、かつマルケーナスが6位でフィニッシュ、そし
てピットブル勢が2台ともノーポイントに終わればあるいは・・・ しかしマーキ
ュリーがチームタイトルを獲得する条件を考えると、こういう想定の話になってき
てしまう。

いずれにせよ最終戦はピットブルとマーキュリーの総力戦になるだろう。昨季以上
に激しい最終戦になること間違いなしだ。


最終リザルト↓↓↓

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Winner:ニコ・ラムダ(ピットブル)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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さあ泣いても笑っても2ndシーズンも残り1戦。最終戦の舞台は北米大陸を大き
く南下し、東海岸はカリフォルニアのロングビーチで行われるアメリカGPだ。昨
季以上に大接戦で最終戦を迎えたチャンピオンシップ、はたしてNeXXの第2代
王者は連覇のバトラーか、初戴冠のラムダか? こうご期待!!

 

 

NEXXTREAM PRESS 2ndシーズン「アジアラウンド号」

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◆アジアラウンド号


さて、アジアラウンドも終了し、いよいよ大詰めののNeXX世界選手権。今回は第
13~16戦までの4戦のダイジェストの他、来季以降の各チーム、メーカーの動き
とドライバー移籍市場の速報、そのほかNeXXを取り巻く様々な情報を取り上げて
いきたいと思います。お楽しみに!!


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■レースリポート

◇第13戦 アゼルバイジャンGP バクー市街地サーキット

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PP:ケリー・ラスムッセン(ノルディック)

今季初めてのPP獲得となったラスムッセンの、今季初優勝が期待されたがレースは
意外な展開に。また選手権を争うバトラーとラムダは、それぞれ20番手、23番手
スタート。序盤に2度セーフティカーが出たレース、序盤はラスムッセンが快調に飛
ばしていたが、2度目のセーフティカー出動時のタイヤ交換で、ノルディックチーム
が交換用のタイヤセットを誤って用意するという痛恨のミス。ラスムッセンは一気に
9番手まで後退してしまう。
これでレースは日向とラ・ポルタがトップを争うという、伏兵同士のバトルに。2度
目のタイヤ交換を終えたピットアウト時、ホームストレートに戻ってきた日向のハナ
を叩いて先頭で戻ったラ・ポルタが、そのまま日向を引き離し嬉しいNeXX初優勝。
2位日向、3位ゲラ、さらには4位にヴィックスと伏兵が上位を独占したレース。一
方選手権を争うバトラーは9位、ラムダは12位フィニッシュだった。

優勝:アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(SLO)
2位:日向 俊郎(トライアンフ
3位:ゾルタン・ゲラ(ロムニ・ダキア


◇第14戦 タイGP チャーン・インターナショナル・サーキット

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)

タイトル争いの主役であるバトラーが、なんと今季初めてPPを獲得した予選。しか
し決勝はまたもや伏兵が主役のレースになる。PPスタートのバトラーだが、ペース
が上がらずハイデンフェルドにラップリードを許す。しかし、最初のタイヤ交換で右
フロントの交換に手間取ったハイデンフェルドは9番手まで後退。
期せずして先頭に復帰したバトラーだったが、ブレーキトラブルのためペースアップ
できない。そしてホームストレートで一瞬ギアがスタックしペースダウンした際、ト
ップをリンドホルムに明け渡す。バトラーはその後接触にも巻き込まれて辛うじて1
0番手フィニッシュ、16番手スタートのラムダは8位フィニッシュ。レースは9タ
ーン目にトップに立ったリンドホルムが、そのままトップチェッカー。前戦アゼルバ
イジャンに続き伏兵がNeXX初優勝を飾った。またピットブルのボナパルトが、デ
ビュー2戦目で3位表彰台に上がった。

優勝:デイヴィス・リンドホルム(アントネッティ
2位:ケリー・ラスムッセン(ノルディック)
3位:ミシェル・ボナパルト(ピットブル)


◇第15戦 マカオGP ギア市街地サーキット

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)

前戦に続きバトラーがPPを獲得したこのレース、しかし決勝はまたもや伏兵が活躍
する展開に。アジアラウンドで最も波乱のレースとなった。スタート後の『リスボア』
で早くもアクシデントが発生したこのレース、序盤から数えて計3度のセーフティカ
ー出動で順位は大きく錯綜した。
タイトル戦線主役の二人はバトラー3番手、ラムダ4番手で序盤が経過。レースは第
13戦で初優勝をあげたラ・ポルタが引っ張る。しかし2度目のセーフティカー後に
バトラーがトップに立ち、ラムダと一騎打ちの展開になる。しかし17ターン目に3
度目のセーフティカーが出動し、順位が大きく錯綜。タイヤ交換に入らざるを得なか
ったバトラーは8番手に後退してしまい、トップに立ったグーデリアンが3ストップ
の奇策でそのまま独走。NeXX初優勝を飾った。またも伏兵にしてやられた主役の
2人はラムダが2位表彰台、バトラーは4位+PPポイントを持ち帰った。

優勝:ジャッキー・グーデリアン(マルドゥーク)
2位:ニコ・ラムダ(ピットブル)
3位:アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(SLO)


◇第16戦 日本GP 小樽市街地サーキット

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PP:ファン・カレッジ(ガジャック)

『驚異の新人』カレッジが、雨を利してPPを獲得した予選。決勝はまた波乱の展開
となった。バトラー5番手、ラムダ11番手からスタートしたレースは、序盤カレッ
ジが先頭で引っ張る展開に。カレッジ、バトラー、セプター、そしてロッソあたりが
トップを争う攻防。一方ポイントリーダーのラムダは、中段で接触事故に巻き込まれ
応急修理のためのピットインで最後尾に転落してしまう。
レースはマカオ同様セーフティカーが3度出動する荒れた展開、後半にトップに立っ
たのはセプターだった。序盤レースを支配したカレッジが徐々に後退してゆく中、サ
ントス・フィリオ、ロッソといった面々とトップを争う。かたやバトラーはなかなか
ペースを上げられず、一時は2番手を走行したものの最終的には5位フィニッシュ。
レースはセプターが今季2勝目のチェッカー。2位には今季初表彰台のサントス・フ
ィリオ、3位にはロッソが入った。ラムダは終盤に燃圧低下でストップ。これでなん
とバトラーがラムダを1ポイント上回りトップに返り咲いた。

優勝:ジョリー・セプター(チャイナドラゴン)
2位:アンドレアス・サントス・フィリオ(SLO)
3位:アレンザンダー・ロッソ(アントネッティ


ラ・ポルタに始まりリンドホルム、グーデリアンと3人のドライバーがNeXX初優
勝を飾ったアジアラウンドは伏兵が大活躍。一方で選手権を争うラムダ、バトラーは
ポイントを伸ばせず、まさに波乱のアジア戦線と化した。シーズンも残すところあと
2戦!タイトル争いの行方は!?


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■NeXX Topix

◇新型シャシー投入はデンプシーが参戦する4thから
   ニューシャシーのトレンドはロングホイールベース、ワイドトレッドになる?

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4thシーズンより米国のデンプシーが参入し、全3メーカーとなるNeXXのシャ
シーデベロッパー。デンプシーの参入に合わせて既存の2社は4thシーズンに新型
を投入することは既に合意済みだが、その新型は現行のものよりも長くてワイドなフ
ォルムになるようだ。
NeXXはご存じの通り4thシーズンより新たなエンジンフォーマットも導入する
が、現行よりも回生エネルギーの使用比率が高くなり複数の過給機の搭載も可能とな
る。そのため、新フォーマットのパッケージングに際して生じる重量バランスや空力
バランスの変化、そしてタイヤとの相関性を考慮した結果、4thシーズンに投入す
る新型は全長をやや延伸、そして全幅も拡幅する必要が生じると見られている。
現在マシン全長に関してはレギュレーションでの規定上限はなく、最大全幅は180
0mmと定められているが、全幅については4thシーズンから1850mmに変更
されることが既に決まっている。それに基づき各メーカーとも想定されうる中でもっ
ともスペースを必要するパッケージとして、V型エンジンツインターボのパッケー
ジを想定しており、さらにそこにバッテリーやMGUなど含めたハイブリッドユニッ
トや補器類が加わるため、全幅を既定値いっぱいまで拡げることになりそうだという。
そうなると重量バランスに応じたマシンの空力バランス、そしてパッケージングを考
慮したマシンサイズは今季よりもロングホイールベース、ワイドトレッドになるとみ
られている。見た目上はひとまわり大きくなるというのだ。
現在のデベロッパー2社のマシンサイズは下記の通り↓↓↓

 ・シグマテック            ・レラ
 S-TEC01X/B         RNX-01Ref

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 全長:4920mm          全長:5060mm
 全幅:1780mm          全幅:1745mm
 ホイールベース:2970mm     ホイールベース:3010mm

これが各社とも全幅を1850mmまで拡幅してくるとなると、全長は5200mm
程度になるのではないかと予想される。
ホイールベーストレッドとドライバビリティの関係性は密接で、一般的にはホイー
ルベースが長ければ直進安定性が増し、トレッドが広くなればコーナリング性能が向
上すると言われている。しかし、昨今F1ではマシンの全長は史上最長と言える56
00mm程度まで伸び、非常に細長いルックスを有しているが、総ダウンフォース
の多さやタイヤ幅の拡幅などでコーナリングスピードは信じられないほど速い。スピ
ードレンジの上がった現代F1では、パワーユニットのパッケージングや燃料搭載量
等を確保するボディワークを追求し、中高速コーナーでの安定性を求めてホイールベ
ースは延伸の一途をたどった。その結果フロア面積も増えてダウンフォース量も増大
した。その結果超ロングホイールベースでも、直進安定性と信じられないほど速いコ
ーナリングスピードの両立を果たしたのだ。4thシーズン以降のNeXXもF1と
ほぼ同様の『パワーユニット構造』を採用し、さらにエンジン形式や過給機の搭載に
F1よりも自由度を持たせたことで、パッケージングのためのボディワークは現在の
ものよりも1回りほど大きくなるというのが、各チームやメディアの見方だ。
そうなると問題なのは各エンジンメーカーに与えられたエンジン形式の自由度で、こ
のほどDMWは既に4thシーズンには直4ツインスクロールターボの投入を示唆し
た。サイズアップしたシャシーに、コンパクトな直4ターボを搭載した際のバランス
は果たしてどうなるだのろうか? またV型ツインターボエンジンにしても各バンク
横にタービンを配置するか、バンク内にまとめて配置するかによってパッケージング
や重心位置なども変わってくるのだ。各チームとも4thシーズン以降はより、エン
ジンユニットとシャシーの組み合わせを慎重に選択する必要がある。
ともあれシャシー、エンジンともに新コンポーネンツの投入にはまだ1シーズンクッ
ションがあるが、4thシーズン以降の勢力図が各チームの選択でどう変わるのか、
今から楽しみだ。


◇「エンジン屋」の矜持か。DMWが4thシーズンに
           投入するエンジンは直列4気筒ツインスクロールターボ!!

現在アブラモビッチはじめ3チームにエンジンを供給するドイツの自動車メーカーD
MWが、4thシーズンに投入する新型エンジンがにわかに注目を集めている。現在
DMWはNeXX用に3.0LV10を供給しているが、エンジン規定が新しくなる
4thシーズンに向けてDMWが開発しているエンジンはなんと直列4気筒だという。
組み合わせる過給機システムはツインスクロールターボ、DMWのモータースポーツ
部門開発責任者のタリオ・マイセンが明かした。
これまでトップフォーミュラのエンジンは長らくV型の多気筒エンジンが主流で、主
にF1やインディカーなどは2000年代はV8が主流。F1に至っては2014年
にエンジン規定を大きく変革し、1.6LV6と回生機構を併用した『パワーユニッ
ト』を使用している。1990年代まで遡るとV12、V10といった自然吸気の多
気筒エンジンが主役で、この時代は俗に『マルチシリンダー全盛時代』と呼ばれてい
る。直列4気筒エンジンといえば基本的にはジュニアフォーミュラなどの下位カテゴ
リでの使用が一般的で、トップフォーミュラで採用されたのは1980年代『ターボ
全盛期』のF1まで遡る。そしてそのターボ全盛時代でも、直列4気筒を採用したの
はDMWだった。
トップフォーミュラのエンジンのメインストリームがV型なのにはいくつか理由があ
る。気筒数が多くとも全長を短く抑えられ、パッケージングしやすいフォルムである
こと。また同じ気筒数の直列エンジンと比べ、多気筒を均等に両側に配置することで
ハイパワーでもクランクシャフトへの負担が少ないことなどがあげられる。一方これ
までの直列エンジンはV型より少ない排気量となること、排気量をあげると1気筒あ
たりの負担が増加すること、そして気筒数を増やすとエンジン全長が長くなることな
どのデメリットがあげられた。しかし、直噴化技術の普及によりエンジン自体の性能
があがり、高出力・低燃費の直4エンジンが誕生。またターボとの相性のよい直噴エ
ンジンは、大排気量エンジンに引けを取らない出力を比較的低回転で発生できるよう
になった。そして、そこに回生機構と連結してのパッケージングが必要とくれば、D
MWとしてはV型エンジンよりもコンパクトな直4エンジンを選ばずにはおれなかっ
たわけだ。
タリオ・マイセンは「我々は来る4thシーズンから、新たなチャレンジを開始する。
今よりも小排気量で出力効率、そして燃費効率の良いものを考えたときに、我々は直
列4気筒に可能性を見出したんだよ。長らくスポーツ、レーシングエンジンの主役は
V型だった。パッケージングの優位性と、V型はショートストロークで高回転向きだ
ったのがその理由だが、我々のカテゴリはF1同様回生機構をあわせて搭載せねばな
らないし、その分の重量負担はバカにはならない。新しい回生機構とターボユニット
とのパッケージを考えたときに、直4エンジンには大きなメリットがあると考えてい
る。これにツインスクロールターボを組み合わせることで、最も効率の良いユニット
を生み出せる。」と語る。

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1983年のF1チャンピオンエンジン   DMWのレースエンジン開発を取り仕切るタリオ・マ
M12/13は直列4気筒ターボだった   イセンはF1ファンにもおなじみの人物


「この時代のエンジンに求められるのはコンパクトネスと高効率。その点では我々が
直4エンジンの開発を選択するのは理にかなっている。また我々はかつてF1におい
て直4エンジンでチャンピオンドライバーを生んでいるのだ。我々はいっとき電動化
にむけて舵を切ったが、もともと水素エンジンを早くから開発していたのは我々だ。
そして我々には「エンジン屋」としての矜持がある。我々には直列4気筒エンジンで
NeXXを制する準備ができている。」
これまでスプレンダー、アシュトンバーキンといったエンジンメーカーの後塵を拝し
ているDMW、「エンジン屋」の誇りをかけ直4エンジンで4thシーズンに挑む。


◇FNOが3rdシーズンの暫定カレンダー発表!!  
                 来季以降のカレンダー事情を考察

いよいよ2ndシーズンも残すところあと2戦、FNOは第13戦アゼルバイジャン
GPのパドックで来季3rdシーズンの暫定カレンダーをリリースした。リリースに
はここまで毎シーズン行っている、3度の全チーム合同テストの時期も書き込まれ以
下のような内容となっている。

 ★3rdシーズン暫定カレンダー

  開幕戦 オーストラリアGP サーファーズパラダイス市街地
  第2戦 インドネシアGP  セントール
      <ポール・リカール合同テスト>
  第3戦 ドバイGP     ドバイ・オートドローム
  第4戦 ブラジルGP    サンパウロ市街地
  第5戦 メキシコ      エルマノス・ロドリゲス
      エストリル合同テスト>
  第6戦 イギリスGP    ブランズハッチ
  第7戦 フランスGP    ポール・リカール
  第8戦 イタリアGP    イモラ
  第9戦 オランダGP    アッセン
 第10戦 スウェーデンGP  アンデルストープ
 第11戦 チェコGP     ブルノ
      ホッケンハイム合同テスト>
 第12戦 ルーマニアGP   ブカレスト市街地
 第13戦 アゼルバイジャン  バクー市街地
 第14戦 タイGP      チャーン
 第15戦 マカオGP     ギア市街地
 第16戦 日本GP      小樽市街地
 第17戦 カナダGP     エキシビジョンプレイス市街地
 第18戦 アメリカGP    インディアナポリス・GPコース

以上全18戦で行われる。カレンダーの並び、開催国、そして合同テストの開催地な
どに今季と大きな変更はない。しかし、一部のGPで開催サーキットが変更になる箇
所があり、同時に4thシーズン以降のカレンダーについても一部言及箇所がある。
ここでは来季のカレンダーと、4thシーズン以降のカレンダーについてリリースの
記載をもとに触れ、考察してみたい。


□オランダGPの開催継続

1stシーズンは第7戦に開催されたスペインGP、しかし2ndシーズンには早く
もスペインGPはカレンダーから外れオランダGPがカレンダーインした。1stシ
ーズンに11万人を動員したスペインGPと比較し、今季16万人を動員したオラン
ダGPは大盛況だった。オランダGPに関してはひとまず2ndシーズン単年の開催
契約だったが、今季の盛況をうけてFNO側が契約更新を打診したようだ。現状は3
年の契約延長とされるが、ひとまずオランダGPは3rdシーズン以降も継続開催と
なる。

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TTサーキット・アッセンでのオランダGPは大盛況だった

□最終戦アメリカGPはロングビーチからインディアナポリスのGPコースへ

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来季からNeXX世界選手権の最終戦は、北米モーター
スポーツの聖地での開催となる

来季、開催国は変わらないが舞台が変わるGPが2か所ある。イタリアGPとアメリ
カGPだ。イタリアに関しては1stシーズンからの6年契約で、1シーズンごとに
ムジェロとイモラを使い分ける契約となっており、来季はイモラのターンだ。
そしてもうひとつ舞台が変わるのがアメリカGPだ。これまで2シーズンは西海岸は
カリフォルニアのロングビーチ市街地で行われてきたが、来季からはアメリカ中東部
インディアナポリスで行われる。インディ500や2000年代のF1アメリカGP
でおなじみインディアナポリスの、オーバルトラック内に敷設されたGPコースでの
開催となる。
アメリカGPをロングビーチから別のサーキットへ移管する計画は、FNOが今季の
はじめ頃にはすでに着手しており、デイトン・ビル統括部長やMDのハーディー・フ
ラッシュらがシーズン序盤から度々渡米しては、現地プロモーターと調整を続けてい
た。舞台をインディアナポリスへと移した大きな理由はカレンダー後半の舞台構成で、
第13戦バクー以降の市街地戦の比率が高く、今季小樽がカレンダーインしたことで
よりその傾向が強まったこと。そしてラスト3戦の小樽、トロントロングビーチ
いずれも3.5km以下のショートトラックであることだという。
シーズン終盤の3戦に中低速ショートトラックが並ぶことは、選手権の大詰めに条件
の不公平をもたらすと考えたFNOは、ラスト3戦のうちいずれかにロードコースを
設定したかったのだという。
またハーディー・フラッシュは「アメリカでの最終戦はもっと華々しく締めくくりた
かったんだ。ロングビーチに決して華がないとは言わないが、インディアナポリス
アメリカのモーターレース文化の象徴のような街だ。そんなところでシリーズを締め
くくれたら最高だと思ったんだよ。君もそう思うだろう?」と語り、インディアナ
リスが選手権を締めくくる舞台としてより相応しい、という見解も示した。アメリ
GP自体の開催計画は1stから5年、3rdシーズンからひとまず5thシーズン
まではインディアナポリスでの開催となる予定だ。


アゼルバイジャンGPは3rdシーズンまで、4thからの
              アジアラウンド初戦はカザフスタンでの開催が濃厚?

これまでF1同様バクー・シティ・サーキットで行われてきたアゼルバイジャンGP
だが、来季を最後にNeXXのカレンダーから外れることになる。アゼルバイジャン
GPの開催契約は1stから5年とされているが、この度バクー・シティ・サーキッ
トのエグゼクティブディレクターのラリフ・アヒモブとの間で、契約を3年で打ち切
ることで合意に至ったという。

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カザフスタンのソコル・レーシング・トラックは2020年の開業。ヘル〇ン・ティルケによる
デザインの中速テクニカルトラックだ。現在ではmotoGPなどが開催されている。

FNO側は契約の打ち切りの理由を、F1との重複開催に対してバクー側の予算負担
が大きくなり、継続が困難となったためとしている。しかし一説にはバクー側が、N
eXXがアゼルバイジャンGPを『アジア枠』として認識していることが、契約打ち
切りに影響しているとの噂がある。アゼルバイジャンGPがF1開催に名乗りを上げ
た理由には、アゼルバイジャンをヨーロッパの一部、ヨーロッパのレースとして位置
づけ、アゼルバイジャンには『ヨーロッパのメンタリティ』が存在することを世界に
アピールするとの目的があった。しかしNeXXは、ヨーロッパラウンドをアゼルバ
イジャンの手前の第12戦ルーマニアで終了とし、アゼルバイジャンからは『アジア
ラウンド』という位置づけで情報発信をしている。このバクー側とNeXXの認識の
溝が最後まで埋まらなったことが、契約打ち切りの真の理由のようだ。
アゼルバイジャンやトルコなど、ヨーロッパとアジア・中東などの中間に位置する地
域をめぐる認識は度々問題になるが、往々にしてこういった地域はヨーロッパにカテ
ゴライズされることを望んでいる。しかしNeXX側としては、F1を中心としてレ
ース界全体に根深く残る「モーターレース=ヨーロッパの文化」というマインドを払
しょくしたいとの明確な思惑があり、むしろヨーロッパの開催国数をどう抑えるかに
関して隔年開催を提案するなど腐心している。そこで注目されているのが、旧ソビエ
ト連邦を構成した中央アジア国家でのGP開催だ。カレンダーから外れるアゼルバイ
ジャンのかわりには4thから同じく『アジア枠』として、カザフスタンでのGP開
催が検討されているという。
カザフスタンには、サーキットデザイナーのヘルマン・テ〇ルケがデザインし、モト
GPやDTMなども開催するソコル・サーキットがあり、現在FNOと現地プロモー
ターとの交渉が進んでいるとも一部では伝えられている。経済的にも大きく成長を遂
げているカザフスタン、果たして4thシーズンのカレンダーインはあるか?


□シュトロゼックのロムニ・ダキア買収完了は秒読み
         4thシーズン以降はルーマニアとドイツの隔年開催が決定か?

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ドイツGP開催の噂は常に話題に上るが、シュトロゼックの参入により一層現実味を帯びてきた。
ハイネル氏(写真右端)はホッケンハイムでの開催に強いこだわりを見せる。

現在ロムニ・ダキアとドイツのレーシングコンストラクター、シュトロゼックの間で
進んでいる”買収”話。チームとして苦戦するロムニ・ダキア側の体制強化、そして
シュトロゼック側のトップフォーミュラ進出の野望という双方の思惑が合致し、買収
完了も目前と言われている。そしてこの買収話は、まとまれば開催カレンダーにも影
響を及ぼすとも言われている。それがドイツGPのカレンダーインだ。
前号でもお伝えしたがシュトロゼックのボス、フランツ・ハイネルはAvDドイツ自
動車クラブの上役と懇意であり、買収が完了した暁にはドイツGP開催をFNOに働
きかけてゆくとしている。
以前のインタビューでFNOのマネージングディレクター、ハーディー・フラッシュ
がオランダやルーマニアあたりとの隔年開催の可能性を示唆したが、多くのメディア
ルーマニアとの隔年開催になるとみている。現在ルーマニアGPを主催するプロモ
ーターが資金難に見舞われており、スポンサー探しに奔走しているため隔年開催を受
け入れるだろうというのが大方の見方だ。
いずれにせよ現在F1のカレンダーからも外れているドイツGP、NeXXのカレン
ダーに入ることになれば大きな話題となることは間違いないだろう。


□FNOが目指す世界戦略。アフリカ進出の足掛かりはモロッコ

NeXXは近い将来での世界5大陸での選手権開催を目指しているが、そんな現状の
NeXXのカレンダーに足りていないピースがアフリカでの開催枠だ。欧州、南北ア
メリカ、アジア・中東、オセアニアの4エリアでの開催は実現させているが、現状こ
のアフリカ枠のみが未だカレンダーインしていない。FNOは現在アフリカでの開催
実現に向けて、最も熱心に動いているという。
とはいえアフリカでの開催は難しい面もある。多くの国が未だ飢餓による栄養不足や
内戦、経済不安といった問題を抱えており、都市インフラの整っていない国が多い。
さらに暑さのほか治安や衛生面など、多くの国がモーターレースの世界選手権開催に
対しては大きな障害を抱えている。しかしアフリカ大陸がモーターレース不毛の地か
というとそうとも言えない。南アフリカやモロッコでは古くからF1が開催されてい
るし、フォーミュラeやWTCCなどは現在もモロッコでレースを開催している。ま
た現在では元々の開催地の政情不安から開催地が変わってしまったが、地上最も過酷
なレースとして「ダカールラリー」(かつてのパリ・ダカ)はつとに有名だ。そして
現在NeXXの新規開催候補地として、モロッコが積極的に開催をFNO側に働きか
けているという。

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ロッコはアフリカでもモーターレースとの関わりが深い国。マラケシュのストリート
サーキットではツーリングカー選手権やフォーミュラEが開催される。

FNOのデイトン・ビル統括部長は「モロッコマラケシュ市から、現地にGPを誘
致したいという積極的なアプローチを受けている。彼らは強い関心を示してくれた。」
と語る。モロッコは1958年に一度だけF1を開催しており、近年はフォーミュラ
e世界選手権をマラケシュで開催していることもあり、モータースポーツ人気が再燃
している。また昨季モロッコ王族の遠縁にあたるカタル・アファルがNeXXに参戦
したことで、NeXX世界選手権の開催を望む声が高まっているという。
はたしてNeXXの大きな目標である『5大陸開催』の野望は実現するか? モロッ
コGP開催の為には大きなカレンダー調整が必要だが、今後の展開に注目しよう。


□いち早く新開催地の候補に挙がっていたタウポの現状は?

新規開催地候補といえば、1stシーズン終盤にいの一番で手をあげたのがニュージ
ーランドGPだった。ブルース・マクラーレン・モータースポートパーク、通称タウ
ポ・サーキットを運営するMITデベロップメントが、同国政府のバックアップを受
け招致活動を開始したと本誌が報じたのが昨季終了後だった。しかし現在この計画は
一旦ストップ状態にあるという。
現状『ニュージーランドGP』の開催の障害となっている事案は二つ。ひとつは開催
権料の支払いとコース改修に必要な資金の確保、そしてもう一つは同GPをカレンダ
ーのどこに差し込むかという問題だ。ニュージーランドGP開催には政府の後押しが
あるものの、開催権料プラスコースの改修費を賄うには他に大きなタイトルスポンサ
ーが必要で、MIT側は現在このスポンサー探しに苦労していると見られている。ま
たカレンダーのどこで開催するかも問題で、現状中米メキシコや今後カレンダーイン
すると噂のモロッコなどがFNOの優先課題となっており、開催資金の確保が遅れて
いるニュージーランドは後回し状態になっているのが現状。そこへ来て例えばモロッ
コなどが先んじてカレンダーインすることになると、ニュージーランドをどこに差し
込むかFNOは難しいジャッジメントを下さなければならない。
もし開催するとすれば地理的見地からオーストラリアの前後、そしてオーストラリア
が現状開幕戦開催が条件であることを鑑みると第2戦開催が濃厚だ。しかし現状第2
戦には東南アジア枠として重要なポジションであるインドネシアGPが鎮座、またそ
の流れで4thシーズンにはモロッコが第4、5戦あたりに組み込まれるとの噂があ
る。FNOには現状全18戦の開催数を変更する意思はなく、開催枠の増枠について
も期待できる状況ではない。現状ニュージーランドGPの開催には高いハードルが立
ちはだかっている。


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■PADDOCK PRESS

◇ピットブルのリザーブ降格のマイネ、来季はトライアンフ移籍で合意!!

第12戦ルーマニアGPを最後にリザーブドライバーのミシェル・ボナパルトにシー
トを譲り、代わりに自身がリザーブへ降格となってしまったピットブルのルドルフ・
マイネが、来季トライアンフチームへの移籍で合意した。第13戦アゼルバイジャン
GPのパドックで、トライアンフチームが記者会見を行いこの旨が発表された。
マイネはNeXX開幕シーズンとなった昨季にピットブルチームに加入。F1王者経
験者ニコ・ラムダのパートナーとしてPP3回、優勝1回を記録、昨季のチームタイ
トル獲得に大きく貢献した。しかし今季は開幕戦でまさかの予選落ちを喫し、その後
も昨季ほどの活躍は見せられず。第12戦を最後にリザーブへの降格が決まっており、
移籍が噂されていた。
トライアンフのチームマネージャー真田幸治氏は「我々は来季に向けて非常に大きな
戦力を獲得することができました。彼は苦労人ですがF1で2季戦った経験をもち、
またこのNeXXでの優勝経験もある。来季の我々の躍進に大きく貢献してくれるも
のと、今から期待しています。」と語り、来季の見通しは明るいと強調した。
「私は来季このトライアンフというチームで走れることを光栄に思う。彼らはオール
ジャパンでこのNeXXを戦い、そしていくつかの勝利をあげている。戦闘力のある
チームへ移籍できて正直ホッとしているよ。」とはマイネ。「カムイとはともにF1
を戦った、そしてこのNeXXでピンチに直面していた私を救ってくれたのもカムイ
だ。私はドイツ人だが、F1でもNeXXでも日本人の”ナサケ”に救われた。来季
トライアンフと日本のファンのために私は戦うよ。」と来季への抱負を語った。
しかし、シーズン途中での移籍先決定劇に対しては所属元のピットブルがいち早く反
応、チームマネージャーのヘルムート・マルコリーニは今季中はレギュラードライバ
ーに怪我やサスペンドなど出場できない状況が発生した場合でも、代役にマイネを起
用しない旨を発表した。これに対しマイネは「それが彼らのやり方なら仕方がない。
どのみち途中でレギュラーを降ろされた時点でクビを言い渡されたようなものだ。走
るのは来季まで我慢するよ(苦笑)。」と冷静だ。
この移籍により来季トライアンフは日向とマイネで戦うことになるが、これまで2n
dシートに座ったカジワラはどうなるのか?
「ジョーに関しては、リザーブ兼開発ドライバーとしての残留を提案しました。彼の
開発能力の高さは業界でも有名ですからね。しかし彼は受け入れませんでした。まぁ
当然だと思います。残念ながら彼は今季限りでトライアンフを去ることになります。
私はF1時代から彼と付き合いがありますから非常に残念ですが、我々は進化を停め
る訳にはいかない。さらなる高みを目指すための決断です。ジョーのこれからのキャ
リアの幸運を祈ります。」とは真田。彼の言葉通りF1で苦楽を共にしたカジワラの
解雇は、苦渋の決断であったはずだ。しかしチームマネージャーとしてはエースドラ
イバーにこれだけ戦績で水をあけられては擁護のしようがない。また今季の戦績では
来季、カジワラを獲得するチームがあるかも疑問だ。果たして来季NeXXにカジワ
ラの姿はあるのか?
ともあれマイネという実力者の加入で、来季のトライアンフの戦力アップに疑いの余
地はなくなった。日本のファンは我らのトライアンフの活躍に、大いに期待しよう。

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事実上ピットブルの「戦力外」となったマイネ(写真左)は、2ndシーズンの終了を待たずしてトラ
イアンフと3rdシーズンのドライバー契約を締結。これに不快感をあらわにしたピットブルのH.マ
ルコリーニ(写真中央)は2ndシーズンの残りのレースで、緊急事態が発生した場合もマイネを使わ
ないとした。この移籍劇でトライアンフから弾き出された格好のカジワラ(写真右)、来季のシートは?


◇クラークソンに新エンジン獲得の動き

『F1四天王』の一人デイヴィス・ファングを擁するクラークソンチームが、3rd
シーズンにむけて新たなエンジン探しをしているらしいことがわかった。クラークソ
ンはここまで2シーズン、チームの母国であるイギリスのアシュトンバーキンエンジ
ンを使用しているが、どうもエースのファングがアシュトンバーキンのエンジンに満
足していないらしいというのだ。
アシュトンはNeXXの参戦メーカーで唯一V12を採用しているが、このエンジン
はご存知の通りきわめて高回転型の高速エンジンで、低速サーキットではその性能が
著しくスポイルされる傾向にある。昨季の第10戦スウェーデンGPでは、あまりの
戦闘力の低さに戦意を喪失したファングが、自らレースを放棄してしまうという”事
件”が起こった程だ。また、クラークソンが採用するシグマテックシャシーもマシン
特性は高速寄りで、これにうまく対応できていないクラークソンは今季も相変わらず
低速コースでの苦戦が続いている。同様のパッケージで選手権トップを行くピットブ
ルは、エースのラムダを含めたエンジニアリングが良好に機能し好調を維持している
が、オーナーのジェレミー・クラークソンはシーズン途中のNo.2ドライバー交代
劇にもみられる通り現状に満足できていないようだ(ピットブルもNo.2を交代し
てはいるのだが・・・)。

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エースのファング(写真右)に振り回されっぱなしのチームオーナー、ジェレミー・クラー
クソン氏(写真左)。この『凸凹コンビ』のドタバタ劇は来季も続きそうだ。

「アシュトンバーキンは我々英国が誇るスーパースポーツカーブランドだ。F1にも
参戦しているし、ボンドカーだって作っている。私はDB5が大好きだ、ジャガー
タイプの次にね。そしてこのカテゴリがどれだけ環境に配慮したものであっても、私
はもっとパワーを求めたいし、そのためにはアシュトンのV12のようなエンジンが
必要だ。しかしアシュトンとて万能ではないらしい、うちのドライバーはもっとバラ
ンスの良いエンジンを求めているんだよ、まったくワガママな話さ(笑)。」とはオ
ーナーのジェレミーの談。
実際のところ今季もファングはメキシコや欧州低速ラウンド3連戦では低調に終わっ
ており、チームの現状抱える課題を露呈してしまっている状態だ。というわけでクラ
ークソンチームはヨーロッパラウンドが終了を迎えるあたりから、新エンジンの物色
を始めたということのようだ。今のところ有力候補と見られているのがDMWだが、
DMWとシグマテックのパッケージではアブラモビッチが今季低迷していることから、
実現するかどうかは未知数。またジェレミーは、シャシーについては「見た目」が大
いに気に入っているようで、変更するつもりはないという。
なんにせよオーナーもエースドライバーもハチャメチャなチームなだけに、実際にど
う転ぶかはわからない。クラークソンの今後の動向については、生温かい目で見守っ
て行こうと思う。


◇マーキュリー監督、クラークソンを去るティルクムに
     「もったいない・・・」と語るも、ティルクムの評価はパドックでも二分

第12戦ルーマニアGPを最後にクラークソンを去った英国人ドライバー、アリエル
・ティルクムに対しNeXXからのフェードアウトを惜しむ声と同時に、彼の真の実
力について懐疑的な声もあちらこちらから上がっている。
ティルクムはかつてF3でマカオGPを2連覇した経歴を持ち、昨季はD〇MSより
F2に参戦。F2での優勝経験もあり、F1ウィリア〇ズチームの開発ドライバーも
務めた実力者だ。しかしNeXXに初参戦した今季は第4戦ブラジルの8位が唯一の
入賞で、その後は第5戦メキシコから第11戦チェコまでの7戦でなんと6度の予選
落ちを記録。特に第7戦フランスから第11戦チェコまでは5戦連続予選落ちという屈辱
を味わった。
しかしこのティルクムの不調については前号で紹介した通りチームの体制に問題があ
ったことが指摘されており、充分なサポートを受けられずNeXXから離脱する実力
者に同情の声が上がっている
マーキュリーチーム監督のブライアン・マーキュリーは「ティルクムのような才能は
稀有だよ。ジュニアフォーミュラ時代は少々やんちゃだったようだが、今では成熟し
た大人のドライバーになったようだね。もし来季のシートが決まらずNeXXから離
脱するようなことになるなら、それは非常に残念なことだ。彼はトップフォーミュラ
デビューにあたってF1ではなくNeXXを選んだ。それを手放すことはNeXXの
将来にとって大きな損失になるだろうね。」と語る。
またピットブルのチーム監督ウォルフ・ファイアジンガーも「彼は既に我々の育成プ
ログラム外の存在になってしまったが、来季の陣容が未確定な状況なら獲得も考えた
かもしれない。」と話す。
しかし、いくつかのチームの関係者からティルクムの離脱について「もったいない」
という趣旨の話が出る中で、現状ティルクムの周囲では来季のNeXX残留につなが
る話は聞こえてこない。ティルクムの離脱については、クラークソンのサポート体制
が大きく問題視されているが、各チーム離脱を惜しみながらもその素行を含めた実力
に懐疑的な見方があるのも事実なのだ。チャイナドラゴンのチームマネージャーであ
ウィニーエバーは「確かに彼は目の醒めるような速さの持ち主だ。だけどややメ
ンタルに不安を抱えているように見えるよ。確かにクラークソンでの待遇には同情す
るが、2度目の予選落ち以降の彼の態度にも問題があるんじゃないかな? あのよう
な状況でモチベーションを維持するのは難しい、しかしプロのレーシングドライバー
はそういった状況でも自己をマネジメントしなければならない。プロ意識が必要なん
だ。彼はまだそこに改善の余地があるように見えるね。」と厳しい見方だ。
またロムニ・ダキアのマネージャー、シリル・テルアビブは「彼には確かに速さがあ
るが、クレバーさが足りないように思えるね。一発の速さなら持っているドライバー
は多いけれど、レースを戦える速さを彼はまだ持っていないんじゃないかな。それは
スピードとクレバーさが融合してはじめて生まれるものだ。それが彼には足りていな
いように思える。」と辛辣だ。
クラークソンのチーム体制も含めて、パドックに大きな議題を投げかけたティルクム
のクラークソン離脱。果たして来季ティルクムはNeXXのどこかのシートに座って
いるだろうか?

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パドックでも評価の大きく分かれたティルクムだが、結局真の実力
は分からないままNeXXを去ることになりそうだ。


◇シュトロゼックのロムニ・ダキア買収計画が着々と進展も
                     来季は引き続きピジョンで参戦

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ロムニ・ダキアのマネージャーS.テルアビブは、シュトロゼック
側とはいい話し合いができていると話す。しかし買収が完了すれば
首脳陣の入れ替えの可能性もあるが・・・

ロムニ・ダキアチームの買収を進めているドイツのレーシングコンストラクター、シ
ュトロゼックの計画は着々と進んでいるようだ。ルーマニア人実業家のミルセア・ト
ゥドールが立ち上げたプライベートチームであるロムニ・ダキアは、NeXX参戦当
初から苦戦を強いられていた。それでも初年度の昨季は第16戦日本で初優勝をあげ
だが、予算規模やチームの組織力、エンジニアリング力などで他チームに大きく水を
あけられた今季は、昨季以上に苦戦している。今回の買収話はそんなチームの組織力
、戦闘力強化を切実に願うロムニ・ダキア側と、トップフォーミュラ進出の野望を掲
げるシュトロゼック側の利害が一致し、現段階ではひとまず両陣営のトップによる口
頭合意にを至ったものと見られている。
第13戦アゼルバイジャンパドックにはシュトロゼックのマネージングディレクタ
ー、アンドリウス・ザイグルが姿を見せロムニ・ダキア首脳陣と何やら会合を持ち、
第15戦の舞台マカオではシュトロゼックのボスであるフランツ・ハイネルが直々に
ロムニ・ダキアピットを訪問。ハイネル氏は約1時間半ほどの会合ののち、プレスの
囲み取材に応じこう語った。
「我々は双方に利益のある関係を望んでいる。トゥドール氏のNeXXに対する情熱
を十分に理解した上で、我々シュトロゼックと手を組みNeXXを戦おうという共通
認識を確認した。我々はシュトロゼックの名をトップフォーミュラに刻みたい、そし
て彼らは誇り高きダキア人の名のもと母国を勇気づけたいと願っている。我々の利害
は一致したんだ。我々は一方的に彼らを侵略するわけじゃない、この話は思いのほか
スマートに運ぶと思っているよ。」
また、チームの買収については完全に”ロムニ・ダキア”の名を消すようなことはせ
ず、シュトロゼックとの事業提携のような形で進められるようだ。将来的にはドイツ
のメーカーのエンジンを使用したい考えがあるようだが、ひとまず来季は現行通りピ
ジョンエンジンで戦うことになるという。
「シュトロゼックとはいい話し合いができているよ。彼らのような大きなコンストラ
クターのノウハウを得られるのは、我々にとって非常に有益だ。今後の長期的なプラ
ンについてはもう少し詰めなければいけないが、彼らは私たちを征服しに来たわけじ
ゃない。私たちはシュトロゼックにネーミングライツを提供し、見返りにトップコン
ストラクターの組織力を得られるんだ。”買収”なんて表現をされているけれど、我
々とシュトロゼックの”取引”はWin-Winなんだ。ただ、チーム運営にシュト
ロゼック側の意向も大きく影響するようになるだろう、それは致し方ない。彼らはド
イツのコンストラクターだからね、ドイツメーカーのエンジンを使いたがっている。
来季1年は本格的な体制移行の準備期間と捉えピジョンで戦うが、4thシーズンの
為に何等かドイツのエンジンメーカーとコンタクトを取ることになるだろう。ピジョ
ンとはいい関係を築けていただけに残念だけどね。」とはロムニ・ダキアのチームマ
ネージャー、シリル・テルアビブの談。
いずれにせよシュトロゼックとロムニ・ダキアの”取引”は良い形で進んでおり、シ
ーズン終了までには何等か大きな発表があるようだ。今後の動きに注目してきたい。


◇今季未勝利のラスムッセン苛立つ。
           作戦やピット作業ミスなど「どこかチグハグ・・・」

昨季は最終戦までもつれたドライバーズタイトル争いで、最後の最後までタイトルを
争ったノルディックのケリー・ラスムッセンが、今季ここまで未勝利で苛立ちを募ら
せている。
昨季は第16戦日本GP終了時点で王座戦線に踏みとどまり、最終的にはタイトルを
逃したラムダと同ポイントの3位(勝利数でラムダが2位)と大健闘したラスムッセ
ン。今季もここまでPP1回表彰台3回で128ポイント(第16戦終了時点。昨季
はこの時点で132ポイント)、昨季と変わらずランキング3位につけているものの、今季勝利の無いラスムッセンは今季の成績に不満を隠さない。
「滑り出しは良かったと思う。開幕戦で表彰台に上がれたし、第2戦では予選で失敗
したけれど開幕からの流れは良いように思えていた。メキシコではミック(・ハイデ
ンフェルド)が優勝したしね。けれど実は早い段階から気が付いていたんだ、今季の
僕らは去年程速くないんじゃないかってね。」
今季のラスムッセンは開幕戦から3位、11位、4位、6位、5位とコンスタントに
まとめたが、第6戦終了時点でトップのバトラーには実に48ポイント差をつけられ
てしまった。またレース結果が予選順位を下回ることもしばしばで、チームは中盤戦
から次第に焦りを感じ始めていたという。
「今季序盤、実は僕らのマシンは高速域でのマシンバランスに少し問題を抱えていた
んだ。けれど僕は開幕からコンスタントに入賞していたし、ミックが優勝したことで
問題は見過ごされた。しかしポールリカールの予選で僕らは大苦戦し、続くムジェロ
のPQで僕は大クラッシュをしてしまった。直接の原因はタイロッドの破損だけど、
タイロッドが傷んだ原因はクラックにあった。セッションでプッシュしすぎた僕は、
縁石に乗った時にウイングのパーツを飛ばしてしまい、それがタイロッドにクラック
を入れてしまったんだ。ヨーロッパに入ってから僕らが、タイトルを争う上でやや遅
れをとっていることがわかって、無理をした結果のクラッシュさ。僕はヘイローに激
しく頭を打ち付けて気を失ってしまった。精密検査の結果体には何の異常もなかった
けどね。チームは結局僕のクラッシュを受けてレースを棄権したけど、僕は首脳陣か
らかなり強くプッシュしろと言われていたんだ。あの事故のあとからチームはピリピ
リし始めた。」と語る。

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今季の成績にフラストレーションを感じていることを隠さないラス
ムッセン。チームとの連携不和も問題と語る。

「今季はヨーロッパあたりから常に焦燥感を感じているよ。一度このカテゴリで勝ち
の味を知ってしまうと、勝つことに飢えてしまう、勝てないことにとてもイライラす
るんだ。もちろん僕自身ももっとうまくやらなきゃいけない部分もある。けれど上を
争う連中に歯が立たないのは悔しいもんさ、特にマーキュリーとは同じパッケージだ
からね。それに出走台数が増えたことで速い奴らがわんさか入ってきた。予選方式も
変わって、下位に沈むと決勝で上を目指すのがよりハードになったし、タイヤ戦略で
うまくいかないこともあった。ピット作業でいくつかのミスがあったのも大きかった
ね。特にアゼルバイジャンは大きなチャンスだった、でも最初のピットストップで次
のタイヤが間違って用意されていた。信じられなかったよ。今季初のPPのレースだ
ったし、リスタートで少しミスはあったけど久々に勝てる感触を持っていたんだ。確
かにここまで僕のパフォーマンスは充分とは言えないけれど、今季はチームの細かい
ミスも響いているよ。どこかチグハグで、うまくいっていない。」とラスムッセン
自身がチームの要求に充分に応えられていないことを認めつつも、チーム側のミスの
積み重ねの影響が決して小さくないこともはっきりと示した。
チームは来季も今季と同様の体制で臨むが、ラスムッセン自身は来季の成績次第では
チームを離れる可能性があることを認識している。
「来季は僕にとって正念場さ、僕がこのチームでまだ戦えることを、そして彼らとチ
ャンピオンを目指せることを示さなければならない。今季のような状況なら4thシ
ーズンのノルディックチームに僕の名前はないだろう、僕が望む望まざるに関わらず
ね。」
「反省すべき点は少なくない。今季はまだ終わっていない、そして僕らは今季の早い
段階で来季へ向けての改善に着手している。それが来季の結果につながるように努力
するよ。僕個人としては初年度にタイトル争いに加われたことが、大きな自身になっ
ているんだ。今季の成績が真の実力だなんて思いたくないし、僕はNeXXに長くと
どまってこのカテゴリでタイトルを獲りたいんだ。僕は北欧出身だから、できるなら
このチームでチャンピオンになりたい。そうなれるように頑張るよ。」
そう語るラスムッセンの顔には切迫感が顕れていた。ノルディックで3シーズン目を
迎える来季、ラスムッセンは既に背水の陣を敷いている。


◇今季もラムダvsバトラーに絞られたタイトル戦線。両陣営により一層の緊張感!

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マーキュリーのI.アンダーソン(写真右)は、ピットブルの総合力の高さを警戒。一方ピットブルのH.
マルコリーニは第16戦でのラムダのクラッシュについて、チャイナドラゴンの宋の無謀な追抜きを批判。

第16戦終了時点で、ポイントリーダーのアレックス・バトラーとランキング2位の
ニコ・ラムダが、ポイント差1で争う大接戦となった2ndシーズンのドライバー選
手権。事実上タイトル争いはバトラーとラムダの一騎打ちとなり、両陣営のガレージ
も一気に緊張感を増している。
昨季はこの時点でラムダがバトラーを168vs163と5ポイントリードしていた
が、今季は第16戦日本で167vs166と1ポイント差と、昨季以上の大接戦。
しかも第16戦開始前時点で9ポイント差でトップにいたラムダがノーポイントに終
わり、5位入賞のバトラーが10ポイント獲得でランキングを逆転するという白熱の
展開。他カテゴリでもまれに見る接戦だ。
序盤の6戦で2勝をあげポイントを荒稼ぎしたバトラーに対し、ラムダの序盤戦はト
ラブルに祟られた。しかしバトラーが中盤戦スランプに陥ると、ラムダが2勝をあげ
て一気にポイント差を挽回。ランキングのトップに立った。そしてここに来てまた、
流れはバトラーに傾いているように見える。
「アレックス(・バトラー)は繊細な男なんだ。悪い兆候を感じ取るとそれに引っ張
られてしまうところがある。でも終盤にきてまた流れを取り戻しつつある。」とはマ
ーキュリーのチームマネージャー、イアン・アンダーソンだ。
「夏場にスランプに陥ったけどね、ルーマニアで優勝してからは予選での速さも戻っ
てきたし、コンスタントに入賞もしている。ラムダがここにきてまたアクシデントに
見舞われて、流れは変わっていると思うよ。」とバトラーの連覇に期待を寄せる。一
方で「向こうはミシェル(・ボナパルト)も含め総合力が高い、決して油断はできな
い相手だよ。マカオの時みたいに、ラムダとミシェルがアレックスの前を走っていれば、ミシェルがアレックスを抑えにかかるだろう。彼らはこのNeXXでも数少ない
”そういうこと”ができるチームだ。」と、チームオーダーを駆使した2台の連携プレ
ーに、アンダーソンは警戒感をあらわにする。
一方でラムダがランキングを逆転されたピットブル側は、第16戦日本でラムダが絡
まれた”もらい事故”について、FNOとチャイナドラゴンチームに正式に抗議したも
ようだ。チームマネージャーのヘルムート・マルコリーニは「宋は今季1度ペナルテ
ィを受けているけど、今回の”あれ”が対象にならないのはなぜだ? 確かに密集した
中段ではああいった事故は起こり得る、しかしあの追抜きは無謀だった。前のラ・ポ
ルタは既にターンインの動きに入っていたし、ぶつかったのは最終ターンの手前であ
そこは追抜きポイントではない。コース幅も非常にせまいところで、ニコ(・ラムダ)
はアウトに避けるしかなかったんだ。仮にも王座争いをしているドライバーの前での、
あの動きは理解できない。」と宋の追抜きが無謀であったと非難する。
「ニコはF1で3度王者を経験した名手だ。選手権はあと2戦ある、彼なら去年の忘
れ物を必ず持って帰って来てくれると信じている。しかしひとつ懸念点があるとすれ
ば、それは残りのレースがすべて市街地戦ということだ。アレックスはストリートコ
―スにめっぽう強い、逆に我々は今季市街地でやや苦戦している。マシンバランスの
問題なんだけど、それが不安材料だね。ただ我々も向こうもこのカテゴリでは数少な
い、計算できるセカンドドライバーのいるチームだ。残り2戦は総力戦で臨むよ。」
と、チームオーダーも辞さないことを匂わせた。
いずれにしても選手権は残りあと2戦、ドライバー、チームとも大接戦のタイトル争
いは独特の緊張感を孕んで北米大陸へと渡る。


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■Hot Stove League

□ピットブル・エクストリーム・レーシング
 【確定】No.1:ニコ・ラムダ(AUT) 
 【確定】No.2:ミシェル・ボナパルト(FRA)

□マーキュリー・レーシング・オーガナイゼーションン
 【確定】No.1:アレックス・バトラー(IRL)
     No.2:カーティス・マルケーナス(AUS)??
          ゾルタン・ゲラ(HUN)??
          ジョルディ・ヴァッセル(GBR)??
          ジョリー・バーナード(GBR)??     

エヴァー・グラハム・レーシング 
     No.1:アレン・バーンズ(AUS)??
 【有力】     カーティス・マルケーナス(AUS)??
 【確定】No.2:ジェストン・バロン(GBR)

トライアンフ・スクエアジャパン・レーシング
 【確定】No.1:日向 俊郎(JPN)
 【確定】No.2:ルドルフ・マイネ(GER)??

アブラモビッチスタンフォード・レーシング
 【確定】No.1:ジョンブル・チャップマン(GBR)
     No.2:フェリオ・デ・ランジェリス(ITA)??
          アレン・バーンズ(ASU)???
          リチャード・スウェルツマン(RUS)??

プルトン・オートスポーツ
 【確定】No.1:トゥーリ・ヴィックス(EST)
          アレン・バーンズ(AUS)??
     No.2:ジョルディ・ヴァッセル(GBR)??
          レオ・タイラント(IDN)??
          ジョーイ・エラゲル(IDN)??
          メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

□スクーデリア・リナルディ
 【確定】No.1:ミケーネ・ポルボローネ(ITA)
 【確定】No.2:スティラノ・シエナ(ITA)

□クラークソン&メイ・ハモンド・レーシング
 【確定】No.1:デイヴィス・ファング(GBR)??     
     No.2:ジェストン・バロン(GBR)??
          リンド・ソリス(GBR)??
          ジョルディ・ヴァッセル(GBR)??     

□ロムニ・ダキアオートスポーツ(シュトロゼック??)
 【有力】No.1:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
          シュテフェン・バロシュ(GER)??
     No.2:アレオ・ファーシマス(LUX)??
          メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

ドラゴンフォース・チャイナレーシング
 【確定】No.1:宋 昇龍
     No.2:アレン・バーンズ(AUS)??
          ゾルタン・ゲラ(HUN)??
          アリエル・ティルクム(GBR)??

□ノルディック・モータースポーツ
 【確定】No.1:ケリー・ラスムッセン(DEN)??
 【確定】No.2:ミック・ハイデンフェルド(GER)

□サントス・ロコ・オリベイラ・レーシング
 【有力】No.1:アンドレアス・サントス・フィリオ(POR)??
     No.2:ヴィンチェンツォ・ジョバナルディ(ITA)??
          ピエトロ・モンテローザ(ARG)??
      ※ラ・ポルタは2nd限りで引退、アドバイザー就任の噂あり

アントネッティオートスポーツ
 【確定】No.1:アレンザンダー・ロッソ(USA)
 【確定】No.2:ファン・カレッジ(FRA)

□マルドゥーク・レーシング・ドバイ
 【確定】No.1:ビル・リヴィエール(CAN)
 【有力】No.2:ジャッキー・グーデリアン(USA)??
          ゾルタン・ゲラ(HUN)??

□ガジャック・ルルーシュ・スポール
 【有力】No.1:セドリック・タンデイ(FRA)??
          ヴィヴィエ・ピノーリ(FRA)??
          キャッシュ・サフィー(FRA)??
          ラモン・ゴーギャン(FRA)??
     No.2:カタル・アファル(MOR)??
          フィエール・ガシュレー(FRA)??

□フリー
 ジョリー・セプター(SAF)
 アレンザンダー・カブロン(THA)
 ジョー・S・カジワラ(USA)
 デイヴィス・リンドホルム(CAN)
 アリエル・ティルクム(GBR)
         

◇カレッジ、ついにアントネッティ移籍で合意!
             アントネッティは来季の選手権獲りに本気の体制!!

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アントネッティはヨーロッパラウンド中盤戦からカレッジ(写真左)に積極アプローチ、会見に
参加したチームボスのドナルド(写真右)は終始ご満悦の表情を見せていた。

来季の去就が注目されてきた今季注目の新人ファン・カレッジは、かねてから噂され
ていたアントネッティへの移籍で合意に達した。
カレッジの獲得を狙っていたのはアントネッティのほか噂が上がっていただけでマー
キュリー、アブラモビッチ、チャイナドラゴン、マルドゥークと多数。そんな中で最
も熱心に獲得を狙っていたのがアントネッティだった。アントネッティは今季からN
eXXに参戦、開幕戦でいきなりロッソが初優勝をあげポテンシャルの高さを示した
が、2ndシートのリンドホルムの低調なパフォーマンスが響き、いまいち上位に浮
上できていない。チームプリンシパルのドナルド・アントネッティは2ndドライバ
ーの補強が急務と考え、このスーパールーキーを熱心に口説き落としたという。
対するカレッジもF1の中堅チームの誘いを蹴ってNeXXへの参戦を決定、自身の
キャリアアップのためにはより総合力の高い、そして将来性のあるチームへの移籍を
望んでいたという。
「我々は光る速さを持つイキの良いドライバーを探していた。そしてこの先何年と我
々とともに戦い、将来このチームの核となりえるドライバーをね。そういった意味で
ファンの存在はまさに我々が求めるドライバー像そのものだった。アレン(ロッソ)
は現在の我々のエースだ、彼には当然それだけの速さがある。しかしファンは将来の
エース候補なんだ。現在進行形で王座を狙えるドライバーと、将来のチャンピオン候
補が同居することになるんだ。これ以上ファンタスティックなことはないよ。」と語
るのはチームプリンシパルのドナルドだ。
「もちろん我々は最初から、ファンをプレッシャーの海に放り込むようなことはした
くない。しかし彼はおそらくやってくれるだろう。今季の走りでそれは証明されてい
る。我々があれこれ言わずとも、彼は自分が何を求められているか理解しているはず
だ。そして彼は早くもこういう類のプレッシャーを楽しんでいる。私は本当に来季が
楽しみなんだ、今から開幕が待ちきれないよ。まだ今季は終わっていないっていうの
にね!」
「今季は半分期待以上、そして半分期待はずれ、そんな状況だった。アレンがまさか
開幕戦で優勝をするとは思わなかった。大きなサプライズだったよ。しかしその後我
々はやや苦戦している。そして2ndドライバーのデイヴィスのパフォーマンスにつ
いては落胆している。彼だって決して遅いドライバーじゃない、それでもこんなに苦
戦を強いられるんだ。しかし来季我々のチームにファンが加入する、それは今季のこ
の停滞を振り払ってくれる『ハリケーン』のような出来事だ。我々はここにいるヤン
グボーイに大いに期待する。」と熱っぽく語った。
また会見に同席したカレッジは「今回アントネッティという、アメリカンレーシング
の象徴のようなチームと契約できて光栄に思うよ。今季デビュー戦で初優勝を飾った
あのクルマで来季戦えると思うとワクワクするんだ。いろんなチームから誘いを受け
たけど、ドナルドが一番僕を熱心に誘ってくれたんだ。僕は僕の力を一番欲してくれ
ているチームに移籍することにした。来季が楽しみだよ。」と語った。
ドナルドも語ったように今季は中盤から伸び悩み、リンドホルムの不調もあり新参勢
ではマルドゥークに先を行かれてしまったアントネッティ。しかしカレッジの補強で
さらなる浮上の準備は整った。来季のアントネッティから目が離せない!!


◇もう一人の隠れた逸材ヴィックスは来季もプルトンで

今季はカレッジやリヴィエールなどの新顔が活躍し、すっかり影に隠れてしまった感
があるが、ひそかに移籍市場で注目されていた逸材がいる。それがプルトンのトゥー
リ・ヴィックスだ。
エストニア出身のヴィックスは今年22歳の若武者、昨季のF3では3勝をあげマカ
オGPでは予選でコースレコードを更新するなど速さを見せた。昨季第16戦日本G
PからNeXXに参戦している。戦闘力の低いプルトンのマシンで昨季は最終戦アメ
リカで7位入賞、今季もここまでチームメイトのカブロンを大きく上回る〇度の入賞、
○○ポイントを獲得し下位チームにあって一人気を吐いている。
そんなヴィックスがこの度、来季もプルトンをドライブすることで合意した。これま
で表立って大きな動きはなかったものの、一部ではアブラモビッチやロムニダキア
いった東欧系チームが獲得を狙っていたとされる。しかし、来季からカムイエンジン
を搭載することが決まったプルトンに、将来性を見出したと語るヴィックスは来季の
残留を決意したそうだ。

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実質今季がルーキーイヤーのヴィックスだが、後半戦になって
”乗れて”きた。成績もチームメイトのカブロンを上回っている。


「正直今季序盤は苦しかったね、予選では下位グループだったしブラジルでは予選落
ちも経験した。屈辱だったよ。だけど第5戦メキシコで何かが変わったんだ。序盤の
サーキットの中ではエルマノス・ロドリゲスが一番ウチのクルマにマッチしたね。そ
のあとも苦しい状況は続いたけれど、その間僕はいろいろなことを学んだよ。腐らず
自分の仕事をした。そしてスウェーデンチェコとウチのマシンと相性の良いサーキ
ットではいい結果を出すことができたんだ。スウェーデンでは最後尾からスタートし
てポイントゲットできたんだ! 僕はこのチームでまだまだ成長できると思う。そし
て来季は日本のカムイエンジンが乗るんだ。実はいくつかのチームからオファーを受
けていたけど、僕はここに留まることに決めた。来季はもっといい走りができると思
うよ。」とヴィックスは熱っぽく語った。
プルトンチームはとても居心地がいいんだよ。昨季の終盤からチームに加入したけ
れど、待遇を不満に感じたことはない。アレンザンダー(カブロン)ともうまくやれ
ているし、中盤戦くらいからだんだんとマシンに慣れてきた。乗れてる実感があるん
だ。そこに来季カムイエンジンが乗るとなれば期待は膨らむよ。僕はまだまだ若い、
このチームでまだまだ学ぶべきことはある。そう思って来季もこのチームで戦うこと
に決めたんだ。」と語るヴィックス。確かに今季序盤は苦戦したものの、後半戦に入
り入賞回数は増え、第13戦アゼルバイジャンでは表彰台1歩手前の4位フィニッシ
ュ。来季もプルトンで戦える手ごたえをつかんだのか、ヴィックスは来季もプルト
と契約を結んだ。ヴィックスも語った通り、来季は日本のカムイ、もといSUGO・
カムイエンジンが乗るプルトン。我々日本人も、来季のプルトンとヴィックスの活躍
に注目しよう。


◇カレッジにシートを奪われたリンドホルム、来季はインディカー
                   復帰画策もチームにはリザーブとして残留

期待の新人カレッジが来季のアントネッティのシートを射止めた一方で、来季のシー
トを失ってしまったのがリンドホルムだ。アントネッティの来季体制が固まったこと
により、初年度から2シーズンNeXXを戦った雄の去就に注目が集まったが、リン
ドホルムはどうやら来季はNeXXを走らないようだ。
リンドホルムは初年度の昨季、PP1回最高位2位2回含む81ポイントを獲得し、
ノルディックのタイトル争いの一翼を担い、今季は第14戦タイGPでようやくNe
XX初優勝をあげた。しかし昨季は後半戦の大失速がチームタイトル逸の原因とされ
ノルディックから放出、今季はアントネッティに移籍も前半戦でまさかの大苦戦。第
10戦までの獲得ポイントが僅か1と、昨季後半からの絶不調を長く引きずった。尻
上がりに調子を上げ第14戦で初優勝をあげるも時すでに遅し、結局来季は若いカレ
ッジにシートを奪われる格好となってしまった。

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驚異の新人カレッジにシートを奪われたリンドホルムだが、来季はリザーブ
としてチームに留まりインディカーに参戦。4thシーズンでのNeXX復
帰を目指す。

「NeXXはエキサイティングなカテゴリだよ。エンジンはクリーンだがパワーがあ
ってグッドサウンドだし、本物の競争が楽しめる。何より僕は北米しか知らなかった
からね、世界を転戦できてとても楽しかったんだ。来季はアントネッティのレギュラ
ーシートを失ってしまったけど、ドナルドはリザーブでの残留契約を提示してくれた。
来季は1年充電して4thシーズンでの復帰を目指したい。」と語るリンドホルム。
「NeXXは正直に言って難しいカテゴリだと思ったね。過去に1度だけテストでF
1のマシンに乗ったことがあるんだけど、NeXXのマシンはどちらかというとF1
寄りで、インディのマシンとは挙動も特性も全く違う。空力がよりセンシティブで、
一度マシンバランスを崩してしまってからはセッティングの”いいところ”がわから
なくなってしまった。今季の前半戦なんかはまさにそうだったよ。アレン(ロッソ)
はうまくやっていたから、正直焦りしかなかった。だけど後半、スウェーデンかチェ
コあたりから感触が徐々に良くなって、本来のスピードを取り戻すことができた。こ
の2シーズンは多くを学んだよ。」と話すリンドホルムは自信を取り戻し、第14戦
タイで遅まきながら初優勝をあげた。しかしそのタイGPのパドックでは、チームが
来季自身の代わりにカレッジと契約する旨が発表され、勝利もむなしくリンドホルム
は来季のレギュラーシートを失ってしまったのだった。
しかし「ほかのチームを探す選択肢もあったけど、僕はアントネッティの雰囲気が気
に入っていてね。それにファン(・カレッジ)の加入が正式に決まったころには、他
のチームもあらかた主だったシートは埋まっていて、ならリザーブでもアントネッテ
ィに残った方がいいと思ったんだよ。来季はインディのチームからオファーをもらっ
ていて、オーバル限定の契約なんだ。だから仮にインディ側の契約がまとまったとし
てもこっちのリザーブとの掛け持ちでも問題ないってわけさ。」と語るリンドホルム
に、大きな落胆の色はない。
「僕はとにかく走ることが大好きだから、来季インディに復帰できるのはとてもうれ
しいよ。だけど僕はNeXXでまだ何も達成していない。だから4thシーズンでの
復帰を目指すよ、アントネッティが埋まっているならチームはどこだって構わない。
もう少しNeXXでやれることがあるハズさ。」
インディで5勝をあげた32歳のカナダ人は、来季一年を雌伏し時の至るを待つ。


◇バーンズ、クラークソンをはじめ複数チームと接触か?

今季限りでエヴァー・グラハムを去るのではないかと噂されるアレン・バーンズが、
来季の移籍先を探して複数のチームと接触を持ったと報じられている。
NeXXには1stシーズンから参戦し、初年度から参戦した4名のF1王者経験者
『F1四天王』の一角として注目を浴びたが、開幕から2シーズンここまで四天王で
唯一の未勝利で、チームからの評価も下がる一方だったバーンズ。このまま引き下が
るわけにはいかないF1チャンピオンが、来季の捲土重来を期し目下移籍先を物色中
というわけだ。
現在接触の噂が上がったチームはクラークソン、チャイナドラゴン、そしてプルト
の3チーム。クラークソンはティルクムの離脱で来季の2ndシートが開いており、
来季チーム名がドラゴンフォースに代わるチャイナドラゴンもセプターの去就が不透
明で同じく2ndシートが未確定状態だ。またプルトンは現在No.1のカブロンが
離脱濃厚と伝えられており、ここもシートがひとつ空く可能性がある。しかし一説に
はバーンズの要求する高年俸や、移籍した場合のシートが2ndシートであることが
ネックになったとも伝えられており、バーンズ側の感触は芳しくないらしい。
また、既に来季へ向けて活発な移籍劇が展開されているものの、ほとんどのチームは
1stシートが決まっており、『エースの相方探し』になっている状態のチームが大
半。そんな状況で元F1王者に相応しいシートが見つかるのか疑問が残る。
果たしてバーンスを獲得するチームは現れるのか、元F1王者の再就職活動は一筋縄
ではいかない状況だ。

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なかなかNeXXで結果を出せない元F1王者
周囲の評価は下がってゆくばかりだ・・・

◇ゲラ、一転して残留濃厚の噂!! シュトロゼック側が年俸の
                      大幅アップでの引き留め画策??

1stシーズンからその速さで注目を集め、今季移籍市場の目玉となっていたハンガ
リー人のゾルタン・ゲラ。移籍は確実と噂されていたゲラが、一転来季もロムニ・ダ
キアに残留する可能性が高まった。
参戦初年度から苦戦を続けるロムニ・ダキアチームにあって昨季は1勝をマーク、今
季も依然苦しい状況のなかで第13戦アゼルバイジャンで表彰台に上がるなど、その
実力をアピールし続けてきたゲラ。今季は早い段階で有力チームの獲得リストに名前
が挙がり、来季の移籍は確実と見られていた。しかし一転残留の可能性が強まったと
いうのだ。いったいどういうことだろうか?
所属のロムニ・ダキアは来季ドイツのコンストラクター、シュトロゼックとの合併が
大枠で決定しており、来季からチーム体制がガラリと変わることになるが、現在熱心
にゲラを引き留めにかかっているのがそのシュトロゼックだという。シュトロゼック
プリンシパル、フランツ・ハイネルがゲラの実力を非常に高く評価しているためだ
とは、ロムニ・ダキア関係者筋による情報だ。

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シュトロゼックのハイネル氏は、ゲラの実力を高く評価。あの手この手
での引き留めを画策しているようだ。

レース界にあっては珍しハンガリー人ドライバーであるゲラは、14歳でレースキャ
リアをスタートさせ、主にドイツを主戦場としてきた。NeXX参戦前はWECやD
TM、ポルシェカップなどに参戦していたが、これといった戦績を残せずNeXX参
戦時の注目度も決して高くはなかった。しかし昨季はマシンのパワー不足に悩まされ
ながらも随所に光る走りを見せ、優勝1回を含む表彰台3度を記録。有力チームの目
にとまっていた。そんなゲラに対してハイネルは直々に自身のゲラに対する評価を伝
え、残留してくれたら倍額の報酬を支払ってもいいとまで言ったと伝えられる。
来季チームの運営に大きく介入することになると言われているシュトロゼックだが、
ドライバーの陣容については実力はもちろんのこと、初年度から2年間チームとキャ
リアを共にしてきたゲラを核として、チーム改革を進めたい思いがあるようだ。この
提案に大きく心動かされたゲラの気持ちは、一転残留に傾いているようなのだ。
2ndシーズンもあと2戦残すだけの終盤戦だが、ゲラの来季の去就は未だ決まって
いない。そして未だマーキュリー、チャイナドラゴン改めドラゴンフォース、そして
マルドゥークへの移籍の噂も消えてはいない。今季カレッジと人気を二分したマーケ
ットの目玉であるゲラ、果たして来季はどのシートに座っているだろうか?


◇ノルディック、リナルディは来季も現行ラインナップで臨む旨を正式発表!!
            今季大活躍のリヴィエールもマルドゥーク残留が決定!!

シーズンも終盤、タイトル争いはまさに佳境を迎えている中、来季の移籍市場は未だ
活発だ。しかし一方ではピットブルやトライアンフをはじめ、既に来季のラインナッ
プが決定しているチームもある。第15戦マカオではリナルディが、第16戦日本の
パドックではノルディックが来季の体制について記者会見を開き、今季同様のドライ
バーラインナップで3rdシーズンに臨む旨を発表した。
かつてはF1にも参戦した名物チームであるリナルディは、初年度こそチームランキ
ング再開に沈んだが、今年は2人の所属ドライバーが活躍。ここまでシエナがチーム
初PPを記録し、ポルボローネがチーム初優勝をあげている。安定感に乏しく入賞圏
外フィニッシュや予選落ちも度々あるが、昨季と比較すれば大躍進だ。チーム代表で
元F1ドライバーのカルロ・バニラもこの活躍には大いに満足しており、リナルディ
側は早い段階で来季も同様の体制で臨むことえお公言していた。バニラが意気揚々と
来季への抱負を述べたリナルディの会見は、終始和やかな雰囲気で進められた。
一方で同様に今季の体制のままで来季に臨む旨を発表したノルディックの記者会見に
は、やや違った空気が流れていた。チームマネージャーのチチ・ソルベルグは冒頭で
「来季は我々にとって勝負のシーズンになる」と語り、のっけからやや引き締まった
雰囲気で会見は進んだ。
「我々は正直今季はもっとやれると思っていた。ドライバーにしろチームにしろ、も
っと高い位置でタイトル争いに絡めると考えていたんだ。しかしシーズンも間もなく
終わりを迎えるが、我々は比較的早い段階で”そこ”に挑むには力が足りていないこ
とを突き付けられた。昨オフの我々はいささか楽観的すぎたと言わざるを得ない。昨
季はケリー(・ラスムッセン)が最後までタイトルを争ったが、今季の我々はミック
(・ハイデンフェルド)が1勝をあげただけの状態にとどまっている。しかし我々は
既に今季を反省しており、来季への準備をしている。我々は¥が今後もトップチーム
でいられるかは来季、一つの答えが出るだろう。それによって今後の長期的プランも
必要が出てくるかもね。」と語ったソルベルグ
一方会見に同席したラスムッセンも「今季のこの状況には正直失望しているよ。昨季
は最後までタイトルを争ったのに、僕自身今季のこのポジションは到底受け入れられ
ない。来季はもっとハードワークが必要だろうね、僕もミックももっと貪欲にならな
ければいけない。」と危機感をあらわにした。今季の伸び悩みを糧に、早めの足場固
めで来季の再浮上を期す。
そして今季からNeXXに参戦したドライバーで最も活躍したといっていいビル・リ
ヴィエールは、来季以降もマルドゥークで走ることが決定した。「今回チームとはい
い話し合いができた、もちろん来季の契約にはさいんしたよ。」と、リヴィエールは
マカオパドックで笑顔で語った。
「シーズン序盤はNeXXというカテゴリと、予選でのタイヤの使い方を理解するの
に時間がかかった。なんせ久しぶりに緯線落ちまで経験したからね。けれど乗れてき
てからは鳥羽堂こともなくなった、優勝もできたしね。シェブロンエンジンはパワー
があるし、シャシーもいい。ツイスティなコースでもグイグイまがるから、僕みたい
に振り回すヤツは乗ってみたら楽しいんじゃない? ファン(・ドット)も僕のこと
をよく理解してくれてるし、ジャッキー(・グーデリアン)ともうまくやってる。ま
だ正式に決定してはいないけど、来季もジャッキーと仕事ができたらいいと思ってい
るよ。来季はもっとたくさん勝ちたいね。」と終始笑顔のリヴィエール。今季のパフ
ォーマンスにはおおむね満足しており、納得の契約更新だったことがうかがえる。
来季の体がは固まったチームの中でも、来季に向けての意気込みはそれぞれ。来季の
開幕戦にはもしかすると、今季までとは違う風景が見られるかもしれない。


◇チャイナドラゴン改め”ドラゴンフォース
                セプターと来季の契約を結ばない旨を発表

来季からチーム名を『ドラゴンフォース・チャイナ』へと変更するチャイナドラゴン
が、現所属ドライバーのジョリー・セプターと来季の契約を結ばないことを発表した。
『F1四天王』の一人として初年度からNeXXに参戦したセプターは、昨季開幕戦
で優勝を飾り記念すべきNeXXウィナー第1号となった。また昨季は驚異的な入賞
率を誇り、128ポイントを獲得しランキング5位に食い込んだ。しかし今季は第3
戦ドバイで1勝をあげるもそれ以外の戦績はパッとせず、F1王者経験者としては屈
辱の予選落ちを2度喫するなど精彩を欠いた。(第15戦終了時点)
今季のセプターは、ノックアウト方式に変更された予選方式に苦しんだ。昨季も予選
成績は芳しくなかったが、今季は輪をかけて苦戦。20番手以下に沈むこと2度、そ
して先述の通り予選落ちも2度記録した。今季はレギュラードライバーに若手中国人
の宋昇龍を起用したこともあり、宋には大先輩格のセプターより様々なことを学ばせ
るつもりでいたチャイナドラゴン陣営だが、セプターがこうも不調をかこってしまっ
ては宋の手本どころではない。かくいう宋も随所で速さは見せるものの、セプター共
々予選で苦戦をしいられここまで4度の予選落ちを喫してしまった。
昨季は18戦中12完走、そしてうち11戦で入賞を果たしたセプターだが、今季は
ここまで4度の入賞にとどまっている(その後第16戦日本で2勝目をあげた)。ま
たチーム関係者筋では特に後半戦に入ってからのセプターのモチベーションの低下を
指摘する声も上がっており、チーム側は契約継続は難しいと判断したようだ。
今のところ公認候補としてはエヴァー・グラハム離脱がほぼ確実なバーンズ、ロムニ
ダキアのゲラ、そして今季途中でクラークソンを離脱したティルクムなどが挙がっ
ているがバーンズは高年俸がネック、ゲラは一転ロムニ・ダキア残留の可能性が強ま
り、またティルクムに関してはクラークソンの離脱劇についてチームマネージャーの
ウィニーエヴァーがやや辛辣なコメントを残しており、これら候補3名のうち誰か
が新生ドラゴンフォースのシートに座る可能性は低いと言わざるを得ない。来季新体
制となるドラゴンフォースの2ndシート、そしてラムダ、ファングと明暗を分けた
『F1四天王』セプター、バーンズの去就に注目が集まる。

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開幕から2シーズンチームを支えたセプターだが、来季
の離脱が決定。第16戦で今季2勝目をあげたが・・・

 

2ndシーズンもまだまだ始まったばかり。選手権は中南米ラウンド2戦を戦って
ようやく中盤戦、ヨーロッパを迎える。その後選手権はユーラシア大陸を横断して
アジアへ渡り、北米大陸で幕を閉じるのだ。ここまで3戦を消化した選手権だが
残りはあと15戦。まだまだ今後の展開の予測はつかない。
今季も文字通り世界を股にかけて行われるNeXX世界選手権、今後の展開から
目が離せない!!

Formula NeXXtream 2ndシーズン・16

『Formula NeXXtream 2nd』
□第16戦 日本 小樽市街地サーキット

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 1周:3.65km
 特性:「中速」「市街地」
 ターン数:28(88周)

全18戦の選手権もいよいよ第16戦、今戦を含んで残り3戦となった。ラムダと
バトラーの二人に絞られた感のあるタイトル戦線だが、トップのラムダのリードは
僅かに9ポイント。今季も大接戦の状態で佳境を迎えたNeXX。舞台はいよいよ
アジアラウンドの最終地点、日本だ。
昨季は北海道は十勝モータースピードウェイで行われた日本GPだが、今季はなん
と北海道屈指の観光都市『小樽』の市街地で行われる。日本初の「公道での世界選
手権」レース開催となる。日本での公道レース開催は以前から構想としてあったも
のの行政、警察等の理解を得られず、立ち上がってはとん挫を繰り返してきた。し
かし2020年9月20日に島根県江津市で国内初の公道でのカートレースが開催
され、それ以降再び日本のレースファンや関係者の間で、世界的なモーターレース
を日本の公道で開催したいという機運が高まりを見せた。今回の『小樽GP』実現
は、NeXXに参戦するトライアンフ・チーム関係者、そして小樽市ひいては北海
道が一丸となった結果だ。
小樽GP構想はそもそも、日本でF1ブームが起きていた1990年代中頃まで遡
る。そして2007年には北米最高峰レースであるCART誘致の一歩手前まで行
きながら、警察機構と折り合いがつかず計画はとん挫。当時様々開催地候補は上が
っていた中で、最も実現に近かった小樽GP構想がとん挫したことにより、日本の
公道レース気運は急速にしぼんだ。しかし今回江津のカートレース開催に触発され
トライアンフチームの山本つかさオーナーが中心となり、かつての小樽GP関係
者や自治体関係者にわたりをつけ、眠っていた夢構想を掘り起こしたのだ。
コースは中高速レイアウト。小樽運河沿いの倉庫群を横目に走る幹線道路をメイン
に構成され、途中3か所に中央分離帯を利用したレーンチェンジシケインを設置。
前半区間は大きな通りをメインに構成されるため速度域も比較的高い。しかしスシ
ストリート(寿司屋街)以降の後半区間はコースの最小幅7.2mの超狭小区間
歴史的建築や観光名所が林立する区間は一つのミスも許されないシビアなセクショ
ンだ。
日本GPが公道レースになったことで、今季のラスト4戦は全て市街地戦となった
NeXX世界選手権。冒頭で述べた通りポイントリーダーのラムダが2位バトラー
に対して保持するアドバンテージはわずか9ポイント。今季も最後まで行方の読め
ない選手権、レース終了後には一体どのような展開になっているだろうか?


<予選>(太字)
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:ファン・カレッジ(ガジャック)

秋深まる北海道が舞台だが、予選セッション当日は薄曇り。小雨がパラつくセミ
ェットでの予選セッションとなった。そんな中PPを獲得したのが、なんとガジャ
ックのカレッジ。これまでも第2戦インドネシアでの大雨の予選で4番手、またウ
ェットレースとなった第10戦スウェーデンで2位表彰台など、雨で抜群の速さを
見せてきたスーパールーキーが、雨の市街地という難しい条件でNeXX初PPを
獲得した。フロントローに並んだのは開幕戦の覇者ロッソ、後半に入って不調の色
濃いが巻き返しを期す。3番手には昨年の活躍ぶりが鳴りを潜めこちらも不調気味
のサントス・フィリオ。しかしフィリオも雨の市街地は大得意、久々にいい位置か
らのスタートだ。4番手にはヨコスカの新ハードタイヤ投入後復調著しいセプター
がつけた。そして雨の市街とといえばバトラーだが、今回は3列目5番手に控えた。
7番手にはラ・ポルタ、地元期待の日向が8番手につけ、ここまでレギュラードラ
イバー中唯一ノーポイントに終わっているカジワラが9番手と躍進。チームの地元
で発奮だ。
ポイントリーダーのラムダは11番手から、その横には宋昇龍が良い位置だ。一方
でファングが17番手に沈む。雨も市街地も得意のはずの彼だが、後半戦の不調ぶ
りは顕著だ。ランキング3位のラスムッセンも18番手と、ここ2戦予選では中団
より後ろに沈む。またここまで望外の活躍を見せてきた新鋭マルドゥークの2台も
グーデリアン16番手、リヴィエールは23番手と停滞。さらにピットブルのもう
1台ボナパルトが22番手、雨が嫌いだと公言するボナパルトは後方に沈んだ。
今回の予選落ちはポルボローネシエナ、カブロン、タンデイの4台。日本でもフ
ァンの多いリナルディだが揃って予選落ち、地元日本のカムイ勢はトラアンフのみ
となった。またカブロンは来季の契約更新がまだとの噂、今季の戦績でも同僚のヴ
ィックスを下回り去就への影響が心配される。


<決勝レース>
小雨がぱらついた予選とはうって変わって決勝は快晴、高く澄み切った秋の青空の
もとレースは行われた。予選がウェットセッションだったため、予選使用タイヤの
決勝での使用義務はなし。全車が新品タイヤを履いてのスタートとなったが、新コ
ースでのレース、そしてFP、予選とあまりドライコンディションで走れていなか
った各チーム。路面とタイヤについてのデータが少ないため、ヴァシュロン勢のほ
とんどがハードでスタートした。逆にヨコスカ勢はハードとソフト半々に分かれた。


<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         日向 俊郎
K.マルケーナス      F.デ・ランジェリス
Z.ゲラ          T.ヴィックス
A.ファーシマス      D.ファング
K.ラスムッセン      宋 昇龍
M.ハイデンフェルド
A.ラ・ポルタ
A.ロッソ
D.リンドホルム
B.リヴィエール
J.グーデリアン
J.カレッジ  

   
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
M.ボナパルト       A.バーンズ
A.バトラー        J.バロン
A.フィリオ        J.カジワラ
              J.チャップマン
              L.ソリス
              J.セプター 
=ユーズドタイヤ

レースはフロントローの2台が良いスタート、カレッジ、ロッソが飛び出す。一方
3番手のサントス・フィリオがやや立ち遅れ、セプターのスタートが良い。しかし
その後ろのバトラーが大きく飛び出し、前の2台をかわして3番手に浮上する。
中団では9番手スタートのカジワラが日向の前、8番手に浮上。これまでのシーズ
ンを通して全く良いところのなかったカジワラだが、チームの地元でエースの日向
にライバル意識をむき出しにする。後方ではラムダがポジションを1つアップ、他
は大きな混乱なくスタート。

ハードタイヤスタートのカレッジだが快調に飛ばす。逆に同じハード勢のロッソは
やや水をあけられはじめる。カレッジのストリートでの速さはホンモノだ。バトラ
ー、セプターはロッソと共に2番手集団を形成する。5番手に後退したサントス・
フィリオはやや遅れ始めた。
後続はややサントス・フィリオにフタをされる格好に。6番手のマルケーナスがサ
ントス・フィリオの前をうかがうが抜けない。7番手のラ・ポルタもマルケーナス
を煽る。そんな中8番手のカジワラが、ラ・ポルタの一瞬のスキをついて7番手浮
上。ここまで唯一ノーポイントのレギュラードライバー、カジワラが躍動する。

その後ろ10番手のチャップマンがゆるゆるとピットイン、マシンを止めたチャッ
プマンはそのままマシンを降りガレージに引っ込んでしまった。回生機構にトラブ
ルを抱えパワーロストが大きく、僅か2ターンでリタイヤ。チャップマンは実に今
季これで9度目のリタイヤ。
また後方では16番手のファングにもトラブルが起きていた。DRS制御に不具合
が発生。ストレートでマックススピードが出ず、ラスムッセンにかわされてゆく。

カレッジは快調にトップをゆくが、ロッソも踏みとどまり離されずに追走する。3
番手バトラーまではほぼ同ペース、少し空いて4番手セプター、更に少し空いてサ
ントス・フィリオが5番手追走。後続もマルケーナス、カジワラ、ラ・ポルタと数
珠繋ぎの体制。
ここで中段でアクシデント発生。久々に12番手といいところからスタートした9
番手の宋昇龍だが、ラ・ポルタにオーバーテイクを仕掛けて接触。ラ・ポルタの横
っ腹に突っ込んだ宋は、フロントを破損して大きく後退してしまう。そして宋の後
ろにいたポイントリーダーのラムダもあおりを受けてしまう。前方の事故を避けよ
うとしたラムダは、アウト側のウォールにマシンをヒット。こちらもフロントを破
損する。ポイントリーダーのラムダにとっては痛恨のもらい事故だ。はたしてこれ
が選手権にどう影響するか?

さらに前方では6番手のマルケーナスが単独スピンを喫しウォールにクラッシュ。
同時に2か所で事故発生となり、セーフティカーが出動。トップのカレッジはペー
スアップし後続を引き離し始めた矢先、カレッジにとっては水を差すセーフティカ
ーとなってしまった。

★5ターン終了時のトップ10
 1.ファン・カレッジ
 2.アレックス・バトラー
 3.ジョリー・セプター
 4.アレンザンダー・ロッソ
 5.アンドレアス・サントス・フィリオ
 6.ジョー・S・カジワラ
 7.日向 俊郎
 8.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 9.宋 昇龍
10.ジェストン・バロン

セーフティカー出動中ピットオープンの6ターン目、ラ・ポルタに接触した宋、そ
してアクシデントに巻き込まれたラムダがピットイン。宋はタイヤとフロントセク
セクションを、ラムダはタイヤ好交換せずフロントのみ交換し出てゆく。これで宋
は23番手、ラムダは最後尾24番手まで転落。ポイントリーダーとして臨むこの
終盤戦、ラムダにとっては最悪の展開となった。
一方宋に突っ込まれたラ・ポルタはステイアウト。サイドポンツーンに穴が開いた
状態だが、このまま行けるところまで行く腹積もりか。

レースは7ターン目にリスタート。ここまで快調にトップで飛ばしていたカレッジ
だったが、タイヤが冷えたかダッシュがつかない。バトラーが並びかけるがカレッ
ジもけん制。その隙に3番手セプターがバトラーをかわして2番手に立つ。さらに
後ろのロッソにも並ばれるが、バトラーはこれはなんとか防御。3番手を死守する。
ラムダが最後尾に落ちたレース、バトラーも落とすわけにはいかない。
後ろでは相変わらずトライアンフの2台が鍔迫り合い、後ろからつついてくる日向
を前のカジワラがすんでの所でいなす。後方では9番手のバロンがスタートミス、
13番手まで転落してしまった。

リスタート後もカレッジのペースは良い、しかしセプターも同じペースで追走する。
赤いマシンが久々にトップグループで躍動する。逆にバトラーはリスタート後のペ
―スがあまり良くない。後ろのロッソがバトラーをかわし3番手浮上、バトラーは
4番手に後退してしまう。
後方ではランキング3位のラスムッセンが猛チャージ、18番手スタートだったが
スタートでポジションを4つあげ快調なペースで前を追い落とし、この時点でなん
と8番手まで浮上していた。

9ターン目トップのカレッジのペースがガクッと落ちてきた、どうやらタイヤにガ
ケが来たようだ。しかしソフトを引っ張ってきたセプターもややタイヤがキツい、
ペースのいいロッソがセプターをかわして2番手に上がる。さらにバトラーもセプ
ターの前をうかがう。どうやらセプターの方がタイヤに限界が来たようだ。10タ
ーン目にはソフト勢が続々ピットインしてくる。

まずは3番手のバトラー、ソフトからハードへと繋ぐ。後続も含め3~6番手が全
員ピットイン、セプター、サントス・フィリオ、カジワラはソフトから2セット目
もソフトへ繋ぐ。ピット作業はチャイナドラゴンが速い、セプターは4番手、後続
はバトラー6番手、サントス・フィリオ8番手、カジワラが10番手復帰で、ピッ
ト作業でセプターがバトラー逆転。再びバトラーの前に出た。

トップのカレッジは、ペースは落ちたもののまだ1セット目を引っ張っている。後
続が続々ピットインし、直接2番手で追うロッソも同じくタイヤにガケが来て、カ
レッジを追えずにいる。3番手に立ったラ・ポルタも、先ほどの接触のダメージか
思うようにペースが上がらない。今のところ状況はカレッジに味方している、初優
勝を視界にとらえ始めたか。
2セット目もソフトに繋いだセプター、フレッシュソフトでペースアップしラ・ポ
ルタのすぐ後ろに迫る。11ターン目にはセプター、そしてバトラーがラ・ポルタ
をかわし、それぞれ3番手、4番手にポジションを回復。カレッジはいつ1回目の
ピットストップに踏み切るか。

トップのカレッジは12ターン目に最初のピットイン。2セット目もハードへ繋ぎ
3番手でコース復帰。トップはロッソ、ロッソはどこまで引っ張るのか。一方ガジ
ャックチームは会心の作業でカレッジをコースに送り出したが、1回目のストップ
を終えたセプターは既にカレッジの前にいた。このままいけばセプターの3セット
目はハードが濃厚、カレッジはおそらく3セット目にソフトを持ってくるはず。そ
れぞれが2度のタイヤ交換を終えた時点で、果たしてどちらが前にいるだろうか?

トップのロッソは13ターン目もステイアウト、行けるだけ行ってのオーバーカッ
ト狙い。タイヤは限界のはずだが、フレッシュソフトのセプターとの差を詰めさせ
ない。一方1回目のタイヤ交換をすませたカレッジは、ソフトを履いた前のセプタ
ーを追えない。初優勝の線は怪しくなってきた。
4番手のバトラーもハードでペースが上がらない、好調サントス・フィリオに先行
を許してしまう。ラムダがポイント圏外にいる現状では、バトラーも無理はしない。
それにしても今回のサントス・フィリオは乗れている。

乗れているといえば6番手争い、前を行く日向をカジワラがつつく。二人の喧々諤
々のバトルは続く。そしてここで、ファングがゆるゆるとピットに戻り、マシンを
降りてしまった。DRSにトラブルを抱え12番手を走行していたファングだった
が、チームの指示を無視して自主的にリタイヤしてしまったのだ。もう少しでポイ
ント圏内だっただけに、クラークソンオーナーはおかんむり。ファングはまたも、
ペースの上がらない現状、そして後半戦の不調に苛立ち戦意喪失。チームが最も恐
れていたファングの「プッツン癖」が出てしまった。
そんな中でもトップのロッソはまだステイアウト、もう14ターン経過だ。いった
いいつまで引っ張るつもりか。

と15ターン目、ついにトップのロッソがピットイン。ロッソの2セット目はソフ
トだ。これでトップに立ったのはセプター、クルーがやや作業に手間取ったロッソ
はサントス・フィリオの後ろ4番手でコース復帰だ。
中段ではカジワラがここにきてファステストラップを記録。ペースの上がらないバ
トラーをかわして5番手に浮上する。カジワラは間違いなく今季一のパフォーマン
ス、やればできるドライバーなのだが・・・。
後方では16番手のラムダが1回目のピットイン、ハードからハードに繋ぐ。序盤
接触で最後尾に落ちたラムダは、1ストップ作戦をチョイスだ。どこまで浮上で
きるか。

★15ターン終了時のトップ10
 1.ジョリー・セプター 
 2.ファン・カレッジ
 3.アンドレアス・サントス・フィリオ
 4.アレンザンダー・ロッソ
 5.ジョー・S・カジワラ
 6.アレックス・バトラー
 7.アレン・バーンズ
 8.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 9.ケリー・ラスムッセン
10.日向 俊郎

トップに立ったセプターは俄然ペースが良い。2番手カレッジとの差をぐんぐん引
き離しにかかる。ペースの上がらないカレッジは、サントス・フィリオにもかわさ
れ3番手後退。さらに追い上げてきたロッソにもかわされ4番手、どんどんと後退
していってしまう。カレッジがレースを盛り上げたのもここまでだった。
後方では10番手日向が、こちらもようやく1回目のピットイン。ハードからハー
ドへ繋いだ。日向も1ストップ作戦だ。
トップのセプターは相変わらずのハイペース、しかし2番手サントス・フィリオも
離されずについていく。だが3番手のロッソも速い、サントス・フィリオをかわし
2番手に。トップ3のペースはやや異次元だ。

後方では8番手のラ・ポルタに異常発生、ミッションにトラブルを抱えややペース
が落ちていた。序盤の接触がミッションにダメージを与えていたようだ。そんなラ
・ポルタをラスムッセンがかわし8番手に浮上する。
そしてさらに後方でトラブル発生。16番手走行中のヴィックスがマシン後方から
大量の白煙を上げストップしてしまった。ミッションがブローアップしてしまった
ようだ。これによりレースは2度目のセーフティカー出動、セプターが築いたビッ
グマージンは一気にリセットされてしまった・・・

ピットオープンの19ターン、トップのセプターがピットイン。このセーフティカ
ーでタイヤを温存できると判断したセプター、3セット目もソフトを選択。ヨコス
カ勢得意の『オールソフト作戦』発動だ。
対して3セット目をソフトに繋ぐ予定のロッソは、このタイミングで入ったのでは
最後までもたないためステイアウト。同じ理由からバトラー、カレッジもステイア
ウトを選択する。サントス・フィリオはハードにスイッチ、彼はこのまま最後まで
行く戦略だ。後方ではカジワラ、バーンズといったヨコスカの上位勢が揃ってソフ
トへ交換。『オールソフト作戦』で勝負に出る。

そしてレースは20ターン目にリスタート、トップのロッソがダッシュを決める。
後ろではラスムッセンがセプターに並びかけ、ラスムッセンが先行。4番手に浮上
する。ロッソのペースは快調、しかし後続のバトラー、カレッジはペースが上がら
ない。ラスムッセンがカレッジをかわし、18番手スタートの彼がついに3番手に
浮上だ。
6番手走行のラ・ポルタだったが、ミッショントラブルでペースが上がらない。す
ぐ後ろのサントス・フィリオにポジションを譲るとゲラ、日向にもかわされ9番手
に後退してゆく。そんな中最後方でまたもアクシデント発生、20番手争いでデ・
ランジェリスにしかけたボナパルトが、デ・ランジェリスのマシンにヒットしスピ
ンオフ。ウォールにクラッシュしてしまい、ここでこのレース3度目のセーフティ
カー出動となる。
ボナパルトはこのクラッシュでリタイヤとなってしまった。

このセーフティカーラップでヴァシュロン勢のソフト残し組が全員ピットイン。上
位陣ではロッソ、バトラー、ラスムッセン、カレッジなど主だった面々は恐らく最
後のスティントとなるであろう残り5ターンをソフトタイヤに賭ける。
一方でヴァシュロン勢の上位陣でサントス・フィリオのみがステイアウト、新品ソ
フト組に対しハードで最後まで戦えるか。
これでトップはセプター、2番手にサントス・フィリオ、3番手日向、以降ロッソ
バトラーと続く。3番手日向は1ストップ作戦でこの位置、地元で表彰台圏内だが
最後までハードで残れるか?

レースは3度目のリスタート。トップのセプターと2番手サントス・フィリオ共に
良いスタート、2台並んで1コーナーへ向かうが、セプターが守り切る。後ろでは
バトラーと日向もサイドバイサイドだが、そこにロッソが割り込んで3ワイド。結
果日向、ロッソ、バトラーの順で続いてゆく。一方で序盤レースを引っ張ったカレ
ッジは、この時点で10番手まで後退していた。
後方ではグーデリアンの左リアタイヤがバースト。ゆるゆると後退し最後尾まで転
落してゆく。

トップのセプターは快調、続くサントス・フィリオはやや離されてゆく。そしてサ
ントス・フィリオと同様にハードでステイアウトした日向は、プッシュのしすぎか
第1シケインで縁石に大きく乗り上げてしまう。その間に後続のロッソが3番手浮
上、日向はバトラーの前4番手に後退。
後ろでは8番手走行中のラ・ポルタがゆるゆるとピットイン、ミッショントラブル
で戦闘力を失いついにここでストップしてしまった。サントス・フィリオが表彰台
圏内にいるだけにSLOとしては痛いリタイヤだ。
そして14番手走行中のポイントリーダー、ラムダにもトラブルだ。燃料圧力の低
下によりパワーを失う。ファイデンフェルド、リンドホルム、デ・ランジェリスに
次々と抜かれていく。
前ターンに左リアタイヤがバーストしたグーデリアンは、ピットに戻りマシンを止
める。アクシデント続出のレース、有力ドライバーを次々とトラブルが襲う。

レースは残り3ターン、快調に飛ばしていたセプターだがどこかでミスがあったの
か、後続のフィリオ、ロッソがぐんと差を詰める。後ろの二人もまだ優勝をあきら
めていない。先頭はこの3台がグループを形成。
一方ハードで1ストップの日向はさすがにタイヤに限界が、ラスムッセン、バトラ
ーにかわされ6番手に後退する。
そして後方ではラムダがゆるゆるとピットイン、ついにレースパワーを失いピット
でリタイヤとなった。バトラーは5番手でレースを進めている、ポイントリーダー
としては痛いノーポイントとなってしまった。バトラーはこのまま5位ならばラム
打を1ポイント上回りランキングトップに立つがどうなる?

ペースを回復したセプターは、終盤一気にサントス・フィリオを引き離しにかかる。
3番手ロッソもサントス・フィリオとの差が徐々に離れていく。ロッソは終盤ブレ
―キがフェード気味になり、サントス・フィリオを追えなくなっていた。

レースは最終的にペースを回復したセプターが優勝。今季2勝目、NeXX3勝目
をあげた。2位には今季初表彰台のサントス・フィリオ、今季一の走りを見せた。
3位には後半戦不調ながら今季5度目の表彰台となったロッソ。不調と言われた3
人が表彰台を独占した。
4位は18番手スタートのラスムッセン、14ポジションアップのビッゲストムー
バーだ。そして選手権を争うバトラーは5位入賞。ノーポイントのラムダを後目に
10ポイントを持ち帰った。
6位には日向、そして7位には今季初入賞のカジワラ。トライアンフがW入賞だ。
カジワラはこのレース終始日向へのライバル意識むき出しで戦い最終的に7位入賞
をゲットした。8位には終盤もうチャージを見せたバーンズ、そしてPPからレー
ス前半を支配したカレッジは結局9位。10位にはギリギリ、ゲラが滑り込んだ。

このレースの結果ドライバーズタイトルの行方に大きな動きが。ポイントリーダー
のラムダがノーポイントに終わり、ランキング2位のバトラーが5位入賞で10ポ
イントを持ち帰った。この結果戦前のポイント差9をバトラーが逆転、167対1
66でバトラーがラムダを1ポイント逆転し、久々にランキングトップに立ったの
だ。これで残り2戦でタイトルの行方はどうとでも転ぶ、昨季以上の超接近戦とな
った。
3位で追うラスムッセンとバトラーとの差は39ポイントで事実上逆転は不可能、
2ndシーズンの選手権もやはり、バトラーとラムダの二人の一騎打ちとなった。
また今回ノーポイントに終わったファングを、日向が上回りランキング4位浮上。
昨季より勝利数は少ないものの、103ポイントだった昨季の獲得ポイントを10
8と上回り、ついに王座を狙える位置まで持ってきた。

チームタイトル争いはこちらもピットブルがノーポイントに終わったことで、ピッ
トブル247に対しマーキュリー221と26ポイント差。残り2戦だがこれは充
分逆転可能な差だ。ポイントはセカンドドライバーの働きだろう。ピットブルのボ
ナパルトは、第13戦のデビュー以降4戦で2度の入賞、表彰台1回とコンスタン
トな活躍だが、一方のマーキュリーのマルケーナスは4戦中6位入賞が1度あるだ
け。しかしボナパルトは今回の予選セッションのように雨のレースを苦手としてい
る。ピットブルのマシン自体も今季はストリートコースで大苦戦しており、残り2
戦でどう転ぶかは全く読めない。

ドライバー、チームいずれも昨年同様残り2戦になってもまだ、タイトルの行方は
読めない状況。そして最後の2戦はカナダ、アメリカと続く北米ラウンドだ。タイ
トルの行方は最後の最後まで目が離せない。


最終リザルト↓↓↓

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Winner:ジョリー・セプター(チャイナドラゴン)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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いよいよ選手権も残すところ2戦。NeXX世界選手権の最終ラウンドは、北米ラ
ウンド、第17戦の舞台はカナダGPだ。昨季バトラーがシーズン3勝目をあげ初
代タイトルに大手をかけた舞台は、1周3kmにも満たないスーパーショートトラ
ック。五大湖のひとつオンタリオ湖岸のコンベンション施設に敷設される、ストリ
ートコースでの熱い戦いに注目だ!!

Formula NeXXtream 2stシーズン・15

『Formula NeXXtream 2nd』
□第15戦 マカオ ギア市街地サーキット

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 1周:6.20km
 特性:「中速」「市街地」
 ターン数:25(49周)

2ndシーズンも残り4戦、依然としてまだまだタイトルの行方はわからないNe
XX世界選手権。舞台はアジアラウンド残り2戦、そして北米ラウンド2戦を残す
だけとなった。いよいよ大詰めの選手権第15戦の舞台は、中国の特別行政区マカ
オ。市街地に設営される公道サーキット、ギアサーキットだ。昨年の1stシーズ
ンからNeXX世界選手権の第15戦として始まった同レースは、伝統のF3マカ
オGPの後に行われる。
レースウィーク中は市街地の一般道を封鎖して使用、全区間をガードレールとコン
クリートウォールに囲まれたコースはアジア随一の難所として知られ、ここで行わ
れてきたF3マカオGPはトップフォーミュラへの登竜門として長い歴史を誇る。
マカオのモーターレースの歴史は古く、ポルトガル領だった1954年まで遡るが
当初は草レースとして始まったイベントが、今では国際規格の選手権が行われるま
でになり、ついには昨季からNeXXというトップフォーミュラの世界選手権を開
催するまでになった。
1周6.2kmのロングコースはアジア随一、そして世界でも有数の難所だ。「海
側」と呼ばれる前半区間と「山側」と呼ばれる後半区間では、コースの性格が18
0度変わってしまうのだ。超高速の前半区間はほぼ直線、2km半にわたる区間
ほぼ全開で駆け抜ける。コース幅も最大14mと広く、迫力のオーバーテイク合戦
が見られるだろう。しかし、一転後半の山側はコースの最小幅7m、うねりなが
らアップダウンを繰り返す超テクニカルな区間だ。山側の名物コーナー『メルコヘ
アピン』は、モナコのローズヘアピン同様ステアリング切れ角いっぱいまで切らな
ければ曲がることができず、専用セッティングが必要なほど。
セッティングの基本はレスダウンフォース。しかし荒れた路面、狭くツイスティな
山側をミスなく走るには、レスダウンフォースセッティングでは容易なことではな
い。アジアのモーターレーシングの『聖地』は、まさに佳境を迎えたNeXX世界
選手権に相応しい難所。舞台は整った。


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

f:id:pontsuka0729:20210714173845p:plain

 

セッション別リザルト↓↓↓

f:id:pontsuka0729:20210714173907p:plain

 

予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)
予選PPはここにきて再び調子を上げてきたか、2戦連続でバトラーが獲得した。
全セッション通じて好調をアピール、Q1以外は全てトップ5に入る好アタックだ
った。フロントローに並んだのは、第13戦アゼルバイジャンでNeXX初優勝を
飾ったベテラン、ラ・ポルタがつけた。こちらも終盤に入って復調をアピールか。
3番手にはセプター、今季は予選から苦戦することの多かったベテランだが、ヨコ
スカの新ハードタイヤ導入後は3戦中2戦でシングルグリッド。こちらも復調か?
そして4番手にはポイントリーダーのラムダがつけた。さらに前戦、デビュー2戦
目で3位表彰台のボナパルトは5番手から。6、7番手にはエヴァー・グラハムの
2台がつけ、続く8番手にはカブロン。更に10番手日向と新ハードタイヤ投入後
のヨコスカ勢の予選好調が顕著だ。
11番手グーデリアン、12番手カレッジと、中段も市街地得意の面々が並ぶ。一
方で攻めすぎたリヴィエールはミスアタックでQ2で脱落の15番手、ランキング
3位でラムダを追うラスムッセンも17番手、さらにはリンドホルムが前戦でNe
XX初優勝をあげたアントネッティ勢もロッソ21番手、リンドホルム23番手と
低迷。また地元中国出身で、市街地コース得意の宋昇龍も24番手と後方に沈んだ。
今回の予選落ちはヴィックス、ソリス、カジワラ、ハイデンフェルドの4台。F3
時代にここマカオで2連覇したヴィックスだったが、NeXXのマシンで初めて走
ったマカオでは残念ながらその力を出し切れなかった。また。ルーキーソリスもN
eXXの洗礼を浴びた格好か。カジワラはこれで3戦連続予選落ち、次戦はチーム
の地元日本だが調子は一向に上がらない。またハイデンフェルドは、第8戦でチー
ムがレース棄権して以来の予選落ち。ラスムッセンの復調でタイトル戦線において
ようやくの追撃ムードだったノルディックだけに、『クイックミック』の予選落ち
はノルディックにとっては痛手だろう。


<決勝レース>
終始うすぐもりで行われた予選だったが、決勝は雲の隙間から青空がのぞく。ドラ
イコンディションではあるが、空にかかる灰色の雲は各チームにレース中の降雨を
想定させた。気温はそれほど高くないが湿度の高い状態、そして特に山側のテクニ
カルな区間へのタイヤの負担を想定し、ヴァシュロン勢のほとんどがハードをチョ
イス。逆にヨコスカ勢はヴァシュロン勢の戦略を見越してか、ソフトを選ぶドライ
バーが多かった。1周6.2kmのロングコース、各ドライバーのタイヤ戦略が他
のサーキット以上に重要な舞台だが、レースはどうなるか。


<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
M.ボナパルト U      J.チャップマン
A.バトラー        D.ファング
S.シエナ           宋 昇龍 
Z.ゲラ 
A.ファーシマス
K.ラスムッセン
A.ラ・ポルタ
A.フィリオ 
A.ロッソ 
D.リンドホルム
B.リヴィエール 
J.グーデリアン 
C.タンデイ
J.カレッジ
        
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         A.バーンズ 
K.マルケーナス      J.バロン
M.ポルボローネ      日向 俊郎
              F.デ・ランジェリス
              A.カブロン
              J.セプター

=ユーズドタイヤ

レースはスタートから激しいつばぜり合い。2番手のラ・ポルタがバトラーに並び
かけるがバトラーも引かない。すぐ後ろではセプターとラムダもサイドバイサイド、
その後ろが4ワイドの展開。スタートから2km以上フルアクセルの攻防だが、最
初の低速コーナー『リスボア』はPPスタートのバトラーが先頭を守る。後ろでは
バロンがボナパルトの前へ、そしてカブロンがバーンズの前へ。レースはこのまま
進むかと思われたがやはりアクシデント発生。12番手争いのカレッジ、デ・ラン
ジェリス、マルケーナスが多重接触。間に挟まれたデ・ランジェリスがフロントウ
ィングを飛ばし、横を向いて停まってしまったためにセーフティカーが出動。
スタート直後の事故が多いことで知られる難所『リスボア』、昨季はアクシデント
無くスタートしたが、今季はスタートからアクシデントが発生してしまった。

ピットオープンの2ターン目、接触でダメージを負ったデ・ランジェリスがピット
イン。ノーズコーンを換えてコースに出てゆく。デ・ランジェリスはこれで最後尾
に転落だ。アブラモビッチ勢は今季苦戦が続く、チャップマン共々最後尾グループ
へ。

リスタートは3ターン目。今度は大きな混乱なくリスタート、上位勢は大きな順位
変動なくレースに入ってゆくが、6番手のボナパルトがカブロンに前に行かれ7番
手に落ちる。ボナパルトローリングスタートがやや苦手か。
4ターン目にトップ争いに動き。2番手のラ・ポルタが、バトラーをかわして先頭
に立つ。ともに市街地コースが得意のドライバーだが、新品ハードのラ・ポルタに
対しバトラーはユーズドハード。このタイヤチョイスがラ・ポルタに有利にはたら
いたか。しかしバトラーは序盤からややマシンの不調を感じていた。そしてタイヤ
以外のなにかがペースを上げられない要因であることに気付いていた。それが顕在
化するのは終盤になってからだ。

一方4番手走行のポイントリーダー、ラムダは序盤ソフトタイヤで勝負をかけるも
前のセプターの後ろにつけない。ヨコスカ勢のセプターもソフトタイヤだ。
先頭グループはラ・ポルタ、バトラー、セプター、4番手争いのラムダ、バロン、
カブロン、ボナパルト、そしてバーンズが第2集団を形成する。
そしてレースは5ターン目に入ろうかというところ、またもアクシデントが発生。
23番手走行中のチャップマンが、マシンから白煙を吹いてゆるゆるとストップし
た。ミッションがブローアップしてしまったのだ。チャップマンは『リスボア』の
先にある、このコースで数少ないエスケープにマシンを入れストップ。幸いにもセ
ーフティカー出動とはならなかった。

トップのラ・ポルタは相変わらずハイペース、対するバトラーはどうもペースが上
がらずについにセプターにかわされ3番手に後退する。これでポイントリーダーの
ラムダの目の前にバトラーが落ちてきた格好だが、ラムダも思うようにペースを上
げられずにいた。アゼルバイジャンで低迷したピットブルだが、どうにも市街地コ
―スと相性が良くないのかもしれない。しかし選手権はここから最終戦まで全てが
ストリートレース、ラムダの頭に不安がよぎる。
そして7番手走行中のボナパルトも、マシンに異変を感じていた。ブレーキがルー
ズになり、『リスボア』でのハードブレーキが苦しくなってきていた。バーンズが
ブレーキに苦しむボナパルトに仕掛けるも、ボナパルトは巧みにディフェンス。た
まらずバランスを崩したバーンズは、接近していたゲラ、グーデリアンに次々とか
わされてゆく。
ここマカオでは1つの乱れが大きな失敗を生むリスクを孕んでいる。

★5ターン終了時のトップ10
 1.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 2.ジョリー・セプター
 3.アレックス・バトラー
 4.ニコ・ラムダ
 5.ジェストン・バロン
 6.アレンザンダー・カブロン
 7.ミシェル・ボナパルト
 8.ゾルタン・ゲラ
 9.ジャッキー・グーデリアン
10.アレン・バーンズ

ラ・ポルタはアゼルバイジャンの時のように、快調にトップを征く。セプターも追
撃するが差は詰まらない。後ろ3番手のバトラーはややペースを回復、セプターの
タイヤのタレもあってか7ターン目に2番手を奪い返す。ラムダも少しペースアッ
プしセプターのすぐ後ろにつける。セプターはややタイヤが苦しいか。
その後ろではカブロンとバロンが激しい争い。ともにヨコスカ勢だ。その後方バー
ンズ、グーデリアン、日向といった9番手争いも激しい。ホームストレートでバー
ンズとグーデリアンの2台を、2台のスリップストリームからまとめてオーバーテ
イク。リスタートで失ったポジションを、9番手まで取り戻してきた。

バトラーがなかなかペースを上げられないため、ラ・ポルタは独走態勢。2番手争
いが集団を形成し、バトラー、セプター、ラムダの順で接近戦を展開する。ラムダ
もなかなかセプターに仕掛けられない。
5番手集団はバロン、カブロン、ボナパルトの3台。ブレーキがルーズなボナパル
トだが離されず追走、バロンに抑え込まれているカブロンをかわし6番手復帰。バ
ロンにもしかけるがバロンも行かせない。

さらに後方では日向がゲラをかわして8番手浮上。日向もストリートコース大得意
なだけに、アグレッシブに前を目指す。5番手集団のカブロンが目の前に見えてき
た。後ろではユーズドソフトのバーンズがピットイン、全台のトップを切ってハー
ドへ交換して出てゆく。他の面々もセーフティカーの出動ででややタイヤをもたせ
ているが、ソフトスタートの連中はそろそろ最初のタイヤ交換のタイミングだ。

先頭のラ・ポルタはハードタイヤ、交換のタイミングはもう少し先だがガケが来始
めているためペースは落とし気味。しかし追うバトラーはやはりマシンになにか不
調があるのか差を詰められず、逆にセプターに再び前に行かれ3番手に後退。
そしてここで4番手ラムダがピットイン。ソフトスタートのラムダは2セット目も
ソフトへ繋ぐ、中盤までになんとかポジションをあげてラストスティントをユーズ
ドハードで抑えきる作戦だ。ラムダはボナパルトと日向の間7番手でコース復帰。

ラ・ポルタはこのターンもミドルペースでリスクマネジメント、ここまでのレース
運びは盤石だ。追いかける2番手のセプターはここでピットイン、ソフトからユー
ズドハードへ繋ぐ作戦だったがここでトラブル発生。左リヤタイヤがはまらずに大
きくタイムロス、優勝も狙える位置から8番手まで転落してしまった。セプターは
このほど今季限りでチャイナドラゴンからの離脱が決定、久々のトップ争いで来季
のシート獲得へのアピールをしたいところだったが、泣きっ面に蜂状態だ。

しかしセプターのタイヤ交換を皮切りに、ここで上位陣が続々ピットイン。4番手
に上がったカブロンはソフトからソフトへ、ユーズドハードスタートのボナパルト
もソフトへ交換。その後ろ日向はソフトからユーズドハードへそれぞれ換装した。
一方で23番手走行と元気のなかったファングは、このタイミングでピットに入り
そのままリタイヤとなった。ファングは序盤からフューエルプレッシャーの低下を
感じており、戦闘力を失った。
ここで3番手に浮上したバロンは、1セット目のソフトをなんと11ターン引っ張
ってこの位置。NeXXでもトップクラスと言えるタイヤマネジメントで表彰台圏
内を射程に入れる。11ターン目にピットインし、ユーズドソフトに繋いで出てい
く。

そして12ターン目、ユーズドハードのバトラーがついに1回目のピットストップ。
ソフトに交換するがややクルーが作業に手間取る、僅かなロスではあるがこの後の
展開にどう影響するか? 一方トップのラ・ポルタはまだ入らない、大きなマージ
ンを築いたままだ。
1回目のストップを済ませたバロンはラムダの後ろ4番手で復帰、2セット目に換
えてペースの良いバロンがラムダをかわし再び3番手に浮上する。
後方ではピット作業ミスで8番手まで落ちたセプターが、6番手までポジションを
回復していたがここに来て鬼神の追い上げ。前を行くピットブル勢までも次々とか
わし、最後にはバロンもオーバーテイク。なんとこの時点で意地の3番手復帰を果
たす。

ラ・ポルタは大きなマージンを築き、まだまだステイアウト。後方では離れた2番
手にバトラー、3番手にセプターが続きラムダが4番手復帰。以下カブロン、バロ
ン、ボナパルト、ゲラという順。そのさらに後ろでアクシデント発生。10番手争
いで後ろのロッソが日向に仕掛けたところで接触、すぐ前にいたバーンズも巻き込
んで3台がコースをふさいでしまい、ここでこのレース2回目のセーフティカーが
出動。なんとここまで築いたラ・ポルタのビッグマージンが、これで0になってし
まった。

ここでトップのラ・ポルタがようやくピットイン、ユーズドハードに繋ぐ。ここに
きてラ・ポルタの戦略が露見、ラ・ポルタはこの難コースをハードトゥハードの1
ストップで走り切る作戦のようだ。市街地得意、そしてタイヤ使いのうまいラ・ポ
ルタならではの作戦だ。
かわりにステイアウトしたバトラーがトップに立つ。後ろのセプターはここで2度
目のタイヤ交換。ユーズドハードを4ターンで見切り、最後は新品ハードで走り切
る。その後ろラムダはステイアウト、最後にユーズドハードを残しているが、交換
するタイミングにはちょっと早いか。その後ろではボナパルトグーデリアンがハ
―ドタイヤへ交換。ボナパルトは13番手、グーデリアンは14番手でコース復帰。
他の主だったドライバーは皆ステイアウトした。

15ターン目、レースは2回目のリスタート。トップに立ったバトラー、2番手ラ
ムダともに良いリスタート。久々のタイトルコンテンダー同志の直接対決だ。タイ
ヤ交換で5番手後退のラ・ポルタも無難なリスタート。ポジション変動なくレース
を再開する。後方も大きなアクシデントなく、後半戦に入ってゆく。

★15ターン終了時のトップ10
 1.アレックス・バトラー
 2.ニコ・ラムダ
 3.アレンザンダー・カブロン
 4.ジェストン・バロン
 5.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 6.ケリー・ラスムッセン
 7.ジョリー・セプター
 8.ゾルタン・ゲラ
 9.アレンザンダー・ロッソ
10.アンドレアス・サントス・フィリオ

トップのバトラーは、ひとまずマシンの不調を感じさせないペースで征く。そして
2番手ラムダはセーフティカー明けのここでピットイン。最後のユーズドハードに
繋いで出てゆく。ラムダは6番手でコース復帰。
そしてここで再び3番手に立ったバロンに異常、左リアタイヤの内圧が大きく下が
りペースダウンを強いられる。パンクチャのようだ。ラ・ポルタ、ラスムッセン
ペースの上がらないバロンを次々かわしてゆく。バロンの初表彰台のチャンスは大
きく遠ざかった。

21番手スタートから9番手まで浮上してきたロッソに、ここでレーススチュワー
ドからペナルティの通達。2度目のセーフティカー出動となった事故の当事者認定
され、ピットスルーペナルティを科されてしまった。入賞圏内まで浮上してきただ
けに、これは痛いペナルティだ。ロッソは後半戦未だ精彩を欠く。

そしてここにきてなんとまたまたアクシデント発生。密集体系で17番手争いとな
っていた一団のなかで、シエナがファーシマスに追抜きをしかけた際に接触。前を
走行していたカレッジ、ポルボローネ、そして後ろのデ・ランジェリスを巻き込み
5台の多重事故となってしまう。事故が起きたのは「山側」の『ドナマリア・ベン
ド』。狭いコース幅を5台がふさぐ格好となり、このレース3度目のセーフティカ
ーが出動。5台は皆マシンに走行不能となるダメージを受け、一気に5台がリタイ
ヤとなってしまう。
後にこのファーシマスが事故の当事者認定を受けてしまい、FNOから罰金のペナ
ルティを科された。昨季は失格1回、出場停止3回と大暴れだったファーシマス、
今季はここまでノーペナルティで「暴れん坊」ぶりは鳴りを潜めていたが、これで
今季初ペナルティ。今季のチームとの契約にもペナルティに対する罰金条項が盛り
込まれており、ファーシマスはチームからも罰金を科されることとなってしまった。

ピットオープンの18ターン目、上位陣が続々ピットイン。トップのバトラー、2
番手カブロン、4番手ラスムッセン、直前に左リアがパンクしたバロンもここぞで
ピットインし、みな新品中古の違いあれどソフトに交換してゆく。そしてここで1
ストップ作戦のラ・ポルタもピットイン。2ストップ作戦に切り替え新品ソフトへ
換装しピットアウトしてゆく。
1ストップ作戦のラポルタ、このままいけばトップでのリスタートではあるが、周
りは全車ソフトタイヤ。ハードでは守り切れないとの判断か、2ストップに切り替
えたようだ。果たしてこの選択がどう出る?

対するラムダはステイアウトしトップに、しかしラムダはハードタイヤだ。周りは
ソフトだらけでのリスタート、果たして守り切れるか? セプターもステイアウト
で2番手に浮上した。
また上位勢は殆どがこのタイミングでタイヤを換えるなか、グーデリアンがステイ
アウトで3番手浮上。しかしグーデリアンは2度目のセーフティカーのタイミング
ですでに2回目のタイヤ交換を済ませていた。ユーズドハードから新品ハードへと
繋ぎ、2度目のセーフティカーの時点で交換した3セット目の新品ハードで走り切
る作戦だったが、期せずして表彰台が見えてきた。しかしタレてきたハードで最後
までポジションを守り切れるか? 相手は新品ソフト勢だ。

3度目のリスタートは19ターン。トップのラムダは無難に決めるが、2番手に上
がったセプターの吹けが悪い。3番手のグーデリアンがセプターの前2番手に、さ
グーデリアンはこの後どうする?
予期せぬ3度目のセーフティカーで上位勢の順位は錯綜。トップはラムダ、2番手
にはグーデリアン、3番手はセプターだがトラブルのにおい。4番手以降はボナパ
ルト、リヴィエール、リンドホルム、タンデイという展開。バトラーは8番手、ラ
・ポルタは10番手まで後退した。この終盤に来て、レースの展開は全く分からな
くなってきた。

レースは残り6ターン、ラムダのペースは悪くないが後ろのグーデリアンのペース
が良い。20ターン目にラムダの直後につけたグーデリアン、なんとファステスト
ラップをたたき出しラムダの前に出る。グーデリアンがラップリードだ。これまで
度々表彰台圏内を走行することはあったものの、ラップリードは今季初。はたして
どこまでトップを守れるか?
後方ではセプターがズルズルと順位を落とす。リスタート以降セプターはエンジン
にミスファイヤの兆候が見られ、MAXパワーが出せずにいた。海側の長い直線で
どんどん抜かれて行ってしまう。前半は表彰台圏内にいただけに、痛いトラブルだ。
6番手のリヴィエールはここで最後のピットイン、残り5ターンのショートスティ
ントは新品ソフトで臨む。そして6番手に落ちたバトラーは新品ソフトで猛プッシ
ュ。ペースの上がらないセプターまでをかわし5番手に浮上してきた。

トップに立ったグーデリアンは、なんと21ターン目にきてまたもやファステスト
ラップを更新。タイヤは限界が近いはずだが、得意の市街地でブッ飛ばしラムダを
ぐんぐん引き離す。2番手のラムダは追えずか追わずか、2番手キープの構え。
ここで4番手のリンドホルムもピットイン。最後にユーズドソフトを残してしまっ
たリンドホルムは、タイヤライフを考えここまで引っ張らざるを得なかった。リン
ドホルムは9番手後退。果たして入賞圏内に留まれるか。

22ターン目にトップのグーデリアンが最後の、3度目のピットイン。新品ソフト
に交換しフルグリップで勝負に出る。そしてチームもそれに応え、抜群のピットワ
ークで送り出す。なんとグーデリアンはトップでコース復帰! 追いかける2番手
ラムダはユーズドハードだ。この土壇場でグーデリアンに初優勝の目が出てきた。
一方その後方では、バトラーがペースを上げられずにいた。やはりマシンのどこか
にトラブルを抱えているようだ。またエンジンのミスファイアを抱えるセプターも
もうまともな戦闘力はない。相変わらずずるずるとポジションを落としている。

トップのグーデリアンは新品ソフトをフルに使って、とんでもない速さでトップを
征く。2番手ラムダは3番手とのマージンもあるため無理をして追わない。いよい
グーデリアン歓喜の瞬間が訪れるか。そしてここに来て序段独走状態だったラ
・ポルタがボナパルトをかわして3番手浮上。表彰台圏内まで戻してきた。対する
ボナパルトは序盤からブレーキにトラブルを抱え走り続けたが、いよいよ厳しくな
ってきた。すぐ後ろにバトラーが迫るがいかせない。タイトルを争うチームメイト、
ラムダの援護に徹する。

レースは残り1ターンでトップのグーデリアンと2番手ラムダ、ラムダと3番手ラ
・ポルタとのマージンはそれぞれ2。このまま行けるか? 後方では4番手を守り
続けたボナパルトがついに踏ん張り切れず、バトラーにポジションを明け渡す。ブ
レーキがルーズな状態ではバトラー、そしてリヴィエールの猛攻を抑えきれず、ボ
ナパルトは最後の最後で6番手後退。
エンジンのパワーダウン著しいセプターはリンドホルム、バロン、そしてゲラにも
かわされ、最終的に入賞圏外まで後退してしまった。

レースは結局終盤にトップに立ったグーデリアンがNeXX初優勝。3度のセーフ
ティカー出動という大混乱のレースを制した。そしてポイントリーダーのラムダは
きっちり2位表彰台をゲット、6ポイントまで迫られたバトラーとの差をまた少し
引き離した。3位には前半に独走態勢を築いたラ・ポルタ、2勝目は夢と消えたが
混乱したレースでもきっちり3位表彰台をゲット。今季3度目の登壇となった。
レース後エンジンブロックからのオイル漏れが発覚したバトラー、序盤からパワー
不足に悩まされながらも最後は4位につけた。ただでは終わらない昨季王者は、P
Pポイントも合わせてなんとか15ポイントを持ち帰った。5位にはリヴィエール、
勝ったグーデリアンとともに今季4度目のW入賞。そして序盤からブレーキトラブ
ルを抱えながら戦ったボナパルトはなんとか6位フィニッシュ。こちらもラムダと
W入賞だ。7位にはようやく今季3度目入賞のカブロン、そして8位にはこれで後
半戦優勝を含め5戦連続入賞のリンドホルム。完全に復調してきた。
9位にはバロン、今季4度目の入賞だ。途中のパンクがなければもっと上も狙えた
だろう。そして10位には今季6度目の入賞、ゲラが入った。

ドライバーズタイトル戦線はこれでラムダが166ポイント、追いかけるバトラー
も157ポイントと踏ん張ったがその差は9とわずかに拡がった。そして3位以下
ラスムッセン、ファング、日向といったところは軒並みノーポイントに終わり、や
はり最後の争いはラムダvsバトラーに絞られたようだ。ラムダと3位ラスムッセ
ンのポイント差はちょうど50、何かあれば2戦で縮まる差ではあるがラスムッセ
ンの逆転王者の可能性は、今日のノーポイントで限りなく小さくなったと言ってい
いだろう。
一方でトップの二人も盤石ではない。今回ラムダは最後にユーズドハードを持って
きたが、3度目のセーフティカーで戦略が狂ってしまった。またバトラーはここ2
戦何某かアクシデントやトラブルを抱えながらの戦いを強いられている。
予選ではバトラーが復調し、ラムダがやや苦戦。しかしレースではややラムダに安
定感があるように見受けられるが果たしてどうか。
また今季は次戦の日本GPも市街地開催のため、残る3レースは全て市街地戦だ。
ポイントではラムダに先行を許すバトラーだが、条件は『ストリートマスター』バ
トラーに有利に見える。ラムダがリードを守り切るか、バトラーがストリートコー
スを味方につけ逆転するか。今季も最後まで目の離せない展開になりそうだ。

チームタイトルに関してはピットブルが頭一つ出た格好だ。マーキュリーはマルケ
ーナスが不調をかこっているが、ピットブルはボナパルトの安定感が大きな武器だ。
ピットブル247ポイントに対しマーキュリーは211ポイントと、ここマカオ
その差36ポイントに拡がったのは大きい。3位のノルディックはピットブルと8
2ポイント差と、逆転は現実的ではない差になってしまった。
現状はピットブルの連覇の線が濃厚だが果たしてどうか?


最終リザルト↓↓↓(太字)

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Winner:ジャッキー・グーデリアン(マルドゥーク)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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次戦は4戦に渡ったアジアラウンド最終戦、第16戦日本GPだ。舞台は北海道、
昨季は十勝スピードウェイで行われたが、今季からは海の街小樽での市街地戦とな
る。選手権も残すところあと3戦、タイトル戦線もいよいよ佳境だ。日本発の公道
コ―スでの世界選手権開催となる今季の日本GP、関係者の長年の想いが結実し、
『小樽GP』は激化したタイトル争いの最終局面として開催される。モータースポ
ーツフォトグラファーの『けんさわ』こと澤田賢志氏が『日本のモナコ』と称した
、海の街小樽での第16戦日本GP、こうご期待!!

 

 

 

Formula NeXXtream 2ndシーズン・14

『Formula NeXXtream 2nd』

□第14戦 タイ チャーン・インターナショナル・サーキット

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 1周:4.55km
 特性:「高速」「常設」
 ターン数:25(67周)

タイトル争いもいよいよ大詰めのNeXX、全18戦の選手権も残すところあと5
戦となった。アジアへと戦いの場を移した選手権、第14戦はタイGP。インドシ
ナ半島の付け根、カンボジアと国境を接するブリーラム県にある、チャーン・イン
ターナショナル・サーキットが舞台だ。         
近年著名になったサーキットデザイナー、ヘルマン・ティルケによる設計で201
4年にオープンした同トラック。1周4.55kmのミドルトラックはミドルスト
レートを低速コーナーで繋ぐストップアンドゴーレイアウト。開設初年度のスーパ
ーGTに始まりWTCC、スーパーバイクなどの世界選手権も開催されたトラック
である。NeXXでは初年度の昨季も第14戦に設定され、昨季はクラークソンの
ファングがシーズン2勝目を挙げた舞台だ。
今季の選手権はここまでラムダとバトラーが、ポイント差6の僅差でトップ争いを
展開しており、ラムダが選手権を引っ張る展開だ。しかしシーズン折り返しの第1
0戦以降はバトラー1勝、ラムダ未勝利で両者足踏み状態。リヴィエール、日向、
ラ・ポルタといった伏兵が選手権をかき回し、主役の二人はやや脇に追いやられた
感がある。序盤戦は勝利こそなかったものの2位表彰台4回と大活躍だったファン
グも、後半戦は停滞が続きここまで第9戦オランダと第12戦ルーマニアの2度の
4位入賞のみ。伏兵、新戦力の台頭もあり終盤戦に入って、ドライバーズ選手権は
大混迷の様相を呈してきた。
チームタイトルは依然ピットブルとマーキュリーの一騎打ち状態だが、ここにきて
ラスムッセンの復調に伴いノルディックも浮上してきた。トップのピットブルとは
65ポイント差だが、のこり5戦があれば逆転は可能な差。トップ2はそれぞれN
o.2ドライバーが不調をかこっており、ピットブルは前戦アゼルバイジャンから
期待のボナパルトを投入したものの、ラムダ共々入賞圏外で終わっている。実力者
2人を有するノルディックであれば、充分逆転可能と言える。
今季もますます終盤白熱してきたNeXX世界選手権、第14戦もまた予想外の展
開が待っていた!


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:アレックス・バトラー(マーキュリー)
PPは選手権2位のアレックス・バトラー、驚くなかれなんと今季初のPPだ。P
Qではハードタイヤで臨んで25番手タイムとギリギリ通過だったものの、Q1で
は3番手、そしてQ2、Q3とトップタイムをマークし遅ればせながらの今季初P
P獲得だ。フロントローを分けたのは4戦ぶりシングルグリッドのハイデンフェル
ド。3番手マルケーナス、4番手ラスムッセンとマーキュリー勢とノルディック勢
が前方を独占だ。5番手には後半戦なかなか調子が上がってこないロッソ、6番手
には脅威の新人カレッジがつけた。前戦では大注目を浴びながらいいところなく、
下位に沈んだボナパルトは9番手とまずます。そして後半戦復調のリンドホルムが
12番手につけた。
一方でポイントリーダーのラムダは16番手と中団に沈む。ラムダはハードタイヤ
で挑んだQ1でミスを犯し17番手でノックアウト。しかし16番手のソリスには
5グリッド降格ペナルティが確定していたため、繰り上がりで16番手となった。
前戦ではフロントローからスタートし2位表彰台の日向も、ハイスピードトラック
ではふるわず17番手。そして5グリッド降格ペナルティのソリスは、21番手か
らのスタートとなった。
タイトル争いはトップのラムダをバトラーが僅か6ポイント差で追う展開、しかし
2人の予選結果は明暗を大きく分けた。決勝レースははたしてどうなるか?
今回の予選落ちはチャップマン、シエナ、バーンズ、カジワラの4名。チャップマ
ンとシエナはここまで、数少ない予選落ちの無いドライバーだったが、第14戦に
して揃って初の予選落ちを経験してしまった。バーンズは3度目、カジワラは5度
目の予選落ち。来季のシートが未定な後述の二人には、厳しい予選結果となった。


<決勝レース>
昨季は気温33度を超す猛暑に見舞われた決勝、チームによっては3ストップを選
択するドライバーも現れ、過酷なサバイバルレースとなった。しかし今季は予選か
ら昨年ほど熱くはならず、決勝はどんよりとした雲がサーキットを覆う。逆にいつ
降雨があってもおかしくはない天候状況、スコールなども視野に入れねばならず各
チーム雨に対する備えをしつつのタイヤチョイスとなった。早い段階での降雨を想
定に入れたチームが多く、7割がソフトでのスタートをチョイスした。


<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
A.バトラー       T.ヴィックス 
Z.ゲラ         宋 昇龍
D.リンドホルム  
J.グーデリアン 
J.カレッジ          
        
◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ         日向 俊郎
M.ボナパルト       J.バロン
K.マルケーナス      F.デ・ランジェリス 
M.ポルボローネ      A.カブロン 
A.ファーシマス      D.ファング
K.ラスムッセン      L.ソリス
M.ハイデンフェルド    J.セプター
A.ラ・ポルタ 
A.フィリオ   
A.ロッソ
B.リヴィエール
C.タンデイ

=ユーズドタイヤ

スタートはおおむね問題なく展開、前方は大きな順位変動はなかったものの、5番
手スタートのロッソが1コーナーで単独スピンを喫し早くもリタイヤしてしまう。
開幕戦を華々しく制したロッソも、中盤戦以降は精彩を欠くレースが続く。中団以
下も大きな混乱はなし、11番手スタートのファングがジャンプスタートを決め8
番手に浮上していた。
ユーズドハードでスタートしたトップのバトラーだったが、序盤は思いのほかペー
巣が上がらずハイデンフェルドに前にいかれる。ハイデンフェルドは第5戦メキシ
コで優勝した時以来、久々のリードラップを刻む。中段でボナパルトにしかけたフ
ァーシマスが単独スピン。ファーシマスは大きくポジションを落としてしまう。今
季予選では速さを見せるものの、決勝のリザルトに結びつかないファーシマス。ポ
ジションを11番手まで落としてしまう。

レースは序盤も序盤だが、ここでアクシデント発生。13番手のリヴィエールが、
マシン後方から大量の白煙を吐いてリタイヤしてしまう。これによりセーフティカ
ーが出動。序盤2ターン目にして最初のセーフティカーターンとなる。
ピットオープンとなった3ターン目、カレッジがピットインしてくる。カレッジは
DRSの制御機構にトラブルを抱え、リアウィングが開かない状態のようだ。緊急
ピットインだったが結局原因はわからず、カレッジはリアウィングが開かない状態
のまま最後尾でコース復帰してゆく。

5ターン目にレースはリスタート。トップのハイデンフェルドが良いスタートを決
めたのに対し、2番手バトラーは1コーナーで3番手のラスムッセンに前に行かれ
てしまう。これでノルディックは1-2体制を築く、対するバトラーはどうもブレ
ーキにトラブルを抱えてしまったようだ。タイトル争いで優位に立ちたかったバト
ラーには痛い展開だ。一方後方スタートの選手権トップラムダは、この時点で12
番手に浮上していた。

★5ターン終了時のトップ10
 1.ミック・ハイデンフェルド
 2.ケリー・ラスムッセン
 3.アレックス・バトラー
 4.カーティス・マルケーナス
 5.ジョリー・セプター
 6.デイヴィス・ファング
 7.アンドレアス・サントス・フィリオ
 8.デイヴィス・リンドホルム
 9.ミシェル・ボナパルト
10.アレオ・ファーシマス

3番手に落ちたバトラーに、マルケーナスが仕掛けるもバトラーはいかせない。ブ
レーキは相変わらずルーズだが、意地とテクニックでチームメイトを抑え込む。執
拗にバトラーをつつくマルケーナスだが、バトラーの巧みなブロックに体勢を崩し
た瞬間を後続に狙われる。セプター、そしてファングがマルケーナスの前へ、マル
ケーナスはポジションを2つ落としてしまった。そして、さらに後ろのフィリオが
マルケーナスにしかけたところで再びアクシデント発生。フィリオを行かせまいと
ブロックしたマルケーナスが体勢を崩し、前のファングを巻き込む多重接触となっ
てしまったのだ。これにより序盤で早くも、2度目のセーフティカー出動となって
しまった。

ピットオープンの7ターン目、ソフトタイヤでスタートした第1陣がタイヤ交換の
ためピットイン。接触事故の3台も応急修理のためピットイン、ファング、マルケ
ーナスはタイヤの他にリアカウル、フィリオはノーズコーンを交換しコース復帰。
3台とも最後尾集団へ落ちてしまった。

8ターン目、2度目のレースリスタートだ。トップのハイデンフェルドは無難に決
めるが、3番手セプターはやや立ち遅れる。リンドホルム、ボナパルトに前に行か
れ、セプターは5番手に後退してしまった。また、スチュワードは先ほどの多重事
故の当事者としてマルケーナスを認定、マルケーナスはレース中のピットストップ
10秒のペナルティを科せられ てしまった。

レースは9ターン目。ここで1セット目のソフトをセーフティカー明けまで引っ張
った、トップのハイデンフェルドが最初のピットイン。メキシコ以来の2勝目を狙
うハイデンフェルドは、2セット目も新品ソフトに繋ぎ最後にユーズドハードを持
ってくる戦略を取った。とにかく中盤までにソフトで飛ばし、マージンを稼ぐ作戦
だ。しかしこのピットストップがまさかの大失敗、右フロントが外れずに大きくタ
イムロスし9番手まで落ちてしまう。痛恨のピットミスだ。

これでトップに立ったのが、序盤でブレーキにマイナートラブルを抱えたバトラー
だ。しかしこのバトラーにも予期せぬトラブルが起こる。走行中にギアが3速にス
タックし、一瞬大きくペースダウンを強いられてしまったのだ。最終コーナーの立
ちあがりで失速したバトラーは、5台に前へ行かれ7番手まで後退。かわりに先頭
にたったのがリンドホルム、そしてボナパルトが2番手に浮上した。タイトル争い
はまたまた波乱の展開だ。

10ターン目には2番手ボナパルト、3番手セプターが最初のピットイン。セプタ
ーはユーズドハードへと繋ぐ、ボナパルトはソフトからソフトへ。ボナパルトはラ
イフの短いヴァシュロンの新品ソフトを9ターン引っ張ってのタイヤ交換、評価に
違わぬ高いタイヤマネジメント能力を発揮し、2スティント目も新品ソフトへ繋い
ボナパルト。このあとのタイヤ戦略にも注目だ。
これでユーズドハードでスタートしたトップのリンドホルムはいっときの独走状態、
7ターン目にハードへの交換を済ませたラスムッセンが2番手に浮上する。後続で
は日向、バトラー、ヴィックスなどがピットイン。これで新品ハードスタート勢を
わずかにのこし、ほぼ全車が最初のタイヤ交換を終えた格好だ。後方ではラムダが
7ターン目にタイヤ交換を済ませているが、15番手から浮上できずにいる。バト
ラーも9番手と入賞圏内ギリギリ、タイトル争いの主役たちの受難は続く。

トップのリンドホルムは12ターン目に最初のピットイン、ユーズドハードから新
品ソフトへつなぐ。これにアントネッティピットクルー会心の作業で応え、リ
ンドホルムはトップを守った状態でコース復帰。ここにきてリンドホルムのNeX
X初優勝の可能性が出てきたが、果たしてレースはどうなる?
新品ソフトへと繋いだリンドホルムはペースアップ、2番手以下を徐々に引き離し
にかかる。2番手はラスムッセン、しかし3番手ボナパルトがすぐ後ろまで来てい
る。ボナパルトは2セット目もソフト、対するラスムッセンは2セットめのハード
にそろそろガケが来るタイミング。ポジションを守れるか?

後方ではまた多重接触のアクシデント、ファーシマスがバトラーのオーバーテイク
を試みバトラーも抵抗。後ろにいたヴィックスも合わせた3台が1コーナーを大き
オーバーランしてしまう。激しい接触ではなかったため大きなマシン破損はなか
ったものの、各々ポジションダウン。最も大きくポジションを落としたのは、仕掛
けたファーシマスだった。ファーシマスは7番手から11番手まで転落、更にファ
ーシマスの追抜きがペナルティ対象となり、ピットスルーペナルティを科せられて
しまった。
バトラーはこの接触で大きなポジションダウンはなかったものの、フロントウィン
グの翼端板を飛ばしていた。15ターン目に緊急ピットインし2度目のタイヤ交換、
あわせてノーズコーンも交換し19番手でコース復帰。上位入賞は絶望的な状況の
バトラーにとっては、踏んだり蹴ったりのレースとなった。


★15ターン終了時のトップ10
 1.デイヴィス・リンドホルム
 2.ケリー・ラスムッセン
 3.ミシェル・ボナパルト
 4.ジョリー・セプター 
 5.ミック・ハイデンフェルド
 6.ゾルタン・ゲラ
 7.ニコ・ラムダ
 8.日向 俊郎
 9.アレオ・ファーシマス
10.デイヴィス・ファング

後半戦に入ってもトップはリンドホルム、2番手にラスムッセンが続くがラスムッ
センはハードタイヤのガケが来ており追撃できない。そんななかすぐ後ろに迫って
いたボナパルトが、ラスムッセンをかわし2番手に浮上。9番手スタートからジリ
ジリとポジションをあげてきたボナパルト、レースは17ターンにさしかかるとこ
ろだが、2セットのソフトタイヤで驚異のタイヤマネジメントを見せ、2番手まで
浮上してきた。後方スタートのラムダも7番手まで上がってきており、ピットブル
は2台とも入賞圏内だ。マーキュリーは2台ともポイント圏外におり、チームタイ
トル戦線はピットブルが有利な展開で進んでいる。

18ターンから19ターンにかけては、各々2度目のタイヤ交換のタイミング。1
8ターン目、上位陣ではラスムッセンがハードからユーズドハード、セプター、ソ
リスがユーズドハードからソフトへチェンジ。19ターン目には残りの上位勢も最
後のストップを展開する。トップのリンドホルムはソフトへ繋ぎトップでコース復
帰、2番手のボナパルトは2セット目のソフトも引っ張り、なんと最後のスティン
トにユーズドソフトを持ってきた。その他4番手ゲラ、7番手日向もソフトに交換
し最後のスティントに臨む。

レースは終盤、相変わらずリンドホルムは独走態勢。2番手でコースに復帰したラ
スムッセンだが、ユーズドハードではトップ追撃はできず。さらにユーズドソフト
ボナパルトにかわされ結局3番手後退。ボナパルトは可能な限りリンドホルム追
撃を試みる。5番手ハイデンフェルド以降はやや混戦、そして16番手スタートの
ラムダが7番手まで浮上、今回がNeXX2戦目のクラークソンのソリスが8番手
まで来ていた。
ソリスの後ろには序盤の接触で20番手まで落ちたファングが、9番手までポジシ
ョンを回復してきていたが、そのファングにトラブル発生。ミッショントラブルで
ペースを大きく落としてしまう。入賞圏内までポジションを戻してきていただけに
痛いトラブルだ。前半戦好調だったファングだが、後半戦はアクシデントにも祟ら
れ大失速。今回もポイント獲得は厳しい雲行きだ。

最後のスティントにソフトをもってきたリンドホルムは相変わらず快調、後方とは
大きなマージンを築いておりややペースを落としながらトップをゆく。2番手ボナ
パルトも追うが、ユーズドソフトを最後に持ってきたためかなかなかトップを追い
切れない。ガケを迎えたボナパルトのタイヤ、足元がキツくなってきたボナパルト
のすぐ後方ではラスムッセンが2位奪還を虎視眈々と狙っていた。

レースはファイナルターン、リンドホルムは2位以下とマージン5の大差をつけて
の独走状態でクルージング。しかし2番手争いで動き、最後の最後でラスムッセン
ボナパルトをかわし2番手を取り換えした。5番手争いでも最後にゲラがハイデ
ンフェルドを逆転、さらには度重なるトラブル、アクシデントで入賞圏外にいたバ
トラーがギリギリで10番手浮上。意地の追い上げだ。

レースは結局9ターン目、バトラーのミッショントラブルに乗じてトップに立った
リンドホルムが今季初、そしてNeXX初優勝を達成。最後の最後でグリップを失
ったボナパルトをかわしたラスムッセンが2位、ソフト3セットでつなぎ抜群のタ
イヤマネジメントを発揮したボナパルトが、NeXX初入賞を3位表彰台で飾る。
4位セプターは久々の入賞、5位には今季5度目入賞のゲラ、スタートからトップ
を快走しながらピット作業ミスでポジションを大きく落としたハイデンフェルドは
6番手と健闘した。
7位にはこちらもデビュー2戦目で今季初入賞のソリス、選手権トップのラムダは
結局8位入賞。9位には第8戦の優勝以来久々3度目の入賞のポルボローネ、そし
てPPから一時は19番手までポジションを下げたバトラーは、意地の10位入賞
で1ポイント、PPとあわせて4ポイントを持ち帰った。


ドライバーズタイトル争いは結局ラムダが8位で4ポイント、バトラーが10位+
PPで4ポイントと、ポイント差は6と変わらず。両者共苦戦を強いられたものの
最低限の仕事をこなした形だ。そして今回ラスムッセンが2位に入ったことで順位
に変動があり、ようやく100ポイント越えとなったラスムッセンが116ポイン
トでランキング3位に浮上した。トップとは32ポイント差あるが、残り4戦でま
だまだ逆転は可能。依然最もタイトルに近いのはラムダとバトラーであることに変
わりはないが、ラスムッセンにも逆転王座の可能性が出てきた。
一方でチームタイトル戦線はややポイント差が拡がった。第13戦終了時のピット
ブルとマーキュリーの差は10ポイントだったが、今回ボナパルトが3位入賞した
ことによりピットブルに15ポイントが加算され、ピットブル221に対しマーキ
ュリー196ポイントと、25ポイント差に広がった。また今回ラスムッセンが2
位、ハイデンフェルドが6位とW入賞を果たしたノルディックが28ポイントを加
算。165ポイントとし2位マーキュリーとは29ポイント差まで迫ってきた。
ドライバーズ、チームともにここまでラムダvsバトラー、ピットブルvsマーキ
ュリーの一騎打ちかと思われていたが、ここにきてやはり昨季同様3つどもえの様
相を呈してきた。
タイトル争いの行方はまだまだ予断を許さず、残り4戦でどう転ぶかは予想できな
い。今後は舞台をマカオ、そして日本に移しアジアラウンドが展開されてゆく。
今後の展開から目が離せない!


最終リザルト↓↓↓(太字)

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Winner:デイヴィス・リンドホルム(アントネッティ

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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次戦の舞台はマカオ、アジア随一の難所として知られるギアサーキットだ。超高速
の海側とコース幅の狭い超低速の山側と、区間によって大きく性格が変わる難しい
ストリートサーキット。またそのあと第16戦には、小樽市街地での日本GPを控
え選手権はいよいよ佳境に入ってゆく。今後の展開からますます
目が離せない!!

 

 

 

 

 

Formula NeXXtream 2ndシーズン・13

3『Formula NeXXtream 2nd』
□第13戦 アゼルバイジャン バクー市街地サーキット

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 1周:6.00km
 特性:「中速」「市街地」
 ターン数:22(51周)

2ndシーズンのNeXX世界選手権もいよいよ佳境、残すところあと6戦となっ
た。欧州戦線を終えたNeXXは第13戦からはアジアラウンドへ突入、最初の舞
台はエキゾチックな街並みが特徴的なアジアと欧州の中継地アゼルバイジャンだ。
コーカサス地方カスピ海西岸に位置するアゼルバイジャンは東欧、西アジア、そ
して中東の交差点に位置し、かつては世界一の大国『旧ソビエト連邦』を構成する
一国だった。ソビエト崩壊後は独立国家として発展し、バクー油田をはじめとする
豊富な天然資源を武器に大きな経済発展を遂げてきた。最近では2016年以降F
1を継続開催してもいる。NeXXでは2シーズン目となるアゼルバイジャンGP
は、そのF1同様の市街地コースを利用して行われる。
先述の通りF1でもおなじみのコースは、1周6kmの左回りのロングトラック。
細く入り組んだ路地の多い旧市街地『イチェリ・シェヘル』がレイアウトに組み込
まれており、新市街地を使用するセクター1、3の速度域は非常に高いものの、旧
市街地区間のセクター2は非常にテクニカルな区間だ。北側のシェマハ門付近のタ
ーン8からターン11にかけてのスラロームセクションは道幅7.6mの超狭小路
で、事故の多い難所となっている。セクター1、3とセクター2ではコース特性が
全く違うため、最高速とダウンフォース量、そして回頭性それぞれにおいてセッテ
ィングに丁度良い妥協点を見出す必要があり、各チームは頭を悩ませる。
『バクー』とはペルシャ語で『風の街』を意味し、走行に影響を与えるほどの強風
が吹くこともある。F1では予選から番狂わせが起こることが有名な、危険なサー
キットである。
昨季はこのレースでNeXXデビューとなったエヴァー・グラハムのデリック・ワ
ーノック(のちクラークソンに移籍)が、予選でいきなりPPを獲得。ワーノック
は2位表彰台にあがり、ピットブルのラムダが制したが今季はどうなるか? 選手
権はここまでラムダがリードしているが、前戦ルーマニアでのバトラーの優勝でい
まだ行方はわからない状態だ。またピットブル、クラークソン2チームがここアゼ
ルバイジャンからNo.2ドライバーを交代させており、フランツ・ボナパルト
そしてリンド・ソリスの二人がNeXXデビューを迎える。さらにはヨコスカが新
ハードタイヤを持ち込んでいたりと、終盤戦へ向けて様々な動きのあるNeXX。
はたしてここアゼルバイジャンで、タイトル戦線の流れはどちらに傾くか? しか
しレースは予想外の展開となる!?


<予選>
予選結果は以下の通り↓↓↓

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セッション別リザルト↓↓↓

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予選落ち(DNQ)↓↓↓

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PP:ケリー・ラスムッセン(ノルディック)
昨季は最後までタイトルを争いながら、今季ここまで脇役に甘んじていたノルディ
ックのラスムッセンがようやく今季初PP、通算3度目のPPを獲得した。トップ
2には大きく水をあけられているものの、まだまだ逆転可能なポイント差。ここか
らどういった追撃を見せるか。フロントローを分けたのは日本の日向。全セッショ
ン通じて好タイムをマークし、『ストリートマスター』の走りを存分に見せつけた。
3番手にリヴィエール、そして4番手ラ・ポルタと、ストリートサーキットの得意
な面々が上位を独占した。3列目6番手には今季苦戦の続くゲラ、今季ようやく3
度目のシングルグリッドだ。そしてここ2戦連続入賞で復調気配のリンドホルムが
8番手、遅まきながら復調をアピールした。9番手シエナ、10番手ヴィックスと
中堅勢が大きく躍進。特にルーキーのヴィックスは後半戦に入り絶好調、前戦ルー
マニアこそ予選落ちを喫したものの、獲得ポイントではチームメイトのカブロンを
大きく上回っており、今回も期待がかかる。
今回NeXXデビューとなるクラークソンのソリスが11番手、そして前戦出場停
止のペナルティをうけた宋の代役出走となるチャイナドラゴンのエルドラードが1
4番手と健闘。特に英国期待の逸材ソリスは、期待にたがわぬ速さを見せつけた。
対して前評判が高かっただけに期待はずれな結果となったのがピットブルのボナパ
ルト、18番手からのスタートとなった。ただピットブルはここバクーでは苦戦し
ており、エースのラムダはさらに後方23番手に沈んだ。またラムダとタイトルを
争うバトラーも20番手に沈んでおり、タイトル戦線に大きな影を落とす結果とな
った。
今回の予選落ちはポルボローネ、バロン、タンデイ、カジワラの4人。今季1勝を
あげているポルボローネも予選落ちを喫する難コース、『ストリートファイター
の異名をとるカジワラも例外ではなかった。カジワラは依然参戦ドライバーで唯一
のノ―ポイント状態が続いており、来季のシート確保には大きなマイナスとるだ
ろう。


<決勝レース>
乾燥した気候のため降雨の不安はなし、そして気温が上がらなければタイヤに対す
る負担も大きなコースではない。そのためヨコスカは上位勢がハードを選択、1ス
トップ作戦をとる。そしてヴァシュロン勢もピットブル勢やバトラー、フィリオな
どタイヤマネジメントに自信のある連中は1ストップ作戦をチョイスした。しかし
一部のヴァシュロン勢はソフトを選択、マルケーナスやシエナラスムッセンなど
はヴァシュロンソフトのグリップ力を活かした2ストップ作戦を企図、珍しくハー
ドとソフトのチョイスは5:5に分かれた。


<タイヤチョイス>
◆HARD
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
N.ラムダ        A.カブロン 
M.ボナパルト       T.ヴィックス 
A.バトラー        D.ファング
Z.ゲラ            日向 俊郎 
M.ハイデンフェルド   C.エルドラード 
A.フィリオ        J.セプター
A.ロッソ                 
J.グーデリアン 
J.カレッジ 


◆SOFT
<ヴァシュロン>      <ヨコスカ>
K.マルケーナス      A.バーンズ
S.シエナ         J.チャップマン
A.ファーシマス      F.デ・ランジェリス
K.ラスムッセン      L.ソリス
A.ラ・ポルタ       
D.リンドホルム            
B.リヴィエール

=ユーズドタイヤ


ひさびさのPPスタートとなったラスムッセンが良いスタート、日向も追随するが
今季初優勝を狙うラスムッセンのスタートが上回る。そして4番手スタートのラ・
ポルタが3番手リヴィエールをかわして前に出る。リヴィエールはマルケーナスに
もかわされ5番手後退、痛恨のスタートミスだ。
後方では大きな混乱なくスタートしたかに見えたが、23番手スタートのラムダに
トラブル発生。久々に後方の大集団からスタートしたラムダは、前のカブロンのリ
アウィングに左フロントタイヤを切られ軽いパンクチャ状態に。ポイントリーダー
のラムダにとっては、踏んだり蹴ったりのレースになってしまった。

トップのラスムッセンは快調に飛ばし、日向を徐々に引き離しにかかる。ラスムッ
センに置いて行かれ始める日向は、後ろのラ・ポルタにも迫られる。ソフトタイヤ
でスタートしたヴァシュロン勢とのレースペースの差はいかんともしがたく、日向
はやむなく序盤2ターンで2位をラ・ポルタに譲る。
日向はその後もマルケーナス、リヴィエールと、2ストップのヴァシュロンソフト
勢に相次いでかわされる。しかしハードで1ストップ作戦の日向にとってはある意
味想定内だ。ここで早くもアクシデント発生、14番手スタートのエルドラードが
コース脇にマシンを停めてリタイヤしてしまったのだ。電気系のトラブルでのリタ
イヤとなったエルドラード、これによりレースは早くも最初のセーフティカー出動
のタイミングを迎える。
ペナルティのため出場停止の宋昇龍の代役出走となったエルドラード、初出走とな
った前回は予選落ちを喫したが今回は堂々の14番手通過だっただけに、非常に残
念な結果となってしまった。

スタートでタイヤに軽いダメージを負ったラムダが、このタイミングに乗じてタイ
ヤ交換。選手権を争うラムダとしては、非常に苦しい展開だ。
レースは4ターン目にリスタート。このリスタートでトップのラスムッセンが痛恨
のスタートミス、2番手のラ・ポルタに前へ行かれてしまう。トップに立ってから
は快調に飛ばすラ・ポルタ、ラスムッセンもマージン1差で追いかける。3番手以
降は接戦、早くもタイヤにガケが来ているリヴィエールにマルケーナスが仕掛ける
も、リヴィエールも必至でブロック。そして前のバトルのあおりを食った日向が、
後ろのリンドホルムに前に行かれてしまう。中団ではチャップマンがヴィックスを
かわして9番手浮上。そんな中後方ではフィリオが単独でスピンを喫しリタイヤ、
フィリオはエスケープにマシンを停めてしまう。僚友ラ・ポルタがトップを快走し
ていただけに、残念なリタイヤとなった。

★5ターン終了時のトップ10
 1.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 2.ケリー・ラスムッセン
 3.ビル・リヴィエール
 4.カーティス・マルケーナス
 5.デイヴィス・リンドホルム
 6.日向 俊郎
 7.ゾルタン・ゲラ
 8.スティラノ・シエナ
 9.リンド・ソリス
10.ジョンブル・チャップマン

トップのラ・ポルタはペースが良い。市街地が大得意のラ・ポルタ、ソフトタイヤ
の利点を活かして快調に飛ばす。追いかける2番手ラスムッセン、3番手リヴィエ
ールはラ・ポルタのペースについていけず、徐々に差が拡がっていゆく。また3番
手リヴィエールはタイヤを酷使しすぎて早くもガケが到来、後ろのマルケーナスに
つつかれていた。しかしそんなマルケーナスも1セット目のソフトは既に限界が近
く後ろのリンドホルム、そして序盤に追抜いていた日向に抜き返されてしまう。

ヴァシュロンのソフト勢が1度目のピットストップのタイミングを迎えようという
ところで、後方でアクシデント発生。8番手を争っていたシエナと、今回がNeX
Xデビュー戦となるソリスが接触。後続のチャッップマンを巻き込んで道幅の狭い
セクター2のコースをふさいでしまい、早くも2度目のセーフティカーが出動する。

このタイミングで待ってましたとばかり、ヴァシュロンソフト勢がタイヤ交換のた
めピットイン。ラ・ポルタをはじめとするトップ4は全車1回目のタイヤ交換をす
ませた。しかしラ・ポルタは2セット目もソフトを選択、他の面々はユーズドハー
ドを選択した。このタイヤチョイスがどう出るか?
そんな中トラブルに見舞われたのがラスムッセンだ。ユーズドハードへ繋ぐ予定の
ピットインだったが、なんとチームがソフトタイヤを用意して待機していたのだ。この
チームの痛恨のミスでラスムッセンは9番手まで後退してしまう。
接触したシエナ、ソリス、チャップマンの3台もピットイン。シエナとチャップマ
ンはタイヤ交換の他軽い応急処置のみでピットアウトも、フロントに大きなダメー
ジを負ったソリスはノーズ交換のため最後尾まで落ちてしまう。この事故の当事者
認定されてしまったソリスは、後に次戦5グリッド降格のペナルティを下されるこ
とになる。予選では速さの片鱗を見せたが決勝でNeXXの洗礼を浴びてしまった。

これでトップに立ったのが、ハードタイヤでの1ストップ作戦を採るとみられる日
向。2番手には同じく1ストップであろう、ハード勢のゲラが立つ。タイトル争い
の伏兵が引っ張る展開でセーフティカーは7ターン目にピットに戻り、8ターン目
レースはリスタートする。

無難にリスタートを決めた日向、ゲラはやや立ち遅れた。3番手のラ・ポルタがリ
スタートをうまく決め、ゲラの前2番手に浮上する。4番手にはこれまた1ストッ
プ予定のヴィックス、その後ろにヴァシュロンのソフト勢が続いた。
後方では接触でマシンにややダメージを負ったシエナが13番手までポジションダ
ウン。かわりに12番手に上がってきたのが選手権2位のバトラーだ。19番手ス
タートのバトラーはハードタイヤでスタート、セーフティカーを利してタイヤライ
フを温存しながら上位を目指す作戦。この時点ですでに、ポイント圏内目前まで迫
っていた。一方のラムダは、チームメイトのボナパルト共々決勝でも大苦戦。21
番手でもがいていた。

前が開けたトップの日向はペースアップ、しかし2セット目もソフトへ繋いだラ・
ポルタが同様のハイペースで日向を追う。後続はそろってハードへ繋いだ面々、今
はリスクを冒さず様子見の構えだ。そして9ターン目、接触でマシンにダメージを
負ったシエナがピットイン、マシンを止めそのままリタイヤした。リアサスペンシ
ョンにダメージがあり、バイブレーションでまともに走れなくなってしまったのだ。
今季予選では5度シングルグリッドを記録、第11戦チェコではPPも獲得したシ
エナだが、決勝ではなかなか結果につながらす苦しいレースが続く。
そして後方ではまたも接触、15番手争いのファングとファーシマスだ。幸い大き
な事故ではなかったため2台はすぐにレース復帰、しかしそれぞれ順位を大きく落
としてしまった。ランキング3位のファングはイライラする展開が続く。

10ターン目に入っても日向とラ・ポルタの、ハイペースでの鬼ごっこは変わらず。
そして後ろでは4番手ヴィックスもペースアップ。ややペースの上がらないゲラを
抜いて3番手に浮上してきた。ガジャックのカレッジが『驚異の新人』と騒がれる
今季だが、昨季終盤戦にデビューしたヴィックスも実質今季がルーキーイヤー。カ
レッジと遜色ない活躍で初の表彰台を射程圏にとらえた。
そして中盤にさしかかったレース、タイトル争いの主役の一人バトラーが、ついに
10番手まで浮上してきた。

11ターン目、さすがにハードでハイペースで飛ばしてきた日向のペースが落ち始
める。2番手のラ・ポルタはぐんぐんと差を詰めてくる。そしてこちらもハードタ
イヤが限界に達していたゲラがついにピットイン。新品ハードに繋いだゲラはやは
り1ストップ、チームも会心の作業でコースに送り出す。
続いて12ターン目にはついに、トップの日向がピットイン。こちらもユーズドか
ら新品ハードに交換し1ストップで走り切る構え。このところピット作業でミスが
目立ったトライアンフだったが、今回は無難な作業で日向を送り出す。その間アウ
トラップで猛プッシュしていたゲラ、前を行くリヴィエールを、タイヤの温まり切
っていない日向、そしてリンドホルムを次々とオーバーテイク。一気に3番手まで
浮上。表彰台圏内に復帰する。そして13ターン目には2番手のヴィックスが、こ
ちらも新品ハードへ繋ぐ最初で最後のピットイン。これによりゲラは2番手まで再
浮上する。

トップのラポルタはソフトタイヤのハイグリップをいかして独走態勢。その後ろで
はタイヤの温まった日向の猛プッシュが始まった。いっときゲラにも前に行かれ5
番手まで落ちた日向だが、ここにきてぐんぐんペースアップ。14ターン目にはゲ
ラに追いつきオーバーテイク、2番手まで浮上する。そしてタイヤ交換を済ませた
ヴィックスもペースアップ、リンドホルムをかわして4番手復帰だ。ヨコスカの新
ハードタイヤは、思いのほか決勝レースでも好パフォーマンスを見せている。
15ターン目、満を持してラ・ポルタ最後のピットイン。日向とはマージン4差で
ピットインし、最後のスティントはユーズドハードに繋ぐ。その間に日向はぐんぐ
んラ・ポルタとの差を詰める。お互いもうピットインは無い、はたしてどちらが前
に出るか?

間一髪、日向が1コーナーを立ち上がったと当時にラ・ポルタがピットアウトしラ
・ポルタが日向の前、トップでピットアウト。終盤戦はトップ2、そして3番手の
ゲラ、4番手ヴィックスと、上位勢は全てハードタイヤでのラストスティント。レ
―スは終盤戦、ここからどう展開するか。

★15ターン終了時のトップ10
 1.アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ
 2.日向 俊郎
 3.ゾルタン・ゲラ
 4.トゥーリ・ヴィックス 
 5.ケリー・ラスムッセン
 6.デイヴィス・リンドホルム
 7.カーティス・マルケーナス
 8.ビル・リヴィエール
 9.ジャッキー・グーデリアン
10.ミック・ハイデンフェルド

ラ・ポルタのピットアウト時は日向と僅差だったものの、プッシュし続けた日向の
方はややタイヤがタレ気味。前に出られてしまった側の日向は、徐々にラ・ポルタ
に引き離されてゆく。また3番手ゲラのペースも上がらない。初表彰台を狙う4番
手のヴィックスが徐々に差を詰めてくる。5番手には2ストップで最後のスティン
トをソフトで戦うラスムッセン。表彰台圏を争うバトルはレース終盤にきてにわか
に白熱してきた。
後方ではバトラーが着々とポジションアップ、バトラーと同じく1ストップのヴァ
シュロン勢ハイデンフェルドをかわして8番手まで浮上する。一方のラムダは14
番手、バトラーとしてはラムダとのポイント差を詰めるためなんとしても前へ行き
たいところ。

18ターン目、ファングがピットでマシンを止める。序盤のファーシマスとの接触
でボディワークにダメージを負ったファング、結局思うようにペースを上げられず
残念なリタイヤとなった。またラムダは中団で思うようにペースを上げられず13
番手を走行。前のグーデリアンを直線でかわせず、逆に後ろから猛プッシュしてき
たバーンズにグーデリアンごとかわされてしまう。バーンズ、中段に沈むも2台抜
きの離れ業だ。表彰台圏争いはここにきてラスムッセンがスパート。ヴィックス、
ゲラを直線で抜き3番手に浮上する。最後に表彰台圏内にいるのははたして誰か?

後方ではチャイナドラゴンのセプターが良い走りを見せる。24番手と後方からの
スタートで着々とポジションアップ。19ターン目には11位まで浮上、久々の入
賞圏内まであとひとつというところまで来ていた。しかし20ターン目、なんとそ
のセプターが単独スピン。せっかく入賞圏内目前まで迫りながら、自らのミスで大
きくポジションを落としてしまった。セプターはこのスピンでフロアを痛めており
順位の挽回はできず。最終的には16番手フィニッシュとなった。来季の契約が微
妙と言われているだけに、結果を出したかったが叶わなかった。

21ターン、レースはこのターン含めあと1ターン。ラポルタはここでさらにもう
1段階ギアをあげる。2セット目のハードもタレてきてペースが上がらない日向と
の差をマージン3まで拡げる。初優勝は目前に迫った。
そして3番手争いはゲラ、ヴィックスが相次いでラスムッセンをかわしゲラは3番
手、ヴィックスは4番手復帰。ラスムッセンは最後の踏ん張りどころでタイヤのガ
ケを迎えていた。

入賞圏内8位まで浮上したバトラーは、リヴィエールの最後の踏ん張りにあい9位
後退。なんとしてもポイントを加算したいバトラーは無理をしない。ラムダが未だ
ポイント圏外にいることを計算し、リスクマネジメントをしつつ走る。かたやリヴ
ィエールは途中マシンの回生機構に、回生効率低下のトラブルが発生。ややペース
を落とさざる追えず10位まで後退したが、勝負どころまで回生エネルギーを温存。
ここにきて一機に放出し、ハイデンフェルドとバトラーをかわして7番手に浮上し
た。一方ラムダは相変わらずグーデリアンに前をふさがれており、入賞圏内への道
を閉ざされたままだ。

最終的にレースはマージン3でトップを守り切ったラ・ポルタがNeXX初優勝。
所属チームSLOにもNeXX初優勝をもたらした。
2位にはハードタイヤで1ストップ作戦をとった日向、そして3位には最後までポ
ジションを守り切ったゲラが入り今季初表彰台ゲット。ヴィックスは惜しくも初表
彰台を逃すも4位フィニッシュ。1ストップ勢が2-3-4位を占めた。
5位にはラスムッセン、PPを獲得しながらピット作業のトラブルでポジションを
大きく落としたが、なんとか5位までリカバリーした。6位にはマルケーナス、7
位はリンドホルム。開幕から絶不調だったリンドホルムだったが、これで3戦連続
の入賞だ。8位は回生機構にトラブルを抱えながら走ったリヴィエール、そして選
手権を争うバトラーがなんとか9位に入り、10位にはハイデンフェルド。
予選から同僚のボナパルト共々大苦戦だったピットブルのラムダ、選手権未だトッ
プだが今レースは12位で痛恨のノーポイント。期待されたボナパルト共々下位に
沈んだ。

選手権はこれで再びポイント差1ケタの大接戦になった。144ポイントのラムダ
と138ポイントバトラーのポイント差はわずか6、そして3位ファングが107
ポイントで続く。更にその後ろも僅差続きだ。4位にはファングと7ポイント差の
100ポイントで日向が続き、5位のラスムッセンは96ポイントで日向と4ポイ
ント差だ。NeXXは1レースあたりPP3ポイント、FL2ポイント、優勝25
ポイントが与えられ、パーフェクトウィン達成で1レース最大30ポイントの獲得
が可能だ。計算上の可能性論は抜きにしても、現実的にはまだまだ名前の挙がった
上位5名には可能性がある。
チームタイトルは相変わらず2トップ状態だが、こちらも大接戦だ、トップのピッ
トブルと2位マーキュリーの差はわずかに10ポイント、今回ノーポイントに終わ
ったピットブルに対してマーキュリーはW入賞を果たし、ピットブルの連覇阻止に
向けて終盤の攻勢に出た格好だ。


最終リザルト↓↓↓

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Winner:アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(SLO)

ラップチャート↓↓↓

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ドライバーズランキング↓↓↓

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チーム・マニュファクチャラーランキング↓↓↓

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次戦はいよいよ本格的に東アジアラウンドに突入。第14戦の舞台はタイGPだ。
猛暑に見舞われた昨年は、タイトルを争うラムダとバトラーがともにリタイヤし、
ファングがシーズン2勝目を挙げたタイGP。
今季はここにきて選手権の主役二人がそろってお疲れ気味で、リヴィエール、日向、
そして今回のラ・ポルタと伏兵が元気だが、果たして今季はどうなるか? 
第16戦日本GPまであと少しと迫ったNeXX。こうご期待!!

 

 

 

 

 

 

NEXXTREAM PRESS 2nd「ヨーロッパラウンド号」

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◆ヨーロッパラウンド号


前半戦第5戦までを終え、2ndシーズンもいよいよ中盤戦へと入ってゆくNeXX
世界選手権。第6戦以降は第12戦まで7戦続くヨーロッパラウンドへ突入だ。
第6戦イギリスを皮切りに第7戦フランス、第8戦イタリア、第9戦オランダまでは
西欧ラウンド、そして第10戦スウェーデン以降は第11戦チェコ、第12戦ルーマ
ニアと、北・東欧ラウンドとなる。ヨーロッパラウンドは第12戦ルーマニアを除い
た6戦がパーマネントサーキットでのレース。ルーマニアのみが市街地での開催とな
る。しかも第9戦オランダから第11戦チェコまでは、低速テクニカルトラックでの
3連戦。ハイスピードサーキットでの3連戦あり、抜きどころのないミッキーマウス
サーキットでの3連戦あり、そして最後を飾るのは市街地の高速サーキットと、これ
までとは性格の違う難所が数多く待ち受けている。選手権全18戦の趨勢を大きく左
右するのが、このヨーロッパラウンドだ。
第5戦終了時点で昨年のディフェンディングチャンピオン、バトラーがリードしてい
た選手権だが、ヨーロッパラウンドの7戦を経過した後はどうなっているだろうか?
昨季2位以下で終えたラムダ、ラスムッセン、ファングなどの有力勢は? 開幕戦で
新参チームアントネッティに初優勝をプレゼントしたロッソは? 日本期待の日向俊
郎は? はたまた未知の実力者が台頭しているだろうか?
今回は第6戦~第12戦までのヨーロッパラウンド全戦を振り返ってみたい。また今
号も選手権の行方だけでなく、来季へ向けたストーブリーグ情報や、NeXXを取り
巻く様々な動きもお伝えする。今、世界で最も注目を浴びるレースカテゴリの、最新
情報をお伝えするNeXXteam Press、存分にお楽しみあれ!!

 

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■レースリポート

◇第6戦 イギリスGP ブランズハッチ・サーキット

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PP:ルドルフ・マイネ(ピットブル)

伝統のオールドコースで行われたイギリスGPは、ポイントリーダーのバトラーが優
勝した。バトラーは予選2番手からのスタート、しかしPPスタートのマイネを抑え
トップでレースを展開。3番手スタートのラムダが、ペースの上がらないマイネの前
に出てからは、バトラーとラムダのマッチレースとなる。
序盤を過ぎると雨が降り出し、レースはウェットコンディションとなる。後方では雨
の餌食になるマシンが続出するなかで、レースは終始バトラーとラムダの一騎打ちの
様相。途中ピット作業で順位が入れ替わるも、中盤でバトラーが再びトップを奪いか
えし優勝。『雨のバトラー』の異名をいかんなく発揮し、バトラーが今季2勝目をあ
げた。これまで散々トラブルに泣かされてきたラムダが、今季2度目の完走で2位表
彰台。PPのマイネが3位、マルケーナスが4位と、ピットブル、マーキュリー勢の
上位独占となった。

優勝:アレックス・バトラー(マーキュリー)
2位:ニコ・ラムダ(ピットブル)
3位:ルドルフ・マイネ(ピットブル)


◇第7戦 フランスGP ポールリカール・サーキット

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PP:ニコ・ラムダ(ピットブル)

欧州高速3連戦の2戦目は、カレンダー随一のアベレージスピードを誇る超高速トラ
ック、ポールリカールでのフランスGP。高速パッケージのピットブル、ラムダが今
季4度目のPPを獲得した。快晴のもと行われたレースは序盤、SLOのラ・ポルタ
が先頭に立つ展開。しかし早い段階でラムダがトップを奪い返すと、徐々に一人旅状
態となる。一方ポイントリーダーのバトラーは、序盤の接触で緊急ピットインを余儀
なくされ、ポイント圏内から脱落してしまう。
レースはセーフティカーが3回出動する荒れた展開に。途中エヴァー・グラハムのバ
ーンズが、NeXX初優勝を目指しトップを快走するが、ラムダは3度のセーフティ
カー出動を巧みに利用し、タイヤをいたわり1ストップ作戦へと切り替える。
レースは抜群の戦略性を発揮したラムダが今季2勝目。序盤大きく離されていたバト
ラーとのポイント差を17まで詰めた。2位には後半猛然と追い上げたファング、一
時トップを快走したバーンズが3位に入った。

優勝:ニコ・ラムダ(ピットブル)
2位:デイヴィス・ファング(クラークソン)
3位:アレン・バーンズ(エヴァー・グラハム)


◇第8戦 イタリアGP ムジェロ・サーキット

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PP:ミケーネ・ポルボローネ(リナルディ)

カレンダー随一と言っても良い高速テクニカルトラック、ムジェロでのイタリアGP
は地元の雄が躍動した。予選PPはなんとリナルディのポルボローネ。予選全セッシ
ョンでトップ3に入り、見事初PPを獲得した。ポルボローネはスタートも決め、序
盤から後続を引き離しにかかる。かたや2番手スタートのラムダ、4番手スタートの
バトラーはともに1ストップを選択しており序盤は様子見。
しかし後続の有力勢が静観している間にも、ポルボローネは快調に先頭を行く。中盤
タイヤ交換でラムダにトップを明け渡すものの、セオリー通りのタイヤチョイスで戦
ポルボローネは、すぐにラムダに追いつきトップを奪う。またラムダと同じ1スト
ップ作戦のバトラーは、2セット目のハードが合わずに苦戦。下位に沈んでしまった。
レースは地元イタリアのポルボローネが見事なポールトゥウィン。リナルディに初優
勝をもたらした。一方で選手権を争うラムダは3位、ランキングトップのバトラーは
なんと8位に沈み、バトラーとラムダの差は6ポイントまで縮まった。

優勝:ミケーネ・ポルボローネ(リナルディ)
2位:デイヴィス・ファング(クラークソン)
3位:ニコ・ラムダ(ピットブル)


◇第9戦 オランダGP TTサーキット・アッセン

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PP:デイヴィス・ファング(クラークソン)

今季からカレンダーインしたオランダGP。シーズンはここアッセンから、第11戦
ブルノまで低速テクニカルサーキットが続く3連戦だ。PPは昨季、スウェーデン
低速コースでのマシンの戦闘力不足に戦意喪失し、レースをやめてしまったファング
が獲得。苦手な低速コースでも、マシンにムチ打ち最速ラップをたたき出した。
心配された「ダッチ・ウェザー」は鳴りを潜め、終始快晴で行われたレースはスター
トでファングが飛び出す。2番手ラムダを巧みに抑え込むファング、ラムダはタイヤ
交換のタイミングをずらし徐々にファングを追い詰める。一進一退の攻防だ。一方ポ
イントリーダーのバトラーは予選で22番手に沈み、ソフトタイヤで追い上げを図る
も後方に封じ込められてしまう。
レースは中盤でついにラムダがファングを捉えトップに立つ。ラムダにかわされたフ
ァングはペースを維持できず、表彰台圏内から脱落してしまう。レースは後半一気に
セーフティリードを築いたラムダが今季3勝目。バトラーがポイント圏外でレースを
終えたため、ここにきてラムダがバトラーを逆転、19ポイントリードで選手権のト
ップに立った。

優勝:ニコ・ラムダ(ピットブル)
2位:ビル・リヴィエール(マルドゥーク)
3位:アレン・バーンズ(エヴァー・グラハム)


◇第10戦 スウェーデンGP アンデルストープ・サーキット

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PP:ニコ・ラムダ(ピットブル)

森の中のオールドコースで行われるスウェーデンGP、予選PPはまたもラムダが獲
得。ラムダは10戦中5戦でPPと、『予選番長』の名をほしいままにする。かたや
バトラーは13番手に沈む、バトラーは完全に第7戦以降、リズムが狂ってしまった
ようだ。
予選はくもりだったが決勝は雨、レースはウェットコンディションで行われた。この
レースで輝いたのは二人の新鋭、リヴィエールとカレッジである。まずスタートでは
フロントローカレッジが、ラムダのハナを叩きトップに立つ。カレッジはその後レー
ス前半をトップで引っ張る。また5番手スタートのリヴィエールも、滑る路面をもの
ともせずにペースアップ。トップ争いに加わってゆく。一方で選手権をリードするラ
ムダはリスクをおかさずポジションキープ、しかし雨が得意なバトラーは果敢に前を
うかがい、なんと接触事故に巻き込まれてしまう。レースは中盤戦、ミッションにマ
イナ―トラブルが発生したカレッジを、リヴィエールが抜き去りそのままトップでフ
ィニッシュ。NeXX初優勝を達成した。ラムダは結局7位フィニッシュ、ランキン
グ2位バトラーはリタイヤしその差は28ポイント差まで拡がってしまった。

優勝:ビル・リヴィエール(マルドゥーク)
2位:ファン・カレッジ(ガジャック)
3位:日向 俊郎(トライアンフ


◇第11戦 チェコGP ブルノ・サーキット

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PP:スティラノ・シエナ(リナルディ)

『欧州低速ラウンド』3連戦の最後は、カレンダー中最もアベレージスピードの低い
ミッキーマウスサーキット、ブルノで行われるチェコGPだ。ここでPPを獲得した
のはなんとリナルディのシエナ、2番手にはチャップマン、3番手日向と、低速コー
スの得意な面々が前方に並ぶ。一方選手権を争う面々はラムダ13番手、バトラー1
6番手、ファング17番手と後方からのレースとなった。
PPのシエナが序盤で燃圧トラブルにより早々と姿を消し、前半はチャップマンが引
っ張る展開。日向、バーンズ、ロッソが追いかけるが、チャップマンは2スティント
目のハードタイヤで苦戦。中盤にはロッソにトップを明け渡す。中盤に2度セーフテ
ィカーが出たレース、バトラーはこれを利してポイント圏内に浮上する。一方ラムダ
は中盤で接触し、このダメージがもとで終盤に単独スピン。結局マシンを停めリタイ
ヤを喫してしまう。
レースは中盤以降ロッソが引っ張るが、セーフティカーを利してオールソフト作戦を
取った日向が終盤戦に先頭に立ち、そのまま優勝。今季初優勝を飾った。選手権を争
う面々はバトラーが5位入賞したのに対し、ラムダはリタイヤ、ファングは14番手
と精彩を欠いた。

優勝:日向 俊郎(トライアンフ
2位:アレンザンダー・ロッソ(アントネッティ
3位:セドリック・タンデイ(ガジャック)


◇第12戦 ルーマニアGP ブカレストリンク(市街地)

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PP:ジャッキー・グーデリアン(マルドゥーク)

全7戦に及んだ『ヨーロッパラウンド』の最終戦がこのルーマニアGP。欧州戦線唯
一の市街地戦は、グーデリアンがPPを獲得する波乱の予選。しかし選手権を争う面
々はしっかりとその後ろに続く。ハーフウェットでスタートしたレースは、3番手ス
タートのバトラーが飛び出して引っ張る展開に。ラムダも3番手で追うが、雨が苦手
なPPスタートのグーデリアンは徐々に後退してゆく。レースは序盤で雨が上がるも、
レコードラインが浮き始めた頃にまた降雨という展開。選手権をリードするラムダは
リスクを冒すのを避け天候に合わせてタイヤを交換するも、バトラーは再度の降雨時
にタイヤ交換せずスリックでステイアウト。後続に対して大きなマージンを築く。
対して序盤バトラーを2番手で追っていたファングは、タイヤ交換のタイミングを誤
り8番手まで後退。かわって今季は開幕戦以降表彰台に上がっていなかったラスムッ
センが浮上、ラムダと激しい2番手争いを展開する。
目まぐるしく天候が変わったレースは、途中のハーフウェットをスリックで粘ったバ
トラーが第6戦イギリス以来久々の3勝目。ポイントリーダーのラムダは3番手に
とどまり、2位にはラスムッセンが入った。これで一時は28まで開いたラムダとバ
トラーのポイント差は8に縮まった。

優勝:アレックス・バトラー(マーキュリー)
2位;ケリー・ラスムッセン(ノルディック)
3位:ニコ・ラムダ(ピットブル)

◇第12戦終了時のドライバーズ
ランキング・トップ10

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◇第12戦終了時のチームポイントランキング・トップ6

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■NeXX Topix

◇4thシーズンからターボ導入決定!!NeXXの新エンジンフォーマット☆

NeXXでは現在、再生可能エネルギーにより水を電気分解することによって生成さ
れた液体水素燃料を使った、いわゆる『水素エンジン』を使用。これと制動エネルギ
ーを利用した回生機構を使ったハイブリッドシステムを組み合わせ、競技車の動力と
して使用している。しかしこの程フランスのTATOLをはじめとした燃料メーカー
が、産業レベルで発生する余剰水素とCO2を合体させて生成する『e-fuel』
のレース燃料としての実用化に成功した。これによりNeXXの使用エンジンは早け
れば4thシーズンより、この『e-fuel』を燃料として使用することになる。
とはいってもこの『e-fuel』のメリットは、従来の内燃機関の仕組みをそのま
ま適用できることにあり、燃料が変わったとてエンジン形式が大きく変わるわけでは
ない。しかしNeXXは、この究極のエコ燃料というべき『e-fuel』に関して
も、レースでの消費量をさらに抑え込まなければ、環境負荷対策として十分ではない
と考えた。そこで発議されたのがエンジンのターボ化、そしてハイブリッドシステム
との結合である。現在F1やインディカー、WECなど世界のトップカテゴリでもタ
ーボ+ハイブリッドのシステムは広く取り入れられているが、他カテゴリはガソリン
あるいはバイオエタノールなどの燃料を使用している。しかしNeXXは最も環境負
荷の無いモーターレースを目指し、『水素ハイブリッドターボ』システムの導入を決
断した。いわゆるF1でいう『パワーユニット』の燃料を水素に置き換えたものだ。
現在エンジンを供給するメーカーにはすでにこの旨は通達されており、各社4thシ
ーズンでの投入に向け開発が続けられているという。現在のNeXXの動力機構は従
来のレシプロエンジンと同構造のもので、各メーカー気筒数に違いはあれど一様に3
LのV型エンジンを採用している。しかし今後は総排気量、1気筒あたりの排気量に
上限が設けられ、ブレーキングエネルギーによる回生機構と組み合わせたユニットの
使用が義務付けられることになる。ここで4thシーズンから適用される『水素ハイ
ブリッドターボエンジン』について、概要にざっくりと触れておこう。

  『水素ハイブリッドターボエンジン規則』
  ・1気筒あたりの排気量は最大400ccまで
  ・総排気量上限は2.4Lとする
  ・気筒数上限は6とする
  ・上記を満たせばエンジン形式は問わず
  ・ロータリーエンジンの場合は単室容積600cc以下×4ローターまで
  ・過給機は2つまでとする
  ・これまで通りブレーキによる回生機構を搭載するf:id:pontsuka0729:20210510222845j:plain
     ★4thシーズン以降の『水素ハイブリッドPU』の構造。写真はV6シングルターボのもの

◇4thシーズンの新フォーマットに合わせ、エンジンメーカーの
           参戦枠上限を撤廃!!エンジン開発戦争は群雄割拠に!?

FNOは早ければ4thシーズンから、エンジンサプライヤーの参戦枠を撤廃すると
いう。これにより、参戦メーカーは大幅に増えることが予想される。なかには1チー
ムへの独占供給体制をとるメーカーも出てくるだろう。3rdシーズンまでは、コン
ペティションとしてのバランスを考慮し参戦メーカー数を制限してきたが、水素社会
へのコミットを目指すメーカーは確実に増えている。水素社会への貢献を目指す水素
協議会をバックボーンに持つNeXXは、水素を利用した技術開発の場でなければな
らない。それゆえFNOは4thシーズン以降、エンジンメーカーの参戦上限の撤廃
という決断を下した。現在各国の自動車メーカーが参戦の可能性を示しているが、N
eXXに興味を示しているのは自動車業界のみにとどまらない。
現在既に日本の発動機メーカーとして、自動車をはじめとする総合モビリティカンパ
ニー『SUGO』が、カムイと技術提携し3rdシーズンからの参戦を果たすことが
発表されている。更に主に航空機やスノーモービルなどで有名なカナダのコングロマ
リット企業、ロンバルディエなども興味を示しており、自社の主力産業である航空機
だけではなく、鉄道事業などの水素動力の開発にも注力する同社は、レースエンジン
開発によって得られる技術を多方面にフィードバックできると考えている。
そういった意味では4thシーズン以降のNeXXにはもしかすると、自動車企業以
外のメーカーも参戦しているかもしれない。すでにNeXXは水素技術で社会貢献を
目指す企業の、大きな実験場として注目を集めているのだ。
現時点で参戦の噂がある企業はドイツのガウディ、イタリアのマテラツィ、スウェー
デンのボルゴ、日本のフジなどの自動車メーカー、フィルモア、ロスワーズなどのエ
ンジンチューナー、そしてカナダのロンバルディエ、中国の瀋陽などの航空機エンジ
ンメーカーなど多岐にわたる。
はたして4thシーズン以降のNeXXは、どのような企業が参戦しているのか?今
後の展開に注目したい!!

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★NeXX参入を視野に入れるメーカーは、自動車メーカーだけではない。カナダのロンバルディエ社は
 航空機エンジンやスノーモービルなど幅広いモビリティに携わるコングロマリットだ。

◇4thシーズンから新メーカー参入!!アメリカの巨星デンプシーが参戦発表!!

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★4thシーズンからの参入が正式決定した、アメリモータースポーツの雄『デンプシー』。
写真左は同社会長のドジャー・デンプシー。写真右はインディカー、デンプシーチームのマシン。

NeXXはここまでシャシーサプライヤーをシグマテック、レラの2社としてきたが
同2社が新設計シャシーを投入すると合意した4thシーズンから、サプライヤー
3社に増えることがこの度決定した。アメリカンモータースポーツの巨星『デンプシ
ー』が、3つ目のシャシーサプライヤーとして4thシーズンより、NeXXに参戦
することが発表されたのだ。
今季序盤戦、ポールリカールでのテストウィークに渡米していたデイトン・ビル運営
統括部長は、デンプシー・グループと初交渉を持ち、その後も4度にわたる交渉を展
開。このたび4thシーズンからの供給契約を締結したと発表した。
5度目の交渉では同社の創設者にして現グループ会長の、ドジャー・デンプシーとも
会合を持ったことをあかしたデイトン・ビル運営統括部長は、4thシーズンから1
0年間のサプライヤー契約を締結したことを発表、今後の永続的な協力関係について
も合意を得たと満足げに語った。
「我々は4月以降実に5度も渡米し、デンプシー社と交渉を重ねた。そしてこの度つ
いにアメリカのモータースポーツの象徴ともいえる存在との、協力関係を結ぶことに
成功した。これはNeXXにとってだけではなく、モータースポーツ界にとっても世
界の自動車産業にとっても非常に大きな意味のあることで、大きな意義を持つ契約だ。
我々は今後のサステナブルな産業と娯楽提供について、業界の大きな期待を背負って
いるとともに大きな使命も背負っている。そして本当の意味での『水素社会』の実現
のためには、欧州の自動車文化と米国の自動車文化の大きな意味での融合が不可欠だ。
そういった意味で今回の契約締結には大きな意味があるし、今後世界が一つの大きな
目標に向かって突き進む意味で、今回の契約は大きな価値がある。
私は4thシーズンが今から待ちきれない。すでにアントネッティシェブロンとい
う米国の雄が活躍している我々のカテゴリに、デンプシー社の参戦は不可欠なピース
だ。デンプシーの参戦は、このカテゴリをさらなる高みへと導いてくれるだろう。」
とはデイトン・ビルの言葉。ビルならずとも、デンプシーの参戦には我々ファンの期
待も大きく膨らむ。4thシーズンが今から待ちきれない!!


◇ヨコスカ、第13戦アゼルバイジャンから新コンパウンドのハードタイヤ投入へ

ヨコスカがついに、第13戦アゼルバイジャンGPより新型ハードタイヤを投入する。
ヨコスカは第11戦チェコGPの舞台ブルノサーキットのパドックでプレスリリース
を出し、第13戦よりヨコスカユーザー全チームへ新型コンパウンドを採用したハー
ドタイヤの供給を開始する旨を通達した。
ヨコスカタイヤは、ライバルであるフランスのヴァシュロンタイヤに比べ、グリップ
で劣るものの耐久性では大きなアドバンテージがあり、昨季はシーズン通して6勝と
まずまず戦える手ごたえを得ていた。しかし予選方式がプレクオリファイ(PQ)を
含む4セッションでのノックアウト方式へ変更された今季は、ドライバーには予選で
のタイヤ戦略での駆け引きが求められ、タイヤそのものにはスプリント性能がより求
められるようになった。そこで大きく影響を受けたのがヨコスカのハードタイヤ。こ
れまでヨコスカのハードはレースでの耐久力は群を抜いているものの、熱の入りが遅
く作動温度領域が高くて狭い、そしてそもそものコンパウンドが固く、低グリップで
スプリント走行に向いていなかった。今季ヨコスカ勢は総じて予選で苦戦を強いられ、
決勝での勝利も未だ1勝のみ。ユーザーからは早急な改善を望む声が上がっていた。
ヨコスカの開発チーフ玉島裕久氏は「今季中に供給にこぎつけられてホッとしていま
す。第3戦ごろから各チームより要求が上がっていて、実際予選で各チームが苦しん
でいるのはわかっていました。我々は開幕当初今季のタイヤのコンセプトとして、ソ
フトはスプリント、ハードはエンデュランスという認識でタイヤを作っていました。
だけど現状のハードタイヤでは今季の予選を戦うのが難しくて、決勝の戦略に影響を
およぼしてしまう。これではトータルで見たときにレースを戦えない。今回はかなり
根詰めましたね(苦笑)。日本のファクトリーも大変でした。」と語る。
「スプリント性能はかなり改善されました。コンパウンドは今までより柔らかめのも
のにし、これまで115ー140度だった作動温度領域を105ー135度まで下げ、
使いはじめのフィーリングも今までより柔らかくなったはずです。それにより全体的
にややライフが短くなりました。なるべく『ガケ』を感じさせないよう仕上げたつも
りですが、これまでのハードよりは性能劣化が早く、段階的にグリップ低下が訪れる
ような特性のタイヤになりました。それでも各チームやはり、予選を戦えないと意味
がないという意見が多くこういうタイヤになりました。」
ヨコスカは第12戦ルーマニアGPの前に、ホッケンハイムで行われた3回目の合同
テストにこのタイヤを持ち込み、各チーム協力のもと最終テストをした。この新型ハ
ードタイヤの投入で、ヨコスカ勢は後半戦での巻き返しが可能になるか? まずは第
13戦アゼルバイジャンGPの予選に注目だ。

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★ユーザーの切実な声に応え、新コンパウンドの年内投入を決断したヨコスカ。写真右は開発チーフの玉

 島裕久氏。

 

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■PADDOCK PRESS

◇3rdシーズンからTATOLが選手権のタイトルスポンサーに!!

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★『e-Fuel』の開発で主導的な立場をとり、来季からNeXXのタイトルスポンサーとなることが決定した
 『TATOL』社。

NeXXはここまで、選手権シリーズとしては大きなタイトルスポンサーを持たず、
各GPにおける個別のタイトルスポンサーを冠してシリーズを展開してきた。しかし
来季からはフランスの国際石油資本であるTATOLが、タイトルスポンサーとなる
ことがこのほど公式に発表された。
TATOLは2017年のダボス会議にて発足しNeXXのバックボーンともなって
いる、『水素協議会』に名を連ねるステアリング・メンバーで、今後導入されるエコ
燃料『e-fuel』の開発において主導的な立場をとってきた。現在同じく協議会
のステアリング・メンバーとしてNeXXに参戦するロイヤルダッチ・シェルは、シ
ェブロンとの協力関係を結んでいるが、TATOLはエンジンメーカーとの協力関係
にとどまらず今後NeXX自体との協力関係を構築してゆくことになる。今後はNe
XXの技術部と協力し、様々な実験テストや新燃料の開発、また参戦各社へのサンプ
ルデータの提供などをおこなってゆくことになるという。
今後の水素社会の構築過程において、『スーパーメジャー』と呼ばれるエネルギー資
本の6社の中で、主導的な立場をとり続けたいTATOLの思惑が見え隠れするが、
現状協力関係にあるエンジンメーカーのピジョンが、NeXXではいささか苦戦気味
であることも影響しているか。いずれにしても、世界的企業が水素社会の構築、推進
に大きく寄与することは喜ばしいことだ。ちなみに来季からの選手権のシリーズ名は
『TATOL Formula NeXXtream World Champio
nship』となる。


◇ピットブル、第13戦アゼルバイジャンからボナパルトの起用を発表!!

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★かねてから噂のあったドライバー人事が現実に・・・
 写真左はついにアゼルバイジャンからピットブルのステアリングを握ることとなったボナパルト
 写真右、リザーブ降格となったマイネは、チーム内において難しい立場に。来季は移籍確実か・・・

かねてから囁かれていた噂が、ついに現実のものとなった。ピットブルチームがこの
程、第12戦ルーマニアGPのパドックで記者会見を行い、第13戦アゼルバイジャ
ンGPからフランツ・ボナパルトを起用することを正式に発表したのだ。
ラインナップから外れるのはもちろん、セカンドシートに座るドイツ人ルドルフ・マ
イネだ。マイネは第12戦を最後に、リザーブドライバーへと格下げとなる。
マイネは今年33歳でレーシングドライバーとしてはベテランの域に入るが、下積み
が長く30歳でF1デビュー。しかも9分9厘まで決定していたメ〇セデスチームと
の契約を、一方的に先方より破棄されてしまい、中堅チームで2年間を過ごした経歴
をもつ。昨季NeXXの開幕シーズンにピットブルより参戦、PP3回優勝1回を記
録しチームのタイトル獲得に貢献したが、今季は開幕戦含む2度の予選落ちを経験。
PP1回3位1回を記録するも精彩を欠き、チームの評価も高くはなかった。
一方マイネのかわりにセカンドシートに座るボナパルトは、今年25歳のフランス人。
F1でも若くして活躍し、その滑らかな走りとタイヤマネジメント含めた抜群の戦略
眼に定評がある。チームのボナパルトに対する期待値は非常に高く、シーズン序盤の
ポールリカールのテストでは、テストメニューの6割を彼に託したほど信頼も厚い。
選手権をリードするこの状況でNo.2ドライバーをチェンジするという決断をした
ピットブルだが、このことからもボナパルトへの評価の高さがうかがえる。
一方で期待値を下回るドライバーに対しては、見切りをつけるのが速いことでも知ら
れるピットブルチーム。精彩を欠くセカンドドライバーの降格には、何らの躊躇もな
かったようだ。
このままボナパルトが活躍すれば、来季は開幕からボナパルトがピットブルのシート
に座る可能性は高い。一方のマイネは唯一の移籍先候補として、カムイエンジンを擁
するトライアンフが挙げられている。F1でともに戦ったカムイの伝手に期待したい
マイネだが、トライアンフもセカンドライバー候補としては他に何人かの噂が上がっ
ており確実に移籍できるとは限らない。
F1で冷や飯を食い、NeXXで成功をつかみかけた苦労人の将来が、ここにきて不
透明な状況になってきた。果たして来季、マイネが座るシートはあるのだろうか?

プルトン、3rdシーズンカムイエンジン使用で合意!
             カムイの新バッジネームは『SUGO・カムイ』に!!

開幕からここまで2シーズン、フランスのピジョンと組んでNeXXを戦ってきたプ
ルトンチームだが、来季3rdシーズンから日本のカムイエンジンを使用することが
発表された。
マレーシアの自動車メーカーが母体のプルトンは、これまで自社の業務提携先として
交渉を進めていたピジョンと、NeXXでもパートナーシップを築いていたが、2シ
―ズン目の今季も苦戦が続いている。また以前もお伝えしたとおりプルトンとピジョ
ンの業務提携がご破算となってしまい、親会社のペトロナスピジョンエンジンの継
続使用に難色を示したこと、そしてそのペトロナスがNeXXにおいてカムイへの供
給契約を結んでいることから、来季からのカムイエンジンの使用が噂されていた。
また一方のカムイは、国内の発動機開発を中心としたモビリティ企業大手『SUGO』
と技術提携を発表。アジア圏を中心に供給先拡大を目指していた。これでカムイは来
トライアンフ、リナルディ、そしてプルトンの3チームへとエンジンを供給するこ
とになる。
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★SUGOと組んで体制強化のカムイは来季、3チームへの供給体制に。

記者発表は第12戦ルーマニアGP、金曜フリー走行時のパドックで行われた。会見
にはプルトンのチームプリンシパル、コニー・エルナンデスに加え監督のティム・ウ
ォーキング、マネージャーのゴードン・メッセンジャーが列席し、カムイ側からは最
高責任者の神麗華氏、そして来季SUGOよりカムイチームに派遣される開発責任者
の牧伸介氏が同席。ともに来季への見通しを語った。
「この度我々は、我々の明るい未来を予見させるファクターとして、非常に大きな契
約を手に入れた。アジア圏におけるこの文化の先駆者である、日本のエンジンメーカ
ーとの契約は、我々の想像力を大きく掻き立てるものだ。ここまで我々はこのカテゴ
リにおいてやや苦戦しているが、この新しい契約によって我々の未来が好転するであ
ろうことを私は確信している。カムイをプルトンチームの新しい『心臓』として迎え
入れられることを嬉しく思う。」とはエルナンデスの言葉。
対してカムイの最高責任者、神麗華嬢は「我々は『SUGO』というビッグカンパニ
ーとのパートナーシップを得、さらに既存の2チームに続きプルトンを3つ目の供給
先とすることができ、非常に嬉しく思っています。世界は水素社会へ向けて大きく動
いており、その中心には我々がいます。世界のモーターレーシングは常に、アジアに
対してその重い扉を閉ざしてきましたが、我々はリナルディという理解ある欧州チー
ムと協力関係を結ぶことができ、さらにアジア圏でのパートナーシップを拡大してい
ます。プルトンと我々の新しい関係は、アジアが自動車文化においても重要な存在に
なることを、世界へアピールすることになります。我々は今後世界の自動車産業にお
いて重要な存在となるでしょう。プルトンとはともにアジア経済圏を盛り上げてゆく
存在となることを期待しますわ。」と語った。
さらに麗香嬢は「来季我々は、新たに『SUGO・カムイ』というバッジネームでN
eXXに参戦します。我々のさらなる活躍にどうぞご期待ください。」と語り、来季
からはパートナーの『SUGO』の名をエンジンに冠することを発表。第8戦イタリ
アではリナルディのポルボローネが優勝し、今季も勝利を挙げたカムイ。来季はさら
なる飛躍を誓いプルトンとのパートナーシップを開始する。


◇チャイナドラゴン、来季チーム名を『ドラゴンフォース・チャイナ』
         へ変更!! シャシー、エンジンサプライヤーの変更もある??

チャイナドラゴン・チームの総帥李舜英は、第11戦チェコGP終了後の8月第2週
に滞在先のハイデルベルグのホテルで記者会見を行い、来季からチーム名を『ドラゴ
ンフォース・チャイナ・レーシング』へと変更することを発表した。
来季から世界的映画スターのジャッキー・チュン氏(無天老師様ではない)との共同
オーナー体制となる同チームだが、李氏は直接ジャッキー側と会談を持ち来季からの
チーム名変更を決定したという。
1週間後のホッケンハイム合同テストへ参加するため、ハイデルベルク市内のホテル
に滞在していた李氏は、記者会見で来季への抱負を語った。「皆さんもご存じの通り
来季から我々は、チームの共同経営者としてレジェンドアクターのジャッキー・チュ
ンを迎えます。そして来季からの体制変更にあたり、我々はチーム名を変更し新たな
決意で3rdシーズンに臨むことになりました。我々中国人は「龍の子孫」であると
いう民族的なアイデンティティを持っています。そして龍はかつて、皇帝の象徴でも
ありました。我々は文字通りの昇龍のごとく、NeXXの頂点に昇り詰めるという野
望を持っています。今回の体制変更が我々を頂点へと導く一助となるよう、大いなる
願いを込めてチーム名を『ドラゴンフォース・チャイナ・レーシング』へと変更する
ことを発表します。」
また李氏は、シーズン終了後に改めてジャッキー・チュン氏同席の記者会見を開くこ
ともプレスに約束をし、来季以降のサプライヤー見直しの可能性についても言及した。
「2ndシーズンも終盤戦に入り、残念ながら我々は昨季よりやや苦戦を強いられて
います。来季からの再飛躍を目指し、今季の残りの時間を使って様々なファクターの
見直しを図ります。もしかすると我々は来季、今季とは違うパッケージを手にしてい
るかもしれません。いずれにしても、来季の詳細なチーム体制が決まり次第また、改
めて皆さんの前で発表する場を設けたいと思います。その時には、未だ皆さんの前に
姿を現さない恥ずかしがり屋のカンフーファイターも、私の隣に座っていることでし
ょう。」と会場の笑いを誘った。今季は李氏の語る通り、昨年に比べるとやや苦戦し
ている感があるチャイナドラゴン。この体制変更で来季から大きく飛躍できるか?


◇ドイツのコンストラクター『シュトロゼック』、ロムニ・ダキア買収を画策!!

ドイツのレーシングコンストラクター『シュトロゼック』が、ロムニ・ダキアの買収
を画策していることがわかった。この買収話は第10戦スウェーデンGP終了後に明
らかになったもので、早ければ3rdシーズンの開幕までには買収手続きが完了する
ものと見られている。
シュトロゼックとはドイツのモビリティ企業『シュトロブラムス』創業者、ウォルフ
ガング・ハイネルの息子であるフランツ・ハイネル率いる新興レーシングコンストラ
クター。シュトロゼックはレーシングドライバーであったハイネルが、引退後に立ち
あげたプロジェクトで、近年ではWECのLMH(ハイパーカー)クラスをはじめ様
々なカテゴリで活躍。今回ハイネルは、自身の野望である「トップフォーミュラ進出」
の夢を叶えるべく、ロムニ・ダキア買収に動いたという。
ロムニ・ダキアルーマニアの実業家ミルセア・トゥドールが立ち上げ、1stシー
ズンでは第16戦日本GPで優勝を果たした。しかしシーズンを通しては、年間ラン
キングは12チーム中10位と苦戦した。2ndシーズンもここまで12戦を終え1
4位と苦戦を知られている。運営規模はプライベーターとしての域を出ず、運営予算
も他チームに比べると決して多くはない。また、オーナー自身がレースに関しては素
人で、チームとしての戦える組織づくりにも苦労していた感がある。今回シュトロゼ
ックはロムニ・ダキア側に対し、チームの完全買収ではなく共同運営体制への移行を
提案しているといい、レーシングチームとしてのノウハウの提供のかわりに技術的フ
ィードバックを得ることが参画の目的だという。
ロムニ・ダキア側はこの話には前向きに応じているといい、うまくまとまれば来季に
は新体制での参戦となる。シュトロゼックがどの程度チーム運営に関与するのか、ロ
ムニ・ダキア側に提示された条件は明らかにされていないが、チーム運営に関するノ
ウハウを提供する旨の話が進んでいるようであれば、シュトロゼック側はかなり踏み
込んだところまでチームの運営方針に関与してくる可能性が高い。
3rdシーズンを迎えるにあたり各チームが、本格的に今後の長期的戦略を練り直し
ている今。今後もこのような話が他チームから出てくる可能性もある。ひとまずロム
ニ・ダキアの今後の動きに注目したい。

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★シュトロゼックのボス、フランツ・ハイネル氏はロムニ・ダキアの買収という手段でNeXX進出を画策。
 買収話にはロムニ・ダキア側も乗り気だというがはたして・・・


◇ティルクム、クラークソンを離脱!!クラークソンは
         第13戦アゼルバイジャン以降リザーブのソリスを起用!!

全18戦の長丁場の選手権ともなると、シーズン終了を待たずしてドライバー交代を
行うチームもちらほら見受けられるNeXX。昨季はエヴァー・グラハムをはじめプ
ルトン、チャイナドラゴンなどがシーズン終盤で2ndドライバーを交代させ、今季
はすでにピットブルがマイネにかわりボナパルトを起用する旨を発表しているが、ク
ラークソンも2ndドライバーを交代させるようだ。
クラークソンは第11戦チェコGPのパドックで、第13戦アゼルバイジャンGPか
ら2ndドライバーを交代する旨のプレスリリースを発行した。クラークソンは第1
3戦以降、セカンドシートにリザーブドライバーのイギリス人、リンド・ソリスを起
用するという。これにより、第12戦まで2ndシートに座っていたアリエル・ティ
ルクムがリザーブにまわることになるのだが、ティルクムはそのままクラークソンと
の契約を解除。チームを離脱するという。
23歳のイギリス人ティルクムは、過去にF3マカオGPを連覇した実力の持ち主だ
が、選手権3位につけるエースのデイヴィス・ファングに対し、1度の入賞4ポイン
トにとどまり実に6回の予選落ちを喫するなど、ここまでは当初の期待とはかけ離れ
た散々な戦績に終わっている。この惨状に業を煮やしたチーム側が、ティルクムとソ
リスの交代に踏み切ったようだ。しかし、ティルクムはチームの2ndドライバーに
対するサポート体制に大きな不満を抱いており、リザーブへの降格を良しとせずその
ままチームを離脱することを決め、契約を解除してしまった。
クラークソンがエースドライバーのファングと2ndドライバーに、明確な待遇差を
設けているという噂は、実は昨季から上がっている。昨季同チームの2ndシートで
参戦していたジョルディ・ヴァッセルが、ファングに大きな成績差をつけられたのは
チームから充分なサポートを受けていなかったからだと言われている。クラークソン
は昨季開幕前スポンサー交渉が思いのほか不調に終わり、当初の予定の2/3程度の
予算での運営を強いられていた。その為アップデートパーツの使用は全てファングに
優先権があるなど、明確な待遇差をつけざるを得なかったというのが実情だが、今季
もファング最優先のチーム体制は変わっていないようだ。今季NeXXを離脱したヴ
ァッセルが、F1で活躍しているのを見るとその噂もうなずける。また、今回のドラ
イバーチェンジに関して、クラークソン側が会見を開かずプレスリリースのみで発表
を済ませたことも、プレスのチーム体制への突っ込んだ指摘を回避する為だとの見方
が大勢を占め、クラークソン側のやり方はプレスの顰蹙を買っている。
若いソリスがGPデビューすることは喜ばしいが、クラークソンのチーム体制の実情
を知ると素直に喜べないのもまた人情。チームがこのままの体制を維持するならば、
あたら若い才能をまたNeXXから離脱させる要因となるかもしれない。かといって
チームがファング中心の体制を変革させることで、ファングの成績が伸び悩む状況に
なればそれはそれで問題だ。クラークソンは今チーム運営において、大きな岐路に立
たされている。

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★写真左、アゼルバイジャンからクラークソンのステアリングを握るリンド・ソリス。英国期待の若武者だ。
 写真右はルーマニアGPを最後にクラークソンから去るティルクム。戦績は散々だったがチームが彼を活か
 しきれなかったのもまた事実・・・


◇4thシーズンからドイツGP開催の噂!?
             シュトロゼック参戦ならルーマニアとの隔年開催か?

ルーマニア国籍のロムニ・ダキアチーム買収を画策している、ドイツのレーシングコ
ンストラクター『シュトロゼック』。もしこのシュトロゼックがロムニ・ダキアの買
収に成功した場合、4thシーズンからカレンダーにドイツGPが加わるかもしれな
い。かねてから開催候補の一つとしてFNOがリストアップしていた、ホッケンハイ
ムでのドイツGP開催計画が現実のものとなりそうだ。
シュトロゼック総帥のフランツ・ハイネルは、NeXXへの参戦が叶った場合地元ド
イツでのGP開催を、FNOに働きかけてゆくつもりのようで、AvD(ドイツ自動
車クラブ)と懇意であるハイネルは、マネージングディレクターのリュック・ライツ
・リンデルンとコンタクトを取り、NeXXドイツGP開催に向けて動いているとい
う。当のリンデルンもすでにFNOの主要人物と会談を持ったといい、現在F1など
主要選手権のカレンダーから外れているホッケンハイムでの開催を提案する用意があ
ると語る。
NeXXの興行面を取り仕切るFNOのマネージングディレクター、ハーディー・フ
ラッシュはこう語る。「シュトロゼック側とは何度か会談を持っているよ。彼らの今
後のNeXXへの様々なコミットメントについてね。彼らは我々のカテゴリに参戦し
たがっているし、そうなれば当然彼らは地元でGPを開催したいと願うだろう。彼ら
がいつどのような形で参戦するか現段階ではわからないが、自動車文化の創成期から
現代までこの業界において常に世界で最も重要な地位にある、ドイツのチームの参戦
はNeXXにとって大きな財産になるのは間違いない。そうなれば、ドイツGPの開
催は必須事項と言えるよ。」と語る。
「そうはいっても現段階ではほかにも、新しい開催地候補はいくつかあるし、現在の
全18戦というレース数は今後しばらく変更するつもりはない。もしドイツGPを開
催するならば当面は、どこかと入れ替えで隔年開催になるんじゃないかな? 例えば
オランダやルーマニアあたりとね。」と含みを持たせた。
現在ドイツGPはF1のカレンダーからも外れている状態、NeXXのカレンダーに
入ることになればドイツのレースファンには待ちに待った、久々の世界選手権開催と
なるだけに、この開催計画は喜ばしい話題だ。ロムニ・ダキアの買収話と連動しての
動きになるだけに、それぞれの今後の動きを注意深く見守っていきたい。

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★現在F1のカレンダーからも漏れている『ドイツGP』。ドイツのレースファンは、再びホッケンハイム
 フォーミュラの世界選手権が開催されるのを心待ちにしている。

 

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■Hot Stove League

1stシーズン終了後には目立った移籍劇なく2ndシーズンの開幕を迎えたNeX
X、しかし今季は序盤戦からストーブリーグがにぎやかだ。1stシーズンにアレン
ザンダー・ロッソの移籍以外に大きな動きのなかった移籍市場だが、2シーズン目を
迎えた今季は各チームともドライバーの実力の見極め時期を迎えており、さらに今季
から参戦チームが増えたことも影響し移籍市場は盛況だ。シーズンも終盤戦を迎え、
すでに2ndドライバーのシーズン中の交代を発表したチームもある。また、今季デ
ビューのNeXXルーキーには有望株が多く、来季以降の体制強化を画策するチーム
間での争奪戦も予想される。ここでは、現在パドックで飛び交っている移籍の噂を総
括し、その動向を探り来季のラインナップを予想してみようと思う。


★来季の予想布陣(◎:本命、確定 〇:有力候補 ▲:可能性有 
                 △:可能性薄 ×:大穴 ☆:希望的観測)

□ピットブル・エクストリーム・レーシング
 ◎No.1:ニコ・ラムダ(AUT) 
 ◎No.2:ミシェル・ボナパルト(FRA)

□マーキュリー・レーシング・オーガナイゼーション
 ◎No.1:アレックス・バトラー(IRL)
 ×No.2:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ×     ジョルディ・ヴァッセル(ENG)??

エヴァー・グラハム・レーシング 
 △No.1:アレン・バーンズ(AUS)??
 〇     カーティス・マルケーナス(AUS)??
 〇No.2:ジェストン・バロン(ENG)

トライアンフ・スクエアジャパン・レーシング
 ◎No.1:日向 俊郎(JPN)
 〇No.2:ルドルフ・マイネ(GER)??

アブラモビッチスタンフォード・レーシング
 〇No.1:ジョンブル・チャップマン(ENG)
 ▲No.2:フェリオ・デ・ランジェリス(ITA)??
 △     アレン・バーンズ(ASU)???

プルトン・オートスポーツ
 〇No.1:トゥーリ・ヴィックス(EST)
 ▲No.2:ジョルディ・ヴァッセル(ENG)??
 ☆     メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

□スクーデリア・リナルディ
 ◎No.1:ミケーネ・ポルボローネ(ITA)
 ◎No.2:スティラノ・シエナ(ITA)

□クラークソン&メイ・ハモンド・レーシング
 ▲No.1:デイヴィス・ファング(ENG)??
 △     ジェストン・バロン(ENG)??
 ×No.2:ジョルディ・ヴァッセル(ENG)??
 ×     リンド・ソリス(ENG)??

□ロムニ・ダキアオートスポーツ(シュトロゼック??)
 △No.1:ゾルタン・ゲラ(HUN)??
 ▲     シュテフェン・バロシュ(GER)??
 ×No.2:アレオ・ファーシマス(LUX)??
 ☆     メロディ・パトリシア・ノーマン(USA)??

ドラゴンフォース・チャイナレーシング
 ◎No.1:宋 昇龍
 ▲No.2:ジョリー・セプター(SAF)??
 ▲     ゾルタン・ゲラ(HUN)??

□ノルディック・モータースポーツ
 〇No.1:ケリー・ラスムッセン(DEN)??
 ▲     トニー・ペーダーセン(SWE)??
 ◎No.2:ミック・ハイデンフェルド(GER)

□サントス・ロコ・オリベイラ・レーシング
 ☆No.1:アンドレアス・サントス・フィリオ(POR)??
  ※ラ・ポルタは2nd限りで引退、アドバイザー就任の噂あり 
       アイウトン・フィリップス・ラ・ポルタ(BRA)??
  ※ラ・ポルタ引退の場合、サントス・フィリオがNo.1昇格か??
 ×No.2:TBA

アントネッティオートスポーツ
 ◎No.1:アレンザンダー・ロッソ(USA)
 〇No.2:ファン・カレッジ(FRA)??
 △     フェリオ・デ・ランジェリス(ITA)??
 ▲     ゾルタン・ゲラ(HUN)??

□マルドゥーク・レーシング・ドバイ
 ◎No.1:ビル・リヴィエール(CAN)
 〇No.2:ジャッキー・グーデリアン(USA)??
 ▲     ファン・カレッジ(FRA)??
 △     ゾルタン・ゲラ(HUN)??

□ガジャック・ルルーシュ・スポール
 〇No.1:セドリック・タンデイ(FRA)??
 ×     ヴィヴィエ・ピノーリ(FRA)??
 ☆     キャッシュ・サフィー(FRA)??
 ☆     ラモン・ゴーギャン(FRA)??
 ▲No.2:ファン・カレッジ(FRA)??
 △     カタル・アファル(MOL)??
 ×     フィエール・ガシュレー(FRA)??

        

◇有力ドライバーの動向は??

来季もタイトルを争うであろう有力ドライバーには、大きな移籍はなさそうだ。ラム
ダ、バトラー、ラスムッセン、そしてリヴィエールあたりはすでに残留が決定、もし
くは濃厚だ。やや動向が不透明なのはファングとバーンズ、そしてセプターあたりだ
が、気まぐれ自由人のファングもなんだかんだでクラークソンの居心地がよさそう。
ある程度好きに振舞える、よく言えば自由な家柄のチームだし、チームが誰を置いて
もファング最優先な体制なのも好影響。
問題はバーンズの去就か。『F1四天王』と呼ばれるF1王者経験者ながらここまで
未勝利のバーンズ、今季は昨年よりも活躍している印象はあるがF1王者としての実
力は出し切れていない。また、ここにきてマーキュリーがマルケーナスの放出をほの
めかしており、チーム側が将来性のある同郷のドライバーをエースに迎えるのではと
の憶測も飛んでいる。同じく将来性のあるバロンは残留を望まれているという噂、玉
突きでバーンズがはじき出される可能性は十分ある。
またチャイナドラゴンのセプターの去就も微妙な状況だ。昨季、今季と1勝ずつを記
録し、レース巧者ぶりも発揮しているが今季の走りには昨季ほどの速さは見られない。
また、チームの体制変更が去就にどう影響するかも未知数だ。今季の予選方式に苦戦
している様子も見て取れ、本人としても予選から勝負できるヴァシュロン勢への移籍
を画策しているとの噂も。バーンズやセプターが移籍するようなことになれば、チー
ム間のパワーバランスに大きく影響する可能性大だがはたして? 仮にもF1王者経
験者がNeXXからフェードアウトするような事態にはなってほしくはないが・・・


◇マーキュリーのセカンドシートには誰が座る??

これまでドライバーラインナップに一切言及してこなかったマーキュリーチームだが
ここにきてチーム関係者がマルケーナスの放出をほのめかす発言をし始めた。チーム
マネージャーのイアン・アンダーソンは「2シーズン続けて、大きな可能性とそれに
見合う力を持ちながらチームタイトルをみすみす逃すのは、看過できないね。二人の
ドライバーはよくやっているが・・・ それにしてもカーティス(マルケーナス)は
どうしてしまんだろうね? 我々は「8マン」など求めていないよ(マルケーナスの
8位入賞4回を皮肉って)。」と、露骨にマルケーナスの働きぶりへの不満を露わに
する。中盤にさしかかってバトラーの失速もあり、チームタイトルでトップをゆくピ
ットブルに水をあけられはじめた現状、二人のドライバーにハッパをかける意味もあ
るであろう発言だが、チーム首脳がマルケーナスの働きぶりに不満を抱いているのは、
バトラーとのポイント差からも理解できようというもの。これに伴いマルケーナスと
同郷のチーム、エヴァー・グラハムがバーンズを解雇し、マルケーナスを招聘すると
の噂もある。しかし仮にマルケーナスがチームを去った場合、後釜には誰が座るのだ
ろうか?
一時ファン・カレッジの獲得を狙っているとの噂があったが、カレッジの獲得に関し
てはアントネッティが熱心に動いており、マーキュリーの動きとはやや温度差がある。
またあくまでもF1時代からバトラーをエースとして奉ってきたチーム、バトラーと
同格のバーンズやセプターをセカンドシートに迎えるとは考えにくい。チームタイト
ルを狙えてバトラーの地位を脅かさないという、絶妙なバランスを持ったキャラク
ーが求められるマーキュリーのNo.2シート、一体誰が座ることになるやら・・・
第12戦を最後にクラークソンを離脱するティルクムの去就なども気になるがはたし
て???


エヴァー・グラハムのエースドライバーは誰??

来季のエヴァー・グラハムのNo.1シートには誰が座っているだろうか? 『F1
四天王』として期待されたアレン・バーンズが、思いのほか活躍できていない現状が
バーンズ『フェードアウト説』の明確な根拠だ。
記念すべき1stシーズン、大きな注目を浴びたバーンズは開幕から2戦連続予選で
下位に沈み、決勝でも低調なパフォーマンスに終始した。その後復調しシーズン計9
度の入賞を果たすものの未勝利に終わり、表彰台も2位、3位それぞれ1度ずつにと
どまった。今季はここまで12戦で予選PP1回、決勝3位2回含む入賞5回と活躍
を見せるも未だ優勝はなく、2度の予選落ちも喫した。チーム側の評価も下降気味だ。
またチーム側はすでに来季をにらみ、マーキュリーからマルケーナスの引き抜きを画
策しているという。今季セカンドシートに座るバロンも、経験不足は否めないものの
随所に光る速さと、優れた戦略眼、卓越したタイヤマネジメント能力を発揮しており
バロンを1シーズンで手放すとは考えにくい。となるとマルケーナスの移籍に伴い、
バーンズがはじき出される可能性は高い。現状バーンズの残留の可能性は非常に低い
と言わざるを得ない。仮にここから優勝を果たすような活躍を見せようとも、終盤戦
の活躍で挽回できるほどバーンズの評価は高くないのだ。
逆に地元でのレースぶりを知っているマルケーナスに対しては、チーム首脳の評価は
高い。来季27歳という年齢にも将来性という魅力を感じているようだ。
それぞれの所属チームで低評価に甘んじる二人だが、結果このシート争奪戦はマルケ
ーナスに軍配が上がりそうだ。

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★今季はマーキュリーで精彩を欠くマルケーナスだが地元チーム、エヴァー・グラハム首脳陣の評価は高い。
 果たして来季の移籍はあるか?


◇スートブリーグの注目株、ゾルタン・ゲラとファン・カレッジの去就は??

今季のストーブリーグで一番の目玉はゾルタン・ゲラと、ファン・カレッジの去就だ
ろう。ゲラは昨年の日本GPの優勝含む3度の表彰台、そしてカレッジは今季予選で
2列目以内2度と雨のスウェーデンGPでの2位表彰台で、一躍有力チームの関心を
攫った。
ゲラは昨季優勝1回2位2回含む6度の入賞で73ポイントを獲得、今季はここまで
入賞3度と苦戦しているが予選でフロントローを獲得するなど、速さの片鱗を見せ続
けている。そしてカレッジの魅力はなんといってもウェットコンディションでの走り。
第2戦、大雨のインドネシアGP予選ではデビュー2戦目で2列目4番手に食い込み、
第10戦スウェーデンGPではドライコンディションの予選でフロントロー2番手、
そしてウェットとなった決勝で2位表彰台と、雨で抜群の速さを見せた。いずれもチ
ームはシグマテックとピジョンのパッケージ、戦闘力で他チームに劣るパッケージだ
が、時に上位勢を食うパフォーマンスを見せる二人に注目が集まっている。
ゲラについては様々な噂が飛び交っているが、どれ一つとして信憑性のあるものはな
い。上がっている移籍先候補はマーキュリー、ドラゴンフォースアントネッティ
マルドゥーク。しかしどれも他に競合がおり、有力な裏付けにも欠ける。また来季か
らシュトロゼックとなる可能性のあるロムニ・ダキアに、残留するのではとの噂もあ
る。ハンガリー人である彼は、有力なスポンサーやサプライヤーの伝手もなく、Ne
XX以外のトップフォーミュラでの実績もないため、去就の動向を見極めにくい。
しかし彼の実力に疑いの余地はなく、現状来季のセカンドシートの去就が不明なチー
ムが移籍先候補として挙がっている状態だ。しかし現状空いている席はあくまでもセ
カンドシート、果たしてゲラがNo.2ドライバーという立ち位置を受け入れるかど
うかが移籍のカギとなるだろう。となると来季の体制変更いかんによっては、ロムニ
ダキア残留の目もある。しかし、本誌としては戦闘力のあるマシンで、ゲラの実力
を見てみたいところ。マーキュリーあたりへの移籍を期待したい。
カレッジについては、獲得に向けて積極的に動いているのはアントネッティだ。開幕
戦でいきなりロッソが優勝を飾ったアントネッティは、セカンドシート次第では来季
チームタイトルを争えるパッケージだ。しかし今季はリンドホルムが大苦戦しており、
センセーショナルなデビューを飾った割にその後の成績は伸び悩んでいる。そのため
セカンドシートに実力者を求めているのだ。他にはマルドゥークなども興味を示して
いたが、グーデリアンが残留濃厚のため移籍先としてはアントネッティに絞られた。
そもそもガジャックとしてはカレッジを手放したくないところだが、サラリーとマシ
ンパッケージを考えたときにカレッジに移籍を拒む理由はないだろう。
移籍市場でもっとも注目の二人だが、ゲラの去就は未だ不明、カレッジについてはア
ントネッティへの移籍濃厚というのが本誌の見解だが、実際はどうなるだろうか??

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★今季の移籍市場の目玉である二人。写真左のカレッジにはアントネッティが熱心にアプローチ。近々正式移
 籍の発表があるとも? 写真右のゲラは複数チームが争奪戦を繰り広げているが、未だ移籍に関する決定的
 な情報はない。チームの来季の体制如何ではロムニ・ダキア(シュトロゼック)残留もある?


◇1stシーズンに参戦したドライバーの復帰はあるか??

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★複数のチームが復帰の為のシートを用意していると噂のヴァッセル。しかし本人はF1をエンジョイしてい
 るもよう。復帰の可能性は薄い・・・

記念すべき1stシーズンに参戦したドライバー達の、カムバックはあるだろうか?
現状噂が浮上しているものとして、1stシーズンはクラークソンから参戦していた
イギリス人、ジョルディ・ヴァッセルの復帰が噂されている。
ヴァッセルは今年24歳のイギリス人で、現在はウ〇リアムズチームからF1に参戦
し活躍しているが、強豪メ〇セデスをドライブした際には速さの片鱗を見せつけた。
クラークソン在籍時は入賞わずか3回と精彩を欠いたが、第14戦タイでは3位表彰
台を記録。またクラークソンがエースのファング最優先体制だったことを考えると、
当時のリザルトはヴァッセルの真の実力ではないと言える。そのため、もう1度Ne
XXで走らせてみたいと考えるチームが、ヴァッセルの復帰を画策しているという。
候補としてはマーキュリー、プルトン、クラークソンなどだ。特にプルトンは来季カ
ムイエンジンを獲得し、体制変更もある。エストニア人のヴィックスは残留濃厚とい
われており、実現すれば非常にフレッシュなラインナップとなる。また、マーキュリ
ーのような戦闘力のあるパッケージでの走りも見てみたい気がする。それにしてもク
ラークソンはどういうつもりで再獲得を狙っているのだろうか? 昨季の待遇を考え
るとまず古巣復帰は無いと見て良いだろう。
また、昨季シーズン終盤でチャイナドラゴンを解雇された、カタル・アファルの復帰
の噂もある。モロッコ王室と遠縁の彼は、明らかに実力不足だったがそれでも3度の
入賞を果たしシーズン中に大きな成長を見せた。レースに取り組む姿勢は真摯で、好
感の持てる若者だった。今季はインディ・ライツに参戦し実力を磨いている。彼には
いくつかのモロッコ企業がスポンサーとしてついており、ガジャックが獲得を検討し
ているとの噂がある。
いずれにせよ噂の域は出ないが、記念すべき1stシーズンを彩ったメンツがカムバ
ックするとなれば、NeXXとしては歓迎だろう。さらに以前よりも実力をつけて帰
ってくとなればなおのことだ。こちらも今後の動きに注視して行きたい。
ちなみに昨季リナルディから参戦していたギリシャ人ドライバー、イオリディス・ニ
ニアディスは来季リナルディのリザーブドライバーとして、NeXXにカムバックす
ることがすでに決まっている。


◇『F1四天王』に続く大物F1パイロットの参戦はあるか??

記念すべき1stシーズンの開幕以来、数々のドライバーが参戦してきたNeXX。
1stシーズンには様々な経歴のドライバーが終結したが、その中でも大きな注目を
集めたのがN.ラムダ、D.ファング、J.セプター、A.バーンズの、F1王者経
験者、通称『F1四天王』だ。その他にもR.マイネやA.カブロン、D.グリエコ
等のF1経験者が多数参戦、最後まで選手権を争ったのはラムダの他はF1王者未経
験のA.バトラーとK.ラスムッセンだった。
2ndシーズンとなる今季はさらにB.リヴィエールやC.タンデイといった大物を
初め数多くのF1経験者が参戦しており、終盤戦からはF.ボナパルトの参戦も決定
しているが、来季のF1からの流入はあるだろうか?
現状来季から、もしくは今季終盤から来季へかけての大物の参戦はボナパルト一人だ
が、他に現在浮上している噂について検討してみたい。
現在上がっている噂としては基本的にガジャック絡みのもの、そしてノルディック絡
みのものに限定される。まずピットブルのボナパルト起用は本来3rdシーズンから
の予定であったが、ご存じの通りチーム判断で前倒しとなった。そしてそれ以外のチ
ームで、現役F1ドライバーと交渉しているという噂は入ってこない。NeXXはす
でに主力の移籍がカテゴリ内をメイン市場として行われるほど、いちカテゴリとして
移籍市場が成立する状態だ。各チームが各々の戦力強化のため、躍起になってF1ド
ライバーを欲しがるという状況はすでにないのだ。
そんな中様々な噂が上がっているのがガジャックだ。ガジャックは今季滑り込みでエ
ントリーを果たしたチームで、体制を整える間もなくシーズンに突入した。そのため
望外の活躍を見せ早くから有力チームの注目株となった、カレッジを引き留めるだけ
の戦闘力と報酬を来季用意できない可能性が高い。タンデイに関しても丁度ルノ〇の
シートを失っタイミングでのオファーだったため、とりあえずの単年契約だったとい
う側面がある。そのため下手をすれば来季はドライバーを二人とも刷新しなければな
らない可能性がある。幸いチームの首脳陣はまるっと旧F1ルルーシュチームのお歴
々だ、地に足をつけて臨める2シーズン目には、長期展望でF1経験者を連れてくる
可能性が考えられる。
現状噂が上がっている現役F1ドライバーは以下の4人だ↓↓↓。

・ヴィヴィエ・ピノーリ(FRA) 現フェラ〇リ所属
・キャッシュ・サフィー(FRA) 現ティ〇ル所属
・ラモン・ゴーギャン(FRA) 現ルノ〇所属
・フィエール・ガシュレー(FRA) 現アル〇ァ・タウ〇所属

上記4名はいずれも現在、所属チームでの去就が微妙な面々だ。ピノーリは王者経験
こそないもののF1で3勝をあげている実力者。派手さはないが確かな実力を持って
いる。しかし、フェラー〇時代にチームメイトだったマルドゥークのリヴィエールと
の間に遺恨を抱えており、NeXXへ参戦してくるかは微妙なところだ。
F17勝のサフィーは所属チームのティレ〇が、運営状態の悪化から今後の継続参戦
が不透明な状況。チームの存続が難しくなればこちらに流れてくる可能性はあるが、
F1リ〇ェチームとも交渉を持っていると伝えられ、可能性としては五分五分といっ
たところか。他の二人、ゴーギャンとガシュレーについてはガジャックのNo.1シ
ート次第というところだろう。F1未勝利の二人、特にガシュレーは現在22歳と経
験の浅いドライバー。速さよりも『荒さ』がフィーチャーされがちなゴーギャンも含
め、No.1シートに信頼できるベテランがいない状態で獲得するにはリスクが高い。
そういった理由からこの4名の候補については、未だ話が進んでいないというのが実
情だ。
現状ガジャックの来季の体制については、流出が確実なカレッジは致し方ないとして
もタンデイの残留に最大限注力しつつ、2ndシートにイキの良い若手を持ってくる
というのが最大のテーマとなっている。そのため、様々な噂は囁かれているが、どれ
ひととっても不確定で、ガジャックにF1経験者が来るかどうかは不透明だ。

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スウェーデン出身のF1パイロット、ペーダーセン。「スーパースウェード」とあだ名される、アグレッシ
 ブな走りが魅力だ。ノルディックが獲得を目指しているという噂もあるがはたして・・・

そしてもうひとつ上がっている噂が、ノルディックへのT.ペーダーセンの移籍だ。
ペーダーセンも前述のサフィー同様テ〇レルに所属、チームの運営状況の悪化で来季
のシートが不透明な状態だ。ペーダーセンはスウェーデン出身のため、今季成績の伸
びないラスムッセンの代わりに来季ノルディックが起用するとの憶測があるが、現状
ノルディックチームは来季も同様のラインナップで臨むことを間もなく発表する予定
であるという。またペーダーセンもティレ〇からロー〇スへの移籍を画策しており、
NeXXへ流れてくる可能性は低い。
結果来季は新たな大物F1ドライバーの参戦は、ボナパルト以外にはなさそうだ。し
かし、大物F1ドライバーの参戦などなくとも、NeXXは既にF1に比肩する人気
とレベルを備えている。ボナパルトが加わりますます激化する、来季のタイトル争い
が今から楽しみだ。

中堅チームが注目する女性ドライバー、
              メロディ・パトリシア・ノーマンとは何者か??

来季のストーブリーグに、異彩を放つ名前が挙がっている。それがメロディ・パトリ
シア・ノーマンだ。はたしてこの人物は何者なのだろうか?
名前を聞いてお分かりいただけるだろう、この人物は女性ドライバーだ。ノーマンは
現在23歳のオーストリアアメリカ人。10歳でカートをはじめ、19歳から2年
間はフォーミュラリージョナル・アメリカに参戦。今季はインディ・ライツに参戦し
なんとシリーズ2勝をあげているという才女である。幼いころ父親につれられ観戦し
たインディ500に衝撃を受けて、レースを始めたという彼女。インディ・ライツ
戦後は上位カテゴリであるインディカー・シリーズにステップアップ予定だが、Ne
XXもいくつかのチームが獲得を狙っているという。
現在モーターレースのトップカテゴリにおいては、F1は1991年のジョバンナ・
アマティ以来、そしてインディカーでは2019年のピッパ・マン以来女性ドライバ
ーは参戦しておらず、参戦が決定すればNeXXとしては初の女性ドライバーとなる。
獲得を狙っているのはロムニ・ダキアプルトンと言われている。

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★ノーマンは今年23歳の女性ドライバー。インディライツで2勝をあげた才女だ。参戦が決まればNeXX
 初の女性ドライバー誕生となるが?

 

2ndシーズンいよいよヨーロッパラウンドを終え、今後はユーラシア大陸を縦断し
て日本へと至るアジアラウンドへと突入。北米2連戦でシーズン終了を迎える。ドラ
イバーズ選手権はバトラーとラムダが8ポイントの僅差で争う展開、チームタイトル
も各々が所属するマーキュリーとピットブルの一騎打ちの展開だ。
しかし第13戦アゼルバイジャン以降最終戦までの6戦は、うち5戦が市街地戦とい
うカレンダー。最後まで何が起こるかわからない。NeXXを取り巻く様々な事象含
め目が離せない!!
次号は第16戦日本GP終了時の「アジアラウンド号」、その時にはチャンピオンシ
ップはどのような展開になっているだろうか? こうご期待!!